(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162093
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】医用情報処理装置、医用情報処理方法及び医用情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20241114BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077293
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】高澤 純一
(72)【発明者】
【氏名】二見 光
(72)【発明者】
【氏名】安立 和幸
(72)【発明者】
【氏名】割石 奈生
(72)【発明者】
【氏名】工藤 浩一
(72)【発明者】
【氏名】西岡 昂彦
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
5L099AA21
5L099AA22
(57)【要約】
【課題】実測値の測定に関連する状況によって検査結果が変動した場合でも、検査結果の誤った解釈を防止すること。
【解決手段】 実施形態に係る医用情報処理装置は、表示制御部を備えている。前記表示制御部は、患者の検査結果項目及び前記検査結果項目の実測値と、前記実測値の変動に関連する状況項目及び具体例とをディスプレイに表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の検査結果項目及び前記検査結果項目の実測値と、前記実測値の変動に関連する状況項目及び具体例とをディスプレイに表示させる表示制御部、
を備える医用情報処理装置。
【請求項2】
前記表示制御部による表示に先行して、前記検査結果項目及び前記検査結果項目の実測値と、前記実測値の測定に関連する状況項目及び前記状況項目の具体例とを取得する取得部、
を更に備え、
前記表示制御部は、前記取得した前記検査結果項目及び前記実測値と、前記取得した前記状況項目及び前記具体例のうちの前記変動に関連する状況項目及び具体例とをディスプレイに表示させる、
請求項1記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記実測値が異常値の場合のみ、当該実測値の変動に関連する前記状況項目及び前記具体例を前記ディスプレイに表示させる、
請求項1又は2記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、ユーザの操作に応じて、前記状況項目及び前記具体例の表示の有無を制御する、
請求項3記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、複数の前記状況項目の優先順位に基づいて、前記状況項目及び前記具体例を前記ディスプレイに表示させる、
請求項1又は2記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記優先順位の高い順に前記検査結果項目に近い位置に各々の前記状況項目を配置し、前記配置した各々の前記状況項目の具体例を前記ディスプレイに表示させる、
請求項5記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記優先順位の高い順に所定の項目数に前記状況項目を絞り込み、前記絞り込んだ前記状況項目及び前記具体例を前記ディスプレイに表示させる、
請求項5記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
予め検査結果項目と、前記検査結果項目の実測値の測定に関連する状況項目と、前記状況項目の具体例と、前記実測値の変動の発生率と、前記変動に対する関連の有無とを対応付けて記憶する記憶部、
を更に備え、
前記表示制御部は、前記変動の発生率及び閾値に基づいて、前記状況項目毎に表示するか否かを制御する、
請求項2記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記状況項目のうち、前記発生率が閾値以上の変動に関連する前記状況項目及び前記具体例のみを前記ディスプレイに表示させる、
請求項8記載の医用情報処理装置。
【請求項10】
複数の他の患者の検査結果項目及びその実測値と、前記実測値の測定に関連する状況項目及びその具体例とに基づいて、前記記憶された前記変動に対する関連の有無を更新する第1更新部、
を更に備えた請求項8記載の医用情報処理装置。
【請求項11】
複数の他の患者の検査結果項目及びその実測値と、前記実測値の測定に関連する状況項目及びその具体例とに基づいて、前記記憶された前記発生率を更新する第2更新部、
を更に備えた請求項8記載の医用情報処理装置。
【請求項12】
前記測定に関連する状況項目は、前記患者の検査直前の状況又は検査中の状況を示す項目である、
請求項2記載の医用情報処理装置。
【請求項13】
前記検査中の状況は、前記検査中の体勢又は検査場所を示す状況であり、
前記具体例は、前記体勢又は前記検査場所の例である、
請求項12記載の医用情報処理装置。
【請求項14】
前記検査直前の状況は、前記検査直前に薬剤投与を受けた状況、又は前記検査直前に運動を行った状況であり、
前記具体例は、前記検査直前に投与された薬剤又は前記行った運動の例である、
請求項12記載の医用情報処理装置。
【請求項15】
患者の検査結果項目及び前記検査結果項目の実測値と、前記実測値の変動に関連する状況項目及び前記状況項目の具体例とをディスプレイに表示させること、
を備える医用情報処理方法。
【請求項16】
コンピュータに、
患者の検査結果項目及び前記検査結果項目の実測値と、前記実測値の変動に関連する状況項目及び前記状況項目の具体例とをディスプレイに表示させる機能、
を実現させるための医用情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理装置、医用情報処理方法及び医用情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医師又は看護師等の医療従事者は、患者から血圧、体温、Hb(ヘモグロビン)等の生体情報を検査した際に、生体情報の実測値を検査結果として電子カルテシステムなどに登録する。検査の後、医用情報処理装置は、医師等のユーザの操作により、電子カルテシステムから検査結果を読み出してディスプレイに表示する。表示された検査結果は、当該ユーザにより、患者の医学的な診断に用いられる。
【0003】
以上のような医用情報処理装置は、通常は特に問題ないが、本発明者の検討によれば、実測値の測定に関連する状況によって検査結果が変動することを考慮していない点で改善の余地がある。例えば、今回、寝た体勢の患者に対して血圧検査を実施した場合には、前回の座った体勢での血圧検査の場合に比べ、低い実測値が検査結果として得られる。この例の場合、ユーザは、患者の体勢が変動要因となって血圧検査の実測値が低下したことを知らないため、患者の体調又は容態に応じて血圧が低下したと誤って解釈してしまう。検査結果の誤った解釈は、正確な診断の妨げとなるので、防止されることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、実測値の測定に関連する状況によって検査結果が変動した場合でも、検査結果の誤った解釈を防止することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用情報処理装置は、表示制御部を備えている。前記表示制御部は、患者の検査結果項目及び前記検査結果項目の実測値と、前記実測値の変動に関連する状況項目及び具体例とをディスプレイに表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る検査結果表示システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る検査情報の一例を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る状況テーブルの一例を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る添付文書の一例を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、
図1の医用情報処理装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における動作を説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、本実施形態における動作を説明するための模式図である。
【
図8】
図8は、本実施形態における動作を説明するための模式図である。
【
図9】
図9は、本実施形態における動作を説明するための模式図である。
【
図10】
図10は、本実施形態における動作を説明するための模式図である。
【
図11】
図11は、本実施形態における他の動作を説明するための模式図である。
【
図12】
図12は、
図5の医用情報処理装置の構成の変形例を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る医用情報処理装置、医用情報処理方法及び医用情報処理プログラムについて説明する。
【0009】
本実施形態に係る医用情報処理装置は、患者の検査結果を表示するためのコンピュータであり、医用画像処理プログラムに基づいて、医用画像処理方法を実行する装置の一例である。また、本実施形態に係る医用情報処理装置は、患者の検査に関する検査結果表示システムの一構成要素であるとする。
【0010】
図1は、本実施形態に係る検査結果表示システムの構成を示す図である。この検査結果表示システム1は、互いにネットワークを介して接続された電子カルテシステム3及び医用情報処理装置7を備えている。
【0011】
電子カルテシステム3は、患者毎の電子カルテに関する情報と、全ての患者に関する状況テーブルTbとをメモリに記憶するコンピュータシステムである。電子カルテシステム3は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ、ディスプレイ、入力インタフェース、通信インタフェースを含むサーバ・コンピュータを含む。電子カルテに関する情報は、検査情報及び患者情報を含んでいる。検査情報及び患者情報は互いに関連付けて記憶及び管理される。
【0012】
患者情報は、患者名、患者識別情報、生年月日、年齢、性別、身長及び体重を含む。
【0013】
検査情報は、
図2に模式的に示すように、検査結果に関する情報と、検査前の情報と、検査時の情報とを含む。検査結果に関する情報は、検査日と、検査結果項目と、検査結果の実測値とを含む。検査前の情報及び検査時の情報の各々は、検査日と、実測値の測定に関連する状況項目と、状況項目の具体例とを含む。検査結果項目は、検査で得られる測定結果(実測値)の測定対象を示し、実測値と1対1に対応する項目である。例えば、「検査結果項目」は、血液検査(WBC、RBC、Hb、・・・)や尿検査(尿蛋白、尿糖、尿潜血、・・・)といった複数の実測値に対応する項目ではなく、Hb検査や血圧検査といった1つの実測値(Hb)又は1対の実測値(最高血圧、最低血圧)に対応する項目である。ここで、WBCは白血球数を表し、RBCは赤血球数を表す。Hbはヘモグロビンを表す。なお、「検査結果項目」は、実測値の測定対象を明確に示す場合には、適宜、「検査項目」等といった他の用語に変更してもよい。「状況項目」は、実測値を測定する際の状況を示し、測定される患者(運動、体勢、持病、・・・)や測定環境(測定機器、場所)に対応する項目である。「状況項目」は、実測値の測定状況に対応する用語であれば、適宜、「事象項目」、「関連項目」、「測定条件項目」等といった他の用語に変更してもよい。「体勢」は、「体位」、「姿勢」等といった他の用語に変更してもよい。
【0014】
状況テーブルTbは、
図3に模式的に示すように、予め検査結果項目と、検査結果項目の実測値の測定に関連する状況項目と、状況項目の具体例と、実測値への影響と、実測値の変動の発生率と、変動に対する関連の有無とを対応付けて設定している。実測値の測定に関連する状況項目は、例えば、患者の検査直前の状況又は検査中の状況を示す項目であってもよい。ここで、検査直前の状況は、例えば、検査直前に薬剤投与を受けた状況、又は検査直前に運動を行った状況であってもよく、具体例は、検査直前に投与された薬剤又は行った運動の例であってもよい。また、検査中の状況は、検査中の体勢又は検査場所を示す状況であってもよく、具体例は、体勢又は検査場所の例であってもよい。なお、状況項目の具体例としては、例えば
図4に示す如き、薬剤の添付文書D1や、多数の患者の検査情報などに基づいて設定されている。ここで、添付文書D1は、薬剤の名称と、効果・効能と、副作用とを表す記述を含んでいる。このような添付文書D1は、検査結果項目「血圧」「体温」「Hb」に関連して状況項目「薬剤投与」及び具体例「降圧剤A」等を状況テーブルTbに設定する際に、副作用の記述(ふらつき・めまい(血圧の低下)、ほてり感・熱感(体温の上昇)、貧血(Hbの低下))が使用される。詳しくは、副作用の「ふらつき、めまい」は、検査結果項目「血圧」、状況項目「薬剤投与」、具体例「降圧剤A」、影響「低下」、関連「有」の設定に用いられる。また、副作用の「ほてり感、熱感」は、検査結果項目「体温」、状況項目「薬剤投与」、具体例「降圧剤A」、影響「上昇」、関連「有」の設定に用いられる。同様に、副作用の「貧血」は、検査結果項目「Hb」、状況項目「薬剤投与」、具体例「降圧剤A」、影響「低下」、関連「有」の設定に用いられる。実測値への影響としては、「低下」、「上昇」、「無し」、「上昇/低下」が適宜、設定される。「上昇/低下」は、例えば、病院で緊張する患者や落ち着く患者がそれぞれ存在することを考慮し、患者に応じて、上昇又は低下のいずれかが発生する場合を示している。変動の発生率は、状況項目の具体例に該当する件数(N1)に占める、状況項目の具体例により実測値が変動した件数(N2)を表す指標((N2/N1)×100[%])である。関連の有無は、状況項目の具体例が実測値の変動に関連するか否かを示すフラグであり、必ずしも発生率と閾値から一律に導出できないため、ユーザにより予め設定される。例えば、発生率5%以上で関連有りの検査結果項目(血圧)及び具体例(降圧剤A)場合がある一方、発生率5%未満でも関連有りの検査結果項目(Hb)及び具体例(降圧剤A)場合がある。なお、「状況テーブル」は、「事象テーブル」、「関連テーブル」、「測定条件テーブル」等といった他の用語に変更してもよい。
【0015】
医用情報処理装置7は、状況テーブルTbに基づいて、検査情報を表示制御するコンピュータである。医用情報処理装置7は、
図5に示すように、処理回路71、通信インタフェース72、ディスプレイ73、入力インタフェース74及びメモリ75を備えている。
【0016】
処理回路71は、CPU及びGPU等のプロセッサを有する。当該プロセッサがメモリ75等にインストールされたOS(Operating System)等の基本プログラムを実行することにより、処理回路71は、通信インタフェース72、ディスプレイ73、入力インタフェース74及びメモリ75間でのデータの授受を行う。処理回路71は、メモリ75内の医用情報処理プログラムの実行により、取得機能711や表示制御機能712といった各機能を実現する。また、処理回路71は、医用情報処理プログラムに従い、例えば、患者の検査結果項目及び検査結果項目の実測値と、実測値の変動に関連する状況項目及び状況項目の具体例とをディスプレイ73に表示させることを備えた医用情報処理方法を実行する。この医用情報処理プログラムは、例えば、予めネットワーク又は非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(non-transitory computer-readable storage medium)からワークステーション等のコンピュータにインストールされ、当該コンピュータのプロセッサに実行されることにより、当該コンピュータに医用情報処理装置7の機能を実現させる。このような医用情報処理プログラムは、例えば、コンピュータに、患者の検査結果項目及び検査結果項目の実測値と、当該実測値の変動に関連する状況項目及び状況項目の具体例とをディスプレイ73に表示させる機能、を実現させるためのプログラムである。
【0017】
取得機能711は、医師等のユーザの操作に応じて記述された検査情報及び状況テーブルTbを電子カルテシステム3から取得する。検査情報は、
図2に示したように、検査結果に関する情報と、検査前の情報と、検査時の情報とを含む。検査結果に関する情報は、検査日と、検査結果項目と、検査結果の実測値とを含む。検査前の情報及び検査時の情報の各々は、検査日と、実測値の測定に関連する状況項目と、状況項目の具体例とを含む。ここで、実測値の測定に関連する状況項目は、患者の検査直前の状況又は検査中の状況を示す項目である。検査中の状況は、例えば、検査中の体勢又は検査場所を示す状況であってもよく、具体例は、当該体勢又は当該検査場所の例であってもよい。また、検査直前の状況は、検査直前に薬剤投与を受けた状況、又は検査直前に運動を行った状況であってもよく、具体例は、検査直前に投与された薬剤又は当該行った運動の例であってもよい。なお、取得機能711及び処理回路71は、表示制御機能712による表示に先行して、検査結果項目及び検査結果項目の実測値と、実測値の測定に関連する状況項目及び状況項目の具体例とを取得する取得部の一例である。
【0018】
表示制御機能712は、種々の情報をディスプレイ73に表示させる。表示制御機能712は、例えば、患者の検査結果項目及び検査結果項目の実測値と、当該実測値の変動に関連する状況項目及び具体例とをディスプレイ73に表示させる。
【0019】
ここで、表示制御機能712は、取得機能711が取得した検査結果項目及び実測値と、取得機能711が取得した状況項目及び具体例のうちの実測値の変動に関連する状況項目及び具体例とをディスプレイ73に表示させてもよい。
【0020】
また、表示制御機能712は、実測値が異常値の場合のみ、当該実測値の変動に関連する状況項目及び具体例をディスプレイ73に表示させてもよい。また、表示制御機能712は、例えばクリック操作やオーバーカーソル操作といった、ユーザの操作に応じて、状況項目及び具体例の表示の有無を制御してもよい。
【0021】
また、表示制御機能712は、状況テーブルTb内の変動の発生率に基づいて、状況項目毎に表示するか否かを制御してもよい。例えば、表示制御機能712は、変動の発生率が高い順に所定の項目数の状況項目及び具体例をディスプレイ73に表示させてもよい。また、表示制御機能712は、状況項目のうち、発生率が閾値以上の変動に関連する状況項目及び具体例のみをディスプレイ73に表示させてもよい。なお、表示制御機能712及び処理回路71は、表示制御部の一例である。
【0022】
通信インタフェース72は、他のコンピュータとの間でデータ通信するためのインタフェースである。例えば、通信インタフェース72は、電子カルテシステム3等との間でネットワークを介して種々のデータ通信を行う。
【0023】
ディスプレイ73は、処理回路71の表示制御機能712に従い種々の情報を表示する。ディスプレイ73としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが適宜使用可能である。
【0024】
入力インタフェース74は、医師等のユーザによる操作を受け付け、当該操作に応じた操作信号を処理回路71に入力する。具体的には、入力インタフェース74は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の入力機器にケーブルを介して接続されている。また、入力インタフェース74は、通信インタフェース72を介してネットワークに接続された他のコンピュータでもよい。
【0025】
メモリ75は、種々の情報を記憶するROMやRAM、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Detector)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ75は、上記記憶装置以外にも、CD、DVD、フラッシュメモリ等の可搬型記憶媒体や、半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。例えば、メモリ75は、電子カルテシステム3から取得された状況テーブルTb及び検査情報等を記憶する。なお、これに限らず、状況テーブルTbは、予めメモリ75に記憶されていてもよい。状況テーブルTb及びメモリ75は、記憶部の一例である。
【0026】
次に、以上のように構成された医用情報処理装置及び電子カルテシステムの動作について
図6のフローチャート及び
図7乃至
図11の模式図を用いて説明する。以下の説明では、取得機能711及び表示制御機能712といった各機能の動作を区別せず、処理回路71の動作として述べる。
【0027】
始めに、ステップST1において、電子カルテシステム3では、
図7に示すように、ユーザによるキーボード及びマウス等の入力インタフェース3aの操作に応じて、検査結果、検査前の情報及び検査時の情報が入力される。なお、検査情報については、ユーザの操作による直接的な入力に限らず、電子カルテシステム3による間接的な入力を行ってもよい。例えば、検査時の情報における検査場所は、検査を依頼するオーダ情報から電子カルテシステム3が入力してもよい。具体的には、オーダ情報で依頼された検査については、病院を検査場所とし、オーダ情報が無い検査については、自宅を検査場所として、電子カルテシステム3が検査場所を入力してもよい。同様に、検査時の情報における患者の体勢は、検査室に設けられたカメラ等のセンサにより測定し、当該測定結果から電子カルテシステム3が入力してもよい。いずれにしても、電子カルテシステム3では、当該入力された検査結果、検査前の情報及び検査時の情報を有する検査情報がメモリに保存される。
【0028】
ステップST1の後、ステップST2において、医用情報処理装置7の処理回路71は、患者IDを含む送信要求を電子カルテシステム3に送信する。電子カルテシステム3は、この送信要求に応じて、患者IDで識別される患者の検査情報と、状況テーブルTbとを医用情報処理装置7に送信する。これにより、医用情報処理装置7の処理回路71は、検査結果の表示に先行して、患者の検査結果項目及び検査結果項目の実測値を含む検査情報と、当該実測値の測定に関連する状況項目及び状況項目の具体例とを含む状況テーブルTbとを取得する。
【0029】
ステップST2の後、ステップST3において、処理回路71は、
図8に示すように、検査情報及び状況テーブルTbに基づいて、検査情報内の検査結果項目毎に、状況テーブルTb内の状況項目及び具体例を抽出し、展開用テーブルTb1として準備する。このとき、処理回路71は、状況項目及び具体例に加え、状況テーブルTbから変動の影響(上昇、低下)、関連の有無、発生率を抽出し、展開用テーブルTb1として準備してもよい。
図8に示す展開用テーブルTb1は、検査結果項目毎に、状況項目、具体例、変動の影響(上昇、低下)、関連の有無、発生率を関連付けて記憶している。なお、展開用テーブルTb1において、変動の影響は、具体例の背景にハッチングとして示している。但し、背景に限らず、変動の影響に応じて、具体例の文字列を着色してもよい。例えば、変動の影響が上昇、低下、いずれかに影響の場合、それぞれ具体例の文字列を赤色、青色、緑色などで着色してもよい。このことは、ディスプレイ73に表示された具体例でも同様である。
【0030】
ステップST3の後、ステップST4において、処理回路71は、
図9に示すように、患者の検査結果項目毎に、その実測値をディスプレイ73に表示させる。
図9中、検査結果項目「血圧(最高)」の実測値「150」は、異常値を示す背景パターンが表示領域に表示され、実測値(異常値)の表示領域に隣接して展開ボタンbtが表示されている。また、検査結果項目「血圧(最低)」の実測値「70」は、正常値であり、背景パターン及び展開ボタンが表示されていない。また、「発生率:5%以上」の表示は、展開ボタンbtの操作に応じて展開表示する内容の閾値の一例を表している。閾値は、フィルタボタン等の操作により、適宜、変更可能である。
【0031】
ステップST4の後、ステップST5において、処理回路71は、ユーザによる入力インタフェース74の操作に応じて、状況項目及び具体例を表示するか否かを判定する。例えば、処理回路71は、展開ボタンbtが操作されると、状況項目及び具体例を表示する旨を判定し、入力インタフェース74の操作がないと、否と判定する。ステップST5の判定の結果、否の場合には、処理回路71は、ステップST4に戻り、ステップST4~ST5の処理を繰り返し実行する。ステップST5の判定の結果、状況項目及び具体例を表示する場合には、処理回路71は、ステップST6に移行する。
【0032】
ステップST6において、処理回路71は、
図10に示すように、表示中の検査結果項目及び検査結果項目の実測値に加え、実測値の変動に関連する状況項目及び具体例をディスプレイ73に表示させる。詳しくは、処理回路71は、ステップST1で取得した状況項目及び具体例のうち、実測値の変動に関連する状況項目及び具体例を表示させる。例えば、処理回路71は、変動の発生率及び閾値に基づいて、状況項目毎に表示するか否かを制御する。この例では、処理回路71は、状況項目のうち、発生率が閾値以上(5%以上)の変動に関連する状況項目及び具体例のみを表示させている。なお、閾値「5%」は、フィルタの度合の一例であり、これに限定されない。また、具体例の背景パターンは、上昇(右上がりハッチング)、下降(右下がりハッチング)、又はそのいずれか(波線パターン)といった影響を表現している。但し、具体例は、背景パターンに代えて、具体例の文字列の色で影響(上昇、下降、そのいずれか)を表現してもよく、矢印や三角、逆三角などの記号を併記して影響を表現してもよい。また、1つの検査日に限らず、処理回路71は、
図11に示すように、複数の検査日の時系列に沿ったグラフ形式により、検査結果項目及び実測値をディスプレイ73に表示させてもよい。この場合、処理回路71は、検査結果項目及び検査日毎に展開用テーブルTb1を準備しておき、ユーザの操作に応じて、検査日の実測値を示す黒丸近傍又は黒丸上にカーソルcsが位置すると、当該検査日に関連する状況項目及び具体例をディスプレイ73に表示させる。
【0033】
ステップST6の後、ステップST7において、処理回路71は、ユーザの操作に応じて、状況項目及び具体例の表示を終了するか否かを判定する。
図10の例では、処理回路71は、表示中の状況項目又は具体例がクリック操作されると、状況項目及び具体例の表示を終了する旨を判定し、当該クリック操作がないと、否と判定する。
図11の例では、処理回路71は、検査日の実測値を示す黒丸近傍又は黒丸上からカーソルcsを離す操作を受けると、状況項目及び具体例の表示を終了する旨を判定し、当該カーソルcsを離す操作がないと、否と判定する。いずれにしても、否の場合にはステップST4に戻り、ステップST4~ST7の処理を繰り返し実行する。ステップST7の判定の結果、表示を終了する場合には、処理回路71は、状況項目及び具体例の表示を終了する。
【0034】
ステップST7の後、ステップST8において、処理回路71は、ユーザの操作に応じて、検査結果項目、実測値、状況項目及び具体例の表示を終了するか否かを判定し、否の場合にはステップST6に戻り、ステップST6~ST8の処理を繰り返し実行する。ステップST8の判定の結果、表示を終了する場合には、処理回路71は、検査結果項目、実測値、状況項目及び具体例の表示を終了する。
【0035】
上述したように本実施形態によれば、処理回路71は、表示制御機能712により、患者の検査結果項目及び検査結果項目の実測値と、実測値の変動に関連する状況項目及び具体例とをディスプレイ73に表示させる。これにより、ユーザが実測値の変動に関連する状況項目及び具体例を認識できるため、実測値の測定に関連する状況によって検査結果が変動した場合でも、検査結果の誤った解釈を防止することができる。補足すると、従来、検査結果の実測値は、電子カルテなどに登録される。しかしながら、従来、測定の状況による実測値の変動については考慮されず、測定の状況は、電子カルテに登録されない。これに対し、本実施形態では、測定の状況を表示する構成により、測定した実測値に変動が発生している可能性があることをユーザに認識させることができる。また、本実施形態によれば、医師が自分の担当外の患者を急遽担当するケースにて、検査結果の背景(持病など)を把握することができる。
【0036】
仮に、比較例として、検査結果の実測値と、当該実測値の測定に関連する項目及び具体例とを表示する構成があるとする。比較例によれば、表示する項目が多岐にわたる場合があり、ユーザが困惑する懸念がある。また、比較例によれば、表示する項目が少ない場合でも、必ずしも実測値の変動に関連する項目を表示するとは限らない。これに対し、本実施形態によれば、実測値の変動に関連する状況項目及び具体例を選別して表示できる点で優れている。
【0037】
また、本実施形態によれば、処理回路71は、取得機能711により、表示制御機能712による表示に先行して、検査結果項目及び検査結果項目の実測値と、実測値の測定に関連する状況項目及び状況項目の具体例とを取得する。また、処理回路71は、表示制御機能712により、当該取得した検査結果項目及び実測値と、当該取得した状況項目及び具体例のうちの変動に関連する状況項目及び具体例とをディスプレイ73に表示させてもよい。この場合、測定に関連した状況の具体例を取得し、さらに、変動に関連する状況の具体例に絞り込んで表示する構成により、前述した効果に加え、取得する段階では、実測値の変動に関連するか否かといった判断を省略することができる。なお、絞り込むことは、「フィルタ」、「フィルタリング」、「選別」等の別の用語を用いて表現してもよい。
【0038】
また、本実施形態によれば、処理回路71は、表示制御機能712により、実測値が異常値の場合のみ、当該実測値の変動に関連する状況項目及び具体例をディスプレイ73に表示させてもよい。この場合、前述した効果に加え、実測値が正常値の場合には状況の具体例の確認が不要であるから当該具体例を表示せず、処理の効率化を図ることができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、処理回路71は、表示制御機能712により、ユーザの操作に応じて、状況項目及び具体例の表示の有無を制御してもよい。この場合、ユーザが注目する実測値については状況項目及び具体例を表示し、注目しない実測値については状況項目及び具体例を表示しない構成により、前述した効果に加え、検査結果を解釈するための表示を見易くすることができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、メモリ75は、状況テーブルTbを記憶することにより、予め検査結果項目と、検査結果項目の実測値の測定に関連する状況項目と、状況項目の具体例と、実測値の変動の発生率と、変動に対する関連の有無とを対応付けて記憶する。なお、状況テーブルTbは、電子カルテシステム3から取得してメモリ75に記憶してもよく、予めメモリ75に記憶してもよい。また、処理回路71は、表示制御機能712により、変動の発生率及び閾値に基づいて、状況項目毎に表示するか否かを制御してもよい。この場合、メモリ75に記憶した発生率によって、状況項目毎に表示するか否かを制御する構成により、前述した効果に加え、表示の機会毎に発生率を計算する必要がなく、円滑に表示を実行することができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、処理回路71は、表示制御機能712により、実測値の変動に関連する状況項目のうち、発生率が閾値以上の変動に関連する状況項目及び具体例のみをディスプレイ73に表示させる。この場合、発生率が高い変動に関連する状況項目及び具体例のみを表示する構成により、前述した効果に加え、発生率の閾値に応じて、表示する状況項目及び具体例を絞り込むことができる。補足すると、この例では、実測値の測定に関連する状況項目及び具体例のうち、実測値の変動に関連する状況項目及び具体例に絞り込む1段階目の絞り込みに加え、変動の発生率が高い状況項目及び具体例のみを表示する2段階目の絞り込みを行う。これにより、重要な状況項目及び具体例のみに絞り込んで表示することができる。また、1段階目の絞り込みは、状況テーブルTbの関連「有」で一律に行うが、2段階目の絞り込みは、発生率の閾値を変更することで、変動に関連する度合を調整することができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、測定に関連する状況項目は、患者の検査直前の状況又は検査中の状況を示す項目であってもよい。この場合、前述した効果に加え、実測値の変動に関連する状況項目を漏れなく取得できることを期待することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、検査中の状況は、検査中の体勢又は検査場所を示す状況であってもよい。具体例は、体勢又は検査場所の例であってもよい。この場合、前述した効果に加え、検査中の体勢又は検査場所といった実測値の変動が発生し易い具体例を表示させることができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、検査直前の状況は、検査直前に薬剤投与を受けた状況、又は検査直前に運動を行った状況であってもよい。具体例は、検査直前に投与された薬剤又は当該行った運動の例であってもよい。この場合、前述した効果に加え、検査直前の薬剤投与又は運動といった実測値の変動が発生し易い具体例を表示させることができる。
【0045】
なお、上記の処理は一例であり、種々の変形が可能である。
【0046】
例えば、本実施形態では、状況テーブルTbを電子カルテシステム3から取得したが、これに限定されない。例えば、状況テーブルTbは、予めメモリ75に記憶されていてもよい。この場合、病院全体の状況テーブルTbではなく、医用情報処理装置7のユーザ毎に状況テーブルTbを設定できる。このため、病院全体の統計的な知見と各ユーザの主観的な知見とが若干合わない場合でも、ユーザ毎の知見に応じて状況項目及びその具体例を展開表示することができる。
【0047】
また、本実施形態では、ステップST3において、検査情報の検査結果項目毎に、状況テーブルTb内の関連の有無に無関係に状況項目及び具体例などを抽出したが、これに限定されない。例えば、処理回路71は、検査情報の検査結果項目毎に、状況テーブルTb内の関連「有」に対応する状況項目及び具体例などを抽出してもよい。すなわち、処理回路71は、状況テーブルTb内の関連「無」に対応する状況項目及び具体例などを抽出しないように動作してもよい。この場合、
図8とは異なり、展開表示に用いない状況項目及び具体例(例、職業:事務職)の抽出を省略でき、処理の効率化を図ることができる。
【0048】
また、本実施形態では、変動の発生率に基づいて状況項目及び具体例をディスプレイ73に表示させたが、これに限定されない。例えば、処理回路71は、表示制御機能712により、複数の状況項目の優先順位に基づいて、状況項目及び具体例をディスプレイ73に表示させてもよい。優先順位としては、例えば、実測値の変動の発生率が高い順や、予め設定された所定順位などが、適宜、使用可能となっている。いずれにしても、この場合、検査結果の解釈に必要な状況項目及び具体例を優先的に表示できるため、検査結果を解釈するユーザの負荷を軽減することができる。
【0049】
優先順位に関する他の変形例として、処理回路71は、表示制御機能712により、優先順位の高い順に検査結果項目に近い位置に各々の状況項目を配置し、当該配置した各々の状況項目の具体例をディスプレイ73に表示させてもよい。この場合、
図10とは異なり、「実測値:150」の右隣から順に「体勢:寝て」、「薬剤投与:降圧剤」、「運動状態:軽い運動」、・・・が配置される。すなわち、「実測値:150」の右隣に、発生率「100%」の「体勢:寝て」が配置される。従って、前述した効果に加え、検査結果を解釈するための表示を、より一層、見易くすることができる。
【0050】
また、優先順位に関する更に他の変形例として、処理回路71は、表示制御機能712により、優先順位の高い順に所定の項目数に状況項目を絞り込み、当該絞り込んだ状況項目及び具体例をディスプレイ73に表示させてもよい。例えば、処理回路71は、10個の状況項目及び具体例のうち、優先順位の高い順に3個の状況項目及び具体例に絞り込んでディスプレイ73に表示させ、残り7個の状況項目及び具体例の表示を省略する。この場合、前述した効果に加え、状況項目及び具体例の表示が多すぎるといった事態を回避でき、検査結果を解釈するための表示を見易くすることができる。
【0051】
また、本実施形態では、状況テーブルTbの更新については述べなかったが、これに限らず、電子カルテシステム3又は処理回路71が状況テーブルTbを更新してもよい。例えば、処理回路71は、
図12に示すように、前述した各機能に加え、更新機能713を更に実現する構成としてもよい。更新機能713としては、例えば、複数の他の患者の検査結果項目及びその実測値と、当該実測値の測定に関連する状況項目及びその具体例とに基づいて、実測値の変動への関連の有無を分類する学習済みモデルを用いてもよい。この場合、更新機能713は、複数の他の患者の検査結果項目及びその実測値と、実測値の測定に関連する状況項目及びその具体例から、状況項目及びその具体例における実測値の変動への関連の有無を、モデルに従い分類する。しかる後、更新機能713は、当該分類した関連の有無に基づいて、状況テーブルTbに記述された関連の有無を更新する。また例えば、更新機能713としては、複数の他の患者の検査結果項目及びその実測値と、当該実測値の測定に関連する状況項目及びその具体例とに基づいて、実測値の変動の発生率を生成する学習済みモデルを用いてもよい。この場合、更新機能713は、複数の他の患者の検査結果項目及びその実測値と、実測値の測定に関連する状況項目及びその具体例から、状況項目の具体例が実測値の変動を発生させる発生率を、学習済みモデルに従い生成する。しかる後、更新機能713は、当該生成した発生率により、状況テーブルTbに記述された発生率を更新する。このような学習済みモデルは、メモリ75に保存してもよく、図示しないサーバに保存していてもよい。但し、更新機能713は、必ずしも学習済みモデルを用いなくてもよい。いずれにしても、処理回路71の更新機能713は、複数の他の患者の検査結果項目及びその実測値と、当該実測値の測定に関連する状況項目及びその具体例とに基づいて、メモリ75に記憶された変動に対する関連の有無を更新してもよい。この場合、前述した効果に加え、複数の他の患者の検査情報に応じて状況テーブルTbの内容を更新できるので、より客観的な内容で、状況の具体例を表示することができる。例えば、状況テーブルTbの関連「無」に対応する薬剤と同じ薬剤を投与して、複数の患者で特定の検査結果に影響が出ている場合には自動で判別し、状況テーブルTbを関連「有」に更新することができる。また、処理回路71の更新機能713は、複数の他の患者の検査結果項目及びその実測値と、当該実測値の測定に関連する状況項目及びその具体例とに基づいて、メモリ75に記憶された発生率を更新してもよい。例えば、病院内での実際の副作用などの発生率から、状況テーブルTb内の発生率の値を自動で調整してもよい。この場合も同様に、前述した効果に加え、複数の他の患者の検査情報に応じて状況テーブルTbの内容を更新できるので、より客観的な内容で、状況の具体例を表示することができる。更新機能713及び処理回路71は、第1更新部及び第2更新部の一例である。
【0052】
また、本実施形態では、実測値の測定又は変動に関連する状況項目(具体例)として、薬剤投与(降圧剤A)、体勢(寝て)、持病(高血圧)、運動状態(軽い運度)、職業(事務職)、検査場所(病院)を例示したが、これに限定されない。例えば、実測値の測定又は変動に関連する状況項目(具体例)として、測定機器の状況項目(具体例)、患者の状況項目(具体例)、測定方法の状況項目(具体例)などが適宜、使用可能となっている。測定機器の状況項目(具体例)としては、例えば、測定機器の精度(高精度、低精度)、測定機器の校正(定期的に校正済み、不定期に校正)などが挙げられる。また、患者の状況項目(具体例)としては、例えば、患者への処置(外科手術により血圧低下)、持病(糖尿病により高い血糖値)などが挙げられる。また、測定方法の状況項目(具体例)としては、例えば、測定位置(腕で血圧測定、手首で血圧測定)などが挙げられる。すなわち、実測値の変動に関連する状況項目及び具体例であれば、任意の状況項目及び具体例を用いるように変形してもよい。このような変形例としても、前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0053】
なお、本実施形態に検査結果表示システム1の構成は上記に限定されず、更にPACS(Picture Archiving and Communication System)やHIS(Hospital Information)、RIS(Radiology Information System)等を含んでも良い。また、検査結果表示システム1の幾つかの要素が統合されても良い。例えば、電子カルテシステム3と医用情報処理装置7とが統合されてもよい。
【0054】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、実測値の測定に関連する状況によって検査結果が変動した場合でも、検査結果の誤った解釈を防止することができる。
【0055】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサはメモリに保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、プログラムがメモリに保存される代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1、
図5又は
図12における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
1 検査結果表示システム
3 電子カルテシステム
7 医用情報処理装置
71 処理回路
711 取得機能
712 表示制御機能
713 更新機能
72 通信インタフェース
73 ディスプレイ
74 入力インタフェース
75 メモリ
bt 展開ボタン
cs カーソル
Tb 状況テーブル
Tb1 展開用テーブル