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特開2024-162095帯状部材の生産方法及び該方法に用いる反転装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162095
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】帯状部材の生産方法及び該方法に用いる反転装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/355 20190101AFI20241114BHJP
   B29C 63/32 20060101ALI20241114BHJP
   B29C 48/28 20190101ALI20241114BHJP
   B29C 48/12 20190101ALI20241114BHJP
【FI】
B29C48/355
B29C63/32
B29C48/28
B29C48/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077297
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮武 優太
(72)【発明者】
【氏名】近藤 陸太
(72)【発明者】
【氏名】中西 宏
【テーマコード(参考)】
4F207
4F211
【Fターム(参考)】
4F207AG01
4F207AG05
4F207AG08
4F207AH43
4F207AR07
4F207KA01
4F207KA20
4F207KM16
4F207KW23
4F207KW26
4F211AG01
4F211AG05
4F211AG08
4F211AH43
4F211SA05
4F211SC03
4F211SD06
4F211SD21
4F211SG01
4F211SJ15
(57)【要約】
【課題】押し出し成形した帯状部材を巻取りドラムに巻き取る前に反転させる際、帯状部材が高剛性であっても作業者等の負担を軽減できる、既設管更生用の帯状部材の生産方法を提供する。
【解決手段】押し出し成形された帯状部材の送りラインに反転装置7を設置する。反転装置7の反転フレーム30の回転中心部の保持部50に帯状部材10の送り方向の先端部10eを保持させる。保持部50から反転フレーム30の径方向に離れた力付与部37への入力によって、保持部30を中心にして反転フレーム30を反転させる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管更生用の螺旋管となる帯状部材を生産する方法であって、
原料樹脂から前記帯状部材を押し出し成形する工程と、
前記押し出し成形された帯状部材を送りラインに沿って巻取りドラムへ向けて送る工程と、
前記送りラインに設置された反転装置の反転フレームの保持部に、前記帯状部材の送り方向の先端部を保持させる工程と、
前記保持部から前記反転フレームの径方向へ離れた力付与部への入力によって前記保持部を中心にして前記反転フレームを反転させる工程と、
を備えたことを特徴とする帯状部材の生産方法。
【請求項2】
前記反転された反転フレームを、回転規制手段によって回転不能とするか又は前記反転時の向きとは逆向きに回転されるのを阻止する、請求項1に記載の帯状部材の生産方法。
【請求項3】
前記反転後の帯状部材の先端部を前記反転装置から解放させ、前記反転装置を前記送りラインから退避させる、請求項1に記載の帯状部材の生産方法。
【請求項4】
先行巻取りドラムにおける帯状部材巻き取り量が所定になったとき、前記送りライン上で前記帯状部材を切断して、前記送りラインの下流側の先行帯状部材と上流側の後続帯状部材とに分割し、
前記後続帯状部材に対して前記反転装置による前記保持工程及び前記反転工程を行ない、前記反転工程後の後続帯状部材を後続巻取りドラムへ送る、請求項1~3の何れか1項に記載の帯状部材の生産方法。
【請求項5】
請求項1に記載の帯状部材の生産方法に用いる反転装置であって、
装置本体と、
前記装置本体に回転可能に支持された反転フレームと、
前記反転フレームの回転中心部から径方向へ離れて設けられ、前記反転フレームに回転力を付与するための力付与部と、
前記反転フレームの回転中心部に設けられ、前記回転力を前記帯状部材へ伝達可能に前記帯状部材を保持する保持部と
を備えたことを特徴とする反転装置。
【請求項6】
前記保持部が、前記帯状部材を通す挿通口を含む、請求項5に記載の反転装置。
【請求項7】
前記保持部が、平行に対向する一対の回転ローラを含み、これら回転ローラの間に前記挿通口が画成されている、請求項6に記載の反転装置。
【請求項8】
前記一対の回転ローラの各々の外周部が軟質材によって構成されている、請求項7に記載の反転装置。
【請求項9】
前記一対の回転ローラが接近離間可能である、請求項7に記載の反転装置。
【請求項10】
前記挿通口の幅方向の一端部が、前記反転フレームに形成された挿通開口を介して前記反転フレームの外周へ開口されており、
前記装置本体が、前記挿通口と連なる本体穴を有して前記反転フレームを回転可能に支持する支持フレームを有し、前記支持フレームの周方向の一箇所には前記本体穴と連なるとともに前記支持フレームの外周へ開口する本体開口が形成されており、
前記保持部に前記帯状部材を保持させるときの前記反転フレームの反転前角度においては前記挿通開口が前記本体開口からずれ、
前記反転フレームの前記反転前角度とは180°反転された反転角度においては前記挿通開口が前記本体開口と重なる、請求項6に記載の反転装置。
【請求項11】
前記装置本体が、前記送りライン上の使用位置と、前記送りラインから退避された退避位置との間で進退可能である、請求項5に記載の反転装置。
【請求項12】
前記保持部に前記帯状部材を保持させるときの前記反転フレームの反転前角度に対して前記反転フレームが180°反転された反転角度のとき、前記反転フレームを前記装置本体に対して回転不能に固定する回転ストッパを、更に備えた請求項5に記載の反転装置。
【請求項13】
前記反転フレームの正転を許容し逆転を阻止する逆回転阻止手段を、更に備えた請求項5に記載の反転装置。
【請求項14】
前記力付与部が、前記保持部から前記径方向へ離れて設けられた把持部を有するレバーを含む、請求項5~13の何れか1項に記載の反転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば老朽化した下水道管等の既設管の更生用の螺旋管となる長尺の帯状部材を生産する方法及び該方法に用いる反転装置に関し、特に、高剛性の帯状部材に好適な生産方法及び反転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
老朽化した下水道管等の埋設既設管の内壁に更生管をライニングすることによって、既設管を更生することは公知である。更生管としては、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂からなる長尺の帯状部材(プロファイル)を螺旋状に巻回してなる螺旋管状の更生管が知られている。帯状部材は、更生管の内周面となる平滑な主面部と、その反対側の裏面部とを有している。通常、裏面部には、複数条の補強リブが設けられており、隣接する補強リブどうし間にはリブ間凹溝が形成されている(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-032059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生産時における帯状部材は、通常、押出成形機によって連続的に押し出し成形された後、冷却水槽に通されて冷却され、水切り等を経て、巻取りドラムに巻き取られる。ここで、主面部が下向き、裏面部が上向きになるように押し出し成形した場合、リブ間凹溝に冷却工程の冷却水が溜まる。そこで、主面部が上向き、裏面部が下向きになるように押し出し成形すれば、リブ間凹溝に冷却水が溜まるのを防止でき、水切り、乾燥を容易化できる。
【0005】
一方、巻き取り工程では、帯状部材が製管時と同じ曲げ方向になるよう、主面部を巻取りドラムの径方向内側(内周側)へ向け、裏面部を径方向外側(外周側)へ向ける必要がある。また、巻取りドラムへの巻き付け時の作業性や、巻取りドラムの周辺設備との干渉回避等の観点からは、帯状部材を巻取りドラムの下側からではなく上側から巻き取ることが望ましい。そうすると、成形後冷却時までは主面部が上向き、裏面部が下向きであった帯状部材を、巻取りドラムに巻き取る前に反転させて、主面部を下向き、裏面部を上向きにする必要がある。
【0006】
既設管更生用の一般的な帯状部材であれば工具類を用いなくても人力だけで反転可能である。しかし、帯状部材の剛性によっては、反転作業における作業者の負担が大きい。
本発明は、かかる事情に鑑み、押し出し成形した帯状部材を巻取りドラムに巻き取る前に反転させる際、帯状部材が高剛性であっても小さい入力で反転操作可能にすることで、作業者等の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明方法は、既設管更生用の螺旋管となる帯状部材を生産する方法であって、
原料樹脂から前記帯状部材を押し出し成形する工程と、
前記押し出し成形された帯状部材を送りラインに沿って巻取りドラムへ向けて送る工程と、
前記送りラインに設置された反転装置の反転フレームの保持部に、前記帯状部材の送り方向の先端部を保持させる工程と、
前記保持部から前記反転フレームの径方向へ離れた力付与部への入力によって前記保持部を中心にして前記反転フレームを反転させる工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
当該方法によれば、反転装置を用いて帯状部材を捩じって反転させることができる。反転フレームは、人力で回転されてもよくモータ等の動力で回転されてもよい。人力で回転される場合であっても、保持部に直接力を加えるのではなく保持部から径方向へ離れた力付与部に加えることで、所要の入力を低減できる。したがって、帯状部材が高剛性であっても容易に反転させることができ、作業者の負担を軽減できる。
【0009】
好ましくは、前記反転された反転フレームを、回転規制手段によって回転不能とするか又は前記反転時の向きとは逆向きに回転されるのを阻止する。
これによって、反転工程後、作業者が反転フレームから手を離しても、帯状部材が元の向きに弾性復帰するのを防止できる。
【0010】
好ましくは、前記反転後の帯状部材の先端部を前記反転装置から解放させ、前記反転装置を前記送りラインから退避させる。
これによって、反転後、巻取りドラムへ送られる帯状部材が反転装置との接触により損傷するのを防止できる。
【0011】
好ましくは、先行巻取りドラムにおける帯状部材巻き取り量が所定になったとき、前記送りライン上で前記帯状部材を切断して、前記送りラインの下流側の先行帯状部材と上流側の後続帯状部材とに分割し、
前記後続帯状部材に対して前記反転装置による前記保持工程及び前記反転工程を行ない、前記反転工程後の後続帯状部材を後続巻取りドラムへ送る。
先行帯状部材は先行巻取りドラムに巻き取られる。
反転装置は、後続帯状部材の先端部を反転させる時だけ用いればよい。反転装置で反転させた後続帯状部材の先端部を後続巻取りドラムに巻き付けた後は、送りライン上の後続帯状部材が自ずから反転されて後続巻取りドラムへ導入される。
【0012】
本発明装置は、前記帯状部材の生産方法に用いる反転装置であって、
装置本体と、
前記装置本体に回転可能に支持された反転フレームと、
前記反転フレームの回転中心部から径方向へ離れて設けられ、前記反転フレームに回転力を付与するための力付与部と、
前記反転フレームの回転中心部に設けられ、前記回転力を前記帯状部材へ伝達可能に前記帯状部材を保持する保持部と
を備えたことを特徴とする。
当該反転装置によれば、力点となる力付与部と作用点である保持部との間の距離を取ることで、帯状部材を捩じるのに必要な入力を低減できる。したがって、帯状部材が高剛性であっても容易に反転させることができ、作業者の負担を軽減できる。
【0013】
好ましくは、前記保持部が、前記帯状部材を通す挿通口を含む。
帯状部材を挿通口に通した状態で、反転フレームを反転させることで、帯状部材を捩って反転させることができる。
【0014】
好ましくは、前記保持部が、平行に対向する一対の回転ローラを含み、これら回転ローラの間に前記挿通口が画成されている。
これによって、帯状部材を挿通口に出し入れる工程や反転フレームを反転させる工程において、帯状部材が保持部と接触して摺動しようとしたときは、回転ローラが回転されることで、帯状部材と保持部との間に働く摩擦力を低減できる。これによって、帯状部材の損傷を抑制できる。
【0015】
好ましくは、前記一対の回転ローラの各々の外周部が軟質材によって構成されている。
これによって、帯状部材の損傷を一層確実に抑制又は防止できる。
【0016】
好ましくは、前記一対の回転ローラが接近離間可能である。
これによって、帯状部材の厚みに合わせて挿通口の開口高さを調節でき、一対の回転ローラで帯状部材を確実に保持できる。
【0017】
好ましくは、前記挿通口の幅方向の一端部が、前記反転フレームに形成された挿通開口を介して前記反転フレームの外周へ開口されており、
前記装置本体が、前記挿通口と連なる本体穴を有して前記反転フレームを回転可能に支持する支持フレームを有し、前記支持フレームの周方向の一箇所には前記本体穴と連なるとともに前記支持フレームの外周へ開口する本体開口が形成されており、
前記保持部に前記帯状部材を保持させるときの前記反転フレームの反転前角度においては前記挿通開口が前記本体開口からずれ、
前記反転フレームの前記反転前角度とは180°反転された反転角度においては前記挿通開口が前記本体開口と重なる。
これによって、帯状部材を挿入口に挿入する工程では、挿入口の外周を全周にわたって閉じた環状にできる。反転によって、挿入口の幅方向の一端部が、挿入開口及び本体開口を通して反転フレームの外方へ開放される。したがって、反転工程後の帯状部材を挿入開口及び本体開口から反転フレームの外へ解放できる。
【0018】
好ましくは、前記装置本体が、前記送りライン上の使用位置と、前記送りラインから退避された退避位置との間で進退可能である。
これによって、反転装置で帯状部材を反転させるときだけ反転装置を使用位置にし、使用しないときは反転装置を退避させておくことで、帯状部材と反転装置との干渉を回避でき、帯状部材が反転装置との接触によって損傷するのを防止できる。
【0019】
好ましくは、前記反転装置は、前記保持部に前記帯状部材を保持させるときの前記反転フレームの反転前角度に対して前記反転フレームが180°反転された反転角度のとき、前記反転フレームを前記装置本体に対して回転不能に固定する回転ストッパを、更に備えている。
これによって、反転操作後の反転フレームを回転不能に固定できる。したがって、作業者が反転フレームから手を離しても、反転された帯状部材が弾性力によって元の向きに戻るのを防止できる。
【0020】
好ましくは、前記反転装置は、前記反転フレームの正転を許容し逆転を阻止する逆回転阻止手段を、更に備えている。
これによって、反転操作後の反転フレームの逆転を阻止できる。したがって、作業者が反転フレームから手を離しても、帯状部材が弾性力によって元の向きに戻るのを防止できる。
【0021】
好ましくは、 前記力付与部が、前記保持部から前記径方向へ離れて設けられた把持部を有するレバーを含む。
これによって、作業者がレバーの把持部を把持して反転フレームを回すことで、帯状部材を捩じって反転させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、押し出し成形した帯状部材を巻取りドラムに巻き取る前に反転させる際、帯状部材が高剛性であっても小さい入力で反転操作を行なうことができ、作業者等の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る帯状部材生産装置の側面図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿う、帯状部材の断面図である。
図3図3は、前記帯状部材生産装置の反転装置を、反転前角度の反転フレームの保持部に帯状部材を保持させた状態で示す正面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿う、前記反転装置の側面断面図である。
図5図5は、図3のV-V線に沿う、前記反転装置の側面断面図である。
図6図6は、前記反転フレームを反転させる途中の前記反転装置の正面図である。
図7図7は、前記反転フレームを反転角度にした状態の前記反転装置の正面図である。
図8図8(a)は、前記反転装置の回転ストッパをストッパ解除位置の状態で示す、図7のVIII-VIII線に沿う側面断面図である。図8(b)は、前記回転ストッパをストッパ作動位置の状態で示す、図7のVIII-VIII線に沿う側面断面図である。
図9図9は、本発明の第2実施形態に係る反転装置を、反転前角度の反転フレームの保持部に帯状部材を保持させた状態で示す正面図である。
図10図10は、前記第2実施形態に係る反転装置を、反転フレームを反転角度にした状態で示す正面図である。
図11図11(a)は、前記第2実施形態に係る反転装置の逆回転阻止手段を反転角度直前の状態で示す底面断面図である。図11(b)は、前記逆回転阻止手段を反転角度の状態で示す、図10のXI-XI線に沿う底面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態(図1図8
図1は、既設管更生用の帯状部材10(プロファイル)を生産する様子を示したものである。図2に示すように、帯状部材10は、平坦な帯板部11と、リブ12と、雌雄の嵌合部13,14を有し、図2の紙面と直交する方向へ長く延びている。平帯状の帯板部11によって平滑な主面部10cが構成されている。帯板部11の幅方向の両端部に嵌合部13,14がそれぞれ設けられている。複数のリブ12が帯板部11から裏側(図2おいて下側)へ突出されている。リブ12は、四角形かつ中空の断面形状になっている。隣接するリブ12どうし間にリブ間隙間15が形成されている。これらリブ12及びリブ間隙間15によって、非平滑な裏面部10dが構成されている。
【0025】
帯状部材10の材質は、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂(原料樹脂19)である。帯状部材10は、剛性が高く、人力のみで捩じって反転させるのが困難である、
なお、リブ12の断面形状は、中空の四角形に限らず、T字、I字、L字等であってもよい。帯状部材10が鋼製の補強材を含んでいてもよい。
【0026】
詳細な図示は省略するが、帯状部材10は、例えば老朽化した下水道管等の既設管の更生に用いられる。このとき、主面部10cが内周側(径方向内側)、裏面部10dが外周側(径方向外側)を向くように、帯状部材10が螺旋状に巻回されて嵌合部13,14どうしが嵌合される。これによって、帯状部材10が螺旋管状の更生管に製管される。主面部10cによって更生管の内周面が構成される。裏面部10dによって更生管の外周面が構成される。更生管が既設管の内壁にライニングされることによって、既設管が更生される。
【0027】
図1に示すように、帯状部材10の生産装置1は、押出成形機2と、冷却水槽3と、水切り機4と、引取機5と、切断機6と、反転装置7と、巻取りドラム8を備えている。これらが、送りライン9に沿って上流側から順番に並べられている。図示は省略するが、例えば引取機5と切断機6との間には、雌嵌合部13へのホットメルト接着剤塗布機、雄嵌合部14の側部への穴開け機等の特殊処理部が設けられていてもよい。切断機6は、巻取りドラム8から送りライン9の上流側へ数メートル程度離れて配置されている。
【0028】
図1に示すように、切断機6と巻取りドラム8との間に反転装置7が配置されている。図3に示すように、反転装置7は、装置本体20と、反転フレーム30を備えている。装置本体20は、台座21と、支柱22と、支持フレーム40を含む。台座21は、床面Fに敷設されたレール24上に移動可能に搭載されている。レール24は、送りライン9と直交する向き(図1において紙面直交方向)へ延びている。台座21がレール24に沿って移動されることで、装置本体20ひいては反転装置7が、送りライン9上の使用位置と、送りライン9から例えば図1の紙面奥側へ退避された退避位置との間で進退可能である。
【0029】
図3及び図4に示すように、台座21上に支柱22が立設されている。支柱22の上端部に支持フレーム40が設けられている。支持フレーム40は、本体穴43及び本体開口44を有するC字環状板41によって構成されている。支持フレーム40は、送りライン9と交差するように鉛直に立てられて、支柱22に支持されている。支持フレーム40の中央部に円形の本体穴43が形成されている。支持フレーム40の一側部すなわち周方向の一箇所(図3において左側部)に、切り欠き状の本体開口44が形成されている。本体開口44は、本体穴43と連なるとともに支持フレーム40の外周へ開口されている。
【0030】
支持フレーム40には複数の回転支持ガイド42が設けられている。複数の回転支持ガイド42は、互いに支持穴43を囲むように、支持フレーム40の周方向に間隔を置いて配置されている。
【0031】
図5に示すように、各回転支持ガイド42は、環状のガイドコロ42aと、回転軸部材42bを含む。ガイドコロ42aは、支持フレーム40における送りライン9の上流側(図3において紙面手前側)を向く前側面41aに配置されている。回転軸部材42bは、支持フレーム40に対して直交している。回転軸部材42bによって、ガイドコロ42aが支持フレーム40に回転自在に取り付けられている。環状のガイドコロ42aの外周面には、環状溝42cが形成されている。
【0032】
図3及び図4に示すように、装置本体20の支持フレーム40に反転フレーム30が回転可能に支持されている。反転フレーム30は、外周が円形のC字環状円板31によって構成されている。該反転フレーム30が、鉛直に立てられて、支持フレーム40の前側面41aに重ねられている。反転フレーム30の外周に沿って複数の回転支持ガイド42が配置されている。各回転支持ガイド42の環状溝42cに反転フレーム30の外周部が挿し入れられている。これら回転支持ガイド42によって、反転フレーム30が、当該反転フレーム30の中心軸線まわりに回転可能に支持されている。
【0033】
反転フレーム30を構成するC字環状円板31の中央部には、通し穴33が形成されている。通し穴33は、反転フレーム30の径方向へ延びている。通し穴33の一端部(図3において左端部)が、反転フレーム30の外周へ達して開口されることで、挿通開口34となっている。通し穴33の他端部(図3において右端部)の縁には、保護材36が設けられている。保護材36の材質としては、ウレタン樹脂等の発泡樹脂、ゴム等の弾性材が挙げられる。
【0034】
反転フレーム30の回転中心部には、回転力を帯状部材10へ伝達可能に帯状部材10を保持するための保持部50が設けられている。保持部50は、一対の回転ローラ51を含む。各回転ローラ51は、筒状のローラ部材51aと、ローラ軸51cを含む。ローラ部材51aひいては回転ローラ51の外周部は、帯状部材10より柔軟性の高い軟質材56によって構成されている。軟質材56としては、ウレタン樹脂等の発泡樹脂、ゴム等の弾性材が挙げられる。
【0035】
ローラ部材51aの中心穴にローラ軸51cが通されている。各回転ローラ51のローラ軸51cの両端部が、軸受部52を介して反転フレーム30に回転可能に支持されている。各回転ローラ51の回転軸線L51は、通し穴33の縁に沿って延びている。一対の回転ローラ51は、各々の回転軸線L51と直交する方向へ互いに離間して、平行に対向されている。
【0036】
一対の回転ローラ51の間に挿通口53が画成されている。挿通口53は、通し穴33及び本体穴43と連なっている。図4に示すように、挿通口53に帯状部材10が通される。言い換えると、保持部50は、帯状部材10を通す挿通口53を含む。挿通口53の幅方向(図3において左右方向)は、回転軸線L51と平行に向けられている。挿通口53の幅寸法ないしは回転ローラ51の軸長は、帯状部材10の幅と同等又はそれ以上である。挿通口53の高さないしは一対の回転ローラ51どうし間の距離は、帯状部材10の厚みより少し大きい。挿通口53の幅方向の一端部(図3において左端部)は、挿通開口34を介して反転フレーム30の外周へ開口されている。
【0037】
図3に示すように、反転フレーム40が反転前角度のとき、挿通開口34は、本体開口44からずれている。好ましくは、本体開口44に対して180°反対側に位置している。このため、挿通開口34が反転フレーム40によって塞がれている。
【0038】
図7に示すように、反転フレーム40が反転前角度から180°反転された反転角度のとき、挿通開口34は、本体開口44と重なって互いに連通している。これによって、挿通口53の挿通開口34側の端部が、挿通開口34及び本体開口44を介して幅方向の外側へ開放されている。
【0039】
図3に示すように、反転フレーム30には、回転力を付与するための一対のレバー37(力付与部)が設けられている。一対のレバー37は、保持部50を挟んで反転フレーム30の両側に設けられている。各レバー37は、反転フレーム30の回転軸線(図3の紙面直交方向)及び回転ローラ51の回転軸線L51と直交する反転フレーム30の径方向(図3において上下方向)に沿って、保持部50から離れるように反転フレーム30から延び出ている。レバー37の先端部には、作業者が把持するための把持部37cが設けられている。反転フレーム30の中心から把持部37cまでの距離は、好ましくは30cm以上である。図3及び図7に示すように、反転フレーム40が反転前角度及び反転角度のとき、一対のレバー37が上下に対向される。反転前角度(図3)のとき上側に配置されるレバー37を「レバー37A」と表記し、反転角度(図7)のとき上側に配置されるレバー37を「レバー37B」と表記する。
【0040】
図3に示すように、反転フレーム30の所定位置には、回転ストッパ38(回転規制手段)が設けられている。図8に模式的に示すように、回転ストッパ38は、ツマミ38aと、ツマミ38aに連結されたピン38bと、ツマミ38aをストッパ解除位置とストッパ作動位置との間で案内する案内機構38cを含む。図8(a)に示すように、ツマミ38aがストッパ解除位置のとき、ピン38bがボディ38d内に引っ込んでいる。図8(b)に示すように、ツマミ38aをストッパ作動位置にすると、バネ38eによってピン38bがボディ38dから支持フレーム40側へ突出される。
【0041】
図3及び図8に示すように、支持フレーム40には、ストッパ係止穴48が形成されている。図3に示すように、反転フレーム40が反転前角度のとき、回転ストッパ38は、ストッパ係止穴48に対して180°反対側に配置されている。図7に示すように、反転フレーム40が反転角度のとき、回転ストッパ38がストッパ係止穴48と同一角度に配置され、正面投影視で重なる。
【0042】
帯状部材10は、次のようにして生産される。
<押出成形工程>
図1に示すように、原料樹脂19が押出成形機2に投入されて加熱溶融され、帯状部材10が押出成形される。帯状部材10は、主面部10cが上向き、裏面部10dが下向きになるように成形されて(図2)、その向きのままで、押出成形機2から送りライン9へ連続的に送り出される。
【0043】
<冷却工程>
押出成形機2から出た帯状部材10は、冷却水槽3に通されることによって冷却、硬化される。裏面部10dを下向きにしておくことによって、リブ間隙間15に冷却水槽3の冷却水が溜まるのを防止できる。
【0044】
<水切り・乾燥工程>
冷却後の帯状部材10は、水切り機4に通され、冷却工程で付着した冷却水が水切りされて乾燥される。リブ間隙間15に冷却水が溜まらないよう裏面部10dが下向きにされているため、水切り及び乾燥の負荷を低減できる。
【0045】
<送り工程>
その後、帯状部材10は、引取機5によって引き取られ、送りライン9に沿って巻取りドラム8へ向けて送られる。
【0046】
<定常反転工程>
帯状部材10は、巻取りドラム8の手前で捩じられ、主面部10cが下向き、裏面部10dが上向きにされる。
なお、帯状部材10の送り方向の先端部が巻取りドラム8に巻き取られた以降の定常時には、反転装置7等で外力を加えなくても、帯状部材10が自ずと反転されて、主面部10cが下向き、裏面部10dが上向きになる。
定常時、反転装置7は、送りライン9から離れた退避位置に配置しておく。
【0047】
<巻取り工程>
反転された帯状部材10が、巻取りドラム8の上端部へ導入される。これによって、主面部10cが巻取りドラム8の径方向内側へ向けられ、裏面部10dが巻取りドラム8の径方向外側へ向けられた状態で、帯状部材10が巻取りドラム8に巻き取られる。
帯状部材10を巻取りドラム8の下側からではなく上側から巻き取ることで、帯状部材10が巻取りドラム8の周辺の制御盤等の設備Bと干渉するのを回避でき、帯状部材10が周辺設備Bと接触して損傷するリスクを低減できる。
【0048】
<切断工程>
先行巻取りドラム8Aにおける帯状部材10の巻き取り量が許容上限近くの所定量になったとき、送りライン9上の帯状部材10が切断機6によって切断される。これによって、帯状部材10が、送りライン9の下流側の先行帯状部材10Aと、上流側の後続帯状部材10Bとに分割される。
【0049】
<ドラム交換工程>
図1の二点鎖線に示すように、先行帯状部材10Aが巻き取られて満杯になった先行巻取りドラム8Aは、送りライン9から保管場所又は更生施工現場へ移送される。送りライン9の下流端には、空の後続巻取りドラム8Bが配置される。
【0050】
<前進工程>
ドラム交換と前後して、反転装置7が退避位置から前進されて、送りライン9上の使用位置に配置される。反転フレーム30は、反転前角度(図3)に位置される。回転ストッパ38のツマミ38aは、ストッパ解除位置(図8(a))に位置される。
<保持工程>
続いて、前記切断によって形成された後続帯状部材10Bの送り方向の先端部10eが、反転装置7の反転フレーム30に保持される。具体的には、作業者が、帯状部材10Bの先端部10eを持って、反転フレーム20の挿通口53に通す。このとき、帯状部材10Bと回転ローラ51とが接触する。帯状部材10Bの挿し込みに伴って回転ローラ51が回転される。これによって、帯状部材10Bと保持部50との間の摩擦を低減でき、帯状部材10Bの損傷を防止できる。回転ローラ51の外周面は軟質材56によって構成されているため、帯状部材10Bの損傷を一層確実に防止できる。
【0051】
<反転工程>
続いて、帯状部材10Bを保持した状態の反転フレーム30が、帯状部材10Bごと反転される。具体的には、作業者が、一対のレバー37の把持部37cを把持して、反転フレーム30を図3の円弧矢印aに示すように回す。すなわち、レバー37(力付与部)への入力によって保持部50を中心にして反転フレーム30を反転前角度から反転角度へ反転させる。これによって、図6に示すように、回転力が保持部50から帯状部材10Bへ伝達され、保持部50と共に帯状部材10Bが捩じられる。作業者が帯状部材10Bを直接把持して人力のみで捩じるのではなく、反転装置7を用いて捩じることで、作業者の負担を軽減できる。帯状部材10Bを捩じるためにレバー37に加えるべき入力は、力点となるレバー37と作用点ないしは支点である保持部50との離間距離すなわちレバー37の長さに反比例する。したがって、レバー37をある程度の長さに形成しておくことによって、高剛性の帯状部材10Bであっても容易に捩じることができる。これによって、作業者の負担を確実に軽減できる。
【0052】
このようにして、図7に示すように、反転フレーム30を反転角度まで回転させる。これによって、保持部50における帯状部材10Bが180°以下の角度だけ捩じられ、概略、主面部10cが下向き、裏面部10dが上向きになるよう反転される。
【0053】
なお、図7に示すように、挿通口53の高さが帯状部材10Bの厚みより大きい分だけ、反転後の帯状部材10Bの幅方向が挿通口53の幅方向に対して斜めになり、帯状部材10Bの捩じり角度が反転フレーム30の回転角度より小さくなる。このため、主面部10cは斜め下へ向けられ、裏面部10dは斜め上へ向けられている。
帯状部材10Bがちょうど180°反転されて主面部10cが真下を向き裏面部10dが真上を向くまで、反転フレーム30を180°以上回転させた角度を反転角度としてもよい。
【0054】
<回転固定工程>
図7に示すように、反転フレーム30が反転角度にされることで、回転ストッパ38がストッパ係止穴48と正面投影視で一致される。図8(b)に示すように、続いて作業者は、回転ストッパ38のツマミ38aをストッパ作動位置に位置させる。すると、ピン38bが、バネ38eのバネ力によって支持フレーム40側へ突出されてストッパ係止穴48に嵌る。これによって、反転フレーム30が支持フレーム40に対して回転不能に固定されて反転位置に保持される。したがって、作業者がレバー37から手を離しても、帯状部材10が弾性復帰するのを阻止できる。
【0055】
<反転装置退避工程>
図7に示すように、反転フレーム30が反転角度にされることで、挿通開口34が本体開口44と重なる。
前記回転固定工程後、作業者は、帯状部材10Bの反転された先端部10eを掴んで元の角度へ戻らないよう保持したうえで、反転装置7を、レール24に沿って、反転角度の反転フレーム30の挿通開口34から保護材34へ向かう方向(図7において左方)へ動かす。これによって、帯状部材10Bが、挿通口53から挿通開口34及び本体開口44を経て反転装置7の外側へ抜け出る。したがって、帯状部材10Bが反転装置7から解放される。反転装置7は、送りライン9から退避されて、退避位置に配置される。
【0056】
<先端巻き付け工程>
その後、作業者は、帯状部材10Bの反転された先端部10eを元の角度に戻らないよう把持しながら、引取機5の引き取りに合わせた速度で後続巻取りドラム8Bの上端部へ向けて案内する。帯状部材10Bが元の角度に戻らないように把持するための力は、前記反転工程で帯状部材10Bに加えるべき捩じり力よりも小さく、作業者の負担が小さい。また、先に反転装置7を退避させておくことで、帯状部材10Bが反転装置7と接触して損傷するのを回避できる。帯状部材10Bの反転された先端部10eが後続巻取りドラム8Bに達したら、反転された向きのまま、後続巻取りドラム8Bに上側から巻き付ける。
【0057】
これによって、後続帯状部材10Bを、先行帯状部材10Aと同様に、主面部10cが巻取りドラム8Bの径方向内側へ向けられ、裏面部10dが巻取りドラム8Bの径方向外側へ向けられた状態で巻取りドラム8Bに巻き取ることができる。したがって、帯状部材10Bが螺旋管状の更生管に製管されるときと同じ曲げ方向の巻き癖を帯状部材10Bに付与できる。
また、帯状部材10Bの先端部10eを巻取りドラム8に下側からではなくて上側から巻き付けることで、巻き付けの作業性を確保できる。
【0058】
次に本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態(図9図11)>
図9及び図10に示すように、第2実施形態の反転装置7Bにおいては、回転規制手段として、回転ストッパ38(図3図8)に代えて、逆回転阻止手段60が設けられている。逆回転阻止手段60は、支持フレーム40及び反転フレーム30のうち一方に設けられた逆回転阻止モジュール61と、他方のフレームに設けられた係止ピン62を含む。
【0059】
ここでは、支持フレーム40の例えば下側部に逆回転阻止モジュール61が設けられている。図11(a)及び同図(b)に示すように、逆回転阻止モジュール61は、支持フレーム40の前側面41aに設けられたモジュール本体61aと、該モジュール本体61aから出没ないしは回転可能に設けられた作動片63と、作動片63を突出方向へ付勢するバネ64を含む。
【0060】
図9に示すように、係止ピン62は、反転フレーム30における支持フレーム40と面する裏側面に設けられている。反転フレーム30が反転前角度のとき、係止ピン62は、逆回転阻止モジュール61から180°離れて配置されている。
【0061】
なお、複数の係止ピン62を反転フレーム30の周方向に間隔をおいて設けてもよい。そうすることで、反転フレーム30を各角度において反転を阻止できる。
逆回転阻止モジュール61が反転フレーム30に設けられ、係止ピン62が支持フレーム40に設けられていてもよい。
【0062】
図9に示すように、さらに反転装置7Bにおいては、各回転ローラ51の軸受固定部54を反転フレーム30に止めるボルト孔54aが長孔になっている。ボルト孔54aの長軸方向は、回転ローラ51の回転軸線L51に対して直交している。したがって、回転ローラ51を回転軸線L51と直交する方向へ位置調節できる。ひいては、一対の回転ローラ51を接近離間させることができる。このため、一対の回転ローラ51間の挿通口53の開口高さを帯状部材10の厚みに合わせて調節できる。これによって、挿通口53に通した帯状部材10を一対の回転ローラ51で適度に挟み付けることができる。
【0063】
図9の円弧矢印aに示すように、反転フレーム30を反転前角度から反転角度へ向けて例えば時計まわりに正転させていくと、これに伴って、帯状部材10が捩じられる。このとき、帯状部材10の幅方向を回転ローラ51の回転軸線L51の方向と略一致させることができる。
【0064】
図11(a)に示すように、やがて係止ピン62が作動片63の斜面部63aに乗り上げ、作動片63をバネ64に抗して引っ込ませる向きへ押す。作動片63が引っ込むことによって、反転フレーム30の正転が許容される。
【0065】
図10及び図11(b)に示すように、反転フレーム30が反転角度に達すると、係止ピン62が作動片63の斜面部63aを乗り越えることで、作動片63がバネ64によって前方(図11(b)において上方)へ突出される。これによって、係止ピン62が作動片63の端面63bに係止される。この結果、反転フレーム30が図10において反時計まわりに逆転するのを阻止できる。したがって、作業者がレバー37から手を離しても、帯状部材10が元の向きへ弾性復帰するのを阻止できる。
【0066】
反転フレーム30が反転角度に達することで、帯状部材10が略180°捩じられて、主面部10cが略真下を向き、裏面部10dが略真上を向くようにすることができる。
その後、帯状部材10反転装置7Bから解放して巻取りドラム8へ送るとともに、反転装置7Bを送りライン9から退避させる。退避させた反転装置7Bの反転フレーム30を反転角度(図10)から元の反転前角度(図9)へ戻すときは、図10において時計まわりに反転フレーム30を180°正転させる。
【0067】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、反転フレーム30は手動で回転されるものに限らない。モータ等の動力源によって反転フレーム30が回転されるようにしてもよい。反転フレーム30における動力源の動力が入力される力付与部を回転中心部の保持部50から離して設けることによって、所要動力を小さくできる。
反転フレームは、回転中心部に設けられた保持部と、それから径方向へ離れた力付与部があればよく、反転フレームの形状は円形に限らない。
第1実施形態の回転ストッパ38(図8)と、第2実施形態の一対の回転ローラ51の接近離間機構(図9)とを組合せてもよい。
第1実施形態の回転ローラ機構(図3)と、第2実施形態の逆回転阻止手段60とを組合せてもよい。
第2実施形態の一対の回転ローラ51の間隔調節機構(図9)を、第1実施形態(図3)にも適用してもよい。
保持部50は、必ずしも回転ローラ51を有していなくてもよい。通し穴33だけで帯状部材10のための挿通口が構成されていてもよい。通し穴33の縁に保護材37と同様の柔軟材質の保護材が設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、例えば、老朽化した下水道管の更生技術に適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 生産装置
2 押出成形機
3 冷却水槽
4 水切り機
6 切断機
7 反転装置
7B 反転装置
8 巻取りドラム
8A 先行巻取りドラム
8B 後続巻取りドラム
9 送りライン
10 帯状部材
10A 先行帯状部材
10B 後続帯状部材
10c 主面部
10d 裏面部
15 リブ間隙間
19 原料樹脂
20 装置本体
30 反転フレーム
34 挿通開口
36 保護材
37,37A,37B レバー(力付与部)
38 回転ストッパ(回転規制手段)
40 支持フレーム
42 回転支持ガイド
44 本体開口
48 ストッパ係止孔
50 保持部
51 回転ローラ
53 挿通口
54a ボルト孔(長孔)
56 軟質材
60 逆回転阻止手段(回転規制手段)
61 逆回転阻止モジュール
62 係止ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11