(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162099
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】フィン成形方法
(51)【国際特許分類】
B21D 53/04 20060101AFI20241114BHJP
B21D 13/04 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B21D53/04 Z
B21D13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077301
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】翁長 祥
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 謙
(57)【要約】
【課題】多段成形ローラ装置の段数を削減し、金属シートを凹凸フィン形状に成形できるフィン成形方法を提供する。
【解決手段】本発明のフィン成形方法は、ローラ円筒面に形成された凹凸を有し帯状の金属シートを挟んだ両側で対をなす複数のローラ対により金属シートを押圧し、長手方向に延びる山及び谷を短手方向に沿って交互に成形する。ローラ対は回転軸が短手方向に平行で、搬送方向に沿って搬入側から順に配置される。成形前の金属シートの短手方向の一端からの距離及び他端からの距離が各一定に保たれた点を基準点とし、搬送に伴って基準点が連続的に形成する長手方向の線を基準線とすると、寄せステップS1では基準点及び基準線に沿って金属シートとローラ対の間にクリアランスなしに押圧し、基準点以外では基準線に平行な線に沿ってクリアランスを保って押圧し、基準線を中心に段階的に幅寄せする。フィン成形ステップS2では山及び谷を成形する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ円筒面に形成された凹凸を有しかつ帯状の金属シート(7)を挟んだ両側で対をなす一組のローラ対を構成単位とする複数のローラ対(11、12、13、14、25、26、27)により、搬送される前記金属シートを両側から押圧し、搬送方向に平行な前記金属シートの長手方向(Dy)に延びる山及び谷(71)を前記金属シートの短手方向(Dx)に沿って交互に成形するフィン成形方法であって、
前記複数のローラ対は回転軸が前記短手方向に平行であり、搬送方向に沿って配置されており、前記複数のローラ対のうち第1群のローラ対(11、12、13、14)は搬送方向の搬入側から順に配置されており、
成形前の前記金属シートについて、短手方向の一端からの距離及び他端からの距離が各一定に保たれた一点を基準点(P)とし、搬送される前記金属シートの移動に伴って前記基準点が連続的に形成する長手方向の線を基準線(PP)とすると、
前記第1群のローラ対により、前記金属シートの前記基準点については前記基準線に沿って前記金属シートと各前記ローラ対との間にクリアランスなしに押圧し、かつ前記金属シートの前記基準点以外については前記基準線に平行な線に沿って前記金属シートと各前記ローラ対との間にクリアランスを保って押圧し、前記金属シートを段階的に短手方向の両側から前記基準線を中心に幅寄せする寄せステップ(S1)と、
前記寄せステップの後、前記複数のローラ対のうち前記第1群のローラ対以外である第2群のローラ対(25、26、27)により、幅寄せ後の前記金属シートを段階的に押圧し、前記山及び谷を成形するフィン成形ステップ(S2)と、
を含むフィン成形方法。
【請求項2】
前記寄せステップにおいて、前記金属シートと前記第1群のローラ対のローラ円筒面との間のクリアランスは、ローラ円筒面の回転軸からの径方向の距離に応じて調整されている請求項1に記載のフィン成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィン成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィンチューブ型熱交換器等のフィン成形方法が知られている。例えば、特許文献1は「コイル材をローラ対により曲げて、平坦部と、該平坦部から所定ピッチで互いに平行に陥没する複数の陥没条溝部とを成形する予備曲げ工程」を含む「コルゲートフィンの製造方法」である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、シート状の金属材料を少なくとも10段以上の多段成形ローラ装置(例えば、本願の
図8、特許文献1の
図3「予備成形用のロール成形機」等)に通し、凹凸フィン形状を成形していた(特許文献1の
図4)。
【0005】
成形の際には材料内に複合的な抵抗力が発生し、しわや破断の原因となる。少ない段数で一気に成形しようとすると、材料内に生じる抵抗力が大きくなり、品質が悪化する。このため1段につき1山(1谷)ずつ成形しなければならず、多段成形ローラ装置の段数が削減できなかった。
【0006】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、多段成形ローラ装置の段数を削減し、金属シートを凹凸フィン形状に成形できるフィン成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ローラ円筒面に形成された凹凸を有しかつ帯状の金属シート(7)を挟んだ両側で対をなす一組のローラ対を構成単位とする複数のローラ対(11、12、13、14、25、26、27)により、搬送される金属シートを両側から押圧し、搬送方向に平行な金属シートの長手方向(Dy)に延びる山及び谷(71)を金属シートの短手方向(Dx)に沿って交互に成形するフィン成形方法であり、寄せステップ(S1)と、フィン成形ステップ(S2)とを含む。
【0008】
複数のローラ対は回転軸が短手方向に平行であり、搬送方向に沿って配置されている。複数のローラ対のうち第1群のローラ対(11、12、13、14)は搬送方向の搬入側から順に配置されている。
【0009】
ここで、成形前の金属シートについて、短手方向の一端からの距離及び他端からの距離が各一定に保たれた一点を基準点(P)とし、搬送される金属シートの移動に伴って基準点が連続的に形成する長手方向の線を基準線(L)とする。
【0010】
このとき、寄せステップでは、第1群のローラ対により、金属シートの基準点については基準線に沿って金属シートと各ローラ対との間にクリアランスなしに押圧し、かつ金属シートの基準点以外については基準線に平行な線に沿って金属シートと各ローラ対との間にクリアランスを保って押圧し、金属シートを段階的に短手方向の両側から基準線を中心に幅寄せする。
【0011】
フィン成形ステップでは、寄せステップの後、複数のローラ対のうち前記第1群のローラ対以外である第2群のローラ対(25、26、27)により、幅寄せ後の金属シートを段階的に押圧し、山及び谷を成形する。
【0012】
発明者らは、上記の課題に鑑み、従来技術では寄せと成形とを一緒に行っているために材料内に生じる抵抗力が大きくなることに着目し、寄せと成形とを分離することで段数を削減できないか検討した。
【0013】
その結果、本発明のフィン成形方法では、材料の短手方向への縮小に伴って生じる引込抵抗と、山及び谷の成形に伴って生じる抵抗とを分離し、寄せステップで金属シートの幅寄せを完了し、フィン成形ステップで山及び谷の成形を行うことにより、しわや破断の品質不良を低減しながら多段成形ローラ装置の段数を削減し、かつ金属シートを凹凸フィン形状に成形することができた。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】一実施形態のフィン成形方法の概要を模式的に示す(a)成形前、(b)寄せステップ後、(c)フィン成形ステップ中の金属シートの斜視図。
【
図4】一実施形態のフィン成形方法を段階的に示す模式図。
【
図5】一実施形態の第1群のローラ対を例示する図。
【
図6】一実施形態の第2群のローラ対を例示する図。
【
図7】一実施形態のフィン成形方法のフローチャート。
【
図8】比較例のフィン成形装置(多段成形ローラ装置)の平面図。
【
図9】比較例のフィン成形方法を段階的に示す模式図。
【
図10】フィン成形に伴って材料内に生じる応力を(a)比較例、(b)比較例で段数を削減した場合について模式的に示す参考図。
【
図11】フィン成形に伴って材料内に生じる応力を一実施形態について模式的に示す参考図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態のフィン成形方法Sを図面に基づいて説明する。なお、初出の符号付き名称は「」に入れて示す。また複数の符号が一続きの連続番号からなるときは読みやすさに鑑み、適宜「~」で略記する。
【0016】
<一実施形態>
一実施形態の「フィン成形方法S」は、「ローラ円筒面C」に形成された凹凸を有しかつ帯状の「金属シート7」を挟んだ両側で対をなす一組のローラ対を構成単位とする「複数のローラ対11、12、13、14、25、26、27」により、搬送される金属シート7を両側から押圧することにより、「搬送方向Da」に平行な金属シート7の「長手方向Dy」に延びる「山及び谷71」を、金属シート7の「短手方向Dx」に沿って交互に成形するものであり、「寄せステップS1」及び「フィン成形ステップS2」を含む。
【0017】
複数のローラ対11~14、25~27は回転軸が短手方向Dxに平行であり、搬送方向Daに沿って配置されており、複数のローラ対11~14、25~27のうち「第1群のローラ対11、12、13、14」は搬送方向Daの搬入側から順に配置されている。
【0018】
一実施形態のフィン成形方法Sに用いる「フィン成形装置100」を
図1に示す。フィン成形装置100は、複数のローラ対11~14、25~27と、「シート搬送機107」と、「ローラ駆動装置109」とを含む。一実施形態では「複数の」ローラ対は7個のローラ対である。ローラ対の形状はそれぞれ異なるが、
図1では略記し、後述する。
【0019】
金属シート7は、フィン成形装置100を用いるフィン成形方法Sによって「フィンプレート72」に成形される。以下、短手方向Dxと長手方向Dyとがなす水平面との直交方向を「上下方向Dz」とし、フィンプレート72の短手方向Dxの長さを「幅Lx」とし、フィンプレートの上下方向Dzの長さ(=山及び谷71の上下方向Dzの長さ)を「高さLz」とする。
【0020】
シート搬送機107は、例えば等幅でロール状に巻かれた金属シート7を送出及び搬送する装置である。一実施形態では、金属シート7は「シート状アルミ7」である。シート搬送機107は、搬送方向Daに沿って
図1の左から右にシート状アルミ7を搬送する。
【0021】
7個のローラ対を含む複数のローラ対11~14、25~27は、「第1群のローラ対11、12、13、14」と、「第2群のローラ対25、26、27」とを含む。後述するように第1群のローラ対11~14は寄せステップS1を行い、第2群のローラ対25~27はフィン成形ステップS2を行う。
【0022】
詳細説明の前にフィン成形方法Sの概要を述べる。段階ごとのシート状アルミ7の成形過程を
図2に示す。
図2(a)は簡略に示したローラ対とともに示す「未成形シート状アルミ70」である。ここではローラ対11がローラ円筒面C、「2つの回転軸R111、R112」及び「凹凸V111、V112」とともに示されている。
【0023】
なお、各ローラ対には個別に符号が付されているが、以下では適宜これらを一般化し、「ローラ対nn」と表記する(nnは各ローラ対の符号)。一実施形態では、各ローラ対nnの「2つの回転軸Rnn1、Rnn2」(nnは各ローラ対の符号)を含む平面は、未成形シート状アルミ70を含むシート状アルミ7と直交する。
【0024】
図2(b)は未成形シート状アルミ70が寄せステップS1で幅寄せされた後のシート状アルミ7である。このように、寄せステップS1は、シート状アルミ7を短手方向Dxに幅寄せすることにより、フィン成形ステップS2を行う前に、予めフィン成形ステップS2で完成されるフィンプレート72の幅Lxに合わせておくためのステップである。
【0025】
図2(c)はフィン成形ステップS2の途中(後述する一群の「個別押圧ステップ」のひとつである「押圧ステップS25」の後)のシート状アルミ7である。このように、フィン成形ステップS2は、寄せステップS1で予めフィンプレート72の幅Lxに幅寄せされたシート状アルミ7を、段階的に上下方向Dzに沿って押圧することで山及び谷71を成形し、フィンプレート72を完成させるステップである。完成したフィンプレート72を
図3に示す。
【0026】
続いて、具体的なフィン成形過程を
図4に示す。以下、複数のローラ対11~14、25~27に対応するローラ対ごとの個別押圧ステップを、それぞれ「押圧ステップS11、S12、S13、S14、S25、S26、S27」とする。また、これら一群の個別押圧ステップのうち、押圧ステップS12、S14に対応するローラ対12、14の形状を
図5に、押圧ステップS25~S27に対応するローラ対25~27の形状を
図6に、各ローラ対nnの凹凸Vnn1、Vnn2(nn:25~27)とともに示す。さらにフィン成形方法Sのフローチャートを
図7に示す。
【0027】
図2(a)及び
図4の最上段に示すように、未成形シート状アルミ70について、短手方向Dxにおける「一端701」からの距離及び「他端702」からの距離が各一定に保たれた一点を「基準点P」とし、未成形シート状アルミ70の状態からシート状アルミ7が段階的に成形されてフィンプレート72となるまでのシート状アルミ7の移動に伴い、基準点Pが連続的に形成する長手方向の線を「基準線PP」とする。ここでは一端701からの距離を「α」、他端702からの距離を「β」とする。未成形シート状アルミ70の短手方向の長さは「α+β」となる。
【0028】
このとき、寄せステップS1(=押圧ステップS11~14)では、複数のローラ対11~14、25~27のうち第1群のローラ対11~14により、未成形シート状アルミ70の基準点Pについては基準線PPに沿ってシート状アルミ7と各ローラ対との間にクリアランスなしに押圧し、かつ未成形シート状アルミ70の基準点P以外については基準線PPに平行な線に沿ってシート状アルミ7と各ローラ対との間にクリアランスを保ちながら、押圧する(
図4「寄せ応力Fx」)。これにより、短手方向Dxの両側から基準線PPを中心に、未成形シート状アルミ70を段階的に幅寄せし、フィンプレート72の幅Lxに合わせる作業を行う。
【0029】
図2(a)~(b)及び
図4の押圧ステップS11~14に示すように、基準点P及び基準線PPのみは搬送中(=成形中)のシート状アルミ7における短手方向Dx及び上下方向Dzの位置が変化しないように第1群のローラ対11~14で押圧される。一方、基準点P及び基準線PP以外については各ローラ対との間にクリアランスが確保され、クリアランスの範囲ではある程度自由に動くことができるため、結果的に基準点P及び基準線PPを中心にシート状アルミ7を幅寄せすることができる。
【0030】
寄せステップS1を行うため、第1群のローラ対11~14は、
図5に示すようにローラ円筒面Cに緩やかな凹凸Vnn1、Vnn2(nn:11~14)が形成されており、外径は一定でない。また上ローラ及び下ローラは基準点P及び基準線PPでシート状アルミ7の厚み分の長さを残し、対向している。これにより、上ローラ及び下ローラは寄せステップS1中、常に基準点P及び基準線PPで両側からシート状アルミ7と当接し、シート状アルミ7の基準点P及び基準線PP該当箇所が上下左右に動かないようにする。同時に、幅寄せを無理なく行わせるため、基準点P及び基準線PP以外には、シート状アルミ7との間に十分なクリアランスが設けられている。
【0031】
後続のフィン成形ステップS2(=押圧ステップS25~27)では、寄せステップS1の後、複数のローラ対11~14、25~27のうち第1群のローラ対以外である第2群のローラ対25~27により、幅寄せ後のシート状アルミ7を上下方向Dzに沿って段階的に押圧し、高さLzの山及び谷71を短手方向Dxに沿って順次成形してフィンプレート72を完成させる。
【0032】
図2(b)~(c)及び
図4のS25~27に示すように、フィン成形ステップS2では、シート状アルミ7はすでにフィンプレート72の幅Lxとなっているため、上下方向Dzに沿って押圧するだけでよく、フィンプレート72の上下方向Dzの長さを高さLzに合わせる作業のみ行う。
【0033】
フィン成形ステップS2を行うため、第2群のローラ対25~27は、ローラ円筒面Cに緩やかな凹凸Vnn1、Vnn2(nn:25~27)が形成されているところは第1群のローラ対11~14と同じだが、幅寄せ作業は寄せステップS1で完了しているため、
図6に示すように、山及び谷71の高さ(深さ)を段階的に小さくするフィン成形のみを行うための規則的な形状にされている。また、上ローラ及び下ローラの間のクリアランスは最小限度であり、フィン成形ステップS2では各ローラ対とシート状アルミ7はほぼ当接押圧し、フィン形状を完成させる。
【0034】
以下、比較例を参照してフィン成形方法Sの課題解決手法を説明する。比較例の多段成形ローラ装置(従来技術)を
図8に示す。また比較例におけるフィン成形方法を
図4(フィン成形方法S)と同じ方式で
図9に示す。なお、ここでは一のステップを担う一のローラ対を「一段」と数える。さらにフィン成形に伴う材料内の応力状況について、比較例の場合を
図10に、フィン成形方法Sの場合を
図11に示す。
【0035】
段落[0005]で述べたように、フィン成形では、一般に材料内でしわや破断の原因となり得る複合的な抵抗力が発生している。比較例の従来技術では、少ない段数で一気に成形しようとすると、短手方向への引込抵抗が大きくなって成形品質が悪くなる。このため1段につき1山(1谷)しか成形できず(
図9)、少なくとも10段以上のローラ対を備えた多段成形ローラ装置が必要となっていた(
図8)。
【0036】
図10(a)に示すように、比較例では、材料短手方向への材料引込みが各段に発生している。このとき、各段の成形前後では短手方向の幅が必ず縮小する。この短手方向の縮小と同時に、山と谷を交互に両側1箇所ずつ成形する。つまり比較例では、材料の寄せ過程(
図9の寄せ応力Fx)とフィン成形過程(上下方向Dzに沿った応力)が毎回、多数箇所で同時に行われ、材料内の寄せ応力とフィン成形応力が都度合成されて大きくなる。
【0037】
そのため、比較例では、
図10(b)に示すように、段数を削減して複数の山と谷を一度に成形しようとすると、矢印(応力)が互いに離れる方向に反対向きになった箇所で破断を生じさせやすくなる。このため、比較例では変形箇所周辺での引込抵抗の低減が難しく、段数削減も難しかったと考えられる。
【0038】
そこで発明者らは、フィン成形方法Sでは、
図4に示すように、材料の寄せ過程(寄せステップS1)とフィン成形過程(フィン成形ステップS2)とを分離し、成形前半で寄せ過程をまとめて実施して完了させ、成形後半ではフィン成形過程のみまとめて実施することで段数を削減できないか検討した。
【0039】
その結果、フィン成形方法Sでは、
図11に示すように、幅寄せに伴う応力を前出しして寄せステップS1に集約し、フィン成形ステップS2ではフィン成形応力以外は発生しないようにすることで、応力集中による破断を生ずることなく、段数の大幅削減を実現し、かつ比較例と同等の品質でフィン成形を行うことができた。
【0040】
なお、寄せステップS1では、成形高さが違う部分(クリアランスを設けた領域)で回転軸からの距離(径)が場所によってそれぞれ異なるため、ローラ対の各ローラ内で周速差が生じる。そこで、材料とローラ間に設けたクリアランスをローラ円筒面Cの回転軸からの径方向の距離に応じて調整するため周速の大きい部分(外径の大きい部分)と周速の小さい部分(外径の小さい部分)とでクリアランスを変更し、周速差を吸収した。
【0041】
以上の構成により、一実施形態のフィン成形方法Sは、材料の短手方向への縮小に伴って生じる引込抵抗と、山及び谷の成形に伴って生じる抵抗とを分離することで、多段成形ローラ装置の段数削減を実現しながら、金属シートを凹凸フィン形状に成形可能である。
【0042】
<他の実施形態>
上述の実施形態では、寄せステップを3段、フィン成形ステップを4段のローラ対で構成した例を紹介した。しかし、各ステップの段数は上述の例に限られず、目的のフィンプレートの形状に応じ、適宜変更してよい。
【0043】
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0044】
11、12、13、14、25、26、27 複数のローラ対
11、12、13、14 第1群のローラ対、25、26、27 第2群のローラ対
7 金属シート(=シート状アルミ)、71 山及び谷
Dx 短手方向、Dy 長手方向(≒搬送方向)、P 基準点、PP 基準線
S1 寄せステップ、S2 フィン成形ステップ