(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162101
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】車体運搬装置及び切替装置
(51)【国際特許分類】
B60S 13/00 20060101AFI20241114BHJP
B62B 3/04 20060101ALI20241114BHJP
B62B 3/00 20060101ALI20241114BHJP
B23P 21/00 20060101ALI20241114BHJP
B62D 65/18 20060101ALN20241114BHJP
【FI】
B60S13/00
B62B3/04 B
B62B3/00 D
B23P21/00 303A
B62D65/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077315
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】松尾 友克
(72)【発明者】
【氏名】石田 宏一
【テーマコード(参考)】
3C030
3D026
3D050
3D114
【Fターム(参考)】
3C030CC01
3C030DA27
3D026EA02
3D026EA62
3D026EA66
3D026EA70
3D050AA19
3D050BB01
3D050BB21
3D050EE04
3D050EE15
3D114AA12
3D114BA01
3D114CA16
3D114DA05
3D114DA17
3D114FA02
3D114GA02
3D114GA03
3D114GA06
(57)【要約】
【課題】車種が異なる複数の車体を効率的に運搬することができる車体運搬装置を提供することを課題とする。
【解決手段】車体運搬装置1は、台車40の進行方向の前方に切替装置10が配設され、該台車40の進行方向の後方に固定受駒30が固定される。切替装置10は、車体Aについてはワーク受け部11及び固定受駒30により支え、車体Bについてはワーク受け部12及び固定受駒30により支えることができるようにした切替装置である。具体的には、ワーク受け部11及びワーク受け部12を回転自在なテーブルに固定し、このテーブルをロータリアクチュエータにより回転させることにより、ワーク受け部11又はワーク受け部12を車体側に突出させる。これにより、車体を保持するための保持位置の距離が異なる車体を台車40に載せることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路上を走行する台車に設けられた受け部により車体を支えて運搬する車体運搬装置であって、
前記台車に固着され、第1の車体に対応する第1の受け部と、第2の車体に対応する第2の受け部とを固定した回転可能なテーブルと、
前記テーブルを回転制御するロータリアクチュエータと
を有する切替装置を備えた車体運搬装置。
【請求項2】
前記台車の進行方向の前方又は後方に前記切替装置が配設され、前記台車の進行方向の他方に所定の固定受駒が配設された請求項1に記載の車体運搬装置。
【請求項3】
前記台車の進行方向の前方及び後方に前記切替装置が配設された請求項1に記載の車体運搬装置。
【請求項4】
前記切替装置は、
前記テーブルの回転角度を規制するストッパをさらに備えた請求項1乃至3のいずれか一つに記載の車体運搬装置。
【請求項5】
前記切替装置は、
前記テーブルの回転角度の調整を行う調整部材をさらに備えた請求項4に記載の車体運搬装置。
【請求項6】
前記切替装置は、
前記テーブルの回転開始時から所定時間経過後に、前記テーブルに設けられた固定穴に所定のロックピンを貫通させ、前記第1の受け部及び前記第2の受け部の位置を固定するよう制御するロックピン制御部をさらに備えた請求項1乃至3のいずれか一つに記載の車体運搬装置。
【請求項7】
前記ロックピン制御部は、
前記第1の受け部及び前記第2の受け部を入れ替える前に、前記ロックピンを前記固定穴から引き抜くよう制御する請求項6に記載の車体運搬装置。
【請求項8】
搬送路上を走行する台車に設けられた受け部により車体を支えて運搬する車体運搬装置に設けられる切替装置であって、
前記台車に固着され、第1の車体に対応する第1の受け部と、第2の車体に対応する第2の受け部とを固定した回転可能なテーブルと、
前記テーブルを回転制御するロータリアクチュエータと
を備えた切替装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車種が異なる複数の車体を効率的に運搬することができる車体運搬装置及び切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば溶接工程へ車体を運搬する場合には、台車に取り付けられた複数の治具に車体を載置したうえで台車が移動されることになる。かかる台車に取り付けられる複数の治具の間隔は車種によって異なるため、あらかじめ複数の治具が取り付けられた複数の台車が台車置き場に設けられる。
【0003】
ところが、多数の台車を台車置き場に設けるのは妥当ではなく、台車の入れ替え作業に時間を要することから、一つの台車で複数の車種の車体を搬送する従来技術が知られている。例えば特許文献1には、搬送ラインを走行する台車に車種に応じた複数の車体受駒を使用位置の起立姿勢と非使用位置の横倒姿勢との2位置に旋回位置決め可能に並列して設け、車体受駒を車種に対応して選択的に切り替える受駒切替装置を設置するよう構成した車体搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のものは、車体受駒の起立姿勢と横倒姿勢の切り替えを行う際に、別装置であるピストンロッドが必要になるため、操作員がピストンロッドを持ち運んで車種に対応する車体受駒を起立姿勢にしなければならず、効率的ではないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来技術による問題点(課題)を解決するためになされたものであって、車種が異なる複数の車体を効率的に運搬することができる車体運搬装置及び切替装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、搬送路上を走行する台車に設けられた受け部により車体を支えて運搬する車体運搬装置であって、前記台車に固着され、第1の車体に対応する第1の受け部と、第2の車体に対応する第2の受け部とを固定した回転可能なテーブルと、前記テーブルを回転制御するロータリアクチュエータと
を有する切替装置を備えた。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記台車の進行方向の前方又は後方に前記切替装置が配設され、前記台車の進行方向の他方に所定の固定受駒が配設された。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記台車の進行方向の前方及び後方に前記切替装置が配設された。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記切替装置は、前記テーブルの回転角度を規制するストッパをさらに備えた。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記切替装置は、前記テーブルの回転角度の調整を行う調整部材をさらに備えた。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記切替装置は、前記テーブルの回転開始時から所定時間経過後に、前記テーブルに設けられた固定穴に所定のロックピンを貫通させ、前記第1の受け部及び前記第2の受け部の位置を固定するよう制御するロックピン制御部をさらに備えた。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記ロックピン制御部は、前記第1の受け部及び前記第2の受け部を入れ替える前に、前記ロックピンを前記固定穴から引き抜くよう制御する。
【0014】
また、本発明は、搬送路上を走行する台車に設けられた受け部により車体を支えて運搬する車体運搬装置に設けられる切替装置であって、前記台車に固着され、第1の車体に対応する第1の受け部と、第2の車体に対応する第2の受け部とを固定した回転可能なテーブルと、前記テーブルを回転制御するロータリアクチュエータとを備えた。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車種が異なる複数の車体を効率的に運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る車体運搬装置の概要を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した切替装置の側面図及び正面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した切替装置のワーク受け部の切り換えを説明するための説明図である。
【
図5】
図5は、
図1に示した切替装置のテーブルの固定を説明するための説明図である。
【
図6】
図6は、
図1に示した切替装置のワーク受け部の位置決めを説明するための説明図(その1)である。
【
図7】
図7は、
図2に示した切替装置のワーク受け部の位置決めを説明するための説明図(その2)である。
【
図8】
図8は、
図1に示した制御装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【
図9】
図9は、
図8に示した制御装置の動作手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態2に係る車体運搬装置の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る車体運搬装置及び切替装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
[実施形態1]
<車体運搬装置1の概要>
本実施形態1に係る車体運搬装置1の概要について説明する。
図1は、実施形態1に係る車体運搬装置1の概要を説明するための説明図である。
図1に示すように、車体運搬装置1は、台車40の進行方向の前方に切替装置10が配設され、該台車40の進行方向の後方に固定受駒30が固定される。
【0019】
切替装置10は、車体Aについてはワーク受け部11及び固定受駒30により支え、車体Bについてはワーク受け部12及び固定受駒30により支えることができるようにした切替装置である。具体的には、ワーク受け部11及びワーク受け部12を回転自在なテーブル(詳細については後述する)に固定し、このテーブルを回転させることにより、ワーク受け部11又はワーク受け部12を車体側に突出させる。これにより、車体を保持するための保持位置の距離が異なる車体を台車40に載せることができる。
【0020】
図1(a)に示すように、車体保持位置の距離がL1である車体Aを台車40に載せる場合には、台車40に配設された切替装置10のワーク受け部11と固定受駒30とを用いて車体Aを保持する。なお、ここでは説明の便宜上図示省略したが、実際には、ワーク受け部11及び固定受駒30を台車40の幅方向に並列に2つずつ設け、4つの受け部で車体を保持することになる。
【0021】
これに対して、
図1(b)に示すように、車体保持位置の距離がL2である車体Bを台車40に載せる場合には、台車40に配設された切替装置10のワーク受け部12と固定受駒30とを用いて車体Bを保持する。
【0022】
切替装置10のワーク受け部11及びワーク受け部12は、後述するテーブルに180度異なる角度で固定されており、ワーク受け部11及びワーク受け部12は、テーブルを後述するロータリアクチュエータを用いて回転させることにより、切り換えを行う。
【0023】
<切替装置10の構造>
次に、切替装置10の構造について説明する。
図2は、
図1に示した切替装置10の構造を示す図である。
図2に示すように、切替装置10は、ワーク受け部11と、ワーク受け部12と、テーブル13と、ストッパ14と、ロータリアクチュエータ15と、リニアアクチュエータ16と、ロックピン17と、イケール18とを有する。
【0024】
ワーク受け部11及びワーク受け部12は、車体を保持する治具である。テーブル13は、ワーク受け部11とワーク受け部12とを固定した回転可能な治具である。ワーク受け部11とワーク受け部12とは、角度が180度異なる位置でテーブル13に固定されている。また、テーブル13は、後述するロータリアクチュエータ15の図示しない回転テーブルに固定されており、ロータリアクチュエータ15の回転に従って回転する。
【0025】
ロータリアクチュエータ15は、制御信号に基づいて回転テーブルを回転制御する装置である。ロータリアクチュエータ15には、電気式と空気式とがある。電気式は、サーボモータ又はステッピングモータの回転をハイポイドギアに伝達し、回転テーブルを回す構造である。また、空気式は、ベーン式とラックアンドピニオン式があり、ベーン式は、回転の出力軸にベーンが固定されており、このベーンがエア圧力を受けることで回転動作をする構造である。また、ラックアンドピニオン式は、シリンダピストンにラックギアを設け、シャフトと一体になったピニオンギアを噛み合わせることで、直線運動を回転動作に変換する構造である。
【0026】
リニアアクチュエータ16は、制御信号に基づいてロッドを直線方向に制御する装置である。リニアアクチュエータ16は、電気式と空気式があり、電気式は、ボールねじを用いてモータの回転運動を直線運動に変換する構造である。ここで、ボールねじとは、ねじ軸、ナット、ボールなどで構成される。空気式は、空気の出し入れによって、ロッドを直線方向に制御する構造である。
【0027】
ロックピン17は、リニアアクチュエータ16のロッドに接続され、ロッドの出し入れによって直線運動を行い、テーブル13に空けられた固定穴にロックピン17を出し入れし、テーブル13が動かないように固定したり、回転できるようにロックを解除したりする。
【0028】
イケール18は、切替装置10を切替装置10が配設される台車40の荷台水平面に対して90度の角度に配設するために使う治具である。 形状はL字型のほか、立方体の形をした4面イケール、多面イケールなどがある。
【0029】
制御装置20は、ロータリアクチュエータ15及びリニアアクチュエータ16を制御する装置で、電源ボタン21aと、車体A選択ボタン21bと、車体B選択ボタン21cとを有する。電源ボタン21aは、電源のON/OFFを行うボタンである。車体A選択ボタンは、ワーク受け部11を車体側に突出させるように設定するボタンである。車体B選択ボタンは、ワーク受け部12を車体側に突出させるように設定するボタンである。
【0030】
<切替装置10の側面図及び正面図>
次に、切替装置10の側面図及び正面図について説明する。
図3は、
図2に示した切替装置の側面図及び正面図である。ここで、
図2と同じ符合を付した構造体については、その詳細の説明を省略する。
図3(a)に示すように、ロータリアクチュエータ15は、イケール18の正面方向に固定されている。テーブル13は、ロータリアクチュエータ15の回転テーブルに固定されており、アームの長さの異なるワーク受け部11及びワーク受け部12は、テーブル13に固定されている。リニアアクチュエータ16は、イケール18の側面に固定されている。
【0031】
また、
図3(b)に示すように、テーブル13には、ワーク受け部11及びワーク受け部12の停止位置を調整するため、ワーク受け部11の調整ボルト13a及びワーク受け部12の調整ボルト13bが設けられている。調整ボルト13a及び調整ボルト13bは、ワーク受け部11及びワーク受け部12が切替装置10の設置されている台車40の荷台水平面と平行になるようにワーク受け部11及びワーク受け部12の停止位置を調整するためのボルトである。ストッパ14には、ワーク受け部11用のストップピン14a及びワーク受け部12用のストップピン14bが設けられている。
【0032】
<ワーク受け部11及びワーク受け部12の切り換え>
次に、切替装置10のワーク受け部11及びワーク受け部12の切り換えについて説明する。
図4は、
図1に示した切替装置10のワーク受け部の切り換えを説明するための説明図である。
図4に示すように、車体Aを保持するためにワーク受け部11が車体側に突出するように設定されている(
図4(a))。そして、制御装置20の車体B選択ボタンが押されたならば、切替装置10は、テーブル13を切替装置10の正面から見て反時計回りに回転させる。
【0033】
ワーク受け部11は、テーブル13の回転に従って反時計回りに45度(
図4(b))、90度(
図4(c))、135度(
図4(d))と回り、テーブル13が180度回転した状態(
図4(e))で停止し、切替装置10のワーク受け部12が車体側に突出するように設置された状態に切り替わる。なお、切替装置10のワーク受け部12が車体側に突出させるように設定された状態から制御装置20の車体A選択ボタンが押されたならば、テーブル13は、時計回りに同様に回転し、ワーク受け部11が車体側に突出するように設置された状態に切り替わる。
【0034】
<切替装置10のテーブル13の固定>
次に切替装置10のテーブル13の固定について説明する。
図5は、
図1に示した切替装置10のテーブルの固定を説明するための説明図である。
図5に示すように、切替装置10が車体Aを保持する場合、切替装置10のワーク受け部11が車体側に突出するよう設置されている。そして、制御装置20は、リニアアクチュエータ16を制御し、リニアアクチュエータ16のロッドを押し出し、ロックピン17がテーブル13に設置された図示されない固定穴に挿入され貫通した状態で、テーブル13が固定されている。
【0035】
そして、制御装置20の車体B選択ボタンが押されたならば、制御装置20は、リニアアクチュエータ16を制御し、リニアアクチュエータのロッドが引き戻され、ロックピン17がテーブル13の固定穴から引き抜かれる(
図5(b))。その後、制御装置20は、ロータリアクチュエータ15を制御し、テーブル13を回転させる(
図5(c))。
【0036】
そして、切替装置10のワーク受け部12が車体側に突出するように設置されたならば、制御装置20は、リニアアクチュエータ16を制御し、リニアアクチュエータ16のロッドを押出し、ロックピン17がテーブル13に設置された固定穴を貫通し、テーブル13を固定する。このように、切替装置10の制御装置20は、ワーク受け部11及びワーク受け部12が車体を保持する前に、テーブル13が固定されるように制御する。
【0037】
<ワーク受け部の位置決め>
次に切替装置10のワーク受け部11及びワーク受け部12の位置決めについて説明する。
図6及び
図7は、
図1に示した切替装置10のワーク受け部の位置決めを説明するための説明図である。
図6に示すように、切替装置10が車体Aを保持するためにワーク受け部11を車体側に突出するように設置する場合に、制御装置20は、ロータリアクチュエータ15を制御し、テーブル13を時計回りに回転させる(
図6(a))。
【0038】
そして、テーブル13に設置された調整ボルト13aが、ストッパ14に設置されたストップピン14aに接触するとテーブル13は回転動作が制限され回転が停止する。その後、制御装置20は、リニアアクチュエータ16を制御し、ロッドを押し出してロックピン17がテーブル13に設置された固定穴を貫通し固定される(
図6(b))。なお、調整ボルト13aは、ワーク受け部11が、切替装置10が設置される台車40の荷台水平面と平行の位置に停止するように、そのボルトの先端の位置を調整する。
【0039】
また、
図7に示すように、切替装置10が車体Bを保持するためにワーク受け部12を車体側に突出するように設置する場合に、制御装置20は、ロータリアクチュエータ15を制御し、テーブル13を反時計回りに回転させる(
図7(a))。そして、テーブル13に設置された調整ボルト13bが、ストッパ14に設置されたストップピン14bに接触するとテーブル13は回転動作が制限され回転が停止する。
【0040】
その後、制御装置20は、リニアアクチュエータ16を制御し、ロッドを押し出してロックピン17がテーブル13に設置された固定穴を貫通し固定される(
図7(b))。なお、調整ボルト13bは、ワーク受け部12が、切替装置10が設置される台車40の荷台水平面と平行の位置に停止するように、そのボルトの先端の位置を調整する。
【0041】
このように、切替装置10は、ワーク受け部11を利用する場合に、調整ボルト13aとストップピン14aが接触し、所定の位置にテーブル13を停止させる。また、ワーク受け部12を利用する場合には、調整ボルト13bとストップピン14bが接触し、所定の位置にテーブル13を停止するようにしたため、制御装置20は、ロータリアクチュエータ15の回転角度を制御する必要がない。なお、ロータリアクチュエータ15は、ワーク受け部11及びワーク受け部12が車体側に突出するように予定時間をあらかじめ設定し、テーブル13を所定時間回転させる。
【0042】
<制御装置20の構成>
次に制御装置20の構成について説明する。
図8は、
図1に示した制御装置の構成を説明する機能ブロック図である。
図8に示すように、制御装置20は、操作部21と、記憶部24と、制御部25とを有し、ロータリアクチュエータ15と、リニアアクチュエータ16とが接続されている。
【0043】
操作部21は、操作するための複数のスイッチが配設されている。例えば、操作部21の所定の押しボタンに圧力がかかると、内部のスプリングと接点が落ち込み、スイッチの底にある安定した接点に接触する。記憶部24は、ハードディスク装置や不揮発性メモリなどの記憶デバイスである。
【0044】
制御部25は、制御装置20の全体を制御する制御部であり、操作受付部25aと、ロータリアクチュエータ制御部25bと、リニアアクチュエータ制御部25cとを有する。操作受付部25aは、操作部21に配設された複数のスイッチのどのスイッチが押されたかを検知する処理部である。
【0045】
ロータリアクチュエータ制御部25bは、ロータリアクチュエータ15の回転を制御する処理部である。具体的には、車体A選択ボタン21bが押された場合は、ロータリアクチュエータ15を時計回りに回転させる制御を行う。また、車体B選択ボタン21cが押された場合は、ロータリアクチュエータ15を反時計回りに回転させる制御を行う。
【0046】
リニアアクチュエータ制御部25cは、リニアアクチュエータ16を制御し、ロッドの出し入れを制御する処理部である。具体的には、テーブル13を固定する場合には、ロッドを押し出し、ロックピン17をテーブル13の固定穴に貫通させる。また、テーブル13を回転させる場合には、ロッドを引き戻し、ロックピン17をテーブル13の固定穴から引き抜く。なお、ロータリアクチュエータ15及びリニアアクチュエータ16は、すでに説明しているので、ここでは、詳細の説明を省略する。
【0047】
<切替装置10の動作手順>
次に、切替装置10の動作手順について説明する。
図9は、
図8に示した制御装置の動作手順を示すフローチャートである。
図9に示すように、切替装置10は、車体選択ボタンが押されたか否かを判定する(ステップS101)。車体選択ボタンが押されていない場合には、車体選択ボタンが押されるまで待機する(ステップS101:No)。
【0048】
そして、切替装置10は、車体選択ボタンが押されたならば(ステップS101:Yes)、リニアアクチュエータ16を制御し、ロックピン17を外す(ステップS102)。その後、切替装置10は、押されたボタンが車体Aか否かを判定する(ステップS103)。押されたボタンが車体Aである場合は、ロータリアクチュエータ15を時計回りに回転させる(ステップS104)。
【0049】
その後、切替装置10は、ロータリアクチュエータ15を所定時間回転させたか否かを判定する(ステップS105)。所定時間回転させていない場合には(ステップS105:No)、所定時間が経過するまで回転を継続させるためステップS104に移行する(ステップS105:No)。所定時間回転させた場合には(ステップS105:Yes)、テーブル13を固定するため、リニアアクチュエータ16を制御し、ロックピン17を掛ける(固定穴に挿入し貫通させる)(ステップS106)。
【0050】
そして、切替装置10は、使用を終了するか否かを判定する(ステップS109)。使用を終了する場合は(ステップS109:Yes)、一連の動作を終了する。一方、使用を終了しない場合は(ステップS109:No)、ステップS101に移行する。
【0051】
切替装置10は、選択されたボタンが車体Aでない場合には(ステップS103:No)、ロータリアクチュエータ15を反時計回りに回転させる(ステップS107)。そして、切替装置10は、ロータリアクチュエータ15を所定時間回転させたか否かを判定する(ステップS108)。所定時間回転させていない場合には(ステップS108:No)、所定時間が経過するまで回転を継続させるためステップS107に移行する(ステップS105:No)。所定時間回転させた場合には(ステップS108:Yes)、ステップS106に移行する。
【0052】
上述してきたように、本実施形態1では、切替装置10は、車体Aを載せる場合には、ワーク受け部11を車体側に突出するように設置し、車体Bを載せる場合には、テーブル13を回転させることによりワーク受け部12を車体側に突出するように設置するように構成されている。また、ワーク受け部11及びワーク受け部12の位置決めは、テーブル13に配設された調整ボルト13a又は調整ボルト13bが、イケール18に固定されているストッパ14に配設されたストップピン14a又はストップピン14bに接触させることにより行う。そして、リニアアクチュエータ16を制御することにより、ロックピン17を挿入し、テーブル13に空けられた固定穴を貫通することによりワーク受け部11及びワーク受け部12を固定する。
【0053】
なお、上記実施形態1では、車体運搬装置1は、台車40の進行方向の前方に切替装置10が配設され、該台車40の進行方向の後方に固定受駒30が固定される場合について説明したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、台車40の進行方向の前方に固定受駒30が固定され、該台車40の進行方向の後方に切替装置10が配設されていてもよい。
【0054】
また、上記実施形態1では、切替装置10は、ワーク受け部11を車体側に突出させる場合に、テーブル13を時計回りに回転させ、ワーク受け部12を車体側に突出させる場合に、テーブル13を反時計回りに回転させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、調整ボルト13a及び調整ボルト13bをテーブル13のワーク受け部12側に設置した場合は、ワーク受け部11を車体側に突出させる場合に、テーブル13を反時計回りに回転させ、ワーク受け部12を車体側に突出させる場合に、テーブル13を時計回りに回転させるようにしてもよい。
【0055】
[実施形態2]
ところで、上記実施形態1では、台車40に配設された固定受駒30と切替装置10を用いて車体A又は車体Bを保持する場合について説明したが、実施形態2では、切替装置10を台車40の4ヶ所に設置して車体を保持する場合について説明する。
【0056】
図10は、実施形態2に係る車体運搬装置2の概要を示す図である。
図10に示すように切替装置10a及び10bは、台車40の前後方向に配設されている。なお、ここでは説明の便宜上図示省略したが、実際には、切替装置10a及び10bを台車40の幅方向に並列に2つずつ設け、4つの受け部で車体を保持することになる。
【0057】
図10(a)に示すように、車体Aを保持する場合には、切替装置10aは、ワーク受け部11が車体側に突出するように設置され、切替装置10bは、ワーク受け部12が車体側に突出するように設置され車体保持位置の距離がL1になるように制御される。
【0058】
これに対して、
図10(b)に示すように、車体Bを保持する場合には、切替装置10aは、ワーク受け部12が車体側に突出するように設置され、切替装置10bは、ワーク受け部12が車体側に突出するように設置され車体保持位置の距離がL2になるように制御される。
【0059】
また、
図10(c)に示すように、車体Cを保持する場合には、切替装置10aは、ワーク受け部12が車体側に突出するように設置され、切替装置10bはワーク受け部11が車体側に突出するように設置され車体保持位置の距離がL3になるように制御される。なお、車体保持位置の距離がL2で、車体後方の長さが台車40の後方に干渉する場合は、切替装置10aは、ワーク受け部11が車体側に突出するように設置され、切替装置10bは、ワーク受け部11が車体側に突出するように設置されるように制御してもよい。
【0060】
上述してきたように、本実施形態2では、車体運搬装置2は、切替装置10a及び10bを台車40に設置し、それぞれのワーク受け部を切り換えることにより車体保持位置の距離の異なる3種の車体を保持することができる。
【0061】
上記の各実施形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る車体運搬装置及び切替装置は、車種が異なる複数の車体を効率的に運搬する場合に適している。
【符号の説明】
【0063】
1、2 車体運搬装置
10 切替装置
11、12 ワーク受け部
13 テーブル
13a、13b 調整ボルト
14 ストッパ
14a、14b ストップピン
15 ロータリアクチュエータ
16 リニアアクチュエータ
17 ロックピン
18 イケール
20 制御装置
21 操作部
21a 電源ボタン
21b 車体A選択ボタン
21c 車体B選択ボタン
24 記憶部
25 制御部
25a 操作受付部
25b ロータリアクチュエータ制御部
25c リニアアクチュエータ制御部
30 固定受駒
40 台車