(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162106
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】リン酸可溶化剤及び土壌改良方法
(51)【国際特許分類】
C08L 33/02 20060101AFI20241114BHJP
C09K 17/22 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C08L33/02
C09K17/22 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077323
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】597065329
【氏名又は名称】学校法人 龍谷大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】井上 春美
(72)【発明者】
【氏名】橋本 直也
(72)【発明者】
【氏名】田邊 史行
(72)【発明者】
【氏名】森泉 美穂子
(72)【発明者】
【氏名】阿江 教治
【テーマコード(参考)】
4H026
4J002
【Fターム(参考)】
4H026AA08
4H026AA09
4H026AB03
4J002BG011
4J002GA00
(57)【要約】
【課題】土壌中に含まれる難溶性のリン酸化合物を可溶化して、リン酸イオン及び/又は可給態リン酸を遊離することができるリン酸可溶化剤、及び、当該リン酸可溶化剤を用いた土壌改良方法を提供する。
【解決手段】少なくとも一種のキレート剤を含むリン酸可溶化剤であって、上記キレート剤は、キレート能を有する官能基を備えた架橋高分子化合物であり、かつ、体積平均粒子径が10~200μmであるリン酸可溶化剤。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種のキレート剤を含むリン酸可溶化剤であって、
前記キレート剤は、キレート能を有する官能基を備えた架橋高分子化合物であり、かつ、体積平均粒子径が10~200μmであるリン酸可溶化剤。
【請求項2】
前記キレート剤は、未中和のカルボキシル基濃度が、0.1~13.5mmol/gである請求項1に記載のリン酸可溶化剤。
【請求項3】
前記キレート剤が、(メタ)アクリル酸を構成単量体とする重合体である請求項1又は2に記載のリン酸可溶化剤。
【請求項4】
微生物資材をさらに含む請求項1又は2に記載のリン酸可溶化剤。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のリン酸可溶化剤を、リン酸塩を含む土壌の重量に対して0.1~20.0重量%混合する工程1と、
前記リン酸塩を含む土壌の重量に対して1~500重量%の水を混合することでリン酸イオン及び/又は可給態リン酸を遊離させる工程2と、を含む土壌改良方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン酸可溶化剤及び土壌改良方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リンは、窒素及びカリウム等とならび植物の成長に必要な栄養素であり、これらの供給は、多くの場合、農地に化学肥料等を施肥すること等により行われる。
【0003】
化学肥料等に含まれるリン等の栄養素は、全てが植物の栄養源として利用されるわけではなく、土壌中に残留することがある。
土壌中に残留した栄養素は、次に植え付ける植物の栄養源として利用されるものもあるが、形態が変化することにより栄養源として利用されず土壌中に残存してしまうものもある。
【0004】
例えばリンの場合、土壌中の鉄、アルミニウム等の金属成分と反応して難溶性のリン酸化合物に変化し、当該難溶性のリン酸化合物は植物に吸収されずに、そのまま土壌中に残存する。
【0005】
従来から、土壌中に存在するリン酸化合物を肥料成分として有効活用すべくリン酸化合物を遊離する方法が検討されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、クエン酸等の低分子量の水溶性ポリカルボン酸を用いてリン酸化合物を遊離する方法が記載されている。
また例えば、特許文献2には、微生物を用いてリン酸化合物を遊離する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4-31382号公報
【特許文献2】特開2015-10022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、低分子量(単量体)の水溶性のポリカルボン酸を用いるため、降雨や潅水等により土壌から流出し、十分な効果を発現する前に土壌から流出することがあった。
【0009】
また、特許文献2に記載の方法では、土壌中の微生物叢によっては、用いる微生物が増殖することができず効果を発現できないことがあった。
【0010】
そこで本発明は、土壌中に含まれる難溶性のリン酸化合物を可溶化して、リン酸イオン及び/又は可給態リン酸を遊離することができるリン酸可溶化剤、及び、当該リン酸可溶化剤を用いた土壌改良方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、キレート能を有する官能基を備えた架橋高分子化合物であり、かつ、特定の体積平均粒子径を有するキレート剤を含むリン酸可溶化剤を用いることにより、土壌中に含まれる難溶性のリン酸化合物が有する鉄、アルミニウム、カルシウム等と、キレート剤との間で錯化合物を形成し、それに伴いリン酸イオン及び/又は可給態リン酸が遊離されることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
すなわち、本発明は、少なくとも一種のキレート剤を含むリン酸可溶化剤であって、上記キレート剤は、キレート能を有する官能基を備えた架橋高分子化合物であり、かつ、体積平均粒子径が10~200μmであるリン酸可溶化剤;上記リン酸可溶化剤を、リン酸塩を含む土壌の重量に対して0.1~20.0重量%混合する工程1と、上記リン酸塩を含む土壌の重量に対して1~500重量%の水を混合することでリン酸イオン及び/又は可給態リン酸を遊離させる工程2と、を含む土壌改良方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、土壌中に含まれる難溶性のリン酸化合物を可溶化して、リン酸イオン及び/又は可給態リン酸を遊離することができるリン酸可溶化剤、及び、当該リン酸可溶化剤を用いた土壌改良方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[リン酸可溶化剤]
本発明のリン酸可溶化剤は、少なくとも一種のキレート剤を含むリン酸可溶化剤であって、上記キレート剤は、キレート能を有する官能基を備えた架橋高分子化合物であり、かつ、体積平均粒子径が10~200μmである。
【0015】
(キレート剤)
本発明のリン酸可溶化剤は、少なくとも一種のキレート剤を含む。
【0016】
キレート剤は、キレート能を有する官能基を備えた架橋高分子化合物である。
【0017】
キレート能を有する官能基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、アルデヒド基、チオール基等の鉄、アルミニウム、カルシウムに対してキレート能を有する官能基が挙げられる。
キレート剤が上記官能基を有することにより、リン酸化合物が有する鉄、アルミニウム、カルシウム等の金属イオンと錯化合物を形成して、リン酸イオン及び/又は可給態リン酸を遊離させることができる。
なかでも、リン酸化合物が有する鉄、アルミニウム、カルシウム等の金属イオンに対する錯体形成能に優れる観点から、カルボキシル基が好ましい。
【0018】
キレート剤は、未中和のカルボキシル基濃度が0.1~13.5mmol/gであることが好ましい。
未中和のカルボキシル基濃度が上記範囲であることにより、土壌中に含まれる難溶性のリン酸化合物を可溶化して、リン酸イオン及び/又は可給態リン酸を遊離できる効果を好適に付与することができる。
キレート剤は、未中和のカルボキシル基濃度が1.0~8.0mmol/gであることがより好ましく、2.0~5.0mmol/gであることが更に好ましい。
なお、未中和のカルボキシル基濃度は、JIS K 0070の記載に準じて酸価(mgKOH/g)を測定し、下記数式により算出することができる。
カルボキシル基濃度(mmol/g)=1000×酸価/56100
【0019】
キレート剤は、(メタ)アクリル酸を構成単量体とする重合体であることが好ましく、(メタ)アクリル酸を構成単量体とする重合体の部分中和物[(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸塩(好ましくはナトリウム塩)とを構成単量体とする共重合体]であることがより好ましい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
【0020】
キレート剤は、架橋高分子化合物である。
キレート剤は、主鎖モノマーの重量に対して、架橋剤を0.01~30重量%含有することが好ましい。
キレート剤が架橋高分子化合物であることにより、降雨や潅水等によりリン酸可溶化剤が土壌から流出することを抑制することができる。
【0021】
架橋剤としては、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル及びソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0022】
キレート剤は、体積平均粒子径が10~200μmである。
キレート剤の体積平均粒子径が上記範囲であることにより、土壌中に含まれる難溶性のリン酸化合物を可溶化して、リン酸イオン及び/又は可給態リン酸を遊離する効果を付与することができる。
キレート剤は、体積平均粒子径が15~100μmであることが好ましく、20~50μmであることがより好ましい。
なお、本明細書において「体積平均粒子径」とは、レーザー回折法で測定された粒子径分布において、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径を意味する。
【0023】
キレート剤は、比表面積が20,000~500,000(1/m)であることが好ましい。
キレート剤の比表面積が上記範囲であることにより、土壌中に含まれる難溶性のリン酸化合物を可溶化して、リン酸イオン及び/又は可給態リン酸を遊離する効果を好適に付与することができる。
キレート剤は、比表面積が30,000~400,000(1/m)であることが好ましい。
なお、本明細書において「比表面積」とは、JIS K1150の比表面積測定法により測定したBET比表面積を意味する。
【0024】
キレート剤の市販品としては、例えば、サンフレッシュ ST-500MPSA(三洋化成工業(株)製、カルボキシル基濃度3.7mmol/g、体積平均粒子径30.5μm)、サンフレッシュ IM-1000MPS(三洋化成工業(株)製、カルボキシル基濃度3.4mmol/g、体積平均粒子径29.4μm)等が挙げられる。
【0025】
キレート剤の含有量としては、リン酸可溶化剤の重量を基準として、50~100重量%であることが好ましく、60~90重量%であることがより好ましく、70~80重量%であることがさらに好ましい。
キレート剤の含有量が上記範囲であることにより、土壌中に含まれる難溶性のリン酸化合物を可溶化して、リン酸イオン及び/又は可給態リン酸を遊離できる効果を好適に付与することができる。
【0026】
(微生物資材)
本発明のリン酸可溶化剤は、微生物資材をさらに含むことが好ましい。
【0027】
微生物資材としては、アーバスキュラー菌根菌(arbuscularmycorrhizal fungus)、フォスファターゼを生産する微生物等が挙げられる。
なかでも、土壌中に含まれるリン酸化合物を運搬することができ、土壌中に含まれる難溶性のリン酸化合物を遊離する範囲を拡大する観点から、アーバスキュラー菌根菌を含むことが好ましい。
【0028】
微生物資材を含む場合の含有量としては、リン酸可溶化剤の重量を基準として、0.0001~10重量%であることが好ましく、0.001~8重量%であることがより好ましい。
【0029】
(その他成分)
本発明のリン酸可溶化剤は、必要に応じて、泥炭、木炭、珪藻土、ゼオライト、バーミキュライト、パーライト、ベントナイト、ポリエチレンイミン系資材、又は、ポリビニルアルコール系資材等の土壌改良資材等を含んでもよい。
その他の成分を含む場合の含有量としては、リン酸可溶化剤の重量を基準として、0.001~5重量%であることが好ましい。
【0030】
(リン酸可溶化剤の製造方法)
本発明のリン酸可溶化剤を製造する方法としては特に限定されず、上述したキレート剤、微生物資材、必要に応じてその他成分を公知の方法により混合すればよい。
【0031】
[土壌改良方法]
本発明の土壌改良方法は、上記本発明のリン酸可溶化剤を、リン酸塩を含む土壌の重量に対して0.1~20.0重量%混合する工程1と、上記リン酸塩を含む土壌の重量に対して1~500重量%の水を混合することでリン酸イオン及び/又は可給態リン酸を遊離させる工程2と、を含む。
【0032】
(工程1)
工程1では、本発明のリン酸可溶化剤を、リン酸塩を含む土壌に土壌重量に対して0.1~20.0重量%混合する。
リン酸可溶化剤を上記範囲で含有することにより、土壌の通気性、排水性を悪化させること無く、土壌中に含まれるリン酸化合物を可溶化して、リン酸イオン及び/又は可給態リン酸を十分に遊離させることができる。
本発明のリン酸可溶化剤は、リン酸塩を含む土壌の重量に対して1.0~15.0重量%混合することが好ましく、2.0~10.0重量%混合することがより好ましい。
【0033】
本発明のリン酸可溶化剤を、リン酸塩を含む土壌に土壌重量に対して混合する方法としては特に限定されず、公知の方法を適宜選択すればよい。
【0034】
(工程2)
工程2では、リン酸塩を含む土壌の重量に対して1~500重量%の水を混合することでリン酸イオン及び/又は可給態リン酸を遊離させる。
上記範囲で水を混合することにより、リン酸可溶化剤が水を吸収して膨張し、土壌との間に良好な接触界面を提供することができる。
工程2において混合する水の量としては、リン酸塩を含む土壌の重量に対して1~400重量%であることが好ましい。
【0035】
工程2は、水と充分になじみさせるという観点から工程1の後、0.5時間以上静置した後に行うことが好ましい。
【0036】
水を混合する方法としては、特に限定されず、公知の方法を適宜選択すればよい。
【0037】
本明細書には、以下の事項が開示されている。
【0038】
本開示(1)は、少なくとも一種のキレート剤を含むリン酸可溶化剤であって、上記キレート剤は、キレート能を有する官能基を備えた架橋高分子化合物であり、かつ、体積平均粒子径が10~200μmであるリン酸可溶化剤である。
【0039】
本開示(2)は、上記キレート剤の未中和のカルボキシル基濃度が、0.1~13.5mmol/gである本開示(1)に記載のリン酸可溶化剤である。
【0040】
本開示(3)は、上記キレート剤が、(メタ)アクリル酸を構成単量体とする重合体である本開示(1)又は(2)に記載のリン酸可溶化剤である。
【0041】
本開示(4)は、微生物資材をさらに含む本開示(1)~(3)の何れかに記載のリン酸可溶化剤である。
【0042】
本開示(5)は、本開示(1)~(4)の何れかに記載のリン酸可溶化剤を、リン酸塩を含む土壌の重量に対して0.1~20.0重量%混合する工程1と、上記リン酸塩を含む土壌の重量に対して1~500重量%の水を混合することでリン酸イオン及び/又は可給態リン酸を遊離させる工程2と、を含む土壌改良方法である。
【実施例0043】
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り部は重量部、%は重量%を意味する。
【0044】
(リン酸塩を含む土壌)
20年間化成肥料を施用し続けた畑の土壌(京都府、2020年採取)50gを、30℃の乾燥機で1週間風乾した後、2mmの土壌ふるいで篩別して乾燥土壌(A-1)を調整した。
【0045】
(リン酸可溶化剤)
(B-1):「サンフレッシュ ST-500MPSA」(架橋高分子化合物(アクリル酸と、アクリル酸ナトリウム塩とを構成単量体とする共重合体)、三洋化成工業(株)製)
(B-2):「サンフレッシュ IM-1000MPS」(架橋高分子化合物(アクリル酸と、アクリル酸ナトリウム塩とを構成単量体とする共重合体)、三洋化成工業(株)製)
(高分子化合物)
(B‘-1):「サンフレッシュ ST-500D*」(架橋高分子化合物(アクリル酸と、アクリル酸ナトリウム塩とを構成単量体とする共重合体)、三洋化成工業(株)製)
なお、各リン酸可溶化剤のカルボキシル基濃度、及び、体積平均粒子径は、本明細書に記載の方法により測定及び算出をし、表1に示した。
【0046】
(実施例1)
乾燥土壌(A-1)1gと、リン酸可溶化剤(B-1)30mg、超純水99gとを軟膏壺(125ml)に測りとり、軽く混合した後、4日間室温で静置した。
次いで、震盪器(MIGHTY SHAKER AS-1N,アズワン(株)製)で150rpm、30分間震盪した。その後、イオンクロマトグラフィーにおいてカラム詰まりを防止するために、ろ紙(No.5C)を設置した漏斗でろ過し、ろ液をさらに0.45μmのシリンジフィルターでろ過した。
その後、イオンクロマトグラフィーで得られたろ液のリン酸濃度(表1中では、「回収できたリン酸濃度」と記載)を定量した。測定条件は以下に示す。
【0047】
<測定条件>
装置:送液ポンプ RHPLC Pump PU-4180
オートサンプラー HPLC Autosampler AS-4050
カラムオーブン Column Oven CO-4060
(上記3点はすべて、日本分光(株)製)
検出器 CM-8020(東ソー(株)製)
カラム:陰イオン分析用カラム PCI-201S(東亜ディーケーケー(株)製)
カラム温度:40℃
溶離液:溶離液は以下の方法で調整した。
フタル酸 0.498g、トリスヒドロキシメチルアミノメタン 0.332g、ホウ酸 12.4gを混合し、超純水で1Lにメスアップしたものを、5時間撹拌し完全に均一とした。
流速:1ml/min
注入量:20μl
検量線:校正液(陰イオン20μlループ用)IA-AS1(東亜ディーケーケー(株)製)による1点検量線
【0048】
(実施例2)
リン酸可溶化剤(B-1)を、リン酸可溶化剤(B-2)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、得られたろ液のリン酸濃度を定量した。
【0049】
(比較例1)
リン酸可溶化剤(B-1)30mgを0mgに変更した(リン酸可溶化剤を用いなかった)こと以外は実施例1と同様にして、得られたろ液のリン酸濃度を定量した。
【0050】
(比較例2)
リン酸可溶化剤(B-1)を、高分子化合物(B‘-1)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、得られたろ液のリン酸濃度を定量した。
【0051】
【0052】
表1に示すように、キレート能を有する官能基を備えた架橋高分子化合物であり、かつ、体積平均粒子径が10~200μmであるリン酸可溶化剤を用いた実施例では、リン酸化合物を可溶化して、リン酸イオンを遊離できることが確認された。