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特開2024-162113脇見判定装置、脇見判定方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162113
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】脇見判定装置、脇見判定方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
G08G1/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077338
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100167461
【弁理士】
【氏名又は名称】上木 亮平
(72)【発明者】
【氏名】森本 寛
(72)【発明者】
【氏名】山田 健太
(72)【発明者】
【氏名】藤野 次郎
(72)【発明者】
【氏名】原 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】川上 悟
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】車外前方物標を目視しているにもかかわらず車内機器を目視していると誤判定するのを抑制する。
【解決手段】脇見判定装置4は、車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて車両の前方に存在する物標を検出し、ドライバの状態を表すドライバデータに基づいてドライバの視点位置及び視線方向を検出し、物標との位置関係に応じてドライバが車内前方に配置された車内機器を目視しているか否かの判定を行うための上下方向の目視判定範囲を変更し、ドライバの視線方向が目視判定範囲内に所定の脇見判定時間以上継続して収まっていれば車内機器を脇見していると判定し、物標が近辺に位置するときは、遠方に位置するときと比較して目視判定範囲の上端位置が下側となるように目視判定範囲を変更する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドライバの脇見を判定する脇見判定装置であって、
前記車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて、前記車両の前方に存在する物標を検出し、
前記ドライバの状態を表すドライバデータに基づいて、前記ドライバの視点位置及び視線方向を検出し、
前記物標との位置関係に応じて、前記ドライバが車内前方に配置された車内機器を目視しているか否かの判定を行うための上下方向の目視判定範囲を変更し、
前記ドライバの視線方向が前記目視判定範囲内に所定の脇見判定時間以上継続して収まっていれば、前記車内機器を脇見していると判定し、
前記物標が近辺に位置するときは、遠方に位置するときと比較して、前記目視判定範囲の上端位置が下側となるように、前記目視判定範囲を変更する、
脇見判定装置。
【請求項2】
前記目視判定範囲の上端位置は、前記物標が遠方に位置するときは、前記車内機器の上端位置から前記車両のフロントガラスの下端位置までの間の任意の位置に設定される、
請求項1に記載の脇見判定装置。
【請求項3】
前記ドライバの視線方向が前記目視判定範囲内に収まってから前記脇見判定時間が経過するまでの間に、前記物標との位置関係が遠方に位置する状態から近辺に位置する状態に移行したときは、前記目視判定範囲の変更を実施しない、
請求項1又は請求項2に記載の脇見判定装置。
【請求項4】
前記物標との位置関係を、前記物標との距離を検出することによって把握し、
前記物標との距離が所定閾値以上であれば、前記物標が遠方に位置すると判定し、
前記物標との距離が所定閾値未満であれば、前記物標が近辺に位置すると判定する、
請求項1又は請求項2に記載の脇見判定装置。
【請求項5】
前記物標との位置関係を、前記ドライバの視線角度を検出することによって把握し、
前記視線角度は、前記ドライバの視点位置から水平に延びる水平線と、前記ドライバの視点位置から水平線よりも下を向く視線方向に向かって延びる視線方向線との成す角の角度であり、
前記視線角度が所定角度以下であれば、前記物標が遠方に位置すると判定し、
前記視線角度が所定角度よりも大きければ、前記物標が近辺に位置すると判定する、
請求項1又は請求項2に記載の脇見判定装置。
【請求項6】
前記物標が近辺に位置するときは、遠方に位置するときと比較して、前記脇見判定時間を大きくする、
請求項1又は請求項2に記載の脇見判定装置。
【請求項7】
前記車内機器を脇見していると判定したときは、前記ドライバに対して脇見に関する警告を実施する、
請求項1又は請求項2に記載の脇見判定装置。
【請求項8】
車両のドライバの脇見を判定する脇見判定装置であって、
前記車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて、前記車両の前方に存在する物標を検出し、
前記ドライバの状態を表すドライバデータに基づいて、前記ドライバの視点位置、視線方向及び視線角度を検出し、
前記物標との位置関係に応じて、前記ドライバが車内前方に配置された車内機器を目視しているか否かの判定を行うための脇見判定角度を変更し、
前記ドライバの視線角度が所定の脇見判定時間以上継続して前記脇見判定角度以上となっていれば、前記車内機器を脇見していると判定し、
前記物標が近辺に位置するときは、遠方に位置するときと比較して、前記脇見判定角度を大きくし、
前記視線角度は、前記ドライバの視点位置から水平に延びる水平線と、前記ドライバの視点位置から水平線よりも下を向く視線方向に向かって延びる視線方向線との成す角の角度であり、
前記脇見判定角度は、前記水平線と、前記ドライバの視点位置から前記車内機器の上端位置に向かって延びる脇見判定線との成す角の角度である、
脇見判定装置。
【請求項9】
車両のドライバの脇見を判定する脇見判定装置による脇見判定方法であって、
前記車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて、前記車両の前方に存在する物標を検出し、
前記ドライバの状態を表すドライバデータに基づいて、前記ドライバの視点位置及び視線方向を検出し、
前記物標との位置関係に応じて、前記ドライバが車内前方に配置された車内機器を目視しているか否かの判定を行うための上下方向の目視判定範囲を変更し、
前記ドライバの視線方向が前記目視判定範囲内に所定の脇見判定時間以上継続して収まっていれば、前記車内機器を脇見していると判定し、
前記物標が近辺に位置するときは、遠方に位置するときと比較して、前記目視判定範囲の上端位置が下側となるように、前記目視判定範囲を変更する、
脇見判定方法。
【請求項10】
車両のドライバの脇見を判定する脇見判定装置用のコンピュータプログラムであって、
前記車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて、前記車両の前方に存在する物標を検出し、
前記ドライバの状態を表すドライバデータに基づいて、前記ドライバの視点位置及び視線方向を検出し、
前記物標との位置関係に応じて、前記ドライバが車内前方に配置された車内機器を目視しているか否かの判定を行うための上下方向の目視判定範囲を変更し、
前記ドライバの視線方向が前記目視判定範囲内に所定の脇見判定時間以上継続して収まっていれば、前記車内機器を脇見していると判定し、
前記物標が近辺に位置するときは、遠方に位置するときと比較して、前記目視判定範囲の上端位置が下側となるように、前記目視判定範囲を変更する、
ことを前記脇見判定装置に実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脇見判定装置、脇見判定方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来のドライバ監視装置として、ドライバの視線として許容される左右方向の範囲を、他車線(隣接車線)を走行する先行車両との距離が短くなるほど拡張し、ドライバの視線が前記範囲から外れた場合にドライバが脇見をしていると判定するように構成されたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-87143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の運転席及び助手席の前方上側にはフロントガラスが配置され、前方下側にはダッシュボードが配置されている。ダッシュボードには、モニタやカーナビ、計器類などのドライバの目視対象となる機器(以下「車内機器」という。)が取り付けられている。そのため、ドライバが車内機器を目視しているとき(すなわち脇見をしているとき)は、フロントガラス越しに他車両等の車外前方の物標(以下「車外前方物標」という。)を目視しているときと比較して、ドライバの視線方向が上下方向(車両高さ方向)の下側を向くことになる。
【0005】
そしてこれと同様に、ドライバがフロントガラス越しに車外前方物標を目視している場合において、当該車外前方物標が自車両の近辺に存在するときは、遠方に存在するときと比較して、ドライバの視線方向が上下方向の下側に向く傾向にある。
【0006】
そのため、車外前方物標が自車両の近辺に存在するときは、遠方に存在するときと比較して、フロントガラス越しに車外前方物標を目視している状態なのか、又は車内機器を目視している状態なのかを判定することが難しく、仮に前述した特許文献1のように、ドライバの視線として許容される左右方向の範囲を、他車線(隣接車線)を走行する先行車両との位置関係に応じて変更したところで、ドライバがフロントガラス越しに車外前方物標を目視していて、当該車外前方物標との距離が徐々に小さくなってきたために視線方向が上下方向の下側に向いたときには、車外前方物標を目視しているにもかかわらず車内機器を目視していると誤判定してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、車外前方物標を目視しているにもかかわらず車内機器を目視していると誤判定するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0009】
(1)車両のドライバの脇見を判定する脇見判定装置であって、車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて車両の前方に存在する物標を検出し、ドライバの状態を表すドライバデータに基づいてドライバの視点位置及び視線方向を検出し、物標との位置関係に応じて、ドライバが車内前方に配置された車内機器を目視しているか否かの判定を行うための上下方向の目視判定範囲を変更し、ドライバの視線方向が目視判定範囲内に所定の脇見判定時間以上継続して収まっていれば車内機器を脇見していると判定し、物標が近辺に位置するときは、遠方に位置するときと比較して目視判定範囲の上端位置が下側となるように、目視判定範囲を変更する、脇見判定装置。
【0010】
(2)目視判定範囲の上端位置は、物標が遠方に位置するときは、車内機器の上端位置から車両のフロントガラスの下端位置までの間の任意の位置に設定される、上記(1)に記載の脇見判定装置。
【0011】
(3)ドライバの視線方向が目視判定範囲内に収まってから脇見判定時間が経過するまでの間に、物標との位置関係が遠方に位置する状態から近辺に位置する状態に移行したときは、目視判定範囲の変更を実施しない、上記(1)又は上記(2)に記載の脇見判定装置。
【0012】
(4)物標との位置関係を、物標との距離を検出することによって把握し、物標との距離が所定閾値以上であれば物標が遠方に位置すると判定し、物標との距離が所定閾値未満であれば物標が近辺に位置すると判定する、上記(1)から上記(3)までのいずれかに記載の脇見判定装置。
【0013】
(5)物標との位置関係を、ドライバの視線角度を検出することによって把握し、視線角度は、ドライバの視点位置から水平に延びる水平線と、ドライバの視点位置から水平線よりも下を向く視線方向に向かって延びる視線方向線との成す角の角度であり、視線角度が所定角度以下であれば物標が遠方に位置すると判定し、視線角度が所定角度よりも大きければ物標が近辺に位置すると判定する、上記(1)から上記(3)までのいずれかに記載の脇見判定装置。
【0014】
(6)物標が近辺に位置するときは、遠方に位置するときと比較して、前記脇見判定時間を大きくする、上記(1)から上記(5)までのいずれかに記載の脇見判定装置。
【0015】
(7)車内機器を脇見していると判定したときは、ドライバに対して脇見に関する警告を実施する、上記(1)から上記(6)までのいずれかに記載の脇見判定装置。
【0016】
(8)車両のドライバの脇見を判定する脇見判定装置であって、車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて車両の前方に存在する物標を検出し、ドライバの状態を表すドライバデータに基づいてドライバの視点位置、視線方向及び視線角度を検出し、物標との位置関係に応じてドライバが車内前方に配置された車内機器を目視しているか否かの判定を行うための脇見判定角度を変更し、ドライバの視線角度が所定の脇見判定時間以上継続して脇見判定角度以上となっていれば車内機器を脇見していると判定し、物標が近辺に位置するときは、遠方に位置するときと比較して脇見判定角度を大きくし、視線角度は、ドライバの視点位置から水平に延びる水平線と、ドライバの視点位置から水平線よりも下を向く視線方向に向かって延びる視線方向線との成す角の角度であり、脇見判定角度は、水平線と、ドライバの視点位置から車内機器の上端位置に向かって延びる脇見判定線との成す角の角度である、脇見判定装置。
【0017】
(9)車両のドライバの脇見を判定する脇見判定装置による脇見判定方法であって、車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて車両の前方に存在する物標を検出し、ドライバの状態を表すドライバデータに基づいてドライバの視点位置及び視線方向を検出し、物標との位置関係に応じてドライバが車内前方に配置された車内機器を目視しているか否かの判定を行うための上下方向の目視判定範囲を変更し、ドライバの視線方向が目視判定範囲内に所定の脇見判定時間以上継続して収まっていれば車内機器を脇見していると判定し、物標が近辺に位置するときは、遠方に位置するときと比較して目視判定範囲の上端位置が下側となるように目視判定範囲を変更する、脇見判定方法。
【0018】
(10)車両のドライバの脇見を判定する脇見判定装置用のコンピュータプログラムであって、車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて車両の前方に存在する物標を検出し、ドライバの状態を表すドライバデータに基づいてドライバの視点位置及び視線方向を検出し、物標との位置関係に応じてドライバが車内前方に配置された車内機器を目視しているか否かの判定を行うための上下方向の目視判定範囲を変更し、ドライバの視線方向が目視判定範囲内に所定の脇見判定時間以上継続して収まっていれば車内機器を脇見していると判定し、物標が近辺に位置するときは、遠方に位置するときと比較して目視判定範囲の上端位置が下側となるように目視判定範囲を変更する、ことを前記脇見判定装置に実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の効果】
【0019】
本発明のこれらの態様によれば、車外前方物標が近辺に位置するときは、遠方に位置するときと比較して車内機器を目視しているか否かの判定を行うための上下方向の目視判定範囲の上端位置が下側に変更されるため、車外前方物標を目視しているにもかかわらず車内機器を目視していると誤判定するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態による車両の概略システム構成図である。
図2】制御装置のハードウェア構成を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態による車内機器の脇見判定処理の詳細について説明するフローチャートである。
図4】車内機器の目視判定範囲について説明する図である。
図5】車外前方物標が自車両の近辺に存在するときは、遠方に存在するときと比較して、ドライバの視線方向が上下方向の下側に向く傾向があることを説明する図である。
図6】本発明の第2実施形態による車内機器の脇見判定処理の詳細について説明するフローチャートである。
図7A】視線角度Θ1と脇見判定角度Θ2について説明する図である。
図7B】視線角度Θ1と脇見判定角度Θ2について説明する図である。
図8】本発明の第3実施形態による車内機器の脇見判定処理の詳細について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による車両100のシステム概略図である。
【0023】
車両100は、周辺センサ1と、ドライバセンサ2と、出力機器3と、制御装置4と、を備える。周辺センサ1、ドライバセンサ2、出力機器3、及び制御装置4は、それぞれコントローラエリアネットワークといった規格に準拠した車内ネットワーク5を介して通信可能に接続される。車両100は、自動運転機能や運転支援機能が付いた車両であってもよいし、手動運転車両であってもよい。
【0024】
周辺センサ1は、車両100の周辺の状況を表す周辺データを生成するためのセンサである。本実施形態では周辺センサ1として、車両100の周囲を撮影するための一又は複数の外部カメラを備える。外部カメラは、所定のフレームレート(例えば、10[Hz]~40[Hz])で車両100の周囲を撮影し、車両100の周囲が写った周囲画像を生成する。外部カメラは、周囲画像を生成する度に、生成した周囲画像を周辺データとして制御装置4に送信する。
【0025】
なお外部カメラに替えて、又は外部カメラに加えて、車両100の周囲に存在する他車両や歩行者、自転車などの物標までの距離を計測する測距センサを周辺センサ1として備えていてもよい。測距センサの例としては、例えば、レーダ光を照射してその反射光に基づいて距離を計測するライダ(LiDAR;Light Detection And Ranging)や、電波を照射してその反射波に基づいて距離を計測するミリ波レーダセンサなどが挙げられる。
【0026】
ドライバセンサ2は、ドライバの状態を表すドライバデータを生成するためのセンサである。本実施形態ではドライバセンサ2として、ドライバの顔を含むドライバの外観を撮影するためのドライバモニタカメラを備える。ドライバモニタカメラは、所定のフレームレート(例えば、10[Hz]~40[Hz])でドライバの外観を撮影し、ドライバの外観が写った外観画像を生成する。ドライバモニタカメラは、ドライバの外観画像を生成する度に、生成した外観画像をドライバデータとして制御装置4に送信する。
【0027】
出力機器3は、車両100のドライバの体感覚(例えば、視覚、聴覚及び触覚など)を通じてドライバに通知を行うための機器である。本実施形態では、出力機器3として、ドライバが視認できる位置に配置されるディスプレイ(例えば、メーターディスプレイ、センターディスプレイ又はヘッドアップディスプレイなど)と、スピーカと、を備える。ディスプレイは、制御装置4から出力された表示信号に応じた情報(例えば、文字情報や画像情報)を表示する。スピーカは、制御装置4から出力された音声信号に応じた音声を出力する。
【0028】
制御装置4は、通信部41と、記憶部42と、処理部43と、を備えるECU(Electronic Control Unit)であって(図2参照)、車両100のドライバが車内機器(ダッシュボードに取り付けられたモニタやカーナビ、計器類などのドライバの目視対象となる機器)を脇見しているかを判定し、その判定結果に応じてドライバに対して警告を実施することができるように、少なくとも構成される。制御装置4には、前述した周辺データやドライバデータの他にも、必要に応じて、例えば、測位センサによって取得された車両位置データや、車速センサによって取得された車速データなどの各種のデータを入力することができる。
【0029】
図2は、制御装置4のハードウェア構成を示す図である。
【0030】
制御装置4は、通信部41と、記憶部42と、処理部43と、を備える。
【0031】
通信部41は、制御装置4を車内ネットワーク5に接続するためのインターフェース回路を備える。通信部41は、外部から受信したデータ(周辺データやドライバデータなど)を処理部43に供給する。また通信部41は、処理部43から出力された表示信号及び音声信号を出力機器3に送信する。
【0032】
記憶部42は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid Disk Drive)、半導体メモリ等の記憶媒体を有し、処理部43での処理に用いられる各種のコンピュータプログラムやデータ等を記憶する。
【0033】
処理部43は、一又は複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有し、記憶部42に格納された各種のコンピュータプログラムを実行するものであり、例えばプロセッサである。以下、図3を参照して、処理部43、ひいては制御装置4で実行される処理の一つである車内機器の脇見判定処理の一例について説明する。
【0034】
図3は、本実施形態による車内機器の脇見判定処理の詳細について説明するフローチャートである。制御装置4は、本ルーチンを所定の演算周期で繰り返し実行する。
【0035】
ステップS1において、制御装置4は、周辺センサ1から受信した周辺データ、具体的には外部カメラから受信した周囲画像に基づいて、車両100の前方に存在する物標(車外前方物標)を検出する。
【0036】
本実施形態では制御装置4は、外部カメラから受信した周囲画像を識別器に順次入力することで、周囲画像において車外前方物標が表されている領域と、その領域に表された車外前方物標の種類と、を検出する。識別器は、例えば、入力側から出力側に向けて直列に接続された複数の畳み込み層を有する畳み込みニューラルネットワーク(CNN)とすることができる。そして制御装置4は、物標の種類ごとに記憶部42に記憶された物標の標準サイズと、周囲画像において検出された車外前方物標のサイズとを用いて車両100から車外前方物標までの距離(車間距離)を推定するとともに、周囲画像において検出された車外前方物標を時系列に沿って追跡(トラッキング)することで車外前方物標の位置及び速度を算出する。なお、車外前方物標の検出方法はこのような方法に限られるものではなく、公知の種々の手法で検出すればよいものである。
【0037】
ステップS2において、制御装置4は、ドライバセンサ2から受信したドライバデータ、具体的にはドライバモニタカメラから受信したドライバの外観画像に基づいて、ドライバの視線方向を検出する。
【0038】
本実施形態では制御装置4は、ドライバモニタカメラ21から受信した顔画像に対して画像処理を順次施すことによって、動点となる瞳孔中心の位置(すなわちドライバの視点位置)と、基準点となるプルキニエ像(角膜反射像)の位置と、を検出し、プルキニエ像と瞳孔中心との位置関係(基準点に対する動点の位置)に基づいてドライバの視線方向を検出する。
【0039】
ステップS3において、制御装置4は、車外前方物標が検出されているか否かを判定する。制御装置4は、車外前方物標が検出されていれば、ステップS4の処理に進む。一方で制御装置4は、車外前方物標が検出されていなければ、S5の処理に進む。
【0040】
ステップS4において、制御装置4は、車外前方物標との車間距離が所定閾値以上であるか否かを判定する。制御装置4は、車外前方物標との車間距離が所定閾値以上であれば、車外前方物標が遠方に存在していると判定してステップS5の処理に進む。一方で制御装置4は、車外前方物標との車間距離が所定閾値未満であれば、車外前方物標が近辺に存在していると判定してステップS6の処理に進む。
【0041】
ステップS5において、制御装置4は、車内機器の目視判定範囲を第1範囲に設定する。車内機器の目視判定範囲は、図4に示すように、ドライバがダッシュボードに取り付けられた車内機器(図4に示す例ではカーナビモニタ)を目視しているか否かの判定を行うための上下方向の一定の範囲である。第1範囲の上端位置は、車内機器の上端位置(図4に示す例ではカーナビのモニタの上端位置)からフロントガラスの下端位置(ダッシュボードの上端位置)までの間の任意の位置に設定される。第1範囲の下端位置は、例えば車内機器の下端位置(図4に示す例ではカーナビのモニタの下端位置)とすることができるが、その位置よりも下側であってもよいし、また或る程度上側であってもよい。
【0042】
ステップS6において、制御装置4は、車内機器の目視判定範囲を第1範囲とは異なる第2範囲に設定する。第2範囲の上端位置は、第1範囲の上端位置よりも下側に設定される。以下、その理由について説明する。
【0043】
図4に示すように、ドライバの視線方向がフロントガラスの下端位置よりも上側の範囲を向いていれば、ドライバがフロントガラス越しに他車両等の車外前方物標を目視していると判定することができる。したがって逆を言えば、ドライバの視線方向がフロントガラスの下端位置よりも下側の範囲を向いていれば、ドライバがフロントガラス越しに車外前方物標を目視しておらず、車内機器を目視している可能性があると判定することができる。
【0044】
ここで、車内機器を目視していることを感度良く検出する方法としては、車内機器の目視判定範囲の上限位置を可能な限り上側に設定すること、例えばフロントガラスの下端位置に設定することが挙げられる。これにより、ドライバの視線方向がフロントガラスの下端位置よりも下側を向いたときに、車内機器を目視していることを素早く検出することができる。
【0045】
しかしながら図5に示すように、ドライバがフロントガラス越しに車外前方物標を目視している場合において、当該車外前方物標が自車両の近辺に存在するときは、遠方に存在するときと比較して、ドライバの視線方向は上下方向(高さ方向)の下側に向く傾向にある。
【0046】
そのため、車内機器を目視していることを感度良く検出するために、車内機器の目視判定範囲の上限位置を上側に設定すると、ドライバがフロントガラス越しに車外前方物標を目視していて、当該車外前方物標との車間距離が徐々に小さくなってきたために視線方向が下側に向いたときに、視線方向が車内機器の目視判定範囲内に一時的に収まるおそれがあり、その結果、フロントガラス越しに車外前方物標を目視しているにもかかわらず車内機器の脇見をしていると判定してしまうおそれがある。
【0047】
そこで本実施形態では、車外前方物標との車間距離が所定閾値未満であるとき、すなわち車外前方物標が近辺に存在していると判定できるときは、車内機器の目視判定範囲を、その上端位置が第1範囲よりも下側に設定された第2範囲にすることとしたのである。これにより、車外前方物標との車間距離が徐々に小さくなってきてドライバの視線方向が下側に向いたとしても、視線方向が車内機器の目視判定範囲内に収まりにくくなるので、車内機器の脇見をしていると判定してしまうことを抑制できる。
【0048】
ステップS7において、制御装置4は、ドライバが車内機器の脇見をしているか、具体的にはドライバの視線方向が車内機器の目視判定範囲内に所定の脇見判定時間(例えば2秒)以上継続して収まっているか否かを判定する。制御装置4は、ドライバの視線方向が車内機器の目視判定範囲内に脇見判定時間以上継続して収まっていれば、車外前方物標を目視しておらず、脇見をしていると判定し、ステップS8の処理に進む。一方で制御装置4は、ドライバの視線方向が車内機器の目視判定範囲内に脇見判定時間以上継続して収まっていなければ、今回の処理を終了する。
【0049】
ステップS8において、制御装置4は、出力機器3を介して、脇見に関する警告をドライバに行う。脇見警告の方法や内容は特に限られるものではなく、例えば車外前方の物標を認識できていないことを音声によるアナウンスを実施することによって警告してもよいし、警告音を発することによって警告してもよいし、ディスプレイに画像情報や文字情報を表示することによって警告してもよいし、これらの組み合わせによって警告してもよい。
【0050】
以上説明した本実施形態によれば、車両100のドライバの脇見を判定する制御装置4(脇見判定装置)は、車両100の周辺の状況を表す周辺データに基づいて車両100の前方に存在する物標(車外前方物標)を検出し、ドライバの状態を表すドライバデータに基づいてドライバの視点位置及び視線方向を検出し、車外前方物標との位置関係に応じてドライバが車内前方に配置された車内機器を目視しているか否かの判定を行うための上下方向の目視判定範囲を変更し、ドライバの視線方向が目視判定範囲内に所定の脇見判定時間以上継続して収まっていれば車内機器を脇見していると判定し、車外前方物標が近辺に位置するときは、遠方に位置するときと比較して、目視判定範囲の上端位置が下側となるように目視判定範囲を変更する、ように構成されている。
【0051】
これにより、車外前方物標との車間距離が徐々に小さくなってきてドライバの視線方向が下側に向いたとしても、視線方向が車内機器の目視判定範囲内に収まりにくくなるので、車外前方物標を目視しているにもかかわらず、車内機器の目視をしていると誤判定してしまうのを抑制できる。
【0052】
なお、本実施形態では、制御装置4は、車外前方物標との位置関係を、車外前方物標との車間距離を検出することによって把握し、車外前方物標との車間距離が所定閾値以上であれば、車外前方物標が遠方に位置すると判定し、車外前方物標との車間距離が所定閾値未満であれば、車外前方物標が近辺に位置すると判定する、ように構成されている。
【0053】
これにより、車外前方物標との車間距離に応じて目視判定範囲の上端位置を適切に変更することができる。
【0054】
また、目視判定範囲の上端位置は、車外前方物標が遠方に位置するときは、例えば、車内機器の上端位置から車両100のフロントガラスの下端位置までの間の任意の位置に設定することできる。
【0055】
これにより、車外前方物標が遠方に位置するときは、ドライバの視線方向がフロントガラスの下端位置よりも下側を向いたときに、車内機器を目視していることを感度良く検出することができる。逆をいえば、車外前方物標が近辺に位置するときは、遠方に位置するときよりも目視判定範囲の上端位置が下側に変更されるため、車内機器の目視判定の感度を抑えることができる。
【0056】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、車外前方物標が遠方に存在する場合に既に車内機器の目視(脇見)が確認されているときは、その後に当該車外前方物標が近づいてきて車間距離が所定閾値未満になったとしても、目視判定範囲を第2範囲に変更せずに第1範囲のまま維持する点で、第1実施形態と相違する。以下、その相違点について説明する。
【0057】
前述した第1実施形態では、フロントガラス越しに車外前方物標を既に目視している場合において、当該車外前方物標が近づいてきたときには、車内機器の目視判定範囲が第1範囲から第2範囲に変更されて車内機器の目視判定の感度が抑制されるため、車外前方物標を目視しているにもかかわらず車内機器の脇見をしていると判定してしまうことを抑制できる。
【0058】
しかしながら第1実施形態では、遠方に存在する車外前方物標をフロントガラス越しに目視しておらず、車内機器を目視している場合において、当該車外前方物標が急接近してきたときには、車内機器の目視を開始してから所定時間が経過する前に車内機器の目視判定範囲が第2範囲に設定されてしまうおそれがある。そうすると、ドライバの視線方向が第1範囲には含まれるが第2範囲に含まれない領域内に収まっていた場合には、脇見に関する警告をドライバに行うことができなくなる。
【0059】
そこで本実施形態では、車内機器の目視を開始してから所定の脇見判定時間が経過するまでの期間に車外前方車両との車間距離が所定距離未満となった場合は、車内機器の目視判定範囲を第2範囲に変更せずに第1範囲のまま維持することとした。これにより、遠方に存在する車外前方物標を目視しておらず、車内機器を目視しているときに当該車外前方物標が急接近してきたとしても、車内機器の目視判定範囲が第1範囲から変更されることがないので、脇見に関する警告をドライバに行うことができる。
【0060】
図6は、本実施形態による車内機器の脇見判定処理の詳細について説明するフローチャートである。制御装置4は、本ルーチンを所定の演算周期で繰り返し実行する。なお、図6において、ステップS1からS8までの処理の内容は第1実施形態と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0061】
ステップS21において、制御装置4は、ドライバが車内機器の脇見中であるか否かを判定する。制御装置4は、ドライバの視線方向が車内機器の目視判定範囲内に収まっていれば、車内機器の脇見中であると判定し、ステップS22の処理に進む。一方で制御装置4は、ドライバの視線方向が車内機器の目視判定範囲内に収まっていなければ、車内機器の脇見中ではないと判定し、ステップS24の処理に進む。
【0062】
ステップS22において、制御装置4は、ドライバが車内機器の脇見を開始してからの経過時間が脇見判定時間以上になったか否かを判定する。制御装置4は、脇見を開始してからの経過時間が脇見判定時間以上になっていれば、車内機器の脇見に対してドライバに警告を行うために、ステップS23の処理に進む。一方で制御装置4は、脇見を開始してからの経過時間が脇見判定時間未満であれば、警告を行うにはまだ早いと判断してステップS25の処理に進む。
【0063】
ステップS23において、制御装置4は、前述した図3のステップS8の処理と同様に、出力機器3を介して、脇見に関する警告をドライバに対して行う。
【0064】
ステップS24において、制御装置4は、フラグFを0に設定する。フラグFは、ドライバが車内機器の脇見を開始してから脇見判定時間が経過するまでの期間において1に設定されるフラグであって、初期値は0に設定されるフラグである。
【0065】
ステップS25において、制御装置4は、フラグFを1に設定する。
【0066】
ステップS26において、制御装置4は、フラグFが1に設定されるか否かを判定する。制御装置4は、フラグFが1に設定されているとき、すなわち、遠方に存在する車外前方物標をフロントガラス越しに目視しておらず、車内機器を脇見している場合において、車内機器の脇見を開始してから脇見判定時間が経過する前に当該車外前方物標との車間距離が所定閾値未満となったときは、ステップS5の処理に進み、車内機器の目視判定範囲を第2範囲に変更せずに第1範囲のまま維持する。一方で制御装置4は、フラグFが0に設定されているときは、ステップS6の処理に進む。
【0067】
このように、本実施形態による制御装置4(脇見判定装置)は、ドライバの視線方向が目視判定範囲内に収まってから脇見判定時間が経過するまでの間に、車外前方物標との位置関係が遠方に位置する状態から近辺に位置する状態に移行したときは、目視判定範囲の変更を実施しない、ように構成されている。
【0068】
これにより、車内機器の目視を開始してから脇見判定時間が経過するまでの期間に車外前方車両との車間距離が所定距離未満となった場合は、車内機器の目視判定範囲を第2範囲に変更せずに第1範囲のまま維持することができる。そのため、遠方に存在する車外前方物標を目視しておらず、車内機器を脇見しているときに、当該車外前方物標が急接近してきたとしても、車内機器の目視判定範囲が第1範囲から変更されることがないので、車内機器を目視していることを感度良く検出して脇見に関する警告をドライバに行うことができる。
【0069】
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、ドライバが車内機器の脇見をしているか否かの判定方法が、第1実施形態と相違する。以下、その相違点について説明する。
【0070】
図7A及び図7Bに示すように、ドライバの視点位置から水平に延びる線を水平線A、ドライバの視点位置から水平線よりも下を向く視線方向に向かって延びる線を視線方向線B、ドライバの視点位置から車内機器の目視判定範囲の上端位置(この例ではカーナビモニタの上端位置)に向かって延びる線を脇見判定線C、水平線Aと視線平行線Bとが成す角を視線角度Θ1、水平線Aと脇見判定線Cとが成す角を脇見判定角度Θ2とすると、視線角度Θ1が脇見判定角度Θ2以上となったときに、ドライバが車内機器の脇見をしていると判断することができる。なお図7Aは、車外前方物標が遠方に存在する例を示し、図7Bは、車外前方物標が近辺に存在する例を示している。
【0071】
そしてドライバが車外前方物標を目視している場合において、図7Bに示すように車外前方物標が近辺に存在するときは、図7Aに示すように遠方に存在するときと比較して、視線方向が下側に向くので視線角度Θ1が大きくなる傾向にある。そのため、車外前方物標が近辺に存在するときは、ドライバが車外前方物標を目視していたとしても、視線角度Θ1と脇見判定角度Θ2との角度差が小さくなる傾向にあり、車外前方物標を目視しているにもかかわらず車内機器の脇見をしていると誤判定してしまうおそれがある。
【0072】
そこで本実施形態では、車外前方物標が近辺に存在するときは、遠方に存在するときと比較して、脇見判定角度Θ2を大きくすることとした。このようにしても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0073】
図8は、本実施形態による車内機器の脇見判定処理の詳細について説明するフローチャートである。制御装置4は、本ルーチンを所定の演算周期で繰り返し実行する。なお、図6において、ステップS1からS4、S7、S8の処理の内容は第1実施形態と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0074】
ステップS31において、制御装置4は、前述した図3のステップS2の処理と同様にドライバの視点位置及び視線方向を検出するとともに、視線角度Θ1を検出する。
【0075】
ステップS32において、制御装置4は、脇見判定角度Θ2を第1角度に設定する。第1角度は、例えば、車内機器の目視判定範囲の上端位置を第1実施形態で前述した第1範囲の上端位置とした場合の脇見判定線Cと、水平線Aと、が成す角の角度とすることができる。
【0076】
ステップS33において、制御装置4は、脇見判定角度Θ2を第1角度よりも大きい第2角度に設定する。第2角度は、例えば、車内機器の目視判定範囲の上端位置を第1実施形態で前述した第2範囲の上端位置とした場合の脇見判定線Cと、水平線Aと、が成す角の角度とすることができる。
【0077】
ステップS34において、制御装置4は、ドライバが車内機器の脇見をしているか、具体的には視線角度Θ1が所定の脇見判定時間以上継続して脇見判定角度Θ2以上となっているかを判定する。制御装置4は、視線角度Θ1が脇見判定時間以上継続して脇見判定角度Θ2以上となっていれば、車内機器の脇見をしていると判定してステップS8の処理に進む。一方で制御装置4は、視線角度Θ1が脇見判定時間以上継続して脇見判定角度Θ2以上となっていれば、今回の処理を終了する。
【0078】
以上説明した本実施形態による制御装置4(脇見判定装置)は、車両100の周辺の状況を表す周辺データに基づいて車両100の前方に存在する物標(車外前方物標)を検出し、ドライバの状態を表すドライバデータに基づいてドライバの視点位置、視線方向及び視線角度を検出し、車外前方物標との位置関係に応じてドライバが車内前方に配置された車内機器を目視しているか否かの判定を行うための脇見判定角度を変更し、ドライバの視線角度が所定の脇見判定時間以上継続して脇見判定角度以上となっていれば車内機器を脇見していると判定し、物標が近辺に位置するときは、遠方に位置するときと比較して脇見判定角度を大きくするように、構成されている。視線角度は、ドライバの視点位置から水平に延びる水平線と、ドライバの視点位置から水平線よりも下を向く視線方向に向かって延びる視線方向線との成す角の角度であり、脇見判定角度は、水平線と、ドライバの視点位置から車内機器の上端位置に向かって延びる脇見判定線との成す角の角度である。
【0079】
これにより、車外前方物標との車間距離が徐々に小さくなってきてドライバの視線方向が下側に向いたときに、視線角度が脇見判定角度以上になりにくくなるので、第1実施形態と同様に、車外前方物標を目視しているにもかかわらず車内機器を目視していると誤判定してしまうのを抑制できる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0081】
例えば上記の各実施形態では、車外前方物標が遠方に存在するか、又は近辺に存在するかを、車外前方物標との車間距離に応じて判断して車内機器の目視判定範囲を変更していた。具体的には、車外前方物標との車間距離が所定閾値以上であれば、車外前方物標が遠方に存在すると判断して車内機器の目視判定範囲を第1範囲に設定し、一方で車外前方物標との車間距離が所定閾値未満であれば、車外前方物標が近辺に存在すると判断して車内機器の目視判定範囲を第2範囲に設定していた。
【0082】
しかしながらこれに限らず、例えば図7A及び図7Bを参照して前述したように、ドライバが車外前方物標を目視している場合において、車外前方物標が近辺に存在するときは、遠方に存在するときと比較して、視線方向が下側に向くので視線角度Θ1が大きくなる傾向にある。したがって、車外前方物標が遠方に存在するか、又は近辺に存在するかを、視線角度Θ1に応じて判断するようにしてもよい。具体的には、視線角度Θ1が所定角度以下であれば、車外前方物標が遠方に存在すると判断し、視線角度Θ1が所定角度よりも大きければ、車外前方物標が近辺に存在すると判断するようにしてもよい。
【0083】
すなわち、車外前方物標との位置関係を、ドライバの視線角度Θ1を検出することによって把握し、視線角度Θ1が所定角度以下であれば、車外前方物標が遠方に位置すると判定し、視線角度Θ1が所定角度よりも大きければ、車外前方物標が近辺に位置すると判定するように、制御装置4を構成してもよい。
【0084】
また例えば、上記の各実施形態において、車外前方物標が近辺に位置するときは、遠方に位置するときと比較して、脇見判定時間を大きくするようにしてもよい。これにより、車外前方物標が近辺に位置するときは、遠方に位置するときと比較して車内機器の目視判定の感度を抑えることができるので、車外前方物標を目視しているにもかかわらず車内機器を目視していると誤判定してしまうのを一層抑制することができる。
【0085】
例えば、上記の実施形態において、制御装置4において実行されるコンピュータプログラム(車内機器の脇見判定処理)は、半導体メモリ、磁気記録媒体または光記録媒体といった、コンピュータ読取可能な可搬性の記録媒体に記録された形で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0086】
4 制御装置(脇見判定装置)
100 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8