(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162121
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】模型玩具、及び可動構造体
(51)【国際特許分類】
A63H 3/46 20060101AFI20241114BHJP
A63H 3/36 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A63H3/46 B
A63H3/36 D
A63H3/36 G
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077350
(22)【出願日】2023-05-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山上 篤史
(72)【発明者】
【氏名】上原 瑠哉
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA12
2C150CA01
2C150EH07
2C150EH16
2C150FD08
(57)【要約】
【課題】本発明は、例えば自然な印象で動作を行う可動機構を実現する仕組みを提供する。
【解決手段】本人形型玩具(100)は、球形状の第1連結部(312)と、一端に形成された第2連結部(313)とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツ(201)と、第1連結部を回動可能に受け入れる第1接続部(401)を有する第2パーツ(202)と、第2連結部に回転可能に接続される第2接続部(331a、331b)を一端に有する第3パーツ(203a、203b)とを備える。また、第1連結部と第1接続部によって模型玩具の第1可動機構が形成され、第2連結部と第2接続部によって、第1可動機構とは異なる可動軸を含む模型玩具の第2可動機構が形成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
模型玩具であって、
球形状の第1連結部と、一端に形成された第2連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、
前記第1連結部を回動可能に受け入れる第1接続部を有する第2パーツと、
前記第2連結部に回転可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツと
を備え、
前記第1連結部と前記第1接続部によって前記模型玩具の第1可動機構が形成され、
前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む前記模型玩具の第2可動機構が形成されることを特徴とする模型玩具。
【請求項2】
前記第3パーツは、それぞれが前記第2接続部を有する2つの第3パーツであり、
前記第2可動機構は、一方の前記第3パーツの第2接続部が前記第2連結部に回転可能に接続され、さらに、他方の前記第3パーツの第2接続部が該第2連結部に回転可能に接続されることにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の模型玩具。
【請求項3】
前記第1パーツは他端に形成された球形状の第3連結部をさらに有し、
前記第3連結部は第4パーツと接続されて第3可動機構を形成することを特徴とする請求項1に記載の模型玩具。
【請求項4】
前記第1可動機構は、前記模型玩具の服飾の一部を形成する前記第2パーツの可動軸として機能し、
前記第2可動機構は、前記模型玩具の股関節の可動軸として機能し、
前記第3可動機構は、前記模型玩具の腰関節の可動軸として機能することを特徴とする請求項3に記載の模型玩具。
【請求項5】
2つの前記第3パーツの他端には、前記模型玩具の脚部がそれぞれ接続されることを特徴とする請求項2に記載の模型玩具。
【請求項6】
2つの前記第3パーツの他端はそれぞれ円筒部を有し、
各円筒部が前記脚部の内部に設けられた球形状の接続部へ挿入され、各脚部が前記第3パーツに対して回動可能に接続されることを特徴とする請求項5に記載の模型玩具。
【請求項7】
前記第2パーツは、前記第1パーツに連結された際に、前記第1パーツ及び前記第3パーツを覆うように形成され、かつ、前記第3パーツの前記第2接続部に対して前記脚部を接続するための開口部が形成されており、
前記脚部は、前記第1可動機構及び前記第2可動機構によって前記開口部の開口領域の範囲内で多方向に回動可能であることを特徴とする請求項5又は6に記載の模型玩具。
【請求項8】
前記第2可動機構による前記脚部の回動に追従して、前記第1可動機構によって前記第2パーツが回動可能であることを特徴とする請求項7に記載の模型玩具。
【請求項9】
可動構造体であって、
球形状の第1連結部と、一端に形成された第2連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、
前記第1連結部を回動可能に受け入れる第1接続部を有する第2パーツと、
前記第2連結部に回転可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツと
を備え、
前記第1連結部と前記第1接続部によって前記可動構造体の第1可動機構が形成され、
前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む前記可動構造体の第2可動機構が形成されることを特徴とする可動構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型玩具、及び可動構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
人形型玩具(模型玩具)においては、自然な動作や多彩なポージングを実現することが求められている。したがって、人間や動物に近い動作やポージングを実現すべく、人形型玩具には種々の関節や可動部が含まれるものである。特許文献1には、現実の動物と同様なリアルな動きを可能とした関節構造を有している四足動物人形が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、多彩な動作を実現するために種々の関節が含まれ、各関節は複数のパーツから構成されている。しかし、小型の人形型玩具においては、その空間的な制限からできる限り少ない数のパーツで多彩な動作を行うことが求められる。
【0005】
本発明は、自然な印象で動作を行う可動機構を実現する新規な仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば、模型玩具であって、球形状の第1連結部と、一端に形成された第2連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、前記第1連結部を回動可能に受け入れる第1接続部を有する第2パーツと、前記第2連結部に回転可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツとを備え、前記第1連結部と前記第1接続部によって前記模型玩具の第1可動機構が形成され、前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む前記模型玩具の第2可動機構が形成されることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、例えば、可動構造体であって、球形状の第1連結部と、一端に形成された第2連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、前記第1連結部を回動可能に受け入れる第1接続部を有する第2パーツと、前記第2連結部に回転可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツとを備え、前記第1連結部と前記第1接続部によって前記可動構造体の第1可動機構が形成され、前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む前記可動構造体の第2可動機構が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、自然な印象で動作を行う可動機構を実現する新規な仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】一実施形態に係る人形型玩具の外観正面の一例を示す図。
【
図1B】一実施形態に係る人形型玩具の外観側面の一例を示す図。
【
図2】一実施形態に係る人形型玩具の(a)胴体部の分解斜視図、及び(b)腰部の分解斜視図。
【
図3】一実施形態に係る人形型玩具の第2可動機構の組立図。
【
図4】一実施形態に係る人形型玩具の第1可動機構の(a)分解図、及び(b)平面図、(c)側面図。
【
図5】一実施形態に係る人形型玩具の脚部の分解斜視図。
【
図6】一実施形態に係る人形型玩具の胴体の断面図。
【
図7】一実施形態に係る人形型玩具の下体部の動作を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<人形型玩具の外観>
まず、
図1A及び
図1Bを参照して、本実施形態に係る人形型玩具100の外観構成の一例について説明する。
図1Aは人形型玩具100の外観正面を示す。
図1Bは人形型玩具100の外観側面を示す。なお、上下、左右、前後の矢印については図における人形型玩具の向きを示し、他の図面についても同様である。
【0012】
人形型玩具(人形体)100は、頭部101、胸部102、腕部103a、103b、腹部104、腰部105、及び脚部107a、107bを備える。人形型玩具100は、可動フィギアなどの可動式の人形型玩具であり、各パーツは他の部材との関係で生じる制限領域の範囲内で可動させることができる。頭部101は胸部102に球形状の連結部材によって連結される(以下では、ボールジョイントとも称する。)。胸部102には、さらに右腕部103a及び左腕部103bを含む腕部103が球形状の連結部材で連結され、下部において腹部104が連結される。胸部の詳細な構成については後述する。腹部104には腰部105が連結される。腰部105には右脚部107a及び左脚部107bを含む脚部107が連結され、スカート等の服飾部で覆われる。
【0013】
なお、以下では、頭部101、胸部102、及び腕部103を含む上半身を上体部と称する。また、腰部105、脚部107a、107bを含む下半身を下体部と称する。上体部及び下体部は腹部104を介して連結される。また、胸部102、腹部104、及び腰部105をまとめて胴体部とも称する。以下では、本実施形態に係る可動構造体として、主に腰関節及び股関節の構造について説明する。しかしながら、本発明を限定する意図はなく、以下で説明する可動構造体は、腰関節や股関節に限らず、他の関節部、例えば腕部を連結する肩関節や胸関節などの関節部に適用することも可能である。
【0014】
<腰部の構成>
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る人形型玩具100の腰部105を中心とした付近の詳細構成ついて説明する。
図2(a)は胸部102及び腹部104と、腰部105及び脚部107の上腿部分と、脚部107の下腿部分とを分解した斜視図である。
図2(b)は腰関節及び股関節を含む腰部105と、脚部107a、107bの一部との分解図である。
【0015】
図2(a)に示すように、腰部105は腹部104に対して連結されるものであり、
図2(b)に示すパーツ201の球形状の連結部(ボールジョイント)で連結される。即ち、本実施形態に係る腰関節はボールジョイントで回動可能に腰部105を腹部104に対して連結するものである。しかし、本発明を限定する意図はなく、球形状の連結部に代えて他の形状の連結部を採用してもよい。
【0016】
図2(b)は
図2(a)の点線で囲まれた腰部105及び脚部107の上腿部分の分解構成を示す。腰部105は、少なくとも複数のパーツ201~204を含んで構成される。パーツ201は、複数の可動機構の基部となるパーツ(第1パーツ)である。パーツ202(第2パーツ)はパーツ201に対して回動可能に接続される。パーツ202は、人形型玩具100の腰部の一部や服飾の一部を構成する。したがって、本実施形態に係る人形型玩具100では、腰部の一部や服飾の一部が他可動機構や他のパーツから独立した軸可動で動作するものである。
【0017】
パーツ203a、203bのそれぞれは、パーツ201の一端に形成された円筒部に順次接続される。これにより、人形型玩具100の股関節が形成される。パーツ203a、203のそれぞれには、さらに、脚部107a、107bの上腿部分であるパーツ205a、205bが接続される。また、パーツ201、202、203a、203bが組み立てられたパーツ群が、人形型玩具100の服飾の一部であるスカート等を表現するパーツ204で覆われる。具体的には、パーツ201、202、203a、203bがパーツ204の下部から挿入され、パーツ201の球形状の連結部が腹部104を構成するパーツに回動可能に連結され、腰関節可動機構が構成される。
【0018】
このように、複数可動機構の基部となるパーツ201が他のパーツと連結されることによって、パーツ202の可動機構(第1可動機構)、股関節の可動機構(第2可動機構)、及び腰関節の可動機構(第3可動機構)が実現される。これにより、少ないパーツで種々の動作を実現することができる。具体的には、パーツ201がボールジョイントによってパーツ202に対して多方向に回動可能に接続される。
【0019】
複数の可動機構を実現することによって、本実施形態によれば、脚部107a、107bの一部を形成するパーツ205a、205bの股関節への接続部分がそれぞれ挿入されるパーツ202の2つの開口部の開口領域を有効に利用することができる。例えば、パーツ201がパーツ202に対して多方向に回動することにより、パーツ205a、205bがそれぞれ接続されるパーツ203a、203bの円筒部も連動して回動し、当該開口部の開口領域を最大限に活用した可動範囲を得ることができる。つまり、股関節の可動機構による可動に加えて、パーツ201によるパーツ204に対する回動により、さらに可動範囲を広げることができる。従って、より自然な動作や多彩なポージングを実現することができる。動作の詳細については後述する。
【0020】
<複数の可動機構の詳細な構成>
次に、
図3及び
図4を参照して、本実施形態に係る人形型玩具100の複数の可動機構の詳細構成について説明する。
図3(a)及び
図3(b)は本実施形態に係る第2可動機構の組立構成を示す。
図3(c)は本実施形態に係る第2可動機構による動作の一例を示す。
【0021】
図3(a)に示すように、パーツ201には、腹部104のパーツに連結され、腰関節を形成する球形状の連結部311と、パーツ202に連結される球形状の連結部312と、股関節を形成するための円筒形状(又は棒形状)の連結部313とが含まれる。また、パーツ203a、203bは、一端にリング形状の接続部331a、331bと、他端に円筒形状の接続部332a、332bとを有する。まずパーツ201には一方のパーツ203bが接続される。具体的には、リング形状の接続部331bに対して連結部313が挿入されて連結される。パーツ203bの円筒形状(又は棒形状)の接続部332bにはさらに脚部107bのパーツ205bが接続される。
【0022】
図3(b)に示すように、パーツ203bはパーツ201に対して連結部313を回転軸(可動軸)として矢印方向に回転可能である。したがって、パーツ203bに接続される脚部107bも連動して矢印方向に回動する。パーツ203bが接続されたパーツ201には、さらに他方のパーツ203aが接続される。具体的には、リング形状の接続部331aに対して円筒形状の連結部313が挿入されて連結される。パーツ203aの円筒形状(又は棒形状)の接続部332aにはさらに脚部107aのパーツ205aが接続される。ここでは、パーツ201に対してパーツ203b、パーツ203aの順序で連結する例について説明したが、本発明を限定する意図はなく、逆の順序で連結されてもよい。
【0023】
図3(c)に示すように、パーツ203aはパーツ201に対して連結部313を回転軸として矢印方向に回転可能である。パーツ203aに接続される脚部107aも連動して矢印方向に回動する。このように、本実施形態に係る人形型玩具100の股関節はパーツ201とパーツ203a、203bとによって形成され、パーツ203a、203bに連結される脚部107a、107bがパーツ201の連結部313を回転軸として回動することができる。なお、脚部107a、107bはさらに追加の可動機構を備える。詳細については
図5を用いて後述する。
【0024】
また、
図3(c)を参照すると明らかなように、連結部313は人形型玩具100の下方向にある程度の傾きを有して形成される。これは、人間の股関節に類似した動作を実現するためのものである。人間の股関節からは、左脚、右脚がそれぞれ斜め下方向に延伸しており、真横に延伸しているわけではない。したがって、連結部313を人間と同様の傾きで形成することにより、より自然な印象での動作を実現することができる。例えば、本実施形態に係る股関節は斜め下方向に動作することができる。即ち、連結部313に接続されるパーツ203a、203b及び当該パーツに接続される脚部107a、107bについても斜め下方向、或いは戻る方向として斜め上方向への回動が可能となる。
【0025】
図4は本実施形態に係る第1可動機構を説明する図である。
図4(a)は
図3で説明した股関節をパーツ202へ組み付ける様子を示す。
図4(b)は組立後の平面図を示し、
図4(c)は側面図を示す。
【0026】
図4(a)に示すように、股関節として組み立てられたパーツ群のうち、パーツ201の連結部312が可動軸としてパーツ202の円筒形状の受け入れ部401に回動可能に連結される。これにより第2可動機構が構成される。パーツ202は例えば人形型玩具100の服飾部であり、パーツ201と連結することにより股関節に追従して動作可能となり、例えば脚部107を屈折させる動作を行う場合に、より可動範囲を広げつつ自然な動作を実現することができる。
【0027】
パーツ202には、脚部107a、107bがそれぞれ挿入されて、パーツ201の接続部332a、332bと連結させるための開口部402a、402bが形成されている。なお、パーツ201がパーツ202に対して可動しない構成である場合、脚部107a、107bは、接続部332a、332bに対して回転可能に連結されるため、当該回転動作に応じた範囲内で動作することができる。しかし、
図4(c)に示すように、接続部332bを回転軸とした脚部107bの回転動作だけでは、パーツ202に形成された開口部402bの開口領域を有効に利用することができない。
【0028】
そこで、本実施形態では、パーツ201の連結部312を球形状で形成し、パーツ202に対して連結させる。これにより、
図4(b)及び
図4(c)に示すように、パーツ201は、パーツ202に形成された開口部402a、402bの開口領域の範囲内で多方向に回動可能となる。これにより、パーツ202に形成された開口部402a、402bの開口領域を有効に利用し、より可動範囲を拡大させることができる。
【0029】
<脚部の可動機構>
次に、
図5を参照して、本実施形態に係る股関節に接続される脚部の可動機構ついて説明する。
図5(a)は脚部107aの一部のパーツ205aの分解図を示す。
図5(b)はパーツ203aとパーツ205aを接続した状態の断面図を示す。なお、
図5を用いて、右脚の可動機構の構成について説明するが、左脚の構成については同様であるため説明を省略する。
【0030】
図5(a)に示すように、脚部107aのパーツ205aは、さらにパーツ341~344を含んで構成される。パーツ341はパーツ205aの基部となるパーツであり、上部の受け入れ部において、球形状のパーツ342とパーツ203aの接続部332aが接続される。つまり、パーツ342とパーツ203aの接続部332aが組み付けられることにより、球形状の連結部(ボールジョイント)として機能する。なお、パーツ342とパーツ203aとの2つのパーツでボールジョイントを形成することにより、1つのパーツで実現する場合と比較して、人形型玩具100を組み立てる際に必要な空間を確保することができる。
【0031】
図5(b)に示すように、パーツ203aとパーツ342とが組み付けられてボールジョイントを形成し、脚部107aの内部に設けられる。したがって、パーツ205aに接続される脚部107aは、股関節に対して他のパーツの制限の範囲内で矢印501に示すように全方向に回動可能となる。また、パーツ341の下部の円筒部がパーツ344の凹部に回転可能に挿入される。したがって、脚部107aでは、パーツ344以下の部分がパーツ341に対して矢印502の方向に回転可能である。
【0032】
<下体部の動作>
以下では、
図6及び
図7を参照して、本実施形態に係る下体部の動作について説明する。
図6は
図1AのA-A’の切断面で切断した場合の胴体部の断面図を示す。
【0033】
パーツ201は腹部104及び腰部105を連結する連結部材であり、接続されるパーツとともに矢印601~604の少なくとも4つの可動機構を有して組み付けられる。矢印601方向の動作は、球形状で形成された連結部311に接続される腹部104からパーツ201が人形型玩具100の上下方向への動作可能であることを示す。これにより、パーツ201及びパーツ201に接続された腰部105は、腹部104から下方向へずらすことができ、腹部104と腰部105と間に空間をつくることができる。この空間は、例えば矢印602~603方向へ動作する際の空間を確保するためのものであり、より可動域を広げる効果がある。
【0034】
矢印602は、
図4を用いて説明したように、パーツ201に対してパーツ202が多方向に回動可能であることを示す。当該動作については既に説明しているため詳細については省略する。矢印603は、
図4を用いて説明したように、パーツ201に対してパーツ203a、203bが人形型玩具100の上下方向に回転可能であることを示す。当該動作については既に説明しているため詳細については省略する。
【0035】
矢印604は、腹部104に対して他のパーツによる空間的制限の範囲内で全方向へ回動可能であることを示す。これは、パーツ201の連結部311が球形状で形成されているためである。このように、本実施形態に係るパーツ201を中心とした可動機構は上述した少なくとも4つの動作が可能である。これらの4つの動作を組み合わせることにより、本実施形態に係る人形型玩具100は少ないパーツでより広い可動域で種々の動作を実現することができる。
【0036】
以下では、本実施形態に係る人形型玩具100の動作の一例を示す。
図7は脚部107(脚部107bのパーツ205b)を前方向に回動させた状態での姿勢を示す。
【0037】
まず矢印701に示すように、パーツ201を下方向に引き出す。これにより、パーツ201に接続された腰部105の各種パーツや脚部107も同時に下方向へ引き出される。続いて、矢印702に示すように、パーツ201の連結部313に対してパーツ203a、203bをそれぞれ斜め下方向に(例えば、18度)回動させることができる。この際、脚部107a、107bも同様に人形型玩具100の上体部から離れる方向に動作する。したがって、人形型玩具100の臀部あたりにおいて、脚部107と上体部との間に隙間が発生し、人形型玩具100の体形のラインが途切れてしまい不自然な印象となる。
【0038】
そこで、本実施形態によればさらに、矢印703に示すように、パーツ201に対してパーツ202を下方向に(例えば、20度)回転させることができる。これにより、パーツ202が腰部の一部や服飾部の一部を形成しているため、脚部107の動きに追従した動作を行うことができ、体のラインを滑らかに見せることができる。
【0039】
さらに、矢印704に示すように、パーツ205とパーツ203とによって形成されたボールジョイント(610)によって、脚部107を服飾パーツの空間の範囲内で回動させることができる。このように動作させることにより、脚部107を前方向に大きく回動させることができる。なお、上述した動作の順序については本発明を限定する意図はなく、任意の順序で動作することが可能である。
【0040】
図7に示すように、腰部105及び脚部107bを前方向に回動させた場合において、人形型玩具100の背中から臀部にかけてのライン(点線で示す)が滑らに自然な印象で当該回動動作を行うことができる。なお、股関節が斜め方向に動作することから、脚部107a、107bをクロスさせるなどの姿勢を容易に行うことも可能である。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る模型玩具(100)は、球形状の第1連結部(312)と、一端に形成された第2連結部(313)とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツ(201)と、第1連結部を回動可能に受け入れる第1接続部(401)を有する第2パーツ(202)と、第2連結部に回転可能に接続される第2接続部(331a、331b)を一端に有する第3パーツ(203a、203b)とを備える。また、第1連結部と第1接続部によって模型玩具の第1可動機構が形成され、第2連結部と第2接続部によって、第1可動機構とは異なる可動軸を含む模型玩具の第2可動機構が形成される。これにより、本発明は、例えば模型玩具において、より少ないパーツで複数の可動機構を実現する仕組みを提供することができる。また、本発明は、例えば、第1可動機構及び第2可動機構によって、股関節に接続された脚部107a、107bが多方向に回動することができ、パーツ202の開口部402a、402bの開口領域を有効に利用することができる。これにより、自然な印象で動作を行う可動機構を実現する仕組みを提供することができる。
【0042】
<変形例>
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。上記実施形態では、模型玩具として人形型玩具の例を説明したが、人形型玩具(人形体)の形状は、特に限定されるものではなく、人、動物、ロボット、昆虫、恐竜、仮想生命体等、様々な形状を含むものである。また、可動部を含む形態であれば、模型玩具の形状は特に限定されるものではない。
【0043】
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は以下の模型玩具、及び関節構造体を少なくとも開示する。
(1)模型玩具であって、
球形状の第1連結部と、一端に形成された第2連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、
前記第1連結部を回動可能に受け入れる第1接続部を有する第2パーツと、
前記第2連結部に回転可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツと
を備え、
前記第1連結部と前記第1接続部によって前記模型玩具の第1可動機構が形成され、
前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む前記模型玩具の第2可動機構が形成されることを特徴とする模型玩具。
(2)前記第3パーツは、それぞれが前記第2接続部を有する2つの第3パーツであり、
前記第2可動機構は、一方の前記第3パーツの第2接続部が前記第2連結部に回転可能に接続され、さらに、他方の前記第3パーツの第2接続部が該第2連結部に回転可能に接続されることにより形成されることを特徴とする(1)に記載の模型玩具。
(3)前記第1パーツは他端に形成された球形状の第3連結部をさらに有し、
前記第3連結部は第4パーツと接続されて第3可動機構を形成することを特徴とする(1)又は(2)に記載の模型玩具。
(4)前記第1可動機構は、前記模型玩具の服飾の一部を形成する前記第2パーツの可動軸として機能し、
前記第2可動機構は、前記模型玩具の股関節の可動軸として機能し、
前記第3可動機構は、前記模型玩具の腰関節の可動軸として機能することを特徴とする(3)に記載の模型玩具。
(5)2つの前記第3パーツの他端には、前記模型玩具の脚部がそれぞれ接続されることを特徴とする(2)に記載の模型玩具。
(6)2つの前記第3パーツの他端はそれぞれ円筒部を有し、
各円筒部が前記脚部の内部に設けられた球形状の接続部へ挿入され、各脚部が前記第3パーツに対して回動可能に接続されることを特徴とする(5)に記載の模型玩具。
(7)前記第2パーツは、前記第1パーツに連結された際に、前記第1パーツ及び前記第3パーツを覆うように形成され、かつ、前記第3パーツの前記第2接続部に対して前記脚部を接続するための開口部が形成されており、
前記脚部は、前記第1可動機構及び前記第2可動機構によって前記開口部の開口領域の範囲内で多方向に回動可能であることを特徴とする(5)又は(6)に記載の模型玩具。
(8)前記第2可動機構による前記脚部の回動に追従して、前記第1可動機構によって前記第2パーツが回動可能であることを特徴とする(5)乃至(7)の何れか1つに記載の模型玩具。
(9)可動構造体であって、
球形状の第1連結部と、一端に形成された第2連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、
前記第1連結部を回動可能に受け入れる第1接続部を有する第2パーツと、
前記第2連結部に回転可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツと
を備え、
前記第1連結部と前記第1接続部によって前記可動構造体の第1可動機構が形成され、
前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む前記可動構造体の第2可動機構が形成されることを特徴とする可動構造体。
【符号の説明】
【0044】
100:人形型玩具、101:頭部、102:胸部、103a、103b:腕部、104:腹部、105:腰部、107a、107b:脚部
【手続補正書】
【提出日】2023-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
模型玩具であって、
球形状の第1連結部と、一端に形成された第2連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、
前記第1連結部を回動可能に受け入れる第1接続部を有する第2パーツと、
前記第2連結部に回動可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツと
を備え、
前記第1連結部と前記第1接続部によって前記模型玩具の第1可動機構が形成され、
前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む前記模型玩具の第2可動機構が形成され、
前記第1パーツは他端に形成された第3連結部をさらに有し、
前記第3連結部は第4パーツと接続されて第3可動機構を形成することを特徴とする模型玩具。
【請求項2】
前記第3パーツは、それぞれが前記第2接続部を有する2つの第3パーツであり、
前記第2可動機構は、一方の前記第3パーツの第2接続部が前記第2連結部に回動可能に接続され、さらに、他方の前記第3パーツの第2接続部が該第2連結部に回動可能に接続されることにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の模型玩具。
【請求項3】
前記第1可動機構は、前記模型玩具の服飾の一部を形成する前記第2パーツの可動軸として機能し、
前記第2可動機構は、前記模型玩具の股関節の可動軸として機能し、
前記第3可動機構は、前記模型玩具の腰関節の可動軸として機能することを特徴とする請求項1に記載の模型玩具。
【請求項4】
2つの前記第3パーツの他端には、前記模型玩具の脚部がそれぞれ接続されることを特徴とする請求項2に記載の模型玩具。
【請求項5】
2つの前記第3パーツの他端はそれぞれ円筒部を有し、
各円筒部が前記脚部の内部に設けられた球形状の接続部へ挿入され、各脚部が前記第3パーツに対して回動可能に接続されることを特徴とする請求項4に記載の模型玩具。
【請求項6】
前記第2パーツは、前記第1パーツに連結された際に、前記第1パーツ及び前記第3パーツを覆うように形成され、かつ、前記第3パーツの前記第2接続部に対して前記脚部を接続するための開口部が形成されており、
前記脚部は、前記第1可動機構及び前記第2可動機構によって前記開口部の開口領域の範囲内で多方向に回動可能であることを特徴とする請求項4又は5に記載の模型玩具。
【請求項7】
前記第2可動機構による前記脚部の回動に追従して、前記第1可動機構によって前記第2パーツが回動可能であることを特徴とする請求項6に記載の模型玩具。
【請求項8】
可動構造体であって、
球形状の第1連結部と、一端に形成された第2連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、
前記第1連結部を回動可能に受け入れる第1接続部を有する第2パーツと、
前記第2連結部に回動可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツと
を備え、
前記第1連結部と前記第1接続部によって前記可動構造体の第1可動機構が形成され、
前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む前記可動構造体の第2可動機構が形成され、
前記第1パーツは他端に形成された第3連結部をさらに有し、
前記第3連結部は第4パーツと接続されて第3可動機構を形成することを特徴とする可動構造体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、例えば、模型玩具であって、球形状の第1連結部と、一端に形成された第2連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、前記第1連結部を回動可能に受け入れる第1接続部を有する第2パーツと、前記第2連結部に回転可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツとを備え、前記第1連結部と前記第1接続部によって前記模型玩具の第1可動機構が形成され、前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む前記模型玩具の第2可動機構が形成されることを特徴とする。
また、本発明は、例えば、模型玩具であって、球形状の第1連結部と、一端に形成された第2連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、前記第1連結部を回動可能に受け入れる第1接続部を有する第2パーツと、前記第2連結部に回動可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツとを備え、前記第1連結部と前記第1接続部によって前記模型玩具の第1可動機構が形成され、前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む前記模型玩具の第2可動機構が形成され、前記第1パーツは他端に形成された第3連結部をさらに有し、前記第3連結部は第4パーツと接続されて第3可動機構を形成することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
また、本発明は、例えば、可動構造体であって、球形状の第1連結部と、一端に形成された第2連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、前記第1連結部を回動可能に受け入れる第1接続部を有する第2パーツと、前記第2連結部に回転可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツとを備え、前記第1連結部と前記第1接続部によって前記可動構造体の第1可動機構が形成され、前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む前記可動構造体の第2可動機構が形成されることを特徴とする。
また、本発明は、例えば、可動構造体であって、球形状の第1連結部と、一端に形成された第2連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、前記第1連結部を回動可能に受け入れる第1接続部を有する第2パーツと、前記第2連結部に回動可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツとを備え、前記第1連結部と前記第1接続部によって前記可動構造体の第1可動機構が形成され、前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む前記可動構造体の第2可動機構が形成され、前記第1パーツは他端に形成された第3連結部をさらに有し、前記第3連結部は第4パーツと接続されて第3可動機構を形成することを特徴とする。