(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162124
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241114BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J29/38 206
B41J2/01 305
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077366
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】池田 優汰
(72)【発明者】
【氏名】本田 貴啓
(72)【発明者】
【氏名】宮本 健司
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB03
2C056EB13
2C056EB49
2C056EC03
2C056EC14
2C056EC36
2C056FA13
2C056HA28
2C056HA46
2C061AP04
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061HJ03
2C061HJ04
2C061HK09
2C061HK19
(57)【要約】
【課題】印刷物における画像不良の発生を抑制可能な画像形成システムを提供すること。
【解決手段】画像形成システムは、印刷部と、積載部と、制御部とを備える。前記印刷部は、シートに画像を形成して印刷物を生成する。前記積載部には、前記印刷物が積載される。前記制御部は、前記印刷部で生成された前記印刷物のうち、第一印刷物、及び前記第一印刷物の次に生成される第二印刷物をフェイスアップ及びフェイスダウンで前記積載部にそれぞれ排出させる。前記制御部は、前記積載部に排出される前記第一印刷物を乾燥させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成して印刷物を生成する印刷部と、
前記印刷物が積載される積載部と、
前記印刷部で生成される前記印刷物のうち、第一印刷物、及び前記第一印刷物の次に生成される第二印刷物をフェイスアップ及びフェイスダウンで前記積載部にそれぞれ排出させる排出制御部と、
前記積載部に排出される前記第一印刷物を乾燥させる乾燥制御部と
を備える、画像形成システム。
【請求項2】
前記乾燥制御部は、前記第一印刷物が前記積載部に積載されてから第二印刷物が前記積載部に積載されるまでのタイミングを調整する、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記印刷部と、前記積載部との間に位置し、前記印刷部により生成された前記印刷物を退避させる退避部を更に備え、
前記乾燥制御部は、前記積載部に排出される前に前記第二印刷物を前記退避部に退避させる、請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記乾燥制御部は、前記第一印刷物における印字率と、前記第二印刷物における印字率との合計値に基づいて、前記積載部に排出される前記第一印刷物を乾燥させる、請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項5】
ファンを更に備え、
前記乾燥制御部は、前記印刷部により生成された前記第一印刷物及び前記第二印刷物の少なくとも一方の印刷面に向けて送風するように前記ファンを制御する、請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記乾燥制御部は、周囲温度及び/又は周囲湿度に基づいて、前記積載部に排出された前記第一印刷物を乾燥させる、請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記乾燥制御部は、前記合計値が閾値以上の場合に、前記積載部に排出された前記第一印刷物を乾燥させ、
前記閾値は、前記シートの種別により異なる、請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記乾燥制御部は、前記第一印刷物の特定領域における印字率と、前記第二印刷物において前記特定領域と同一領域の印字率との合計値に基づいて、前記積載部に排出された前記第一印刷物を乾燥させる、請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1は、画像形成装置を開示する。画像形成装置では、複数の記録媒体の各々に画像が形成され、複数の印刷物が生成される。画像形成装置では、フェイスダウンモード及びフェイスアップモードのうちフェイスダウンモードが選択されている場合、各印刷物は、それぞれの印刷面が下方を向いた状態(即ち、フェイスダウン)で排出トレイに排出される。一方、フェイスアップモードが選択されている場合、各印刷物は、それぞれの印刷面が上方を向いた状態(即ち、フェイスアップ)で排出トレイに排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置では、一枚目の印刷物がフェイスアップで排出トレイに排出された後、次の印刷物がフェイスダウンで同一排出トレイに排出されることがある。この場合、各印刷物に画像不良が発生するおそれがある。具体例を挙げると、二枚の印刷物における印刷面が互いに擦れ合うため、一方の印刷物から他方の印刷物へと色移りするおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、印刷物における画像不良の発生を抑制可能な画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成システムは、印刷部と、積載部と、排出制御部と、乾燥制御部とを備える。前記印刷部は、シートに画像を形成して印刷物を生成する。前記積載部には、前記印刷物が積載される。前記排出制御部は、前記印刷部で生成された前記印刷物のうち、第一印刷物、及び前記第一印刷物の次に生成される第二印刷物をフェイスアップ及びフェイスダウンで前記積載部にそれぞれ排出させる。前記乾燥制御部は、前記積載部に排出される前記第一印刷物を乾燥させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、印刷物における画像不良の発生を抑制可能な画像形成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】画像形成システムの構成の例示する図である。
【
図2】
図1に示される制御部の機能ブロック図である。
【
図3】
図1に示される画像形成システムの処理を示すフローチャートである。
【
図4A】
図3に示されるステップS104の詳細な処理の第一部分を示すフローチャートである。
【
図4B】
図3に示されるステップS104の詳細な処理の第二部分を示すフローチャートである。
【
図5】第四変形例に係る制御部の処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る画像形成システム100について説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
図1は、画像形成システム100の構成を例示する図である。
図1に示されるように、画像形成システム100は、画像形成装置1と、後処理装置2とを備える。画像形成装置1及び後処理装置2は相互に通信可能である。
【0011】
画像形成装置1は、用紙P1に画像を形成して印刷物P2を生成する。用紙P1は、「記録媒体」の一例である。印刷物P2は、画像が形成された用紙P1である。画像形成装置1は、例えばラインヘッド方式のインクジェットプリンターである。この場合、画像はインクにより形成される。なお、画像形成装置1は、所謂シリアルヘッド方式のインクジェットプリンターであってもよいし、電子写真方式のプリンター又は複写機であってもよい。
【0012】
詳細には、画像形成装置1は、筐体11と、供給カセット12と、給送部13と、搬送路14と、複数の中間搬送ローラー対15と、レジストローラー対16と、印刷部17と、ベルト搬送部18と、吸引装置19と、搬送路110と、排出ローラー対111と、乾燥装置113とを備える。
【0013】
供給カセット12は、筐体11内の下部に装着される。供給カセット12内には、複数の用紙P1が積載される。
【0014】
給送部13は、供給カセット12に対して用紙P1の搬送方向D1の下流側に位置する。
図1の例では、給送部13は、供給カセット12の右上隅よりも若干上方に位置する。給送部13は、供給カセット12内の用紙P1を1枚ずつ分離し供給カセット12から送り出す。
【0015】
搬送路14は、筐体11内にガイド部材により形成される。搬送路14の上流端は、供給カセット12の右上隅付近に位置する。搬送路14の上流端には、給送部13により送り出された用紙P1が送り込まれる。搬送路14の下流端は、供給カセット12の右上隅よりも上方に位置する。搬送路14は、下流端と上流端との間で、主に上方に延びる。搬送路14は、下流端付近において略水平方向に延びる。搬送路14には、複数の中間搬送ローラー対15が位置する。用紙P1は、各中間搬送ローラー対15により、搬送路14の下流端に向けて搬送される。
【0016】
レジストローラー対16は、搬送路14の下流端付近に位置する。また、搬送路14の下流側には、印刷部17とベルト搬送部18とが位置する。ベルト搬送部18は、レジストローラー対16のニップよりも若干下方に位置する。印刷部17は、ベルト搬送部18よりも若干上方に位置する。レジストローラー対16は、用紙P1のスキューを矯正する。レジストローラー対16は、制御部114の制御下で、ベルト搬送部18の上流端に用紙P1を送り出す。
【0017】
ベルト搬送部18は、駆動ローラー181と、従動ローラー182と、これらに巻き掛けられた無端状のサクションベルト183とを有する。サクションベルト183は、駆動ローラー181の回転により、駆動ローラー181及び従動ローラー182の各上端間で、略水平方向(
図1では左方向)に沿って下流に向けて走行する。サクションベルト183の内側には、吸引装置19が位置する。吸引装置19は、サクションベルト183に形成された多数の穴(図示せず)から空気を吸引する。その結果、レジストローラー対16から送り出された用紙P1は、回転するサクションベルト183の上端面に吸着された状態で搬送される。
【0018】
印刷部17は、サクションベルト183により搬送される用紙P1に、インクにより画像を記録する。詳細には、印刷部17は、4つのラインヘッド171を有する。4つのラインヘッド171は、制御部114の制御下で、サクションベルト183に吸着された用紙P1に向かって、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクをそれぞれ吐出可能である。これにより、印刷部17は、用紙P1の一面に画像をインクにより形成して、印刷物P2を生成する。画像は、カラー画像又はモノクロ画像である。
【0019】
搬送路110は、筐体11内にガイド部材により形成される。搬送路110の上流端は、ベルト搬送部18の下流端付近にある。搬送路110は、搬送路110の上流端から略水平方向に沿って延びた後に、上方に延びて下流端に至る。搬送路110の下流端は、筐体11の外部に向けて開放された開口になっている。
【0020】
排出ローラー対111は、搬送路110の下流端付近に位置する。印刷物P2は、排出ローラー対111により、画像形成装置1の外部へと排出され、後処理装置2へと送り込まれる。
【0021】
乾燥装置113は、制御部114の制御下で、搬送路110で搬送される印刷物P2上のインクを乾燥させる。具体的には、乾燥装置113は、ファンである。インクの乾燥のために、ファンは、印刷物P2に向けて送風する。乾燥装置113は、ファン以外にもヒーターであってもよい。ヒーターは、インクの乾燥のために発熱する。
【0022】
制御部114は、記憶部を有する。記憶部は、リードオンリーメモリー、ランダムアクセスメモリー及び不揮発性メモリーを含む。制御部114は更に、中央処理装置を更に含む。実施形態では、制御部114は、画像形成装置1と、後処理装置2とを、記憶部に記憶されたプログラムに従って制御する。
【0023】
温度センサーS1及び湿度センサーS2の各々は、筐体11に設けられる。
【0024】
温度センサーS1は、画像形成システム100の周囲の温度(以下、「周囲温度」と記載する。)を検出する。温度センサーS1は、検出した周囲温度を示すデータ(以下、「温度データ」と記載する。)を制御部114に出力する。
【0025】
湿度センサーS2は、画像形成システム100の周囲の湿度(以下、「周囲湿度」と記載する。)を検出する。湿度センサーS2は、検出した周囲湿度を示すデータ(以下、「湿度データ」と記載する。)を制御部114に出力する。
【0026】
後処理装置2は、画像形成装置1の隣りに設置された状態(以下、「使用状態」と記載する。)で、画像形成装置1で生成された印刷物P2に対して後処理を施す。後処理は、画像形成装置1で生成された印刷物P2の積載部25への積載処理である。
【0027】
詳細には、後処理装置2は、筐体21と、搬送路22と、搬送ローラー対23と、退避ドラム24、積載部25と、排出ローラー対26と、反転搬送路27とを備える。
【0028】
搬送路22は、筐体21内にガイド部材により形成される。搬送路22の上流端は、筐体21の外部に向けて開放された開口である。搬送路22の上流端は、使用状態で、搬送路110の下流端と対向する。搬送路22は、搬送路22の上流端から筐体21内で延びて下流端に至る。搬送路22の下流端は、筐体11の外部に向けて開放された開口になっており、積載部25よりも若干上方に位置する。
【0029】
搬送ローラー対23は、筐体21内に位置し、画像形成装置1から排出された印刷物P2を搬送路22において搬送する。
【0030】
退避ドラム24は、使用状態で、印刷部17と、積載部25との間に位置し、印刷部17により生成された印刷物P2を退避させる。詳細には、退避ドラム24は、搬送路22において搬送される印刷物P2を一時的に退避させる。退避ドラム24は、制御部114の制御下で、退避させた印刷物P2の搬送タイミングを調整する。なお、退避ドラム24は、「退避部」の一例である。
【0031】
積載部25は、排出トレイである。積載部25には、搬送路22の下流端から排出された複数の印刷物P2が積載可能である。
【0032】
排出ローラー対26は、筐体21内に位置し、搬送路22の下流端付近において搬送された印刷物P2を搬送路22の下流端から積載部25へと排出する。
【0033】
反転搬送路27は、搬送路22の途中で分岐して、積載部25と下方を通過する。印刷物P2は、搬送路22から反転搬送路27を介して搬送路22に導入されることにより、積載部25にフェイスダウンで排出される。一方、印刷物P2は、反転搬送路27を通過することなく、搬送路22のみで搬送されることにより、積載部25にフェイスアップで排出される。「フェイスアップ」とは、印刷物P2に形成された画像が積載部25に上向きで排出されることである。「フェイスダウン」とは、印刷物P2に形成された画像が積載部25に下向きで排出されることである。
【0034】
図2は、
図1に示される制御部114の機能ブロック図である。
図2に示されるように、制御部114は、中央処理装置によるプログラムの実行により、排出制御部115、乾燥制御部116として機能する。
【0035】
排出制御部115は、印刷部17で生成された複数の印刷物P2のうち、第一印刷物P2、及び、第一印刷物P2の次に生成される第二印刷物P2をフェイスアップ及びフェイスダウンで積載部25にそれぞれ排出させる。
【0036】
乾燥制御部116は、積載部25に排出される第一印刷物P2を乾燥させる。
【0037】
排出制御部115及び乾燥制御部116により、印刷物P2における画像不良の発生が抑制される。詳細には、第一印刷物P2及び第二印刷物P2における画像が擦れ合うことが抑制されるため、第一印刷物P2及び第二印刷物P2の一方から他方への色移りが抑制される。
【0038】
乾燥制御部116は、第一印刷物P2が積載部25に積載されてから第二印刷物P2が積載部25に積載されるまでのタイミングを調整することが好ましい。詳細には、第一印刷物P2となる用紙P1が供給カセット12から送り出されてから、特定時間が経過後に、第二印刷物P2となる用紙P1が供給カセット12から送り出されるように、乾燥制御部116は制御する。その結果、第一印刷物P2が積載部25に積載された印刷物P2において最上層に位置する時間が長くなる。従って、印刷物P2における画像不良の発生が抑制される。
【0039】
乾燥制御部116は、第二印刷物P2を、積載部25への排出前に退避ドラム24に退避させる。これにより、第二印刷物P2が積載部25に排出されるタイミングを遅らせることができる。従って、第一印刷物P2及び第二印刷物P2の印刷面同士が擦れ合っても画像不良が発生し難い。
【0040】
乾燥制御部116は、第一印刷物P2における印字率と、第二印刷物P2における印字率との合計値に基づいて、積載部25に排出される第一印刷物P2を乾燥させる。これにより、乾燥制御部116が不要な動作を減らすことができる。
【0041】
図3は、画像形成システム100の処理を示すフローチャートである。
図3の処理は、ステップS101~S104を含有する。
【0042】
ステップS101において、制御部114は、印刷ジョブを受信する。印刷ジョブは、例えば、画像形成装置1に通信可能に接続されたパーソナルコンピューターにより送信される。印刷ジョブは、画像データと、印刷条件を示す情報とを含む。
画像データは、典型的には、複数の用紙P1に印刷すべき複数の画像を示す。印刷条件は、画像毎に設定され、フェイスアップ及びファイルダウンのいずれかである。
【0043】
ステップS102において、制御部114は、印刷ジョブを解析することにより第一印刷物P2に印刷される画像(以下、「第一画像」と記載する。)と、第一印刷物P2の次に印刷される第二印刷物P2に印刷される画像(以下、「第二画像」と記載する。)との対を特定する。
【0044】
ステップS103において、制御部114は、第一印刷物P2における印字率(以下「第一印字率」と記載する。)と、第一印刷物P2の次に印刷される第二印刷物P2における印字率(以下、「第二印字率」と記載する。)とを求めて記憶部に記憶させる。
【0045】
ステップS104において、制御部114は、印刷を実行する。供給カセット12から用紙P1の搬送を制御する。制御部114は、印刷部17による用紙P1へのインク吐出を制御する。制御部114は、印刷部17により生成された印刷物P2の搬送を制御する。
【0046】
図4A及び
図4Bは、
図3に示されるステップS104の詳細な処理の第一部分及び第二部分をそれぞれ示すフローチャートである。
図4A及び
図4Bの処理は、ステップS201~S216を含有する。
【0047】
ステップS201において、制御部114は、第二印刷物P2の印刷を開始するか否かを判定する。第二印刷物P2以外である場合(ステップS201でNo)、ステップS202~S204が実行される。第二印刷物P2である場合、ステップS205が実行される。
【0048】
ステップS202において、制御部114は、直前の用紙P1を供給カセット12から送り出してから第一所定時間の経過後に、第二印刷物P2を印刷するために用紙P1を供給カセット12から送り出す。
【0049】
ステップS203において、制御部114は、印刷部17による用紙P1へのインク吐出を制御する。その結果、用紙P1にインクにより画像を形成した印刷物P2が生成される。ステップS203では、第一印刷物P2が生成される場合もある。
【0050】
ステップS204において、制御部114は、排出制御部115として機能する。詳細には、制御部114は、印刷物P2を、後処理装置2においては反転搬送路27を通過させることなく搬送路22内で搬送させる。その結果、ステップS203で生成された印刷物P2は、積載部25にフェイスアップで排出される。
【0051】
ステップS205では、制御部114は、記憶部から、第二印刷物P2の第二印字率と、対となる第一印刷物P2の第一印字率とを読み出す。
【0052】
次に、ステップS206において、制御部114は、第一印字率と第二印字率との合計値が第一閾値以上か否かを判定する。第一閾値以上でなければ(ステップS206でNo)、ステップS207~S209が実行される。第一閾値以上であれば(ステップS206でYes)、ステップS210が実行される。
【0053】
ステップS207において、制御部114は、ステップS202と同様の処理を実行する。
【0054】
ステップS208において、制御部114は、印刷部17による用紙P1へのインク吐出を制御する。その結果、用紙P1にインクにより画像を形成した第二印刷物P2が生成される。
【0055】
ステップS209において、制御部114は、排出制御部115として機能する。詳細には、制御部114は、第二印刷物P2を、後処理装置2においては反転搬送路27を通過させた後に搬送路22内で搬送させる。即ち、ステップS209では、合計値が小さいことから、第一印刷物P2における第一画像と、第二印刷物P2における第二画像とが擦れ合わないとみなして、反転搬送路27を通過させることなく、第二印刷物P2は、積載部25にフェイスダウンで排出される。その結果、単位時間あたりの印刷物P2の生成枚数が低減することが抑制される。
【0056】
ステップS210において、制御部114は、合計値が第二閾値以上か否かを判定する。第二閾値は、第一閾値より大きい。第二閾値以上でなければ(ステップS210でNo)、ステップS211~S213が実行される。第二閾値以上であれば(ステップS210でYes)、ステップS214~S216を実行する。
【0057】
ステップS211,S212において、制御部114は、ステップS207,S208と同様の処理を実行する。
【0058】
ステップS213において、制御部114は、排出制御部115及び乾燥制御部116として機能する。詳細には、制御部114は、第二印刷物P2を、後処理装置2においては、退避ドラム24に一時的に退避させた後、反転搬送路27を通過させて搬送路22内で搬送させる。即ち、ステップS213では、合計値が第一閾値以上であるが第二閾値以上でないため、第一印刷物P2における第一画像と、第二印刷物P2における第二画像とが擦れ合う可能性が比較的高いとみなして、第二印刷物P2は、退避ドラム24に一時的に退避させられた後、積載部25にフェイスダウンで排出される。即ち、制御部114は、第一印刷物P2が積載部25に積載されてから第二印刷物P2が積載部25に積載されるまでのタイミングを調整する。従って、第一印刷物P2における第一画像が乾燥し易く、従って、画像不良が抑制される。
【0059】
ステップS214において、制御部114は、排出制御部115及び乾燥制御部116として機能する。詳細には、制御部114は、直前の用紙P1を供給カセット12から送り出してから、第一所定時間よりも長い第二所定時間の経過後に、第二印刷物P2を印刷するために用紙P1を供給カセット12から送り出す。
【0060】
ステップS215,S216において、制御部114は、ステップS208,S209と同様の処理を実行する。
【0061】
ステップS214~S216の結果、用紙P1が供給カセット12から送り出されてから第二印刷物P2が積載部25にフェイスダウンで排出されるまで、比較的長時間要する。即ち、制御部114は、第一印刷物P2が積載部25に積載されてから第二印刷物P2が積載部25に積載されるまでのタイミングを調整する、従って、第一印刷物P2における第一画像が乾燥し易く、画像不良の発生が抑制される。
【0062】
次に、実施形態の第一変形例について説明する。
図1及び
図2に示されるように、制御部114は、乾燥制御部116として機能し、印刷部17により生成された第一印刷物P2及び第二印刷物P2の少なくとも一方の印刷面に向けて送風するように乾燥装置113としてのファンを制御する。他にも、制御部114は、乾燥制御部116として機能し、印刷部17により生成された第一印刷物P2及び第二印刷物P2の少なくとも一方の印刷面に加熱するように乾燥装置113としてのヒーターを制御する。従って、第一印刷物P2及び第二印刷物P2における画像が擦れ合っても、第一印刷物P2及び第二印刷物P2の一方から他方への色移りが抑制される。また、第一印刷物P2の乾燥のために、特定時間の経過を待機する必要がなくなる。
【0063】
なお、制御部114は、乾燥装置113を用いる場合、退避ドラム24を用いなくともよい。他にも、第二印刷物P2を印刷する際に、制御部114は、用紙P1の搬送タイミングを第二所定時間だけ待機する必要も特にない。
【0064】
次に、第二変形例について説明する。
図1及び
図2に示されるように、制御部114は、乾燥制御部116として機能し、温度センサーS1から温度データを取得し、湿度センサーS2から湿度データを取得する。制御部114は、温度データから特定される周囲温度及び/又は湿度データから特定される周囲湿度に基づいて、積載部25に排出された第一印刷物P2を乾燥させる。詳細には、周囲温度が閾値温度より低い場合及び/又は周囲湿度が閾値湿度よりも低い場合に、
図3、
図4A及び
図4Bの処理が実行されてもよい。これにより、高温低湿時等に乾燥制御部116が不要な動作を減らすことができる。
【0065】
次に、第三変形例について説明する。第一閾値及び第二閾値は、用紙P1の種別(普通紙や厚紙)により異なる。従って、用紙P1に関わらず画像不良が発生し難くなる。
【0066】
図5は、第四変形例に係る制御部114の処理を示す図である。
図5に示されるように、制御部114は、用紙P1の印刷領域の複数に分割した分割領域A11ごとに印字率を求める。制御部114は、乾燥制御部116として機能する場合、第一印刷物P2の特定領域における印字率と、第二印刷物P2において特定領域と同一領域の印字率との合計値に基づいて、
図3、
図4A及び
図4Bに示される処理を実行して、積載部25に排出された第一印刷物P2を乾燥させる。特定領域は、第一印刷物P2における分割領域A11のうち、最も印字率が高い分割領域である。これにより、第一画像及び第二画像が互いに擦れ合う可能性が高い場合に、第一印刷物P2が乾燥させられる。その結果、画像不良の発生が抑制される。
【0067】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記に示す(1)~(2))。図面は、理解し易くするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合がある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の形状、寸法等は一例であり、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0068】
(1)第二所定時間は、第一印字率及び第二印字率に相関して長くなってもよい。例えば、第一印字率及び第二印字率の各々が30%以下である場合、第二所定時間は、例えば3秒である。また、第一印字率及び第二印字率の各々が30%超で50%以下の場合、第二所定時間は、例えば5秒である。また、第一印字率及び第二印字率の各々が50%超で70%以下の場合、第二所定時間は、例えば7秒である。また、第一印字率及び第二印字率の各々が70%超の場合、第二所定時間は、例えば9秒である。
【0069】
(2)第二所定時間は、湿度データにより特定される周囲湿度に相関して長くなってもよい。例えば、周囲湿度が20%以下である場合、上記(1)で得られた第二所定時間に、補正係数1.0が乗算されてもよい。周囲湿度が20%超で50%以下である場合、上記(1)で得られた第二所定時間に、補正係数1.2が乗算されてもよい。周囲湿度が50%超である場合、上記(1)で得られた第二所定時間に、補正係数1.5が乗算されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、画像形成システムに関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0071】
100 :画像形成システム
1 :画像形成装置
17 :印刷部
2 :後処理装置
24 :退避ドラム
25 :積載部
113 :乾燥装置
114 :制御部
115 :排出制御部
116 :乾燥制御部