2024-162131 車両下部構造

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024162131

(43)【公開日】2024-11-21

(54)【発明の名称】車両下部構造

(51)【国際特許分類】

   B60K 1/04 20190101AFI20241114BHJP

   B62D 25/20 20060101ALI20241114BHJP

   B62D 21/00 20060101ALI20241114BHJP

【ＦＩ】

B60K1/04 Z

B62D25/20 E

B62D21/00 B

【審査請求】未請求

【請求項の数】5

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023077382

(22)【出願日】2023-05-09

(71)【出願人】

【識別番号】000003207

【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社

(71)【出願人】

【識別番号】000002082

【氏名又は名称】スズキ株式会社

(71)【出願人】

【識別番号】000002967

【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110001195

【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】大坂 隆馬

(72)【発明者】

【氏名】飯塚 峻吾

(72)【発明者】

【氏名】谷 直樹

(72)【発明者】

【氏名】向川 優貴

(72)【発明者】

【氏名】小寺 将徳

(72)【発明者】

【氏名】宮岡 恭平

【テーマコード（参考）】

3D203

3D235

【Ｆターム（参考）】

3D203AA02

3D203BA13

3D203BB04

3D203BB12

3D203BB16

3D203CA23

3D203DA72

3D203DB05

3D235AA02

3D235BB04

3D235CC15

3D235DD35

3D235FF09

3D235FF12

3D235FF34

3D235HH22

(57)【要約】

【課題】車両の側突時に変形したフロアパネルと蓄電装置との接触を抑制する。
【解決手段】本開示に基づく車両下部構造１０は、蓄電装置２０と、ロッカ３０と、フロントサスペンションメンバ４０と、トルクボックス５０と、フロアパネル６０と、プロテクタ７０とを備えている。フロントサスペンションメンバ４０は、蓄電装置２０の前方Ｆに配置されている。トルクボックス５０は、水平方向において蓄電装置２０と並んでいる。トルクボックス５０は、ロッカ３０とフロントサスペンションメンバ４０とを接続している。フロアパネル６０は、蓄電装置２０の上方Ｕに配置され、トルクボックス５０と接続されている。プロテクタ７０は、蓄電装置２０上に配置されている。プロテクタ７０は、水平方向においてトルクボックス５０の下端５１と対向するように配置されている。
【選択図】図５

【特許請求の範囲】

【請求項1】

車両の下部に配置された蓄電装置と、
前記車両の左右方向において前記蓄電装置と並び、前記車両の前後方向に沿って延びるロッカと、
前記蓄電装置の前方に配置され、前記左右方向において前記ロッカより内側に配置されたフロントサスペンションメンバと、
水平方向において前記蓄電装置と並び、前記ロッカと前記フロントサスペンションメンバとを接続するトルクボックスと、
前記蓄電装置の上方に配置され、前記トルクボックスと接続されたフロアパネルと、
前記蓄電装置上に配置され、かつ、前記水平方向において前記トルクボックスの下端と対向するように配置されたプロテクタとを備える、車両下部構造。

【請求項2】

前記蓄電装置は、蓄電セルと、前記蓄電セルを収容する収容ケースとを含み、
前記収容ケースは、上方に向かって開口する開口部を有するロアケースと、前記開口部を覆うように配置されたアッパーケースとを有し、
前記アッパーケースは、上下方向において前記ロアケースと対向するフランジ部を有し、
前記プロテクタは、前記水平方向において前記フランジ部と並んでいる、請求項１に記載の車両下部構造。

【請求項3】

前記プロテクタは、前記アッパーケースの前記上下方向における中心より下方にのみ位置している、請求項２に記載の車両下部構造。

【請求項4】

前記蓄電装置は、蓄電セルと、前記蓄電セルを収容する収容ケースとを含み、
前記収容ケースは、上方に向かって開口する開口部を有するロアケースと、前記開口部を覆うように配置されたアッパーケースとを有し、
前記アッパーケースは、上下方向において前記ロアケースと対向するフランジ部を有し、
前記プロテクタは、前記フランジ部の下方に配置されている、請求項１に記載の車両下部構造。

【請求項5】

前記プロテクタは、前記フランジ部の下方において前記ロアケースと接している、請求項４に記載の車両下部構造。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、車両下部構造に関する。

【背景技術】

【0002】

特開２０１８－７５９４０号公報（特許文献１）には、従来の車両下部構造が開示されている。特許文献１に記載の車両下部構造は、フロアパネルと、左右一対のサイドメンバと、電力供給部と、クロス部と、トルクボックスとを有している。電力供給部は、フロアパネルの車両下方側におけるサイドメンバ間に配置されている。トルクボックスは、サイドメンバの車両幅方向外側でかつ車両幅方向から見て車両後方側の縦壁部がクロス部の車両後方側の縦壁部と重なる位置に配置され、フロアパネルの車両幅方向外側の周縁部に沿って車両前後方向に延在するロッカとサイドメンバとに接合されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１８－７５９４０号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

従来の車両下部構造を含む車両が側方から衝突した時に、トルクボックスは、蓄電装置（電力供給部）に向かって変位しつつ押しつぶされる。これにより、トルクボックスと接続されたフロアパネルが蓄電装置に向かって変形する。変形したフロアパネルは、蓄電装置と接触する場合がある。

【0005】

本開示は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、車両の側突時に変形したフロアパネルと蓄電装置との接触を抑制できる、車両下部構造を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本開示に基づく車両下部構造は、蓄電装置と、ロッカと、フロントサスペンションメンバと、トルクボックスと、フロアパネルと、プロテクタとを備えている。蓄電装置は、車両の下部に配置されている。ロッカは、車両の左右方向において蓄電装置と並んでいる。ロッカは、車両の前後方向に沿って延びている。フロントサスペンションメンバは、蓄電装置の前方に配置されている。フロントサスペンションメンバは、左右方向においてロッカより内側に配置されている。トルクボックスは、水平方向において蓄電装置と並んでいる。トルクボックスは、ロッカとフロントサスペンションメンバとを接続している。フロアパネルは、蓄電装置の上方に配置され、トルクボックスと接続されている。プロテクタは、蓄電装置上に配置されている。プロテクタは、水平方向においてトルクボックスの下端と対向するように配置されている。

【0007】

上記の構成によれば、車両の側突時においてトルクボックスが蓄電装置に向かって変位したときに、トルクボックスの下端がプロテクタに接触する。トルクボックスの下端がプロテクタに接触しつつ押しつぶされることで、トルクボックスによってフロアパネルが上方に押し上げられように変形する。これにより、車両の側突時に変形したフロアパネルと蓄電装置との接触を抑制できる。

【0008】

本開示の一形態に係る車両下部構造において、蓄電装置は、蓄電セルと、蓄電セルを収容する収容ケースとを含んでいる。収容ケースは、上方に向かって開口する開口部を有するロアケースと、開口部を覆うように配置されたアッパーケースとを有している。アッパーケースは、上下方向においてロアケースと対向するフランジ部を有している。プロテクタは、水平方向においてフランジ部と並んでいる。

【0009】

上記の構成によれば、車両の側突時において、トルクボックスが蓄電装置より先にプロテクタに接触しやすくなるため、トルクボックスが蓄電装置に接触して蓄電装置を変形させることを抑制できる。

【0010】

本開示の一形態に係る車両下部構造において、プロテクタは、アッパーケースの上下方向における中心より下方にのみ位置している。

【0011】

上記の構成によれば、プロテクタが比較的小さくなり、プロテクタを軽量化できる。
本開示の一形態に係る車両下部構造において、プロテクタは、フランジ部の下方に配置されている。

【0012】

上記の構成によれば、たとえば上記の車両下部構造を含む車両を高圧洗車したり、当該車両が浸水路を走行したりしたときに、アッパーケースのフランジ部とロアケースとが対向している部分に、下方から水がかかることを上記プロテクタによって抑制できる。ひいては、収容ケース内に水が浸入することを抑制できる。

【0013】

本開示の一形態に係る車両下部構造において、プロテクタは、フランジ部の下方においてロアケースと接している。

【0014】

上記の構成によれば、アッパーケースのフィランジ部とロアケースとが対向している部分に、下方から見ずがかかることを上記プロテクタによってさらに抑制できる。ひいては、収容ケース内に水が侵入することをさらに抑制できる。

【発明の効果】

【0015】

本開示によれば、車両の側突時に変形したフロアパネルと蓄電装置との接触を抑制できる。

【図面の簡単な説明】

【0016】

【図1】本開示の一実施形態に係る車両下部構造を含む車両を示す模式的な側面図である。

【図2】本開示の一実施形態に係る車両下部構造の一部の構成を示す斜視図である。

【図3】本開示の一実施形態に係る車両下部構造を示す平面図である。

【図4】図３の車両下部構造の一部をＩＶ－ＩＶ線矢印方向から見た断面図である。

【図5】図３の車両下部構造の一部をＶ－Ｖ線矢印方向から見た断面図である。

【図6】本開示の一実施形態に係る車両下部構造を下方から見たときの一部を示す底面図である。

【発明を実施するための形態】

【0017】

以下、本開示の一実施形態に係る車両下部構造について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。

【0018】

図１は、本開示の一実施形態に係る車両下部構造を含む車両を示す模式的な側面図である。図１に示すように、本開示の一実施形態に係る車両下部構造１０は、車両１の下部に位置している。図１および後述の図２～図６には、矢印によって、車両下部構造１０を備える車両１の前方Ｆ、後方Ｂ、左方向Ｌ、右方向Ｒ、上方Ｕおよび下方Ｄが示されている。本実施形態において、車両下部構造１０は、車両１が走行する路面２と上下方向において対向する。

【0019】

図２は、本開示の一実施形態に係る車両下部構造の一部の構成を示す斜視図である。図３は、本開示の一実施形態に係る車両下部構造を示す平面図である。図４は、図３の車両下部構造の一部をＩＶ－ＩＶ線矢印方向から見た断面図である。図５は、図３の車両下部構造の一部をＶ－Ｖ線矢印方向から見た断面図である。

【0020】

図１から図５に示すように、本開示の一実施形態に係る車両下部構造１０は、蓄電装置２０と、一対のロッカ３０と、一対のフロントサスペンションメンバ４０と、一対のトルクボックス５０と、フロアパネル６０と、一対のプロテクタ７０とを備えている。

【0021】

図１に示すように、蓄電装置２０は、車両１の下部に配置されている。蓄電装置２０は、車両下部構造１０を備える車両１が走行する路面２と上下方向において対向する。

【0022】

図２から図５に示すように、蓄電装置２０は、複数の蓄電セル２１（図４参照）と、収容ケース２２とを含んでいる。収容ケース２２は、複数の蓄電セル２１を収容している。

【0023】

蓄電セル２１は、たとえば、ニッケル水素電池、またはリチウムイオン電池等の二次電池である。蓄電セル２１は、たとえば角型形状を有する。二次電池は、液状の電解質を用いるものであってもよいし、固体状の電解質を用いるものであってもよい。

【0024】

収容ケース２２は、上方Ｕから見たときに、略矩形状の外形を有している。収容ケース２２は、一対の前方側壁２２Ａを有している。一対の前方側壁２２Ａは、上方Ｕから見たときに、収容ケース２２の、前方Ｆにおける左右方向（車幅方向）の両端部に位置している。一対の前方側壁２２Ａは、上方から見たときに、前後方向および左右方向の両方に対して斜めに延びている。また、一対の前方側壁２２Ａの近傍において、収容ケース２２の上面上には、車両１の走行時に高電圧が印加されるバスバなどの高電圧部材（不図示）が位置している。

【0025】

収容ケース２２は、ロアケース２２１と、アッパーケース２２２とを有している。前方側壁２２Ａは、ロアケース２２１の一部およびアッパーケース２２２の一部で構成されている。

【0026】

ロアケース２２１は、開口部２２１ａと、底壁部２２１ｂと、周側壁部２２１ｃとを有している。開口部２２１ａは、上方Ｕに向かって開口している。底壁部２２１ｂは、蓄電セル２１の下方Ｄに位置している。底壁部２２１ｂは、車両下部構造１０を備える車両１が走行する路面２と上下方向において対向する。周側壁部２２１ｃは、底壁部２２１ｂから上方Ｕに起立している。周側壁部２２１ｃは、上下方向から見て複数の蓄電セル２１を取り囲んでいる。開口部２２１ａは、周側壁部２２１ｃの底壁部２２１ｂ側とは反対側の端部に位置している。

【0027】

アッパーケース２２２は、開口部２２１ａを覆うように配置されている。アッパーケース２２２は、フランジ部２２２ａと、上面部２２２ｂと、周側面部２２２ｃとを有している。フランジ部２２２ａは、上下方向においてロアケース２２１と対向している。フランジ部２２２ａは、水平方向に沿って延びている。水平方向とは、前後方向および左右方向の両方に沿う方向である。上面部２２２ｂは、蓄電セル２１の上方Ｕに位置している。上面部２２２ｂは、水平方向に沿って延びている。周側面部２２２ｃは、フランジ部２２２ａと上面部２２２ｂとを接続する。

【0028】

本実施形態に係る車両下部構造１０は、一対の衝撃吸収材２５をさらに備えている。衝撃吸収材２５は、蓄電装置２０側とは反対側からの衝突によって生じた衝撃エネルギーを圧縮変形することで吸収可能に構成されている。

【0029】

一対の衝撃吸収材２５は、車両１の左右方向において蓄電装置２０の両側に接続されている。衝撃吸収材２５は、収容ケース２２の下端から左右方向外側に延びている。具体的には、衝撃吸収材２５は、ロアケース２２１の底壁部２２１ｂから左右方向外側に延びている。

【0030】

衝撃吸収材２５は、前後方向に沿って延びている。衝撃吸収材２５の前端縁２５１は、前方Ｆに向かうに従っておよそ左右方向内側に延びている。

【0031】

一対のロッカ３０は、車両１の左右方向において蓄電装置２０と並んでいる。一対のロッカ３０は、それぞれ、車両１の左右方向両側において、蓄電装置２０と並んでいる。蓄電装置２０とロッカ３０とは、互いに離隔している。一対のロッカ３０の各々は、左右方向において対応する衝撃吸収材２５によって、蓄電装置２０と接続されている。

【0032】

ロッカ３０は、車両１の前後方向に沿って延びている。ロッカ３０は、上下方向から見て、衝撃吸収材２５の前端縁２５１より前方Ｆまで延びている。

【0033】

一対のフロントサスペンションメンバ４０は、蓄電装置２０の前方Ｆに配置されている。一対のフロントサスペンションメンバ４０は、車両１の左右方向において対称的に配置されている。上下方向から見たときに、一対のフロントサスペンションメンバ４０の各々は、前方側壁２２Ａより内側から前方Ｆに延びている。また、フロントサスペンションメンバ４０は、左右方向においてロッカ３０より内側に配置されている。

【0034】

一対のトルクボックス５０は、水平方向において蓄電装置２０と並んでいる。具体的には、一対のトルクボックス５０は、それぞれ、水平方向において、収容ケース２２の一対の前方側壁２２Ａと並んでいる（図５参照）。

【0035】

トルクボックス５０は、左右方向において対応するロッカ３０と、左右方向において対応するフロントサスペンションメンバ４０とを接続している（図３参照）。トルクボックス５０は、前方Ｆに向かうに従って、左右方向内側に延びている。トルクボックス５０は、前方側壁２２Ａに沿って延びている。上下方向から見たときに、トルクボックス５０は、衝撃吸収材２５の前端縁２５１に沿って延びている。

【0036】

図５に示すように、トルクボックス５０は、下側板部５２と、内側板部５３と、外側板部５４と、上側板部５５とを有している。

【0037】

下側板部５２は、トルクボックス５０の下端５１を構成している。下側板部５２は、水平方向に沿って延びている。内側板部５３は、下側板部５２において蓄電装置２０側の端部からおよそ上方Ｕに向かって延びている。外側板部５４は、下側板部５２において蓄電装置２０側とは反対側の端部からおよそ上方Ｕに向かって延びている。上側板部５５は、内側板部５３の下側板部５２側とは反対側の端部から、水平方向に沿って延びている。上側板部５５は、水平方向において外側板部５４側とは反対側に延びている。

【0038】

フロアパネル６０は、蓄電装置２０の上方Ｕに配置されている。フロアパネル６０は、上下方向においてアッパーケース２２２の上面部２２２ｂと対向している。フロアパネル６０は、左右方向両側において、一対のロッカ３０とそれぞれ接合されている（図４参照）。フロアパネル６０は、トルクボックス５０と接続されている。

【0039】

本実施形態に係る車両下部構造１０は、ダッシュクロスメンバ６５をさらに備えている。ダッシュクロスメンバ６５は、フロアパネル６０の前方端部と接合されている。本実施形態において、トルクボックス５０は、ダッシュクロスメンバ６５を介して接続されている。なおトルクボックス５０は、直接、フロアパネル６０に接合されていてもよい。また、ロッカ３０の前方端部は、ダッシュクロスメンバ６５を介してフロアパネル６０と接続されている。

【0040】

一対のプロテクタ７０は、蓄電装置２０上に配置されている。具体的には、一対のプロテクタ７０は、収容ケース２２の一対の前方側壁２２Ａ上にそれぞれ設けられている。プロテクタ７０は、前方側壁２２Ａ上から後方Ｂに向かってさらに延びている。

【0041】

プロテクタ７０は、水平方向においてトルクボックス５０の下端５１（下側板部５２）と対向するように配置されている。プロテクタ７０は、水平方向においてフランジ部２２２ａと並んでいる。プロテクタ７０は、フランジ部２２２ａの下方にも配置されている。プロテクタ７０は、フランジ部２２２ａの下方においてロアケース２２１と接している。また、プロテクタ７０は、アッパーケース２２２の上下方向における中心より下方にのみ位置している。

【0042】

プロテクタ７０の具体的な形状は特に限定されない。本実施形態において、プロテクタ７０は、側壁部７１と下壁部７２とを有している。側壁部７１は、水平方向においてフランジ部２２２ａと並んでいる部分である。下壁部７２は、フランジ部２２２ａの下方に配置され、ロアケース２２１と接している部分である。下壁部７２は、側壁部７１の下端からロアケース２２１側に向かって延びている。

【0043】

また、プロテクタ７０を構成する材料は特に限定されない。本実施形態において、プロテクタは金属で構成され、より具体的にはアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成される。プロテクタ７０は、収容ケース２２（ロアケース２２１）に溶接により接合されている。

【0044】

図６は、本開示の一実施形態に係る車両下部構造を下方から見たときの一部を示す底面図である。図６に示すように、本開示の一実施形態に係る車両下部構造１０は、フロントサスペンションメンバブレース８１と、アンダーカバー８２とをさらに備えている。

【0045】

フロントサスペンションメンバブレース８１は、ロアケース２２１の底壁部２２１ｂから前方Ｆに延びている。アンダーカバー８２は、衝撃吸収材２５とフロントサスペンションメンバブレース８１とを接続する。

【0046】

アンダーカバー８２は、車両１が走行する路面２と上下方向において対向する。上下方向から見たときに、アンダーカバー８２は、収容ケース２２の前方側壁２２Ａに沿って延びている。アンダーカバー８２は、前方側壁２２Ａにおけるフランジ部２２２ａの一部を覆っている。ただし、下方Ｄから見たときに、アンダーカバー８２は、ロアケース２２１の底壁部２２１ｂと離隔していてもよい。

【0047】

上述したように、本開示の一実施形態に係る車両下部構造１０は、蓄電装置２０と、ロッカ３０と、フロントサスペンションメンバ４０と、トルクボックス５０と、フロアパネル６０と、プロテクタ７０とを備えている。蓄電装置２０は、車両１の下部に配置されている。ロッカ３０は、車両１の左右方向において蓄電装置２０と並んでいる。ロッカ３０は、車両１の前後方向に沿って延びている。フロントサスペンションメンバ４０は、蓄電装置２０の前方Ｆに配置されている。フロントサスペンションメンバ４０は、左右方向においてロッカ３０より内側に配置されている。トルクボックス５０は、水平方向において蓄電装置２０と並んでいる。トルクボックス５０は、ロッカ３０とフロントサスペンションメンバ４０とを接続している。フロアパネル６０は、蓄電装置２０の上方Ｕに配置され、トルクボックス５０と接続されている。プロテクタ７０は、蓄電装置２０上に配置されている。プロテクタ７０は、水平方向においてトルクボックス５０の下端５１と対向するように配置されている。

【0048】

上記の構成によれば、車両１の側突時においてトルクボックス５０が蓄電装置２０に向かって変位したときに、トルクボックス５０の下端５１がプロテクタ７０に接触する。トルクボックス５０の下端がプロテクタ７０に接触しつつ押しつぶされることで、トルクボックス５０によってフロアパネル６０が上方に押し上げられように変形する。これにより、車両１の側突時に変形したフロアパネル６０と蓄電装置２０との接触を抑制できる。

【0049】

さらに、本開示の一実施形態において、蓄電装置２０は、蓄電セル２１と、蓄電セル２１を収容する収容ケース２２とを含んでいる。収容ケース２２は、上方Ｕに向かって開口する開口部２２１ａを有するロアケース２２１と、開口部２２１ａを覆うように配置されたアッパーケース２２２とを有している。アッパーケース２２２は、上下方向においてロアケース２２１と対向するフランジ部２２２ａを有している。プロテクタ７０は、水平方向においてフランジ部２２２ａと並んでいる。

【0050】

上記の構成によれば、車両１の側突時において、トルクボックス５０が蓄電装置２０より先にプロテクタ７０に接触しやすくなるため、トルクボックス５０が蓄電装置２０に接触して蓄電装置２０を変形させることを抑制できる。

【0051】

さらに、本開示の一実施形態において、プロテクタ７０は、アッパーケース２２２の上下方向における中心より下方にのみ位置している。

【0052】

上記の構成によれば、プロテクタ７０が比較的小さくなり、プロテクタ７０を軽量化できる。

【0053】

さらに、本開示の一実施形態において、プロテクタ７０は、フランジ部２２２ａの下方に配置されている。

【0054】

上記の構成によれば、たとえば上記の車両下部構造１０を含む車両１を高圧洗車したり、当該車両１が浸水路を走行したりしたときに、アッパーケース２２２のフランジ部２２２ａとロアケース２２１とが対向している部分に、下方から水がかかることを上記プロテクタ７０によって抑制できる。ひいては、収容ケース２２内に水が浸入することを抑制できる。

【0055】

さらに、本開示の一実施形態において、プロテクタ７０は、フランジ部２２２ａの下方においてロアケース２２１と接している。

【0056】

上記の構成によれば、アッパーケース２２２のフランジ部２２２ａとロアケース２２１とが対向している部分に、下方から見ずがかかることを上記プロテクタ７０によってさらに抑制できる。ひいては、収容ケース２２内に水が侵入することをさらに抑制できる。

【0057】

今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

【符号の説明】

【0058】

１ 車両、２ 路面、１０ 車両下部構造、２０ 蓄電装置、２１ 蓄電セル、２２ 収容ケース、２２Ａ 前方側壁、２２１ ロアケース、２２１ａ 開口部、２２１ｂ 底壁部、２２１ｃ 周側壁部、２２２ アッパーケース、２２２ａ フランジ部、２２２ｂ 上面部、２２２ｃ 周側面部、２５ 衝撃吸収材、２５１ 前端縁、３０ ロッカ、４０ フロントサスペンションメンバ、５０ トルクボックス、５１ 下端、５２ 側板部、５３ 内側板部、５４ 外側板部、５５ 上側板部、６０ フロアパネル、６５ ダッシュクロスメンバ、７０ プロテクタ、７１ 側壁部、７２ 下壁部、８１ フロントサスペンションメンバブレース、８２ アンダーカバー。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】