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2024-162132画像処理装置、撮像装置、方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162132
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】画像処理装置、撮像装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20241114BHJP
   H04N 23/70 20230101ALI20241114BHJP
【FI】
H04N23/60 500
H04N23/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077384
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】川原 竣介
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122EA18
5C122EA22
5C122FF01
5C122FG14
5C122FH07
5C122FH10
5C122FH11
(57)【要約】
【課題】本発明は、画像回復機能を使用しつつ撮像装置の制御機能のリアルタイム性の低下を低減することを目的とする。
【解決手段】
撮像装置が撮像した第1画像と、前記第1画像を第1画像回復手段を用いて処理した第2画像とを取得する。前記第1画像の第1特徴量と、前記第2画像の第2特徴量とを検出する。前記第1特徴量と前記第2特徴量の少なくともいずれかに基づいて、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する。前記パラメータを前記撮像装置に出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置が撮像した第1画像と、前記第1画像を第1画像回復手段を用いて処理した第2画像とを取得する取得手段と、
前記第1画像の第1特徴量と、前記第2画像の第2特徴量とを検出する検出手段と、
前記第1特徴量と前記第2特徴量の少なくともいずれかに基づいて、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する決定手段と、
前記パラメータを前記撮像装置に出力する出力手段と、を備える、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記取得手段は、前記第1画像を前記第1画像回復手段とは異なる第2画像回復手段を用いて処理した第3画像を取得し、
前記検出手段は、前記第3画像の第3特徴量を検出し、
前記決定手段は、前記第2特徴量と前記第3特徴量の少なくともいずれかに基づいて、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2画像回復手段が前記第1画像を処理する時間は、前記第1画像回復手段が前記第1画像を処理する時間よりも短い、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1画像から部分画像を抽出する画像加工手段をさらに備え、
前記取得手段は、前記部分画像を前記第1画像回復手段、又は、前記第1画像回復手段と前記第2画像回復手段とは異なる第3画像回復手段を用いて処理した部分画像を取得し、
前記検出手段は、前記処理した部分画像の第4特徴量を検出し、
前記決定手段は、前記第2特徴量と前記第4特徴量の少なくともいずれかに基づいて、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1画像の任意の領域を指定する領域指定手段をさらに備え、
前記画像加工手段は、前記第1画像から前記部分画像として前記任意の領域を抽出する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像加工手段は、前記第1画像のサイズを所定のサイズに縮小する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像加工手段は、前記領域指定手段によって指定された任意の領域のサイズが、前記第1画像から抽出する部分画像の規定サイズよりも小さい場合、前記第1画像から前記任意の領域を前記規定サイズで抽出する、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第1特徴量と前記第2特徴量は、輝度又はホワイトバランス補正値である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記撮像に関するパラメータは、前記撮像装置の露出パラメータ又はホワイトバランス補正値である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記決定手段は、前記第1特徴量よりも前記第2特徴量を優先的に用いて、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記第2画像の出力周期は、前記第1画像の出力周期よりも長く、
前記取得手段は、前記第1画像の第1取得時刻よりも後の第2取得時刻において前記第2画像を取得し、前記第2取得時刻において前記第1画像とは異なる他の第1画像を取得し、
前記検出手段は、前記他の第1画像の他の第1特徴量を検出し、
前記第1特徴量と前記第2特徴量とに基づくオフセット値で、前記他の第1特徴量をオフセットする補正手段をさらに備え、
前記決定手段は、オフセットされた前記他の第1特徴量と前記第2特徴量の少なくともいずれかに基づいて、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記補正手段は、前記第2画像の第2取得時刻と、前記第2取得時刻よりも後の前記第2画像とは異なる他の第2画像を取得する第3取得時刻との間において取得される前記他の第1画像の前記他の第1特徴量を前記オフセット値でオフセットする、
ことを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記補正手段は、前記第3取得時刻に決定された前記撮像装置の撮像に関するパラメータと、前記第1取得時刻又は前記第2取得時刻に決定された前記撮像装置の撮像に関するパラメータとに基づくオフセット値で前記他の第1特徴量をオフセットする、
ことを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記決定手段は、前記第1特徴量又は前記第2特徴量と、特徴量の基準値とに基づいて、前記第1特徴量又は前記第2特徴量に対応する、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記決定手段は、前記第1特徴量又は前記第2特徴量と、前記特徴量の基準値との差分に基づいて、前記第1特徴量又は前記第2特徴量に対応する、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する、
ことを特徴とする請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記特徴量の基準値は、前記撮像装置に対する1回の制御周期で変更可能な段数に基づいて決定される、
ことを特徴とする請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記第1画像回復手段、前記第2画像回復手段、及び前記第3画像回復手段は、ニューラルネットワークを用いたノイズ除去手段である、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項18】
撮像手段と、
前記画像処理装置から受信した撮像に関するパラメータに基づいて前記撮像手段の撮像に関する制御を実行する撮像制御手段と、
請求項1から15のいずれか一項に記載の画像処理装置と、を備える、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項19】
撮像装置が撮像した第1画像と、前記第1画像を第1画像回復手段を用いて処理した第2画像とを取得する取得工程と、
前記第1画像の第1特徴量と、前記第2画像の第2特徴量とを検出する検出工程と、
前記第1特徴量と前記第2特徴量の少なくともいずれかに基づいて、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する決定工程と、
前記パラメータを前記撮像装置に出力する出力工程と、を備える、
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
コンピュータに、
撮像装置が撮像した第1画像と、前記第1画像を第1画像回復手段を用いて処理した第2画像とを取得する取得工程と、
前記第1画像の第1特徴量と、前記第2画像の第2特徴量とを検出する検出工程と、
前記第1特徴量と前記第2特徴量の少なくともいずれかに基づいて、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する決定工程と、
前記パラメータを前記撮像装置に出力する出力工程と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、撮像装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低照度下において画像にゲインをかけることで画像の輝度を増幅する技術が知られている。しかし、画像にゲインをかけることで輝度を増幅させると同時にノイズが付加されてしまう場合がある。画像にノイズが付加されてしまうと視認性が低下したり、露出制御やホワイトバランス制御などの撮像画像を使用した撮像装置の制御機能の精度が低下してしまう。そこで、NoiseReduction(以下、NR)機能などの画像回復機能を用いて画像を回復させる技術が知られている。特許文献1には動画にゲインをかける際に、フレーム間の移動平均値にゲインをかけることで画像の輝度を増幅させつつノイズを低減する技術が開示されている。特許文献2には撮像画像に対する画像回復の前後にホワイトバランス補正を行った結果に基づいて色補正を行うことで、処理時間の増大を抑えつつ画像回復と色補正を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-164112号公報
【特許文献2】特開2017-126952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、画像回復を行いつつゲインをかけることで画像の輝度を増幅させつつノイズを低減させているが、露出制御機能のリアルタイム性が低下する。また、特許文献2の技術は、動画の被写体の変化に合わせて連続して画像回復とホワイトバランス補正の両方を行う場合にリアルタイム性の低下を低減できない。つまり、画像回復機能を使用しつつ、露出制御とホワイトバランス制御といった撮像装置の制御機能のリアルタイム性を確保することが困難となる。
【0005】
そこで、本発明は、画像回復機能を使用しつつ撮像装置の制御機能のリアルタイム性の低下を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る画像処理装置は、撮像装置が撮像した第1画像と、前記第1画像を第1画像回復手段を用いて処理した第2画像とを取得する取得手段と、前記第1画像の第1特徴量と、前記第2画像の第2特徴量とを検出する検出手段と、前記第1特徴量と前記第2特徴量の少なくともいずれかに基づいて、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する決定手段と、前記パラメータを前記撮像装置に出力する出力手段と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像回復機能を使用しつつ撮像装置の制御機能のリアルタイム性の低下を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る撮像システムの構成を示すブロック図。
図2】第1実施形態に係る画像処理に関連する機能ブロック図。
図3】第1実施形態に係る露出制御部200の処理を説明するフローチャート。
図4】第1実施形態に係る露出制御部200が使用する画像の出力周期を説明する図。
図5】第2実施形態に係る露出制御部200の処理を説明するフローチャート。
図6】第3実施形態に係る露出制御部200の処理を説明するフローチャート。
図7】第4実施形態に係る露出制御部200の処理を説明するフローチャート。
図8】第4実施形態に係る露出制御部200が使用する画像の選択方法を説明する図。
図9】第5実施形態に係る撮像システムの機能ブロック図。
図10】第5実施形態に係る露出制御部200の処理を説明するフローチャート。
図11】第6実施形態に係る撮像システムの機能ブロック図。
図12】第6実施形態に係る露出制御部200の処理を説明するフローチャート。
図13】第7実施形態に係る撮像システムの機能ブロック図。
図14】第7実施形態に係るホワイトバランス制御部の処理を説明するフローチャート。
図15】ホワイトバランス補正値を算出する方法を説明する図。
図16】第8実施形態に係るホワイトバランス制御部1300の処理を説明するフローチャート。
図17】第9実施形態に係るホワイトバランス制御部1300の処理を説明するフローチャート。
図18】第10実施形態に係るホワイトバランス制御部1300の処理を説明するフローチャート。
図19】第11実施形態に係る撮像システムの機能ブロック図。
図20】第11実施形態に係るホワイトバランス制御部1300の処理を説明するフローチャート。
図21】第12実施形態に係る撮像システムの機能ブロック図。
図22】第12実施形態に係るホワイトバランス制御部1300の処理を説明するフローチャート。
図23】従来例の撮像画像と回復画像の出力周期を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る開示を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが開示に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
図23は、従来例の撮像画像と回復画像の出力周期を説明する図である。図23(a)は、撮像画像の出力周期を説明する図である。図23(b)は、回復画像の出力周期を説明する図である。図23(a)と図23(b)の横軸は時間tを示す。
【0011】
図23(a)に示す黒塗りの各長方形は、撮像素子から出力される1フレームの画像(以下、撮像画像とも呼ぶ)を表す。図23(b)に示す斜線を含む各長方形は、撮像素子から出力された画像に画像回復処理された1フレームの画像を表す。図23(b)において画像回復処理された画像(以下、回復画像とも呼ぶ)は、図23(a)の画像に比べて長い周期で出力されている。これは、画像回復処理の負荷が大きく、回復画像の出力に時間を要したことが原因である。例えば、図23(a)において時刻t0の撮像画像は、画像回復処理されることで図23(b)の時刻t4で出力される。しかし、撮像画像を使用した露出制御機能の精度を向上させるためには、回復画像を使用することが好ましい。例えば、回復画像の出力周期が撮像画像の出力周期の4倍となった場合、撮像画像を使用した露出制御機能も4倍の周期で更新されることになってしまう。また、より低照度環境で撮影する程、ゲインを増大させる必要がある。ゲインの増大に伴い、画像に付加されるノイズ量も増大する。増大するノイズを除去するためには、より効果の高い画像回復機能を使用する必要がある。例えば、DeepLearing(以下、DL)を用いたNR機能が、従来技術のNR性能を大幅に超える視認性能を達成している。しかし、より効果の高い画像回復機能を使用するほど処理負荷は増大し、回復画像の出力周期は長くなる傾向にある。よって、露出制御機能の更新周期もより長くなってしまう。
【0012】
図1は、第1実施形態に係る撮像システムの構成を示すブロック図である。
【0013】
撮像システムは、画像処理装置100、撮像装置120、及び表示装置130を備える。画像処理装置100では内部バス110に対して画像信号受信部101、カメラ通信接続部102、フレームメモリ103、CPU104、ROM105、RAM106、GPU107、表示駆動部108、表示装置接続部109が接続されている。内部バス110に接続される各部は、内部バス110を介して互いにデータのやりとりを行うことができる。
【0014】
撮像装置120のレンズ部121は、レンズと、レンズを駆動させるためのモータとを備える光学素子である。レンズ部121は、絞り、光学レンズ、絞り、及び光学レンズを駆動させるためのモーターを備えるレンズユニットである。レンズ部121は、制御信号に基づいて動作し、光学的に映像の拡大又は縮小を行い、焦点距離などの調整を行うことができる。また、レンズ部121は、入射光量を調整する場合、絞りの開口面積を制御する事で、所望の明るさとなるように光量を調整することができる。
【0015】
レンズ部121を透過した光は、撮像素子122で結像される。撮像素子122は、CCDセンサ、CMOSセンサ、SPADセンサ、及び赤外センサなどを備え、光学的な信号を電気的な信号に変換し、画像信号を生成する。撮像素子122は、制御信号に基づいて駆動され、画素内の電荷をリセットし、読み出しのタイミングを制御する。また、撮像素子122は、電気的なアナログ信号(電圧値)として読み出された画素信号にゲイン処理を行ったり、アナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有する。
【0016】
カメラ制御部123は、カメラ通信接続部102から出力された通信信号に基づいて、レンズ部121および撮像素子122の駆動制御を行う。
【0017】
画像処理装置100の画像信号受信部101は、撮像素子122から出力された画像信号を受信する。
【0018】
カメラ通信接続部102は、カメラ制御部123へ通信信号を送信し、またはカメラ制御部123から通信信号を受信する。カメラ通信接続部102は、例えば、カメラ制御部123にレンズ部121と撮像素子122の駆動制御の情報を送信し、カメラ制御部123からレンズ部121と撮像素子122の動作情報を受信する。
【0019】
フレームメモリ103は、一般的にRAM(Random Access Memory)と呼ばれ、映像信号を一時的に記憶し、必要な時に映像信号を読み出すことが可能な素子である。映像信号は膨大なデータ量であるため、高速かつ高容量なフレームメモリ103が求められる。近年では、フレームメモリ103としてDDR4-SDRAM(Dual Data Rate 4 - Synchronous Dynamic RAM)などが用いられることが多い。
【0020】
CPU104は、画像処理装置100の各機能を制御するためのCPU(Central Processing Unit)であり、主に画像処理とカメラ制御を行うために使用される。また、CPU104は、画像回復を行うために使用されてもよい。また、CPU104を駆動するために、CPU104にはROM105(Read Only Memory)とRAM106が接続されている。
【0021】
ROM105は、不揮発性の素子であり、CPU104を動作させるためのプログラムと、各種調整パラメータなどを記憶する。ROM105から読み出されたプログラムは、揮発性のRAM106に展開されて実行される。
【0022】
RAM106は、フレームメモリ103に比べて、低速及び低容量である。
【0023】
GPU107は、DLによる画像回復を行うために使用される。DLによる画像回復では、膨大な計算を並列して処理することが必要とされるため、CPU104に比べて並列処理能力の高いGPU107を用いることが好適である。また、GPU107は、画像処理を行うために使用されてもよい。
【0024】
表示装置130は、画像信号受信部101で受信した画像信号に対してCPU104又はGPU107で画像処理又は画像回復された画像と設定メニューを表示するための表示デバイスである。例えば、CPU104は、画像処理装置100と撮像装置120の設定状態の情報と設定メニューを生成し、画像処理又は画像回復された画像に生成した情報等を重畳して、表示装置130に表示させる。
【0025】
本実施形態では、図1に示した画像処理装置100、撮像装置120、及び表示装置130を備える撮像システムを説明するが、この限りではない。例えば、撮像装置120は、撮像装置の機能に加えて、画像処理装置100と同様の機能を有してもよいし、表示装置130と同様の機能を有してもよい。また、本実施形態において、画像信号受信部101で受信する画像は、撮像素子122で取得した画像を前提に説明するが、この限りではない。例えば、撮像素子122で取得した画像に対して、レンズ部121と撮像素子122の特性により発生したばらつきを考慮して補正してもよい。さらに、取得した画像は、ディベイヤー処理を行った後のRGB、XYZ、L*a*b*、HSVなどの色空間の画像でもよいし、YUV、YCbCr、YPbPrなどの輝度信号および色差信号をもつ画像でもよい。
【0026】
<第1実施形態>
図2から図4を用いて画像処理装置100で行う画像処理について説明する。図2は、第1実施形態に係る画像処理に関連する機能ブロック図である。
【0027】
撮像素子122にて変換された画像は、画像信号受信部101を介してCPU104及びGPU107へ出力される。
【0028】
GPU107は、画像に対して画像回復処理を行う。画像回復処理は、例えばDLによるNR処理である。画像回復処理された画像は、CPU104へ出力される。
【0029】
露出制御部200は、CPU104に構成され、撮像素子122にて変換された画像及び、GPU107にて画像回復処理された画像に基づいて、撮像装置120の露出制御を行う。露出制御部200は、画像の輝度を測定し、輝度値が適正になるように絞り、シャッター、ゲイン、NDの全てまたは一部を協調させながら撮像装置120の露出制御を実行する。
【0030】
現像部201は、CPU104に構成され、GPU107にて画像回復処理された画像に現像処理する。現像処理は、ディベイヤ及びガンマ処理等である。
【0031】
表示駆動部108は、現像部201にて現像された画像を表示装置130へ表示する。
【0032】
図3は、第1実施形態に係る露出制御部200の処理を説明するフローチャートである。本処理は、自動露出制御機能が有効となると開始され、定期的に実行される。
【0033】
S300で露出制御部200は、撮像装置120の露出制御に関わるパラメータを取得する。パラメータは、例えば、絞り、シャッター、ゲイン、及びNDの現在値と設定値である。
【0034】
S301で露出制御部200は、CPU104がGPU107によって画像回復処理された画像(回復画像)を受信したか否かを判定する。露出制御部200は、CPU104が回復画像を受信したと判定した場合(S301でYes)、処理をS302へ進める。一方で、露出制御部200は、CPU104が回復画像を受信していないと判定した場合(S301でNo)、処理をS304へ進める。
【0035】
S302で露出制御部200は、回復画像を取得する。
【0036】
S303で露出制御部200は、S302にて取得した回復画像から露出の評価値を算出する。露出の評価値は、例えば、画像の平均輝度値である。
【0037】
S304で露出制御部200は、CPU104が撮像素子122から画像を受信したか否かを判定する。露出制御部200は、CPU104が撮像素子122から画像を受信したと判定した場合(S304でYes)、処理をS305へ進める。一方で、露出制御部200は、CPU104が撮像素子122から画像を受信していないと判定した場合(S304でNo)、処理をS307へ進める。
【0038】
S305で露出制御部200は、撮像素子122から出力された画像(以下、撮像画像とも呼ぶ)を取得する。
【0039】
S306で露出制御部200は、S303と同様に、S305にて取得した撮像画像から露出の評価値を算出する。露出の評価値は、例えば、画像の平均輝度値である。
【0040】
S307で露出制御部200は、S303とS306の少なくとも一方にて露出の評価値が算出されたか否かを判定する。露出制御部200は、S303とS306の少なくとも一方にて露出の評価値が算出されたと判定した場合(S307でYes)、処理をS308へ進める。一方で、露出制御部200は、S303とS306の少なくとも一方にて露出の評価値が算出されていないと判定した場合(S307でNo)、処理を終了する。
【0041】
S308で露出制御部200は、S303とS306の少なくとも一方にて算出された露出の評価値に基づいて、露出パラメータを決定する。S303とS306の両方で露出の評価値を算出していた場合、露出制御部200は、S303にて算出した回復画像の露出の評価値に基づいて、露出パラメータを決定する。S303にて算出した回復画像の露出の評価値では、ノイズの影響が低減されており、評価値の算出精度が比較的高い。そのため、露出制御部200は、撮像画像の露出の評価値よりも回復画像の露出の評価値を優先的に用いる。また、露出パラメータの決定方法として以下の方法が挙げられる。露出制御部200は、例えば、露出の評価値が適正露出の評価値よりも低い場合、露出を明るい方向へ制御するために、ゲインを上げること、シャッターを長くすること、及び絞りを開くことの少なくともいずれかに対応する露出パラメータを決定する。
【0042】
S309で露出制御部200は、S308にて決定した露出パラメータを、撮像装置120へ送信する。撮像装置120は、画像処理装置100から受信した露出パラメータに基づいて、レンズ部121及び撮像素子122を制御する。
【0043】
図4は、第1実施形態に係る露出制御部200が使用する画像の出力周期を説明する図である。図4は、図23(a)及び図23(b)と同様な図である。回復画像の出力周期は、撮像画像の出力周期の4倍である。
【0044】
図4の時刻t0でCPU104は、回復画像及び撮像素子122から出力された画像(撮像画像)を受信している。そのため、露出制御部200は、回復画像から算出した評価値に基づいて露出パラメータを決定する。
【0045】
時刻t1からt3でCPU104は、回復画像を受信しておらず、撮像画像を受信する。そのため、露出制御部200は、撮像画像から算出した評価値に基づいて露出パラメータを決定する。
【0046】
時刻t4でCPU104は、回復画像及び撮像画像を受信している。そのため、露出制御部200は、回復画像から算出した露出の評価値に基づいて露出パラメータを決定する。
【0047】
時刻t4以降では上記処理が繰り返される。よって、露出制御部200は、回復画像を受信している場合、回復画像を使用して撮像装置120の露出制御を行う。一方で、露出制御部200は、回復画像を受信しておらず、撮像画像を受信する場合、撮像画像を使用して撮像装置120の露出制御を行う。
【0048】
以上で説明した構成及び方法により回復画像をCPU104が受信している場合、ノイズが低減された画像を使用して露出制御が行えるため、露出制御の精度が向上する。さらに、CPU104が回復画像を受信していない間では、撮像画像を使用して露出制御が行えるため、撮像画像の出力周期で露出制御を行うことが可能となる。よって、画像回復機能を使用しつつ撮像装置120の制御機能のリアルタイム性の低下を低減することが可能である。
【0049】
また、本実施形態では、回復画像の出力周期は、撮像画像の出力周期の4倍であるとしたが、これに限らない。回復画像の出力周期は、整数倍ではなくても良く、例えば、4.5倍でも良い。つまり、CPU104が、回復画像を受信するタイミング(例えば、不図示の時刻t4.5)で撮像画像を受信していなくても、本発明の効果を得ることができる。その場合、回復画像をCPU104が受信した後、露出制御部200の制御周期にて回復画像を使用して露出制御を行う。
【0050】
また、本発明では画像回復処理はGPU107によって実行されるが、CPU104によって実行された場合でも本発明の効果を同様に得ることができる。
【0051】
また、本発明では露出制御部200及び現像部201はCPU104に構成されるが、GPU107に構成された場合でも本発明の効果を同様に得ることができる。
【0052】
また、本発明では画像回復処理は、DLによる画像回復処理としたが、これに限らない。画像回復処理は、例えば移動平均であるLPF及びメディアンフィルタを用いたNRであっても、本発明の効果を同様に得ることができる。
【0053】
<第2実施形態>
第2実施形態は、露出制御に使用する画像の連続性を考慮する。第1実施形態では、回復画像をCPU104が受信した場合、回復画像を使用して露出制御を行った。しかし、画像回復処理の負荷が大きいため、撮像画像の出力時点から所定時間経過後の(出力遅延した状態の)回復画像がCPU104へ送信される。図23(a)及び図23(b)では、回復画像の出力周期は、撮像画像の出力周期の4倍である。そのため、時刻t4でCPU104が受信した回復画像は、時刻t0の撮像画像に対して画像回復処理することで生成される。つまり、時刻t4で受信した回復画像は、時刻t0時点の露出条件にて露光された画像である。よって、回復画像を受信するまでの間、すなわち時刻t1からt3までの露出の変化については考慮されていない。本実施形態では、回復画像を受信するまでの間の露出条件の変更を考慮し、画像の連続性について考慮する方法について説明する。以下では、第1実施形態とは異なる部分について説明し、第1実施形態と同様の構成や処理については説明を省略する。
【0054】
図5は、第2実施形態に係る露出制御部200の処理を説明するフローチャートである。図5では、図3の第1実施形態のフローチャートと異なる部分について説明する。
【0055】
S500で露出制御部200は、S302にて取得した回復画像の取得時間(例えば、t4)を記憶する。
【0056】
S501で露出制御部200は、S303にて回復画像から算出した露出の評価値と、前回の回復画像の出力時刻に対応するS302にて記憶した時間(例えば、時刻t0)において撮像画像から算出した評価値とに基づいて、オフセット値を算出する。前回の回復画像の出力時刻に対応するS302にて記憶した時間(時刻t0)は、後述する少なくとも一つ以上前のS503にて記憶する時間と比較することで判定される。また、オフセット値は、例えば評価値の差分とする。
【0057】
S502で露出制御部200は、オフセット値を更新したことを示すフラグをセットする。
【0058】
S304で露出制御部200は、撮像画像をCPU104が受信したか否かを判定する。露出制御部200は、CPU104が撮像画像を受信したと判定した場合(S304でYes)、処理をS305へ進める。一方で、露出制御部200は、CPU104が撮像画像を受信していないと判定した場合(S304でNo)、処理を終了する。
【0059】
S503で露出制御部200は、S305にて取得した撮像画像の取得時間を記憶する。
【0060】
S504で露出制御部200は、オフセット値が更新されたか否かを判定する。露出制御部200は、更新したことを示すフラグがセットされていればオフセット値が更新されたと判定する。露出制御部200は、オフセット値が更新されたと判定した場合(S504でYes)、処理をS505へ進める。一方で、露出制御部200は、オフセット値が更新されていないと判定した場合(S504でNo)、処理をS308へ進める。
【0061】
S505で露出制御部200は、S306にて算出した撮像画像の露出の評価値を、S501にて算出したオフセット値(時刻t0の撮像画像の露出の評価値と、時刻t4の回復画像の露出の評価値との差分)でオフセットする。
【0062】
S506で露出制御部200は、オフセット値を更新したことを示すフラグをクリアする。S308で露出制御部200は、S505にてオフセットした撮像画像の露出の評価値に基づいて露出パラメータを決定する。
【0063】
次に、図4を参照しつつ、第2実施形態に係る露出の評価値の算出方法について説明する。
【0064】
図4の時刻t0、t4でCPU104は、回復画像及び撮像画像を受信する。時刻t1からt3でCPU104は、回復画像を受信せず、撮像画像のみを受信する。時刻t4で露出制御部200は、回復画像の露出の評価値を算出する。
【0065】
次に、CPU104が前回の回復画像を受信した時刻は、t0である。そのため、露出制御部200は、時刻t0における撮像画像の露出の評価値と、時刻t4における回復画像の露出の評価値とに基づいて、オフセット値(露出の評価値の差分)を算出する。露出制御部200は、算出したオフセット値で時刻t4における撮像画像の露出の評価値をオフセットする。時刻t4以降(例えば、時刻t8)も上記処理を繰り返す。本処理は、時刻t0の撮像画像が、GPU107の画像回復処理に要する時間分だけ遅れた時刻t4でCPU104に受信されることを考慮している。つまり、時刻t4で算出したオフセット値で時刻t4の撮像画像の露出の評価値をオフセットすることで、時刻t1からt3までの露出条件の変更を考慮することが可能となった。また、時刻t4において算出したオフセット値は、時刻t0において画像回復処理した影響を考慮した値となっている。つまり、本オフセット値で時刻t4における撮像画像の露出の評価値をオフセットすることで、時刻t4において画像回復処理時間の影響(具体的には、露出変化の影響)を考慮した露出の評価値を算出することが可能となる。
【0066】
以上で説明した構成及び方法により画像回復処理の影響を考慮したオフセット値を算出することで、回復画像がCPU104に受信されるまでの間の露出条件の変更を考慮し、画像の連続性について考慮することが可能となった。
【0067】
また、本実施形態では、回復画像がCPU104に受信された時刻におけるオフセット値で撮像画像の露出の評価値をオフセットすると説明したが、これに限らない。例えば、CPU104の回復画像の受信時刻(取得時刻とも呼ぶ)以外の時刻における撮像画像の露出の評価値をオフセットすることで、より本発明の効果を得ることができる。例えば、図4の時刻t1からt3の間では時刻t0にて算出したオフセット値で撮像画像の露出の評価値をオフセットする。時刻t4から次の回復画像がCPU104に受信されるまでの間(時刻t5からt7まで)では、時刻t4にて算出したオフセット値で撮像画像の露出の評価値をオフセットする。つまり、回復画像がCPU104に受信された時にオフセット値を更新する。
【0068】
<第3実施形態>
第3実施形態は、回復画像がCPU104に受信されるまでの間の露出条件の変更に基づいて、露出制御に使用する画像の連続性を考慮する。第2実施形態では、回復画像の露出の評価値と撮像画像の露出の評価値とに基づいて、オフセット値を算出した。一方、第3実施形態では露出条件の変化量に基づいてオフセット値を算出する。
【0069】
図6は、第3実施形態に係る露出制御部200の処理を説明するフローチャートである。図6では、図3及び図5とは異なる部分について説明する。
【0070】
S600で露出制御部200は、S300にて取得した露出制御に関するパラメータを記憶する。
【0071】
S601で露出制御部200は、S600にて記憶した露出制御に関するパラメータと、少なくとも一つ以上前の時刻におけるS600にて記憶した露出制御に関するパラメータとに基づいて、オフセット値を算出する。オフセット値は、露出制御に関するパラメータに基づく段数(EV値)の変化量から求められる。一般的に、段数が1段変化すると入射光の量は1/2または2倍に変化する。よって、露出制御部200は、段数の変化量に基づいて撮像素子122へ入射する光の変化量(露出の評価値の変化量)を算出し、露出の評価値の変化量をオフセット値として使用する。例えば、露出の評価値が平均輝度値である場合、撮像素子122の光学的な信号を電気的な信号に変換する際の変換効率と段数の変化量とに基づいて求められる撮像素子122へ入射する光の変化量を、平均輝度値に掛け合わせた値がオフセット値となる。
【0072】
S505で露出制御部200は、S306にて算出した撮像画像の露出の評価値を、S601にて算出したオフセット値でオフセットする。
【0073】
次に、図4を参照しつつ第3実施形態に係る露出の評価値の算出方法について説明する。
【0074】
図4の時刻t0、t4でCPU104は、回復画像及び撮像画像を受信する。時刻t1からt3でCPU104は、回復画像を受信せず、撮像画像を受信する。時刻t4で露出制御部200は、時刻t0の露出段数を基準とした場合の露出段数の変化量を算出する。露出制御部200は、算出した段数の変化量に基づいてオフセット値を算出する。露出制御部200は、算出したオフセット値で時刻t4における撮像画像の露出の評価値をオフセットする。時刻t4以降も上記処理を繰り返す。
【0075】
以上で説明した構成及び方法により露出条件の変化量、つまり段数の変化量に基づいてオフセット値を算出することで、CPU104が回復画像を受信するまでの間の露出条件の変更を考慮し、画像の連続性について考慮することが可能となった。
【0076】
また、本実施形態では、CPU104が回復画像を受信する時刻(t0、t4)においてオフセット値で撮像画像の露出の評価値をオフセットすると説明した。なお、本実施形態では、第2実施形態と同様に回復画像の受信時刻以外の時刻において撮像画像の露出の評価値をオフセット値でオフセットすることで、より本発明の効果を高めることができる。
【0077】
<第4実施形態>
第4実施形態は、露出の具合に応じて露出の評価値を算出するための画像を選択する。回復画像は低ノイズの画像であり、露出の評価値を算出するのに好ましい。しかし、画像回復処理負荷によっては、回復画像の出力周期が低下してしまう。一方、撮像画像は高ノイズの画像であり、撮像画像の出力周期は低下しない。しかし、撮像画像から算出した露出の評価値の精度が低下する。露出の具合によっては、露出の評価値の精度よりも出力周期を優先する場合および出力周期よりも露出の評価値の精度を優先する場合がある。つまり、露出の具合に応じて、露出の評価値を算出するための画像を選択することが好ましい。
【0078】
図7は、第4実施形態に係る露出制御部200の処理を説明するフローチャートである。図7では、図3図5、及び図6に示すフローチャートと異なる部分について説明する。
【0079】
S700で露出制御部200は、基準評価値を取得する。基準評価値はROM105に予め記憶され、CPU104がROM105から基準評価値を読み出す。基準評価値とは、適正露出時の画像の評価値であり、一定の数値範囲であることが好ましい。
【0080】
S701で露出制御部200は、S306にて算出した撮像画像の露出の評価値と、S700にて取得した基準評価値とに基づいて、現在の露出が適正露出であるか否か、及び、適正露出に近いか否かを判定する。例えば、露出制御部200は、算出した撮像画像の露出の評価値が基準評価値の数値範囲内である場合、現在の露出が適正露出であると判定する。また、露出制御部200は、算出した撮像画像の露出の評価値が基準評価値の数値範囲外であり、かつ算出した撮像画像の露出の評価値と基準評価値の数値範囲との間に一定の差分がある場合、現在の露出が適正露出に近いと判定する。ここで、一定の差分とは、例えば、露出の評価値と基準評価値の数値範囲との差分を段数で換算した時に1回の制御周期で変更可能な段数以下となる場合のことである。そして、露出制御部200は、現在の露出が適正露出である又は適正露出に近いと判定した場合(S701でYes)、処理をS301へ進める。一方、露出制御部200は、現在の露出が適正露出ではなく、かつ適正露出に近くないと判定した場合(S701でNo)、処理をS308へ進める。
【0081】
S308で露出制御部200は、S303とS306の少なくとも一方にて算出された露出の評価値に基づいて、露出パラメータを決定する。露出制御部200は、S303及びS306の両方にて露出の評価値を算出していた場合、S303にて算出した回復画像の露出の評価値に基づいて露出パラメータを決定する。
【0082】
図8は、第4実施形態に係る露出制御部200が使用する画像の選択方法を説明する図である。図8で横軸は時間を示し、縦軸は露出の評価値を示し、二つの破線は基準評価値の範囲を示す。例えば、露出制御部200は、露出の評価値が二つの破線の間に存在する場合に、現在の露出が適正露出であると判定する。
【0083】
時刻t80、t84、t88でCPU104は、回復画像及び撮像画像を受信する。時刻t80、t84、t88以外の時刻ではCPU104は、回復画像を受信せず、撮像画像のみを受信する。斜め線を含む白丸(○)、及び黒丸(●)は、露出の評価値を示す。時刻t80からt84で露出制御部200は、露出の評価値が基準評価値の範囲外にあり、かつ露出の評価値と基準評価値の範囲との間に一定の差分が存在しないため、撮像画像から算出した露出の評価値に基づいて露出制御を行う。時刻t85で露出制御部200は、露出の評価値が基準評価値の範囲外にあり、かつ露出の評価値と基準評価値の範囲との間に一定の差分が存在するため、回復画像から算出した評価値に基づいて露出制御を行う。しかし、時刻t85からt87で露出制御部200は、CPU104が回復画像を受信していないため、露出制御を実施しない。時刻t88で露出制御部200は、CPU104が回復画像を受信したため、回復画像から算出した露出の評価値に基づいて露出制御を行う。
【0084】
以上で説明した構成及び方法により露出の具合に応じて露出の評価値を算出するための画像を選択することが可能となった。よって、露出の評価値が基準評価値の範囲まで遠い場合、露出制御の更新周期(すなわち、画像の出力周期)を優先し、現在の露出が適正露出になるまでの時間を短縮することが可能となった。また、露出の評価値が基準評価値の範囲に近づいた場合、回復画像に基づいて露出制御を行うことで露出制御の精度(すなわち、露出の評価値の精度)を優先することが可能となった。
【0085】
また、本実施形態では、撮像画像の露出の評価値に基づいて露出の具合を判定した。しかし、露出制御部200は、CPU104が回復画像を受信した場合、回復画像の露出の評価値に基づいて露出の具合を判定しても良い。
【0086】
また、本実施形態では、露出の評価値と基準評価値の範囲との間に一定の差分があっても、回復画像を受信していない場合には露出制御を実施しない。しかし、この場合に露出制御を実施しても本発明の効果を得ることができる。回復画像を受信していない場合に露出制御を行う場合には、第2実施形態と第3実施形態で説明したオフセット値を使用することが好ましい。
【0087】
<第5実施形態>
第5実施形態は、2種類の画像回復処理を有する場合に、露出制御部200は各々の画像回復処理を施した画像から露出の評価値を算出し、露出制御を行う。第1実施形態から第4実施形態では、回復画像及び撮像画像の露出の評価値を算出し、露出制御を行った。しかし、撮像装置120の用途によっては、露出制御の更新周期の低下をある程度許容しつつ、露出制御の精度を向上させたい場合がある。よって、本実施形態では、2種類の画像回復処理を有する場合に、常に回復画像の露出の評価値を算出し、露出制御を行うものとする。
【0088】
図9は、第5実施形態に係る撮像システムの機能ブロック図を示す。図9では、図2の第1実施形態の機能ブロック図とは異なる部分について説明する。
【0089】
第1NR部900は、GPU107内に構成され、撮像素子122から出力される画像(撮像画像)に対して画像回復処理を行う。第1NR部900は、第1実施形態から第4実施形態で説明した画像回復処理と同じ処理を行う。
【0090】
第2NR部901は、GPU107内に構成され、撮像素子122から出力される画像(撮像画像)に対して画像回復処理を行う。第2NR部901の画像回復処理は、第1NR部900と比較して、処理負荷が小さく、露出制御の更新周期が短くなる画像回復処理である。
【0091】
露出制御部200は、CPU104内に構成され、第1NR部900によって画像回復処理された画像及び第2NR部901によって画像回復処理された画像に基づいて、撮像装置120の露出制御を行う。
【0092】
現像部201は、CPU104内に構成され、第1NR部900によって画像回復処理された画像に対して現像処理を行う。
【0093】
図10は、第5実施形態に係る露出制御部200の処理を説明するフローチャートである。図10では、図3図5図6及び図7に示すフローチャートと異なる部分について説明する。
【0094】
S1000で露出制御部200は、第1NR部900によって画像回復処理された画像(以下、第1の回復画像とも呼ぶ)をCPU104が受信したか否かを判定する。露出制御部200は、第1の回復画像を受信したと判定した場合(S1000でYes)、処理をS1001へ進める。一方、露出制御部200は、第1の回復画像を受信していないと判定した場合(S1000でNo)、処理をS1003へ進める。
【0095】
S1001で露出制御部200は、第1の回復画像を取得する。
【0096】
S1002で露出制御部200は、S1001にて取得した第1の回復画像から露出の評価値を算出する。
【0097】
S1003で露出制御部200は、第2NR部901によって画像回復処理が施された画像(以下、第2の回復画像とも呼ぶ)をCPU104が受信したか否かを判定する。露出制御部200は、第2の回復画像を受信したと判定した場合(S1003でYes)、処理をS1004へ進める。一方、露出制御部200は、第2の回復画像を受信していないと判定した場合(S1003でNo)、処理をS1006へ進める。
【0098】
S1004で露出制御部200は、第2の回復画像を取得する。
【0099】
S1005で露出制御部200は、S1004にて取得した第2の回復画像から露出の評価値を算出する。
【0100】
S1006で露出制御部200は、S1002とS1005の少なくとも一方にて露出の評価値が算出されたか否かを判定する。露出制御部200は、少なくとも1つの露出の評価値が算出されていると判定した場合(S1006でYes)、処理をS308へ進める。一方、露出制御部200は、少なくとも1つの露出の評価値が算出されていないと判定した場合(S1006でNo)、処理を終了する。
【0101】
S308で露出制御部200は、S1002とS1005の少なくとも一方にて算出された露出の評価値に基づいて、露出パラメータを決定する。S1002及びS1005の両方にて露出の評価値を算出していた場合、露出制御部200は、S1002にて算出した露出の評価値に基づいて、露出パラメータを決定する。S1002にて算出した露出の評価値は、第1の回復画像に基づいて算出しているため、現像部201を通って表示装置130に表示される画像と同様な画像、すなわち使用者(ユーザ)が見る画像と同様である。つまり、使用者が見る画像と同様な画像に基づいて露出制御を行うため、より露出制御の精度が向上する。また、S1005にて算出した露出の評価値は、第2の回復画像に基づいて算出しているため、比較的短い露出制御の更新周期となる。つまり、画像回復処理による露出制御のリアルタイム性の低下を低減することが可能となった。
【0102】
以上で説明した構成及び方法により表示装置130に表示される画像と同様の回復画像を使用して露出制御が行えるため、露出制御の精度が向上する。さらに、比較的処理負荷の小さい画像回復処理を施した画像(第2の回復画像)を使用して露出制御が行えるため、露出制御のリアルタイム性の低下を低減することが可能となった。よって、画像回復機能を使用しつつ撮像装置の制御機能のリアルタイム性の低下を低減することが可能となった。
【0103】
また、本実施形態では、第1NR部900と第2NR部901の画像回復処理を実行した後の回復画像を露出制御に用いたが、これに限定しない。例えば、第2の回復画像のみを露出制御に用いてもよい。
【0104】
また、第2NR部901は、第1NR部900と比較して処理負荷が小さく更新周期が短い画像回復処理を実行できるものとして、例えば、移動平均であるLPFやメディアンフィルタを用いたNRであってもよく、この場合においても本発明の効果を得ることができる。
【0105】
<第6実施形態>
第6実施形態は、撮像画像の一部を抽出し、撮像画像から抽出した部分画像に対して画像回復処理を行う。第1実施形態から第5実施形態の画像回復処理では、撮像素子122から出力される画像サイズと同じサイズの撮像画像をそのまま用いていた。しかし、撮像画像の一部の領域に関しての露出の評価値を算出することで、露出制御を行うことも可能である。例えば、使用者が画像において注目したい領域(以下、注目領域とも呼ぶ)を有する場合には、注目領域のみの露出の評価値を算出することが好ましい。さらに、画像回復処理で入力される画像サイズを小さくすることで処理負荷を低減し、画像回復処理による露出制御機能の更新周期の低下を低減することが可能となる。
【0106】
図11は、第6実施形態に係る撮像システムの機能ブロック図を示す。図11では、図2及び図9に示す機能ブロック図とは異なる部分について説明する。
【0107】
抽出部1100は、GPU107内に構成され、撮像素子122から出力される撮像画像の一部を抽出する(切り出す)。例えば、抽出部1100は、画像から使用者が選択した注目領域を抽出する。使用者は、不図示の操作部によって注目領域を選択できる。また、抽出部1100は、画像の中央の一部の領域など画像上の任意の座標で指定された領域を抽出してもよい。また、抽出部1100は、任意の被写体を検出する処理を行い、その検出結果によって算出された被写体が存在する領域を画像から抽出してもよい。また、上記で説明した抽出方法は、画像から注目領域のみを抽出することに限定されることはなく、リサイズ処理により縮小画像を作成することを含んでもよい。あるいは、上記で説明した抽出方法は、画像から露出制御に使用される複数の領域を抽出することを含んでも良い。また、抽出部1100は、CPU104内に構成されていてもよい。抽出する画像サイズは、後述する第3NR部1101の画像の出力周期が、第1NR部900の画像の出力周期よりも短くなるような画像サイズであることが好ましい。リサイズ処理により縮小画像を作成する場合について補足説明する。抽出部1100は、画像から抽出する注目領域のサイズが予め規定された規定サイズよりも小さい場合、注目領域を規定サイズで抽出する。また、抽出部1100は、画像から抽出する注目領域のサイズが予め規定された規定サイズよりも大きい場合、注目領域を不図示の操作部で指定された指定サイズで抽出する。
【0108】
第3NR部1101は、GPU107内に構成され、抽出部1100が撮像画像から抽出した部分画像に対して画像回復処理を行う。第3NR部1101の画像回復処理は、第1NR部900と同様な画像回復処理とする。また、抽出部1100が撮像画像から複数の領域を抽出する場合、複数の領域を任意の枚数ごとのバッチ処理として画像回復処理を行ってもよい。
【0109】
図12は、第6実施形態に係る露出制御部200の処理を説明するフローチャートである。図12では、図3図5図6図7及び図10に示すフローチャートと異なる部分について説明する。
【0110】
S1200で露出制御部200は、第3NR部1101が部分画像に対して画像回復処理した画像(以下、第3の回復画像とも呼ぶ)をCPU104が受信したか否かを判定する。露出制御部200は、CPU104が第3の回復画像を受信したと判定した場合(S1200でYes)、処理をS1201へ進む。一方、露出制御部200は、CPU104が第3の回復画像を受信していないと判定した場合(S1200でNo)、処理をS1203へ進める。
【0111】
S1201で露出制御部200は、第3の回復画像を取得する。
【0112】
S1202で露出制御部200は、S1201にて取得した第3の回復画像から露出の評価値を算出する。
【0113】
S1203で露出制御部200は、S1002とS1202の少なくとも一方にて露出の評価値が算出されたか否かを判定する。露出制御部200は、少なくとも1つの露出の評価値が算出されている場合(S1203でYes)、処理をS308へ進める。一方、露出制御部200は、少なくとも1つの露出の評価値が算出されていない場合(S1203でNo)、処理を終了する。
【0114】
S308で露出制御部200は、S1002とS1202の少なくとも一方にて算出された露出の評価値に基づいて、露出パラメータを決定する。S1002及びS1202の両方にて露出の評価値を算出していた場合、露出制御部200は、S1002にて第1の回復画像から算出した露出の評価値に基づいて、露出パラメータを決定する。なお、第1の回復画像は、現像部201を通って表示装置130に表示される画像、すなわち使用者が見る画像と同様である。つまり、使用者が見る画像と同様な画像(第1の回復画像)に基づいて露出制御を行うため、より露出制御の精度が向上する。また、S1202にて第3の回復画像から算出した露出の評価値は、第1の回復画像よりも比較的短い周期で更新される。つまり、画像回復処理による露出制御のリアルタイム性の低下を低減することが可能となった。
【0115】
以上で説明した構成及び方法により表示装置130に表示される画像と同様の画像(第1の回復画像)を使用して露出制御が行え、露出制御の精度が向上する。さらに、比較的処理負荷の小さい画像回復処理を施した画像(第3の回復画像)を使用して露出制御が行えるため、露出制御のリアルタイム性の低下を低減することが可能となった。よって、画像回復機能を使用しつつ撮像装置の制御機能のリアルタイム性の低下を低減することが可能となった。
【0116】
また、本実施形態では、第3NR部1101を設けたが、撮像画像から抽出した一部の領域(すなわち、部分画像)に対して画像回復処理できればこれに限らない。例えば、第3NR部1101と第1NR部900を共通とする構成であっても、本発明の効果を得ることができる。
【0117】
また、本実施形態では、第1NR部900と第3NR部1101の画像回復処理を行った後の回復画像を露出制御に用いたが、これに限定しない。例えば、第3NR部1101の画像回復処理を行った後の画像のみを露出制御に用いてもよい。
【0118】
また、本実施形態では、抽出部1100をGPU107内に構成したが、CPU104内に構成してもよい。
【0119】
また、抽出部1100にて抽出された領域(部分画像)の大きさに応じて、第5実施形態の露出制御と本実施形態の露出制御を切り替えることで、より本発明の効果を得ることができる。例えば、抽出部1100によって抽出された画像サイズがあるサイズより小さい場合には本実施形態を適用し、部分画像があるサイズよりも大きい場合には第5実施形態の露出制御処理へと切り替える。画像から抽出した領域(部分画像)が小さい場合には、本実施形態の効果を得ることができる。画像から抽出した領域(部分画像)が大きい場合には、第5実施形態の第2NR部901によって回復された画像で露出制御を行うことで、本実施形態の効果よりも第5実施形態の効果を得ることが可能となる。
【0120】
<第7実施形態>
第7本実施形態は、ホワイトバランス制御部1300が回復画像を受信した場合、回復画像からホワイトバランス補正値を算出し、ホワイトバランス制御を行う。第1実施形態から第6実施形態では、回復画像を用いて露出制御を行った。第7実施形態では、第1実施形態から第6実施形態と同様に、ホワイトバランス制御においても回復画像を用いてホワイトバランス補正値を算出し、ホワイトバランス補正の精度を向上させる。
【0121】
図13は、第7実施形態の撮像システムの機能ブロック図を示す。図13では、図2に示す機能ブロック図とは異なる部分について説明する。
【0122】
ホワイトバランス制御部1300は、CPU104内に構成され、撮像素子122にて変換された画像及びGPU107にて画像回復処理された画像に基づいて、ホワイトバランス制御を行う。例えば、ホワイトバランス制御部1300は、画像の白色領域を検出し、白色領域の色成分ごとの積分値が均一になるようなホワイトバランス補正値を算出する。
【0123】
現像部201は、CPU104内に構成され、GPU107にて画像回復処理された画像に現像処理を行う。また、現像部201は、ホワイトバランス制御部1300にて算出されたホワイトバランス補正値に基づいて、ホワイトバランス補正を実施する。
【0124】
図14は、第7実施形態に係るホワイトバランス制御部1300の処理を説明するフローチャートである。図14では、図3に示すフローチャートと異なる部分について説明する。
【0125】
S1400でホワイトバランス制御部1300は、S301にて取得した回復画像からホワイトバランス補正値を算出する。本実施形態では、ベイヤー配列のRAWデータからホワイトバランス補正値としてRゲインとBゲインを算出する場合を一例として説明する。
【0126】
ここで、図15は、ホワイトバランス補正値を算出する方法を説明する図である。
【0127】
図15では、ホワイトバランス制御部1300は、画像全体に複数の白色領域検出枠を設定し、検出枠ごとにR成分、G成分、及びB成分の積分値を算出する。次に、ホワイトバランス制御部1300は、G成分に対するR成分とB成分の割合(R/GおよびB/G)を算出し、R成分の割合とB成分の割合との差分が閾値以下である場合に検出枠が白色領域であると判定する。次に、ホワイトバランス制御部1300は、白色領域と判定された全ての検出枠内におけるR成分、G成分、及びB成分の積分値を算出する。最後に、ホワイトバランス制御部1300は、白色領域の色成分ごとの積分値に基づいて、式(1)、式(2)を用いてホワイトバランス補正値を算出する。
Rgain=Ginteg/Rinteg・・・(1)
Bgain=Ginteg/Binteg・・・(2)
【0128】
ここで、式(1)、式(2)のRgainとBgainは、ホワイトバランス補正値のRゲイン及びBゲインを表す。RintegとGintegとBintegは、白色領域のR成分、G成分、及びB成分の積分値を表す。また、ホワイトバランス補正値は、RGBの色成分に限定されず、例えば、YCbCrの信号からCbCrの色差信号を抽出し、色差信号に基づいて算出されてもよい。また、ホワイトバランス補正値は、複数回の制御周期で段階的に式(1)、式(2)で算出する値になるように制御されてもよい。また、ホワイトバランス補正値は、RgainとBgainでそれぞれ設定できる範囲を設け、その設定できる範囲外の値が算出される場合はその範囲内の値になるように調整されてもよい。
【0129】
S1401でホワイトバランス制御部1300は、S305にて取得した撮像画像からホワイトバランス補正値を算出する。ホワイトバランス補正値は、S1400と同様の方法で算出される。
【0130】
S1402でホワイトバランス制御部1300は、S1400とS1401の少なくとも一方にてホワイトバランス補正値が算出された否かを判定する。ホワイトバランス制御部1300は、少なくとも1つのホワイトバランス補正値が算出されていると判定した場合(S1402でYes)、処理をS1403へ進める。一方、ホワイトバランス制御部1300は、少なくとも1つのホワイトバランス補正値が算出されていないと判定した場合(S1402でNo)、処理を終了する。
【0131】
S1403でホワイトバランス制御部1300は、S1400とS1401の少なくとも一方にて算出されたホワイトバランス補正値を、現像部201のホワイトバランス補正で使用するホワイトバランス補正値とする。S1400及びS1401の両方にてホワイトバランス補正値を算出していた場合、ホワイトバランス制御部1300は、S1400にて回復画像から算出したホワイトバランス補正値を使用する。S1400にて回復画像から算出したホワイトバランス補正値は、回復画像が低ノイズであるため、ホワイトバランス補正値の算出精度が比較的高いホワイトバランス補正値である。
【0132】
S1404でホワイトバランス制御部1300は、S1403にて決定したホワイトバランス補正値を現像部201へ送信する。現像部201は、受信したホワイトバランス補正値に基づいてホワイトバランス補正を行う。
【0133】
次に、図4を参照しつつ第7実施形態に係るホワイトバランス制御部1300が使用する画像について説明する。
【0134】
図4図23(a)、(b)と同様な図である。図4で回復画像の出力周期は、撮像画像の出力周期の4倍である。
【0135】
図4の時刻t0でCPU104は回復画像及び撮像画像を受信するため、ホワイトバランス制御部1300は回復画像から算出したホワイトバランス補正値に基づいてホワイトバランス制御を行う。
【0136】
時刻t1からt3でCPU104は、回復画像を受信せず、撮像画像を受信する。そのため、ホワイトバランス制御部1300は、撮像画像から算出したホワイトバランス補正値に基づいてホワイトバランス制御を行う。
【0137】
時刻t4でホワイトバランス制御部1300は、CPU104が回復画像及び撮像画像を受信するため、回復画像から算出したホワイトバランス補正値に基づいてホワイトバランス制御を行う。
【0138】
以降も上記処理を繰り返す。よって、回復画像がCPU104に受信される場合、ホワイトバランス制御部1300は回復画像を使用してホワイトバランス制御を行う。一方、回復画像がCPU104に受信されていない場合、ホワイトバランス制御部1300は撮像画像を使用してホワイトバランス制御を行う。
【0139】
以上で説明した構成及び方法により回復画像がCPU104に受信された場合、ノイズが低減された画像(回復画像)を使用してホワイトバランス制御を行うため、ホワイトバランス制御の精度が向上する。さらに、回復画像がCPU104に受信されていない間は、撮像画像を使用してホワイトバランス制御を行うため、撮像画像の出力周期でホワイトバランス制御を行うことが可能となる。よって、画像回復機能を使用しつつ撮像装置の制御機能のリアルタイム性の低下を低減することが可能となった。
【0140】
また、本実施形態では、回復画像の出力周期は、撮像画像の出力周期の4倍であるとしたが、これに限らない。回復画像の出力周期は、整数倍でなくてもよく、例えば、4.5倍でも良い。つまり、CPU104が、回復画像を受信するタイミング(時刻)において撮像画像を受信していなくても、本発明の効果を得ることができる。その場合、回復画像をCPU104が受信した後、ホワイトバランス制御部1300の制御周期にて回復画像を使用してホワイトバランス制御を行う。
【0141】
また、本発明では画像回復処理はGPU107によって実行されるが、CPU104によって実行された場合でも本発明の効果を同様に得ることができる。
【0142】
また、本発明ではホワイトバランス制御部1300及び現像部201はCPU104に構成されるが、GPU107に構成された場合でも本発明の効果を同様に得ることができる。
【0143】
また、本発明では画像回復処理は、DLによる画像回復処理としたが、これに限らない。画像回復処理は、例えば移動平均であるLPFやメディアンフィルタを用いたNRであっても、本発明の効果を同様に得ることができる。
【0144】
<第8実施形態>
第8実施形態は、ホワイトバランス制御に使用する画像の連続性を考慮する。第7実施形態では、CPU104が回復画像を受信した場合、回復画像を使用してホワイトバランス制御を行っていた。しかし、画像回復処理の負荷が大きいため、撮像画像の出力時点から所定時間経過後の(出力遅延した状態の)回復画像がCPU104へ出力される。図23(a)及び図23(b)では、回復画像の出力周期は、撮像画像の出力周期の4倍である。そのため、時刻t4にて受信した回復画像は、時刻t0の撮像画像に対して画像回復処理することで生成される。つまり、時刻t4にて受信した回復画像は、時刻t0時点の露出条件にて露光された画像となる。よって、CPU104が回復画像を受信するまでの間、すなわち時刻t1からt3までの変化については考慮されていない。本実施形態では、CPU104が回復画像を受信するまでの間の映像の色成分の変化を考慮し、画像の連続性について考慮する方法について説明する。以下では、第2実施形態及び第7実施形態とは異なる部分について説明し、同様の構成や処理については説明を省略する。
【0145】
図16は、第8実施形態に係るホワイトバランス制御部1300の処理を説明するフローチャートである。図16では、図3図5及び、図14に示すフローチャートと異なる部分について説明する。
【0146】
S1600でホワイトバランス制御部1300は、S1400にて(時刻t4の)回復画像から算出したホワイトバランス補正値と、前回の回復画像の出力時刻すなわちS302にて記憶した時間(時刻t0)においてS1401にて撮像画像から算出したホワイトバランス補正値とに基づいて、オフセット値を算出する。前回の回復画像の出力時刻すなわちS302にて記憶した時間(時刻t0)は、後述する少なくとも一つ以上前のS503にて記憶する時間と比較することで判定される。また、オフセット値は、例えばホワイトバランス補正値の差分とする。
【0147】
S1601でホワイトバランス制御部1300は、S1401にて撮像画像から算出したホワイトバランス補正値を、S1600にて算出したオフセット値でオフセットする。
【0148】
次に、図4を参照しつつ、第8実施形態に係るホワイトバランス補正値の算出方法について説明する。
【0149】
図4の時刻t0、t4でCPU104は、回復画像及び撮像画像を受信する。時刻t1からt3でCPU104は、回復画像を受信せず、撮像画像のみを受信する。時刻t4でホワイトバランス制御部1300は、回復画像からホワイトバランス補正値を算出する。
【0150】
次に、CPU104が前回の回復画像を受信した時刻は、t0である。そのため、ホワイトバランス制御部1300は、時刻t0における撮像画像のホワイトバランス補正値と、時刻t4における回復画像のホワイトバランス補正値とに基づいて、オフセット値を算出する。ホワイトバランス制御部1300は、算出したオフセット値で時刻t4における撮像画像のホワイトバランス補正値をオフセットする。時刻t4以降も上記処理を繰り返す。本処理は、時刻t0の撮像画像が、GPU107の画像回復処理に要する時間分だけ遅れた時刻t4にてCPU104に受信されることを考慮している。つまり、時刻t4にて算出したオフセット値で時刻t4の撮像画像のホワイトバランス補正値をオフセットすることで、時刻t1からt3までの映像の色成分の変化を考慮することが可能となった。また、時刻t4で算出したオフセット値は、時刻t0において画像回復処理した影響を考慮した値となっている。つまり、本オフセット値で時刻t4における撮像画像のホワイトバランス補正値をオフセットすることで、時刻t4において映像の色成分変化の影響を考慮したホワイトバランス補正値を算出することが可能となる。
【0151】
以上で説明した構成及び方法により画像回復処理の影響を考慮したオフセット値を算出することで、回復画像がCPU104に受信されるまでの間の映像の色成分の変化を考慮し、画像の連続性について考慮することが可能となった。
【0152】
また、本実施形態では、回復画像がCPU104に受信された時刻においてオフセット値で撮像画像のホワイトバランス補正値をオフセットすると説明したが、これに限らない。例えば、CPU104の回復画像の受信時刻以外の時刻においてオフセット値で撮像画像から算出したホワイトバランス補正値をオフセットすることで、より本発明の効果を得ることができる。例えば、図4の時刻t1からt3の間では時刻t0にて算出したオフセット値で撮像画像のホワイトバランス補正値をオフセットする。時刻t4から次の回復画像がCPU104に受信されるまでの間(すなわち、時刻t5からt7)は時刻t4にて算出したオフセット値で撮像画像のホワイトバランス補正値をオフセットする。つまり、回復画像がCPU104に受信された時にオフセット値を更新する。
【0153】
<第9実施形態>
第9実施形態は、回復画像がCPU104に受信されるまでの間の映像の色成分の変化に基づいて、ホワイトバランス制御に使用する画像の連続性を考慮する。第2実施形態では、回復画像と撮像画像とに基づいてオフセット値を算出していたが、第9実施形態では、ホワイトバランス補正値の変化量に基づいてオフセット値を算出する。
【0154】
図17は、第9実施形態に係るホワイトバランス制御部1300の処理を説明するフローチャートである。図17では、図3図5、及び図14に示すフローチャートと異なる部分について説明する。
【0155】
S1700でホワイトバランス制御部1300は、ホワイトバランス補正値の変化量に基づいて、オフセット値を算出する。
【0156】
次に、図4を参照しつつ第9実施形態に係るホワイトバランス補正値の算出方法について説明する。
【0157】
図4の時刻t0、t4でCPU104は、回復画像及び撮像画像を受信する。時刻t1からt3でCPU104は、回復画像を受信せず、撮像画像のみを受信する。時刻t4でホワイトバランス制御部1300は、時刻t0からt4までのホワイトバランス補正値の変化量を算出する。ホワイトバランス制御部1300は、算出したホワイトバランス補正値の変化量に基づいてオフセット値を算出する。ホワイトバランス制御部1300は、算出したオフセット値で時刻t4における撮像画像のホワイトバランス補正値をオフセットする。時刻t4以降も上記処理を繰り返す。
【0158】
以上で説明した構成及び方法によりホワイトバランス補正値の変化量に基づいてオフセット値を算出することで、回復画像がCPU104に受信されるまでの間の映像の色成分の変化を考慮し、画像の連続性について考慮することが可能となった。
【0159】
また、本実施形態では、回復画像がCPU104に受信される時刻でオフセット値で撮像画像のホワイトバランス補正値をオフセットすると説明した。しかし、本実施形態では、第8実施形態と同様に上記以外の時刻で撮像画像のホワイトバランス補正値をオフセット値でオフセットすることで、より本発明の効果を高めることができる。
【0160】
<第10実施形態>
第10実施形態は、映像の色成分の状態に応じてホワイトバランス補正値を算出するための画像を選択する。回復画像は低ノイズ画像であり、ホワイトバランス補正値を算出するのに好ましいが、画像回復処理の負荷によってホワイトバランス制御の更新周期が低下してしまう。一方、撮像画像からホワイトバランス補正値を算出する場合では、ホワイトバランス制御の更新周期の低下はないが、撮像画像のノイズによりホワイトバランス補正値の算出精度が低下してしまう。しかし、映像の色成分の状態によっては、ホワイトバランス補正値の算出精度よりもホワイトバランス制御の更新周期を優先する場合、および、ホワイトバランス制御の更新周期よりもホワイトバランス補正値の算出精度を優先する場合がある。つまり、映像の色成分の状態に応じてホワイトバランス補正値を算出する画像を選択することが好ましい。
【0161】
図18は、第10実施形態に係るホワイトバランス制御部1300の処理を説明するフローチャートである。図18では、図3及び図14に示すフローチャートと異なる部分について説明する。
【0162】
S1800でホワイトバランス制御部1300は、基準評価値を取得する。基準評価値はROM105に予め記憶され、CPU104がROM105から基準評価値を読み出す。基準評価値とは、現在のホワイトバランスが適正ホワイトバランスであるか否かを判定する値であり、一定の数値範囲であることが好ましい。ここで、適正ホワイトバランスとは、白色領域をホワイトバランス補正値で補正した後のG成分に対するR成分の割合とB成分の割合の値がそれぞれ1である状態と定義する。ここで、補正後のG成分に対するR成分の割合とB成分の割合の値が1に近いほど適正ホワイトバランスに近いと判定する。
【0163】
S1801でホワイトバランス制御部1300は、撮像画像からホワイトバランス評価値を算出する。撮像画像の白色領域のG成分に対するR成分の割合とB成分の割合の値に、S1401にて撮像画像から算出したホワイトバランス補正値を掛けた値をホワイトバランス評価値とする。つまり、ホワイトバランス評価値は、ホワイトバランス補正後の白色領域のG成分に対するR成分の割合の値(R成分のホワイトバランス評価値)とB成分の割合の値(B成分のホワイトバランス評価値)である。
【0164】
S1802でホワイトバランス制御部1300は、S1801にて撮像画像から算出したホワイトバランス評価値と、S1800にて取得した基準評価値とに基づいて、現在の映像のホワイトバランスが適正ホワイトバランスであるか否か、及び、適正ホワイトバランスに近いか否かを判定する。例えば、ホワイトバランス制御部1300は、ホワイトバランス評価値が基準評価値の範囲内にある場合、現在の映像のホワイトバランスが適正ホワイトバランスであると判定する。一方、ホワイトバランス制御部1300は、ホワイトバランス評価値が基準評価値の範囲外にあり、かつホワイバランス評価値と基準評価値の範囲との間に一定の差分がある場合、現在の映像のホワイトバランスが適正ホワイトバランスに近いと判定する。ここで、基準評価値の範囲として、例えば、G成分に対するR成分の割合の範囲を0.9~1.1などに設定し、B成分の割合の範囲を0.8~1.1などに設定する。R成分とB成分の両方のホワイトバランス評価値が基準評価値の範囲内にある場合、現在の映像のホワイトバランスが適正ホワイトバランスに近いと判定する。また、R成分及びB成分のホワイトバランス評価値と基準評価値の範囲との間の一定の差分は、任意の値であってよい。ホワイトバランス制御部1300は、現在の映像のホワイトバランスが適正ホワイトバランスである、又は、適正ホワイトバランスに近いと判定した場合(S1802でYes)、処理をS301へ進める。一方、ホワイトバランス制御部1300が、現在の映像のホワイトバランスが適正ホワイトバランスではなく、かつ適正ホワイトバランスに近くないと判定した場合(S1802でNo)、処理をS1403へ進める。
【0165】
次に、図8を参照しつつ第10実施形態に係るホワイトバランス制御部1300が使用する画像について説明する。図8で横軸は時間を示し、縦軸はホワイトバランス評価値を示し、二つの破線は基準評価値の範囲を示す。例えば、ホワイトバランス制御部1300は、ホワイトバランス評価値が二つの破線の間に存在する場合、現在の映像のホワイトバランスが適正ホワイトバランスであると判定する。ここでは、R成分とB成分の両方のホワイトバランス評価値が適正値の範囲にある場合を前提として説明する。
【0166】
時刻t80、t84、t88でCPU104は、回復画像及び撮像画像を受信する。時刻t80、t84、t88以外の時刻でCPU104は、回復画像を受信せず、撮像画像を受信する。斜め線を含む白丸(○)及び黒丸(●)は、R成分とB成分のホワイトバランス評価値を示す。時刻t80からt84でホワイトバランス制御部1300は、ホワイトバランス評価値が基準評価値の範囲外にあり、かつホワイトバランス評価値と基準評価値の範囲との間に一定の差分がないため、撮像画像からホワイトバランス評価値を算出し、ホワイトバランス制御を行う。時刻t85でホワイトバランス制御部1300は、ホワイトバランス評価値が基準評価値の範囲外にあり、かつホワイトバランス評価値と基準評価値の範囲との間に一定の差分があるため、回復画像からホワイトバランス評価値を算出し、ホワイトバランス制御を行う。しかし、時刻t85からt87でホワイトバランス制御部1300は、CPU104が回復画像を受信していないため、ホワイトバランス制御を実施しない。時刻t88でホワイトバランス制御部1300は、CPU104が回復画像を受信するため、回復画像からホワイトバランス評価値を算出し、ホワイトバランス制御を行う。
【0167】
以上で説明した構成及び方法により映像の色成分の状態に応じてホワイトバランス評価値を算出するための画像を選択することが可能となった。よって、ホワイトバランス評価値が基準評価値の範囲まで遠い場合、ホワイトバランス制御の更新周期を優先し、現在のホワイトバランスが適正ホワイトバランスになるまでの時間を短縮することが可能となった。また、ホワイトバランス評価値が基準評価値の範囲に近づいた場合、回復画像に基づいてホワイトバランス制御を行うことでホワイトバランス制御の精度を優先することが可能となった。
【0168】
また、本実施形態では、撮像画像のホワイトバランス評価値に基づいて映像の色成分の状態を判定した。しかし、ホワイトバランス制御部1300は、CPU104が回復画像を受信した場合に、回復画像のホワイトバランス評価値を算出し、その評価値に基づいて映像の色成分の状態を判定しても良い。
【0169】
また、本実施形態では、ホワイトバランス評価値と基準評価値の範囲との間に一定の差分がある場合でも、回復画像を受信していない場合はホワイトバランス制御を実施しないが、この場合にホワイトバランス制御を実施しても本発明の効果を得ることができる。回復画像を受信していない場合のホワイトバランス制御では、第8実施形態から第9実施形態で説明したオフセット値を使用することが好ましい。
【0170】
<第11実施形態>
第11実施形態は、2種類の画像回復処理を有する場合に、ホワイトバランス制御部1300は各々の画像回復処理を施した画像のホワイトバランス補正値を算出し、ホワイトバランス制御を行う。第7実施形態から第10実施形態では、回復画像及び撮像画像からホワイトバランス補正値を算出し、ホワイトバランス制御を行った。しかし、撮像装置120の用途によっては、ホワイトバランス制御の更新周期の低下をある程度許容しつつ、ホワイトバランス制御の精度を向上させたい場合がある。よって、本実施形態では、2種類の画像回復処理を有する場合に、常に回復画像のホワイトバランス補正値を算出し、ホワイトバランス制御を行うものとする。
【0171】
図19は、第11実施形態に係る撮像システムの機能ブロック図を示す。図19の構成は、図2図9、及び図13に示す機能ブロック図の組み合わせの構成のため、詳細な説明は割愛する。
【0172】
図20は、第11実施形態に係るホワイトバランス制御部1300の処理を説明するフローチャートである。図20では、図10及び図14に示すフローチャートと異なる部分について説明する
【0173】
S2000でホワイトバランス制御部1300は、S1001にて取得した第1の回復画像からホワイトバランス補正値を算出する。ホワイトバランス補正値の算出方法は、第7実施形態のS1400と同様の方法である。
【0174】
S2001でホワイトバランス制御部1300は、S1004にて取得した第2の回復画像からホワイトバランス補正値を算出する。ホワイトバランス補正値の算出方法は、第7実施形態のS1400と同様の方法である。
【0175】
S2002でホワイトバランス制御部1300は、S2000とS2001の少なくとも一方にてホワイトバランス補正値が算出されたか否かを判定する。ホワイトバランス制御部1300は、少なくとも1つのホワイトバランス補正値が算出されている場合(S2002でYes)、処理をS2003へ進める。一方、ホワイトバランス制御部1300は、少なくとも1つのホワイトバランス補正値が算出されていない場合(S2002でNo)、処理を終了する。
【0176】
S2003でホワイトバランス制御部1300は、S2000とS2001の少なくとも一方にて算出されたホワイトバランス補正値を、現像部201のホワイトバランス補正で使用するホワイトバランス補正値とする。S2000及びS2001の両方にてホワイトバランス補正値を算出していた場合、ホワイトバランス制御部1300は、S2000にて第1の回復画像から算出したホワイトバランス補正値を使用する。第1の回復画像のホワイトバランス補正値は、高精度なホワイトバランス補正値である。また、第1の回復画像は、現像部201を通って表示装置130に表示される画像と同様な画像、すなわち撮像装置120の使用者が見る画像と同様である。つまり、使用者が見る画像と同様な画像(第1の回復画像)に基づいてホワイトバランス制御を行うため、よりホワイトバランス制御の精度が向上する。また、第2の回復画像のホワイトバランス補正値は、低精度なホワイトバランス補正値であるが、比較的短い周期で更新される。このように、画像回復処理によるホワイトバランス制御のリアルタイム性の低下を低減することが可能となった。
【0177】
以上で説明した構成及び方法により表示装置130に表示される画像と同様の第1の回復画像を使用してホワイトバランス制御が行えるため、ホワイトバランス制御の精度が向上する。さらに、比較的処理負荷の小さい画像回復処理を施した画像(第2の回復画像)を使用してホワイトバランス制御が行えるため、ホワイトバランス制御のリアルタイム性の低下を低減することが可能となった。よって、画像回復機能を使用しつつ撮像装置の制御機能のリアルタイム性の低下を低減することが可能となった。
【0178】
また、本実施形態では、第1NR部900と第2NR部901の画像回復処理を実行した後の回復画像をホワイトバランス制御に用いたが、これに限定しない。例えば、第2の回復画像のみをホワイトバランス制御に用いてもよい。
【0179】
<第12実施形態>
第12実施形態は、撮像画像の一部を抽出し、抽出した部分画像に対し画像回復処理を行う。第11実施形態の画像回復処理では、撮像素子122から出力される画像サイズと同じサイズの画像をそのまま用いていた。しかし、撮像画像の一部の領域(部分画像)に関してのホワイトバランス補正値を算出することで、ホワイトバランス制御を行うことも可能である。例えば、使用者が画像の注目したい領域(以下、注目領域とも呼ぶ)を有する場合は、注目領域のみのホワイトバランス補正値を算出することが好ましい。さらに、画像回復処理で入力する画像サイズを小さくすることで処理負荷を低減し、画像回復処理によるホワイトバランス制御の更新周期の低下を低減することが可能となる。
【0180】
図21は、第12実施形態に係る撮像システムの機能ブロック図を示す。図21の構成は、図2図9図11、及び図13に示す機能ブロック図の組み合わせの構成であるため、詳細な説明は割愛する。
【0181】
図22は、第12実施形態に係るホワイトバランス制御部1300の処理を説明するフローチャートである。図22では、図10図12図14、及び図20に示すフローチャートと異なる部分について説明する。
【0182】
S2200でホワイトバランス制御部1300は、S1201にて取得した第3の回復画像からホワイトバランス補正値を算出する。ホワイトバランス補正値の算出方法は、第7実施形態のS1400と同様の方法である。
【0183】
S2201でホワイトバランス制御部1300は、S2000とS2200の少なくとも一方にてホワイトバランス補正値が算出されたか否かを判定する。ホワイトバランス制御部1300は、少なくとも1つのホワイトバランス補正値が算出されていると判定した場合(S2201でYes)、処理をS2202へ進める。一方、ホワイトバランス制御部1300は、少なくとも1つのホワイトバランス補正値が算出されていないと判定した場合(S2201でNo)、処理を終了する。
【0184】
S2202でホワイトバランス制御部1300は、S2000とS2200の少なくとも一方にて算出されたホワイトバランス補正値を、現像部201のホワイトバランス補正で使用するホワイトバランス補正値にする。S2000及びS2200の両方にてホワイトバランス補正値を算出していた場合、ホワイトバランス制御部1300は、S2000にて第1の回復画像から算出したホワイトバランス補正値を使用する。第1の回復画像のホワイトバランス補正値は、高精度なホワイトバランス補正値である。また、第1の回復画像は、現像部201を通って表示装置130に表示される画像、すなわち使用者が見る画像と同様である。つまり、使用者が見る画像と同様な画像(第1の回復画像)に基づいてホワイトバランス制御を行うため、よりホワイトバランス制御の精度が向上する。また、S2200にて第3の回復画像から算出したホワイトバランス補正値は、低精度なホワイトバランス補正値であるが、比較的短い周期で更新される。このように、画像回復処理によるホワイトバランス制御のリアルタイム性の低下を低減することが可能となった。
【0185】
以上で説明した構成及び方法により表示装置130に表示される画像と同様の画像(第1の回復画像)を使用してホワイトバランス制御が行えるため、ホワイトバランス制御の精度が向上する。さらに、比較的処理負荷の小さい画像回復処理を施した画像(第3の回復画像)を使用してホワイトバランス制御が行えるため、ホワイトバランス制御のリアルタイム性の低下を低減することが可能となった。よって、画像回復機能を使用しつつ撮像装置の制御機能のリアルタイム性の低下を低減することが可能となった。
【0186】
また、本実施形態では第1NR部900と第3NR部1101の画像回復処理を行った後の回復画像をホワイトバランス制御に用いたが、これに限定しない。例えば、第3の回復画像のみをホワイトバランス制御に用いてもよい。あるいは、第3NR部1101を設けずに、撮像画像から抽出した部分画像の画像回復処理を第1NR部900が行ってもよい。
【0187】
また、本実施形態では抽出部1100をGPU107内に構成したが、CPU104内に構成してもよい。
【0188】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0189】
本明細書の開示は、以下の画像処理装置、撮像装置、方法、及びプログラムを含む。
(項目1)
撮像装置が撮像した第1画像と、前記第1画像を第1画像回復手段を用いて処理した第2画像とを取得する取得手段と、
前記第1画像の第1特徴量と、前記第2画像の第2特徴量とを検出する検出手段と、
前記第1特徴量と前記第2特徴量の少なくともいずれかに基づいて、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する決定手段と、
前記パラメータを前記撮像装置に出力する出力手段と、を備える、
ことを特徴とする画像処理装置。
(項目2)
前記取得手段は、前記第1画像を前記第1画像回復手段とは異なる第2画像回復手段を用いて処理した第3画像を取得し、
前記検出手段は、前記第3画像の第3特徴量を検出し、
前記決定手段は、前記第2特徴量と前記第3特徴量の少なくともいずれかに基づいて、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する、
ことを特徴とする項目1に記載の画像処理装置。
(項目3)
前記第2画像回復手段が前記第1画像を処理する時間は、前記第1画像回復手段が前記第1画像を処理する時間よりも短い、
ことを特徴とする項目2に記載の画像処理装置。
(項目4)
前記第1画像から部分画像を抽出する画像加工手段をさらに備え、
前記取得手段は、前記部分画像を前記第1画像回復手段、又は、前記第1画像回復手段と前記第2画像回復手段とは異なる第3画像回復手段を用いて処理した部分画像を取得し、
前記検出手段は、前記処理した部分画像の第4特徴量を検出し、
前記決定手段は、前記第2特徴量と前記第4特徴量の少なくともいずれかに基づいて、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する、
ことを特徴とする項目2又は3に記載の画像処理装置。
(項目5)
前記第1画像の任意の領域を指定する領域指定手段をさらに備え、
前記画像加工手段は、前記第1画像から前記部分画像として前記任意の領域を抽出する、
ことを特徴とする項目4に記載の画像処理装置。
(項目6)
前記画像加工手段は、前記第1画像のサイズを所定のサイズに縮小する、
ことを特徴とする項目4又は5に記載の画像処理装置。
(項目7)
前記画像加工手段は、前記領域指定手段によって指定された任意の領域のサイズが、前記第1画像から抽出する部分画像の規定サイズよりも小さい場合、前記第1画像から前記任意の領域を前記規定サイズで抽出する、
ことを特徴とする項目5に記載の画像処理装置。
(項目8)
前記第1特徴量と前記第2特徴量は、輝度又はホワイトバランス補正値である、
ことを特徴とする項目1から7のいずれか一項目に記載の画像処理装置。
(項目9)
前記撮像に関するパラメータは、前記撮像装置の露出パラメータ又はホワイトバランス補正値である、
ことを特徴とする項目1から8のいずれか一項目に記載の画像処理装置。
(項目10)
前記決定手段は、前記第1特徴量よりも前記第2特徴量を優先的に用いて、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する、
ことを特徴とする項目1から9のいずれか一項目に記載の画像処理装置。
(項目11)
前記第2画像の出力周期は、前記第1画像の出力周期よりも長く、
前記取得手段は、前記第1画像の第1取得時刻よりも後の第2取得時刻において前記第2画像を取得し、前記第2取得時刻において前記第1画像とは異なる他の第1画像を取得し、
前記検出手段は、前記他の第1画像の他の第1特徴量を検出し、
前記第1特徴量と前記第2特徴量とに基づくオフセット値で、前記他の第1特徴量をオフセットする補正手段をさらに備え、
前記決定手段は、オフセットされた前記他の第1特徴量と前記第2特徴量の少なくともいずれかに基づいて、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する、
ことを特徴とする項目1から10のいずれか一項目に記載の画像処理装置。
(項目12)
前記補正手段は、前記第2画像の第2取得時刻と、前記第2取得時刻よりも後の前記第2画像とは異なる他の第2画像を取得する第3取得時刻との間において取得される前記他の第1画像の前記他の第1特徴量を前記オフセット値でオフセットする、
ことを特徴とする項目11に記載の画像処理装置。
(項目13)
前記補正手段は、前記第3取得時刻に決定された前記撮像装置の撮像に関するパラメータと、前記第1取得時刻又は前記第2取得時刻に決定された前記撮像装置の撮像に関するパラメータとに基づくオフセット値で前記他の第1特徴量をオフセットする、
ことを特徴とする項目12に記載の画像処理装置。
(項目14)
前記決定手段は、前記第1特徴量又は前記第2特徴量と、特徴量の基準値とに基づいて、前記第1特徴量又は前記第2特徴量に対応する、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する、
ことを特徴とする項目1から13のいずれか一項目に記載の画像処理装置。
(項目15)
前記決定手段は、前記第1特徴量又は前記第2特徴量と、前記特徴量の基準値との差分に基づいて、前記第1特徴量又は前記第2特徴量に対応する、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する、
ことを特徴とする項目14に記載の画像処理装置。
(項目16)
前記特徴量の基準値は、前記撮像装置に対する1回の制御周期で変更可能な段数に基づいて決定される、
ことを特徴とする項目14又は15に記載の画像処理装置。
(項目17)
前記第1画像回復手段、前記第2画像回復手段、及び前記第3画像回復手段は、ニューラルネットワークを用いたノイズ除去手段である、
ことを特徴とする項目4に記載の画像処理装置。
(項目18)
撮像手段と、
前記画像処理装置から受信した撮像に関するパラメータに基づいて前記撮像手段の撮像に関する制御を実行する撮像制御手段と、
項目1から15のいずれか一項目に記載の画像処理装置と、を備える、
ことを特徴とする撮像装置。
(項目19)
撮像装置が撮像した第1画像と、前記第1画像を第1画像回復手段を用いて処理した第2画像とを取得する取得工程と、
前記第1画像の第1特徴量と、前記第2画像の第2特徴量とを検出する検出工程と、
前記第1特徴量と前記第2特徴量の少なくともいずれかに基づいて、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する決定工程と、
前記パラメータを前記撮像装置に出力する出力工程と、を備える、
ことを特徴とする方法。
(項目20)
コンピュータに、
撮像装置が撮像した第1画像と、前記第1画像を第1画像回復手段を用いて処理した第2画像とを取得する取得工程と、
前記第1画像の第1特徴量と、前記第2画像の第2特徴量とを検出する検出工程と、
前記第1特徴量と前記第2特徴量の少なくともいずれかに基づいて、前記撮像装置の撮像に関するパラメータを決定する決定工程と、
前記パラメータを前記撮像装置に出力する出力工程と、
を実行させるプログラム。
【0190】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0191】
100 画像処理装置
101 画像信号受信部
102 カメラ通信接続部
103 フレームメモリ
104 CPU
105 ROM
106 RAM
107 GPU
108 表示駆動部
109 表示装置接続部
110 内部バス
120 撮像装置
121 レンズ部
122 撮像素子
123 カメラ制御部
130 表示装置
200 露出制御部
201 現像部
900 第1NR部
901 第2NR部
1100 抽出部
1101 第3NR部
1300 ホワイトバランス制御部
図1
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