IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -蓄電装置の搭載構造 図1
  • -蓄電装置の搭載構造 図2
  • -蓄電装置の搭載構造 図3
  • -蓄電装置の搭載構造 図4
  • -蓄電装置の搭載構造 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162136
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】蓄電装置の搭載構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20241114BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B62D25/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077389
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大坂 隆馬
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 峻吾
(72)【発明者】
【氏名】谷 直樹
(72)【発明者】
【氏名】向川 優貴
(72)【発明者】
【氏名】小寺 将徳
(72)【発明者】
【氏名】宮岡 恭平
【テーマコード(参考)】
3D203
3D235
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB04
3D203BB12
3D203BB16
3D203CA23
3D203CB09
3D203DB05
3D235AA02
3D235BB04
3D235CC15
3D235DD35
3D235FF09
3D235FF12
3D235HH22
(57)【要約】
【課題】締結部材が衝撃吸収材による衝撃吸収を阻害することを抑制し、衝撃によって圧縮された衝撃吸収材が蓄電装置と接触することを抑制する。
【解決手段】本開示に基づく蓄電装置の搭載構造10は、蓄電装置20と、衝撃吸収材30と、車体フレーム40と、複数の第1の締結部50と、複数の第2の締結部60とを備えている。収容ケース22には、複数の切欠部221が形成されている。複数の第1の締結部50は、衝撃吸収材30と収容ケース22とを締結している。複数の第2の締結部60は、衝撃吸収材30と車体フレーム40とを締結している。複数の第1の締結部50および複数の第2の締結部60は、第1方向DR1において互いに並ばないように配置されている。複数の切欠部221は、第1方向DR1において複数の第2の締結部60と重なるそれぞれの位置に、形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電セルおよび該蓄電セルを収容する収容ケースを含む、蓄電装置と、
前記蓄電装置の外部に配置され、水平方向のうち第1方向において前記蓄電装置と互いに隣り合い、かつ、前記水平方向のうち前記第1方向に直交する第2方向に沿って延びる衝撃吸収材と、
前記衝撃吸収材と上下方向において互いに隣り合い、前記蓄電装置と前記第1方向において互いに隣り合う車体フレームと、
前記衝撃吸収材と前記収容ケースとを締結している複数の第1の締結部と、
前記衝撃吸収材と前記車体フレームとを締結している複数の第2の締結部とを備え、
前記複数の第1の締結部および前記複数の第2の締結部は、前記第1方向において互いに並ばないように配置され、
前記収容ケースには、前記第1方向において前記複数の第2の締結部と重なるそれぞれの位置に、複数の切欠部が形成されている、蓄電装置の搭載構造。
【請求項2】
複数の前記複数の切欠部の各々は、前記上下方向から見て端縁の少なくとも一部が曲線状に延びている、請求項1に記載の蓄電装置の搭載構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置の搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2017-185948号公報(特許文献1)には、従来の蓄電装置の搭載構造が開示されている。特許文献1に開示された車両のバッテリ搭載構造は、フロアパネルの車幅方向における両側端側に車両前後方向に向けてそれぞれ配置された中空状の骨格部材(サイドシル)と、上記それぞれ配置された骨格部材の間に配置された電池パックとを備えている。骨格部材の内部には、衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収部材が配置されている。
【0003】
サイドシルの内部で車幅方向外側(車両左方向)を向く第1内壁面と、第1内壁面に対向している第2内壁面とに、衝撃吸収部材が接触している。衝撃吸収部材は、第1内壁面および第2内壁面に、接着や溶着、あるいはボルトなどの締結部材によって取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-185948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
衝撃吸収材に取り付けられた締結部材は、比較的剛性が大きい。このため、衝撃吸収剤に衝撃が加わったときに、締結部材が衝撃の吸収を阻害することが考えられる。ひいては、衝撃吸収剤に衝撃が加わったときに、締結部材が大きく変位して、締結部材周辺において圧縮された衝撃吸収材が蓄電装置に接触する可能性がある。
【0006】
本開示は上記の課題に鑑みてなされたものであり、締結部材が衝撃吸収材による衝撃吸収を阻害することを抑制し、衝撃によって圧縮された衝撃吸収材が蓄電装置と接触することを抑制できる、蓄電装置の搭載構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に基づく蓄電装置の搭載構造は、蓄電装置と、衝撃吸収材と、車体フレームと、複数の第1の締結部と、複数の第2の締結部とを備えている。蓄電装置は、蓄電セルおよび蓄電セルを収容する収容ケースを含んでいる。衝撃吸収材は、蓄電装置の外部に配置され、水平方向のうち第1方向において蓄電装置と互いに隣り合い、かつ、水平方向のうち第1方向に直交する第2方向に沿って延びている。車体フレームは、衝撃吸収材と上下方向において互いに隣り合い、蓄電装置と第1方向において互いに隣り合っている。複数の第1の締結部は、衝撃吸収材と収容ケースとを締結している。複数の第2の締結部は、衝撃吸収材と車体フレームとを締結している。複数の第1の締結部および複数の第2の締結部は、第1方向において互いに並ばないように配置されている。収容ケースには、第1方向において複数の第2の締結部と重なるそれぞれの位置に、複数の切欠部が形成されている。
【0008】
第1方向において、衝撃吸収材から見て蓄電装置とは反対側から衝突が発生したときに、衝撃吸収材は、衝撃のエネルギーを吸収しつつ圧縮される。ここで、上記の構成によれば、この圧縮時において第1方向に変位した第2の締結部が第1の締結部と接触することでエネルギーの吸収が阻害されることを、抑制できる。また、変位した第2の締結部が圧縮された衝撃吸収材ともに切欠部に囲まれた空間に入り込むため、圧縮された衝撃吸収材が蓄電装置に接触することを抑制できる。よって、上記の構成によれば、締結部材が衝撃吸収材による衝撃吸収を阻害することを抑制し、衝撃によって圧縮された衝撃吸収材が蓄電装置と接触することを抑制できる。
【0009】
本開示の一形態に係る蓄電装置の搭載構造において、複数の切欠部の各々は、上下方向から見て端縁の少なくとも一部が曲線状に延びている。
【0010】
上記の構成によれば、衝撃を受けた衝撃吸収材から第1の締結部を介して収容ケースに伝わった応力が、切欠部の端縁の一部に集中することを緩和できる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、締結部材が衝撃吸収材による衝撃吸収を阻害することを抑制し、衝撃によって圧縮された衝撃吸収材が蓄電装置と接触することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施形態に係る蓄電装置の搭載構造を含む車両を示す模式的な側面図である。
図2】本開示の一実施形態に係る蓄電装置の搭載構造を示す平面図である。
図3】本開示の一実施形態に係る蓄電装置の搭載構造の一部の構成を示す斜視図である。
図4】本開示の一実施形態に係る蓄電装置の搭載構造の一部の構成を示す平面図である。
図5図2の蓄電装置の搭載構造の一部をV-V線矢印方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の一実施形態に係る蓄電装置の搭載構造について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0014】
図1は、本開示の一実施形態に係る蓄電装置の搭載構造を含む車両を示す模式的な側面図である。図1に示すように、本開示の一実施形態に係る蓄電装置の搭載構造10は、車両1が備える蓄電装置の搭載構造10である。
【0015】
蓄電装置の搭載構造10は、車両1の下部に位置している。図1および後述の図2図5には、矢印によって、蓄電装置の搭載構造10を備える車両1の前方F、後方B、左方向L、右方向R、上方Uおよび下方Dが示されている。本実施形態において、蓄電装置の搭載構造10は、車両1が走行する路面2と上下方向において対向する。
【0016】
また、本実施形態において、水平方向のうちの1つの方向である第1方向DR1は、車両1の左右方向(車幅方向)である。また、水平方向のうちの1つの方向であって第1方向DR1に直交する方向である第2方向DR2は、前後方向である。
【0017】
図2は、本開示の一実施形態に係る蓄電装置の搭載構造を示す平面図である。図3は、本開示の一実施形態に係る蓄電装置の搭載構造の一部の構成を示す斜視図である。図4は、本開示の一実施形態に係る蓄電装置の搭載構造の一部の構成を示す平面図である。
【0018】
図1から図4に示すように、本開示の一実施形態に係る蓄電装置の搭載構造10は、蓄電装置20と、一対の衝撃吸収材30と、一対の車体フレーム40と、複数の第1の締結部50と、複数の第2の締結部60とを備えている。
【0019】
図1に示すように、蓄電装置20は、車両1の下部に配置されている。蓄電装置20は、蓄電装置の搭載構造10を備える車両1が走行する路面2と上下方向において対向する。
【0020】
図5は、図2の蓄電装置の搭載構造の一部をV-V線矢印方向から見た断面図である。図2から図5に示すように、蓄電装置20は、複数の蓄電セル21(図5参照)および収容ケース22を含んでいる。
【0021】
蓄電セル21は、たとえば、ニッケル水素電池、またはリチウムイオン電池等の二次電池である。蓄電セル21は、たとえば角型形状を有する。二次電池は、液状の電解質を用いるものであってもよいし、固体状の電解質を用いるものであってもよい。
【0022】
収容ケース22は、複数の蓄電セル21を収容している。また、図3および図4に示すように、収容ケース22には、複数の切欠部221が形成されている。複数の切欠部221は、収容ケース22の第1方向DR1における両側に形成されている。複数の切欠部221は、収容ケース22の第1方向DR1における一方側および他方側のそれぞれにおいて、第2方向DR2に沿って並んでいる。
【0023】
複数の切欠部221の各々は、上下方向から見て端縁221aの少なくとも一部が曲線状に延びている。複数の切欠部221の各々において、端縁221aは、第2方向DR2における両端において、曲線状に延びている。
【0024】
収容ケース22は、複数の延出部222を有している。複数の延出部222は、収容ケース第1方向DR1における両側において、第1方向DR1に沿って延出している。複数の延出部222は、収容ケース22の第1方向DR1における一方側および他方側のそれぞれにおいて、互いに離隔しつつ第2方向DR2に沿って並んでいる。複数の切欠部221の各々は、第2方向DR2において並ぶ一対の延出部222の間に形成されている。
【0025】
図3および図5に示すように、収容ケース22は、ロアケース223とアッパーケース224とを含む。ロアケース223は上方Uに開口している。アッパーケース224は、ロアケース223の開口を覆っている。
【0026】
ロアケース223は、底壁部223aと、周側壁部223bとを有している。底壁部223aは、蓄電セル21の下方Dに位置している。底壁部223aは、蓄電装置の搭載構造10を備える車両1が走行する路面2と上下方向において対向する。周側壁部223bは、底壁部223aから上方Uに起立している。周側壁部223bは、上下方向から見て複数の蓄電セル21を取り囲んでいる。
【0027】
複数の切欠部221は、ロアケース223に形成されており、より具体的には、周側壁部223bに形成されている。複数の延出部222は、ロアケース223から第1方向DR1に沿って延出しており、より具体的には、周側壁部223bから延出している。
【0028】
図3および図4に示すように、一対の衝撃吸収材30は、蓄電装置20の外部に配置されている。一対の衝撃吸収材30は、第1方向DR1の一方側および他方側のそれぞれにおいて、蓄電装置20と互いに隣り合っている。一対の衝撃吸収材30の各々は、第2方向DR2に沿って延びている。
【0029】
図5に示すように、蓄電装置20の第1方向DR1における中心から見て一方側および他方側のそれぞれにおいて、衝撃吸収材30は、収容ケース22と接している。衝撃吸収材30は、ロアケース223と接しており、より具体的には底壁部223aの第1方向DR1を向く面で接している。衝撃吸収材30は、複数の切欠部221および複数の延出部222より下方に位置している。
【0030】
衝撃吸収材30を構成する材料は特に限定されないが、衝撃吸収材30は、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属により構成されている。
【0031】
一対の車体フレーム40は、一対の衝撃吸収材30のそれぞれと上下方向において互いに隣り合っている。一対の車体フレーム40は、蓄電装置20と第1方向DR1において互いに隣り合っている。一対の車体フレーム40は、第2方向DR2に沿って延びている。車体フレームは、具体的には車両1におけるサイドシルまたはロッカである。
【0032】
蓄電装置の搭載構造10は、フロアパネル45をさらに備える。フロアパネル45は、蓄電装置20の上方Uに配置されている。フロアパネル45は、一対の車体フレーム40を互いに接続している。フロアパネル45は、一対の車体フレーム40の各々と接合されている。
【0033】
複数の第1の締結部50は、衝撃吸収材30と収容ケース22とを締結している。複数の第1の締結部50の各々は、上下方向に延びている。より具体的には、複数の第1の締結部50は、衝撃吸収材30と、収容ケース22の延出部222とを締結している。
【0034】
複数の第1の締結部50の各々は、円筒状の第1スペーサ51と、第1締結具52と、第1螺合具53とを含んでいる。第1スペーサ51は、衝撃吸収材30を上下方向に貫通するように設けられている。第1スペーサ51は、衝撃吸収材30と溶接により接合されている。第1締結具52は、第1スペーサ51の下方から挿通されるとともに、延出部222を貫通する。第1螺合具53は、延出部222の上方Uで第1締結具52と螺合している。なお、第1の締結部50の具体的な構成は上記の構成に限定されない。
【0035】
複数の第2の締結部60は、衝撃吸収材30と車体フレーム40とを締結している。複数の第2の締結部60の各々は、上下方向に延びている。
【0036】
複数の第2の締結部60の各々は、円筒状の第2スペーサ61と、第2締結具62と、第2螺合具63とを含んでいる。第2スペーサ61は、衝撃吸収材30を上下方向に貫通するように設けられている。第2スペーサ61は、衝撃吸収材30と溶接により接合されている。第2締結具62は、第2スペーサ61の下方から挿通されるとともに、車体フレーム40を貫通する。第2螺合具63は、車体フレーム40から見て第2スペーサ61側とは反対側において第2締結具62と螺合している。なお、第2の締結部60の具体的な構成は上記の構成に限定されない。
【0037】
そして、図4に示すように、本実施形態においては、蓄電装置20から見て第1方向DR1の一方側および他方側のそれぞれにおいて、複数の第1の締結部50および複数の第2の締結部60が、第1方向DR1において互いに並ばないように配置されている。そして、複数の切欠部221は、第1方向DR1において複数の第2の締結部60と重なるそれぞれの位置に、形成されている。
【0038】
第1方向DR1において、衝撃吸収材30から見て蓄電装置20とは反対側から衝突が発生したときに、衝撃吸収材30は、衝撃のエネルギーを吸収しつつ圧縮される。ここで、上記の構成によれば、この圧縮時において第1方向DR1に変位した第2の締結部60が第1の締結部50と接触することでエネルギーの吸収が阻害されることを、抑制できる。また、変位した第2の締結部60が圧縮された衝撃吸収材30ともに切欠部221に囲まれた空間に入り込むため、圧縮された衝撃吸収材30が蓄電装置20に接触することを抑制できる。よって、上記の構成によれば、締結部材が衝撃吸収材30による衝撃吸収を阻害することを抑制し、衝撃によって圧縮された衝撃吸収材30が蓄電装置20と接触することを抑制できる。
【0039】
また、上述したように、本実施形態においては、複数の切欠部221の各々は、上下方向から見て端縁221aの少なくとも一部が曲線状に延びている。
【0040】
上記の構成によれば、衝撃を受けた衝撃吸収材30から第1の締結部50を介して収容ケース22に伝わった応力が、切欠部221の端縁221aの一部に集中することを緩和できる。
【0041】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0042】
1 車両、2 路面、10 搭載構造、20 蓄電装置、21 蓄電セル、22 収容ケース、221 切欠部、221a 端縁、222 延出部、223 ロアケース、223a 底壁部、223b 周側壁部、224 アッパーケース、30 衝撃吸収材、40 車体フレーム、45 フロアパネル、50 第1の締結部、51 第1スペーサ、52 第1締結具、53 第1螺合具、60 第2の締結部、61 第2スペーサ、62 第2締結具、63 第2螺合具。
図1
図2
図3
図4
図5