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2024-162140通知制御装置、通知制御方法及びコンピュータプログラム
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  • -通知制御装置、通知制御方法及びコンピュータプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162140
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】通知制御装置、通知制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077399
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100167461
【弁理士】
【氏名又は名称】上木 亮平
(72)【発明者】
【氏名】原 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤野 次郎
(72)【発明者】
【氏名】川上 悟
(72)【発明者】
【氏名】森本 寛
(72)【発明者】
【氏名】山田 健太
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】注視すべき物標に関する通知を、ドライバが煩わしいと感じるのを抑制する。
【解決手段】車両100のドライバに通知を行う通知制御装置4は、車両100の周辺の状況を表す周辺データに基づいて車両100の周囲に存在する注視すべき物標を検出し、ドライバの状態を表すドライバデータに基づいてドライバの視野を設定し、物標の数が所定数以下のときは、物標の位置に、物標が投影された仮想平面を車両と対面するようにそれぞれ設定し、物標を検出してから所定期間の間に、仮想平面上においてドライバの視野が物標の投影箇所と重なっていなければ、注視すべき物標が存在することを知らせる通知をドライバに対して実施し、物標の数が前記所定数よりも大きいときは、ドライバに対して前記通知を実施しないように構成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドライバに通知を行うための通知制御装置であって、
前記車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて、前記車両の周囲に存在する注視すべき物標を検出し、
前記ドライバの状態を表すドライバデータに基づいて、前記ドライバの視野を設定し、
前記物標の数が所定数以下のときは、前記物標の位置に、前記物標が投影された仮想平面を前記車両と対面するようにそれぞれ設定し、前記物標を検出してから所定期間の間に、前記仮想平面上において前記ドライバの視野が前記物標の投影箇所と所定の認識判定時間以上重なることがなければ、注視すべき物標が存在することを知らせる通知を前記ドライバに対して実施し、
前記物標の数が前記所定数よりも大きいときは、前記ドライバに対して前記通知を実施しないように構成される、
通知制御装置。
【請求項2】
車両のドライバに通知を行うための通知制御装置であって、
前記車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて、前記車両の周囲に存在する注視すべき物標を検出し、
前記ドライバの状態を表すドライバデータに基づいて、前記ドライバの視野を設定し、
前記物標の位置に、前記物標が投影された仮想平面を前記車両と対面するようにそれぞれ設定し、前記物標を検出してから所定期間の間に、前記仮想平面上において前記ドライバの視野が前記物標の投影箇所と所定の認識判定時間以上重なっていれば、前記物標を前記ドライバが認識していると判定し、
検出した前記物標のうち、前記ドライバが認識していない物標がある場合は、注視すべき物標が存在することを知らせる通知を前記ドライバに対して実施し、
検出した前記物標の数が大きいときには、小さいときと比較して、前記認識判定時間を短くするように構成される、
通知制御装置。
【請求項3】
前記物標の数が所定数以下のときは、前記認識判定時間を第2判定時間とし、
前記物標の数が前記所定数よりも大きいときは、前記認識判定時間を前記第2判定時間よりも小さい第1判定時間とする、
請求項2に記載の通知制御装置。
【請求項4】
検出された前記物標の数に対して、前記物標の種類ごと設定された重み付け係数による補正を実施するように構成される、
請求項1又は請求項2に記載の通知制御装置。
【請求項5】
車両のドライバに通知を行う通知制御装置による通知制御方法であって、
前記車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて、前記車両の周囲に存在する注視すべき物標を検出し、
前記ドライバの状態を表すドライバデータに基づいて、前記ドライバの視野を設定し、
前記物標の数が所定数以下のときは、前記物標の位置に、前記物標が投影された仮想平面を前記車両と対面するようにそれぞれ設定し、前記物標を検出してから所定期間の間に、前記仮想平面上において前記ドライバの視野が前記物標の投影箇所と所定の認識判定時間以上重なることがなければ、注視すべき物標が存在することを知らせる通知を前記ドライバに対して実施し、
前記物標の数が前記所定数よりも大きいときは、前記ドライバに対して前記通知を実施しない、
通知制御方法。
【請求項6】
車両のドライバに通知を行う通知制御装置による通知制御方法であって、
前記車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて、前記車両の周囲に存在する注視すべき物標を検出し、
前記ドライバの状態を表すドライバデータに基づいて、前記ドライバの視野を設定し、
前記物標の位置に、前記物標が投影された仮想平面を前記車両と対面するようにそれぞれ設定し、前記物標を検出してから所定期間の間に、前記仮想平面上において前記ドライバの視野が前記物標の投影箇所と所定の認識判定時間以上重なっていれば、前記物標を前記ドライバが認識していると判定し、
検出した前記物標のうち、前記ドライバが認識していない物標がある場合は、注視すべき物標が存在することを知らせる通知を前記ドライバに対して実施し、
検出した前記物標の数が大きいときには、小さいときと比較して、前記認識判定時間を短くする、
通知制御方法。
【請求項7】
車両のドライバに通知を行う通知制御装置用のコンピュータプログラムであって、
前記車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて、前記車両の周囲に存在する注視すべき物標を検出し、
前記ドライバの状態を表すドライバデータに基づいて、前記ドライバの視野を設定し、
前記物標の数が所定数以下のときは、前記物標の位置に、前記物標が投影された仮想平面を前記車両と対面するようにそれぞれ設定し、前記物標を検出してから所定期間の間に、前記仮想平面上において前記ドライバの視野が前記物標の投影箇所と所定の認識判定時間以上重なることがなければ、注視すべき物標が存在することを知らせる通知を前記ドライバに対して実施し、
前記物標の数が前記所定数よりも大きいときは、前記ドライバに対して前記通知を実施しない、
ことを前記通知制御装置に実行させるためのコンピュータプラグラム。
【請求項8】
車両のドライバに通知を行う通知制御装置用のコンピュータプログラムであって、
前記車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて、前記車両の周囲に存在する注視すべき物標を検出し、
前記ドライバの状態を表すドライバデータに基づいて、前記ドライバの視野を設定し、
前記物標の位置に、前記物標が投影された仮想平面を前記車両と対面するようにそれぞれ設定し、前記物標を検出してから所定期間の間に、前記仮想平面上において前記ドライバの視野が前記物標の投影箇所と所定の認識判定時間以上重なっていれば、前記物標を前記ドライバが認識していると判定し、
検出した前記物標のうち、前記ドライバが認識していない物標がある場合は、注視すべき物標が存在することを知らせる通知を前記ドライバに対して実施し、
検出した前記物標の数が大きいときには、小さいときと比較して、前記認識判定時間を短くする、
ことを前記通知制御装置に実行させるためのコンピュータプラグラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通知制御装置、通知制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ドライバの注視状況に応じて報知を行うことが可能な従来の警報装置として、ドライバの視線の方向を示す視線情報とドライバの三次元座標上の眼球位置を示す眼球位置情報とに基づいてドライバが注視している注視点を算定し、注視すべき物標と注視点とに基づいてドライバが物標を注視しているか否かを判定し、注視していないと判定された場合に報知を行うように構成されたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-185218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の外部に注視すべき物標が複数存在する場合、ドライバは、そのうちの一つの物標に視線を固定することなく、各物標に満遍なく視線を向けて各物標の位置等の把握を行うことが想定される。そのため、前述した従来の警報装置では、車両の外部に注視すべき物標が複数存在する場合において、ドライバが各物標を把握できているにもかかわらず、そのうちの一つの物標に視線が向いていないために注視すべき物標に関する通知(警報)が行われ、ドライバが当該通知を煩わしいと感じてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、注視すべき物標に関する通知を、ドライバが煩わしいと感じるのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0007】
(1)車両のドライバに通知を行うための通知制御装置であって、車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて車両の周囲に存在する注視すべき物標を検出し、ドライバの状態を表すドライバデータに基づいてドライバの視野を設定し、物標の数が所定数以下のときは、物標の位置に、物標が投影された仮想平面を前記車両と対面するようにそれぞれ設定し、物標を検出してから所定期間の間に、仮想平面上においてドライバの視野が物標の投影箇所と重なっていなければ、注視すべき物標が存在することを知らせる通知をドライバに対して実施し、物標の数が所定数よりも大きいときは、ドライバに対して前記通知を実施しないように構成される、通知制御装置。
【0008】
(2)車両のドライバに通知を行うための通知制御装置であって、車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて車両の周囲に存在する注視すべき物標を検出し、ドライバの状態を表すドライバデータに基づいてドライバの視野を設定し、物標の位置に、物標が投影された仮想平面を車両と対面するようにそれぞれ設定し、物標を検出してから所定期間の間に、仮想平面上においてドライバの視野が物標の投影箇所と所定の認識判定時間以上重なっていれば、物標をドライバが認識していると判定し、検出した物標のうち、ドライバが認識していない物標がある場合は、注視すべき物標が存在することを知らせる通知をドライバに対して実施し、検出した物標の数が大きいときには、小さいときと比較して、認識判定時間を短くするように構成される、通知制御装置。
【0009】
(3)物標の数が所定数以下のときは、認識判定時間を第2判定時間とし、物標の数が所定数よりも大きいときは、認識判定時間を第2判定時間よりも小さい第1判定時間とする、上記(2)に記載の通知制御装置。
【0010】
(4)検出された物標の数に対して、物標の種類ごと設定された重み付け係数による補正を実施するように構成される、上記(1)から上記(3)までのいずれかに記載の通知制御装置。
【0011】
(5)車両のドライバに通知を行う通知制御装置による通知制御方法であって、車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて車両の周囲に存在する注視すべき物標を検出し、ドライバの状態を表すドライバデータに基づいてドライバの視野を設定し、物標の数が所定数以下のときは、物標の位置に、物標が投影された仮想平面を車両と対面するようにそれぞれ設定し、物標を検出してから所定期間の間に、仮想平面上においてドライバの視野が物標の投影箇所と重なっていなければ、注視すべき物標が存在することを知らせる通知をドライバに対して実施し、物標の数が所定数よりも大きいときは、ドライバに対して前記通知を実施しない、通知制御方法。
【0012】
(6)車両のドライバに通知を行う通知制御装置による通知制御方法であって、車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて車両の周囲に存在する注視すべき物標を検出し、ドライバの状態を表すドライバデータに基づいてドライバの視野を設定し、物標の位置に、物標が投影された仮想平面を車両と対面するようにそれぞれ設定し、物標を検出してから所定期間の間に、仮想平面上においてドライバの視野が物標の投影箇所と所定の認識判定時間以上重なっていれば、物標をドライバが認識していると判定し、検出した物標のうち、ドライバが認識していない物標がある場合は、注視すべき物標が存在することを知らせる通知をドライバに対して実施し、検出した物標の数が大きいときには、小さいときと比較して、認識判定時間を短くする、通知制御方法。
【0013】
(7)車両のドライバに通知を行う通知制御装置用のコンピュータプログラムであって、車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて車両の周囲に存在する注視すべき物標を検出し、ドライバの状態を表すドライバデータに基づいてドライバの視野を設定し、物標の数が所定数以下のときは、物標の位置に、物標が投影された仮想平面を車両と対面するようにそれぞれ設定し、物標を検出してから所定期間の間に、仮想平面上においてドライバの視野が物標の投影箇所と重なっていなければ、注視すべき物標が存在することを知らせる通知をドライバに対して実施し、物標の数が所定数よりも大きいときは、ドライバに対して前記通知を実施しない、ことを通知制御装置に実行させるためのコンピュータプラグラム。
【0014】
(8)車両のドライバに通知を行う通知制御装置用のコンピュータプログラムであって、車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて車両の周囲に存在する注視すべき物標を検出し、ドライバの状態を表すドライバデータに基づいてドライバの視野を設定し、物標の位置に、物標が投影された仮想平面を車両と対面するようにそれぞれ設定し、物標を検出してから所定期間の間に、仮想平面上においてドライバの視野が物標の投影箇所と所定の認識判定時間以上重なっていれば、物標をドライバが認識していると判定し、検出した物標のうち、ドライバが認識していない物標がある場合は、注視すべき物標が存在することを知らせる通知をドライバに対して実施し、検出した物標の数が大きいときには、小さいときと比較して、認識判定時間を短くする、ことを通知制御装置に実行させるためのコンピュータプラグラム。
【発明の効果】
【0015】
本発明のこれらの態様によれば、車両外部に多数の注視すべき物標が存在する場合に、ドライバに対して不要な警報を実施してしまうのを抑制することができるので、当該物標に関する通知をドライバが煩わしいと感じるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態による車両の概略システム構成図である。
図2】制御装置のハードウェア構成を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態による通知処理の詳細について説明するフローチャートである。
図4】ドライバの視野について説明する図である。
図5A】ドライバが注視対象物標を認識できているか否かを判定する方法の一例を説明する図である。
図5B】ドライバが注視対象物標を認識できているか否かを判定する方法の一例を説明する図である。
図6】本発明の第2実施形態による通知処理の詳細について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による車両100のシステム概略図である。
【0019】
車両100は、周辺センサ1と、ドライバセンサ2と、出力機器3と、制御装置4と、を備える。周辺センサ1、ドライバセンサ2、出力機器3、及び制御装置4は、それぞれコントローラエリアネットワークといった規格に準拠した車内ネットワーク5を介して通信可能に接続される。車両100は、自動運転機能や運転支援機能が付いた車両であってもよいし、手動運転車両であってもよい。
【0020】
周辺センサ1は、車両100の周辺の状況を表す周辺データを生成するためのセンサである。本実施形態では周辺センサ1として、車両100の周囲を撮影するための一又は複数の外部カメラを備える。外部カメラは、所定のフレームレート(例えば、10[Hz]~40[Hz])で車両100の周囲を撮影し、車両100の周囲が写った周囲画像を生成する。外部カメラは、周囲画像を生成する度に、生成した周囲画像を周辺データとして制御装置4に送信する。
【0021】
なお外部カメラに替えて、又は外部カメラに加えて、車両100の周囲に存在する他車両や歩行者、自転車などの物標までの距離を計測する測距センサを周辺センサ1として備えていてもよい。測距センサの例としては、例えば、レーダ光を照射してその反射光に基づいて距離を計測するライダ(LiDAR;Light Detection And Ranging)や、電波を照射してその反射波に基づいて距離を計測するミリ波レーダセンサなどが挙げられる。
【0022】
ドライバセンサ2は、ドライバの状態を表すドライバデータを生成するためのセンサである。本実施形態ではドライバセンサ2として、ドライバの顔を含むドライバの外観を撮影するためのドライバモニタカメラを備える。ドライバモニタカメラは、所定のフレームレート(例えば、10[Hz]~40[Hz])でドライバの外観を撮影し、ドライバの外観が写った外観画像を生成する。ドライバモニタカメラは、ドライバの外観画像を生成する度に、生成した外観画像をドライバデータとして制御装置4に送信する。
【0023】
出力機器3は、車両100のドライバの体感覚(例えば、視覚、聴覚及び触覚など)を通じてドライバに通知を行うための機器である。本実施形態では、出力機器3として、ドライバが視認できる位置に配置されるディスプレイ(例えば、メーターディスプレイ、センターディスプレイ又はヘッドアップディスプレイなど)と、スピーカと、を備える。ディスプレイは、制御装置4から出力された表示信号に応じた情報(例えば、文字情報や画像情報)を表示する。スピーカは、制御装置4から出力された音声信号に応じた音声を出力する。
【0024】
制御装置4は、通信部41と、記憶部42と、処理部43と、を備えるECU(Electronic Control Unit)であって(図2参照)、注視すべき車両外部の物標(注視対象物標)を特定し、ドライバの当該物標の認識状況に応じて、出力機器3を介して、当該ドライバに対して当該物標に関する通知を行うことができるように、少なくとも構成される。制御装置4には、前述した周辺データやドライバデータの他にも、必要に応じて、例えば、測位センサによって取得された車両位置データや、車速センサによって取得された車速データなどの各種のデータを入力することができる。
【0025】
図2は、制御装置4のハードウェア構成を示す図である。
【0026】
制御装置4は、通信部41と、記憶部42と、処理部43と、を備える。
【0027】
通信部41は、制御装置4を車内ネットワーク5に接続するためのインターフェース回路を備える。通信部41は、外部から受信したデータ(周辺データやドライバデータなど)を処理部43に供給する。また通信部41は、処理部43から出力された表示信号及び音声信号を出力機器3に送信する。
【0028】
記憶部42は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid Disk Drive)、半導体メモリ等の記憶媒体を有し、処理部43での処理に用いられる各種のコンピュータプログラムやデータ等を記憶する。
【0029】
処理部43は、一又は複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有し、記憶部42に格納された各種のコンピュータプログラムを実行するものであり、例えばプロセッサである。以下、図3を参照して、処理部43、ひいては制御装置4で実行される処理の一つである通知処理の一例について説明する。
【0030】
図3は、本実施形態による通知処理の詳細について説明するフローチャートである。
【0031】
ステップS1において、制御装置4は、周辺センサ1から受信した周辺データ、具体的には外部カメラから受信した周囲画像に基づいて、車両100の周囲に存在する物標を検出する。
【0032】
本実施形態では制御装置4は、外部カメラから受信した周囲画像を識別器に順次入力することで、周囲画像において物標が表されている領域と、その領域に表された物標の種類と、を検出する。識別器は、例えば、入力側から出力側に向けて直列に接続された複数の畳み込み層を有する畳み込みニューラルネットワーク(CNN)とすることができる。そして制御装置4は、物標の種類ごとに記憶部42に記憶された物標の標準サイズと、周囲画像において検出された物標のサイズとを用いて外部カメラから物標までの距離を推定するとともに、周囲画像において検出された物標を時系列に沿って追跡(トラッキング)することで物標の位置及び速度を算出する。なお、物標の検出方法はこのような方法に限られるものではなく、公知の種々の手法で検出すればよいものである。
【0033】
ステップS2において、制御装置4は、車両100の周囲に存在する物標のうち、注視すべき物標(以下「注視対象物標」という。)を特定する。注視対象物標は、例えば、車両100に接近してくる他車両や、歩行者、自転車などの物標、すなわち車両100と衝突する可能性のある物標とすることができる。しかしながらこれに限らず、例えば歩行者や自転車などの予め定められた所定の物標を注視対象物標として特定してもよいし、車両100の進行方向に直交する方向(横方向)において車両100との間隔が所定閾値よりも小さい物標を注視対象物標として特定してもよい。
【0034】
ステップS3において、制御装置4は、ドライバセンサ2から受信したドライバデータ、具体的にはドライバモニタカメラから受信したドライバの外観画像に基づいて、ドライバの視野を設定する。
【0035】
本実施形態では制御装置4は、ドライバモニタカメラ21から受信した顔画像に対して画像処理を順次施すことによって、動点となる瞳孔中心の位置(すなわちドライバの視点位置)と、基準点となるプルキニエ像(角膜反射像)の位置と、を検出し、プルキニエ像と瞳孔中心との位置関係(基準点に対する動点の位置)に基づいてドライバの視線方向を検出する。そして制御装置4は、図4に示すように、ドライバの視点位置を頂点とし、視点位置から視線方向に向かって延びる視線ベクトルを中心軸とする所定の頂角(画角)を有する視円錐を、ドライバの視野として設定する。
【0036】
なお、ドライバの視野の設定方法はこのような方法に限られるものではなく、公知の種々の手法で設定すればよいものである。また本実施形態では、図4に示すように、視野の形状を円錐としているが、視野の形状は円錐に限られるものではなく、楕円錐や多角錐などの他の錐体であってもよい。また図4に示す視円錐は、中心軸が底面の重心を通るいわゆる直錐体であるが、中心軸が底面の重心を通らないいわゆる斜錐体であってもよい。
【0037】
ステップS4において、制御装置4は、注視対象物標の数(以下「注視対象物標数」という。)Nobjが、予め設定された所定数Nthよりも大きいか否かを判定する。
【0038】
前述した通り、車両100の外部に注視対象物標が複数存在する場合において、注視対象物標数Nobjが増大すると、ドライバは、複数の注視対象物標のうちの一つの物標に視線を固定することなく、各物標に満遍なく視線を向けて各物標の位置等の把握を行うことが想定される。そのため、複数の注視対象物標のうちの一つの物標にドライバの視線が向いていないからといってむやみにドライバに注視対象物標に関する通知(警報)を行うと、ドライバが各注視対象物標に視線を向けてそれらの把握を行っている最中にもかかわらず、又は各注視対象物標を把握できているにかかわらず通知が行われることとなって、ドライバが通知を煩わしいと感じてしまうおそれがある。
【0039】
そこで本実施形態では、注視対象物標数Nobjが所定数Nthより大きいか否かを判定し、注視対象物標数Nobjが所定数Nthよりも大きければ、ドライバの視野に注視対象物標が入っているか否かにかかわらず、注視対象物標に関する通知を実施することなく、今回の処理を終了することとした。そして注視対象物標数Nobjが所定数Nth以下であれば、ステップS5の処理に進み、注視対象物標に関する通知の必要性を判断するために、ドライバの視野に注視対象物標が入っているかを確認することとした。
【0040】
これにより、車両100の外部に多数の注視対象物標が存在する場合に、ドライバが各注視対象物標に視線を向けてそれらの把握を行っている最中にもかかわらず、又は各注視対象物標を把握できているにかかわらず、注視対象物標に関する通知が行われるのを抑制することができる。したがって、車両外部に多数の注視対象物標が存在する場合に、ドライバに対して不要な警報を実施してしまうのを抑制することができる。
【0041】
なお本実施形態では、所定数Nthを6としているが、その他の値であってもかまわない。また本実施形態では、注視対象物標数Nobjを単なる物標数としており、例えば注視対象物標として歩行者が4名検出され、自転車が1台検出されたときは、注視対象物標数Nobjは5となる。しかしながらこれに限らず、例えば、歩行者については1名あたりの物標数を1とし、自転車については1台あたりの物標数を2とするなど、物標の種類に応じた重み付けを行った上で注視対象物標数Nobjを算出するようにしてもよい。すなわち、物標の数に対して、物標の種類ごと設定された重み付け係数による補正を実施するようにしてもよい。この例の場合、歩行者の重み付け係数は1であり、自転車の重み付け係数は2であり、したがって注視対象物標として歩行者が4名検出され、自転車が1台検出されたときは、注視対象物標数Nobjは6(=4名×重み付け係数1+1台×重み付け係数2)となる。
【0042】
ステップS5において、制御装置4は、注視対象物標をドライバが認識できているか否かを判定する。制御装置4は、ドライバが各注視対象物標を認識できているときは、注視対象物標に関する通知を実施することなく今回の処理を終了する。一方で制御装置4は、ドライバが注視対象物標を一つも認識できていないときはステップS6の処理に進む。
【0043】
本実施形態では制御装置4は、例えば図5Aに示すように、注視対象物標が投影された仮想平面を車両進行方向に対して直交するように設定し、注視対象物標を検出してから所定期間の間に、仮想平面上においてドライバの視野が当該注視対象物標の投影箇所に所定の認識判定時間Trec以上重なっていれば、ドライバが当該注視対象物標を認識できていると判定する。
【0044】
一方で制御装置4は、例えば図5Bに示すように、注視対象物標を検出してから所定期間の間に、仮想平面上においてドライバの視野が当該視対象物標の投影箇所に所定の認識判定時間Trec以上重なることがなければ、ドライバが当該注視対象物標を認識できていないと判定する。
【0045】
図5A及び図5Bでは、仮想平面は、ドライバの視点位置から注視対象物標までの最短距離となる位置に設定されているが、これに限らず、例えば注視対象物標が含まれる位置に設定することができる。また仮想平面は、注視対象物標ごとに設定される。
【0046】
ステップS6において、制御装置4は、出力機器3を介して、注視対象物標に関する通知をドライバに行う。通知方法は特に限られるものではなく、例えば注視対象物標を認識できていないことを音声によるアナウンスを実施することによって通知してもよいし、警告音を発することによって通知してもよいし、画像情報や文字情報を駆使することによって通知してもよいし、これらの組み合わせによって通知してもよい。
【0047】
以上説明した本実施形態によれば、車両100のドライバに通知を行うための制御装置4(通知制御装置)は、車両100の周辺の状況を表す周辺データに基づいて車両100の周囲に存在する注視対象物標を検出し、ドライバの状態を表すドライバデータに基づいてドライバの視野を設定し、注視対象物標数Nobjが所定数Nth以下のときは、注視対象物標の位置に、注視対象物標が投影された仮想平面を車両100と対面するようにそれぞれ設定し、注視対象物標を検出してから所定期間の間に、仮想平面上においてドライバの視野が注視対象物標の投影箇所と所定の認識判定時間以上重なることがなければ、注視対象物標が存在することを知らせる通知をドライバに対して実施し、注視対象物標数Nobjが所定数Nthよりも大きいときは、前記通知をドライバに対して実施しないように構成される。
【0048】
これにより、車両100の外部に多数の注視対象物標が存在する場合には、ドライバに対して注視対象物標に関する通知が実施されることがなくなるので、ドライバが各注視対象物標に視線を向けてそれらの把握を行っている最中にもかかわらず、又は各注視対象物標を把握できているにかかわらず、注視対象物標に関する通知がドライバに対して実施されるのを抑制することができる。したがって、車両100の外部に多数の注視対象物標が存在する場合に、ドライバに対して不要な警報を実施してしまうのを抑制することができる。
【0049】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、注視対象物標数Nobjに応じて認識判定時間Trecを変更することによって、車両100の外部に注視対象物標が複数存在する場合に不要に警報が実施されてしまうことを抑制する点で、第1実施形態と相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0050】
前述した通り、車両100の外部に注視対象物標が複数存在する場合において、注視対象物標数Nobjが増大すると、ドライバは、複数の注視対象物標のうちの一つの物標に視線を固定することなく、各物標に満遍なく視線を向けて各物標の位置等の把握を行うことが想定される。すなわち、注視対象物標数Nobjが増えると、各物標を視認する時間が相対的に短くなることが想定される。
【0051】
そのため、注視対象物標数Nobjが大きい場合には、それに応じて認識判定時間Trecを短くしないと、或る注視対象物標を視認したにもかかわらず、視認した時間(ドライバの視野が注視対象物標の投影箇所に重なっている時間)が短いために、その注視対象物標を認識できていないと判断されてしまうおそれがある。その結果、注視対象物標を把握できているにかかわらず注視対象物標に関する通知が行われることとなって、ドライバが当該通知を煩わしいと感じてしまうおそれがある。
【0052】
そこで本実施形態では、注視対象物標数Nobjに応じて認識判定時間Trecを変更することとした。具体的には、注視対象物標数Nobjが大きいときには、小さいときと比較して、認識判定時間Trecを短くするようにした。以下、図6を参照して、この本実施形態による通知処理の一例について説明する。
【0053】
図6は、本実施形態による通知処理の詳細について説明するフローチャートである。図6において、ステップS1からS6までの処理の内容は第1実施形態と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0054】
ステップS21において、制御装置4は、認識判定時間Trecを、所定の第1判定時間T1に設定する。
【0055】
ステップS22において、制御装置4は、認識判定時間Trecを、所定の第2判定時間T2に設定する。
【0056】
第1判定時間T1は、第2判定時間T2よりも小さい値とされる。これにより、注視対象物標数Nobjが大きい場合には、認識判定時間Trecを短くすることができるので、或る注視対象物標を視認したにもかかわらず、その注視対象物標を認識できていないと判断してしまうことを抑制できる。
【0057】
なお認識判定時間Trecの変更方法はこのような方法に限られるものではなく、例えば、注視対象物標数Nobjが大きくなるにつれて、認識判定時間Trecを漸進的又は段階的に小さくするようにしてもよい。
【0058】
以上説明した本実施形態によれば、車両100のドライバに通知を行うための制御装置4(通知制御装置)は、車両100の周辺の状況を表す周辺データに基づいて車両100の周囲に存在する注視対象物標を特定し、ドライバの状態を表すドライバデータに基づいてドライバの視野を設定し、注視対象物標の位置に、注視対象物標が投影された仮想平面を車両100と対面するようにそれぞれ設定し注視対象物標を検出してから所定期間の間に、仮想平面上においてドライバの視野が注視対象物標の投影箇所と所定の認識判定時間Trec以上重なっていれば、注視対象物標をドライバが認識していると判定し、注視対象物標物標のうち、ドライバが認識していない物標がある場合は、注視すべき物標が存在することを知らせる通知をドライバに対して実施し、注視対象物標数Nobjが大きいときには、小さいときと比較して、認識判定時間Trecを短くするように構成される。
【0059】
本実施形態では制御装置4は、注視対象物標数Nobjが所定数Nth以下のときは、認識判定時間Trecを第2判定時間T2とし、注視対象物標数Nobjが所定数Nthよりも大きいときは、認識判定時間Trecを第2判定時間T2よりも小さい第1判定時間T1とするように構成される。
【0060】
これにより、車両外部に多数の注視対象物標が存在する場合には、認識判定時間Trecを短くすることができるので、或る注視対象物標を視認したにもかかわらず、その注視対象物標を認識できていないと判断してしまうことを抑制できる。そのため、各注視対象物標を把握できているにかかわらず、注視対象物標に関する通知がドライバに対して実施されるのを抑制することができる。すなわち、車両外部に多数の注視対象物標が存在する場合に、ドライバに対して不要な警報を実施してしまうのを抑制することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0062】
例えば、上記の実施形態において、制御装置4において実行されるコンピュータプログラム(通知処理)は、半導体メモリ、磁気記録媒体または光記録媒体といった、コンピュータ読取可能な可搬性の記録媒体に記録された形で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0063】
3 出力機器
4 制御装置(通知制御装置)
100 車両
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6