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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162142
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/38 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
G01F23/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077401
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】荒川 仙子
(72)【発明者】
【氏名】市沢 寿人
(72)【発明者】
【氏名】山浦 孝之
【テーマコード(参考)】
2F013
【Fターム(参考)】
2F013AA04
2F013AB03
2F013BC04
2F013CB02
(57)【要約】
【課題】射出成形の工数を低減することができる検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置は、検出対象の変位に応じて軸線AXを中心に回転する回転部材20と、回転部材20に設けられた窪み部G1,G2に配置される磁石と、回転部材20の回転に伴う磁場の変化を検出する磁気検出素子と、回転部材20を回転可能に支持する支持部材と、磁石の少なくとも一部を覆うように配置される非磁性部材と、を備える。支持部材は、軸線AXに沿うように設けられる軸部42を有する。磁気検出素子は、軸部42に設けられた空間部に配置される。磁石は、その外縁部分が回転部材20に形成された係止部22e,22fによって覆われている。窪み部G2の内周には、軸線AXに沿って設けられ、磁石の外周に当接するクラッシュリブQ2が形成されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象の変位に応じて軸線を中心に回転する回転部材と、
前記回転部材に設けられた窪み部に配置される磁石と、
前記回転部材の回転に伴う磁場の変化を検出する磁気検出素子と、
前記回転部材を回転可能に支持する支持部材と、
前記磁石の少なくとも一部を覆うように配置される非磁性部材と、を備え、
前記支持部材は、前記軸線に沿うように設けられる軸部を有し、
前記磁気検出素子は、前記軸部に設けられた空間部に配置され、
前記回転部材には、前記軸部が貫通可能な貫通部が設けられ、
前記非磁性部材は、前記貫通部から突出する前記軸部の突出部分を取り巻く有端状のリング部と、前記突出部分に設けられた溝部に嵌合する複数の嵌合部と、を備え、
前記磁石は、その内縁部分が前記リング部によって覆われ、その外縁部分が前記回転部材に形成された係止部によって覆われており、
前記窪み部の内周には、前記軸線に沿って設けられ、前記磁石の外周に当接するクラッシュリブが形成されている、
検出装置。
【請求項2】
前記軸部は、前記空間部を囲む囲み部を有し、
前記囲み部の内周には、前記軸線に沿って設けられ、前記磁気検出素子の外周に当接するクラッシュリブが形成されている、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記窪み部は、その底に相当する底部を有し、
前記底部の一部であって、前記窪み部の内周に形成されたクラッシュリブに対応する部分には、溝が形成されている、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記軸部は、前記軸線が延びる方向において前記磁気検出素子と対向する対向部を有し、
前記対向部の一部であって、前記囲み部の内周に形成されたクラッシュリブに対応する部分には、溝が形成されている、
請求項2に記載の検出装置。
【請求項5】
前記検出対象である液体に浮き、前記液体の液面とともに変位するフロートと、
前記フロートと前記回転部材とを連結し、前記フロートの変位に応じて前記回転部材を回転させるアームと、をさらに備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の検出装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の検出装置は、内部に磁石を収容し、液体の液面に浮くフロートの変位に応じて回転する樹脂製の磁石ホルダ(回転部材)と、この磁石ホルダの回転に伴う磁場の変化を検出する磁気検出素子と、磁石ホルダを回転可能に支持するとともに磁気検出素子を収容する樹脂製のケースと、磁石ホルダを覆うように配置される樹脂カバーと、を備える。この樹脂カバーは、ケースの主要部を構成する台部の四隅に設けた4つの溶着用突起を溶融させることでケースに溶着固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-71042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の検出装置の場合、磁石ホルダやケース、樹脂カバーは何れも樹脂(溶融樹脂)を射出成形することによって得られた射出成形品であり、磁石ホルダやケース、樹脂カバー(つまり3つの射出成形品)を成形するにあたって、部材毎に(つまり3つの)金型が必要となるため、射出成形の工数が増える虞がある。
【0005】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、射出成形の工数を低減することができる検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る検出装置は、
検出対象の変位に応じて軸線を中心に回転する回転部材と、
前記回転部材に設けられた窪み部に配置される磁石と、
前記回転部材の回転に伴う磁場の変化を検出する磁気検出素子と、
前記回転部材を回転可能に支持する支持部材と、
前記磁石の少なくとも一部を覆うように配置される非磁性部材と、を備え、
前記支持部材は、前記軸線に沿うように設けられる軸部を有し、
前記磁気検出素子は、前記軸部に設けられた空間部に配置され、
前記回転部材には、前記軸部が貫通可能な貫通部が設けられ、
前記非磁性部材は、前記貫通部から突出する前記軸部の突出部分を取り巻く有端状のリング部と、前記突出部分に設けられた溝部に嵌合する複数の嵌合部と、を備え、
前記磁石は、その内縁部分が前記リング部によって覆われ、その外縁部分が前記回転部材に形成された係止部によって覆われており、
前記窪み部の内周には、前記軸線に沿って設けられ、前記磁石の外周に当接するクラッシュリブが形成されている。
【0007】
前記軸部は、前記空間部を囲む囲み部を有し、
前記囲み部の内周には、前記軸線に沿って設けられ、前記磁気検出素子の外周に当接するクラッシュリブが形成されている、ようにしてもよい。
【0008】
前記窪み部は、その底に相当する底部を有し、
前記底部の一部であって、前記窪み部の内周に形成されたクラッシュリブに対応する部分には、溝が形成されている、ようにしてもよい。
【0009】
前記軸部は、前記軸線が延びる方向において前記磁気検出素子と対向する対向部を有し、
前記対向部の一部であって、前記囲み部の内周に形成されたクラッシュリブに対応する部分には、溝が形成されている、ようにしてもよい。
【0010】
前記検出装置は、
前記検出対象である液体に浮き、前記液体の液面とともに変位するフロートと、
前記フロートと前記回転部材とを連結し、前記フロートの変位に応じて前記回転部材を回転させるアームと、をさらに備える、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、射出成形の工数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態による検出装置の正面図。
図2】同実施形態による検出装置の分解斜視図。
図3図1のA-A断面図。
図4図1のB-B断面図。
図5図1中、矢印C方向から見たときの回転部材及び支持部材を示す図。
図6】同実施形態によるフロートアームの配設位置を変更したときの検出装置の正面図。
図7図5のD-D断面図。
図8図7において、第1リブが切断された状態を示す図。
図9】同実施形態による回転部材及び軸部の一部斜視図であって、2つの磁石の一方を抜いた状態を示す図。
図10】同実施形態によるケースの軸部近傍を背面側から見た斜視図。
図11】同実施形態による軸部の一部背面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1に示す検出装置Fは、図示しないタンク内に収容された液体Lの液面Laの位置(液位)を検出する液面検出装置として構成される。液面Laは、液体Lの増減に応じて上下方向に変位する。例えば、検出装置Fは、車両の燃料タンクに取り付けられ、液体Lとしてガソリンの量に応じた液位を検出する。
【0015】
以下では、互いに直交するX、Y、Z軸を適宜用いて、検出装置Fが備える各部を説明する場合がある。Y軸は、図1の上下方向に沿う。Z軸は、後述の軸線AXと平行である。また、X、Y、Z軸の各軸を示す矢印が向く方向を、各軸の+(プラス)方向、その反対方向を-(マイナス)方向とする。
【0016】
検出装置Fは、図1図7の適宜の図に示すように、フロート10と、アーム11と、軸線AXを中心に回転する回転部材20と、磁気検出素子30と、支持部材としてのケース40と、非磁性部材50と、PCB(Printed Circuit Board)60と、配線部70と、グロメット80と、モールド材90と、を備える。
【0017】
フロート10は、図1に示すように検出対象である液体Lに浮き、液面Laとともに変位する。フロート10は、例えば合成ゴムなどによって形成されている。
【0018】
アーム11は、フロート10と回転部材20とを連結し、フロート10の変位に応じて回転部材20を軸線AX周りに回転させる。アーム11は、非磁性体である金属で形成されており、一端部でフロート10を保持し、他端部が回転部材20に取り付けられている。
【0019】
アーム11は、フロート10に挿入されるとともに回転部材20に備えられる後述する第1アーム係止部に係止される第1部分11aと、第1部分11aの一端側から略直角に折れ曲がって回転部材20に備えられる後述する第2アーム係止部に係止される第2部分11bと、前記一端側とは反対側となる第1部分11aの他端側から略直角に折れ曲がってフロート10に連結される第3部分11cと、を有する。なお、図2では、フロート10及びアーム11の図示を省略している。
【0020】
回転部材20は、前記検出対象の変位に応じて軸線AXを中心に回転し、2つの磁石21a、21bと、これら磁石21a、21bを保持する磁石ホルダ22と、を有する(図2図4参照)。回転部材20は、磁石21a、21bによって磁気検出素子30が検出可能な磁場を発生させる。この磁場は、回転部材20の回転に伴い変化する。
【0021】
磁石21a、21bは、ネオジム、フェライト等の公知の材料からなり、後述する窪み部にそれぞれ配置される。磁石21a及び磁石21bは、双方の間に磁場を発生させるように、例えば、それぞれが軸線AXを中心とした径方向に2極で着磁されている。磁石21a、21bは、それぞれ軸線AXを中心とした円弧に沿って形成され、軸線AXを中心とした径方向において互いに対向する。
【0022】
磁石ホルダ22は、例えば合成樹脂材料によって成形された射出形成品であり、概ね円環状に形成される。磁石ホルダ22は、本体部22aと、第1、第2アーム係止部22b、22cと、隆起部22dと、撓み変形可能な係止部22e、22fと、複数個のリブ22gと、を備えている。
【0023】
本体部22aは、磁石ホルダ22の主要部を構成する部位であり、窪み部G1、G2と、ケース40に向く底面(-Z方向に向く面)の側に設けられた凹部H1と、貫通部Rとを有する。
【0024】
窪み部G1、G2は、磁石21a、21bを収容するために設けられ、図2図4に示すように、それぞれが-Z方向に陥没して形成される部分である。窪み部G1には、磁石21aが収容される(圧入される)。窪み部G2には磁石21bが収容される(圧入される)。
【0025】
図9は、回転部材20及び軸部42の一部斜視図であって、磁石21bを抜いた状態を示す図である。図9に示すように、窪み部G1の内周には、軸線AXに沿って設けられ、磁石21aの外周に当接するクラッシュリブQ1が形成されている。本実施形態では、クラッシュリブQ1が5つ設けられている。ここで、窪み部G1の内周は、軸線AXを中心とした円弧に沿う面として、後述の係止部22eを挟む2つの曲面、及び、この2つの曲面よりも軸線AXに近い1つの曲面と、軸線AXの径方向に沿う2つの平面と、を備える。このように、窪み部G1の内周が備える5つの面の各々の中間位置に、磁石21aに向かって突起するクラッシュリブQ1が設けられている。磁石21aは、このように磁石21aの外周に亘って設けられる5つのクラッシュリブQ1の各々に押される態様で、窪み部G1の中に圧入され、固定される。これにより、磁石21aを窪み部G1に挿入する際に、磁石ホルダ22にクラックが入ることを抑制することができる。
【0026】
同様に、窪み部G2の内周には、軸線AXに沿って設けられ、磁石21b(図9では図示せず)の外周に当接するクラッシュリブQ2が形成されている。本実施形態では、クラッシュリブQ2が5つ設けられている。ここで、窪み部G2の内周は、軸線AXを中心とした円弧に沿う面として、後述の係止部22fを挟む2つの曲面、及び、この2つの曲面よりも軸線AXに近い1つの曲面と、軸線AXの径方向に沿う2つの平面と、を備える。このように、窪み部G2の内周が備える5つの面の各々の中間位置に、磁石21bに向かって突起するクラッシュリブQ2が設けられている。磁石21bは、このように磁石21bの外周に亘って設けられる5つのクラッシュリブQ2の各々に押される態様で、窪み部G2の中に圧入され、固定される。これにより、磁石21bを窪み部G1に挿入する際に、磁石ホルダ22にクラックが入ることを抑制することができる。
【0027】
図4に示すように、窪み部G1は、その底に相当する底部G1aを有する。同様に、窪み部G2は、その底に相当する底部G2aを有する。図9に示すように、底部G2aの一部であって、クラッシュリブQ2に対応する部分には、溝U2が形成されている。溝U2は、クラッシュリブQ2の-Z方向に向く端部の周囲に、凹状に形成されている。溝U2は、全てが図示されていないが、5つのクラッシュリブQ2の各々に対応して、5つ設けられている。
【0028】
この溝U2により、窪み部G2の中に磁石21bを挿入する際にクラッシュリブQ2が削られて発生する削り粉を溜めることができる。これにより、削り粉が底部G2a全体に亘って溜まるのを防ぎ、窪み部G2による磁石21bの保持力の低下を防ぐことができる。
【0029】
同様に、底部G1aの一部であって、クラッシュリブQ1に対応する部分には、図示せぬ溝が形成されている。この溝も、5つのクラッシュリブQ1の各々に対応して、5つ設けられている。この溝により、削り粉が底部G1a全体に亘って溜まるのを防ぎ、窪み部G1による磁石21aの保持力の低下を防ぐことができる。
【0030】
凹部H1は、図3図4に示すように、ケース40から離れる方向に凹む部分である。凹部H1は、図3図7に示すように、軸線AXを中心とした円環状をなす。凹部H1の機能については、後述する。貫通部Rは、ケース40に備えられる後述する軸部が貫通可能な部分であり、軸線AXに沿うように設けられるとともに、本体部22aの表裏を貫通する円形の貫通孔として構成される。
【0031】
第1アーム係止部22b及び第2アーム係止部22cは、図1図2に示すように、本体部22aの外周部分に設けられる。この実施形態では、第1アーム係止部22bは、アーム11の第1部分11aを係止可能とする部分として構成され、第2アーム係止部22cは、アーム11の第2部分11bを係止可能とする部分として構成される。第1、第2アーム係止部22b、22cは、ケース40に備えられる後述する第1、第2規制部から+Z方向に向く側に位置している。なお、第1アーム係止部22bには、-Z方向に向く側に溝J1が形成されており、第1部分11aは、この溝J1に嵌め合わされることにより、第1アーム係止部22bに係止される。一方、第2アーム係止部22cには、+Z方向に向く側に溝J2が形成されており、第2部分11bは、この溝J2に嵌め合わされることにより、第2アーム係止部22cに係止される。
【0032】
ところで、この実施形態では、液体Lが収容されるタンクの形状を考慮して、液面La及びフロート10の変位に応じたアーム11の振れ方向を変更可能に構成されている。具体的には、例えば図6に示すように第1部分11aが第2アーム係止部22cに係止され、第2部分11bが第1アーム係止部22bに係止されることで、前記タンクの形状を考慮して、アーム11の振れ方向を変更することができる。なお、ここではアーム11の方向に沿った第1アーム係止部22bの形成幅K1をアーム11の方向に沿った第2アーム係止部22cの形成幅K2よりも短くすることで、目視にてアーム11の誤組を容易に確認することが可能となる(図1図6参照)。
【0033】
隆起部22dは、本体部221から+Z方向を向く側に設けられた突出リブであり、非磁性部材50に備えられる後述する欠落部分を塞ぐように略円弧状に形成される。
【0034】
係止部22e、22fは、回転部材20に設けられた窪み部G1、G2の外周の一部にそれぞれ設けられている。係止部22eは、窪み部G1に収容される磁石21aの外縁部分W3を覆いつつ係止する部分であり、外縁部分W3を係止する係止爪E1と、磁石21aの外側に位置するとともに撓み変形可能な弾性片E2とを有する(図2図4参照)。同様に、係止部22fは、窪み部G2に収容される磁石21bの外縁部分W4を覆いつつ係止する部分であり、外縁部分W4を係止する係止爪E3と、磁石21bの外側に位置するとともに撓み変形可能な弾性片E4とを有する。係止部22eは、その周囲に形成されたスリットM1によって窪み部G1と離間するように設けられる。係止部22fは、その周囲に形成されたスリットM2によって窪み部G2と離間するように設けられる。このように構成することで、回転部材20に一体的に形成された係止部22e、22fは、撓み変形可能となり、係止部22e、22f(弾性片E2、E4)を外側に撓ませた状態で磁石21a、21bを窪み部G1、G2に収容可能となり、収容後は、係止部22e、22fの弾性復帰力によって磁石21a、21bの外縁部分W3、W4を係止可能となる。
【0035】
リブ22gは、ケース40に備えられる前記第1規制部と前記第2規制部との間に複数個設けられる。リブ22gは、例えば図5に示すように概ねX方向に沿った状態で、且つ、前記第1規制部と前記第2規制部との間に等間隔で5つ設けられる。この実施形態では、図5中、左側から右側に向かうに従って、第1リブR1、第2リブR2、第3リブR3、第4リブR4、第5リブR5と称することにする。リブRは、回転部材20の回転時に前記第1規制部と前記第2規制部とのうち何れかと当接可能に構成され、アーム11の回転角度を定める機能を有する。
【0036】
例えば第1リブR1、第2リブR2、第3リブR3、第4リブR4、第5リブR5が全て存在している状況下では、回転部材20が図2図7に示す時計方向N1に回転すると、第1リブR1が前記第1規制部に当接することで回転部材20の回転が規制される。この際のアーム11の回転角度は図7に示す角度P1となる。一方で、第1リブR1、第2リブR2、第3リブR3、第4リブR4、第5リブR5が全て存在している状況下で回転部材20が時計方向N1とは反対方向となる反時計方向N2に回転すると、第5リブR5が前記第2規制部に当接することで回転部材20の回転が規制される。この際のアーム11の回転角度は図7に示す角度P2となる。
【0037】
ところで、この実施形態では、アーム11の回転角度を変更できるように構成されている。例えば第1リブR1、第2リブR2、第3リブR3、第4リブR4、第5リブR5のうち第1リブR1が切断され、リブ22gが第2リブR2、第3リブR3、第4リブR4、第5リブR5で構成されている状況下では、回転部材20が図2図7に示す時計方向N1に回転すると、第2リブR2が前記第1規制部に当接することで回転部材20の回転が規制される。この際のアーム11の回転角度は上述した角度P1よりも大きい角度P3となり、このように本実施形態ではリブ22gを利用してアーム11の回転角度を変更することがきる。
【0038】
図2に示す磁気検出素子30は、回転部材20の回転に伴う磁場の変化を検出する。磁気検出素子30は、例えばホール素子、オペアンプ等を含むホールIC(Integrated Circuit)を適用することができる。磁気検出素子30は、検出した磁場(磁束密度)の強さに応じた検出信号(例えば電圧信号)をPCB60へ出力する。磁石21a、21bが形成する磁場は回転部材20の回転によって変化するため、前記検出信号は、回転部材20を回転させるフロート10の位置、つまり、液面Laの位置に応じた値を示す。なお、磁気検出素子30は、MR(Magneto Resistive Sensor)素子などを利用した他の公知の磁気検出素子であってもよい。
【0039】
ケース40は、例えば合成樹脂材料によって成形された射出形成品であり、回転部材20を回転可能に支持するとともに、磁気検出素子30を収容する。ケース40は、台部41と、軸部42と、第1、第2規制部43a、43bと、を有する。
【0040】
台部41は、図2に示すように略矩形状をなし、図3に示すように回転部材20の底面(-Z方向に向く面)の側に位置する。台部41は、回転部材20が載置される載置面の側に設けられた凸部41aと、底面の側に形成された基板収容部41b及び配線引出部41cと、を有する。
【0041】
凸部41aは、台部41の前記載置面から+Z方向に向けて突出し、回転部材20に設けられた凹部H1に挿入される。凸部41aは、図2図3に示すように軸線AXを中心とした円環状をなす。
【0042】
回転部材20が時計方向N1もしくは反時計方向N2回転すると、凹部H1がケース40の凸部41aに対して摺動し、回転部材20の回転移動が案内される。凸部41aは、軸線AXを中心とした径方向の断面が台形形状をなす。この断面形状により、凸部41aを凹部H1が摺動する際の接触抵抗を低減することができる。回転部材20は、凹部H1にケース40に設けられた凸部41aが挿入された状態で回転移動を行うため、軸線AXに対して直角の方向(ラジアル方向)に回転部材20がずれることを抑制できる。また、回転部材20が軸線AXに対して傾いた姿勢で回転してしまうことも抑制できる。結果として、部品の摩耗、及び、検出精度の低下を抑制できる。また、この構造の回転部材20及びケース40は、アーム11を介して外力を受けても耐久性が高い。
【0043】
基板収容部41bは、ケース40の底面から+Z方向に凹んで形成される部分であり、PCB60などを収容する。基板収容部41bにはモールド材90が充填される。なお、図2では、モールド材90の図示を省略している。
【0044】
配線引出部41cは、ケース40から配線部70が引き出される部分であって、基板収容部41bと連通して形成される。配線引出部41cは、ケース40の+Y方向の端部に位置する。配線引出部41cには、配線部70の一部を保持するグロメット80が後述のように固定される。
【0045】
軸部42は、台部41から+Z方向に突出しており、軸線AXに沿うように設けられる。ここでの軸部42は略円柱状に形成されており、本体部22a(回転部材20)に設けられた貫通部Rに挿入(挿通)され、当該貫通部Rから突出する突出部分42aを有する。回転部材20は、軸部42周りに回転する。磁気検出素子30は、軸部42の内部に設けられた空所としての空間部42bに配置(圧入保持)されている。この空間部42bは、-Z方向の端が開口して基板収容部41bと連通する一方、+Z方向の端が閉塞している閉塞空間である。軸部42は、図4に示すように、空間部42bを軸線AXの周りで囲む囲み部42dと、軸線AXが延びる方向において磁気検出素子30と対向する対向部42eと、を有する。対向部42eは、突出部分42aの裏側(-Z方向の側)に位置し、空間部42bの+Z方向の端を閉塞する部分である。
【0046】
ここで、図10は、ケース40の軸部42近傍を背面側(-Z方向)から見た斜視図である。図11は、軸部42の一部背面図である。
【0047】
図10に示すように、空間部42bを囲む囲み部42dの内周には、軸線AXに沿って、クラッシュリブQ3が設けられている。図11に示すように、クラッシュリブQ3は、破線で示す磁気検出素子30の外周に当接する。本実施形態では、クラッシュリブQ3が4つ設けられている。
【0048】
図11に示すように、-Z方向から見た空間部42bは、-Y方向に上底が向く台形と、この台形の下底と長辺の長さが等しい長方形とを組み合わせた形状をなす。そして、囲み部42dの内周(つまり、空間部42bの外周)のうち、前記台形の上底及び脚に相当する面にはクラッシュリブQ3が形成されておらず、残りの面に4つのクラッシュリブQ3が形成されている。具体的に、囲み部42dの内周のうち、-Y方向に向く面に2つのクラッシュリブQ3が形成され、Y方向に沿う一対の面(前記長方形の短辺に相当する面)にクラッシュリブQ3が1つずつ形成されている。磁気検出素子30は、このように設けられる4つのクラッシュリブQ3に押される態様で、囲み部42d(空間部42b)の中に圧入され、固定される。
【0049】
磁気検出素子30を囲み部42dの中に圧入する際に、磁気検出素子30は、囲み部42dの内周のうち、-Y方向に向く面に設けられた2つのクラッシュリブQ3によって、前記台形の上底に相当する平坦面に押し付けられながら、Y方向の位置が定まる。これにより、Y方向における軸線AXに対する磁気検出素子30の位置精度を高めることができる。本実施形態の軸線AXは、空間部42bの中心位置よりも-Y方向に偏在して設定されているため、当該2つのクラッシュリブQ3によって、磁気検出素子30を-Y方向に押し付けることは特に有用である。
【0050】
また、磁気検出素子30を囲み部42dの中に圧入する際に、磁気検出素子30は、囲み部42dの内周のうち、Y方向に沿う一対の面の各々に設けられたクラッシュリブQ3によって挟まれつつ、X方向の位置が定まる。
【0051】
図11に示すように、対向部42eの一部であって、クラッシュリブQ3に対応する部分には、溝U3が形成されている。溝U3は、クラッシュリブQ3の+Z方向に向く端部の周囲に、凹状に形成されている。溝U3は、4つのクラッシュリブQ3の各々に対応して、4つ設けられている。この溝U3により、囲み部42d(空間部42b)の中に磁気検出素子30を挿入する際にクラッシュリブQ3が削られて発生する削り粉を溜めることができる。これにより、削り粉が対向部42e全体に亘って溜まるのを防ぎ、囲み部42dによる磁気検出素子30の保持力の低下を防ぐことができる。
【0052】
第1、第2規制部43a、43bは、アーム11の回転角度を規制するための部位であり、台部41の外周部分に設けられる(図2参照)。第1、第2規制部43a、43bは、図5図7に示すように回転部材20(アーム11)の-Z方向に位置し、第1規制部43aは第1リブR1の近くに設けられ、第2規制部43bは第5リブR5の近くに設けられる。
【0053】
非磁性部材50は、図4に示すように磁石21a、21bの一部である磁石21a、21bの内縁部分W1、W2を覆うように配置される。この内縁部分W1、W2は、磁石21a、21bにおいて、軸部42側に近い位置にある部位として構成される。非磁性部材50は、貫通部Rから突出する軸部42の突出部分42aを取り巻く有端状のリング部51と、突出部分42aに設けられた環状溝部である溝部42cに嵌合する複数の嵌合部52と、を備える。また、この実施形態では、嵌合部52と軸部42側に位置する隆起部22dの隆起嵌合部Sとの双方が溝部42cに嵌合するように構成される(図3参照)。
【0054】
この場合、リング部51は、途中で途切れている欠落部分Tを有する略C字形状のリングを適用することができ、軸線AXを中心とする仮想円周V上(図1参照)に沿うように設けられる。そして、この欠落部分Tに回転部材20の隆起部22dが位置する。つまり、この実施形態では、図2に示すように隆起部22dは、仮想円周V上において、リング部51が欠落している欠落部分Tに対応して隆起形成された部位となっている。
【0055】
嵌合部52は、リング部51の内側に部分的に設けられる嵌合突起であり、リング部51の内側に向けて隆起した隆起形状となっている。ここでの嵌合部52は、リング部51の両端側となる両端部分と、リング部51の中央部分とに設けられる。そして、回転部材20が回転すると、嵌合部52及び隆起嵌合部Sが溝部42cに嵌合した状態で回転する。すわなち、回転部材20の回転に連動(同期)して非磁性部材50が回転することになる。
【0056】
この際、非磁性部材50のリング部51は、Z方向において磁石21a、21bの内縁部分W1、W2を覆っている。また、係止爪E1、E3(係止部22e、22f)は、Z方向において磁石21a、21bの外縁部分W3、W4を覆っている。つまり、本実施形態では、磁石21a、21bは、その内縁部分W1、W2がリング部51によって覆われ、その外縁部分W3、W4が回転部材20に一体的に形成された係止爪E1、E3(係止部22e、22f)によって覆われている構成としている。これにより非磁性部材50は、磁石21a、21bの軸線AXに沿う方向における位置を規制し、回転部材20から磁石21a、21bが抜けることを防止する抜け止め機能を有する。
【0057】
図2図3に示すPCB60は、磁気検出素子30と配線部70とを電気的に接続する回路を実装し、ケース40の基板収容部41bに収容される。磁気検出素子30は、磁気検出素子30からPCB60に向かって延びる略L字形状の端子31を介してPCB60と電気的に接続される。PCB60は、軸線AXを中心とした径方向において端子31から離れた位置に配線部70が接続される接続部61を有する。配線部70は、半田付け等により接続部61に接続される。
【0058】
配線部70は、磁気検出素子30からの検出信号を外部に伝送するための構成である。配線部70は、一端がPCB60と電気的に接続され、他端が検出装置Fの外部にある図示しない制御部と電気的に接続される。配線部70は、銅など導電性の金属を絶縁材で被覆して構成されるコードを、複数束ねた態様により構成されている。
【0059】
配線部70は、検出信号を伝送する信号線を含む。前記制御部は、マイクロコンピュータからなり、磁気検出素子30から出力され、端子31、PCB60及び配線部70を介して伝送される検出信号を取得する。そして、前記制御部は、取得した検出信号に基づき、液体Lの液面Laの位置や、当該位置に応じた液体Lの量を公知の手法により算出する。なお、前記制御部は、検出装置Fが備える構成であってもよい。
【0060】
グロメット80は、ニトリルゴム等の公知の弾性体からなり、ケース40の配線引出部41cに取り付けられる。グロメット80には、配線部70が有する複数のコードの各々を通す挿通孔が形成されている。グロメット80は、引き出し部分における配線部70の屈曲に対する緩衝材として作用する。グロメット80は、図4に示すように、配線引出部41cに形成された凸部に対応する凹部を有し、これらの凹凸形状を利用して、配線引出部41cに嵌め込まれている。なお、凹凸の関係は逆であってもよい。つまり、グロメット80に凸部を設け、配線引出部41cに凹部を設けてもよい。グロメット80と配線引出部41cとの嵌合機構により、グロメット80のケース40に対する位置決めを容易に行うことができ、ケース40からグロメット80が脱落することを防止できる。
【0061】
図4に示すモールド材90は、エポキシ等の公知の材料からなり、PCB60(図2参照)を覆って、基板収容部41b内に充填される。モールド材90は、例えば黒色である。基板収容部41bに対するモールド材90の充填量、充填具合の判別を容易にするため、ケース40の色は、モールド材90と異なる色(例えば白色)に設定されている。なお、モールド材90とケース40の色は、この例に限らず、互いに識別可能なほど異なっていれば任意である。
【0062】
以上のように本実施形態では、前記検出対象の変位に応じて軸線AXを中心に回転する回転部材20と、回転部材20に設けられた窪み部G1、G2に配置される磁石21a、21bと、回転部材20の回転に伴う磁場の変化を検出する磁気検出素子30と、磁石21a、21bの一部を覆うように配置される非磁性部材50とを備えているものである。従って、従来、採用していた射出成形品である樹脂カバーに代えて射出成形品ではない非磁性部材50を採用することで、射出成形品の個数が従来よりも少なくなる。これに伴い射出成形品を得るための金型の個数が削減され(射出成形の工数が低減され)、検出装置を製造するための部品費が安価となり、コスト上昇を抑制することができる。
【0063】
また本実施形態では、非磁性部材50は、貫通部Rから突出する軸部42の突出部分42aを取り巻く有端状のリング部51と、突出部分42aに設けられた溝部42cに嵌合する複数の嵌合部52とを備えていることにより、非磁性部材50と軸部42との接触面積が減少し、回転部材20の回転に同期して回転する非磁性部材50の耐久性を向上させることができるという利点がある。
【0064】
また本実施形態では、回転部材20は、仮想円周V上において、リング部51が欠落している欠落部分Tに対応して隆起形成された隆起部22dを備え、隆起部22dは、その一部である隆起嵌合部Sが溝部42cに嵌合していることにより、非磁性部材50(複数の嵌合部52)が溝部42c内で安定的に摺動する構成となり、非磁性部材50の耐久性をより向上させることができるという利点がある。
【0065】
本発明は、以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0066】
以上では、磁石21a、21bは、その内縁部分W1、W2がリング部51によって覆われ、その外縁部分W3、W4が回転部材20に形成された係止爪E1、E3(係止部22e、22f)によって覆われている構成としたが、例えば係止爪E1、E3を省略し、磁石21a、21bの全体もしくは磁石21a、21bの大部分をリング部51(非磁性部材50)で覆うように構成してもよい。要は、非磁性部材50は、磁石21a、21bの少なくとも一部を覆うように配置されていればよい。
【0067】
以上では、ケース40に設けた凸部41aが軸線AXを中心とした円環状をなす例を示したが、この形状に限られない。例えば、凸部41aは、軸線AXを中心した円周方向に沿って、間欠的に配列された複数の部分を有していてもよい。当該複数の部分は、回転部材20の回転移動を安定して案内すべく、軸線AXを中心とした円周方向において等間隔に配列されていることが好ましい。
【0068】
以上では、磁石ホルダ22が2つの磁石21a、21bを保持する例を説明したが、磁気検出素子30に磁場を形成することができれば、磁石の形状、個数、着磁方向は任意である。
【0069】
図3では、磁気検出素子30が軸線AX上に位置する例を示したが、検出装置Fが良好に検出対象の位置を検出できる限りにおいては、磁気検出素子30の配置は任意である。例えば、磁気検出素子30は、軸線AXからずれた位置にあってもよい。
【0070】
なお、以上の説明では、本開示の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【符号の説明】
【0071】
10 フロート
11 アーム
20 回転部材
21a、21b 磁石
22 磁石ホルダ
22a 本体部
22b 第1アーム係止部
22c 第2アーム係止部
22d 隆起部
22e、22f 係止部
22g リブ
30 磁気検出素子
40 ケース(支持部材)
41 台部
42 軸部
42a 突出部分
42b 空間部
42c 溝部
42d 囲み部
42e 対向部
50 非磁性部材
51 リング部
52 嵌合部
60 PCB
70 配線部
80 グロメット
90 モールド材
AX 軸線
G1、G2 窪み部
G1a、G2a 底部
Q1、Q2、Q3 クラッシュリブ
U2、U3 溝
H1 凹部
R 貫通部
T 欠落部分
V 仮想円周
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11