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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162144
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ホルダー
(51)【国際特許分類】
   A45C 13/30 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A45C13/30 H
A45C13/30 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077404
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】516268437
【氏名又は名称】ROOT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100118094
【弁理士】
【氏名又は名称】殿元 基城
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 薫央
(72)【発明者】
【氏名】三尋木 準
(72)【発明者】
【氏名】山下 敦史
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045CE07
3B045DA22
3B045FC06
(57)【要約】
【課題】 携帯物の着脱が容易なホルダーを提供する。
【解決手段】ホルダー1は、着脱部20と、内部空間S2を有する本体部10とを備える。本体部10は、内部空間S2に収納された着脱部20に当接する当接面11cを有する基部11と、着脱部20の周側面20eを囲う内周面15aを有する枠部15とを備える。当接面11cには、第1磁極部12a~12dが設けられ、第1磁極部12a~12dと対向する着脱部20の部位には、第1磁極部12a~12dと異なる極性を有する第2磁極部22a~22dが設けられ、枠部15の内周面15aには、着脱部20が内部空間S2に収納された状態に応じて収出可能となるマグネット片16a,16bが設けられている。着脱部20には、マグネット片16a,16bを係止するための係止孔が形成されている。
【選択図】 図9

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯物が取り付けられる着脱部と、
前記着脱部を収納するための内部空間を有する本体部と
を備え、
前記本体部は、前記着脱部が前記内部空間に収納された状態において、前記着脱部の背面に当接する当接面を有する基部と、前記着脱部の周側面を囲う内周面を有する枠部とを備え、
前記当接面には、N極またはS極の極性を備えた第1磁極部が設けられ、
前記内部空間に前記着脱部が収納された状態において前記第1磁極部に対向する前記着脱部の部位には、前記第1磁極部の極性と異なる極性を有する第2磁極部が設けられ、
前記枠部の前記内周面には、前記着脱部が前記内部空間に収納されていない場合に前記第1磁極部の極性により前記枠部の内部に収納された状態となり、前記着脱部が前記内部空間に収納された場合に前記第2磁極部の極性により前記内部空間に突出された状態となるマグネット片が収出可能に設けられ、
前記着脱部には、前記着脱部が前記内部空間に収納された状態で突出される前記マグネット片を係止するための係止孔が形成されている
ことを特徴とするホルダー。
【請求項2】
前記着脱部は円環形状を呈すると共に、前記円環形状の正面視下部には、前記携帯物が取り付けられるストラップピンを保持するための筒状のピン保持部が形成され、
前記枠部の下部には、前記着脱部を前記内部空間に収納させた状態において前記ピン保持部を収納するための溝部が設けられ、
前記マグネット片は、前記枠部の前記内周面であって前記溝部の近傍位置に設けられること
を特徴とする請求項1に記載のホルダー。
【請求項3】
前記着脱部は、表裏形状および左右形状が対称となる外観形状を呈して、前記着脱部の表面側からでも裏面側からでも前記内部空間に収納可能であり、
前記第2磁極部は前記着脱部の表裏両面に設けられており、前記着脱部が表裏どちらから前記内部空間に収納された状態であっても、前記第1磁極部と磁着することが可能になっていること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォンやアウトドア用具等の携帯物が取り付けられるホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやアウトドア用具等の携帯物が取り付けられるホルダーとして、例えば、特許文献1に記載のホルダーが知られている。このホルダーは、ケースと、リールに巻き取られてケースに収容され、ケースからの引き出が可能な紐体と、かばんや衣服のベルトループ等への連結時に開閉するゲート(開閉部)が設けられたカラビナと、携帯物が連結されるリングとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-028512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のホルダーでは、使用者がケースから紐体を引き出して携帯物を手繰り寄せることはできる。しかしながら、例えば、他人に貸すために携帯物を自身から離脱させる場合には、まずカラビナのゲートを開き、次にカラビナをかばんや衣服のベルトループ等から抜くという2アクションを行うことにより、携帯物をホルダーごと取り外す必要があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、携帯物の着脱が容易なホルダーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るホルダーは、携帯物が取り付けられる着脱部と、前記着脱部を収納するための内部空間を有する本体部とを備え、前記本体部は、前記着脱部が前記内部空間に収納された状態において、前記着脱部の背面に当接する当接面を有する基部と、前記着脱部の周側面を囲う内周面を有する枠部とを備え、前記当接面には、N極またはS極の極性を備えた第1磁極部が設けられ、前記内部空間に前記着脱部が収納された状態において前記第1磁極部に対向する前記着脱部の部位には、前記第1磁極部の極性と異なる極性を有する第2磁極部が設けられ、前記枠部の前記内周面には、前記着脱部が前記内部空間に収納されていない場合に前記第1磁極部の極性により前記枠部の内部に収納された状態となり、前記着脱部が前記内部空間に収納された場合に前記第2磁極部の極性により前記内部空間に突出された状態となるマグネット片が収出可能に設けられ、前記着脱部には、前記着脱部が前記内部空間に収納された状態で突出される前記マグネット片を係止するための係止孔が形成されていることを特徴とする。
【0007】
また、上述したホルダーにおいて、前記着脱部は円環形状を呈すると共に、前記円環形状の正面視下部には、前記携帯物が取り付けられるストラップピンを保持するための筒状のピン保持部が形成され、前記枠部の下部には、前記着脱部を前記内部空間に収納させた状態において前記ピン保持部を収納するための溝部が設けられ、前記マグネット片は、前記枠部の前記内周面であって前記溝部の近傍位置に設けられるものであってもよい。
【0008】
さらに、上述したホルダーにおいて、前記着脱部は、表裏形状および左右形状が対称となる外観形状を呈して、前記着脱部の表面側からでも裏面側からでも前記内部空間に収納可能であり、前記第2磁極部は前記着脱部の表裏両面に設けられており、前記着脱部が表裏どちらから前記内部空間に収納された状態であっても、前記第1磁極部と磁着することが可能になっているものであってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るホルダーによれば、携帯物の着脱を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係るホルダーを示した斜視図である。
図2】実施の形態に係るホルダーを示した背面図である。
図3】実施の形態に係る本体部を示した斜視図であって、(a)は、ロック用マグネット片が収納された状態を示し、(b)は、ロック用マグネット片が上側にスライドされた状態を示している。
図4】実施の形態に係る本体部を示した正面図である。
図5】実施の形態に係る着脱部を示した背面斜視図である。
図6】実施の形態に係る着脱部を示した背面図である。
図7】実施の形態に係る着脱部の下面側を示した背面斜視図である。
図8】実施の形態に係るロック用マグネット片のスライド状態および磁極部の極性を説明するための本体部の模式図であって、(a)は、着脱部が近づいていない場合の本体部を示し、(b)は、着脱部が近づいている場合の本体部を示し、(c)は、着脱部が内部空間に収納された場合の本体部を示している。
図9】実施の形態に係る着脱部を本体部に収納させる手順を説明するための模式図である。
図10】実施の形態に係る着脱部が本体部に収納される直前の状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るホルダーに関して一例を示し、図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係るホルダー1の斜視図を示し、図2はその背面図を示している。ホルダー1は、本体部10と、着脱部20とによって概略構成されている。着脱部20は、本体部10に対して着脱することが可能になっている。
【0013】
図3(a)(b)は、本体部10の斜視図を示し、図4は、その正面図を示している。本体部10は、背面部を構成する基部11と、基部11の正面側の縁部分に沿って設けられる枠部15とにより概略構成されている。基部11は、正面視で略円形の板状部材であって、中央に縦長で楕円形状の基部開口11aが形成されている。
【0014】
また、基部11の正面側の面(当接面11c)であって、基部開口11aの周囲には、N極の磁極部(第1磁極部)12a,12cと、S極の磁極部(第1磁極部)12b,12dとが同一円上で90度ずつ離間した状態で設けられている。具体的には、図4に示すように本体部10を起立させた状態において、磁極部12aが、基部11の正面視で基部開口11aの右上部分に設けられており、磁極部12bが、基部開口11aの右下部分に設けられており、磁極部12cが、基部開口11aの左下部分に設けられており、磁極部12dが、基部開口11aの左上部分に設けられている。
【0015】
基部11の上部には、正面視で横コ字形状を呈する固定部11bが設けられている。固定部11bは、横コ字両端部を下側にして基部11の上端部に連結した状態で一体に形成されている。また、固定部11bの正面視で上部左寄りの部分には、切り欠き状の隙間S1が形成されている。この隙間S1に帯状紐(ウェビングテープ、ウェビングロープ)を案内することによって、帯状紐を固定部11bに係止させることができ、帯状紐を用いてホルダー1を吊持することが可能になっている。また、固定部11bに対し、帯状紐を介して或いは直接的に、ネックストラップを取り付けることも可能である。
【0016】
枠部15は、中央に環状の内部空間S2を確保するようにして、基部11の縁部分に沿って設けられている。内部空間S2は、着脱部20の外観形状に対応した円環形状の空間となっており、内部空間S2に着脱部20を収納することが可能になっている。着脱部20を内部空間S2に収納した状態において、着脱部20は本体部10に対して容易に動いたりガタついたりしない構造となっている。本体部10は、内部空間S2に収納された着脱部20の背面に、枠部15の正面側の面を当接させ、着脱部20の周側面20eを枠部15の内周面15aで囲うことにより、着脱部20を保持する役割を有している。
【0017】
枠部15の中央下部には、上下方向に伸びる溝部15bが形成されている。溝部15bには、次述する着脱部20のピン保持部20aが収納される。
【0018】
また、枠部15の左右下部(溝部15bの左右近傍位置)には、図3(a)(b)および図4に示すように、一対のロック用マグネット片16a,16bが、上下方向にスライド可能(収出可能)に設けられている。正面視で右側に設けられるロック用マグネット片16aの背面側は、ロック用マグネット片16aに最も近い磁極部12bと同極となるS極の磁性を有しており、左側に設けられるロック用マグネット片16bの背面側は、ロック用マグネット片16bに最も近い磁極部12cと同極となるN極の磁性を有している。
【0019】
各ロック用マグネット片16a,16bの背面側の極性が最も近い磁極部12c,12bの正面側の極性と同じ極性を有しているため、各ロック用マグネット片16a,16bは、着脱部20が本体部10に装着されていない状態で、磁極部12b,12cから離れる方向(互いに反発する方向)に磁力を受けることになる。このため、着脱部20が本体部10に装着されていない場合、各ロック用マグネット片16a,16bは、図3(a)および図4に示すように、下方向にスライド移動された状態(各ロック用マグネット片16a,16bが、枠部15の内部に収納された状態)を維持することになる。
【0020】
図5は、着脱部20の背面斜視図を示しており、図6はその背面図を示している。また、図7は、着脱部20の下側部分を示した背面斜視図である。着脱部20は、円環形状を呈しており、表裏形状および左右形状が対称となるように形成されている。上述したように、着脱部20は本体部10の内部空間S2に収納することが可能となっているが、着脱部20が表裏形状および左右形状で対称となっているため、内部空間S2に対して着脱部20を表面側から収納させることも、裏面側から収納させることも可能になっている。
【0021】
着脱部20の表面側および裏面側であって、内部空間S2に着脱部20を収納させた状態で各磁極部12a,12b,12c,12dの配置位置に対向する部位には、磁極部(第2磁極部)22d,22c,22b,22aがそれぞれ設けられている。各磁極部22a,22b,22c,22dは、着脱部20の表裏を貫通させた状態で、円環形状の各部位に対して、同一円上で90度ずつ離間した位置に設けられている。図6に示すように着脱部20を起立させた状態において、磁極部22aは、着脱部20の背面視で右上部分に設けられており、磁極部22bは右下部分に設けられており、磁極部22cは左下部分に設けられており、磁極部22dは左上部分に設けられている。
【0022】
また、各磁極部22a,22b,22c,22dの極性は、表面側と裏面側とで逆特性となっており、表面側の極性がS極の場合、裏面側の極性はN極となり、表面側の極性がN極の場合、裏面側の極性はS極となる。さらに、背面側の各磁極部22a,22b,22c,22dの極性は、対向する基部11の各磁極部12d,12c,12b,12aの極性と、異なる極性を有している。図5図7に示す各磁極部22a,22b,22c,22dでは、磁極部22a,22cの背面側がN極、正面側がS極となり、磁極部22b,22dの背面側がS極、正面側がN極となる。このように各磁極部22a,22b,22c,22dの極性が設定されているため、着脱部20が本体部10の内部空間S2に収納された状態において、対応するそれぞれの磁極部12a,12b,12c,12dおよび磁極部22d,22c,22b,22aが互いに引き寄せ合う状態となって磁着される。このため、着脱部20が簡単に本体部10から外れることがない。
【0023】
着脱部20の正面視或いは背面視における下部中央には、ストラップ用ピン27を設置するためピン保持部20aが形成されている。ピン保持部20aは、円筒形状を呈しており、ストラップ用ピン27を環内部から下方へと貫入させるための貫入孔20bが形成されている。ストラップ用ピン27は、皿状の頭部27aと円柱状の脚部27bとが一体となって形成されて、側面視T字形状を呈している。脚部27bには、貫通孔27cが設けられており、貫通孔27cに二重リングを設置して携帯物を吊り下げることができる。また、脚部27bの底部にストラップ用貫通孔(図示せず)を形成し、ストラップ用貫通孔にストラップを通して携帯物を吊り下げることが可能である。
【0024】
ピン保持部20aの貫入孔20bに対して、ストラップ用ピン27の脚部27bを上側から貫入させることにより、貫入孔20bの上縁部がストラップ用ピン27の頭部27aに係止され、ストラップ用ピン27がピン保持部20aに取り付けられた状態となる。
【0025】
また、着脱部20は、円環形状を呈しているため、中央部に円形の開口21が形成されている。本体部10の基部11には、楕円形状の基部開口11aが形成されているため、着脱部20が本体部10の内部空間S2に収納された場合に、開口21と基部開口11aとが連通された状態となる。但し、開口21が円形に形成されるのに対して、基部開口11aは楕円形に形成されるため、図2に示すように本体部10を背面側から見て、基部開口11aの少なくとも上側部分に、開口21の上側縁部分が露出した(内側に迫り出した)状態となる。
【0026】
さらに、図7に示すように、着脱部20のピン保持部20aの近傍であって、着脱部20を左右下面から臨む位置(具体的には、ロック用マグネット片16aおよびロック用マグネット片16bに対向する位置)には、ロック用マグネット片16a,16bを貫入させる(係止させる)ための係止孔20c,20dがそれぞれ形成されている。着脱部20が本体部10の内部空間S2に収納された状態で、上側にスライド移動されたロック用マグネット片16a,16bを、それぞれの係止孔20c, 20dに貫入させることにより、着脱部20の下部における前後方向(表裏方向)の移動を規制することが可能となる。
【0027】
なお、係止孔20c,20dの少し上側付近には、既に説明したように磁極部22b,22cが設けられている。このため、係止孔20c,20dにおけるロック用マグネット片16a,16bのスライド状態は、着脱部20における磁極部22b,22cの磁気の影響を受けることになる。
【0028】
図8(a)(b)(c)は、本体部10におけるロック用マグネット片16aのスライド状態および磁極部12a,12b,22c,22dの極性を説明するための本体部10の模式図である。具体的に、図8(a)は、着脱部20が本体部10に近づいていない状態におけるロック用マグネット片16aのスライド状態等を示した図であり、図8(b)は、本体部10に着脱部20の磁極部22c,22dを近づいた場合におけるロック用マグネット片16aのスライド状態等を示した模式図である。また、図8(c)は、本体部10に着脱部20が収納された状態におけるロック用マグネット片16aのスライド状態等を示した模式図である。
【0029】
図8(a)に示すように、着脱部20が本体部10に近づいていない状態では、既に説明したように、各ロック用マグネット片16a(16b)が最も近い磁極部12b(12c)と同じ極性(図8(a)では、磁極部12bの正面側の極性と、ロック用マグネット片16aの背面側の極性とが、共にS極(SP))を有している。このため、各ロック用マグネット片16a,16bは、下方向にスライド移動された状態(各ロック用マグネット片16a,16bが、枠部15の内部に収納された状態)を維持する。
【0030】
図8(b)に示すように、着脱部20が本体部10に近づくと、本体部10の正面側に位置する磁極部12a,12b,12c,12dの極性が、それぞれに対応する着脱部20の磁極部22d,22c,22b,12aと異なる極性であるため、それぞれの磁極部が互いに引き合う方向に作用する(本体部10に対して着脱部20が図8(b)の矢印方向に引き寄せられる)ことになる。そして、それぞれの磁極部が互いに引き合うことにより、図8(c)に示すように、着脱部20が本体部10の内部空間S2に収納された状態になると、本体部10の磁極部12a,12b,12c,12dと着脱部20の磁極部22d,22c, 22b,22aとが当接し、対応する磁極部同士(磁極部12aと磁極部22d、磁極部12bと磁極部22c、磁極部12cと磁極部22b、磁極部12dと磁極部22a)が磁力によって磁着して(くっ付いて)一体となり、正面側の極性と背面側の極性とがそれぞれ異なる極性となるように作用することになる。
【0031】
例えば、図8(c)に示すように、磁極部12bと磁極部22cとが一体となった磁極部では、正面側の極性がS極(SP)となり、背面側の極性がN極(NP)となる。また、磁極部12aと磁極部22dとが一体となった磁極部では、正面側の極性がN極(NP)となり、背面側の極性がS極(SP)となる。
【0032】
一体となった磁極部の正面側の極性と背面側の極性とが、それぞれ異なる極性として作用することによって、ロック用マグネット片16a,16bの背面側の極性(図8(c)では、ロック用マグネット片16aの背面側の極性がS極(SP))が、一体となった磁極部の背面側の極性(図8(c)では、磁極部12bと磁極部22cとが一体となった磁極部の背面側の極性がN極(NP)))と異なる極性となる。また、ロック用マグネット片16a,16bの正面側の極性(図8(c)では、ロック用マグネット片16aの正面側の極性がN極(NP))が、一体となった磁極部の正面側の極性(図8(c)では、磁極部12bと磁極部22cとが一体となった磁極部の正面側の極性がS極(SP))と異なる極性となる。このため、ロック用マグネット片16a,16bは、一体となった磁極部の極性により引き寄せられる方向(図8(c)において矢印で示す方向)に作用されることになり、上側にスライド移動して着脱部20の係止孔20c,20dに貫入された状態を維持することになる。
【0033】
このように、着脱部20が本体部10の内部空間S2に収納されると、互いに対向する着脱部20の磁極部22d,22c,22b,22aと本体部10の磁極部12a,12b,12c,12dとが磁着した(くっ付いた)状態となり、さらに、本体部10のロック用マグネット片16a,16bが、着脱部20の係止孔20c,20dに貫入された状態となるため、本体部10の枠部15によって、着脱部20における上下左右方向の移動が規制され、さらに、係止孔20c,20dに貫入されたロック用マグネット片16a,16bによって、着脱部20の下部における前後方向(表裏方向)の移動が規制されることになり、着脱部20が簡単に本体部10から外れることがなくなる。
【0034】
特に、着脱部20の下部には、ピン保持部20aが設けられており、ピン保持部20aの貫入孔20bには、携帯物が取り付けられたストラップ用ピン27が貫入されている。このため、携帯物に対して引っ張る力が発生した場合には、ストラップ用ピン27を介して着脱部20に対し、本体部10(着脱部20)の下方向および前後方向(表裏方向)に力が作用することになる。しかしながら、上述したように、本体部10の枠部15によって、着脱部20における上下左右方向の移動が規制され、さらに、係止孔20c,20dに貫入されたロック用マグネット片16a,16bによって、着脱部20の下部における前後方向(表裏方向)の移動が規制されることになるため、着脱部20の下部に対して力(携帯物を引っ張る力)が作用する場合であっても、着脱部20が簡単に本体部10から外れることがない。
【0035】
図8(a)~(c)では、説明の便宜上、本体部10に対して着脱部20を水平(前後方向)に移動させて、内部空間S2に収納させる場合を一例として示して説明した。しかしながら、実際に、着脱部20を本体部10の内部空間S2に収納する場合には、図9に矢印で示すように、本体部10の斜め上方向から、着脱部20の下部(ピン保持部20a等)を本体部10の正面側へに近づけて、着脱部20のピン保持部20aを枠部15の溝部15bに嵌め込むようにして、着脱部20を本体部10に案内する。このようにして着脱部20を本体部10に案内することにより、枠部15の溝部15bが、着脱部20のピン保持部20aを誘導する役割を行うと共に位置合わせ用のガイドとして機能することになる。
【0036】
そして、図10に示すように、着脱部20の下部を内部空間S2に収納させた後に、着脱部20の上部を内部空間S2に導き入れることにより、位置ずれ等を生ずることなく円滑に着脱部20を本体部10に収納させることができる。
【0037】
着脱部20を本体部10から取り外す場合には、図9および図10を示して説明した手順と逆の作業を行うことにより、円滑に着脱部20を本体部10から取り外すことができる。この場合、図2を用いて既に説明したように、本体部10に着脱部20が収納された状態において、本体部10の基部開口11aに対して、着脱部20の開口21の上側縁部分が露出した(内側に迫り出した)状態となっている。このため、ユーザーは、着脱部20の開口21に指を入れて、迫り出した開口21の上側縁部分に指を引っかけて手前に引き出す動作を行うことにより、簡単に着脱部20の上部を本体部10の内部空間S2から取り外すことができ、そのまま手前に引き出す動作を続けることによって、簡単に着脱部20を本体部10から取り外すことが可能になる。
【0038】
以上、本発明に係るホルダーについて、実施の形態において一例を示して詳細に説明したが、本発明に係るホルダーは、実施の形態に示した例には限定されない。例えば、着脱部20や本体部10に設けられる磁極部の位置や数、枠部15が着脱部20の外周面を覆う態様や、本体部10および着脱部20のデザイン等については、実施の形態で説明したホルダー1と同じものには限定されない。
【符号の説明】
【0039】
1 …ホルダー
10 …(ホルダーの)本体部
11 …(本体部の)基部
11a …(基部の)基部開口
11b …(本体部の)固定部
11c …(基部の)正面側の面(当接面)
12a,12b,12c,12d …(本体部の)磁極部(第1磁極部)
15 …(本体部の)枠部
15a …(枠部の)内周面
15b …(枠部の)溝部
16a …ロック用マグネット片
16b …ロック用マグネット片
20 …(ホルダーの)着脱部
20a …ピン保持部
20b …(ピン保持部の)貫入孔
20c,20d …(着脱部の)係止孔
20e …(着脱部の)周側面
21 …(着脱部の)開口
22a,22b,22c,22d …(着脱部の)磁極部(第2磁極部)
27 …ストラップ用ピン
27a …(ストラップ用ピンの)頭部
27b …(ストラップ用ピンの)脚部
27c …(ストラップ用ピンの脚部の)貫通孔
S1 …(本体部の固定部の)隙間
S2 …(本体部の)内部空間
SP …(磁極部の)S極
NP …(磁極部の)N極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10