(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162147
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】配合組成物、塗料組成物、及び塗膜
(51)【国際特許分類】
C08G 18/80 20060101AFI20241114BHJP
C08G 18/73 20060101ALI20241114BHJP
C08G 18/75 20060101ALI20241114BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20241114BHJP
C08G 18/79 20060101ALI20241114BHJP
C08G 18/78 20060101ALI20241114BHJP
C08G 18/62 20060101ALI20241114BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C08G18/80
C08G18/73
C08G18/75
C08G18/10
C08G18/79 020
C08G18/78 037
C08G18/62 075
C09D175/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077416
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】蒋 霽月
(72)【発明者】
【氏名】福地 崇史
【テーマコード(参考)】
4J034
4J038
【Fターム(参考)】
4J034CA02
4J034CA03
4J034CA04
4J034CA05
4J034CA13
4J034CA14
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(57)【要約】
【課題】主剤との相溶性と硬化性、硬化した塗膜の高い架橋密度と耐ブロッキング性、耐溶剤性に優れる配合組成物、塗料組成物、塗膜を提供する。
【解決手段】ブロックポリイソシアネート成分と、ポリオールとを含有する配合組成物であって、ブロックポリイソシアネート成分は、ジイソシアネート、一種以上のアルコール、および熱解離性ブロック剤との反応物であり、ブロックポリイソシアネート成分は、[イソシアヌレート/(イソシアヌレート基+アロファネート基)]のモル比が0.1以上0.9以下であり、かつ、数平均分子量1,000以下のブロックイソシアネートの質量分率が5.0質量%以上50.0質量%以下であり、ブロックポリイソシアネート成分は、熱解離性ブロック剤と結合したイソシアネート基とポリオール中の水酸基とのモル比率(NCO/OH)が0.05/1.0以上1.2/1.0以下である、配合組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックポリイソシアネート成分と、ポリオールとを含有する配合組成物であって、
前記ブロックポリイソシアネート成分は、ジイソシアネート、一種以上のアルコール、および熱解離性ブロック剤との反応物であり、
前記ジイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートから選ばれる一種以上のジイソシアネートであり、 前記ブロックポリイソシアネート成分は、[イソシアヌレート/(イソシアヌレート基+アロファネート基)]のモル比が0.1以上0.9以下であり、かつ、前記ブロックポリイソシアネート成分に含まれる、数平均分子量1,000以下のブロックイソシアネートの質量分率が5.0質量%以上50.0質量%以下であり、
前記ブロックポリイソシアネート成分は、前記熱解離性ブロック剤と結合したイソシアネート基と、ポリオール中の水酸基とのモル比率(NCO/OH)が0.05/1.0以上1.2/1.0以下である、配合組成物。
【請求項2】
前記アルコールは、水酸基数が1.5以上6.0以下であり、数平均分子量が70以上1,000以下である、請求項1に記載の配合組成物。
【請求項3】
前記ブロックポリイソシアネート成分の数平均分子量が900以上3,000以下である、請求項1または2に記載の配合組成物。
【請求項4】
前記熱解離性ブロック剤と結合したイソシアネート基の一分子あたりの平均数が2.8以上6.2以下である、請求項1または2に記載の配合組成物。
【請求項5】
前記ブロックポリイソシアネート成分中のウレタン基/イソシアヌレート基のモル比が0.3以下である、請求項1または2に記載の配合組成物。
【請求項6】
前記熱解離性ブロック剤が、オキシム系化合物、酸アミド系化合物、アミン系化合物、活性メチレン系化合物、及びピラゾール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の配合組成物。
【請求項7】
前記熱解離性ブロック剤がピラゾール系化合物である、請求項1または2に記載の配合組成物。
【請求項8】
前記ポリオールが、フッ素ポリオールを含有し、前記フッ素ポリオールのフッ素含有率が2.0質量%以上50.0質量%以下であり、前記フッ素ポリオール中の水酸基価が30mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である、請求項1または2に記載の配合組成物。
【請求項9】
前記ポリオールが、フッ素ポリオールを10質量%以上含有する、請求項1または2に記載の配合組成物。
【請求項10】
請求項1または2に記載の配合組成物を含む、塗料組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の塗料組成物を硬化させた塗膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配合組成物、塗料組成物、及び塗膜に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネート組成物を硬化剤として用いた2液型ポリウレタン組成物から得られた塗膜は、耐候性や、耐薬品性、耐摩耗性等に優れた性能を示すため、塗料、インキ及び接着剤等として広く使われている。近年は、地球環境問題が高く意識されるようになり、有機溶剤を使用しない、或いは有機溶剤の使用量を減らした2液型ポリウレタン組成物が提案されている。
【0003】
また、ハンドリングを容易とする観点から、主剤と硬化剤とが混和した状態においても、塗料物性が変化しない1液型塗料が望まれている。これらは硬化剤のイソシアネート基をブロック剤により保護し、現場で塗装した後に加熱することで、イソシアネート基の再生と主剤であるポリオールの水酸基との反応により硬化塗膜となる。このようなイソシアネートをブロックポリイソシアネートと呼ぶ。ブロック剤の検討が数多くなされており、例えばフェノールやメチルエチルケトオキシム等が代表的なブロック剤として挙げられる。
しかしながら、その硬化温度は高く、高い焼き付け温度は多くのエネルギーを消費するだけでなく、耐熱性のない材料への塗装が制限される。
【0004】
ブロックポリイソシアネートの硬化温度を低温にするため、いくつか提案されている。
ブロック剤にピラゾール系化合物を使用して低温硬化性を達成している(特許文献1)。また、イソシアネート基官能基数を増加し、ブロックポリイソシアネートの低温硬化性を高めるという技術が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第0159117号公報
【特許文献2】特開平9-255915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に記載のブロックポリイソシアネートを硬化剤として配合、調製した塗料配合物は、組み合わせる主剤によっては相溶性が悪く、形成した塗膜の外観が悪化する場合がある。特にフッ素の含有する主剤と組み合わせる場合においては、硬化剤との分離および白濁、塗装および焼き付けした塗膜の外観不良、さらには焼付後の乾燥性が不足する場合がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、主剤との相溶性と硬化性に優れ、高い架橋密度と耐ブロッキング性、耐溶剤性に優れる硬化膜を製造できる配合組成物、塗料組成物、及び塗膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1]ブロックポリイソシアネート成分と、ポリオールとを含有する配合組成物であって、前記ブロックポリイソシアネート成分は、ジイソシアネート、一種以上のアルコール、および熱解離性ブロック剤との反応物であり、前記ジイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートから選ばれる一種以上のジイソシアネートであり、前記ブロックポリイソシアネート成分は、[イソシアヌレート/(イソシアヌレート基+アロファネート基)]のモル比が0.1以上0.9以下であり、かつ、前記ブロックポリイソシアネート成分に含まれる、数平均分子量1,000以下のブロックイソシアネートの質量分率が5.0質量%以上50.0質量%以下であり、前記ブロックポリイソシアネート成分は、前記熱解離性ブロック剤と結合したイソシアネート基と、ポリオール中の水酸基とのモル比率(NCO/OH)が0.05/1.0以上1.2/1.0以下である、配合組成物。
[2]前記アルコールは、水酸基数が1.5以上6.0以下であり、数平均分子量が70以上1,000以下である、[1]に記載の配合組成物。
[3]前記ブロックポリイソシアネート成分の数平均分子量が900以上3,000以下である、[1]又は[2]に記載の配合組成物。
[4]前記熱解離性ブロック剤と結合したイソシアネート基の一分子あたりの平均数が2.8以上6.2以下である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の配合組成物。
[5]前記ブロックポリイソシアネート成分中のウレタン基/イソシアヌレート基のモル比が0.3以下である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の配合組成物。
[6]前記熱解離性ブロック剤が、オキシム系化合物、酸アミド系化合物、アミン系化合物、活性メチレン系化合物、及びピラゾール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]~[5]のいずれか1つに記載の配合組成物。
[7]前記熱解離性ブロック剤がピラゾール系化合物である、[1]~[6]のいずれか1つに記載の配合組成物。
[8]前記ポリオールが、フッ素ポリオールを含有し、前記フッ素ポリオールのフッ素含有率が2.0質量%以上50.0質量%以下であり、前記フッ素ポリオール中の水酸基価が30mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である、[1]~[7]のいずれか1つに記載の配合組成物。
[9]前記ポリオールが、フッ素ポリオールを10質量%以上含有する、[1]~[8]のいずれか1つに記載の配合組成物。
[10][1]~[9]のいずれか1つに記載の配合組成物を含む、塗料組成物。
[11][10]に記載の塗料組成物を硬化させた塗膜。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、相溶性と硬化性に優れ、高い架橋密度と耐ブロッキング性、耐溶剤性に優れる硬化膜を製造できる配合組成物、塗料組成物、及び塗膜を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<配合組成物>
本実施形態の配合組成物は、ブロックポリイソシアネート成分とポリオールとを含有する。下記に両成分について詳細を述べる。
【0010】
≪ブロックポリイソシアネート成分≫
本実施形態に用いるブロックポリイソシアネート成分は、ジイソシアネート、一種以上のアルコール、および熱解離性ブロック剤との反応物である。
より詳細には、本実施形態の配合組成物に含まれるブロックポリイソシアネート成分は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートから選ばれる一種以上のジイソシアネートと、一種以上のアルコール、及び熱解離性ブロック剤から得られる。
【0011】
(ジイソシアネート)
前記ブロックポリイソシアネート成分の原料としてのジイソシアネートとしては、例えば脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
【0012】
脂肪族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、1,4-ジイソシアナトブタン、1,5-ジイソシアナトペンタン、エチル(2,6-ジイソシアナト)ヘキサノエート、1,6-ジイソシアナトヘキサン(以下、「HDI」と称する場合がある)、1,9-ジイソシアナトノナン、1,12-ジイソシアナトドデカン、2,2,4-又は2,4,4-トリメチル-1、6-ジイソシアナトヘキサン等が挙げられる。
【0013】
脂環族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、1,3-又は1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、「水添XDI」と称する場合がある)、1,3-又は1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、3,5,5-トリメチル1-イソシアナト-3-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、「IPDI」と称する場合がある)、4-4’-ジイソシアナト-ジシクロヘキシルメタン(以下、「水添MDI」と称する場合がある)、2,5-又は2,6-ジイソシアナトメチルノルボルナン等が挙げられる。
【0014】
中でも、ジイソシアネートとしては、耐候性の観点でHDI、IPDI、水添XDI又は水添MDIが好ましく、HDI又はIPDIがより好ましい。
【0015】
これらのジイソシアネートは、単独で、又は、2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0016】
さらに、前記ジイソシアネート以外に、脂肪族トリイソシアネートを含んでもよい。脂肪族トリイソシアネートとしては、例えば、1,3,6-トリイソシアナトヘキサン、1,8-ジイソシアナト-4-イソシアナートメチルオクタン、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナト-ヘキサノエート等が挙げられる。
【0017】
(アルコール)
前記ブロックポリイソシアネート成分の原料としてのアルコールとしては、含有する水酸基数が1.5以上6.0以下であることが好ましい。硬化性と架橋密度に優れる塗膜を得る観点から、アルコールの水酸基数は1.8以上がより好ましく、2.0以上がさらに好ましい。また、主剤との相溶性と、耐溶剤性に優れる塗膜を得る観点から、アルコールの水酸基数は5.0以下がより好ましく、4.0以下がさらに好ましい。
【0018】
さらに、前記アルコールの数平均分子量は、70以上1,000以下であることが好ましい。硬化性と耐ブロッキング性に優れる塗膜を得る観点から、アルコールの数平均分子量は、80以上がより好ましい。また、主剤との相溶性を向上させる観点から、アルコールの数平均分子量は、900以下がより好ましく、800以下がさらに好ましい。
数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
【0019】
前記水酸基数および数平均分子量を満たすアルコールとして、ジオール類、トリオール類、テトラオール類、重合アルコールなどがある。ジオール類としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-2,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-デカンジオール、2,2,4-トリメチルペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオールなどが挙げられ、トリオール類としては、例えばグリセリン、トリメチロールプロパンなどが挙げられ、テトラオール類としては、例えばペンタエリトリトールなどが挙げられる。
【0020】
重合アルコールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。
【0021】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のカルボン酸の群から選ばれた二塩基酸の単独又は混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの群から選ばれた多価アルコールの単独又は混合物との縮合反応によって得られるポリエステルポリオール、及び例えばε-カプロラクトンを多価アルコールを用いて開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等が挙げられる。
【0022】
ポリエーテルポリオールとしては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどの水酸化物、アルコラート、アルキルアミンなどの強塩基性触媒や、金属ポルフィリン、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体などの複合金属シアン化合物錯体などを使用して、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独又は混合物を、多価ヒドロキシ化合物の単独又は混合物にランダムあるいはブロック付加して得られるポリエーテルポリオール類、更にエチレンジアミン類等のポリアミン化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルポリオール類及び、これらポリエーテル類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類等が含まれる。
【0023】
ポリカーボネートジオールとしては、2つのアルコール基と1つのカーボネート基が脱水縮合した構造単位を、繰り返し有する。また、ポリカーボネートジオールは、炭素数2以上20以下の第一のジオールと、炭素数2以上20以下の第二のジオール(以下、単に「2種のジオール」ともいう。)と、カーボネート化合物と、を共重合して得られるものが挙げられる。
【0024】
これらのアルコールは1種類を単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
本実施形態のブロックポリイソシアネート成分中のアルコールの質量分率は、0.01質量%以上20.0質量%以下が好ましい。また、主剤との相溶性と、硬化性、架橋密度、耐ブロッキング性、耐溶剤性に優れる塗膜を得ること両立させる観点から、ブロックポリイソシアネート成分中のアルコールの質量分率は、0.02質量%以上15.0質量%以下がさらに好ましい。
【0026】
(熱解離性ブロック剤)
前記ブロックポリイソシアネート成分は、イソシアネート基の少なくとも一部が熱解離性ブロック剤によってブロックされている。熱解離性ブロック剤とは、活性水素を分子内に1個有する化合物であり、加熱によりイソシアネート基から解離する性質を有する。熱解離性ブロック剤として具体的には、例えば、アルコール系化合物、アルキルフェノール系化合物、フェノール系化合物、活性メチレン系化合物、メルカプタン系化合物、酸アミド系化合物、酸イミド系化合物、イミダゾール系化合物、尿素系化合物、オキシム系化合物、アミン系化合物、イミン系化合物、ピラゾール系化合物等が挙げられる。
【0027】
熱解離性ブロック剤として、より具体的には、例えば、下記の(1)~(13)に示す化合物等が挙げられる。これらのブロック剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
(1)アルコール系化合物:メタノール、エタノール、2-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール。
【0029】
(2)アルキルフェノール系化合物:炭素原子数4以上のアルキル基を置換基として有するモノ又はジアルキルフェノール類。例えば、n-プロピルフェノール、i-プロピルフェノール、n-ブチルフェノール、sec-ブチルフェノール、t-ブチルフェノール、n-ヘキシルフェノール、2-エチルヘキシルフェノール、n-オクチルフェノール、n-ノニルフェノール等のモノアルキルフェノール類;ジ-n-プロピルフェノール、ジイソプロピルフェノール、イソプロピルクレゾール、ジ-n-ブチルフェノール、ジ-t-ブチルフェノール、ジ-sec-ブチルフェノール、ジ-n-オクチルフェノール、ジ-2-エチルヘキシルフェノール、ジ-n-ノニルフェノール等のジアルキルフェノール類。
【0030】
(3)フェノール系化合物:フェノール、クレゾール、エチルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステル。
【0031】
(4)活性メチレン系化合物:マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン。
【0032】
(5)メルカプタン系化合物:ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン。
(6)酸アミド系化合物:アセトアニリド、酢酸アミド、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム。
(7)酸イミド系化合物:コハク酸イミド、マレイン酸イミド。
【0033】
(8)イミダゾール系化合物:イミダゾール、2-メチルイミダゾール。
(9)尿素系化合物:尿素、チオ尿素、エチレン尿素。
【0034】
(10)オキシム系化合物:ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム。
(11)アミン系化合物:ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール、ジ-n-プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、イソプロピルエチルアミン。
【0035】
(12)イミン系化合物:エチレンイミン、ポリエチレンイミン。
(13)ピラゾール系化合物:ピラゾール、3-メチルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール。
【0036】
中でも、熱解離性ブロック剤は、オキシム系化合物、ピラゾール系化合物、活性メチレン系化合物、アミン系化合物及び酸アミド系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、塗液としたときの貯蔵安定性の観点から、ピラゾール系化合物がより好ましい。
【0037】
≪ポリオール≫
本実施形態の配合組成物は、前記ブロックポリイソシアネート成分に含まれるイソシアネート基と、反応性を有する活性水素を分子内に2個以上含むポリオールと混合することにより、本実施形態の配合組成物を構成することができる。これらの構成成分は互いに反応し、架橋塗膜を形成できる。
【0038】
このポリオールの例としては、以下に限定されないが、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、エポキシポリオール、フッ素ポリオールを挙げることができる。
【0039】
アクリルポリオールとしては、以下に限定されないが、例えば、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸-2-ヒドロキシブチル等の活性水素を持つアクリル酸エステル、又はグリセリンのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステル、トリメチロールプロパンのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステルの群から選ばれた単独又は混合物と;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシブチル、メタクリル酸-3-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-4-ヒドロキシブチル等の活性水素を持つメタクリル酸エステル、又はメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-n-ヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステルの群から選ばれた単独又は混合物を用い;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド、及びメタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル等のその他の重合性モノマーの群から選ばれた単独又は混合物の存在下、あるいは非存在下において;重合させて得られるアクリルポリオールが挙げられる。
【0040】
ポリエステルポリオールとしては、以下に限定されないが、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のカルボン酸の群から選ばれた二塩基酸の単独又は混合物と;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの群から選ばれた多価アルコールの単独又は混合物;との縮合反応によって得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。これらのポリエステルポリオールは芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート及びこれらから得られるポリイソシアネートで変性することができる。この場合、特に脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート及びこれらから得られるポリイソシアネートで変性されたポリエステルポリオールが耐候性、耐黄変性などから好ましい。
【0041】
ポリエーテルポリオールとしては、以下に限定されないが、例えば、分子量500以下のポリオールの単独又は混合物に、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどの水酸化物、アルコラート、アルキルアミンなどの強塩基性触媒、金属ポルフィリン、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体などの複合金属シアン化合物錯体などを使用して、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独又は混合物を前記ポリオールにランダムあるいはブロック付加して得られるポリエーテルポリオール、更にエチレンジアミン類等のポリアミン化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルポリオール及び、これらポリエーテルを媒体としてアクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール等が含まれる。
【0042】
ポリオレフィンポリオールとしては、以下に限定されないが、例えば、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレンなどが挙げられる。
【0043】
エポキシポリオールとしては、以下に限定されないが、例えば、ノボラック型、β-メチルエピクロ型、環状オキシラン型、グリシジルエーテル型、グリコールエーテル型、脂肪族不飽和化合物のエポキシ型、エポキシ化脂肪酸エステル型、多価カルボン酸エステル型、アミノグリシジル型、ハロゲン化型、レゾルシン型など及び、これらをアミノ化合物、ポリアミド化合物などで変性した化合物が挙げられる。
【0044】
フッ素ポリオールは分子内にフッ素を含むポリオールであり、以下に限定されないが、例えば、米国特許第4345057号公報、欧州特許第180962号公報などで開示されているフルオロオレフィン、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステルなどの共重合体などが挙げられる。
【0045】
フッ素ポリオールは分子内にフッ素を含む高分子化合物であり、限定はないが、1分子中に2個以上の水酸基を有することが好ましい。例えば、フルオロオレフィンとビニルエーテルとの共重合体、フルオロオレフィンとビニルエステルとの共重合体、フルオロオレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体等が挙げられ、溶剤に溶解可能なものが挙げられる。
【0046】
前記フッ素ポリオールに含まれるフッ素の含有率は2.0質量%以上50質量%以下であることが好ましい。耐ブロッキング性に優れる塗膜を得る観点から、フッ素ポリオールに含まれるフッ素の含有率は5.0質量%以上がより好ましく、10.0質量%以上がさらに好ましい。また主剤との相溶性と硬化性、耐溶剤性に優れる塗膜を得る観点から、フッ素ポリオールに含まれるフッ素の含有率は45質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。
【0047】
フッ素ポリオールは、例えば、米国特許第4345057号公報、欧州特許第180962号公報などで開示されているフッ素ポリオール、AGC社のルミフロンLF100,同LF200、同LF400,同LF600、同800、ダイキン工業社のゼッフルGK-500、同GK-510,同GK-550,同GK-570、同GK-580、セントラル硝子社のセフラルコート703、同705やDIC社のフルオネートK-700、同K-702、同K-704.同K-705,同K-707、同WZQ-660などが使用できる。フッ素含有ポリオールは1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0048】
[フッ素ポリオールの含有量]
これらのフッ素ポリオールのうち、フッ素を10質量%以上含有している材料が、硬化性と耐ブロッキング性の両立の点で好ましい。その場合、フッ素含有率と水酸基価は、前記記載の範囲とすることで、所望の性能を発揮することが可能である。
【0049】
[水酸基価]
本実施形態において、配合組成物の構成成分として使用されるフッ素ポリオールの水酸基価は30~200mgKOH/gであることが好ましく、酸価は0~30mgKOH/gであることが好ましい。これらのポリオールは2種以上を併用してもよい。その中でも、使用されるポリオールの水酸基価は硬化性と架橋密度、耐溶剤性の点で、50~150mgKOH/gであり、かつ、酸価2~20mgKOH/gであることが好ましい。
【0050】
≪ブロックポリイソシアネート成分の構造≫
本実施形態の配合組成物の原料として使うブロックポリイソシアネート成分は、前記熱解離性ブロック剤以外のジイソシアネートと、一種以上のアルコールから得られるポリイソシアネート成分に含まれるイソシアネート基と熱解離性ブロック剤を反応させることにより得られる。
【0051】
上記ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネート成分としては、特に限定されないが、例えば、以下の(a)~(h)に示すポリイソシアネート等が挙げられる。
(a):2つのイソシアネート基を環化二量化して得られるウレトジオン基を有するポリイソシアネート。
(b):3つのイソシアネート基を環化三量化して得られるイソシアヌレート基又はイミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネート。
(c):3つのイソシアネート基と1つの水分子とを反応させて得られるビウレット基を有するポリイソシアネート。
(d):2つのイソシアネート基と1分子の二酸化炭素とを反応させて得られるオキサジアジントリオン基を有するポリイソシアネート。
(e):1つのイソシアネート基と1つの水酸基を反応させて得られるウレタン基を複数有するポリイソシアネート。
(f):2つのイソシアネート基と1つの水酸基とを反応させて得られるアロファネート基を有するポリイソシアネート。
(g):1つのイソシアネート基と1つのカルボキシ基とを反応させて得られるアシル尿素基を有するポリイソシアネート。
(h):1つのイソシアネート基と1つの1級又は2級アミンとを反応させて得られるウレア基を有するポリイソシアネート。
【0052】
中でも、ポリイソシアネート化合物としては、イソシアヌレート基およびアロファネート基を有するものが好ましい。すなわち、これらの官能基のうち1種を有するポリイソシアネート化合物の混合物を含んでもよく、あるいは、これらの官能基のうち、2種以上を有するポリイソシアネート化合物の混合物を含んでもよく、あるいは、上記2種以外の官能基を有するポリイソシアネート化合物を含んでもよい。
【0053】
イソシアヌレート基は、3つのイソシアネート基を環化三量化して得られる官能基であり、下記式(I)で表される構造をいう。
アロファネート基は、アルコールの水酸基とイソシアネート基との反応により形成される官能基であり、下記式(II)で表される構造をいう。
【0054】
ウレトジオン基は、2つのイソシアネート基を環化二量化して得られる官能基であって、下記式(III)で表される構造をいう。
イミノオキサジアジンジオン基は、3つのイソシアネート基を環化三量化して得られる官能基であり、下記式(IV)で表される構造をいう。
【0055】
【0056】
本実施形態に用いるポリイソシアネート化合物において、イソシアヌレート基、アロファネート基、ウレトジオン基、及びイミノオキサジアジンジオン基の合計モル量(100モル%)に対して、イソシアヌレート基のモル比率は、20.0モル%以上90.0モル%以下であることが好ましく、30.0モル%以上80.0モル%以下であることがより好ましい。イソシアヌレート基のモル比率が上記範囲にあることで、得られる塗膜の硬度及び耐水性により優れる。
【0057】
本実施形態のブロックポリイソシアネート成分において、イソシアヌレート基、アロファネート基、ウレトジオン基、及びイミノオキサジアジンジオン基の合計モル量(100モル%)に対して、アロファネート基のモル比率が、10.0モル%以上90.0モル%以下であることが好ましく、15.0モル%以上80.0モル%以下であることがより好ましい。
【0058】
ブロックポリイソシアネート成分は、主剤との相溶性と硬化性、架橋密度の優れる塗膜を得ることを両立する観点から、[イソシアヌレート基/(イソシアヌレート基+アロファネート基)]のモル比が0.1以上0.9以下である。また、前記モル比は、硬化性と架橋密度、耐ブロッキング性に優れる塗膜を得る観点から0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましい。さらに前記モル比は、は主剤との相溶性を向上させる観点から、0.95以下が好ましく、0.90以下がより好ましい。
【0059】
本実施形態に用いるブロックポリイソシアネート成分において、イソシアヌレート基、アロファネート基、ウレトジオン基、及びイミノオキサジアジンジオン基の合計モル量(100モル%)に対して、ウレトジオン基の合計含有量は、主剤との相溶性と硬化性とを両立させる観点から0.1モル%以上10.0モル%以下であることが好ましく、0.2モル%以上5.0モル%以下であることがより好ましい。
【0060】
本実施形態に用いるブロックポリイソシアネート化合物において、イソシアヌレート基、アロファネート基、ウレトジオン基、及びイミノオキサジアジンジオン基の合計モル量(100モル%)に対して、イミノオキサジアジンジオン基のモル比率は、0.05モル%以上3.5モル%以下であることが好ましく、0.08モル%以上3.0モル%以下であることがより好ましい。
【0061】
本実施形態に用いるブロックポリイソシアネート化合物において、前記4種類の結合に加えて、ウレタン基、ウレア基、アシルウレア基、ビウレット基、オキサジアジントリオン基等の結合が含まれていてもよい。そのうち、ウレタン基においては、ウレタン基/イソシアヌレート基のモル比が0.3以下であることが、硬化性と耐ブロッキング性、耐溶剤性の点で好ましい。さらに、前記結合のモル比率は、イソシアヌレート基、アロファネート基、ウレトジオン基、及びイミノオキサジアジンジオン基の合計モル量(100モル%)に加えて0.01モル%以上10.0モル%以下が含まれていることが好ましい。
【0062】
また、これらのブロックポリイソシアネート成分は、単独で、又は、2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0063】
(イソシアネート基の一分子あたりの平均数)
本実施形態に用いるブロックポリイソシアネート成分の前駆体であるポリイソシアネート成分のイソシアネート基の一分子あたりの平均数は、硬化性と架橋密度、耐ブロッキング性に優れる塗膜を得る観点から、2.8以上6.2以下が好ましく、3.0以上6.0以下がより好ましく、4.0以上6.0以下がさらに好ましい。
イソシアネート基の一分子あたりの平均数は、ポリイソシアネート化合物1分子が統計的に有するイソシアネート官能基の数であり、ポリイソシアネート化合物の数平均分子量(Mn)とイソシアネート基含有率(NCO%)とから以下の式を用いて算出することができる。
【0064】
[イソシアネート基の一分子あたりの平均数]=Mn×NCO%/4,200
【0065】
(NCO/OH)
本実施形態のブロックポリイソシアネート成分とポリオールを用いて配合組成物を調製する場合、ブロックポリイソシアネート成分のうち熱解離性ブロック剤と結合したイソシアネート基と、ポリオール中の水酸基とのモル比率(NCO/OH)は、0.05/1.0以上1.2/1.0以下である。この中でも主剤との相溶性と、硬化性、架橋密度、耐ブロッキング性、耐溶剤性に優れる塗膜を得ることを両立させる観点から0.20/1.0以上1.0/1.0以下がさらに好ましく、0.30/1.0以上0.90/1.0以下がさらに好ましい。
【0066】
≪ブロックポリイソシアネート成分の製造方法≫
本実施形態のブロックポリイソシアネート成分は、以下の製造方法1~3により製造できる。
製造方法1:ジイソシアネートと一種以上のアルコールと熱解離ブロック剤とを一括で反応させる方法。
製造方法2:ジイソシアネートと一種以上のアルコールとを原料として反応させることで、前駆体であるポリイソシアネート成分が得られ、このポリイソシアネート成分に熱解離性ブロック剤を反応させて、末端のイソシアネート基を保護させる方法。
製造方法3:あらかじめジイソシアネートと熱解離性ブロック剤を反応させ、そのあとに残留したイソシアネート基と一種以上のアルコールを反応させる方法。
【0067】
上記製造方法1~3のうち、製造しやすさと設計の容易性の点で製造方法2が好ましい。
下記に各結合を含むポリイソシアネート成分の製造方法を示す。
【0068】
≪ポリイソシアネート成分の製造方法≫
(1)イソシアヌレート基を含むポリイソシアネート化合物の製造方法
イソシアヌレート基を含むポリイソシアネートの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、ジイソシアネートを触媒等によりイソシアヌレート化反応を行い、所定の転化率になったときに該反応を停止し、未反応のジイソシアネートを除去する方法が挙げられる。
【0069】
イソシアヌレート化反応に用いられる触媒としては、特に限定されないが、塩基性を示すものが好ましく、具体的には、テトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド及び有機弱酸塩、ヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド及び有機弱酸塩、アルキルカルボン酸のアルカリ金属塩、金属アルコラート、アミノシリル基含有化合物、マンニッヒ塩基類、第3級アミン類とエポキシ化合物との併用、燐系化合物等が挙げられる。
【0070】
テトラアルキルアンモニウムとしては、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。
【0071】
有機弱酸としては、例えば、酢酸、カプリン酸等が挙げられる。ヒドロキシアルキルアンモニウムとしては、例えば、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等が挙げられる。
【0072】
アルキルカルボン酸としては、例えば、酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等が挙げられる。
【0073】
アルカリ金属塩を構成する金属としては、例えば、錫、亜鉛、鉛等が挙げられる。
【0074】
金属アルコラートとしては、例えば、ナトリウムアルコラート、カリウムアルコラート等が挙げられる。
【0075】
アミノシリル基含有化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。
【0076】
燐系化合物としては、例えば、トリブチルホスフィン等が挙げられる。
【0077】
これらの触媒の使用量は、原料である、ジイソシアネート(及び、必要に応じてアルコール)の総質量に対して、10ppm以上1.0%以下が好ましい。また、イソシアヌレート化反応を終了させるために、触媒を中和する酸性物質の添加、熱分解、化学分解等により不活性化してもよい。触媒を中和する酸性物質としては、例えば、リン酸、酸性リン酸エステル等が挙げられる。
【0078】
ポリイソシアネートの収率は、一般的には、10質量%以上70質量%以下となる傾向にあり、35質量%以上60質量%以下が好ましい。より高い収率で得られたポリイソシアネートは、より粘度が高くなる傾向にある。収率は、原料成分の総質量に対する得られたポリイソシアネートの質量の割合から算出できる。
【0079】
イソシアヌレート化反応の反応温度は、特に限定されないが、50℃以上200℃以下であることが好ましく、50℃以上150℃以下であることがより好ましい。反応温度が上記下限値以上であることで、反応がより進み易くなる傾向にあり、反応温度が上記上限値以下であることで、着色を引き起こすような副反応をより抑制することができる傾向にある。
【0080】
イソシアヌレート化反応の終了後には、未反応のジイソシアネートを薄膜蒸発缶、抽出等により除去することが好ましい。ポリイソシアネートは、未反応のジイソシアネートを含んでいた場合であっても、ジイソシアネートの含有量がポリイソシアネートの総質量に対して、3.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。残留未反応ジイソシアネート濃度が上記範囲内であることにより、硬化性がより優れる傾向にある。
【0081】
イソシアヌレート化反応の終了後には、未反応のジイソシアネートを薄膜蒸発缶、抽出等により除去することが好ましい。ポリイソシアネートは、未反応のジイソシアネートを含んでいた場合であっても、ジイソシアネートの含有量がポリイソシアネートの総質量に対して、3.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。残留未反応ジイソシアネート濃度が上記範囲内であることにより、硬化性がより優れる傾向にある。
残留未反応ジイソシアネート濃度は、ガスクロマトグラフィー分析により測定できる。
【0082】
(2)アロファネート基を含むポリイソシアネート化合物の製造方法
アロファネート基を含むポリイソシアネートの製造方法としては、例えば、ジイソシアネートにアルコールを添加し、アロファネート化反応触媒を用いることにより得られる。
【0083】
アロファネート基の形成に用いられるアルコールは、炭素、水素及び酸素のみで形成されるアルコールが好ましい。
前記アルコールとして具体的には、以下に限定されるものではないが、例えば、モノアルコール、ジアルコール等が挙げられる。これらアルコールは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0084】
モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール等が挙げられる。
ジアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチルヘキサンジオール等が挙げられる。
【0085】
アルコールの水酸基のモル量に対するジイソシアネートのイソシアネート基のモル量の比は、10/1以上1000/1以下が好ましく、100/1以上1000/1以下がより好ましい。当該モル比が上記下限値以上であることによって、イソシアネート基の一分子あたりの平均数をより十分に確保することができる。当該モル比が上記上限値以下であることで、表面硬度が優れるという効果がある。
【0086】
アロファネート化反応触媒としては、以下に限定されないが、例えば、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、ジルコニウム、ジルコニル等のアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
錫のアルキルカルボン酸塩(有機錫化合物)としては、例えば、2-エチルヘキサン酸錫、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
鉛のアルキルカルボン酸塩(有機鉛化合物)としては、例えば、2-エチルヘキサン酸鉛等が挙げられる。
亜鉛のアルキルカルボン酸塩(有機亜鉛化合物)としては、例えば、2-エチルヘキサン酸亜鉛等が挙げられる。
ビスマスのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2-エチルヘキサン酸ビスマス等が挙げられる。
ジルコニウムのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2-エチルヘキサン酸ジルコニウム等が挙げられる。
ジルコニルのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2-エチルヘキサン酸ジルコニル等が挙げられる。これら触媒は、1種を単独又は2種以上を併用することができる。
【0087】
また、上記イソシアヌレート化反応触媒もアロファネート化反応触媒となり得る。上記イソシアヌレート化反応触媒を用いて、アロファネート化反応を行なう場合は、イソシアヌレート型ポリイソシアネートも当然のことながら生成する。
中でも、アロファネート化反応触媒として、上記イソシアヌレート化反応触媒を用いて、アロファネート化反応とイソシアヌレート化反応とを行うことが経済的生産上、好ましい。
【0088】
上述したアロファネート化反応触媒の使用量の上限値は、仕込んだジイソシアネートの質量に対して、10000質量ppmが好ましく、1000質量ppmがより好ましく、500質量ppmがさらに好ましい。一方、上述したイソシアヌレート化反応触媒の使用量の下限値は、特別な限定はないが、例えば、10質量ppmであってもよい。
【0089】
また、アロファネート化反応温度の下限値としては、60℃が好ましく、70℃がより好ましく、80℃がさらに好ましく、90℃が特に好ましい。一方、アロファネート化反応温度の上限値としては、160℃が好ましく、155℃がより好ましく、150℃がさらに好ましく、145℃が特に好ましい。
【0090】
すなわち、アロファネート化反応温度としては、60℃以上160℃以下が好ましく、70℃以上155℃以下がより好ましく、80℃以上150℃以下がさらに好ましく、90℃以上145℃以下が特に好ましい。
アロファネート化反応温度が上記下限値以上であることによって、反応速度をより向上させることが可能である。アロファネート化反応温度が上記上限値以下であることによって、ポリイソシアネートの着色等の特性変化をより効果的に抑制できる傾向にある。
【0091】
アロファネート化反応時間の下限値としては、0.2時間が好ましく、0.4時間がより好ましく、0.6時間がさらに好ましく、0.8時間が特に好ましく、1時間が最も好ましい。一方、アロファネート化反応時間の上限値としては、8時間が好ましく、6時間がより好ましく、4時間がさらに好ましく、3時間が特に好ましく、2時間が最も好ましい。
すなわち、アロファネート化反応時間は、0.2時間以上8時間以下が好ましく、0.4時間以上6時間以下がより好ましく、0.6時間以上4時間以下がさらに好ましく、0.8時間以上3時間以下が特に好ましく、1時間以上2時間以下が最も好ましい。
アロファネート化反応時間が上記下限値以上であることにより、ポリイソシアネートをより低粘度とすることができ、一方、上記上限値以下であることにより、ポリイソシアネートの着色等の特性変化をより効果的に抑制できる傾向にある。
【0092】
所望の収率となった時点で、リン酸、パラトルエンスルホン酸メチル等のアロファネート化反応触媒の失活剤を添加してアロファネート化反応を停止する。
【0093】
(3)ウレトジオン基を含むポリイソシアネート化合物の製造方法
ウレトジオン基を含むポリイソシアネートの製造方法としては、ウレトジオン化反応触媒を用いる方法が挙げられる。
【0094】
上記ウレトジオン化反応触媒の具体的な化合物の例としては、以下に限定されないが、第3ホスフィンである、トリ-n-ブチルホスフィン、トリ-n-オクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン;トリス-(ジメチルアミノ)ホスフィン等のトリス(ジアルキルアミノ)ホスフィン;シクロヘキシル-ジ-n-ヘキシルホスフィン等のシクロアルキルホスフィンが挙げられる。
これらの化合物の多くは、同時にイソシアヌレート化反応も促進し、ウレトジオン基含有ポリイソシアネートに加えてイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを生成する。
【0095】
所望の収率となった時点で、リン酸、パラトルエンスルホン酸メチル等のウレトジオン化反応触媒の失活剤を添加してウレトジオン化反応を停止する。
【0096】
上述した触媒を、仕込んだジイソシアネートの質量に対して、好ましくは10質量ppm以上10000質量ppm以下、より好ましくは10質量ppm以上1000質量ppm以下、さらに好ましくは10質量ppm以上500質量ppm以下の量で使用する。
【0097】
ウレトジオン化反応温度を20℃以上120℃以下で行うことが好ましい。反応温度の下限値は、25℃であることがより好ましく、さらに好ましくは30℃であり、よりさらに好ましくは35℃である。また、反応温度の上限値は、110℃であることがより好ましく、さらに好ましくは100℃であり、よりさらに好ましくは90℃である。ウレトジオン化反応温度が上記上限値以下であることにより、着色等の特性変化がより抑制できる傾向にある。
【0098】
また、上記のようなウレトジオン化反応触媒を用いることなく、ジイソシアネートを加熱することによりウレトジオン基を得ることもできる。その加熱温度としては、130℃以上180℃以下が好ましい。加熱温度の下限値としては140℃がより好ましく、さらに好ましくは145℃であり、よりさらに好ましくは150℃であり、さらにより好ましくは155℃である。また、加熱温度の上限値は、170℃がより好ましく、さらに好ましくは165℃であり、よりさらに好ましくは162℃であり、さらにより好ましくは160℃である。
【0099】
また、加熱時間は0.2時間以上8.0時間以下であることが好ましい。加熱時間の下限値は、0.4時間がより好ましく、さらに好ましくは0.6時間であり、よりさらに好ましくは0.8時間であり、さらにより好ましくは1.0時間である。加熱時間の上限値は、6.0時間がより好ましく、さらに好ましくは4.0時間であり、よりさらに好ましくは3.0時間であり、さらにより好ましくは2.0時間である。加熱時間を上記下限値以上とすることで、低粘度化をより発現できることができる傾向にあり、上記上限値以下とすることで、ポリイソシアネート自体の着色をより抑制することができる傾向にある。
【0100】
ウレトジオン化反応触媒を使用せずに、本実施形態のポリイソシアネート組成物を得る場合、加熱のみによるウレトジオン化反応と上述したイソシアヌレート化反応とが終了した後、未反応ジイソシアネートを除去することが、未反応ジイソシアネート濃度の低減、得られたポリイソシアネート組成物の貯蔵後の分子量変化率の低減、及び高温焼付時の黄変性の低減の観点から好ましい。
【0101】
(4)イミノオキサジアジンジオン基を含むポリイソシアネート化合物の製造方法
ジイソシアネートからイミノオキサジアジンジオン基を含有するポリイソシアネートを誘導するための触媒としては、特に限定されないが、例えば一般にイミノオキサジアジンジオン化反応触媒として知られている下記(i)又は(ii)の触媒が使用できる。
【0102】
(i)テトラメチルアンモニウムフルオリド水和物、テトラエチルアンモニウムフルオリド等の、一般式M[Fn]、又は一般式M[Fn(HF)m]で表される(ポリ)フッ化水素(式中、m及びnは、m/n>0の関係を満たす各々整数であり、Mは、n荷電カチオン(混合物)又は合計でn価の1個以上のラジカルを示す。)
(ii)3,3,3-トリフルオロカルボン酸;4,4,4,3,3-ペンタフルオロブタン酸;5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンタン酸;3,3-ジフルオロプロパ-2-エン酸等の一般式R1-CR’2-C(O)O-、又は、一般式R2=CR’-C(O)O-(式中、R1、及びR2は、必要に応じて分岐状、環状、及び/又は不飽和の炭素数1~30のパーフルオロアルキル基を示し、R’は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、及びアリール基からなる群から選択され、必要に応じてヘテロ原子を含有するものを示す。)と、第4級アンモニウムカチオン、又は第4級ホスホニウムカチオンからなる化合物。
【0103】
入手容易性の観点から上記(i)が好ましく、安全性の観点から上記(ii)が好ましい。
上述したイミノオキサジアジンジオン化反応触媒の配合量は、仕込んだジイソシアネートの質量に対して、好ましくは10ppm以上1000ppm以下である。その下限値は、より好ましくは20ppmであり、さらに好ましくは40ppmであり、よりさらに好ましくは80ppmである。
その上限値は、より好ましくは800ppmであり、さらに好ましくは600ppmであり、よりさらに好ましくは500ppm以下である。
【0104】
また、イミノオキサジアジンジオン化反応温度としては、好ましくは40℃以上120℃以下である。
その下限値は、より好ましくは50℃であり、さらに好ましくは55℃である。その上限値は、より好ましくは100℃であり、さらに好ましくは90℃であり、よりさらに好ましくは80℃である。
イミノオキサジアジンジオン化反応温度が40℃以上であることによって、反応速度を高く維持することが可能である傾向にある。イミノオキサジアジンジオン化反応温度が120℃以下であることによって、ポリイソシアネートの着色等を効果的に抑制できる傾向にある。
【0105】
≪ポリイソシアネート化合物の物性≫
前記製造方法にて製造したポリイソシアネート化合物の25℃における粘度は、コーティング組成物の分散性及びポットライフを向上させ、塗膜としたときの外観と耐水性を向上させる観点から、300mPa・s以上50,000mPa・s以下が好ましい。
粘度の下限は形成した塗膜の耐水性、耐候性等を向上させる観点から350mPa・sがより好ましく、450mPa・sがさらに好ましい。一方、粘度の上限は分散性を向上させる観点から、40,000mPa・sがより好ましく、30,000mPa・sがさらに好ましい。
ポリイソシアネート化合物の粘度は、例えば、標準ローター(1°34’×R24)を用いて、E型粘度計(株式会社トキメック社製)により25℃で測定することができる。
【0106】
未反応の脂肪族ジイソシアネートを除いた状態で、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基含有率(NCO%)は、12質量%以上25質量%以下が好ましく、13質量%以上24質量%以下がより好ましく、15質量%以上24質量%以下がさらに好ましい。
イソシアネート基含有率が上記下限値以上であることにより、塗膜としたときの耐水性、及び耐候性がより向上する。一方、上記上限値以下であることにより、コーティング組成物の分散性がより向上する。
ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基含有率(NCO%)は、後述する実施例に記載の滴定法により測定することができる。
【0107】
ポリイソシアネート化合物の数平均分子量は、塗膜の耐溶剤性の観点から、450以上4,000以下が好ましく、500以上3,500以下がより好ましく、550以上3,000以下がさらに好ましい。
数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
【0108】
≪ブロック化反応≫
本実施形態のポリイソシアネート成分と熱解離性ブロック剤との反応工程は、溶剤の存在の有無に関わらず行うことができる。溶剤を用いる場合、イソシアネート基に対して不活性な溶剤を用いることが好ましい。
ブロック化反応に際して、錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、ナトリウムフェノラート、カリウムメチラート等の金属アルコラート、及び三級アミン等を触媒として用いても良い。
また、上記のブロック化反応に用いた触媒の少なくとも一部を下記の酸性化合物等で中和しても良い。中和により、ブロックポリイソシアネート成分の熱安定性が良くなり好ましい。酸性化合物としては、例えば、塩酸、亜燐酸、燐酸等の無機酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等のスルホン酸、燐酸エチル、燐酸ジエチル、燐酸イソプロピル、燐酸ジイソプロピル、燐酸ブチル、燐酸ジブチル、燐酸2-エチルヘキシル、燐酸ジ(2-エチルヘキシル)等の燐酸エステルが挙げられる。なお、酸性化合物は、触媒に対して、0.3~3当量の範囲が好ましく、より好ましくは0.5~2当量、更に好ましくは0.7~1.5当量である。
また、反応温度は、-20℃以上150℃以下が好ましい。また、反応時間は30分間以上48時間以下であることが好ましい。
【0109】
≪ブロックポリイソシアネート成分の物性≫
(有効イソシアネート基(NCO)含有率)
本実施形態で用いるブロックポリイソシアネート成分において、固形分あたりの有効NCO含有率は、特に制限されないが、該ブロックポリイソシアネート成分と前記ポリオールとの相溶性と硬化性がより良好となることから、1質量%以上20質量%以下が好ましく、2質量%以上18質量%以下がより好ましく、3質量%以上16質量%以下がさらに好ましい。なお、有効NCO含有率は、後述する実施例に記載の方法を用いて算出することができる。
【0110】
(数平均分子量)
本実施形態のブロックポリイソシアネートの数平均分子量は、900以上3,000以下が好ましい。硬化性と架橋密度、耐ブロッキング性の優れる塗膜を得る観点から、ブロックポリイソシアネートの数平均分子量は、1,000以上がより好ましく、1,200以上がさらに好ましい。また、主剤との相溶性を向上させる観点から、ブロックポリイソシアネートの数平均分子量は、2,500以下がより好ましく、2,000以下がさらに好ましい。
さらに、ブロックイソシアネート成分に含まれる、数平均分子量1,000以下のブロックイソシアネートの質量分率は、主剤との相溶性と、硬化性、架橋密度に優れる塗膜を得ることを両立する観点から、5.0質量%以上50.0質量%以下であり、好ましくは10.0質量%以上40.0質量%以下である。
数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
【0111】
本実施形態の配合組成物は、前記ブロックポリイソシアネート成分と、ポリオールと、を含むが、前記ポリオール以外の多価活性水素化合物として、例えば、ポリアミン、アルカノールアミン、ポリチオール、及びポリオールを有していてもよい。これらの中でも、ポリオールが好ましい。
【0112】
ポリアミンとしては、特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2-メチルピペラジン、イソホロンジアミン等のジアミン類;ビスヘキサメチレントリアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタメチレンヘキサミン、テトラプロピレンペンタミン等の3個以上のアミノ基を有する鎖状ポリアミン類;1,4,7,10,13,16-ヘキサアザシクロオクタデカン、1,4,7,10-テトラアザシクロデカン、1,4,8,12-テトラアザシクロペンタデカン、1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン等の環状ポリアミン類が挙げられる。
【0113】
アルカノールアミンとしては、特に限定されないが、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、N-(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、モノ-、ジ-(n-またはイソ-)プロパノールアミン、エチレングリコールービスープロピルアミン、ネオペンタノールアミン、及びメチルエタノールアミンが挙げられる。
【0114】
ポリチオールとしては、特に限定されないが、例えば、ビス-(2-ヒドロチオエチロキシ)メタン、ジチオエチレングリコール、ジチオエリトリトール、及びジチオトレイトールが挙げられる。
【0115】
≪その他の硬化剤≫
本実施形態の配合組成物には、前記ブロックポリイソシアネート成分以外に、硬化剤としてメラミン系硬化剤、エポキシ系硬化剤等の他の硬化剤を含んでもよい。メラミン系硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、完全アルキルエーテル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、一部にイミノ基を有するイミノ基型メラミン樹脂が挙げられる。メラミン系硬化剤を併用する場合は、酸性化合物の添加が有効である。酸性化合物の具体例としては、カルボン酸、スルホン酸、酸性リン酸エステル、及び亜リン酸エステルが挙げられる。
【0116】
カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、酢酸、乳酸、コハク酸、シュウ酸、マレイン酸、及びデカンジカルボン酸が挙げられる。スルホン酸としては、特に限定されないが、例えば、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、及びジノニルナフタレンジスルホン酸が挙げられる。酸性リン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジラウリルホスフェート、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、及びモノオクチルホスフェートが挙げられる。亜リン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、ジエチルホスファイト、ジブチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジラウリルホスファイト、モノエチルホスファイト、モノブチルホスファイト、モノオクチルホスファイト、及びモノラウリルホスファイトが挙げられる。
【0117】
エポキシ系硬化剤としは、特に限定されないが、例えば、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン、酸無水物、フェノールノボラック、ポリメルカプタン、脂肪族第三アミン、芳香族第三アミン、イミダゾール化合物、及びルイス酸錯体が挙げられる。
【0118】
≪その他の成分≫
本実施形態の配合組成物は、上記ブロックポリイソシアネート成分及び上記ポリオールに加えて、目的及び用途に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、溶剤、着色顔料、染料、塗膜の付着性向上のためのシランカップリング剤、紫外線吸収剤、硬化促進剤、光安定剤、つや消し剤、塗膜表面親水化剤、硬化促進用の触媒、乾燥性改良剤、レベリング剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤等の当該技術分野で使用されている各種添加剤を含んでもよい。
溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素系溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、芳香族系溶剤、グリコール系溶剤、エーテル系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、ピロリドン系溶剤、アミド系溶剤、スルホキシド系溶剤、ラクトン系溶剤、アミン系溶剤等が挙げられる。
【0119】
脂肪族炭化水素系溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等が挙げられる。
【0120】
脂環式炭化水素系溶剤としては、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。
【0121】
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ダイアセトンアルコール等が挙げられる。
【0122】
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。
【0123】
芳香族系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、メシチレン、アニソール、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、クロロベンゼン等が挙げられる。
【0124】
グリコール系溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、イソブタノール、ブチルグリコール、N-メチルピロリドン、ブチルジグリコール、ブチルジグリコールアセテート、エーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリーコルジエチルエーテル、エチレングレコールジ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールメチルイソプロピルエーテル、エチレングリコールメチル-n-ブチルエーテル、エチレングリコールエチル-n-プロピルエーテル、エチレングリコールエチルイソプロピルエーテル、エチレングリコールエチル-n-ブチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピル-n-ブチルエーテル、エチレングリコールイソプロピル-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチル-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールエチル-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコール-n-プロピル-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピル-n-ブチルエーテル、プロピレングリコール系であるプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリーコルジエチルエーテル、プロピレングレコールジ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールジ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールメチルイソプロピルエーテル、プロピレングリコールメチル-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールエチル-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールエチルイソプロピルエーテル、プロピレングリコールエチル-n-ブチルエーテル、プロピレングリコール-n-プロピル-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピル-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチル-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールエチル-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールエチル-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコール-n-プロピル-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールイソプロピル-n-ブチルエーテル、などが挙げられる。
【0125】
エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
【0126】
ハロゲン化炭化水素系溶剤としては、例えば、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム等が挙げられる。
【0127】
ピロリドン系溶剤としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。
【0128】
アミド系溶剤としては、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられる。スルホキシド系溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。ラクトン系溶剤としては、例えば、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。アミン系溶剤としては、例えば、モルフォリン等が挙げられる。
【0129】
本実施形態の配合組成物で使用する溶剤の沸点は、70℃以上250℃以下が好ましい。沸点が低いと、硬化性と耐ブロッキング性が高い傾向がある。また、沸点が高いと、塗膜外観が良い塗膜が形成される傾向にある。
【0130】
着色顔料としては、無機顔料であってもよく、有機顔料であってもよい。無機顔料としては、例えば、耐候性のよいカーボンブラック、酸化チタン等が挙げられる。有機顔料としては、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンレッド、インダンスレンオレンジ、イソインドリノン系イエロー等が挙げられる。
【0131】
シランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0132】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤が挙げられる。
【0133】
光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられ、具体的な市販品として、例えば、アデカスタブLA62、アデカスタブLA67(商品名、全てアデカアーガス化学社製)、チヌビン292、チヌビン144、チヌビン123、チヌビン440(商品名、全てチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、サノールLS765(商品名、三共ライフテック株式会社製)等が挙げられる。
【0134】
つや消し剤としては、例えば、超微粉合成シリカ等が挙げられ、つや消し剤を使用した場合、優雅な半光沢、つや消し仕上げの塗膜を形成できる。
【0135】
塗膜表面親水化剤としては、シリケート化合物が好ましい。シリケート化合物を含有することによって、本実施形態の塗料組成物を用いて塗膜を作製した場合に、塗膜表面を親水性にし、耐雨筋汚染性が発現する。シリケート化合物は、水酸基と反応するため、予め混合する場合には、硬化剤成分であるポリイソシアネート組成物に添加するのが好ましい。あるいは、主剤成分であるポリオール及び硬化剤成分であるポリイソシアネート組成物を混合する際に、同時に混合してもよい。
シリケート化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ-tert-ブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、テトラフェノキシシラン、及びこれらの縮合物等が挙げられる。中でも、シリケート化合物としては、塗膜を作製した場合、塗膜表面が親水性になり易いことから、テトラメトキシシランの縮合物又はテトラエトキシシランの縮合物が好ましい。
【0136】
硬化促進用の触媒としては、以下に限定されないが、例えば、金属塩、3級アミン類等が挙げられる。
金属塩としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、2-エチルヘキサン酸スズ、2-エチルヘキサン酸亜鉛、コバルト塩等が挙げられる。
3級アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’-エンドエチレンピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン等が挙げられる。
【0137】
乾燥性改良剤としては、CAB(セルロースアセテートブトレート)、NC(ニトロセルロース)等が挙げられる。
【0138】
レベリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン、エアロジル、ワックス、ステアリン酸塩、ポリシロキサン等が挙げられる。
【0139】
可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、フタル酸エステル類、燐酸エステル類、脂肪酸エステル類、ピロメリット酸エステル、エポキシ系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤、液状ゴム、非芳香族系パラフィンオイル等が挙げられる。
フタル酸エステル類としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジイソノニルフタレート等が挙げられる。
燐酸エステル類としては、例えば、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ-2-エチルヘキシルホスフェート、トリメチルヘキシルホスフェート、トリス-クロロエチルホスフェート、トリス-ジクロロプロピルホスフェート等が挙げられる。
脂肪酸エステル類としては、例えば、トリメリット酸エステル類、ジペンタエリスリトールエステル類、ジオクチルアジペート、ジメチルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルアゼレート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシノケート等が挙げられる。トリメリット酸エステル類としては、例えば、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸イソデシルエステル等が挙げられる。
ピロメリット酸エステルとしては、例えば、ピロメリット酸オクチルエステル等が挙げられる。
エポキシ系可塑剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル等が挙げられる。
ポリエーテル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸エーテルエステル、ポリエーテル等が挙げられる。
液状ゴムとしては、例えば、液状NBR、液状アクリルゴム、液状ポリブタジエン等が挙げられる。
【0140】
界面活性剤としては、例えば、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0141】
<塗料組成物>
本発明の一態様は、前記本実施形態の配合組成物を含む塗料組成物である。
【0142】
<塗膜>
本実施形態の塗膜は、上述の塗料組成物を硬化した硬化物である。
【0143】
物品上に塗膜を形成する場合、上述の配合組成物を、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等の公知の方法を用いて物品上に塗装し、常温乾燥又は焼付け工程を経て、硬化すればよい。
【0144】
物品は、所望の基材と、場合により、コーティング前に通常のプライマーと、を備えてもよい。
前記基材としては、例えば、金属、木材、ガラス、石、セラミック材料、コンクリート、硬質及び可撓性プラスチック、繊維製品、皮革製品、紙等が挙げられる。
【実施例0145】
以下、本発明を実施例および比較例を挙げてより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例における、ポリイソシアネート組成物の物性及び評価は、以下のとおり測定した。なお、特に明記しない場合は、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0146】
<測定方法>
[物性1:粘度]
粘度はE型粘度計(株式会社トキメック社製)により25℃で測定した。標準ローター(1°34’×R24)を用いた。回転数は、以下のとおりである。
【0147】
(回転数)
100r.p.m. (128mPa・s未満の場合)
50r.p.m. (128mPa・s以上256mPa・s未満の場合)
20r.p.m. (256mPa・s以上640mPa・s未満の場合)
10r.p.m. (640mPa・s以上1,280mPa・s未満の場合)
5r.p.m. (1,280mPa・s以上2,560mPa・s未満の場合)
2.5r.p.m. (2,560mPa・s以上5,120mPa・s未満の場合)
【0148】
[物性2:イソシアネート基含有率(NCO%)]
合成例で得られたポリイソシアネート化合物、並びに、実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物を試料として、イソシアネート基含有率の測定は、JIS K7301-1995(熱硬化性ウレタンエラストマー用トリレンジイソシアネート型プレポリマー試験方法)に記載の方法に従って実施した。以下に、より具体的なイソシアネート基含有率(NCO%)の測定方法を示す。
【0149】
(1)試料1g(Wg)を200mL三角フラスコに採取し、該フラスコにトルエン20mLを添加し、試料を溶解させた。
(2)その後、上記フラスコに2.0Nのジ-n-ブチルアミン・トルエン溶液20mLを添加し、15分間静置した。
(3)上記フラスコに2-プロパノール70mLを添加し、溶解させて溶液を得た。
(4)上記(3)で得られた溶液について、1mol/L塩酸を用いて滴定を行い、試料滴定量(V1mL)を求めた。
(5)試料を添加しない場合にも、上記(1)~(3)と同様の方法で測定を実施し、ブランク滴定量(V0mL)を求めた。
【0150】
上記で求めた試料滴定量及びブランク滴定量から、イソシアネート基含有率(NCO%)を以下に示す式を用いて、算出した。
【0151】
イソシアネート基含有率(質量%)=(V0-V1)×42/[W(1g)×1000]×100
【0152】
[物性3:ブロックイソシアネート基含有率(有効NCO含有率)]
得られたブロックポリイソシアネート組成物の有効NCO含有率は、次のように求めた。ここでいう有効NCO含有率(質量%)とは、ブロック化反応後のブロックポリイソシアネート成分中に存在する架橋反応に関与しうるブロックイソシアネート基量を定量化するものであり、イソシアネート基の質量%として表される。以下に示す式により、有効NCO含有率を算出した。なお、以下に示す式において、「S」はブロックポリイソシアネート成分の不揮発分(質量%)を表す。「W1」は反応に使用したポリイソシアネートの質量(g)を表す。「A」はポリイソシアネートのイソシアネート基含有率(質量%)を表す。「W2」はブロック化反応後のブロックポリイソシアネートの質量(g)を表す。
【0153】
有効NCO含有率(質量%)={S×(W1×A)}/W2
【0154】
[物性4:数平均分子量]
数平均分子量は下記の装置を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定によるポリスチレン基準の数平均分子量である。GPC測定の具体的な測定条件は、以下のとおりとした。
【0155】
装置:東ソー(株)製、HLC-802A
カラム:東ソー(株)製、G1000HXL×1本、G2000HXL×1本、G3000HXL×1本
キャリア:テトラヒドロフラン
検出方法:示差屈折計
[物性5:数平均分子量1,000以下の質量分率]
物性4と同様の方法にて、ポリスチレン基準の数平均分子量を測定した。検出されたGPCスペクトルの全体の面積から、数平均分子量が1,000以下に該当する部分の面積を質量分率として算出した。
【0156】
[物性6:イソシアヌレート基/(イソシアヌレート基+アロファネート基)のモル比]
得られたブロックポリイソシアネート組成物のイソシアヌレート基とアロファネート基の比は、1H-NMRにより求めた具体的な測定条件は、以下のとおりとした。
NMR装置:Bruker Biospin Avance600(商品名)
観測核:1H
周波数:600MHz
溶媒:CDCl3
シフト基準:TMS(0ppm)
3.85ppm付近のイソシアヌレート基に隣接するHDI由来のメチレン基の水素原子のシグナルの面積(2H分)と、8.50ppm付近のアロファネート結合の窒素に結合した水素原子のシグナルの面積(1H)の比を測定、算出して求めた。
イソシアヌレート基/(イソシアネート基+アロファネート基)=(3.85ppm付近のシグナル面積/6)/(3.85ppm付近のシグナル面積/6 + 8.50ppm付近のシグナル面積)
【0157】
[物性7:ウレタン基/イソシアヌレート基のモル比]
得られたブロックポリイソシアネート組成物のウレタン基とイソシアヌレート基のモル比は、13C-NMRの測定により求めた。具体的な測定条件は、以下のとおりとした。
13C-NMR装置:AVANCE600(ブルカー社製)
クライオプローブ(ブルカー社製)
CryoProbe(登録商標)
CPDUL
600S3-C/H-D-05Z
共鳴周波数:150MHz
濃度:60wt/vol%
溶媒、シフト基準:CDCl3(77ppm)
積算回数:10000回
パルスプログラム:zgpg30(プロトン完全デカップリング法、待ち時間2sec)
ウレタン基/イソシアヌレート基={(156~157ppm付近の積分値)-(154ppm付近の積分値)}/(148.6ppm付近の積分値)
【0158】
[物性8:イソシアネート基の一分子あたりの平均数]
ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基の一分子あたりの平均数は、上述のとおり測定されるポリイソシアネート組成物の数平均分子量(Mn)及び後イソシアネート基含有率(NCO%)の値に基づき、次式から算出した。
[イソシアネート基の一分子あたりの平均数]=Mn×NCO%/4,200
【0159】
[物性9:ポリオールの水酸基価]
ポリオールを試料として、ポリオールの水酸基価は、JIS K 0070:1992に従い求めた。具体的には、無水酢酸12.5gをピリジン50mLでメスアップしアセチル化試薬を調製した。次に、100mLナスフラスコに、ポリオールを2.5~5.0g精秤した。ナスフラスコに、アセチル化試薬5mLとトルエン10mLをホールピペットで添加後、冷却管を取り付けて、100℃で1hr撹拌加熱した。蒸留水2.5mLをホールピペットで添加し、さらに10min加熱撹拌した。2~3分冷却後、エタノールを12.5mL添加し、指示薬としてフェノールフタレインを2~3滴入れた後に、0.5mol/Lエタノール性水酸化カリウムで滴定した。
一方で、空試験として、アセチル化試薬5mL、トルエン10mL、蒸留水2.5mLを100mLナスフラスコに入れ、10分間加熱撹拌した後、同様に滴定を行った。この結果をもとに、下記式(4)で水酸基価を計算した。
OH価(mg-KOH/g)={(b-a)×28.05×f}/e ・・・(4)
式(4)中、aは、サンプルの滴定量(mL)を表し、bは、空試験の滴定量(mL)を表し、eは、サンプル質量(g)を表し、fは、滴定液のファクターを表す。
[物性10:フッ素含有率]
フッ素含有率は、サンプルを酸素存在下で燃焼させ、発生したフッ化水素を水にて捕捉した。この水溶液をイオンクロマトグラフにて測定し、サンプル中のフッ素含有率を算出し、フッ素含有率とした。
【0160】
<調整方法>
[調製例1]
合成例で得られたブロックポリイソシアネート成分とフッ素ポリオール(製品名:ゼッフル GK-570、ダイキン工業社製、固形分:65質量%、水酸基価:63mgKOH/g、フッ素化率:26%)とをNCO/OHが1.00になるよう量り取った。さらに酢酸ブチルを、固形分が50質量%になるよう添加し、プロペラ羽根を用いて600rpmで10分間撹拌し、配合組成物とした。
【0161】
[調製例2]
合成例で得られたブロックポリイソシアネート成分とフッ素ポリオール(製品名:ゼッフル GK-570、ダイキン工業社製、固形分:65質量%、水酸基価:63mgKOH/g、フッ素化率:26%)とアクリルポリオール(製品名:Setalux 1152 SS-60、Allnex社製、固形分:60質量%、樹脂成分の水酸基価:138.6mgKOH/g、フッ素化率:0%)をNCO/OHが1.00になるよう量り取った。さらに酢酸ブチルを、固形分が50質量%になるよう添加し、プロペラ羽根を用いて600rpmで10分間撹拌し、配合組成物とした。
【0162】
[調製例3]
合成例で得られたブロックポリイソシアネート成分とフッ素ポリオール(製品名:ゼッフル GK-570、ダイキン工業社製、固形分:65質量%、水酸基価:63mgKOH/g、フッ素化率:26%)とをNCO/OHが0.75になるよう量り取った。さらに酢酸ブチルを、固形分が50質量%になるよう添加し、プロペラ羽根を用いて600rpmで10分間撹拌し、配合組成物とした。
【0163】
[調製例4]
合成例で得られたブロックポリイソシアネート成分とフッ素ポリオール(製品名:ゼッフル GK-570、ダイキン工業社製、固形分:65質量%、水酸基価:63mgKOH/g、フッ素化率:26%)とをNCO/OHが0.50になるよう量り取った。さらに酢酸ブチルを、固形分が50質量%になるよう添加し、プロペラ羽根を用いて600rpmで10分間撹拌し、配合組成物とした。
【0164】
[調製例5]
溶剤を、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DPDM)とした以外は、調製例1と同じ方法にて調製し、配合組成物とした。
【0165】
[調製例6]
溶剤を、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)とした以外は、調製例1と同じ方法にて調製し、配合組成物とした。
【0166】
<評価方法>
[評価1:ポリオールとの相溶性]
調製例にて調製した配合組成物の外観を目視にて観察し、評価した。また、乾燥後膜厚として15μmになるよう塗装し、120℃、15分焼付後に23℃まで放冷した後、外観を目視にて観察し、評価した。
【0167】
(評価基準)
配合組成物における相溶性
○:塗料の白濁なし
△:塗料が均一かつ白濁
×:塗料が分離
塗膜における相溶性
○:塗膜の白濁なし
△:塗膜が均一に白濁
×:塗膜が不均一
【0168】
[評価2:硬化性]
調製例にて調製した配合組成物を用いて、PP製板に乾燥膜厚が40μmになるよう塗装し、120℃、20分焼き付けた。乾燥後に塗膜を剥離して、その質量を測定した。この塗膜(フィルム)を23℃で24時間アセトンに浸漬した。この塗膜を105℃で、60分間乾燥した後、その質量を測定した。浸漬前の質量に対する、浸漬後の質量の割合(ゲル分率:%)にて硬化性を評価した。
【0169】
(評価基準)
○:ゲル分率80%以上
△:ゲル分率50%以上80%未満
×:ゲル分率50%未満
【0170】
[評価3:架橋密度]
剛体振り子型粘弾性測定器(株式会社エー・アンド・デイ社製RPT-3000W)を用い、振り子FRB-100、エッジRBE160で塗膜硬化過程における、周期を測定した。塗膜は乾燥膜厚が30μmになるよう、SUS板に塗装して作製した。10℃/分で140℃まで昇温し、140℃で40分焼き付けながら、周期を測定し、塗膜架橋度を周期の低下率で表した。周期の低下率は、(硬化前の周期-硬化後の周期)/硬化前の周期として、%で表される。周期の低下率が大きいほど架橋度が高く、硬化性が良好となる。
【0171】
(評価基準)
○:周期低下率60%以上
△:周期低下率50%以上60%未満
×:周期低下率50%未満
【0172】
[評価4:耐ブロッキング性]
耐ブロッキング性は、JIS K5600-3-5に準じた方法にて評価した。
乾燥膜厚15μmとなるよう塗装した50μm厚のPETフィルムを110℃、10分間焼き付けした後、23℃、24時間静置、放冷した。この塗装フィルムを40mm×40mmに切断し、得られた2枚のうち塗装面と非塗装面を重ねて、平滑な底面を有する40mm直径の分銅(500g)をのせた。40℃/60%のオーブンに入れて、72時間後に23℃、24時間静置、放冷した後、重ねた塗装フィルムを剥離して、残り跡を目視観察して耐ブロッキング性を評価した。
【0173】
(評価基準)
○:塗膜の残り跡なし
△:塗膜が非塗装面に30%未満残留する
×:塗膜が非塗装面に30%以上残留する
【0174】
[評価5:耐溶剤性]
ガラス板上に乾燥膜厚40μmになるよう塗装し、140℃、30分間焼き付けた後、23℃、24時間静置、放冷した。この塗膜にキシレンを直径1cmでスポットし、その上にカバーガラスをかぶせて23℃、30分間放置した。その後キシレンをふき取り、塗膜の外観変化を目視観察して、耐溶剤性の評価を行った。
【0175】
(評価基準)
○:ほぼ劣化が見られないもの
△:一部、ラビング部に筋が見られたもの
×:傷又はラビング部で薄膜化が見られた、または溶解したもの
【0176】
<合成例1-1>
(ポリイソシアネート成分P-1の合成)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、及び滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI1000gを仕込み、ポリプロピレングリコール(商品名:サンニックスPP-400、数平均分子量:400、水酸基数:2、三洋化成工業株式会社製)85.0gを仕込み、撹拌下反応器内温度を100℃に保持し、ウレタン化反応を進行させた。その後、イソシアヌレート化反応触媒であるテトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が60%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネート成分P-1を得た。得られたポリイソシアネート成分P-1の25℃における粘度は8,000mPa・s、イソシアネート基含有率は16.7質量%であった。
【0177】
<合成例1-2>
(ポリイソシアネート成分P-2の合成)
合成例1-1と同様の反応容器に、HDI 600g、ポリカプロラクトン系ポリエステルトリオール(商品名:プラクセル303、 、数平均分子量:300、水酸基数:3、株式会社ダイセル製)60gを仕込み、撹拌下反応器内温度を90℃で1時間保持し前反応を行った。その後反応器内温度を80℃に保持し、イソシアヌレート化反応触媒である、テトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が48%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネート成分P-2を得た。得られたポリイソシアネート成分P-2の25℃における粘度は20,000mPa・s、イソシアネート基含有率は18.3質量%であった。
【0178】
<合成例1-3>
(ポリイソシアネート成分P-3の合成)
合成例1-1と同様の反応容器に、HDI 600g、1,3-ブタンジオール(1,3-BG)24gを仕込み、撹拌下反応器内温度を90℃1時間保持しウレタン化反応を行った。その後反応器内温度を80℃に保持し、イソシアヌレート化触媒であるテトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が55%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネートP-3を得た。得られたポリイソシアネート成分P-3の25℃における粘度は14,000mPa・s、イソシアネート基含有率は19.1質量%であった。
【0179】
<合成例1-4>
(ポリイソシアネート成分P-4の合成)
合成例1-1と同様の反応容器に、HDI 600g、1,3-ブタンジオール(1,3-BG)10.8gを仕込み、撹拌下反応器内温度を90℃1時間保持しウレタン化反応を行った。その後反応器内温度を80℃に保持し、イソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエート0.03部を加え、収率が55%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネート成分P-4を得た。得られたポリイソシアネート成分P-4の25℃における粘度は20,400mPa・s、イソシアネート基含有率は19.3質量%であった。
【0180】
<合成例1-5>
(ポリイソシアネート成分P-5の合成)
合成例1-1と同様の反応容器に、HDI 600g、1,3-ブタンジオール(1,3-BG)14gを仕込み、撹拌下反応器内温度を90℃1時間保持しウレタン化反応を行った。その後反応器内温度を80℃に保持し、イソシアヌレート化触媒であるテトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が37%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネートP-5を得た。得られたポリイソシアネート成分P-5の25℃における粘度は2,100mPa・s、イソシアネート基含有率は21.4質量%であった。
【0181】
<合成例2-1~5>
(ブロックポリイソシアネート成分B-1~5の合成)
合成例1-1と同様の反応容器に、合成例1-1~5にて合成したポリイソシアネート成分P-1~5をそれぞれ80℃に保温し、3,5-ジメチルピラゾール(3,5-DMP)を、各ポリイソシアネート成分のイソシアネートに対し、1.05倍モルになるよう添加し、30分撹拌した。赤外スペクトルでイソシアネート基の特性吸収がなくなったことを確認し、酢酸ブチルを、固形分70質量%になるよう添加、撹拌し、ブロックポリイソシアネート成分B-1~5を得た。得られたブロックポリイソシアネート成分B-1~5の物性を表1に示す。
【0182】
<合成例2-6、7>
3,5-ジメチルピラゾール(3,5-DMP)を、ポリイソシアネート成分P-2およびP-3のイソシアネートに対し、0.70倍モルになるよう添加した以外は、合成例2-1と同様の方法にて合成し、ブロックポリイソシアネート成分B-6、7を得た。得られたブロックポリイソシアネート成分B-6、7の物性を表1に示す。
【0183】
<実施例1~6>
合成例1-1~4、6、7にて合成したブロックポリイソシアネート成分B-1~4、6、7を用いて、調製例1に記載の配合にて塗料組成物を調製した。この塗料組成物を、評価1~5の方法にて評価を行った。結果を表1に示す。
【0184】
<実施例7~9>
合成例1~3にて合成したブロックポリイソシアネート成分B-1~3を用いて、調製例2に記載の配合にて塗料組成物を調製した。この塗料組成物を、評価1~5の方法にて評価を行った。結果を表1に示す。
【0185】
<実施例10~12>
合成例1~3にて合成したブロックポリイソシアネート成分B-1~3を用いて、調製例3に記載の配合にて塗料組成物を調製した。この塗料組成物を、評価1~5の方法にて評価を行った。結果を表1に示す。
【0186】
<実施例13~15>
合成例1~3にて合成したブロックポリイソシアネート成分B-1~3を用いて、調製例4に記載の配合にて塗料組成物を調製した。この塗料組成物を、評価1~5の方法にて評価を行った。結果を表1に示す。
【0187】
<実施例16>
合成例2にて合成したブロックポリイソシアネート成分B-1~3を用いて、調製例5に記載の配合にて塗料組成物を調製した。この塗料組成物を、評価1~5の方法にて評価を行った。結果を表1に示す。
【0188】
<実施例17~19>
合成例1~3にて合成したブロックポリイソシアネート成分B-1~3を用いて、調製例6に記載の配合にて塗料組成物を調製した。この塗料組成物を、評価1~5の方法にて評価を行った。結果を表1に示す。
【0189】
<比較例1~3>
合成例5にて合成したブロックポリイソシアネート成分B-5を用いて、調製例1~3に記載の配合にて塗料組成物を調製した。この塗料組成物を、評価1~5の方法にて評価を行った。結果を表1に示す。
【0190】
【0191】
【0192】
本実施形態の配合組成物または塗料組成物は、ブロックポリイソシアネート成分と、ポリオールとの相溶性、並びに、この配合組成物を用いて塗膜にした時の硬化性、さらに硬化した塗膜の高い架橋密度と耐ブロッキング性、耐溶剤性に優れる物品を与えることが可能である。