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特開2024-162154データ収集指示装置、データ収集指示方法及びデータ収集指示用コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162154
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】データ収集指示装置、データ収集指示方法及びデータ収集指示用コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241114BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/09 F
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077434
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】521042770
【氏名又は名称】ウーブン・バイ・トヨタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】北村 竜義
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181MC18
5H181MC22
(57)【要約】
【課題】プローブデータ収集に要する通信量の増大を抑制しつつ、地図情報の更新のために必要となるプローブデータを適切に収集することができるデータ収集指示装置を提供する。
【解決手段】データ収集指示装置は、複数の車両2のそれぞれの走行履歴を記憶する記憶部(52、53)と、複数の車両2のそれぞれの走行履歴に基づいて、複数の車両2のうち、地図情報の更新対象領域の走行に関する所定の条件を満たす1以上の車両を選択する選択部61と、選択した1以上の車両に対して、通信部51を介して、更新対象領域について所定の地物を表すプローブデータの収集を指示し、複数の車両2のうち、選択した1以上の車両以外の車両に対して、通信部51を介して、所定の道路区間についてプローブデータの収集を指示する通知処理部63と、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両のそれぞれの走行履歴を記憶する記憶部と、
前記複数の車両のそれぞれの前記走行履歴に基づいて、前記複数の車両のうち、地図情報の更新対象領域の走行に関する所定の条件を満たす1以上の車両を選択する選択部と、
前記選択した1以上の車両に対して、通信部を介して、前記更新対象領域について所定の地物を表すプローブデータの収集を指示し、前記複数の車両のうち、前記選択した1以上の車両以外の車両に対して、前記通信部を介して、所定の道路区間について前記プローブデータの収集を指示する通知処理部と、
を有するデータ収集指示装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記複数の車両のそれぞれの前記走行履歴を参照して、前記複数の車両のうち、直近の所定期間において前記更新対象領域に含まれる複数の道路区間のうち実際に走行した道路区間が占める走行カバー率が高い方から順に1以上の車両を選択する、請求項1に記載のデータ収集指示装置。
【請求項3】
前記更新対象領域に含まれる複数の道路区間のそれぞれに対して重要度が設定され、
前記選択部は、前記複数の車両のそれぞれについて、前記複数の道路区間のそれぞれの前記重要度の合計に対する、当該車両が前記直近の所定期間において前記複数の道路区間のうち実際に走行した道路区間の前記重要度の合計の比を、当該車両についての前記走行カバー率として算出する、請求項2に記載のデータ収集指示装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記複数の車両のそれぞれの前記走行履歴を参照して、前記複数の車両のうち、直近の所定期間における総走行時間に対する所定の時間帯または所定の曜日において前記更新対象領域を走行している時間の比率が高い方から順に1以上の車両を選択する、請求項1に記載のデータ収集指示装置。
【請求項5】
記憶部に記憶された複数の車両のそれぞれの走行履歴に基づいて、前記複数の車両のうち、地図情報の更新対象領域の走行に関する所定の条件を満たす1以上の車両を選択し、
前記選択した1以上の車両に対して、通信部を介して、前記更新対象領域について所定の地物を表すプローブデータの収集を指示し、
前記複数の車両のうち、前記選択した1以上の車両以外の車両に対して、前記通信部を介して、所定の道路区間についてプローブデータの収集を指示する、
ことを含むデータ収集指示方法。
【請求項6】
記憶部に記憶された複数の車両のそれぞれの走行履歴に基づいて、前記複数の車両のうち、地図情報の更新対象領域の走行に関する所定の条件を満たす1以上の車両を選択し、
前記選択した1以上の車両に対して、通信部を介して、前記更新対象領域について所定の地物を表すプローブデータの収集を指示し、
前記複数の車両のうち、前記選択した1以上の車両以外の車両に対して、前記通信部を介して、所定の道路区間についてプローブデータの収集を指示する、
ことをコンピュータに実行させるデータ収集指示用コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図を更新するために用いられるデータの収集を指示するデータ収集指示装置、データ収集指示方法及びデータ収集指示用コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の自動運転システムが車両を自動運転制御するために参照する高精度地図には、道路に関する情報を正確に表していることが求められる。そこで、所定の領域を実際に走行した車両から、その車両に搭載されたセンサにより得られた、その所定の領域内の道路または道路の周囲の地物を表すデータ(以下、プローブデータと呼ぶ)が収集される。特に、新規道路に関する情報を収集する技術が提案されている(特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に開示された技術では、プローブカーである車両がナビゲーション装置の備えるナビ地図データに含まれない道路を走行する際の走行履歴情報をプローブデータとして地図配信センタに送信する。一方、各車両のナビゲーション装置から走行履歴情報を受信した地図配信センタは、受信したデータを収集して、車両が新規道路を走行していないと予測される走行履歴情報を除外して対象データを絞り込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-164831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、一定期間における交通量は道路区間ごとに異なるものとなる。そのため、道路区間によっては、収集されるプローブデータの数が不十分となるおそれがある。また、何れの道路区間についても収集されるプローブデータの数が十分となるように、プローブデータの収集期間を長くし、あるいは、プローブデータの収集予定数を増やすと、道路区間によっては過剰な数のプローブデータがサーバへ送信されることになる。その結果として、車両とサーバ間の通信量が過度に増大することになる。
【0006】
そこで、本発明は、プローブデータ収集に要する通信量の増大を抑制しつつ、地図情報の更新のために必要となるプローブデータを適切に収集することができるデータ収集指示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの実施形態によれば、データ収集指示装置が提供される。このデータ収集指示装置は、複数の車両のそれぞれの走行履歴を記憶する記憶部と、複数の車両のそれぞれの走行履歴に基づいて、複数の車両のうち、地図情報の更新対象領域の走行に関する所定の条件を満たす1以上の車両を選択する選択部と、選択した1以上の車両に対して、通信部を介して、更新対象領域について所定の地物を表すプローブデータの収集を指示し、複数の車両のうち、選択した1以上の車両以外の車両に対して、通信部を介して、所定の道路区間についてプローブデータの収集を指示する通知処理部と、を有する。
【0008】
また、このデータ収集指示装置において、選択部は、複数の車両のそれぞれの走行履歴を参照して、複数の車両のうち、直近の所定期間において更新対象領域に含まれる複数の道路区間のうち実際に走行した道路区間が占める走行カバー率が高い方から順に1以上の車両を選択することが好ましい。
【0009】
この場合において、更新対象領域に含まれる複数の道路区間のそれぞれに対して重要度が設定されることが好ましい。そして選択部は、複数の車両のそれぞれについて、更新対象領域に含まれる複数の道路区間のそれぞれの重要度の合計に対する、その車両が直近の所定期間において複数の道路区間のうち実際に走行した道路区間の重要度の合計の比を、その車両についての走行カバー率として算出することが好ましい。
【0010】
また、このデータ収集指示装置において、選択部は、複数の車両のそれぞれの走行履歴を参照して、複数の車両のうち、直近の所定期間における総走行時間に対する所定の時間帯または所定の曜日において更新対象領域を走行している時間の比率が高い方から順に1以上の車両を選択することが好ましい。
【0011】
本発明の他の形態によれば、データ収集指示方法が提供される。このデータ収集指示方法は、記憶部に記憶された複数の車両のそれぞれの走行履歴に基づいて、複数の車両のうち、地図情報の更新対象領域の走行に関する所定の条件を満たす1以上の車両を選択し、選択した1以上の車両に対して、通信部を介して、更新対象領域について所定の地物を表すプローブデータの収集を指示し、複数の車両のうち、選択した1以上の車両以外の車両に対して、通信部を介して、所定の道路区間についてプローブデータの収集を指示する、ことを含む。
【0012】
本発明のさらに他の形態によれば、データ収集指示用コンピュータプログラムが提供される。このデータ収集指示用コンピュータプログラムは、記憶部に記憶された複数の車両のそれぞれの走行履歴に基づいて、複数の車両のうち、地図情報の更新対象領域の走行に関する所定の条件を満たす1以上の車両を選択し、選択した1以上の車両に対して、通信部を介して、更新対象領域について所定の地物を表すプローブデータの収集を指示し、複数の車両のうち、選択した1以上の車両以外の車両に対して、通信部を介して、所定の道路区間についてプローブデータの収集を指示する、ことをコンピュータに実行させる命令を含む。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係るデータ収集指示装置は、プローブデータ収集に要する通信量の増大を抑制しつつ、地図情報の更新のために必要となるプローブデータを適切に収集することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】データ収集指示装置が実装されるデータ収集システムの概略構成図である。
図2】車両の概略構成図である。
図3】一つの実施形態によるデータ収集装置のハードウェア構成図である。
図4】データ収集装置のプロセッサの機能ブロック図である。
図5】データ収集指示装置の一例であるサーバのハードウェア構成図である。
図6】サーバのプロセッサの機能ブロック図である。
図7】車両ごとの収集指示の一例を示す説明図である。
図8】データ収集指示処理の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図を参照しつつ、データ収集指示装置、データ収集指示装置にて実行されるデータ収集指示方法及びデータ収集指示用コンピュータプログラムについて説明する。このデータ収集指示装置は、道路上または道路周囲の所定の地物を表すプローブデータを複数の車両から収集し、収集したプローブデータに基づいて地図情報を更新するデータ収集システムに用いられる。
【0016】
プローブデータに基づいて地図情報を更新するサーバは、地図情報の更新対象となり得る領域(以下、更新対象領域と呼ぶことがある)において前回の地図情報の更新後に所定の地物に関して何らかの変化が生じた地点(以下、単に変化点と呼ぶことがある)を検出する。そのような変化点の有無を判定するためには、更新対象領域内の複数の道路区間のそれぞれについて、相対的に少ない数のプローブデータが収集されれば十分である。また、変化点を精度良く検知するためには、収集されたプローブデータに表される地物と地図情報に表される対応する地物との位置合わせについて十分な精度が得られることが求められる。そのために、個々の車両が、ある程度の長さの区間にわたって、その区間に存在する複数の地物についてプローブデータを生成できることが好ましい。一方、そのような変化点が存在する道路区間(以下、更新対象区間と呼ぶことがある)については、変化があった地物に関する情報を地図情報に正確に反映させるために、相対的に多い数のプローブデータの収集が要求される。
【0017】
そこで、このデータ収集指示装置は、プローブデータを生成及び収集することが可能な複数の車両のうち、更新対象領域の走行に関する所定の条件を満たす1以上の車両を選択する。そしてこのデータ収集指示装置は、選択した1以上の車両に対して、更新対象領域についてプローブデータの収集を指示する。また、このデータ収集装置は、複数の車両のうち、選択した1以上の車両以外の車両に対して、更新対象領域内の限定された更新対象区間についてプローブデータの収集を指示する。このように、選択された車両によって更新対象領域内の各道路区間についてのプローブデータが収集されることで、プローブデータの伝送に要する通信量が抑制される。さらに、選択された車両はある程度連続した区間にわたってプローブデータを生成するので、位置合わせの精度を保ちつつ、変化点の検知に必要な数のプローブデータを収集することが可能となる。さらに、更新対象区間については、選択した車両以外の車両にもプローブデータの収集が指示されるので、変化点の情報の更新に必要な数のプローブデータを収集することが容易となる。
【0018】
図1は、データ収集指示装置が実装されるデータ収集システムの概略構成図である。本実施形態では、データ収集システム1は、複数の車両2のそれぞれに搭載されたデータ収集装置3と、データ収集指示装置の一例であるサーバ4とを有する。データ収集装置3は、例えば、サーバ4が接続される通信ネットワーク5とゲートウェイ(図示せず)などを介して接続される無線基地局6にアクセスすることで、無線基地局6及び通信ネットワーク5を介してサーバ4と接続される。なお、図1では、簡単化のために一つの無線基地局6のみが図示されているが、複数の無線基地局6が通信ネットワーク5に接続されていてもよい。
【0019】
先ず、車両2及びデータ収集装置3について説明する。上記のように、データ収集システム1には、データ収集装置3が搭載された車両2が複数含まれるが、データ収集処理に関して各車両2及び各データ収集装置3は同じ構成を有し、かつ同じ処理を実行すればよい。そこで、以下では、一つの車両2及び一つのデータ収集装置3について説明する。
【0020】
図2は、車両2の概略構成図である。車両2は、車両2の周囲を撮影するためのカメラ21と、GPS受信機22と、無線通信端末23と、データ収集装置3とを有する。カメラ21、GPS受信機22、無線通信端末23及びデータ収集装置3は、コントローラエリアネットワークといった規格に準拠した車内ネットワークを介して通信可能に接続される。また、車両2は、LiDARセンサといった、車両2の周囲の物体までの距離を測定するための測距センサ(図示せず)をさらに有してもよい。
【0021】
カメラ21は、撮像部の一例であり、CCDあるいはC-MOSなど、可視光に感度を有する光電変換素子のアレイで構成された2次元検出器と、その2次元検出器上に撮影対象となる領域の像を結像する結像光学系を有する。そしてカメラ21は、例えば、車両2の前方を向くように、例えば、車両2の車室内に取り付けられる。そしてカメラ21は、所定の撮影周期(例えば1/30秒~1/10秒)ごとに車両2の前方領域を撮影し、その前方領域が写った画像を生成する。カメラ21により得られた画像は、カラー画像であってもよく、あるいは、グレー画像であってもよい。なお、車両2には、撮影方向または焦点距離が異なる複数のカメラ21が設けられてもよい。
【0022】
カメラ21は、画像を生成する度に、その生成した画像を、車内ネットワークを介してデータ収集装置3へ出力する。
【0023】
GPS受信機22は、所定の周期ごとにGPS衛星からのGPS信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて車両2の自己位置を測位する。そしてGPS受信機22は、所定の周期ごとに、GPS信号に基づく車両2の自己位置の測位結果を表す測位情報を、車内ネットワークを介してデータ収集装置3へ出力する。なお、車両2は、GPS受信機22以外の衛星測位システムに準拠した受信機を有していてもよい。この場合、その受信機が車両2の自己位置を測位すればよい。
【0024】
無線通信端末23は、通信装置の一例であり、所定の無線通信規格に準拠した無線通信処理を実行する機器であり、例えば、無線基地局6にアクセスすることで、無線基地局6及び通信ネットワーク5を介してサーバ4と接続される。すなわち、無線基地局6及び通信ネットワーク5を介して、無線通信端末23とサーバ4間に通信回線が確立される。そして無線通信端末23は、サーバ4から受信した、収集領域情報、収集指示信号または収集停止信号を含むダウンリンクの無線信号を受信し、受信した収集領域情報、収集指示信号または収集停止信号をデータ収集装置3へ出力する。また、無線通信端末23は、データ収集装置3から受け取った走行履歴情報、プローブデータ、画像または部分画像を含むアップリンクの無線信号を生成する。そして無線通信端末23は、そのアップリンクの無線信号を無線基地局6へ送信することで、走行履歴情報またはプローブデータをサーバ4へ送信する。
【0025】
図3は、データ収集装置3のハードウェア構成図である。データ収集装置3は、カメラ21から受け取った画像などに基づいてプローブデータを生成し、生成したプローブデータを、無線通信端末23を介してサーバ4へ送信する。さらに、データ収集装置3は、車両2の走行軌跡を表す走行履歴情報を生成し、生成した走行履歴情報を、無線通信端末23を介してサーバ4へ送信する。そのために、データ収集装置3は、通信インターフェース31と、メモリ32と、プロセッサ33とを有する。
【0026】
通信インターフェース31は、車内通信部の一例であり、データ収集装置3を車内ネットワークに接続するためのインターフェース回路を有する。すなわち、通信インターフェース31は、車内ネットワークを介して、カメラ21、GPS受信機22及び無線通信端末23と接続される。そして通信インターフェース31は、カメラ21から画像を受信する度に、受信した画像をプロセッサ33へわたす。また、通信インターフェース31は、GPS受信機22から測位情報を受信する度に、受信した測位情報をプロセッサ33へわたす。さらに、通信インターフェース31は、無線通信端末23から、収集領域情報といったサーバ4からの情報を受信する度に、その情報をプロセッサ33へわたす。さらにまた、通信インターフェース31は、プロセッサ33から受け取った、プローブデータまたは走行履歴情報を、車内ネットワークを介して無線通信端末23へ出力する。
【0027】
メモリ32は、記憶部の一例であり、例えば、揮発性の半導体メモリ及び不揮発性の半導体メモリを有する。メモリ32は、ハードディスク装置といった他の記憶装置をさらに有してもよい。そしてメモリ32は、データ収集装置3のプロセッサ33により実行されるデータ収集に関連する処理において使用される各種のデータを記憶する。例えば、メモリ32は、車両2の識別情報、カメラ21の焦点距離、撮影方向、設置位置といったカメラ21のパラメータ、カメラ21から受信した画像から地物を検出するための識別器を特定するための各種パラメータ、及び、GPS受信機22から受信した測位情報などを記憶する。さらに、メモリ32は、サーバ4から受信した収集領域情報を記憶する。なお、収集領域情報には、プローブデータの収集対象となる更新対象領域または更新区間の位置及び範囲を表す情報(例えば、更新対象領域または更新区間の各端点の座標)が含まれる。さらに、メモリ32は、プロセッサ33で実行される各処理を実現するためのコンピュータプログラムなどを記憶してもよい。
【0028】
さらに、メモリ32には、生成された走行履歴情報及びプローブデータが一時的に記憶される。
【0029】
プロセッサ33は、1個または複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。プロセッサ33は、論理演算ユニット、数値演算ユニットあるいはグラフィック処理ユニットといった他の演算回路をさらに有していてもよい。そしてプロセッサ33は、車両2が走行している間、データ収集処理を実行する。
【0030】
図4は、データ収集装置3のプロセッサ33の機能ブロック図である。プロセッサ33は、走行履歴情報生成部41と、プローブデータ生成部42と、通信処理部43とを有する。プロセッサ33が有するこれらの各部は、例えば、プロセッサ33上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、プロセッサ33が有するこれらの各部は、プロセッサ33に設けられる、専用の演算回路であってもよい。
【0031】
走行履歴情報生成部41は、車両2の走行軌跡を表す走行履歴情報を生成する。具体的に、走行履歴情報生成部41は、車両2のイグニッションスイッチがオンにされてからオフにされるまでの間、GPS受信機22から得た一連の測位情報で示される車両2の位置座標を時間順に並べることで走行履歴情報を生成する。さらに、走行履歴情報生成部41は、走行履歴情報に、一連の測位情報のそれぞれで表される車両2の位置座標と関連付けて、その測位情報が得られた日時、すなわち、その位置座標の地点を車両2が通過したときの日時を含める。また、走行履歴情報生成部41は、測位情報が得られなかった期間における車両2の位置を、その期間の前後における車両2の位置の座標とその期間におけるオドメトリ情報とを参照することで推定してもよい。そして走行履歴情報生成部41は、その期間中における、車両2の推定位置の座標を走行履歴情報に含めてもよい。さらに、走行履歴情報生成部41は、イグニッションスイッチがオンにされたタイミングの日時、及び、イグニッションスイッチがオフにされたタイミングの日時を走行履歴情報に含める。さらにまた、走行履歴情報生成部41は、走行履歴情報に、車両2の識別情報を含める。なお、走行履歴情報に含める車両2の識別情報は、車両2自体の識別情報に限られず、車両2に搭載されたデータ収集装置3または無線通信端末23の識別情報であってもよい。
【0032】
走行履歴情報生成部41は、車両2のイグニッションスイッチがオフにされると、走行履歴情報を、無線通信端末23を介してサーバ4へ送信する。
【0033】
プローブデータ生成部42は、車両2が走行している間、所定の周期ごと、あるいは車両2が所定距離走行する度に、プローブデータを生成する。
【0034】
そのために、プローブデータ生成部42は、車両2の走行中において、所定の周期ごとに、あるいは、車両2が所定距離走行する度に、カメラ21により生成された最新の画像から所定の地物を検出する。なお、所定の地物は、更新対象となる地図情報に表される地物であり、例えば、各種の道路標示、各種の道路標識、縁石、ガードレール、信号機あるいは道路標識などを設置するためのポールである。
【0035】
例えば、プローブデータ生成部42は、画像を識別器に入力することで、入力された画像に表された所定の地物を検出する。プローブデータ生成部42は、そのような識別器として、Single Shot MultiBox Detector、または、Faster R-CNNといった、コンボリューショナルニューラルネットワーク(CNN)型のアーキテクチャを持つディープニューラルネットワーク(DNN)を用いることができる。あるいは、プローブデータ生成部42は、そのような識別器として、Vision Transformerといった、self attention network(SAN)型のアーキテクチャを有するDNNを用いてもよい。あるいはまた、プローブデータ生成部42は、そのような識別器として、AdaBoost識別器といった、他の機械学習手法に基づく識別器を用いてもよい。このような識別器は、画像から検出対象となる所定の地物を検出するように、その地物が表された多数の教師画像を用いて誤差逆伝搬法といった所定の学習手法に従って予め学習される。そして識別器は、入力された画像上で検出対象となる地物が含まれる領域(例えば、検出対象となる地物の外接矩形、以下、物体領域と呼ぶ)を表す情報、及び、物体領域に表された地物の種類を表す情報を出力する。
【0036】
プローブデータ生成部42は、画像から検出された物体領域の重心に対応する、カメラ21からの方位、画像生成時の車両2の位置、進行方向及びカメラ21の撮影方向、焦点距離及び設置位置といったパラメータに基づいて、その物体領域に表された地物の位置を推定する。その際、プローブデータ生成部42は、いわゆるStructure from Motion (SfM)により、地物の位置を推定してもよい。この場合、プローブデータ生成部42は、互いに異なるタイミングで得られた二つの画像間で、オプティカルフローを利用して同じ地物が表された物体領域同士を対応付ける。そしてプローブデータ生成部42は、その二つの画像のそれぞれが得られたときの車両2の位置及び進行方向と、カメラ21のパラメータと、各画像における物体領域の位置とに基づいて、三角測量により、地物の位置を推定すればよい。そしてプローブデータ生成部42は、検出された地物の種類及び推定された位置を表す情報を含むプローブデータを生成する。プローブデータ生成部42は、さらに、画像生成時の車両2の位置及び進行方向を表す情報をプローブデータに含めてもよい。プローブデータ生成部42は、物体領域のサイズ及び画像上での位置を表す情報をさらにプローブデータに含めてもよい。なお、プローブデータ生成部42は、検出された地物一つにつき、一つのプローブデータを生成する。そのため、一つの画像から複数の地物が検出される場合、一つの画像から複数のプローブデータが生成される。
【0037】
プローブデータ生成部42は、プローブデータを生成する度に、生成したプローブデータをメモリ32に書き込む。
【0038】
通信処理部43は、車両2が収集領域情報で示される更新対象領域または更新対象区間を走行している間に生成され、メモリ32に記憶されているプローブデータを、無線通信端末23を介してサーバ4へ送信する。
【0039】
通信処理部43は、収集領域情報と、最新の測位情報とを参照して、車両2が更新対象領域または更新対象区間に進入したか否かを判定する。そして車両2が更新対象領域または更新対象区間に進入すると、通信処理部43は、メモリ32に保存されているプローブデータを、古い方から順に無線通信端末23を介してサーバ4へ送信する。なお、通信処理部43は、サーバ4から無線通信端末23を介してプローブデータの収集を停止する通知を受け取ると、プローブデータの送信を停止する。あるいは、通信処理部43は、プローブデータの送信を開始する前に、プローブデータを送信するか否かを問い合わせるためのプレ判定データを、無線通信端末23を介してサーバ4へ送信してもよい。この場合、通信処理部43は、プレ判定データに、車両2の識別情報と、最新の測位情報で示される車両2の位置情報、あるいは、車両2の位置を含む領域または道路区間を特定するための情報とを含めてもよい。そして、プレ判定データの送信後に、サーバ4から無線通信端末23を介してプローブデータの収集指示信号を受信した場合に限り、プローブデータの送信を開始してもよい。
【0040】
また、通信処理部43は、無線通信端末23を介してサーバ4へ送信したプローブデータをメモリ32から消去する。
【0041】
通信処理部43は、車両2が更新対象領域または更新対象区間から退出すると、メモリ32を参照して、その退出時点で未送信のプローブデータを特定する。そして通信処理部43は、特定したプローブデータのサーバ4への送信が完了した時点で、プローブデータの送信を終了する。なお、通信処理部43は、車両2が更新対象領域または更新対象区間に進入したか否かの判定と同様に、収集領域情報と、最新の測位情報とを参照することで、車両2が更新対象領域または更新対象区間から退出したか否かを判定すればよい。
【0042】
なお、収集指示信号にて、プローブデータだけでなく、更新対象区間の画像についても収集することが指示されている場合、通信処理部43は、車両2が更新対象区間を走行している間に生成された一連の画像を、プローブデータとともに無線通信端末23を介してサーバ4へ送信する。さらに、更新対象区間の部分画像について収集指示されている場合、通信処理部43は、車両2が更新対象区間を走行している間に生成された一連の画像のそれぞれから所定の範囲を切り出すことで部分画像を生成する。そして通信処理部43は、得られた一連の部分画像を、プローブデータとともに無線通信端末23を介してサーバ4へ送信する。
【0043】
次に、データ収集指示装置の一例であるサーバ4について説明する。サーバ4は、複数の車両2のうち、更新対象領域についてプローブデータの収集を指示する車両を選択し、選択した車両に対して、更新対象領域のプローブデータの収集を指示する。また、サーバ4は、それ以外の車両に対して、更新対象領域内の更新対象区間についてプローブデータの収集を指示する。上記のように、更新対象領域は、例えば、地図情報の更新対象となり得る領域、すなわち、変化点の有無の判定対象となる領域であり、更新対象区間は、例えば、検知された変化点を含む道路区間である。
【0044】
さらに、サーバ4は、個々の車両2に搭載されたデータ収集装置3から送信されたプローブデータを保存する。そしてサーバ4は、それらのプローブデータに基づいて、変化点を検出し、あるいは、地図情報を更新する。さらに、サーバ4は、個々の車両2に対して、収集領域情報を通知する。
【0045】
図5は、サーバ4のハードウェア構成図である。サーバ4は、通信インターフェース51と、ストレージ装置52と、メモリ53と、プロセッサ54とを有する。通信インターフェース51、ストレージ装置52及びメモリ53は、プロセッサ54と信号線を介して接続されている。サーバ4は、キーボード及びマウスといった入力装置と、液晶ディスプレイといった表示装置とをさらに有してもよい。
【0046】
通信インターフェース51は、通信部の一例であり、サーバ4を通信ネットワーク5に接続するためのインターフェース回路を有する。そして通信インターフェース51は、個々の車両2に搭載されたデータ収集装置3と、通信ネットワーク5及び無線基地局6を介して通信可能に構成される。すなわち、通信インターフェース51は、個々の車両2のデータ収集装置3から無線基地局6及び通信ネットワーク5を介して受信した走行履歴情報及びプローブデータなどをプロセッサ54へわたす。また、通信インターフェース51は、プロセッサ54から受け取った収集領域情報及び収集指示信号などを、通信ネットワーク5及び無線基地局6を介して個々の車両2のデータ収集装置3へ送信する。
【0047】
ストレージ装置52は、記憶部の一例であり、例えば、ハードディスク装置または光記録媒体及びそのアクセス装置を有する。そしてストレージ装置52は、更新対象となる地図情報を記憶する。また、ストレージ装置52は、地図情報に表される範囲のうち、更新対象領域を表す情報を記憶する。
【0048】
なお、更新対象領域は複数設定されてもよい。この場合、複数の車両2のうち、更新対象領域間の境界を越えて移動する車両の数ができるだけ少なくなるように、更新対象領域間の境界が設定されることが好ましい。例えば、山地あるいは河川といった、交通圏の境界となる地点が更新対象領域の境界となるように各更新対象領域が設定されればよい。
【0049】
ストレージ装置52は、さらに、更新対象領域ごとに、その更新対象領域に含まれる複数の道路区間のそれぞれについて、その道路区間について収集されたプローブデータ、画像及び部分画像を記憶する。さらに、ストレージ装置52は、個々の車両2から受信した走行履歴情報を記憶する。さらにまた、ストレージ装置52は、プロセッサ54上で実行される、データ収集指示処理を実行するためのコンピュータプログラムを記憶してもよい。
【0050】
メモリ53は、記憶部の他の一例であり、例えば、不揮発性の半導体メモリ及び揮発性の半導体メモリを有する。そしてメモリ53は、データ収集指示処理の実行中に生成される各種データ、及び、プローブデータ及び走行履歴情報といった個々の車両2との通信により取得される各種データなどを一時的に記憶する。
【0051】
プロセッサ54は、制御部の一例であり、1個または複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。プロセッサ54は、論理演算ユニットあるいは数値演算ユニットといった他の演算回路をさらに有していてもよい。そしてプロセッサ54は、複数の車両2の何れかからプローブデータ、画像、部分画像または走行履歴情報を受信する度に、受信したプローブデータ、画像、部分画像または走行履歴情報をストレージ装置52に保存する。その際、プロセッサ54は、道路区間ごとに、受信したプローブデータの数をカウントしてもよい。この場合、プロセッサ54は、プローブデータを受信する度に、プローブデータに含まれる、車両2の位置を参照して、そのプローブデータが生成されたときに車両2が走行していた道路区間を特定し、特定した道路区間についてのプローブデータのカウント値を1インクリメントする。さらに、プロセッサ54は、データ収集指示処理を実行する。
【0052】
図6は、サーバ4のプロセッサ54の機能ブロック図である。プロセッサ54は、選択部61と、検知部62と、通知処理部63と、更新部64とを有する。プロセッサ54が有するこれらの各部は、例えば、プロセッサ54上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、プロセッサ54が有するこれらの各部は、プロセッサ54に設けられる、専用の演算回路であってもよい。
【0053】
選択部61は、所定のタイミングになると、複数の車両2のそれぞれから受信した走行履歴情報を参照して、複数の車両2のうち、更新対象領域の走行に関する所定の条件を満たす1以上の車両を選択する。なお、所定のタイミングは、予め設定され、例えば、各月における所定の日時、あるいは所定の曜日における所定の時間とすることができる。
【0054】
なお、更新対象領域が複数設定されている場合、選択部61は、更新対象領域ごとに下記の処理を実行すればよい。そこで以下では、一つの更新対象領域についての処理について説明する。
【0055】
本実施形態では、選択部61は、複数の車両2のそれぞれについて、その車両の走行履歴情報を参照して、直近の所定期間(例えば、1週間~1ヶ月)において更新対象領域に含まれる複数の道路区間のうち実際に走行した道路区間が占める比率である走行カバー率を算出する。そして選択部61は、複数の車両2のうち、走行カバー率が高い方から順に、1以上の車両を変化点の有無を判定するために用いられるプローブデータの収集を指示する車両として選択する。これにより、選択部61は、比較的少ない数の車両で、更新対象領域全体からプローブデータを収集できるように適切に車両を選択することができる。
【0056】
なお、選択部61は、走行履歴情報に含まれる個々の車両2の位置座標のうち、直近の所定期間内に含まれる日時と関連付けられた位置座標を選択する。そして選択部61は、選択した位置座標ごとに、その位置座標と、地図情報に示される更新対象領域に含まれる各道路区間の位置及び範囲とを比較して、その位置座標が含まれる道路区間を特定する。そして選択部61は、特定した道路区間を車両2が走行した道路区間とする。選択部61は、このようにして更新対象領域に含まれる各道路区間のうち、直近の所定期間において車両2が走行した個々の道路区間を特定することで、走行カバー率を算出すればよい。
【0057】
なお、選択部61は、直近の所定期間内において車両2が同一の道路区間を複数回走行していたとしても、その道路区間としては1回のみカウントする。また、選択部61は、個々の道路区間の長さを考慮して走行カバー率を算出してもよい。この場合、選択部61は、更新対象領域に含まれる個々の道路区間の長さの合計に対する、車両2が走行した道路区間の長さの合計の比を、走行カバー率として算出すればよい。さらに、道路区間ごとに重要度が予め設定されていてもよい。例えば、自動車専用道である道路区間に対して最も大きい重要度が設定され、国道である道路区間に対して次に大きい重要度が設定され、その他の道路区間に対して最も小さい重要度が設定されてもよい。この場合、選択部61は、更新対象領域に含まれる複数の道路区間のそれぞれの重要度の合計に対する、直近の所定期間内において車両2が実際に走行した道路区間の重要度の合計の比を、走行カバー率として算出すればよい。このように重要度に基づいて走行カバー率が算出されることで、複数の車両2のうち、重要度の大きい道路区間を走行することが多い車両ほど選択され易くなる。
【0058】
なお、選択部61は、更新対象領域の各道路区間のうち、所定の割合(例えば、8割~9割)以上の道路区間が選択した車両2によって走行された道路区間となるまで、走行カバー率が高い方から順に車両2を選択する。そして選択部61は、それまでに選択された車両2の何れも走行していない道路区間がある場合、その道路区間を走行した車両2を追加で選択してもよい。
【0059】
あるいは、選択部61は、走行カバー率が高い方から順に、予め設定された数の車両2を選択してもよい。この場合も、選択部61は、それまでに選択された車両2の何れも走行していない道路区間がある場合、その道路区間を走行した車両2を追加で選択してもよい。
【0060】
変形例によれば、選択部61は、複数の車両2のそれぞれについて、その車両の走行履歴を参照して、直近の所定期間における総走行時間に対する所定の時間帯または所定の曜日において更新対象領域を走行している時間の比率である特定時間帯比率を算出してもよい。そして選択部61は、複数の車両2のうち、特定時間帯比率が高い方から順に1以上の車両を選択してもよい。これにより、選択部61は、所定の時間帯または所定の曜日において更新対象領域を走行している率が高い車両2を選択することができる。なお、所定の時間帯または所定の曜日は、カメラ21により生成された画像において検出対象となる地物が明瞭に写ることが期待される時間帯または曜日、例えば、早朝の時間帯のように、駐車車両などで特定の車線の地物が隠されることがない時間帯とすることができる。したがって、選択部61は、プローブデータの収集に適したタイミングで更新対象領域を通過する可能性が高い車両2を、変化点検知用のプローブデータの収集のために選択することができる。
【0061】
この場合、選択部61は、走行履歴情報に含まれる、イグニッションスイッチがオンまたはオフにされた日時を参照して、直近の所定期間においてイグニッションスイッチがオンにされたタイミングからオフにされたタイミングまでの個々の期間の合計を総走行時間とする。また、選択部61は、走行履歴情報に含まれる、個々の位置座標のうち、その位置座標に関連付けられた日時が所定の時間帯に含まれ、または所定の曜日に該当する位置座標を選択する。選択部61は、選択した位置座標のうち、更新対象領域に含まれる位置座標をさらに選択する。そして選択部61は、最終的に選択された個々の位置座標に関連付けられた日時に基づいて、車両2が更新対象領域に進入してから退出するまでの期間の合計を、所定の時間帯または所定の曜日において更新対象領域を車両2が走行している時間として算出すればよい。
【0062】
選択部61は、選択した1以上の車両のそれぞれの走行履歴情報を参照して、選択した各車両の識別情報を特定する。そして選択部61は、選択した各車両の識別情報を通知処理部63へ通知する。
【0063】
検知部62は、更新対象領域内の各道路区間について、選択部61により選択された1以上の車両2から収集されたプローブデータに基づいて、変化点の有無を判定する。そして検知部62は、更新対象領域内の各道路区間のうち、変化点を含む道路区間を検知する。
【0064】
選択された1以上の車両2に対してプローブデータの収集指示が通知されてから所定期間が経過すると、検知部62は、ストレージ装置52から、更新対象領域について収集されたプローブデータを読み込む。そして検知部62は、車両2ごとに、その車両2が更新対象領域を走行する間に生成された一連のプローブデータに表される個々の地物と、更新対象の地図情報に表される対応する地物とを位置合わせする。その際、検知部62は、一連のプローブデータに表される個々の地物の位置と、地図情報に表される対応する地物との距離の二乗和が最小化されるように、最急降下法といった所定の最適化法にしたがってアフィン変換係数を算出する。そして検知部62は、算出したアフィン変換係数を用いて、一連のプローブデータに表される個々の地物の位置を移動させることで、それらの地物と、地図情報に表される対応する地物とを位置合わせする。
【0065】
車両2ごとに、上記の位置合わせが終了すると、検知部62は、更新対象領域に含まれる道路区間ごとに、収集したプローブデータに表される地物と地図情報に表される対応する地物とが一致しない地点を変化点として検知する。例えば、ある道路区間において、収集された所定数のプローブデータのそれぞれに表され、互いの距離が所定距離以内かつ同じ種類の地物があれば、検知部62は、それらのプローブデータに表された地物は同一の地物であると判定する。そして、それらのプローブデータに表された同一の地物から所定距離の範囲内に、地図情報に表される対応する地物が存在しない場合、地図情報の前回の更新後において、新たな地物が設けられた可能性が有る。そこで検知部62は、その所定数のプローブデータのそれぞれに表される地物の位置の平均位置を変化点として検知する。
【0066】
また、地図情報に表されている所定の地物について、その地物の位置から所定距離以内に存在する、対応する地物を表すプローブデータが収集されていない場合、地図情報に表されたその地物は撤去された可能性が有る。そこで、検知部62は、地図情報に表されたその地物の位置を変化点として検知する。さらに、地図情報に表されている所定の地物と、プローブデータに表される、その所定の地物の種類と同じ種類の対応する地物までの距離が所定距離よりも離れている場合、地図情報の前回の更新後においてその所定の地物は移動された可能性が有る。そこで検知部62は、地図情報に表されるその所定の地物の位置及びプローブデータに表される対応する地物の位置をそれぞれ変化点として検知してもよい。
【0067】
さらに、地図情報に表されている所定の地物について、その地物の種類と、その地物の位置から所定距離以内に存在する、プローブデータに表される対応する地物の種類とが互いに異なる場合、地図情報の前回の更新後においてその所定の地物の種類が変更された可能性が有る。そこでこの場合も、検知部62は、地図情報に表されたその所定の地物の位置を変化点として検知してもよい。
【0068】
検知部62は、検知した変化点のそれぞれについて、地図情報を参照して、その変化点の位置座標を含む道路区間を更新対象区間として特定する。そして検知部62は、検知した個々の変化点について、その変化点を含む更新対象区間を表す情報を通知処理部63へ通知する。
【0069】
検知部62は、さらに、更新対象領域についてプローブデータの収集指示が通知されてから所定期間を経過しても、収集されたプローブデータの数が収集予定数に達していない道路区間についても、更新対象区間に設定してもよい。そして検知部62は、収集されたプローブデータの数が収集予定数に達していない更新対象区間を表す情報を通知処理部63へ通知してもよい。
【0070】
通知処理部63は、複数の車両2のうち、選択部61により選択された1以上の車両2のそれぞれに対して、更新対象領域についてプローブデータの収集を指示する。そのために、通知処理部63は、選択部61から受け取った識別情報に基づいて、選択された1以上の車両2のそれぞれを特定する。そして通知処理部63は、更新対象領域全体をプローブデータの収集対象領域とする収集領域情報を生成し、生成した収集領域情報を、通信インターフェース51を介して特定したそれぞれの車両2へ通知する。さらに、通知処理部63は、プローブデータの収集を指示する収集指示信号を生成し、生成した収集指示信号を、通信インターフェース51を介して特定したそれぞれの車両2へ通知する。なお、サーバ4がプレ判定データを受信する場合、通知処理部63は、プレ判定データに基づいて、プローブデータの収集を指示するか否かを判定してもよい。例えば、プレ判定データに表される車両2の位置を含む道路区間について、収集されたプローブデータの数が収集予定数に達していれば、通知処理部63は、プローブデータの収集を指示しないと判定してもよい。一方、収集されたプローブデータの数が収集予定数に達していなければ、通知処理部63は、プローブデータの収集を指示すると判定してもよい。そしてこの場合、通知処理部63は、プレ判定データを送信した車両2へ、通信インターフェース51を介して収集指示信号を通知する。なお、更新対象領域が複数設定されている場合、更新対象領域ごとに車両が選択されることになる。そのため、通知処理部63は、車両によって異なる更新対象領域についてプローブデータの収集を指示してもよい。
【0071】
さらに、選択された1以上の車両2のそれぞれに収集領域情報が通知されてから所定期間を経過すると、通知処理部63は、選択された1以上の車両2のそれぞれに対して、プローブデータの収集を停止する収集停止信号を、通信インターフェース51を介して通知してもよい。
【0072】
また、通知処理部63は、検知部62から、更新対象区間を表す情報を受け取ると、更新対象区間をプローブデータの収集対象領域とする収集領域情報を生成する。そして通知処理部63は、生成した収集領域情報を、通信インターフェース51を介して、複数の車両2のうちの選択された1以上の車両以外の各車両へ通知する。さらに、通知処理部63は、更新対象区間についてプローブデータの収集を指示する収集指示信号を生成し、生成した収集指示信号を、通信インターフェース51を介して複数の車両2のうちの選択された1以上の車両以外の各車両へ通知する。なお、通知処理部63は、更新対象区間についての収集指示信号において、プローブデータだけでなく、画像そのものまたは部分画像も収集することを指示するようにしてもよい。さらに、サーバ4がプレ判定データを受信している場合、更新対象区間についても、通知処理部63は、収集されたプローブデータの数が収集予定数に達していない場合に限り、プローブデータの収集を指示してもよい。
【0073】
なお、通知処理部63は、更新対象区間についての収集指示信号を、複数の車両2のうちの選択部61により選択された各車両に対しても、通信インターフェース51を介して通知してもよい。
【0074】
図7は、車両ごとの収集指示の一例を示す説明図である。この例では、更新対象領域700には、15個の道路区間{A,B,C,...,O}が含まれている。ここで、車両711の走行履歴情報に表される、直近の所定期間における走行軌跡721(なお、この走行軌跡は、1回の走行によるものには限られず、複数回の走行によるものであってもよい。以下同じ)に示されるように、車両711は、9個の道路区間を走行している。すなわち、車両711の走行カバー率は60%である。これに対して、車両712の走行履歴情報に表される、直近の所定期間における走行軌跡722に示されるように、車両712は、3個の道路区間を走行している。すなわち、車両712の走行カバー率は20%である。さらに、車両713の走行履歴情報に表される、直近の所定期間における走行軌跡723に示されるように、車両713は、8個の道路区間を走行している。すなわち、車両713の走行カバー率は53%である。そして走行カバー率が50%以上の車両が選択されたとする。したがって、車両711及び車両713は選択され、変化点検知のためのプローブデータ収集指示信号が通知される。一方、車両712は選択されず、変化点検知のためのプローブデータ収集指示信号は通知されない。ただし、変化点が検出された後、車両712に対して、変化点を含む更新対象区間についての収集指示信号が通知されることになる。例えば、道路区間Gにおいて変化点が検出された場合、道路区間Gについてプローブデータの収集を指示する収集指示信号が車両712に通知される。
【0075】
更新部64は、更新対象区間について収集されたプローブデータに基づいて、地図情報に表されるその更新対象区間の所定の地物に関する情報を更新する。そのために、更新部64は、更新対象区間を走行した車両2ごとに、その車両2から受信した一連のプローブデータに表される個々の地物と、地図情報に表される対応する地物とを位置合わせする。その際、更新部64は、検知部62による位置合わせの処理と同様の処理を実行すればよい。そして更新部64は、所定数以上の車両2から受信したプローブデータに表され、かつ、同一と推定される地物について、地図情報に対応する地物が表されていない場合、その地物の種類及び位置を地図情報に追加する。逆に、地図情報に表されている地物のうち、その地物から所定距離以内に存在する対応する地物を表すプローブデータが収集されていない地物について、更新部64は、地図情報からその地物に関する情報を削除する。さらに、地図情報に表されている所定の地物と、受信した所定数以上のプローブデータに表される、その所定の地物の種類と同じ種類の地物までの距離が所定距離よりも離れているとする。この場合、更新部64は、地図情報に表されるその地物の位置を、受信した所定数以上のプローブデータに表されるその地物の位置の平均値に修正する。
【0076】
さらに、更新部64は、更新対象区間を走行した車両から受信した画像または部分画像から地物を検出できた場合、その検出できた地物に関する情報を、地図情報に追加してもよい。この場合、更新部64は、データ収集装置3のプローブデータ生成部42で使用される識別器と同様の識別器に画像または部分画像を入力することで地物を検出すればよい。また、更新部64は、画像生成時の車両2の位置及び進行方向、カメラ21のパラメータ、及び、画像または部分画像上での地物の位置に基づいて、検出した地物の位置を推定すればよい。
【0077】
更新部64は、更新された地図情報をストレージ装置52に保存する。さらに、通知処理部63は、更新された地図情報を、通信インターフェース51及び通信ネットワーク5を介して他の機器へ出力してもよい。さらにまた、通知処理部63は、更新された地図情報を、通信インターフェース51、通信ネットワーク5及び無線基地局6を介して、複数の車両2の何れか、または、地図情報を自動運転制御に利用する他の車両へ配信してもよい。
【0078】
図8は、データ収集指示処理の動作フローチャートである。サーバ4のプロセッサ54は、以下の動作フローチャートに従ってデータ収集指示処理を実行すればよい。
【0079】
プロセッサ54の選択部61は、複数の車両2のうち、更新対象領域の走行に関する所定の条件を満たす1以上の車両を選択する(ステップS101)。そしてプロセッサ54の通知処理部63は、選択された1以上の車両のそれぞれに対して、更新対象領域を収集対象領域とする収集領域情報、及び、更新対象領域についてプローブデータの収集を指示する収集指示信号を、通信インターフェース51を介して通知する(ステップS102)。
【0080】
収集指示の通知から所定期間経過後、プロセッサ54の検知部62は、収集されたプローブデータに基づいて、更新対象領域内の各道路区間のうち、変化点を含む道路区間、及び、収集されたプローブデータの数が収集予定数未満の道路区間を、更新対象区間として特定する(ステップS103)。
【0081】
そして通知処理部63は、複数の車両2のうち、選択された1以上の車両以外の車両に対して、更新対象区間を収集対象領域とする収集領域情報、及び、更新対象区間についてプローブデータの収集を指示する収集指示信号を、通信インターフェース51を介して通知する(ステップS104)。なお、上記のように、通知処理部63は、ステップS102で選択された1以上の車両に対しても、更新対象区間についてプローブデータの収集を指示してもよい。
【0082】
プロセッサ54の更新部64は、更新対象区間について収集されたプローブデータに基づいて地図情報を更新する(ステップS105)。そしてプロセッサ54は、データ収集指示処理を終了する。
【0083】
以上に説明してきたように、このデータ収集指示装置は、プローブデータを生成及び収集することが可能な複数の車両のうち、更新対象領域の走行に関する所定の条件を満たす1以上の車両を選択する。そしてこのデータ収集指示装置は、選択した1以上の車両に対して、更新対象領域についてプローブデータの収集を指示する。また、このデータ収集装置は、複数の車両のうち、選択した1以上の車両以外の車両に対して、更新対象領域内の変化点を含む道路区間といった更新対象区間についてプローブデータの収集を指示する。このように、選択された車両によって更新対象領域内の各道路区間についてのプローブデータが収集されることで、プローブデータの送信に要する通信量が抑制される。さらに、選択された車両はある程度連続した区間にわたってプローブデータを生成するので、位置合わせの精度を保ちつつ、変化点の検知に必要な数のプローブデータを収集することが可能となる。さらに、このデータ収集指示装置は、更新対象区間について、選択した車両以外の車両にもプローブデータの収集を指示するので、変化点の情報の更新に必要な数のプローブデータを収集することができる。
【0084】
以上のように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0085】
1 データ収集システム
2 車両
21 カメラ
22 GPS受信機
23 無線通信端末
3 データ収集装置
31 通信インターフェース
32 メモリ
33 プロセッサ
41 走行履歴情報生成部
42 プローブデータ生成部
43 通信処理部
4 サーバ
51 通信インターフェース
52 ストレージ装置
53 メモリ
54 プロセッサ
61 選択部
62 検知部
63 通知処理部
64 更新部
5 通信ネットワーク
6 無線基地局
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8