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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162155
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ステー
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/00 20060101AFI20241114BHJP
   B60N 3/02 20060101ALI20241114BHJP
   B62D 25/04 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B60N3/00 Z
B60N3/02 A
B62D25/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077436
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 貴英
(72)【発明者】
【氏名】萱原 仙
(72)【発明者】
【氏名】柏原 一仁
(72)【発明者】
【氏名】森 大地
(72)【発明者】
【氏名】青木 亮汰
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 保大
【テーマコード(参考)】
3B088
3D203
【Fターム(参考)】
3B088CA06
3B088DA06
3B088DB01
3D203AA14
3D203AA17
3D203BB54
3D203CB09
3D203CB19
3D203DA27
(57)【要約】
【課題】Aピラーにアシストグリップが固定された運転席において、当該運転席の前方に配置される支持物を支持するステーであって、例えば、ステーの取付位置や高さや取付角度等の微調整を行う必要が生じた場合であっても、当該微調整を容易に行うことができるステーを提供する。
【解決手段】Aピラー104にアシストグリップ106が固定された運転室101内において、運転席102の前方に配置される支持物103を支持するステー1であって、前記アシストグリップ106における前記Aピラー104側との反対側において、当該アシストグリップ106に固定される固定部材2と、前記固定部材2に接続され、前記支持物103を支持する支持部材3とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Aピラーにアシストグリップが固定された運転室内において、運転席の前方に配置される支持物を支持するステーであって、
前記アシストグリップにおける前記Aピラー側との反対側において、当該アシストグリップに固定される固定部材と、
前記固定部材に接続され、前記支持物を支持する支持部材とを備える、
ことを特徴とするステー。
【請求項2】
前記固定部材は、
前記アシストグリップに固定される基端部と、
前記基端部から前記アシストグリップ側との反対側に突出し、当該アシストグリップと離間する接続部とを有し、
前記支持部材は、前記接続部に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載のステー。
【請求項3】
前記アシストグリップは、座繰り孔を介して前記Aピラーに締結部材を用いて固定され、
前記固定部材は、前記基端部から前記アシストグリップ側に突出し、前記座繰り孔と嵌合可能な嵌合部を有する、
ことを特徴とする、請求項2に記載のステー。
【請求項4】
前記固定部材は、一対の第1貫通孔を有し、且つ前記支持部材は、一対の第2貫通孔を有し、
前記固定部材及び前記支持部材は、前記一対の第1貫通孔、及び前記一対の第2貫通孔を介して、締結部材を用いて締結され、
各々の前記第1貫通孔、及び/または前記第2貫通孔の断面形状は、前記締結部材の断面形状に比べて大きい、
ことを特徴とする、請求項1~請求項3の何れか一項に記載のステー。
【請求項5】
前記ステーは、
前記支持物の支持位置を変移可能な変移手段をさらに備える、
ことを特徴とする、請求項1~請求項3の何れか一項に記載のステー。
【請求項6】
前記変移手段は、
前記固定部材に設けられる第3貫通孔と、
前記支持部材に設けられる第4貫通孔と、
前記第3貫通孔及び前記第4貫通孔を介して、前記固定部材と前記支持部材とを締結する第1締結部材とを有し、
前記第3貫通孔は、前記第4貫通孔に比べて少なくとも1個以上多く設けられ、
複数の前記第3貫通孔は、高さ方向に各々配列される、
ことを特徴とする、請求項5に記載のステー。
【請求項7】
前記変移手段は、
前記固定部材に設けられる第5貫通孔と、
前記支持部材に設けられる第6貫通孔と、
前記第5貫通孔及び前記第6貫通孔を介して、前記固定部材と前記支持部材とを締結する第2締結部材とを有し、
前記第5貫通孔と前記第6貫通孔とは、互いに同等の個数だけ設けられ、
各々の前記第5貫通孔は、高さ方向に延びる長円形状に形成される、
ことを特徴とする、請求項5に記載のステー。
【請求項8】
前記変移手段は、
前記固定部材に設けられる第7貫通孔と、
前記支持部材に設けられる第8貫通孔と、
前記第7貫通孔及び前記第8貫通孔を介して前記固定部材と前記支持部材とを貫通し、前記固定部材と前記支持部材とを連結する連結ピンとを有し、
前記第7貫通孔は、
高さ方向に延びる移動溝部と、
前記移動溝部より直角方向に延びる複数の支持溝部とより構成された櫛型形状に形成される、
ことを特徴とする、請求項5に記載のステー。
【請求項9】
前記支持部材は、
前記固定部材に接続される第1支持部材と、
前記第1支持部材から車内中央側に向かって延出し、前記支持物を支持する第2支持部材とを有し、
前記変移手段は、
前記第1支持部材に対して前記第2支持部材を上下方向に回動可能に、前記第1支持部材と前記第2支持部材とを連結する第1回動軸と、
前記第1支持部材に対する前記第2支持部材の位置を保持可能な第1保持手段とを有する、
ことを特徴とする、請求項5に記載のステー。
【請求項10】
前記支持部材は、
前記固定部材に接続される第3支持部材と、
前記第3支持部材から車内中央側に向かって延出し、前記支持物を支持する第4支持部材とを有し、
前記変移手段は、
前記支持物が前記運転席の前方に配置された状態となる前方支持位置と、前記支持物が前記運転席の前記Aピラー側における側方に配置された状態となる側方支持位置との間において、前記第3支持部材に対して前記第4支持部材を前後方向に回動可能に、前記第3支持部材と前記第4支持部材とを連結する第2回動軸と、
前記第3支持部材に対する前記第4支持部材の位置を保持可能な第2保持手段とを有する、
ことを特徴とする、請求項5に記載のステー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば架装車両の運転室内に設けられるステーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の運転室内に設けられ、Aピラーより支持物を支持するためのステーが知られている。
例えばその一例として、特許文献1においては、Aピラーに取付けられるアシストグリップと一体的に設けられ、当該アシストグリップの下端部より下方に延出して、支持物であるモニタを支持する第2固定部(ステーに相当)が開示されている。
【0003】
一方、特定の用途や目的に応じた装置が架装された架装車両においては、運転室内にて当該装置を操作可能とする操作ボックスが、運転席の前方に配置されている場合がある。
このような操作ボックスを支持物としてAピラーより支持する場合、作業者の操作によって支持物に加えられる外力も大きく、上記のような、アシストグリップの下端部のみに固定された第2固定部からなるステーでは、十分な剛性を確保できない虞がある。
【0004】
そこで、このような比較的大きな外力が加えられる支持物であっても、十分な剛性を確保しつつAピラーより支持することを目的として、例えば、アシストグリップとともにAピラーに取付けられるステーが、従来から知られている。
具体的には、上記ステーは、Aピラーの車内側の側面に沿って一方に延出する取付け部と、当該取付け部から延出し、支持物を支持する支持部とを備えており、当該取付け部がアシストグリップとAピラーとの間に挟み込まれた状態で、ボルト等の締結部材を用いて、当該アシストグリップとともにAピラーに固定される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-37334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、操作ボックス等の支持物を支持するステーについては、Aピラーに一旦固定された後にも、作業者による操作ボックスの操作性や視認性等に応じて、ステーの取付位置や高さや取付角度等の微調整を行う必要が生じる場合がある。
しかしながら、前述した従来のステーにおいては、アシストグリップとAピラーとの間に取付け部を挟み込んだ状態で固定されるため、このようなステーの取付位置等の微調整を行うには、アシストグリップもともに取り外す(或いは、締結部材を緩めて、アシストグリップを固定状態から解放する)必要があり、大掛かりな作業内容となっていた。
【0007】
本発明は、以上に示した現状の問題点に鑑みてなされたものであり、Aピラーにアシストグリップが固定された運転席において、当該運転席の前方に配置される支持物を支持するステーであって、例えば、ステーの取付位置や高さや取付角度等の微調整を行う必要が生じた場合であっても、当該微調整を容易に行うことができるステーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、本発明の態様1に係るステーは、Aピラーにアシストグリップが固定された運転室内において、運転席の前方に配置される支持物を支持するステーであって、前記アシストグリップにおける前記Aピラー側との反対側において、当該アシストグリップに固定される固定部材と、前記固定部材に接続され、前記支持物を支持する支持部材とを備えることを特徴とする。
このように、本発明に係るステーにおいては、アシストグリップに固定される固定部材と、当該固定部材に接続される支持部材とからなる二分割構造を有することから、例えば、ステーの取付位置や高さや取付角度等の微調整を行う必要が生じた場合であっても、アシストグリップに一旦固定された固定部材の状態を変更することなく、当該固定部材に対する支持部材の接続位置を微調整することにより、容易に対応することができる。
また、固定部材は、アシストグリップにおけるAピラー側との反対側において、当該アシストグリップに固定されるため、例えば、アシストグリップとAピラーとの間に挟み込んだ状態で、アシストグリップとともにAピラーに取り付けられる従来のステーのように、当該アシストグリップを取り外す(或いは、締結部材を緩めて、アシストグリップを固定状態から解放する)ことなく、上記微調整を容易に行うことができる。
さらに、車両の車種によっては、メーカや機種(例えば、大型車両、中型車両、小型車両)の違いによって、アシストグリップの形状や、当該アシストグリップにおけるAピラーへの取付部位の位置などが様々であることから、上記従来のステーにおいては、車両の車種に応じて、様々な形状のものを用意する必要があったが、本発明に係るステーにおいては、車両の車種に応じた固定部材を用意することで、少なくとも支持部材の形状については共通化を図ることができる。
【0010】
また、本発明の態様2に係るステーは、上記態様1において、前記固定部材は、前記アシストグリップに固定される基端部と、前記基端部から前記アシストグリップ側との反対側に突出し、当該アシストグリップと離間する接続部とを有し、前記支持部材は、前記接続部に接続されることを特徴とする。
このような構成を有することにより、例えば、ボルト及びナット等の締結部材を用いて、固定部材と支持部材とを接続する場合であっても、固定部材の接続部と、アシストグリップとの間に生じる隙間を介して、容易に接続作業を行うことができる。
【0011】
また、本発明の態様3に係るステーは、上記態様2において、前記アシストグリップは、座繰り孔を介して前記Aピラーに締結部材を用いて固定され、前記固定部材は、前記基端部から前記アシストグリップ側に突出し、前記座繰り孔と嵌合可能な嵌合部を有することを特徴とする。
このような構成を有することにより、他に別途、アシストグリップに固定部材を固定するための複雑な機構を設ける必要もなく、当該アシストグリップの座繰り孔と嵌合可能な簡易な構成からなる嵌合部を用いて、固定部材をアシストグリップに容易に固定することができる。
【0012】
また、本発明の態様4に係るステーは、上記態様1~3の何れかの態様において、前記固定部材は、一対の第1貫通孔を有し、且つ前記支持部材は、一対の第2貫通孔を有し、前記固定部材及び前記支持部材は、前記一対の第1貫通孔、及び前記一対の第2貫通孔を介して、締結部材を用いて締結され、各々の前記第1貫通孔、及び/または前記第2貫通孔の断面形状は、前記締結部材の断面形状に比べて大きいことを特徴とする。
このような構成を有することにより、一対の第1貫通孔、及び一対の第2貫通孔に締結部材を各々差込んだ状態において、少なくとも、これらの第1貫通孔及び第2貫通孔の内周部にて締結部材が相対的に移動可能な範囲内にて、固定部材及び支持部材の接続位置を、互いに相対的に変移させることができ、当該固定部材に対する支持部材の接続位置を、容易に微調整することができる。
【0013】
また、本発明の態様5に係るステーは、上記態様1~3の何れかの態様において、前記ステーは、前記支持物の支持位置を変移可能な変移手段をさらに備えることを特徴とする。
このような構成を有することにより、例えば、車両を運転する場合や、支持物を操作して特定の作業を実行する場合など、作業者の状況の変化に応じて、支持物の支持状態を、変移手段によって容易に最適な状態に調整することができる。
【0014】
また、本発明の態様6に係るステーは、上記態様5において、前記変移手段は、前記固定部材に設けられる第3貫通孔と、前記支持部材に設けられる第4貫通孔と、前記第3貫通孔及び前記第4貫通孔を介して、前記固定部材と前記支持部材とを締結する第1締結部材とを有し、前記第3貫通孔は、前記第4貫通孔に比べて少なくとも1個以上多く設けられ、複数の前記第3貫通孔は、高さ方向に各々配列されることを特徴とする。
このような構成を有することにより、第1締結部材を用いて支持部材の第4貫通孔とともに締結される、固定部材の第3貫通孔を変更することで、固定部材に対する支持部材の高さ方向の位置、即ち当該支持部材によって支持された支持物の高さ方向の位置を、容易に変移させることができる。
【0015】
また、本発明の態様7に係るステーは、上記態様5において、前記変移手段は、前記固定部材に設けられる第5貫通孔と、前記支持部材に設けられる第6貫通孔と、前記第5貫通孔及び前記第6貫通孔を介して、前記固定部材と前記支持部材とを締結する第2締結部材とを有し、前記第5貫通孔と前記第6貫通孔とは、互いに同等の個数だけ設けられ、各々の前記第5貫通孔は、高さ方向に延びる長円形状に形成されることを特徴とする。
このような構成を有することにより、固定部材の第5貫通孔の内側において、固定部材と支持部材とを締結する第2締結部材の位置を任意に変更することで、固定部材に対する支持部材の高さ方向の位置、即ち当該支持部材によって支持された支持物の高さ方向の位置を、容易に変移させることができる。
【0016】
また、本発明の態様8に係るステーは、上記態様5において、前記変移手段は、前記固定部材に設けられる第7貫通孔と、前記支持部材に設けられる第8貫通孔と、前記第7貫通孔及び前記第8貫通孔を介して前記固定部材と前記支持部材とを貫通し、前記固定部材と前記支持部材とを連結する連結ピンとを有し、前記第7貫通孔は、高さ方向に延びる移動溝部と、前記移動溝部より直角方向に延びる複数の支持溝部とより構成された櫛型形状に形成されることを特徴とする。
このような構成を有することにより、固定部材の第7貫通孔の内側において、固定部材と支持部材とを連結する連結ピンを、任意の支持溝部に適宜掛止させることで、固定部材に対する支持部材の高さ方向の位置、即ち当該支持部材によって支持された支持物の高さ方向の位置を、容易に変移させることができる。
【0017】
また、本発明の態様9に係るステーは、上記態様5において、前記支持部材は、前記固定部材に接続される第1支持部材と、前記第1支持部材から車内中央側に向かって延出し、前記支持物を支持する第2支持部材とを有し、前記変移手段は、前記第1支持部材に対して前記第2支持部材を上下方向に回動可能に、前記第1支持部材と前記第2支持部材とを連結する第1回動軸と、前記第1支持部材に対する前記第2支持部材の位置を保持可能な第1保持手段とを有することを特徴とする。
このような構成を有することにより、第1回動軸を中心にして第2支持部材を回動させることで、固定部材に対する支持部材の上下方向の傾斜角度、即ち当該支持部材によって支持される支持物の上下方向の傾斜角度を、容易に変移させることができる。
【0018】
また、本発明の態様10に係るステーは、上記態様5において、前記支持部材は、前記固定部材に接続される第3支持部材と、前記第3支持部材から車内中央側に向かって延出し、前記支持物を支持する第4支持部材とを有し、前記変移手段は、前記支持物が前記運転席の前方に配置された状態となる前方支持位置と、前記支持物が前記運転席の前記Aピラー側における側方に配置された状態となる側方支持位置との間において、前記第3支持部材に対して前記第4支持部材を前後方向に回動可能に、前記第3支持部材と前記第4支持部材とを連結する第2回動軸と、前記第3支持部に対する前記第4支持部材の位置を保持可能な第2保持手段とを有することを特徴とする。
このような構成を有することにより、第2回動軸を中心にして第4支持部材を回動させることで、上記前方支持位置と上記側方支持位置との間で、固定部材に対する支持部材の位置、即ち当該支持部材によって支持される支持物の位置を、容易に変移させることができる。
そして、上記側方支持位置に支持物の位置を変移させることにより、例えば、運転席側のフロントドアの窓を開けた状態で、運転室内に位置する支持物を、車両の外部から容易に操作することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係るステーによれば、例えば、ステーの取付位置や高さや取付角度等の微調整を行う必要が生じた場合であっても、当該微調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係るステーの全体的な構成を示した図であって、(a)はその側面図であり、(b)はその背面図である。
図2図1におけるステーを備えた車両の運転室内を示した側面図である。
図3】本発明の第1別実施形態に係るステーの構成を説明するための図であって、(a)は固定部材の接続部に複数の固定側貫通孔が設けられた構成を示した側面図及び背面図であり、(b)は固定部材の接続部に長円形状の固定側貫通孔が設けられた構成を示した側面図及び背面図であり、(c)は固定部材の接続部に櫛型形状の固定側貫通孔が設けられた構成を示した側面図及び背面図である。
図4】本発明の他の別実施形態に係るステーの構成を説明するための図であって、(a)は支持部材の可動部を上下方向に回動可能な第2別実施形態の構成を示した背面図であり、(b)は支持部材の可動部を前後方向に回動可能な第3別実施形態の構成を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の一実施形態について、図1乃至図4を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、車両100の前進方向を前方と規定し、図1乃至図4中における各々の矢印の方向によって、車両100及びステー1・201・301・401の前後方向、左右方向、及び上下方向を表示する。
【0022】
[ステー1(本実施形態)の構成]
先ず、本実施形態におけるステー1の構成について、図1及び図2を用いて説明する。
図2に示すように、ステー1は、車両100の運転室101内において、運転席102の前方に配置される支持物103を、Aピラー104より支持するためのものである。
【0023】
ここで、本実施形態における車両100は、例えば塵芥車等のような、特定の用途や目的に応じた装置が架装された架装車であって、支持物103の一例として、架装された装置を運転室101内にて操作可能とする、操作ボックス等が挙げられる。
【0024】
なお、車両100については、塵芥車に限定されることはなく、特定の用途や目的に応じた装置が装備された架装車であれば、何れのものであってもよい。
即ち、塵芥車は、ゴミ積込作業と運搬作業とを行なう装置を架装した架装車であるが、その他の例示として、コンクリートを圧送する装置を有するコンクリートポンプ車や、危険物を貯蔵運搬する容器を架装したタンクローリ等であってもよく、また、例えば緊急自動車等のような、特殊な用途に応じた設備を備える、所謂、特種用途自動車であってもよい。
【0025】
また、車両100は、例えば用途や目的が多岐に亘るが、その用途や目的に応じた装置(荷台)が架装された、一般的に貨物積載用車両として用いられるバンや平ボデータイプのトラック、或いは、平床セミトレーラ等のような用途や目的に応じた装置(被けん引車)を有するトレーラ全般であってもよい。
【0026】
さらに、支持物103についても、上記のような操作ボックスに限定されることはなく、例えばモニタ等のように、運転席102の前方に配置されるものであれば、何れのものであってもよい。
【0027】
車両100において、Aピラー104の車内側(運転室101側)の側面には、アシストグリップ106が、運転席102側(本実施形態においては、後側)に向かって突出するように固定されている。
【0028】
そして、詳細は後述するが、ステー1は、アシストグリップ106を介してAピラー104に堅固に固定され、当該Aピラー104より、所望の位置にて支持物103を支持する構成となっている。
【0029】
ステー1は、主に、アシストグリップ106を介してAピラー104に固定される固定部材2と、固定部材2に接続され、支持物103を支持する支持部材3とを備える。
【0030】
固定部材2は、図1(a)(b)に示すように、例えば一方に延出する矩形帯板形状の部材からなり、長手方向の中央部を、平面部との直交方向の一方側(本実施形態においては、左側)に向かって突出するように屈曲させた構成からなる。
【0031】
そして、後述するように、固定部材2は、長手方向の両端部においてアシストグリップ106に固定され、また、長手方向の中央部において支持部材3と接続される。
換言すると、固定部材2は、長手方向の両端部に設けられ、アシストグリップ106に固定される一対の基端部21・21と、長手方向の中央部に設けられ、支持部材3と接続される接続部22とを有する。
【0032】
固定部材2の各基端部21において、接続部22の突出方向との反対側(本実施形態においては、右側)の平面部には、中空円筒形状のブッシング23が各々設けられている。
ブッシング23は、本発明に係る嵌合部の一例であって、その内周面には雌螺子23aが形成されている。
また、各基端部21には、ブッシング23と同軸上に、貫通孔21aが形成されている。
【0033】
そして、これらの貫通孔21a、及び雌螺孔23aを介して、ブッシング23は、ボルト等の締結部材51を用いて、基端部21に締結される。
これにより、ブッシング23は、軸方向を基端部21との直交方向として、当該基端部21から上記反対側(右側)に突出するように固定される。
【0034】
一方、アシストグリップ106には、複数(本実施形態においては、2個)の座繰り孔106a・106aが設けられており、当該アシストグリップ106は、これら一対の座繰り孔106a・106aを介して、ボルト等の締結部材52・52を用いて、Aピラー104に固定されている。
【0035】
ここで、ブッシング23の外径は、上記座繰り孔106aの内径と略同等に設定されており、当該ブッシング23は、座繰り孔106aと嵌合可能に構成されている。
また、固定部材2に設けられる一対のブッシング23・23間の離間寸法は、アシストグリップ106に設けられる一対の座繰り孔106a・106a間の離間寸法と同等に設定されている。
【0036】
そして、固定部材2は、アシストグリップ106におけるAピラー104側との反対側(本実施形態においては、左側)において、一対のブッシング23・23を当該アシストグリップ106側(本実施形態においては、右側)に突出させた状態で配置され、これら一対のブッシング23・23を、アシストグリップ106の座繰り孔106a・106aに嵌合させることにより、当該アシストグリップ106を介してAピラー104に固定される。
その結果、固定部材2は、一対の基端部21・21からアシストグリップ側との反対側(本実施形態においては、左側)に向かって接続部22を突出させた状態で、当該アシストグリップ106に固定され、固定部材2の接続部22は、アシストグリップ106と離間する。
【0037】
このように、本実施形態においては、一対の座繰り孔106a・106aを介して、アシストグリップ106が、Aピラー104に締結部材52・52を用いて固定されており、固定部材2は、一対の基端部21・21からアシストグリップ106側(右側)に各々突出し、当該座繰り孔106a・106aと嵌合可能な一対のブッシング23・23を有する構成となっている。
【0038】
このような構成を有することにより、本実施形態におけるステー1によれば、他に別途、アシストグリップ106に固定部材2を固定するための複雑な機構を設ける必要もなく、当該アシストグリップ106の座繰り孔106aと嵌合可能な簡易な構成からなるブッシング23を用いて、固定部材2をアシストグリップ106に容易に固定することができる。
【0039】
支持部材3は、例えば、L字状に屈曲形成された略矩形帯板形状の部材からなり、一方に延出する第1支持部31と、第1支持部31の長手方向の一端部より略直角方向に向かって一方に延びる第2支持部32とを有する。
そして、支持部材3は、第1支持部31において固定部材2と接続され、また、第2支持部32において支持物103を支持する。
【0040】
第1支持部31には、一対の支持側貫通孔31a・31aが設けられている。
これら一対の支持側貫通孔31a・31aは、本発明に係る第2貫通孔の一例であって、第1支持部31の長手方向に沿って、互いに離間した位置に設けられている。
【0041】
一方、固定部材2の接続部22には、一対の固定側貫通孔22a・22aが設けられている。
これら一対の固定側貫通孔22a・22aは、本発明に係る第1貫通孔の一例であって、接続部22の長手方向に沿って、互いに離間した位置に設けられている。
また、これら一対の固定側貫通孔22a・22a間の離間寸法は、上記一対の支持側貫通孔31a・31a間の離間寸法と同等に設定されている。
【0042】
そして、支持部材3は、固定部材2に対して、アシストグリップ106側との反対側(左側)に向かって、第2支持部32が延出するようにして、当該固定部材2の接続部22に第1支持部31を重ね合わせた状態で配置され、上記一対の固定側貫通孔22a・22a、及び一対の支持側貫通孔31a・31aを介して、ボルト及びナット等の締結部材53・53を用いて、固定部材2に接続(締結)される。
【0043】
なお、上述したように、固定部材2は、接続部22がアシストグリップ106と離間した状態で、当該アシストグリップ106に固定されており、固定部材2の接続部22と、アシストグリップ106との間には、締結部材53を締結するための十分な隙間Dが設けられている。
【0044】
このように、本実施形態において、固定部材2は、アシストグリップ106に固定される一対の基端部21・21と、これら一対の基端部21・21からアシストグリップ106側との反対側(左側)に突出し、当該アシストグリップ106と離間する接続部22とを有し、支持部材3は、固定部材2の接続部22に接続される構成となっている。
【0045】
このような構成を有することにより、本実施形態におけるステー1によれば、例えば、ボルト及びナット等の締結部材53を用いて、固定部材2と支持部材3とを接続する場合であっても、固定部材2の接続部22と、アシストグリップ106との間に生じる隙間Dを介して、容易に接続作業を行うことができる。
【0046】
ところで、本実施形態においては、固定部材2に設けられる各固定側貫通孔22aの断面形状が、上記締結部材53の断面形状と略同等に設定されており(より具体的には、各支持側貫通孔31aの内径が、締結部材53の外径と略同等に設定されており)、また、支持部材3に設けられる各支持側貫通孔31aの断面形状が、上記締結部材53の断面形状に比べて大きく設定されている(より具体的には、各支持側貫通孔31aの内径が、締結部材53の外径に比べて大きく設定されている)。
【0047】
その結果、一対の固定側貫通孔22a・22a、及び一対の支持側貫通孔31a・31aに対して、一対の締結部材53・53をともに差込んだ状態において、支持部材3は、各締結部材53が各支持側貫通孔31aの内周側端部によって規制される範囲内にて、固定部材2に対する相対位置(接続位置)を、僅かに変移可能な構成となっている。
つまり、本実施形態におけるステー1においては、固定部材2に対する支持部材3の接続位置を、微調整可能な構成となっている。
【0048】
なお、これら一対の固定側貫通孔22a・22a、及び一対の支持側貫通孔31a・31aの構成については、本実施形態に限定されることはなく、例えば、各固定側貫通孔22aの断面形状が、上記締結部材53の断面形状に比べて大きく設定されており、各支持側貫通孔31aの断面形状が、上記締結部材53の断面形状と略同等に設定されていてもよい。
また、各固定側貫通孔22aの断面形状、及び、各支持側貫通孔31aの断面形状の双方が、上記締結部材53の断面形状に比べて大きく設定されていてもよい。
【0049】
このように、本実施形態において、固定部材2は、一対の固定側貫通孔22a・22aを有し、且つ支持部材3は、一対の支持側貫通孔31a・31aを有し、固定部材2及び支持部材3は、これら一対の固定側貫通孔22a・22a、及び一対の支持側貫通孔31a・31aを介して、締結部材53・53を用いて接続されている。
そして、各々の固定側貫通孔22a・22a、及び/または、各々の支持側貫通孔31a・31aの断面形状(本実施形態においては、各々の支持側貫通孔31a・31aの断面形状)は、締結部材53の断面形状に比べて大きく設定されている。
【0050】
このような構成を有することにより、本実施形態におけるステー1によれば、一対の固定側貫通孔22a・22a、及び一対の支持側貫通孔31a・31aに締結部材53・53を各々差込んだ状態において、少なくとも、これらの固定側貫通孔22a及び支持側貫通孔31aの内周部にて締結部材53が相対的に移動可能な範囲内にて、固定部材2及び支持部材3の接続位置を、互いに相対的に変移させることができ、当該固定部材2に対する支持部材3の接続位置を、容易に微調整することができる。
【0051】
[ステー201(第1別実施形態)の構成]
次に、本発明の第1別実施形態におけるステー201の構成について、図3(a)(b)(c)を用いて説明する。
【0052】
第1別実施形態におけるステー201は、前述した本実施形態におけるステー1と略同等な構成を有する一方、支持物103(図1を参照)の支持位置を高さ方向(本実施形態においては、略上下方向)に変移可能な第1変移手段205を備える点について、当該ステー1と相違する。
よって、以下の説明においては、主に本実施形態におけるステー1との相違点について記載し、当該ステー1と同等な構成についての記載は省略する。
【0053】
なお、上記第1変移手段205は、本発明に係る変移手段の一例である。
【0054】
ステー201は、主に、アシストグリップ106(図1を参照)を介してAピラー104に固定される固定部材202と、固定部材202に接続され、支持物103を支持する支持部材203と、固定部材202に対する支持部材203の高さ方向の位置を変移可能な第1変移手段205とを備える。
なお、固定部材202及び支持部材203は、前述した本実施形態における固定部材2及び支持部材3と同等の構成を有するため、説明の記載は省略する。
【0055】
第1変移手段205(以下、適宜「第1変移手段205a」と記載)は、例えば図3(a)に示すように、固定部材202に設けられる複数(本別実施形態においては、4個)の固定側貫通孔222a・222a・222a・222aと、支持部材203に設けられる一対の支持側貫通孔231a・231aと、これらの固定側貫通孔222a及び支持側貫通孔231aを介して、固定部材202と支持部材203とを締結する一対の締結部材253a・253aとを有する。
なお、上記固定側貫通孔222aは、本発明に係る第3貫通孔の一例であり、上記支持側貫通孔231aは、本発明に係る第4貫通孔の一例であり、上記締結部材253aは、本発明に係る第1締結部材の一例である。
【0056】
複数の固定側貫通孔222a・222a・222a・222aは、一対の支持側貫通孔231a・231aと等間隔で配置された、複数対(本別実施形態においては、2対)の貫通孔によって構成されている。つまり、固定側貫通孔222aは、各々の支持側貫通孔231aに比べて少なくとも1個以上多く設けられている。
また、複数の固定側貫通孔222a・222a・222a・222aは、固定部材202の接続部222において、高さ方向に沿って各々配列されている。
【0057】
このような構成からなる第1変移手段205aを備えることにより、本別実施形態におけるステー201によれば、締結部材253を用いて支持部材203の支持側貫通孔231aとともに締結される、固定部材202の固定側貫通孔222aを適宜変更することで、固定部材202に対する支持部材203の高さ方向の位置、即ち当該支持部材203によって支持された支持物103の高さ方向の位置を、容易に変更することができる。
【0058】
また、本別実施形態の他の例として、第1変移手段205(以下、適宜「第1変移手段205b」と記載)は、例えば図3(b)に示すように、固定部材202に設けられる一対の固定側貫通孔222b・222bと、支持部材203に設けられる一対の支持側貫通孔231b・231bと、これらの固定側貫通孔222b及び支持側貫通孔231bを介して、固定部材202と支持部材203とを締結する一対の締結部材253b・253bとを有する。つまり、固定側貫通孔222bと支持側貫通孔231bとは、互いに同等の個数(本実施形態においては、2個)だけ設けられている。
なお、上記固定側貫通孔222bは、本発明に係る第5貫通孔の一例であり、上記支持側貫通孔231bは、本発明に係る第6貫通孔の一例であり、上記締結部材253bは、本発明に係る第2締結部材の一例である。
【0059】
各固定側貫通孔222bは、高さ方向に延びる長円形状に形成されている。
また、一対の固定側貫通孔222b・222bは、固定部材202の接続部222において、高さ方向に沿って各々配列されている。
【0060】
このような構成からなる第1変移手段205bを備えることにより、本別実施形態におけるステー201によれば、固定部材202の固定側貫通孔222bの内側において、固定部材202と支持部材203とを締結する締結部材253bの位置を任意に変更することで、固定部材202に対する支持部材203の高さ方向の位置、即ち当該支持部材203によって支持された支持物103の高さ方向の位置を、容易に変移させることができる。
【0061】
さらに、本別実施形態の他の例として、第1変移手段205(以下、適宜「第1変移手段205c」と記載)は、例えば図3(c)に示すように、固定部材202に設けられる一つの固定側貫通孔222cと、支持部材203に設けられる一対の支持側貫通孔231cと、これらの固定側貫通孔222c及び支持側貫通孔231cを介して固定部材202と支持部材203とを貫通し、固定部材202と支持部材203とを連結する連結ピン253cとを有する。
なお、上記固定側貫通孔222cは、本発明に係る第7貫通孔の一例であり、上記支持側貫通孔231cは、本発明に係る第8貫通孔の一例である。
【0062】
固定側貫通孔222cは、固定部材202の接続部222に設けられ、高さ方向に延びる移動溝部222c1と、移動溝部222c1より直角方向に延びる複数の支持溝部222c2・222c2・・・とより構成された櫛型形状に形成されている。
また、連結ピン253cは、固定側貫通孔222cに貫通した状態で、これらの移動溝部222c1及び支持溝部222c2の内側を摺動可能な構成となっている。
【0063】
このような構成からなる第1変移手段205cを備えることにより、本別実施形態におけるステー201によれば、固定部材202の固定側貫通孔222cの内側において、固定部材202と支持部材203とを連結する連結ピン253cを、任意の支持溝部222c2に適宜掛止させることで、固定部材202に対する支持部材203の高さ方向の位置、即ち当該支持部材203によって支持された支持物103の高さ方向の位置を、容易に変移させることができる。
【0064】
[ステー301(第2別実施形態)の構成]
次に、本発明の第2別実施形態におけるステー301の構成について、図4(a)を用いて説明する。
【0065】
第2別実施形態におけるステー301は、前述した本実施形態におけるステー1と略同等な構成を有する一方、支持物103の支持位置(より具体的には、上下方向の傾斜角度)を変移可能な第2変移手段305を備える点について、当該ステー1と相違する。
よって、以下の説明においては、主に本実施形態におけるステー1との相違点について記載し、当該ステー1と同等な構成についての記載は省略する。
【0066】
なお、上記第2変移手段305は、本発明に係る変移手段の一例である。
【0067】
ステー301は、主に、アシストグリップ106(図1を参照)を介してAピラー104に固定される固定部材302と、固定部材302に接続され、支持物103を支持する支持部材303と、固定部材302に対する支持部材303の上下方向の傾斜角度を変移可能な第2変移手段305とを備える。
なお、固定部材302は、前述した本実施形態における固定部材2と同等の構成を有するため、説明の記載は省略する。
【0068】
支持部材303は、固定部材302に接続される第1支持部材331と、支持物103を支持する第2支持部材332とを有する。
第1支持部材331及び第2支持部材332は、それぞれ一方に延出する矩形帯板形状の部材からなり、互いに略直角方向に突き合せた状態で配置される。
【0069】
具体的には、第1支持部材331は、固定部材302の接続部322に沿って、略上下方向に延出させた状態で配置される。
また、第2支持部材332は、第1支持部材331の下端部から車内中央側に向かって延出させた状態で配置される。
【0070】
そして、前述した本実施形態における支持部材3と同様に、支持部材303は、第1支持部材331において、ボルト及びナット等の締結部材353・353を用いて、固定部材302の接続部322に接続(締結)される。
【0071】
第2変移手段305は、支持部材303に設けられ、主に、第1支持部材331に対して第2支持部材332を上下方向に回動可能に、第1支持部材331と第2支持部材332とを互いに連結する第1回動軸356と、第1支持部材331に対する第2支持部材332の位置を保持可能な第1保持手段357とを有する。
【0072】
上記第1保持手段357の構成については、特に限定されることはなく、例えば本別実施形態においては、第1回動軸356の近傍において、第1支持部材331より突出して設けられる第1突出部位331aと、同じく第1回動軸356の近傍において、第2支持部材332より突出して設けられる第2突出部位332aと、図示せぬロックピンとにより構成されている。
【0073】
第2突出部位332aには一つの貫通孔(図示せず)が設けられている。
また、第1突出部位331aには、当該第2突出部位332aの貫通孔の軌跡に沿って、複数の貫通孔331a1・331a1・・・が設けられている。
【0074】
そして、第1突出部位331aにおける任意の貫通孔331a1、及び第2突出部位332aにおける貫通孔に、上記ロックピンを嵌挿させることにより、第1支持部材331に対する第2支持部材332の位置が保持される。
【0075】
このような構成からなる第2変移手段305を備えることにより、本別実施形態におけるステー301によれば、第1回動軸356を中心にして第2支持部材332を回動させることで、固定部材302に対する支持部材303の上下方向の傾斜角度、即ち当該支持部材303によって支持される支持物103の上下方向の傾斜角度を、容易に変移させることができる。
【0076】
[ステー401(第3別実施形態)の構成]
次に、本発明の第3別実施形態におけるステー401の構成について、図4(b)を用いて説明する。
【0077】
第3別実施形態におけるステー401は、前述した本実施形態におけるステー1と略同等な構成を有する一方、後述する前方支持位置P1と側方支持位置P2との間で、支持物103の支持位置を変移可能な第3変移手段405を備える点について、当該ステー1と相違する。
よって、以下の説明においては、主に本実施形態におけるステー1との相違点について記載し、当該ステー1と同等な構成についての記載は省略する。
【0078】
なお、上記第3変移手段405は、本発明に係る変移手段の一例である。
【0079】
ステー401は、主に、アシストグリップ106を介してAピラー104に固定される固定部材402と、固定部材402に接続され、支持物103を支持する支持部材403と、固定部材402に対する支持部材403の位置を略水平方向に変移可能な第3変移手段405とを備える。
なお、固定部材402は、前述した本実施形態における固定部材2と同等の構成を有するため、説明の記載は省略する。
【0080】
支持部材403は、固定部材402に接続される第3支持部材431と、支持物103を支持する第4支持部材432とを有する。
第3支持部材431は、例えば、L字状に屈曲形成された略矩形帯板形状の部材からなり、一方に延出する基端部431aと、基端部431aの長手方向の一端部より略直角方向に向かって一方に延びる延出部431bとを有する。
また、第4支持部材432は、一方に延出する矩形帯板形状の部材からなり、第3支持部材431の延出部431bより略水平方向に延びるように配置されている。
【0081】
具体的には、第3支持部材431は、固定部材402の接続部422に沿って、基端部431aを略上下方向に延出させた状態で配置される。
また、第4支持部材432は、第3支持部材431の延出部431bから車内中央側に向かって延出させた状態で配置される。
【0082】
そして、前述した本実施形態における支持部材3と同様に、支持部材403は、第3支持部材431の基端部431aにおいて、ボルト及びナット等の締結部材(図示せず)を用いて、固定部材402の接続部422に接続(締結)される。
【0083】
第3変移手段405は、支持部材403に設けられ、主に、支持物103が運転席102の前方に配置された状態となる前方支持位置P1と、支持物103が運転席102のAピラー104側における側方(本実施形態においては、右側)に配置された状態となる側方支持位置P2との間において、第3支持部材431に対して第4支持部材432を前後方向に回動可能に、第3支持部材431と第4支持部材432とを互いに連結する第2回動軸456と、第3支持部材431に対する第4支持部材432の位置を保持可能な第2保持手段457とを有する。
【0084】
上記第2保持手段457の構成については、特に限定されることはなく、例えば本別実施形態においては、第2回動軸456の近傍において、第4支持部材432に設けられる一つの貫通孔(図示せず)と、同じく第2回動軸456の近傍において、第3支持部材431の延出部431bに設けられ、前方支持位置P1及び側方支持位置P2における当該第4支持部材432の貫通孔と重なる位置に各々配置される一対の貫通孔431b1・431b1と、図示せぬロックピンとにより構成されている。
【0085】
そして、第3支持部材431における一方の貫通孔431b1、及び第4支持部材432における貫通孔に、上記ロックピンを嵌挿させることにより、第3支持部材431に対する第4支持部材432の位置が保持される。
【0086】
このような構成からなる第3変移手段405を備えることにより、本別実施形態におけるステー401によれば、第2回動軸456を中心にして第4支持部材432を回動させることで、上記前方支持位置P1と上記側方支持位置P2との間で、固定部材402に対する支持部材403の位置、即ち当該支持部材403によって支持される支持物103の位置を、容易に変移させることができる。
そして、上記側方支持位置P2に支持物103の位置を変移させることにより、例えば、運転席102側のフロントドアの窓Wを開けた状態で、運転室101内に位置する支持物103を、車両100(図2を参照)の外部から容易に操作することができる。
【0087】
以上のように、本実施形態におけるステー1は、Aピラー104にアシストグリップ106が固定された運転室101内において、運転席102の前方に配置される支持物103を支持するステーであって、アシストグリップ106におけるAピラー104側との反対側(左側)において、当該アシストグリップ106に固定される固定部材2と、固定部材2に接続され、支持物103を支持する支持部材3とを備える構成となっている。
【0088】
このように、本実施形態におけるステー1(201、301、または401)においては、アシストグリップ106に固定される固定部材2(202、302、または402)と、当該固定部材2に接続される支持部材3(203、303、または403)とからなる二分割構造を有することから、例えば、ステー1の取付位置や高さや取付角度等の微調整を行う必要が生じた場合であっても、アシストグリップ106に一旦固定された固定部材2の状態を変更することなく、当該固定部材2に対する支持部材3の接続位置を微調整することにより、容易に対応することができる。
【0089】
また、固定部材2は、アシストグリップ106におけるAピラー104側との反対側(左側)において、当該アシストグリップ106に固定されるため、例えば、アシストグリップ106とAピラー104との間に挟み込んだ状態で、アシストグリップ106とともにAピラー104に取り付けられる従来のステーのように、当該アシストグリップ106を取り外す(或いは、締結部材を緩めて、アシストグリップ106を固定状態から解放する)ことなく、上記微調整を容易に行うことができる。
【0090】
さらに、車両の車種によっては、メーカや機種(例えば、大型車両、中型車両、小型車両)の違いによって、アシストグリップ106の形状や、当該アシストグリップ106におけるAピラー104への取付部位の位置などが様々であることから、上記従来のステーにおいては、車両の車種に応じて、様々な形状のものを用意する必要があったが、本実施形態におけるステー1においては、車両の車種に応じた固定部材2を用意することで、少なくとも支持部材3の形状については共通化を図ることができる。
【0091】
以上、本発明を具現化する一実施形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、及び範囲内の全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0092】
1、201、301、401 ステー
101 運転室
102 運転席
103 支持物
104 Aピラー
106 アシストグリップ
106a 座繰り孔
2、202、302、402 固定部材
205、205a、205b、205c 第1変移手段(変移手段)
21 基端部
22 接続部
222a 固定側貫通孔(第3貫通孔)
222b 固定側貫通孔(第5貫通孔)
222c 固定側貫通孔(第7貫通孔)
222c1 移動溝部
222c2 支持溝部
22a 固定側貫通孔(第1貫通孔)
23 ブッシング(嵌合部)
231a 支持側貫通孔(第4貫通孔)
231b 支持側貫通孔(第6貫通孔)
231c 支持側貫通孔(第8貫通孔)
253a 締結部材(第1締結部材)
253b 締結部材(第2締結部材)
253c 連結ピン
3、203、303、403 支持部材
305 第2変移手段(変移手段)
31a 支持側貫通孔(第2貫通孔)
331 第1支持部材
332 第2支持部材
356 第1回動軸
357 第1保持手段
405 第3変移手段(変移手段)
431 第3支持部材
432 第4支持部材
456 第2回動軸
457 第2保持手段
52 締結部材
53 締結部材
P1 前方支持位置
P2 側方支持位置
図1
図2
図3
図4