(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162157
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】標識発生装置、標識発生装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
G08G1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077443
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹下 浩
(72)【発明者】
【氏名】太田 祥司
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 敦
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 篤史
(72)【発明者】
【氏名】松浦 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】荒井 正仁
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB20
5H181CC04
5H181CC05
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL08
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】的確に運転者に横断者の存在を気付かせることができる標識発生装置、標識発生装置の制御方法、及びプログラムを提供すること。
【解決手段】本開示に係る標識発生装置は、横断歩道を渡ろうとする横断者と、横断歩道に接近してくる車両と、を検出する検出部と、横断歩道に沿って車道を塞ぐ方向に突出する突出部と、突出部の作動を制御する作動制御部と、を備え、作動制御部は、検出部が横断者と車両を検出した場合に、突出部を突出させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断歩道を渡ろうとする横断者と、横断歩道に接近してくる車両と、を検出する検出部と、
横断歩道に沿って車道を塞ぐ方向に突出する突出部と、
前記突出部の作動を制御する作動制御部と、を備え、
前記作動制御部は、前記検出部が前記横断者と前記車両を検出した場合に、前記突出部を突出させる、
標識発生装置。
【請求項2】
前記突出部は、上下方向に移動可能であり、
前記検出部は、さらに前記車両の運転席の高さを検出し、
前記作動制御部は、前記車両の運転席の高さに応じて前記突出部の高さを調整して突出させる、
請求項1に記載の標識発生装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記車両の接近する速度と、前記横断歩道までの距離を検出し、
前記速度と前記距離とから、車両が横断歩道に到達するまでの時間と、車両が減速し始めたことの有無とを求め、車両の危険度を算出する危険度算出部と、をさらに備え、
前記作動制御部は、前記危険度に応じて前記突出部を制御する、
請求項1または2に記載の標識発生装置。
【請求項4】
横断歩道の周辺の状況に関する情報を示すセンサデータを取得するステップと、
前記センサデータに基づいて、横断歩道を渡ろうとする横断者と、横断歩道に接近してくる車両の有無を検出するステップと、
横断歩道を渡ろうとする横断者と、横断歩道に接近してくる車両を検出した場合に、横断歩道に沿って車道を塞ぐ方向に突出部を突出させるステップと、
を含む、標識発生装置の制御方法。
【請求項5】
横断歩道の周辺の状況に関する情報を示すセンサデータを取得するステップと、
前記センサデータに基づいて、横断歩道を渡ろうとする横断者と、横断歩道に接近してくる車両の有無を検出するステップと、
横断歩道を渡ろうとする横断者と、横断歩道に接近してくる車両を検出した場合に、横断歩道に沿って車道を塞ぐ方向に突出部を突出させるステップと、
をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、標識発生装置、標識発生装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路わきに常設されている標識では、運転者が標識に気付きにくいことがあった。また、歩行者がいる際にだけ注意喚起できるものとしては、踏み切りの遮断機のようなものがあるが、現実的には設置が困難であり、車にも横断者にも危険が及ぶことがあった。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、信号機のない横断歩道上の交通事故防止を目的とし、横断者が安全に横断できる装置で、押しボタン信号機の設置に変わり安価に設置施工ができる歩行者横断表示灯装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の歩行者横断表示灯装置においては、横断者がいる場合に、横断歩道の両側にある表示灯が点灯するが、視野が狭い運転者にとっては、見落とす可能性があった。
【0006】
本開示は上記課題を鑑み、的確に運転者に横断者の存在を気付かせることができる標識発生装置、標識発生装置の制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る標識発生装置は、横断歩道を渡ろうとする横断者と、横断歩道に接近してくる車両と、を検出する検出部と、横断歩道に沿って車道を塞ぐ方向に突出する突出部と、前記突出部の作動を制御する作動制御部と、を備え、前記作動制御部は、前記検出部が前記横断者と前記車両を検出した場合に、前記突出部を突出させる。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る標識発生装置の制御方法は、横断歩道の周辺の状況に関する情報を示すセンサデータを取得するステップと、前記センサデータに基づいて、横断歩道を渡ろうとする横断者と、横断歩道に接近してくる車両の有無を検出するステップと、横断歩道を渡ろうとする横断者と、横断歩道に接近してくる車両を検出した場合に、横断歩道に沿って車道を塞ぐ方向に突出部を突出させるステップと、を含む。
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るプログラムは、横断歩道の周辺の状況に関する情報を示すセンサデータを取得するステップと、前記センサデータに基づいて、横断歩道を渡ろうとする横断者と、横断歩道に接近してくる車両の有無を検出するステップと、横断歩道を渡ろうとする横断者と、横断歩道に接近してくる車両を検出した場合に、横断歩道に沿って車道を塞ぐ方向に突出部を突出させるステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、的確に運転者に横断者の存在を気付かせることができる標識発生装置、標識発生装置の制御方法、及びプログラムができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示に係る標識発生装置の概要を説明する図である。
【
図2】
図2は、本開示に係る標識発生装置の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示に係る標識発生装置の制御装置の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示に係る標識発生装置のセンサデータ記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示に係る標識発生装置の危険度記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示に係る標識発生装置の突出量記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示に係る標識発生装置の制御方法のフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
(標識発生装置の概要)
まず、本開示に係る標識発生装置100の概要について、
図1を用いて説明する。
図1は、本開示に係る標識発生装置の概要を説明する図である。
図1に示すように、本開示に係る標識発生装置100は、道路わきに設置されて、車両Cの運転者に横断歩道を渡る横断者Uの存在を気付かせる標識となる、後述して説明する突出部150を突出させる装置である。
【0014】
横断者Uは、
図1に示すように、横断歩道を渡ろうとする際に、後述して説明する作動指示ボタン120を押して、突出部150を突出させることにより、横断歩道に近づいてくる車両Cの運転者に自身の存在を知らせる。
【0015】
なお、突出部150は、
図1に示すように、空気で膨らむフラッグ(旗ともいえる)であってよく、複数本の細長いフラッグとして、短時間の空気の送入でも車道の上面まで膨らむ構造であってよい。また、突出部150は、横断者Uが横断報道を渡り終わったら自動的に萎むようにしてもよい。
【0016】
これにより、横断者Uが横断歩道を渡る時に、車両Cの運転者に自身の存在を的確に気付かせることができるため、横断者Uが安心して横断歩道を渡ることができる。また、突出部150は、空気による標識のため、車両C、もしくは横断者Uの安全が確保でき、横断者Uが横断報道を渡り終わったら自動的に萎むことで遮断機のような機能を実現できる。
【0017】
(標識発生装置の構成)
次に、本開示に係る標識発生装置100の構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、本開示に係る標識発生装置の構成例を示す図である。
図2に示すように、本開示に係る標識発生装置100は、センサ部110と、作動指示ボタン120と、制御装置130と、コンプレッサ140と、突出部150と、を備える。以下、これらの構成について順を追って説明する。
【0018】
センサ部110は、横断歩道の周辺の状況に関する情報を計測する。例えば、センサ部110は、カメラであってよい。カメラは、光学素子と撮像素子を含む。光学素子は、例えばレンズ、ミラー、プリズム、フィルタなどの光学系を構成する素子である。撮像素子は、光学素子を通して入射した光を電気信号である画像信号に変換する素子である。なお、撮像素子は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどである。
【0019】
センサ部110は、ToF(Time Of Flight)方式反射型レーザセンサであってもよい。ToF方式反射型レーザセンサは、パルス投光したレーザー光が対象物表面で反射して返ってくるまでの時間を基に対象物までの距離を測定する。パルス透光したレーザー光が対象物表面において反射して受光するまでの時間をT、光の速さをCとすると、次の式(1)により、ToF方式反射型レーザセンサと対象物の距離Yを求めることができる。
Y=C×T/2・・・(1)
【0020】
作動指示ボタン120は、横断者Uから突出部150の作動指示を受け付ける。すなわち、横断者Uによって作動指示ボタン120が押下されると、後述する制御装置130のI/F部131を介して、突出部150に対して作動指令が伝達されて、突出部150を突出させる。なお、この場合の突出部150の突出量は任意に設定されてよい。作動指示ボタン120は、任意の電子回路によって実現されてよい。なお、横断者Uが自発的に作動指示ボタン120を押下して横断の意思を検出する他に、後述するようにセンサ部110が横断者Uを検出することで横断の意思を検出してもよい。例えば、横断歩道を渡る方向に移動する人や、横断歩道の手前で立ち止まった人を横断者Uとして検出する。
【0021】
制御装置130は、標識発生装置100を制御する制御装置である。
図3は、本開示に係る標識発生装置の制御装置の構成例を示す図である。
図3に示すように、本開示に係る標識発生装置100の制御装置130は、I/F部131と、記憶部132と、制御部133と、を備える。以下、これらの構成について、順を追って説明する。
【0022】
I/F部131は、制御装置130の、後述して説明する制御部133と外部の構成をつなぎ相互に情報のやり取りをする。すなわち、I/F部131は、センサ部110と、作動指示ボタン120から制御部133に対して情報を伝達する。I/F部131は、例えば、CAN(Controller Area Network)バスなどにより実現されてよい。
【0023】
記憶部132は、各種の情報を記憶する記憶装置である。記憶部132は、主記憶装置と、補助記憶装置と、を備える。主記憶装置は、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等のような半導体メモリ素子によって実現されてよい。また、補助記憶装置は、例えばハードディスクやSSD(Solid State Drive)、光ディスク等によって実現されてよい。
【0024】
図3に示すように、記憶部132は、センサデータ記憶部1321と、危険度記憶部1322と、突出量記憶部1323と、を備える。以下、これらに記憶される情報の一例について、順を追って説明する。
【0025】
(センサデータ記憶部について)
センサデータ記憶部1321は、センサデータに関係する情報を記憶する。
図4を用いて、センサデータ記憶部1321に記憶される情報の一例について説明する。
図4は、本開示に係る標識発生装置のセンサデータ記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【0026】
図4に示す例において、センサデータ記憶部1321は、「取得日時」、「センサデータ」という項目に係る情報を紐付けて記憶する。
【0027】
「取得日時」は、センサデータを取得した日時を示す情報である。「センサデータ」は、横断歩道の周辺の状況に関する情報を示し、センサ部110により収集されたデータである。すなわち、例えば、カメラによって撮像された画像データや、ToF方式反射型レーザセンサにより計測された距離データである。
【0028】
すなわち、
図4においては、取得日時「DT#1」に取得されたセンサデータが「SNDT#1」として記憶されている例が示されている。
【0029】
なお、センサデータ記憶部1321は、「取得日時」、「センサデータ」という項目に係る情報に限定されることなく、その他の任意のセンサデータに関係する情報が記憶されてよい。
【0030】
(危険度記憶部について)
危険度記憶部1322は、横断歩道に近付いてくる車両の危険度を記憶する。
図5を用いて、危険度記憶部1322に記憶される情報の一例について説明する。
図5は、本開示に係る標識発生装置の危険度記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【0031】
図5に示す例において、危険度記憶部1322は、「距離」に対応付けて、「減速なし」、及び「減速あり」の場合の危険度の一例が記憶されている。
【0032】
「距離」は、横断歩道に近づいてくる車両の横断歩道までの距離を示す。「減速なし」の下方に示される数値は、「距離」に示される距離に位置し、減速なしで横断歩道に近づいてくる車両の危険度を示す。「減速あり」の下方に示される数値は、「距離」に示される距離に位置し、減速ありで横断歩道に近づいてくる車両の危険度を示す。
【0033】
すなわち、
図5においては、「距離」が100mであって、「減速なし」の場合は、危険度が10、「減速あり」の場合は、危険度が0であることが一例として記憶されていることが示されている。
図5の例では、危険度の数値が大きいほど危険であることを示している。危険度の数値は、
図5に示される値に限定されることなく、任意に設定して危険度記憶部1322に記憶されてよい。
【0034】
なお、危険度記憶部1322は、「距離」に対応付けられた「減速なし」、及び「減速あり」の場合の危険度の一例に限定されることなく、その他の任意の危険度に関係する情報が記憶されてよい。例えば、「所定の距離における速度」と、乗用車、トラック、オートバイなど「車両の種類」とを対応付けてもよい。
【0035】
(突出量記憶部について)
突出量記憶部1323は、危険度に応じた突出部150の突出量の減少量に関する情報を記憶する。
図6を用いて、突出量記憶部1323に記憶される情報の一例について説明する。
図6は、本開示に係る標識発生装置の突出量記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【0036】
図6に示す例において、突出量記憶部1323は、「危険度」、「突出量減少量」という項目に係る情報を紐付けて記憶する。
【0037】
「危険度」は、横断歩道に近づいてくる車両の危険度を示し、例えば、最も危険な場合を100とする数値によって表されてもよいし、5段階などの複数の段階に分けて表されてもよいし、最も危険な場合を100パーセントとしてパーセントによって表されてもよい。例えば、「危険度」は、
図5で求められる数値である。「突出量減少量」は、「危険度」に応じた突出部150の突出量の減少量を示し、例えば、mやcmなどの長さの単位によって表される。
【0038】
すなわち、
図6においては、「危険度」が100である場合は、「突出量減少量」が50cmであるとして記憶されている例が示されている。
【0039】
なお、突出量記憶部1323は、「危険度」、「突出量減少量」という項目に係る情報に限定されることなく、その他の任意の突出量の減少量、または増加量に関係する情報が記憶されてよい。
【0040】
(制御部について)
制御部133は、制御装置130を司り、制御するコントローラである。制御部133は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部132に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部133は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0041】
図3に示すように、制御部133は、取得部1331と、検出部1332と、危険度算出部1333と、判断部1334と、作動制御部1335と、を備える。制御部133は、記憶部132からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、これらの機能を実現して、これらの処理を実行する。なお、制御部133のこれらの構成は、電子回路によって実現されてもよい。また、制御部133は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、複数のCPUで、これらの処理を並列に実行してもよい。以下、これらの構成について順を追って説明する。
【0042】
取得部1331は、横断歩道の周辺の状況に関する情報を示すセンサデータを取得する。具体的には、取得部1331は、センサ部110が取集したセンサデータを取得する。すなわち、取得部1331は、センサ部110のカメラにより撮像された画像データや、ToF型反射レーザセンサにより計測された距離データを取得する。取得部1331は、センサ部110からセンサデータを取得したら、取得したセンサデータを取得日時に対応付けて、センサデータ記憶部1321に記憶する。
【0043】
検出部1332は、センサデータに基づいて、各種の情報を検出する。例えば、検出部1332は、横断歩道を渡ろうとする横断者と、横断歩道に接近してくる車両と、を検出する。具体的には、検出部1332は、画像データに基づいて、画像認識処理を実行して、横断歩道を渡ろうとする横断者と、横断歩道に接近してくる車両を検出する。すなわち、検出部1332は、画像データに撮像されたオブジェクトを検出し、検出したオブジェクトを分類する処理を実行する。例えば、画像データの画素(ピクセル)を、どの物体クラスに属するかにより分類する手法であるセマンティック・セグメンテーション(Semantic Segmentation)により実現されてよい。
【0044】
また、検出部1332は、さらに車両の運転席の高さを検出する。具体的には、検出部1332は、画像データから車両のオブジェクトが検出された後に、車両を分類する処理を実行することにより、検出された車両の車種を特定する。そして、検出部1332は、特定された車種の運転席の高さを、ネットワークを介して、外部のサーバ装置から取得することにより、車両の運転席の高さを検出してよい。なお、検出部1332は、画像データに基づいて、運転者の頭の高さを検出してもよい。すなわち、画像データからオブジェクト検出によって運転者の頭を検出して、外部のサーバ装置から取得した車両の運転席の高さに基づいて、画像データにおける車道から運転者の頭の距離から、運転者の頭の高さを検出してよい。
【0045】
また、検出部1332は、車両の接近する速度と、横断歩道までの距離を検出する。例えば、所定期間(例えば、3秒)の前後の1フレームの画像データを用意して、寸法が把握できている路面標示(例えば、速度文字)などの目印を基にして、車両の移動距離を計測する。そして、移動距離を所定期間により除算することにより、車両の速度を検出してよい。なお、検出部1332は、車両の速度を連続して検出してよい。すなわち、所定期間のフレームの画像データが撮像されるごとに車両の速度を検出してよい。また、車両の横断歩道までの距離は、車両の位置から横断歩道までの距離を、同様に、寸法が把握できている路面標示などの目印を基にして大きさを比較することにより、検出してよい。
【0046】
危険度算出部1333は、車両の速度と距離から、車両が横断歩道に到達するまでの時間と、車両が減速し始めたことの有無とを求め、車両の危険度を算出する。車両が横断歩道に到達するまでの時間は、検出部1332が検出した車両の横断歩道までの距離を、車両の速度によって除算することによって求める。また、車両が減速した始めたことの有無は、検出部1332が検出した車両の速度を連続して記録したデータから判断する。そして、危険度算出部1333は、車両の横断歩道までの距離と、減速の有無に対応付けて、危険度記憶部1322に記憶された危険度を読み出すことにより、車両の危険度を算出する。例えば、
図5に示す例においては、距離が100mであって、減速なしの場合であれば、危険度は10と算出される。
【0047】
判断部1334は、突出部150の作動を判断する。具体的には、判断部1334は、横断歩道を渡ろうとする横断者と、横断歩道に接近してくる車両と、を検出した場合に、突出部150の作動を判断する。判断部1334は、突出部150の作動を判断したら、作動制御部1335に突出部150を作動させる。
【0048】
作動制御部1335は、突出部150の作動を制御する。具体的には、作動制御部1335は、突出部150の突出量を定めて、突出部150が定められた突出量になるようにコンプレッサ140の送出空気量を制御する。
【0049】
作動制御部1335は、検出部1332が横断者と車両を検出した場合に、突出部150を突出させる。すなわち、作動制御部1335は、判断部1334の判断に基づいて、突出部150を突出させる。
【0050】
作動制御部1335は、車両の運転席の高さに応じて突出部150の高さを調整して突出させる。すなわち、作動制御部1335は、検出部1332が検出した車両の運転席の高さに応じて、突出部150の高さを運転席の高さと同じ高さになるように調整する。なお、検出部1332が運転者の頭の高さを検出した場合は、突出部150の高さを運転者の頭の高さに合わせる調整をしたうえで、突出部150を突出させてもよい。これにより、突出部150が運転者の死角に入って、運転者が突出部150に気付かないことを防ぐことができる。
【0051】
作動制御部1335は、危険度に応じて突出部150を制御する。例えば、作動制御部1335は、危険度に応じて突出部150の突出量を減少させる。具体的には、作動制御部1335は、危険度算出部1333が検出した車両の危険度に基づいて、突出量記憶部1323に記憶された突出量を読み出して、読み出した突出量だけ、突出部150の突出量を減少させる。すなわち、車両が横断歩道に近づいてくるときに、減速なしで距離が近づくに連れて、危険度が増加することから、車両が横断歩道に近づくに連れて、突出部150の突出量を減少させる。すなわち、突出部150の突出量を減少させることで、突出部150と車両の接触を回避することができる。
【0052】
コンプレッサ140は、圧縮空気を突出部150に供給する。コンプレッサ140は、空気圧縮機であってよい。空気圧縮機は、スクリューロータを回転させて空気を圧縮するスクリュー型や、ピストンの往復運動により空気を圧縮するレシプロ型、羽根車の回転を使った遠心力により空気を圧縮するターボ型などの任意の空気圧縮機であってよい。
【0053】
突出部150は、横断歩道に沿って車道を塞ぐ方向に突出する。突出部150は、空気で膨らむフラッグ(旗ともいえる)であってよく、ビニール製の複数本の細長いフラッグとして、短時間の空気の送入でも車道の上面まで膨らむ構造であってよい。また、突出部150は、横断者Uが横断報道を渡り終わったら、作動制御部1335によって圧縮空気の供給を止めて、自動的に萎むようにしてもよい。
【0054】
突出部150は、上下方向に移動可能である。すなわち、突出部150は、ステッピングモーターの駆動によって上下方向に移動する電動スライダにより実現されてよい。電動スライダは、ステッピングモーターの駆動により、ボールねじを回転させて、ボールねじナットに固定されたテーブルを上下に移動させる。そのため、テーブルに突出部150を備えることにより、突出部150を上下方向に移動可能とすることができる。これにより、突出部150が運転者の死角に入ることにより、運転者が突出部150に気付かないことを防ぐことができる。
【0055】
(標識発生装置100の制御方法について)
次に、本開示に係る標識発生装置100の制御方法について、
図7を用いて説明する。
図7は、本開示に係る標識発生装置の制御方法のフローを示すフローチャートである。
図7に示すフローチャートに沿って、本開示に係る標識発生装置100の制御方法について説明する。
【0056】
まず、標識発生装置100は、横断歩道の周辺の状況に関する情報を示すセンサデータを取得する(ステップS101)。次に、標識発生装置100は、センサデータに基づいて、画像認識処理を実行する(ステップS102)。次に、標識発生装置100は、横断歩道を渡ろうとする横断者を検出したか否かを判定する(ステップS103)。横断歩道を渡ろうとする横断者を検出した場合(ステップS103:Yes)、標識発生装置100は、横断歩道に接近してくる車両を検出したか否かを判定する(ステップS104)、横断歩道に接近してくる車両を検出した場合(ステップS104:Yes)、標識発生装置100は、突出部150を突出させる(ステップS105)。
【0057】
なお、ステップS103において、横断歩道を渡ろうとする横断者を検出していない場合(ステップS103:No)、標識発生装置100は、本開示に係る標識発生装置100の制御方法の処理を終了する。また、ステップS104において、横断歩道に接近してくる車両を検出していない場合も(ステップS104:No)、標識発生装置100は、本開示に係る標識発生装置100の制御方法の処理を終了する。
【0058】
なお、上述した標識発生装置100の制御方法は、標識発生装置100により実行されてもよいし、標識発生装置100の制御装置130の制御部133が備えるCPUに処理を実行させるプログラムにより実行されもよい。
【0059】
これによれば、横断者Uが横断歩道を渡ろうとすることを検出した時に、横断歩道に接近してくる車両Cが検出された場合に、車両Cの進行方向を塞ぐ方向に突出部150を突出させて、当該の車両Cの運転者に横断者Uの存在を気付かせることができる。したがって、的確に運転者に横断者Uの存在を気付かせることができる標識発生装置100の制御方法、及びプログラムを提供することができる。
【0060】
(構成と効果)
本開示に係る標識発生装置100は、横断歩道を渡ろうとする横断者と、横断歩道に接近してくる車両と、を検出する検出部1332と、横断歩道に沿って車道を塞ぐ方向に突出する突出部150と、突出部150の作動を制御する作動制御部1335と、を備え、作動制御部1335は、検出部1332が横断者と車両を検出した場合に、突出部150を突出させる。
【0061】
この構成によれば、横断者Uが横断歩道を渡ろうとすることを検出した時に、横断歩道に接近してくる車両Cが検出された場合に、車両Cの進行方向を塞ぐ方向に突出部150を突出させて、当該の車両Cの運転者に横断者の存在を気付かせることができる。したがって、的確に運転者に横断者Uの存在を気付かせることができる標識発生装置100を提供することができる。
【0062】
本開示に係る標識発生装置100の突出部150は、上下方向に移動可能であり、検出部1332は、さらに車両の運転席の高さを検出し、作動制御部1335は、車両の運転席の高さに応じて突出部150の高さを調整して突出させる。
【0063】
この構成によれば、横断者Uが横断歩道を渡ろうとすることを検出した時に、横断歩道に接近してくる車両Cが検出された場合に、車両の運転席の高さに応じて、突出部150の高さを調整した上で、突出部150を突出させることができる。したがって、的確に運転者に横断者Uの存在を気付かせることができる標識発生装置100を提供することができる。
【0064】
本開示に係る標識発生装置100の検出部1332は、車両の接近する速度と、横断歩道までの距離を検出し、速度と距離とから、車両が横断歩道に到達するまでの時間と、車両が減速し始めたことの有無とを求め、車両の危険度を算出する危険度算出部1333と、をさらに備え、作動制御部1335は、危険度に応じて突出部150を制御する。
【0065】
この構成によれば、車両Cの速度と距離から、車両Cが横断歩道に到達するまでの時間と、車両Cが減速し始めたことの有無を求め、車両Cの危険度を求めて、危険度に応じて突出部150の突出量を減少させることができる。したがって、的確に運転者に横断者Uの存在を気付かせることができる標識発生装置100を提供することができると共に、突出部150が車両Cと接触することを防止できる。
【0066】
本開示に係る標識発生装置100の制御方法は、横断歩道の周辺の状況に関する情報を示すセンサデータを取得するステップと、センサデータに基づいて、横断歩道を渡ろうとする横断者と、横断歩道に接近してくる車両の有無を検出するステップと、横断歩道を渡ろうとする横断者と、横断歩道に接近してくる車両を検出した場合に、横断歩道に沿って車道を塞ぐ方向に突出部150を突出させるステップと、を含む。
【0067】
この構成によれば、横断者Uが横断歩道を渡ろうとすることを検出した時に、横断歩道に接近してくる車両Cが検出された場合に、車両Cの進行方向を塞ぐ方向に突出部150を突出させて、当該の車両Cの運転者に横断者の存在を気付かせることができる。したがって、的確に運転者に横断者の存在を気付かせることができる標識発生装置100の制御方法を提供することができる。
【0068】
本開示に係るプログラムは、横断歩道の周辺の状況に関する情報を示すセンサデータを取得するステップと、センサデータに基づいて、横断歩道を渡ろうとする横断者と、横断歩道に接近してくる車両の有無を検出するステップと、横断歩道を渡ろうとする横断者と、横断歩道に接近してくる車両を検出した場合に、横断歩道に沿って車道を塞ぐ方向に突出部150を突出させるステップと、をコンピュータに実行させる。
【0069】
この構成によれば、横断者Uが横断歩道を渡ろうとすることを検出した時に、横断歩道に接近してくる車両Cが検出された場合に、車両Cの進行方向を塞ぐ方向に突出部150を突出させて、当該の車両Cの運転者に横断者の存在を気付かせることができる。したがって、的確に運転者に横断者Uの存在を気付かせることができるプログラムを提供することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0071】
本開示は、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の「住み続けられるまちづくりを」の実現に貢献し、公共施設の 安心・安全に寄与する事項を含む。
【符号の説明】
【0072】
100 標識発生装置
110 センサ部
120 作動指示ボタン
130 制御装置
131 I/F部
132 記憶部
1321 センサデータ記憶部
1322 危険度記憶部
1323 突出量記憶部
133 制御部
1331 取得部
1332 検出部
1333 危険度算出部
1334 判断部
1335 作動制御部
140 コンプレッサ
150 突出部
U 横断者
C 車両