(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162160
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ワイパーブレードの再生方法、再生システム、プログラム、および情報記録媒体
(51)【国際特許分類】
B60S 1/38 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
B60S1/38 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077450
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】古川 匠
(72)【発明者】
【氏名】松田 秀和
(72)【発明者】
【氏名】青山 雄彦
(72)【発明者】
【氏名】児玉 勝也
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AE10
(57)【要約】
【課題】ワイパーブレードの適切な再生が可能な再生方法および再生システムを提供する。
【解決手段】ワイパーブレードの先端の長さを測定する測定工程と、前記測定工程において測定した前記長さに基づき、前記ワイパーブレードの前記先端が切削可能であるかどうかを判定する判定工程と、前記判定において前記ワイパーブレードの前記先端が切削可能であると判定した場合には、前記ワイパーブレードの先端の少なくとも一部を除去する除去工程と、を有する、ことを特徴とするワイパーブレードの再生方法。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパーブレードの先端の長さを測定する測定工程と、
前記測定工程において測定した前記長さに基づき、前記ワイパーブレードの前記先端が切削可能であるかどうかを判定する判定工程と、
前記判定において前記ワイパーブレードの前記先端が切削可能であると判定した場合には、前記ワイパーブレードの先端の少なくとも一部を除去する除去工程と、
を有する、ことを特徴とするワイパーブレードの再生方法。
【請求項2】
前記判定工程において前記ワイパーブレードの前記先端が除去不可能であると判定した場合に、再生が不可能であることを通知する第1通知工程、
をさらに有する、請求項1に記載のワイパーブレードの再生方法。
【請求項3】
前記除去工程において前記ワイパーブレードの前記先端の少なくとも一部を除去した場合に、当該除去後の先端の長さに基づき、残りの再生可能回数を通知する第2通知工程、
をさらに有する、請求項1に記載のワイパーブレードの再生方法。
【請求項4】
前記第2通知工程は、
前記残りの再生可能回数をディスプレイに表示すること、
前記残りの再生可能回数をラベルに印字すること、
前記残りの再生可能回数を情報として含むバーコードまたは2次元コードを出力すること、および、
前記残りの再生可能回数を情報としてRFIDタグに書き込むこと
の少なくともいずれかを含む、
請求項3に記載のワイパーブレードの再生方法。
【請求項5】
前記第2通知工程は、前記ワイパーブレードの再生済回数も通知する、
請求項3に記載のワイパーブレードの再生方法。
【請求項6】
前記除去工程において前記ワイパーブレードの前記先端の少なくとも一部を除去した場合に、当該除去後の前記先端の長さを通知する第3通知工程、
をさらに有する、請求項1に記載のワイパーブレードの再生方法。
【請求項7】
前記除去後の前記ワイパーブレードの前記先端の長さは、
前記除去工程の後に、前記除去後の前記ワイパーブレードの前記先端の長さを測定すること、または、
前記測定工程において測定された前記ワイパーブレードの前記先端の長さから、前記除去工程における切断代を引くこと、
により求められる、
請求項6に記載のワイパーブレードの再生方法。
【請求項8】
前記除去工程において前記ワイパーブレードの先端の少なくとも一部を除去した場合に、当該除去後の前記ワイパーブレードの払拭性能を確認する確認工程、
をさらに有する、請求項1に記載のワイパーブレードの再生方法。
【請求項9】
前記確認工程において、前記払拭性能は、前記除去後の前記ワイパーブレードの前記先端の長さのばらつきに基づいて判断される、
請求項8に記載のワイパーブレードの再生方法。
【請求項10】
前記確認工程において、前記払拭性能は、前記除去後の前記ワイパーブレードを用いた
払拭対象物の清掃結果に基づいて判断される、
請求項8に記載のワイパーブレードの再生方法。
【請求項11】
前記除去工程において前記ワイパーブレードの前記先端の少なくとも一部を除去した場合に、次回の再生推奨時期を通知する第4通知工程、
をさらに有する、請求項1に記載のワイパーブレードの再生方法。
【請求項12】
前記測定工程の前に、車両に装着されているワイパーブレードの再生推奨時期が到来したことを前記車両のユーザに通知する第5通知工程、
をさらに有する、請求項1に記載のワイパーブレードの再生方法。
【請求項13】
前記第5通知工程における前記ユーザへの通知は、電話、電子メール、SNS、および前記ユーザが有する端末のアプリからなる群から選択される少なくとも一つを介して行われる、
請求項12に記載のワイパーブレードの再生方法。
【請求項14】
前記第5通知工程における前記再生推奨時期の到来は、
前回の再生時または新品交換時に設定された再生推奨時期、
前回の再生後または新品交換後の前記車両の走行距離、
前記車両におけるワイパー装置の稼働回数、
ワイパー装置の駆動モーターの負荷、及び、
ウインドシールドの表面のワイパーブレードによる払拭状態を観察可能なセンサによって観察された払拭状態、
からなる群から選択される少なくとも一に基づいて判断する請求項12に記載のワイパーブレードの再生方法。
【請求項15】
前記第5通知工程は、前記ユーザの属性に基づいて複数のワイパーブレードの再生施設の中から少なくとも1つの該再生施設を選択し、該ユーザに通知すること、を含む、
請求項12に記載のワイパーブレードの再生方法。
【請求項16】
前記測定工程は、前記ワイパーブレードの前記先端の長さを長手方向にわたって測定し、
前記判定工程では、前記ワイパーブレードの前記先端の最短長さに基づき、前記ワイパーブレードの前記先端が切削可能であるかどうかを判定する、
請求項1に記載のワイパーブレードの再生方法。
【請求項17】
前記ワイパーブレードは、ブレードラバーと、当該ブレードラバーを指示するブレードステーを有し、
前記ブレードラバーは、前記ブレードステーに取り付け可能な基部と、ネック部と、前記ネック部を介して前記基部に揺動可能に連結されているリップ部とを有し、
前記測定工程では、前記基部の端面から前記リップ部までの長さを測定し、当該測定された長さから前記ブレードラバーに応じてあらかじめ定められた長さを引くことで、前記先端の長さを求める、
請求項1に記載のワイパーブレードの再生方法。
【請求項18】
車両に装着されているワイパーブレードを再生する再生システムであって、
前記ワイパーブレードの基部から先端までの長さを取得する取得手段と、
前記長さに基づき、前記ワイパーブレードが切削可能であるかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段によって切削可能と判定した場合に、前記ワイパーブレードの先端を切削
する切削装置と、
前記判定手段により切削不可能であると判定された場合には切削不可能であることを通知し、前記判定手段により切削可能であると判定され前記切削装置により切削した場合には、前記基部と切削後の先端までの長さに基づき、残りの切削可能回数を通知する通知手段と、
を備える、ことを特徴とするワイパーブレードの再生システム。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか1項に記載の方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項20】
請求項19に記載のプログラムを記録した、コンピュータにより読み取り可能な情報記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は自動車、鉄道車両、航空機及び船舶などの乗り物(以降、単に「車両」ともいう)のウインドシールドなどの払拭対象物を清掃するワイパーにおけるワイパーブレードの再生システムおよび再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のワイパーブレードにおけるブレードラバーは、長期に亘る使用によって先端のウインドシールドとの接触部が摩耗していき、拭きムラ等が生じてくる。ワイパーブレードの長期に亘る使用により払拭性能が低下したブレードラバー先端を切断して再生するための再生用カッターが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブレードラバー先端の切断によるワイパーブレードの再生は複数回行うことも可能であるが、再生可能回数には上限がある。上限を超えて再生を行うとブレードラバー先端が短くなりすぎて所望の払拭性能が得られなくなる。したがって、ワイパーブレードの再生が可能であるか否かを判定可能とすることが望まれる。
【0005】
本開示の少なくとも一つの態様は、高品位な再生ワイパーブレードを提供することのできるワイパーブレード再生方法および再生システムの提供に向けたものである。また、本開示の少なくとも一つの態様は、高品位な再生ワイパーブレードを提供することができるプロブラム及び情報記録媒体の提供に向けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の少なくとも一つの態様によれば、
ワイパーブレードの先端の長さを測定する測定工程と、
前記測定工程において測定した前記長さに基づき、前記ワイパーブレードの前記先端が切削可能であるかどうかを判定する判定工程と、
前記判定において前記ワイパーブレードの前記先端が切削可能であると判定した場合には、前記ワイパーブレードの先端の少なくとも一部を除去する除去工程と、
を有する、ワイパーブレードの再生方法が提供される。
【0007】
本開示の他の一態様によれば、
車両に装着されているワイパーブレードを再生する再生システムであって、
前記ワイパーブレードの基部から先端までの長さを取得する取得手段と、
前記長さに基づき、前記ワイパーブレードが切削可能であるかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段によって切削可能と判定した場合に、前記ワイパーブレードの先端を切削する切削装置と、
前記判定手段により切削不可能であると判定された場合には切削不可能であることを通知し、前記判定手段により切削可能であると判定され前記切削装置により切削した場合には、前記基部と切削後の先端までの長さに基づき、残りの切削可能回数を通知する通知手
段と、
を備える、ワイパーブレードの再生システムが提供される。
また、本開示の他の一態様によれば、上記の再生方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
さらに、本開示の他の一態様によれば、上記のプログラムを記録した、コンピュータにより読み取り可能な情報記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の少なくとも一つの態様によれば、ワイパーブレードの適切な再生が可能な再生方法および再生システムを提供できる。また、本開示の少なくとも一つの態様によれば、高品位な再生ワイパーブレードを提供することができるプロブラム及び情報記録媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1はワイパー装置の構成を説明する図である。
【
図2】
図2はワイパー装置の再生方法を説明する図である。
【
図3】
図3はブレードラバーの測定工程を説明する図である。
【
図4】
図4はワイパー装置の再生システムの構成を説明する図である。
【
図5】
図5は再生システム内の制御装置の構成を説明する図である。
【
図6】
図6はブレードラバーの切断装置の構成を説明する図である。
【
図7】
図7はブレードラバーの切断装置の構成を説明する図である。
【
図8】
図8はブレードラバーの切断装置の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示において、「一実施形態」「ある実施形態」などの記載は、複数登場する場合であっても必ずしも同じ実施形態を指すとは限らず異なる実施形態を指すこともある。
【0011】
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
【0012】
以下、図面を参照して、この開示を実施するための形態を、具体的に例示する。ただし、この形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、開示が適用される部材の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この開示の範囲を以下の形態に限定する趣旨のものではない。また、以下の説明では、同一の機能を有する構成には図面中に同一の番号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0013】
(1.ワイパー装置の構造)
まず、ワイパー装置、特にワイパーラバーについて説明する。以下で説明するワイパー装置の構成は一般的な構成であり、本開示の再生方法に適用可能なワイパー装置あるいはワイパーラバーを当該構成に限定する趣旨ではない。
【0014】
ワイパー装置は、自動車に代表されるような車両、飛行機、船舶などの輸送機器、建設機械などの産業機械機器といった機器などの払拭対象物に使用することができる。これらの輸送機器、産業機械機器を包括して、以下、車両ともいう。ワイパー装置は、車両のウインドシールドに適用できる。ウインドシールドは、フロントウィンドウに限られず、サイドウィンドウやリアウィンドウも含む。
【0015】
例えば、
図1Aに示すように、ワイパー装置は、ワイパーアーム30とワイパーアーム
30に装着されたワイパーブレード20とを具備する。そしてワイパーブレード20は、ブレードラバー10とブレードラバー10を支持するブレードステー21を有する。
【0016】
ブレードラバー10は、
図1Bに示すように、ブレードラバー10のブレードステー21への取り付け部である基部1と、ネック部2と、ネック部2を介して基部1に揺動可能に連結されてなるリップ部3と、を具備する。該ワイパーブレードは、長手方向に略一様な断面形状に形成されている。
【0017】
ワイパーブレードの長手方向に直交する方向の断面において、リップ部3は、リップ部3のネック部側の端部に、ネック部よりも側方に伸び出した肩部を備える。さらに、ワイパーブレードの当接姿勢の安定化のために、基部1に近い側から該基部1から離れる方向に向かう幅が漸減するテーパー部4を有していてもよい。また、テーパー部4の幅の漸減の程度は段階的に変化させてもよい。例えば、リップ部3は、リップ部の基部1から離れた先端に近い側に、テーパー部の幅の漸減の程度が小さくなったリップ先端部を有してもよい。また、リップ先端部には、基部1に近い側から先端に向けて幅が同一又は略同一な部分があってもよい。
図1Bに示したワイパーブレードは、リップ部3の先端側に、テーパー部4に連なって板状の部分を有する。
【0018】
ワイパー装置は、ガラス面に代表される、被清掃部材であるウインドシールドの表面に、リップ部3の先端の少なくとも一部分を当接させて、被清掃部材の表面を清掃する。これにより、リップ部3の先端の少なくとも一部はウインドシールドとの接触部を構成する。
【0019】
例えば、ワイパーブレードの長手方向に直交する方向の断面において、ネック部2は基部1やリップ部3に対して幅が狭くなる態様とすることが挙げられる。また、例えば、リップ部は弾性体である。このことにより、リップ部3は払拭方向に傾き被清掃部材の表面に対して、リップ部3の少なくとも一部を当接させる。
【0020】
図1Bに示すように、リップ部3は、第1の側面5及び第2の側面6と、先端面7と、を有する。第1の側面5と第2の側面6はいずれもテーパー部4に連なり、第1の側面5と第2の側面6は互いに反対側に位置する。先端面7は、リップ部3の基部1から最も離れた側に、第1の側面5及び該第2の側面6と共に第1のエッジ8及び第2のエッジ9を構成する。切断装置(再生装置)が切削するリップ部3の先端の一部とは、先端面7を少なくとも含む部分である。
【0021】
長期に亘る使用によってリップ部3のウインドシールドとの接触部が摩耗していき、拭きムラ等が生じてくる。そこで、リップ部3の先端を切断してブレードラバーを再生することが行われる。
【0022】
(2.ワイパーブレードの再生方法)
図2は、一実施形態に係るワイパーブレードの再生方法の全体的な流れを示す図である。以下、それぞれの工程について説明する。なお、本実施形態では、切断加工によりワイパーブレードの先端の少なくとも一部を除去することでワイパーブレードの再生を行うことを想定するが、再生は切削加工による除去によって行われてもよい。すなわち、以下において、「切断」は「切削」と読み替えてもよい。
【0023】
[S101:再生依頼工程]
ステップS101は、ワイパー装置のユーザ(利用者)がワイパーブレードの再生を再生業者に依頼する工程である。ここではワイパー装置のユーザと再生処理を実施する主体が異なることを想定して「依頼」と記載しているが、両者が同一主体であっても構わない
。
【0024】
ユーザがワイパーブレードの再生の必要性を認識するきっかけは、例えば、次のような事象による。
【0025】
まず、ユーザが自ら再生の必要性に気づく例について説明する。ワイパー装置の使用後に拭きムラが生じたり拭き残し(スジ)が残ったりすると、ユーザはワイパーブレードの払拭性能の低下を認識することができ、ワイパーブレードを再生しようと考える。また、あらかじめ通知されている再生推奨時期が到来したことをユーザが自ら認識することもある。また、ユーザは再生推奨時期が到来したことを、ワイパー装置またはその近くに貼付したタイムインジケータシール(ラベル)によって認識してもよい。タイムインジケータシールは、所定の時間経過を、例えば色の変化によって可視化することが可能なシール(ラベル)であり、直近の再生時(新品交換時を含む。以下同様。)に新しいシールを貼付することで、ユーザはその時点からの再生推奨時期までの時間経過を容易に把握できる。
【0026】
次に、再生が必要であることの通知を受けて、ユーザが再生の必要性に気づく例について説明する。例えば、再生推奨時期が到来したことを、車両内の装置(車載ユニット)または車両に取り付けられる装置が検知して、ユーザに通知してもよい(第5通知工程)。当該装置は、例えば、前回の再生時からの経過日数、再生後(新品交換後)の車両の走行距離、再生後(新品交換後)のワイパー装置の稼働回数、ワイパー装置の駆動モーターの負荷、ウインドシールド内部に設置されたカメラやセンサでの拭きムラや拭き残し(スジ)検知に基づいて判断することができる。車載ユニットによる通知は、例えば、車両に搭載されたモニタ(ディスプレイ)やランプを用いて行うことができる。
【0027】
また、車両メーカや再生業者その他が管理するサーバ装置が、あらかじめ設定された再生推奨時期が到来したことを検知して、ユーザに通知してもよい(第5通知工程)。サーバ装置は、次の再生推奨時期を記憶したり、あるいは車載ユニットから再生推奨時期が到来したことの通知を受けたりすることにより、再生推奨時期の到来を把握できる。サーバ装置は、再生推奨時期が到来すると、ユーザに電話、電子メール、SNSを用いて通知してもよいし、ユーザ端末(例えば、スマートフォン端末)にインストールされたアプリを介して通知してもよいし、車両に搭載されたモニタを介して通知してもよい。この際、サーバ装置は、ユーザの属性に基づいて複数の再生施設の中から少なくとも1つの再生施設を選択して、ユーザに通知してもよい。ユーザの属性の一例は、自宅の位置、現在地、利用履歴のある再生施設、希望する再生施設の条件、希望する再生業者が挙げられる。サーバ装置はこのような属性情報に基づき、例えば、ユーザの自宅あるいは車両の現在地に近い再生施設、利用履歴のある再生施設、希望する再生業者が運営する再生施設を選択してユーザに提示してもよい。
【0028】
ユーザが再生業者にワイパー装置の再生依頼をする際には、少なくともブレードラバーが再生業者に引き渡されればよい。例えば、ユーザは、車両を再生業者に持ち込んでもよいし、ワイパー装置あるいはブレードラバーのみを再生業者に持ち込んだり郵送したりしてもよい。あるいは、ユーザが再生業者に対して、車両、ワイパー装置、あるいはブレードラバーの引き取りを依頼してもよい。
【0029】
[S102:ブレードラバーの測定工程]
ステップS102は、ブレードラバーの切断可否を判定するための情報として、ブレードラバーの基部から先端までの長さを測定する測定工程である。再生依頼を受けた再生施設の再生実行者は、ブレードラバーがワイパーブレードのブレードステーに取り付けられている場合には、ブレードラバーをブレードステーから取り外す。そして、再生実行者は測定装置を用いて、ブレードラバーの長手方向にわたって基部から先端までの長さを測定
し、最短の長さを出力する。再生実行者は、再生業者であってもよく、または、車両の所有者であってもよい。
【0030】
図3はステップS102における測定箇所を説明する図である。一実施形態では、ステップS102においては、基部1の底面側の端部から先端面7までの長さL1が測定される。後述するようにブレードラバーの切断可否判断において用いられる長さは、ウインドシールドとの接触部となることが可能なブレードラバーの先端部の長さLである。以下では、長さLのことをリップ部先端長さとも称する。
図3に示す構成のブレードラバーにおいては、長さLは側面5,6の底面側の端部から先端面7までの長さに相当する。長さLは長さL1から、ブレードラバーごとに一定である基部1の底面側端部から側面5,6の底面側端部までの長さL2を引くことで求められる。別の実施形態では、ステップS102において長さLを直接測定してもよい。また、別の一実施形態では、リップ部先端を含むその他の長さ、例えば、リップ部3全体の長さを測定してもよい。
【0031】
ステップS102で用いる測定装置は、例えば、レーザー測定器である。レーザー測定器は、後述する切断機と一体であってもよいし、別体であってもよい。また、ブレードラバーをブレードステーから取り外すことなくステップS102の測定を行ってもよい。
【0032】
[S103:切断可否判定工程]
ステップS103は、ブレードラバーの切断(切削)が可能であるか否かを判定する判定工程である。この工程では、リッブ部先端長さの最小値を求め、当該最小値が閾値より大きければ切断可能(切削可能)であると判定され、そうなければ切断不可能(切削不可能)と判定される。
【0033】
一実施形態では、再生システムを構成する制御装置が、ステップS102で求めた長さL1から、ブレードラバーの型式ごとにあらかじめ定められた長さL2を引いて、最短リップ部先端長さ(リップ部先端長さの最小値)を算出する。そして、制御装置は、最短リップ部先端長さと閾値Lthを比較し、最短リップ部先端長さが閾値Lthより大きければ切断可能であると判定し、そうでなければ切断不可能であると判定する。切断可能である場合には、制御装置は切断位置を算出する。切断位置は、例えば、基部1の底面側の端部からの長さとして表され、最短リップ部先端長さから切断代(切り代)を引くことで求められる。切断代はあらかじめ定められた値であってもよいし、ブレードラバーの型式と切断装置の型式のいずれかまたは両方に基づいて決定されてもよい。一例として、新品のリップ部長さ1.4mmに対し、切断代は0.1mmとすることができる。
【0034】
制御装置によるブレードラバーの型式の取得は、例えば、ブレードラバーに貼付されたバーコード、2次元コードやRFIDタグを読取装置で読み取ることで行われてもよいし、再生実行者が手動で制御装置に入力することで行われてもよい。制御装置は、ブレードラバーの型式と長さL2および閾値Lthを関連付けて記憶するデータベースから、型式に基づいて長さL2および閾値Lthを取得して、上述の処理を行う。
【0035】
制御装置は、切断可否の判定結果に応じて、以降の工程を行うか否かを決定してもよいし、あるいは、判定結果を再生実行者が把握可能なように出力し再生実行者に以降の工程を行うか否かを決定させてもよい。切断可能であると判定された場合にはステップS104に進み、切断不可能であると判定された場合には処理を中止しユーザに確認の上ブレードラバーの交換を行う。切断不可能であると判定された場合には、制御装置は、ブレードラバーの再生が不可能であることを再生実行者あるいはユーザに通知する工程(第1通知工程)を実行する。
【0036】
一実施形態では、ステップS103の処理は再生実行者が行ってもよい。すなわち、再
生実行者が、ステップS102で求めた長さL1からブレードラバーの型式ごとにあらかじめ定められた長さL2を引いて最短リップ部先端長さを算出し、これを閾値Lthと比較することで切断可否を判定してもよい。再生実行者は、切断可否に基づいて以降の工程を行うか否かを決定する。
【0037】
[S104:ブレードラバー先端部の切断工程]
ステップS104は、ブレードラバーの先端部の少なくとも一部を切断して、払拭性を回復させる工程である。本工程は、ブレードラバーの先端の少なくとも一部を除去する除去工程とも捉えられる。ステップS104では、切断装置を用いてブレードラバーのリップ部先端長さが長手方向にわたって一定の値になるように切断して、リップ部先端面を平面にすることで払拭性を回復させる。なお、上述したように、ブレードラバーの先端部の除去は切断加工の代わりに、または加えて、切削加工によって行われてもよい。
【0038】
ステップS104には、ブレードラバーの切断装置への設置、切断位置の調整、および切断装置に対する切断開始指示という工程が含まれる。これらの工程の全てが、切断システムによって自動的に行われてもよいし、一部または全ての工程が再生実行者によって行われてもよい。一部の工程を手動化する例として、例えば、再生実行者がブレードラバーを切断装置に設置し、切断位置(または最短リップ部長さ)を制御装置に入力する。その後、制御装置が切断装置に対して所定の切断位置に調整するように切断装置に対し指令を出して、調整が完了したら切断装置に対して切断開始指令を出す。
【0039】
[S105:品質(払拭性能)確認工程]
ステップS105は、ブレードラバー先端の切断によって払拭性能が回復したことを確認する工程である。払拭性能を確認する方法として、リップ部先端長さのばらつきに基づく方法と、実際にウインドシールドの清掃を行いその結果に基づく方法がある。これら2つの方法のうち、いずれか一方のみで払拭性能を確認してもよいし、両方を行って払拭性能を確認してもよい。
【0040】
リップ部先端長さのばらつきに基づいて確認する場合、ステップS102と同様の手法により、測定装置がブレードラバーの長手方向にわたって基部1の底面側端部から先端面7までの長さを測定する。制御装置は、測定結果を受け取り、例えば、最大長さと最小長さの差、および長さの分散値のいずれかまたは両方に基づいて先端面の平坦度を表すスコアを求め、所定の品質保証基準スコアとの比較により品質確認を行う。
【0041】
実際の清掃結果に基づいて確認する場合、ブレードラバーを車両のワイパー装置に取り付けて、ウインドシールドの清掃を行う。なお、清掃対象は車両のウインドシールドである必要はなく、試験用の払拭対象物であってもよい。再生実行者が目視で清掃結果を確認して合否を判定してもよいし、清掃後のウインドシールドをカメラで撮影して検査装置が画像処理によって判定してもよい。画像処理では、拭きムラや拭き残しが発生しているか否かを判定すればよい。
【0042】
払拭性能が回復していないと判定された場合には、ステップS102に戻って、再度切断を行う。払拭性能が回復していると判断された場合には、ステップS106に進む。
【0043】
[S106:残切断回数算出工程]
ステップS106は、切断後(切削後、除去後)のブレードラバーの先端長さに基づき、ブレードラバーを残りの切断可能回数(切削可能回数)、言い換えると残りの再生可能回数、を算出する処理である。残切断回数は、切断後のリップ部先端長さを切断代長さで除算することで求めることができる。すなわち、残切断回数=リップ部先端長さ/切断代である。
【0044】
ステップS103において切断位置を決定する際に切断前の最短リップ部先端長さから切断代を引いた値を求めているので、この値を切断後のリップ部先端長さとして利用することができる。あるいは、ステップS105の品質確認工程でリップ部先端長さを長手方向にわたって測定している場合には、測定された長さの値(切断誤差の範囲で一定値である)を切断後のリップ部先端長さとして使用できる。あるいは、本工程で測定装置を用いて長手方向にわたるリップ部先端長さを求めて、その測定値を切断後のリップ部先端長さとして利用してもよい。あるいは、ステップS102で求めた最短リップ部先端長さを用いて、残切断回数は、{(ステップS101で測定した最短リップ部先端長さ)/(切断代)-1}として決定することもできる。
【0045】
一実施形態では制御装置が上記の計算を行って残切断回数を算出し、他の実施形態では再生実行者が上記の計算を行って残切断回数を算出する。
【0046】
[S107:残切断回数通知工程]
ステップS107は、ブレードラバーの残りの切断可能回数、言い換えると残りの再生可能回数、を再生実行者またはユーザが分かるような形式で通知する工程(第2通知工程)である。残切断回数の通知方法は、特に限定されず、任意の手法が採用可能である。
【0047】
残切断回数の通知は、種々の方法により行うことが可能であり、例えば、ディスプレイへの表示、シール(ラベル)への印字、あるいは、当該情報を含むバーコードまたは2次元コードの出力(表示または印刷)、RFIDタグに当該情報を書き込むことにより行うことができる。一例として、再生システムを構成する印刷装置が、残切断回数をシール(ラベル)に印字する。再生実行者はこのシールをワイパー装置や車両に貼付することで、ユーザが残切断回数を把握可能となる。また、残切断回数を直接印字する代わりに、残切断回数を情報として含むバーコードや2次元コードをシールに印刷して出力してもよいしRFIDタグへ情報の書き込みを行ってよい。バーコード等には残切断回数だけでなく、次回の切断推奨時期、切断済回数(再生済回数)、ブレードラバーの型式・個体番号などその他の情報もあわせて格納してもよい。あるいは、再生システムは残切断回数等を表示して再生実行者に通知し、再生実行者が印刷装置を操作して残切断回数をシールに印字したり、シールに手書きしたりしてもよい。
【0048】
ユーザに通知する情報は残切断回数に限られず、次の切断推奨時期やその他の情報を通知するようにしてもよい。切断推奨時期や切断済回数なども残切断回数と同様にシールに印字するなどすればよい。また、再生実行者が切断推奨時期に応じたメンテナンスインジケータシールをワイパー装置あるいは車両に貼付してもよい。
【0049】
ユーザへの通知は、上記以外にも、ユーザ端末にインストールされたアプリを介して行うこともできる。例えば、再生実行者が制御装置あるいはその他のコンピュータを操作して、上記アプリに対して残切断回数や切断推奨時期、切断済回数などの情報送信を行ってもよいし、制御装置が自動的に上記アプリに対して情報送信を行ってもよい。また、再生実行者あるいは制御装置が、車両に搭載された車載ユニットに残切断回数や切断推奨時期、切断済回数などの情報を記録し車内モニタにこれらの情報を表示可能としてもよい。
【0050】
また、ユーザへの通知は、車両メーカ、再生業者、その他が管理するサーバ装置を介して行ってもよい。制御装置あるいは再生実行者が残切断回数や切断推奨時期、切断済回数をサーバ装置に登録すると、サーバ装置がこれらの情報をユーザに電話、電子メール、SNSを用いて通知したりユーザ端末にインストールされたアプリに通知したりしてもよい。
【0051】
また、一実施形態では、残切断回数を通知する代わりに、あるいはそれに加えて、切断後のブレードラバーの先端の長さを再生実行者またはユーザに通知する工程(第3通知工程)を有してもよい。一実施形態では、残切断回数を通知する代わりに、あるいはそれに加えて、次回の切断推奨時期(再生推奨時期)を再生実行者またはユーザに通知する工程(第4通知工程)を有してもよい。
【0052】
(3.再生システムの構成)
図4は、一実施形態に係る再生システムの全体構成を示す図である。再生システムは、制御装置100、切断装置200、測定装置300、シール印刷装置400、RFIDリーダライタ500を含んで構成される。制御装置100は、ネットワークを介して、車両600、ユーザ端末700、サーバ装置800と通信可能に接続される。
【0053】
制御装置100は、再生処理の全体的な制御を司り、切断装置200、測定装置300、シール印刷装置400、RFIDリーダライタ500との間で制御指令送信および情報受信等を行う。制御装置100は、例えば、CPU110、記憶部120、通信部130、および入出力部140を備えるコンピュータ(情報処理装置)である。制御装置100はPLC(Plogrammable Logic Controller)であってもよい。
【0054】
図5は、制御装置100の機能構成を示すブロック図である。図示のように、制御装置100は、リップ部先端長さ取得部41、切断可否判定部42、切断指示部43、品質検査部44、残切断回数算出部45、残切断回数出力部46、通知部47をその機能部として備える。これらの機能部は、CPU110が記憶部120に格納されたプログラムを実行することで実現される。なお、これらの機能部の一部または全部は専用のハードウェア装置によって実現されてもよい。これらの機能部の詳細については後述する。記憶部120は、例えば、コンピュータが読み取り可能な記録媒体として機能する。本開示に係るコンピュータに読み取り可能な記録媒体は、電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線的、又は半導体システム、装置又はデバイス、又は上記内容のいかなる適切な組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。上記記録媒体のより具体的な例は、ハードディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバー、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、光記憶装置、磁気記憶装置、又は上記のいかなる適切な組み合わせを含む
【0055】
切断装置200は、ブレードラバーのリップ部先端を切断する装置である。切断装置200の構成の詳細について後述する。
【0056】
測定装置300は、ブレードラバーの基部1の底面側端部からリップ部の先端面までの長さを、長手方向にわたって測定する装置である。測定装置300は、例えば、レーザー測定装置である。
図4では、測定装置300と切断装置200を別体のものとして示しているが、測定と切断が可能な一体型の装置を用いてもよい。
【0057】
シール印刷装置400は、ブレードラバーの残切断回数や次回の切断推奨時期、切断済回数など、ユーザに伝えるべき情報をシールに印字または印刷する装置である。シール印刷装置400は、ユーザに伝えるべき情報をバーコードや2次元コードの形式でシールに印刷してもよい。
【0058】
RFIDリーダライタ500は、RFIDタグから情報を読み取ったり、RFIDタグに情報を書き込んだりする装置である。例えば、RFIDタグに格納されているブレードラバーの型式その他の情報をRFIDリーダライタ500が読み込んで、再生処理に利用
する。また、RFIDリーダライタ500は、ブレードラバーの残切断回数や次回の切断推奨時期、切断済回数など、ユーザに伝えるべき情報あるいは次回の再生処理や再生要否の判断に有用な情報をRFIDタグに書き込む。
【0059】
車両600は、ブレードラバーの再生を依頼するユーザが所有する車両である。車両600は、ワイパー装置610、車内ディスプレイ(モニタ)620、センサ630、車載ユニット640を備える。ワイパー装置610は、再生対象のブレードラバーを有する。車内ディスプレイ620は、車両600の内部に設けられ、運転者あるいはその他の搭乗者に対して情報提示を行う。センサ630は、車両600の各種の情報、例えば、走行距離、走行速度、加速度、走行方位、気象状況などを取得するセンサを含む。車載ユニット640は、車両内ネットワークを介してワイパー装置610、車内ディスプレイ620、センサ630と通信可能である。車載ユニット640は、一例として、センサ630から取得される情報に基づいて、あるいは前回の再生時からの経過時間に基づいて、ブレードラバーの再生推奨時期が到来したか判断する。再生推奨時期が到来した場合には、車載ユニット640は、車内ディスプレイ620またはユーザ端末700を介してユーザに通知を行う。
【0060】
ユーザ端末700は、例えば、スマートフォン端末、タブレット端末、パーソナルコンピュータである。ユーザ端末700は、サーバ装置800または車載ユニット640からの通知に基づいて、ラバーブレードの再生推奨時期が到来したことをユーザに通知する。また、ユーザ端末700は、再生推奨時期が到来した場合に、ユーザの属性に基づいて複数のワイパーブレードの再生施設の中から少なくとも1つの再生施設を選択して、近くの再生施設をサーバ装置800から受信したユーザに通知する。ユーザの属性の例として、自宅の位置、現在地、利用履歴のある再生施設、希望する再生施設の条件、希望する再生業者が挙げられる。ユーザ端末700は、このような属性に基づいて、例えば、ユーザの自宅あるいは車両の現在地に近い再生施設、利用履歴のある再生施設、希望する再生業者が運営する再生施設を選択してユーザに提示する。あるいは、再生施設の選択はサーバ装置800によって行われ、ユーザ端末700はサーバ装置800から通知された再生施設をユーザに提示してもよい。また、ユーザ端末700は、ユーザから再生施設の選択を受け付け、選択された再生施設に対して再生依頼を送信する。また、ユーザ端末700は、ラバーブレードの再生処理が完了した際に、再生が完了した旨、および残切断回数(残再生回数)、次回の再生推奨時期などの情報をサーバ装置800から受信して、ユーザに通知する。ユーザ端末700におけるこれらの処理は、専用のアプリによって実行されてもよい。
【0061】
サーバ装置800は、再生業者または車両メーカが管理するコンピュータである。サーバ装置800は、1台のコンピュータで構成されてもよいし、複数台のコンピュータで構成されてもよい。サーバ装置800は、再生業者から、ユーザID、ユーザの連絡先、およびブレードラバーの次回の再生推奨時期、再生済回数を受信し、ユーザIDに関連付けてデータベースに記憶する。また、サーバ装置800は、再生推奨時期が到来した場合にユーザに対してその旨の連絡をする。連絡方法の例として、電話、電子メール、SNS、あるいはユーザ端末700にインストールされた専用アプリが挙げられる。また、サーバ装置800は、整備業者からブレードラバーの再生処理の完了通知を受けたときに、この完了通知をユーザ端末700に通知してもよい。完了通知には、例えば、残切断回数や次回の再生推奨時期などの情報が含まれる。
【0062】
[制御装置100の詳細]
図5に示すように、制御装置100は、リップ部先端長さ取得部41、切断可否判定部42、切断指示部43、品質検査部44、残切断回数算出部45、残切断回数出力部46、通知部47を含む。
【0063】
リップ部先端長さ取得部41は、測定装置300によるブレードラバーの測定結果を取得する(ステップS102)。上述のように測定装置300は、ブレードラバーの基部1の底面側端部からリップ部の先端面までの長さを、長手方向にわたって測定する。リップ部先端長さ取得部41は、測定された長さのうちの最短の長さを切断可否判定部42に出力する。
【0064】
切断可否判定部42は、リップ部先端長さ取得部41から受け取った最短長さに基づいて、ブレードラバーの切断(再生、除去)が可能であるか否かを判定する(ステップS103)。具体的には、切断可否判定部42は、受け取った最短長さから、ブレードラバーの型式ごとにあらかじめ定められた所定の長さを引いて求められる最短リップ部先端長さが閾値よりも大きければ切断可能、そうでなければ切断不可能と判定する。なお、ブレードラバーの型式はブレードラバーに貼付されたラベル等に基づいて読み取られており、型式に応じた所定の長さはサーバ装置800から取得できる。切断不可能(除去不可能)と判定された場合、制御装置100はその旨を通知して再生処理を中止する。切断可能(除去可能)と判定された場合には再生処理を継続する。
【0065】
切断指示部43は、切断装置200に対してブレードラバーの先端を切断するように指示する(ステップS104)。切断指示部43は、測定装置300に設置されているブレードラバーは搬送装置を用いて切断装置200に移動させるように制御してもよいし、再生実行者に対してブレードラバーを切断装置200に設置するように通知してもよい。切断指示部43は、切断装置200に切断を指示する際に、切断位置も通知する。切断位置は、リップ部先端長さが最短リップ部先端長さから所定の切断代を引いた値となるような位置として切断指示部43が求める。
【0066】
品質検査部44は、先端が切断されたブレードラバーの払拭性能が回復したか否かを確認する(ステップS105)。例えば、品質検査部44は、測定装置300によるブレードラバーの測定結果を取得して、長手方向にわたるリップ部先端長さの最大値と最小値の差または分散に基づいて、所定の品質保証基準スコアを満たすか否かを判定する。あるいは、品質検査部44は、ブレードラバーを用いた清掃結果の画像を受け取り、画像処理によって検知される拭きムラや拭き残しに基づいて払拭性能が回復したか否かを判定する。品質検査部44は、品質確認結果を出力し、また、品質保証基準を満たさない場合には再度の切断を促したり実行したりしてもよい。
【0067】
残切断回数算出部45は、ブレードラバーをあと何回切断することが可能であるか算出する(ステップS106)。残切断回数は、リップ部先端長さ取得部41が取得した最短リップ部先端長さと切断代の長さに基づいて算出できる。例えば、残切断回数算出部45は、(切断前の最短リップ部先端長さ)/(切断代)-1として残切断回数を決定する。あるいは、残切断回数算出部は、(切断後の最短リップ部先端長さ)/(切断代)として残切断回数を決定する。切断後の最短リップ部先端長さは、切断後のブレードラバーを測定装置300によって測定した値であってもよいし、切断位置を決定する際に求めた切断前の最短リップ部先端長さから切断代を引いた値であってもよい。残切断回数算出部45は、算出した残切断回数を残切断回数出力部46に出力する。
【0068】
残切断回数出力部46は、ブレードラバーの残切断回数を再生実行者またはユーザが分かるような形式で出力する(ステップS107)。残切断回数出力部46は、シール印刷装置400に対して残切断回数をシールに印字するか、残切断回数を情報として含むバーコードや2次元コードをシールに印刷する。あるいはRFIDリーダライタ500を通じてRFIDタグに書き込む。残切断回数算出部45は、残切断回数をディスプレイに表示してもよいし、サーバ装置800に送信してもよい。
【0069】
通知部47は、ブレードラバーの切断(再生)処理が完了したことをユーザに通知する。通知部47は、電話、電子メール、SNS、ユーザ端末700のアプリを介してブレードラバーの再生処理が完了したことをユーザに通知する。この通知は、通知部47から直接行われてもよいし、サーバ装置800を介して行われてもよい。また、通知部47は、再生処理の完了以外に、残切断回数や次回の再生推奨時期、切断済回数、再生処理の途中における切断可否判定の結果を、ユーザまたは再生実行者に通知してもよい。ユーザへの通知は上記と同様にして行えばよく、再生実行者への通知は入出力部140の一例であるディスプレイを介して行えばよい。
【0070】
[切断装置200の構成]
本開示の一態様に係るブレードラバーの切断装置200について
図6、7A、7B、8A及び8Bを例に説明する。切断装置200は、ブレードラバーの先端を切断してブレードラバーを生成するための再生装置と称することもできる。なお、本開示において利用する切断装置は、ここで説明する切断装置とは異なる構成を有していてもよい。
【0071】
図6は、ブレードラバーの切断装置200の外観を示す概略図である。
図7A、7Bは、刃部を備えた切断ユニット230や切断の動きを説明する概略図である。
図8Aは、切断ユニット230及び挟持部材221のブレードラバー短手方向の断面図であり、
図8Bは、刃部231近辺の拡大図である。
【0072】
ブレードラバーの切断装置200は、ブレードラバー10を固定するブレードラバー固定部材としての、リップ部の挟持部材221を備える。挟持部材221は、ブレードラバーの短手方向からリップ部3を挟持することで、ブレードラバーを固定する。例えば、
図1Bにおける第1の側面5及び第2の側面6を挟持する。すなわち、挟持部材221は、ブレードラバーの長手方向に直交する方向の断面視においてリップ部3の両側部からリップ部3を挟持するものである。
【0073】
図6では、挟持部材221は、ブレードラバーの長手方向から断面がL状の保持部材215により台座216上に固定されている。挟持部材221は、
図8B(右側の拡大図)や
図9Bに示すように、少なくともリップ部3に対し刃部231が侵入する部分(端部A)を挟持可能な位置に配置されている。図では、挟持部材221は、刃部231が侵入する部分も含めリップ部3の長手方向の全域を両側部から挟持している。そして、挟持部材のブレードラバーに対する位置は固定されている。
【0074】
ブレードラバーの切断装置200は、リップ部3の先端を、ブレードラバー10の長手方向に切断するための刃部231を備える。例えば、
図6、7A、7Bのように、ブレードラバーの切断装置200は、切断ユニット230を備え、切断ユニット230に刃部231(
図6では不図示)を有していてもよい。
【0075】
切断ユニット230は、ブレードラバー10及び挟持部材221の長手方向に沿って移動可能である。
図6では、切断ユニット230は、当該移動をガイドするレール217に沿って移動しうる。切断ユニット230の移動は、例えば、電動シリンダやモーターなどによって駆動される。ただし、切断ユニット230は、手動で移動する構成であってもよい。なお、切断ユニット230が移動しやすいように、切断ユニット230と挟持部材221は非接触であってもよい。
【0076】
図7A、7Bは、ブレードラバーの切断装置200における切断ユニット230の装置上部からの断面視である。
図7Aは切断ユニット230周辺の拡大図であり、
図7Bは挟持部材221も含めた全体の図である。刃部231を備えた切断ユニット230は、ブレ
ードラバー10の長手方向に沿って、図中の矢印の向きに端部Aから端部B方向へ移動する。そして、刃部231を、ブレードラバー10の長手方向の一方の端部である端部Aにおけるリップ部3の先端の側部からリップ部3に侵入させ、該長手方向の他方の端部である端部Bに向かって相対的に移動させて、リップ部3の先端の一部を切削する。このように切削することで、摩耗・劣化した部分を除去し、再生ブレードラバーを得ることができる。
【0077】
図示した切断装置200では刃部231(切断ユニット230)が移動する態様となっているが、刃部231は端部Aから端部Bに相対的に移動できればよい。すなわち、刃部231を備えた切断ユニット230が固定されており、ブレードラバー10を固定した挟持部材221が移動する態様であってもよい。
【0078】
また、
図7A及び
図7Bに示すように、切断装置200は、リップ部3の端部Bにおけるリップ部3の先端の側部に当接し、リップ部を端部Aの方向に付勢する付勢部材241を備えていてもよい。付勢部材241は、例えば、板状の部材であり、挟持部材221の間隙に挿入されている。付勢部材241は、バネなどの弾性部材242により、挟持部材221の端部からリップ部の端部Bを、端部Aの方向に押さえている。
【0079】
また、
図6、
図8A、及び
図8Bに示すように、切断装置200は、リップ部3の先端をブレードラバーの基部1の方向に向けて押圧する押圧部材251を備えていてもよい。押圧部材251は、端部Aから端部Bへの刃部231の相対的な移動に先行してリップ部3の先端を基部1に向けて押圧するものである。例えば、
図6、及び
図8Aのように、押圧部材251は切断ユニット230に設けられ、刃部231の移動に合わせて移動することができる。
【0080】
このような切断装置200を用いることで、リップ部3の切断面の変形を抑制し、より高精度な再生ブレードラバーが得られる。
【0081】
(4.ブレードラバーの構成)
ブレードラバーは、所定の力で払拭対象物に押さえつけたときに当接幅Wが一定の範囲にあること、および、接触角θが一定の範囲にあることが望ましい。
【0082】
当接幅Wは、具体的には、ワイパーアームのアーム抑え力を18N/mとしたときに、1.0μm以上20.0μm以下であることが望ましい。当接幅Wは、好ましくは1.1μm以上15.0μm以下であり、より好ましくは1.2μm以上10.0μm以下であり、さらに好ましくは1.2μm以上6.5μm以下であり、さらにより好ましくは1.2μm以上5.0μm以下である。当接幅Wは、ブレードラバーと払拭対象物(ここでは、ガラス平板)の接触部の、ブレードラバーの長手方向と直交する方向の幅である。
【0083】
当接幅Wの測定は、より具体的には次のような条件で行われる。まず、ワイパーアームのアーム押さえ力を18N/mとして、ワイパーブレードのリップ部をガラス平板の第1の表面に当接させる。そして、ワイパーブレードを速度1.65m/秒にて、ガラス平板の第1の表面の第1の地点P1から第2の地点P2に向かうA方向に、ブレードラバーの長手方向と直交する方向に50cm移動させ、停止させた状態において、当接幅Wを観察する。
【0084】
なお、18N/mというアーム押さえ力は、JIS D 5710:1998に示される試験条件において、ブレードの長さ当たりの押さえ力が最も高い条件である。したがって、払拭により特にリップ部が強く押し付けられ、当接角度が小さくなりやすく、当接幅も大きくなりやすい条件となる。また、1.65m/秒という速度は、日本国で流通して
いる実際の自動車におけるワイパーブレードの中央部(JIS D 5710:1998におけるMゾーン)で測定した速度のうち、中間的な速度に相当するものである。
【0085】
接触角θは、20°以上80°以下であることが好ましく、40°以上78°以下であることがより好ましく、60°以上75°以下であることが更に好ましい。接触角θは、観察されるリップ部の特定の位置と該ガラス平板とがなす角であり、具体的には以下の方法で測定される。
【0086】
まず、ワイパーアームのアーム押さえ力を18N/mとして、該ワイパーブレードの該リップ部をガラス平板の第1の表面に当接させる。そして、該ワイパーブレードを速度1.65m/秒にて、該ガラス平板の該第1の表面の第1の地点P1から第2の地点P2に向かう方向に、該ブレードラバーの長手方向と直交する方向に50cm移動させ、停止させる。この状態において、ブレードラバーの長手方向の側面から光学顕微鏡を用いて倍率200倍で観察する。リップ部とガラス平板との接触部(当接部)のうち、P1から最も遠い部位を点Q1とし、点Q1からA方向に向かって200μmの位置においてガラス平板の第1の表面に対して垂線をひき、垂線の、リップ部との最初の交点を点Q2とする。このとき、点Q1と点Q2とを結ぶ直線とガラス平板の第1の表面とがなす角をθとする。
【0087】
テーパー部を含むリップ部を構成する材料としては、上記当接幅W及びなす角θを上記の規定に適合させることができる限り、特に限定されない。具体的には、例えば、リップ部は、機械特性に優れ、上記当接幅W及びなす角θを達成させやすいポリウレタンを含有することが好ましい。また、ポリウレタンは、上記弾性率の平均値及び変動係数に係る規定も達成させやすい。
【0088】
また、該ポリウレタンは、ポリウレタンエラストマーであることが好ましい。ポリウレタンエラストマーは、主にポリオール、鎖延長剤、ポリイソシアネート、触媒、その他添加剤などの原料から得られる。該ポリウレタンエラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントからなるブロック共重合体である。ハードセグメントは、一般的に、ポリイソシアネートと短鎖ジオールを含む鎖延長剤から構成される。一方、ソフトセグメントは、一般的に、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどの長鎖ポリオールとポリイソシアナートから構成される。
【0089】
前記した当接幅W及びなす角θ、さらには弾性率の値の平均値及び該弾性率の変動係数に係る規定を達成するために、例えば、上記ハードセグメントとソフトセグメントからなるブロック共重合体の特性を利用することが挙げられる。
【0090】
従来のポリウレタンは、ウレタン結合が相互作用により凝集した部分が更に凝集したハードセグメントを有するものである。ウレタン結合部分の凝集部分が、更に凝集した比較的大きなハードセグメントを有する。そのため、このようなポリウレタンを用いて作製されるワイパーブレードは、本発明者らの検討によれば、本開示に係る上記当接幅W及びなす角θ、さらには弾性率の値の平均値及び該弾性率の変動係数の少なくとも一方を満たすようなものではなかった。すなわち、従来のポリウレタンは、比較的大きなハードセグメントを有するため、本開示に係る、走査型プローブ顕微鏡を用いて210000箇所の弾性率の変動係数17.6%以下とすることは困難である。
【0091】
ここで、ハードセグメント自体の量が少ないポリウレタンの場合、ウレタン結合の凝集部分の更なる凝集が抑制され、当該変動係数を小さく抑え得るとも思われる。しかしながら、その場合、弾性率の値の平均値を15.0MPa以上とすることは困難であり、上記当接幅W及びなす角θを満たしにくくなる。
【0092】
本開示に係る物性を満たすリップ部は、例えば、ハードセグメントを微細かつ均一に分散させたポリウレタンの使用によって形成することができる。このようなポリウレタンについて以下に説明する。
【0093】
すなわち、ウレタン原料として、ジイソシアネートや3官能以上の多官能イソシアネートと、ジオールや3官能以上の多官能アルコールとを適切な濃度範囲で用いることにより、ハードセグメントの凝集が抑制され、ハードセグメントが微細かつ均一に分散してなるポリウレタンを得られる。
【0094】
具体的には、例えば、3官能以上の多官能アルコールを含むアルコール、及び、3官能以上の多官能イソシアネートを含むイソシアネート化合物の少なくとも一方をウレタン原料として用いることが好ましい。
また、ジオール及び3官能以上の多官能アルコールから選択される少なくとも一つを含むアルコールと、3官能以上の多官能イソシアネートを含むイソシアネート化合物と、をウレタン原料として用いることも好ましい。
【0095】
また、3官能以上の多官能アルコールを含むアルコールと、ジイソシアネート及び3官能以上の多官能イソシアネートを含むイソシアネート化合物とをウレタン原料として用いることも好ましい。
【0096】
特には、3官能以上の多官能イソシアネート、及び、3官能以上の多官能アルコールをウレタン原料に用いることが好ましい。
【0097】
3官能以上の多官能イソシアネート、及び、3官能以上の多官能アルコールとの反応物として得られるポリウレタンは、立体障害により分子の配向性が抑制され、ハードセグメントの凝集がより確実に抑制されたものとなる。そのため、本開示に係る当接幅W及びなす角θさらには弾性率及び変動係数を達成するうえで好適なポリウレタンである。
【0098】
また、ソフトセグメント部分が例えば直鎖状のアルキレン構造を有する場合、ソフトセグメント同士がスタッキングすることで結晶性が高まる。その結果、ハードセグメントも分散しにくくなる。そのため、ソフトセグメント部分に、側鎖部分を有するアルキレン構造を導入することもハードセグメントの凝集を抑制するうえで有効である。具体的には、例えば、2つのウレタン結合の間のソフトセグメント部分に下記構造式(i)~(iv)で示されるような部分構造を導入することは、ハードセグメントの微細化に有効である。-CH2-CH(CH3)-CH2-CH2-O- (i)
-CH2-CH2-CH(CH3)-CH2-O- (ii)
-CH2-CH(CH3)-O- (iii)
-CH(CH3)-CH2-O- (iv)
【0099】
構造式(i)及び(ii)の構造は、3-メチルテトラヒドロフランを開環重合させることによって生じる構造であり、実質的に同じである。また、構造式(iii)及び(iv)の構造は、1,2-プロピレンオキシドを開環重合させることによって生じる構造であり実質的に同じである。隣接する2つのウレタン結合の間にこれらの構造を有するウレタン樹脂は、これらの構造を有するポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールをイソシアネートと反応させることで得られる。ここで、ウレタン原料として、2官能のアルコール(ジオール)と2官能のイソシアネート(ジイソシアネート)とを用いる場合、ハードセグメントの微分散化は通常困難である。しかしながら、上記の部分構造をソフトセグメント部分に導入することで、たとえ、ジオール及びジイソシアネートをウレタン原料に用いる場合であっても、ハードセグメントの微分散化を図ることができる。その結果
、本開示に係るパラメータを満たすワイパーブレードを与えるポリウレタンを得ることができる。
【0100】
また、上記したソフトセグメント部分に側鎖を導入する以外にソフトセグメント同士のスタッキングによる結晶化を抑制し、ハードセグメントの凝集を防止する方法として、ウレタン原料のアルコールとして、直鎖部分の炭素数が異なる2種以上のアルコールを用いる方法が挙げられる。直鎖部分の炭素数が異なるアルコールを2種以上用いて得られるポリウレタンは、ソフトセグメント部分に直鎖のアルキレン構造を有していても、炭素数が異なることでソフトセグメント同士のスタッキングによる結晶化を抑制することができる。また、ソフトセグメント部分の炭素数が異なることで、ウレタン結合部分の凝集が抑制されることで、ハードセグメントの凝集を防止し得る。従って、直鎖のアルキレン構造を分子内に有するジオール及びジイソシアネートをウレタン原料に用いた場合であっても、当該ジオールとして直鎖アルキレン構造の炭素数が異なる複数種のジオールを用いることで、ハードセグメントの微細化を図ることができる。その結果、本開示に係るパラメータを満たすワイパーブレードを与えるポリウレタンを得ることができる。複数種のジオールの例としては、例えば、ポリブチレンアジペートポリエステルポリオールとポリヘキシレンアジペートポリエステルポリオールとの併用が挙げられる。
【0101】
上記アルコールとしては、例えば以下のものが挙げられる。
ポリエチレンアジペートポリエステルポリオール、ポリブチレンアジペートポリエステルポリオール、ポリヘキシレンアジペートポリエステルポリオール、(ポリエチレン/ポリプロピレン)アジペートポリエステルポリオール、(ポリエチレン/ポリブチレン)アジペートポリエステルポリオール、(ポリエチレン/ポリネオペンチレン)アジペートポリエステルポリオールなどのポリエステルポリオール;カプロラクトンを開環重合して得られるポリカプロラクトン系ポリオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリエーテルポリオール;ポリカーボネートジオール。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0102】
また、前記したように、アルコールとして直鎖部分(アルキレン鎖)の炭素数が異なる2種以上のポリオールを用いることは、ソフトセグメントの結晶化を抑制し、ハードセグメントの凝集が抑制されたウレタンを得られるため、好ましい。この場合、例えば、ポリエチレンアジペートポリエステルポリオール、ポリブチレンアジペートポリエステルポリオール、ポリヘキシレンアジペートポリエステルポリオール、(ポリエチレン/ポリプロピレン)アジペートポリエステルポリオール、(ポリエチレン/ポリブチレン)アジペートポリエステルポリオール、(ポリエチレン/ポリネオペンチレン)アジペートポリエステルポリオールなどのポリエステルポリオールからなる群から選択される少なくとも2つを用いることが好ましい。
【0103】
上記鎖延長剤としては、ポリウレタンエラストマー鎖を延長可能なジオールや、3官能以上の多官能アルコールも使用することができる。
ジオールとしては、例えば以下のものを挙げることができる。
エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール(DPG)、1,4-ブタンジオール(1,4-BD)、1,6-ヘキサンジオール(1,6-HD)、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール(テレフタリルアルコール)、トリエチレングリコール。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0104】
3官能以上の多官能アルコールとしては、トリメチロールプロパン(TMP)、グリセ
リン、ペンタエリスリトール(PEN)、ソルビトールを挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0105】
ポリウレタンエラストマーの弾性率を向上させる方法の一つとして、架橋構造を導入することを挙げられる。架橋を導入する方法としては、上記の鎖延長剤に3官能以上の多官能アルコールを用いることが好ましい。また、3官能以上の多官能アルコールの使用によるポリウレタンへの分岐構造の導入は、ポリウレタンの結晶化を抑制し、ハードセグメントの凝集を更に抑制し得る。ここで、多官能アルコールとしては、ポリウレタンの架橋度が高くなりすぎることによる過度な硬度上昇を抑制する観点から、3官能のアルコールを用いることが好ましい。中でも、水酸基の隣にメチレン骨格を有し、分子構造的にフレキシブルな架橋構造が取ることができるトリオールは、ハードセグメントの結晶性のより一層の抑制効果を有するため好ましい。このようなトリオールの例としては、例えば、トリメチロールプロパン(TMP)、グリセリンが挙げられる。
【0106】
上記イソシアネート化合物としては、例えば以下のものが挙げられる。
4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、ポリメリックMDI、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート(1,5-NDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、カルボジイミド変性MDI、トリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート(TTI)、トリス(フェニルイソシアネート)チオホスフェート(TPTI)。
【0107】
この中で、二つのイソシアネート基が同等の反応性を有し、高い機械的特性が得られる4,4’-MDIが好ましい。また、3官能以上の多官能イソシアネートを併用することが好ましい。3官能以上の多官能イソシアネートを用いることで、ポリウレタン中に分岐構造を導入することができ、ハードセグメントのより一層の凝集抑制に有効である。また、ポリウレタンに、より緻密な架橋構造を導入し得るため、リップ部の被清掃部材への当接性をより安定させることができる。その結果、被清掃部材の拭き残しや拭きムラを、より効果的に抑えられる。
【0108】
3官能以上の多官能イソシアネートとしては、トリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート(TTI)、トリス(フェニルイソシアネート)チオホスフェート(TPTI)及びポリメリックMDIからなる群から選択される少なくとも一が挙げられる。中でも、トリス(フェニルイソシアネート)チオホスフェート(TPTI)及びポリメリックMDIをより好適に用いることができる。これらのイソシアネートは、複数のNCO基の間にメチレン基やエーテル基を有し、複数のウレタン結合間の距離を適切に保つことができる。そのため、ハードセグメントの凝集の抑制に有利である。
【0109】
ここで、ポリメリックMDIは以下の化学式(1)及び化学式(1)’で示される。化学式(1)’におけるnは、1以上4以下であることが好ましい。化学式(1)は、化学式(1)’においてnが1の場合である。
【化1】
【0110】
本開示に係るリップ部が、ジイソシアネート及び3官能以上の多官能イソシアネートを含むイソシアネート化合物、並びに3官能以上の多官能アルコールを含むアルコールを含む原料組成物の反応物であるポリウレタンを含む場合において、該リップ部は、以下の物性を有するものであることが好ましい。
【0111】
すなわち、該リップ部の第1の側面及び第2の側面に、それぞれ第1のエッジ及び第2のエッジと平行に、第1のエッジ及び第2のエッジとの距離が0.5mmである線分を引いたと仮定する。そして、該線分の長さをL’とし、該線分上の一端側から1/8L’、1/2L’、7/8L’の点を各々、P0’、P1’、P2’とする。
【0112】
該第1の側面及び該第2の側面の該P0’、該P1’及び該P2’の各々においてサンプリングされる試料を、イオン化室内で加熱気化させ、試料分子をイオン化する直接試料導入方式の質量分析計を用いて、昇温速度10℃/s、1000℃まで加熱する。その結果として得られる、全てのイオンの検出量をM1とし、3官能以上の多官能イソシアネートに由来するm/z値の範囲に対応する抽出イオンサーモグラムのピークの積分強度をM2とする。このとき、第1の側面及び/又は第2の側面におけるM2/M1が、0.0010~0.0150であることが好ましく、特には、M2/M1が0.0030~0.0150であることがより好ましい。
【0113】
また、ジイソシアネートに由来するm/z値の範囲に対応する抽出イオンサーモグラムのピークの積分強度をM3としたときに、第1の側面及び/又は第2の側面におけるM3/M1が、0.0200~0.1100であることが好ましく、特には、0.0380~0.0760であることがより好ましい。M2/M1、及びM3/M1が上記の範囲にあることで、該ポリウレタンには、結晶性が低い、3官能以上の多官能イソシアネートに由来する構造が適切な量導入された結果、ハードセグメントの凝集が抑えられ、ハードセグメントがより微細かつ均一に分散されたものであることができる。また、ポリウレタン中の架橋構造の過度の発達が抑えられ、当接幅W及びなす角θを制御しやすくなる。また、弾性率の平均値を15.0MPa以上、470.0MPa以下の範囲内により容易に調整し得る。
【0114】
さらに、M2/M3を0.0130以上、0.3000以下とすることが好ましい。M2/M3は、該ポリウレタンのイソシアネート由来の構造における、ジイソシアネート由来の構造部分と、3官能以上の多官能イソシアネート由来の構造部分との割合を表すパラメータであり、M2/M3を上記範囲内とすることで、弾性率の過度の上昇が抑えられ、
かつ、ハードセグメントの凝集がより一層抑制されたポリウレタンとすることができる。
【0115】
ここで、該ポリウレタンが、3官能以上の多官能イソシアネートとして、上記化学式(1)’で示されるポリメリックMDIを用いて製造されたポリウレタンである場合、上記した質量分析によって得られる抽出イオンサーモグラムにおいて、化学式(1)’で示される構造のn=1に由来するm/z値が380.5~381.5の範囲、n=2に由来するm/z値が511.5~512.5の範囲、n=3に由来するm/z値が642.5~643.5の範囲、及び、n=4に由来するm/z値が773.5~774.5の範囲の各々に対応するピークの積分強度の合計をM2とすればよい。
【0116】
また、該ポリウレタンが、ジイソシアネートとして、化学式(2)で示される4,4’-MDIを原料のうちの一つとして用いられたポリウレタンである場合には、上記した質量分析によって得られるイオンサーモグラムにおいて、化学式(2)で示される構造に由来するm/z値が249.5~250.5の範囲に対応するピークの積分強度をM3とすればよい。
【化2】
【0117】
さらに、本開示の一態様に係るワイパー装置のリップ部が、3官能以上の多官能イソシアネートを含むイソシアネート化合物、並びに3官能以上の多官能アルコールを含むアルコールを含む原料組成物の反応物であるポリウレタンを含む場合において、リップ部は、以下の物性を有するものであることが好ましい。すなわち、リップ部の第1の側面及び第2の側面に、それぞれ第1のエッジ及び第2のエッジと平行に、第1のエッジ及び第2のエッジとの距離が0.5mmである線分を引いたと仮定したときに、線分の長さをL’とし、該線分上の一端側から1/8L’、1/2L’、7/8L’の点を各々、P0’、P1’、P2’とする。該第1の側面及び該第2の側面の該P0’、該P1’及び該P2’の各々においてサンプリングされる試料を、熱分解GC/MS(ガスクロマトグラフィー及び質量分析法)により測定する。そして、該ポリウレタン中の3官能以上の多官能アルコールに由来する成分の濃度が、0.04mmol/g~0.39mmol/gであることが好ましく、0.14mmol/g~0.39mmol/gであることがより好ましく、0.22mmol/g~0.39mmol/gであることがさらに好ましい。
【0118】
該3官能以上の多官能アルコールに由来する成分の濃度が0.04mmol/g以上である場合、該ポリウレタンは、ハードセグメントの凝集がより確実に抑制されたものであることができる。また、該3官能以上の多官能アルコール由来の成分の濃度が0.39mmol/g以下であることで、該ポリウレタン中の架橋構造の過度の発達を抑制でき、弾性率が高くなりすぎることを防止し得る。よって、上記の物性を有するテーパー部は、より容易に前記した当接幅、なす角θ、弾性率の値の平均値及び弾性率の変動係数に係る規定を満たし得る。なお、ポリウレタン中の3官能以上の多官能アルコールの濃度は下記式(2)により算出される。
【0119】
式(2):3官能以上の多官能アルコールの濃度(mmol/g)=
〔3官能以上の多官能アルコール量(g)/3官能以上の多官能アルコール分子量×1000〕/〔ポリウレタン質量(g)〕
【0120】
ウレタン原料は、イソシアネート化合物及びアルコールの反応を促進するための触媒を含むことができる。触媒としては、一般的に用いられるポリウレタンエラストマー硬化用の触媒を使用することができ、例えば、三級アミン触媒や三級アミノアルコールが挙げられ、具体的には、以下のものを例示できる。
ジメチルエタノールアミン、N,N,N’-トリメチルアミノプロピルエタノールアミン、N,N’-ジメチルヘキサノールアミンの如きアミノアルコール;トリエチルアミンの如きトリアルキルアミン;N,N,N’N’-テトラメチル-1,3-ブタンジアミンの如きテトラアルキルジアミン;トリエチレンジアミン、ピペラジン系化合物、トリアジン系化合物。
【0121】
3級アミノアルコールとしては、例えば2-(ジメチルアミノ)エタノール、3-(ジメチルアミノ)プロパノール、2-(ジメチルアミノ)-1-メチルプロパノール、2-{2-(ジメチルアミノ)エトキシ}エタノール、2-{2-(ジエチルアミノ)エトキシ}エタノール、2-[{2-(ジメチルアミノ)エチル}メチルアミノ]エタノール。
また、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムアルカリなどの金属の有機酸塩も用いることができる。さらに、通常、ウレタン化に用いられる金属触媒、例えば、ジブチル錫ジラウレートも使用可能である。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0122】
中でも、2-{2-(ジエチルアミノ)エトキシ}エタノール、2-[{2-(ジメチルアミノ)エチル}メチルアミノ]エタノールのような感温性触媒は、前記した多官能イソシアネートをポリオールと極めて高効率で反応させることができ、ポリウレタン中に高次架橋構造をより良く形成することができる。
【0123】
ブレードラバーを構成する原料には、当接幅W及びなす角θに影響を与えない範囲で、必要に応じて、顔料、可塑剤、防水剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、加水分解防止剤等の添加剤を配合することができる。
【0124】
(5.本開示の有利な効果)
本開示に係る再生システムによれば、ブレードラバーの再生が円滑になされ、ブレードラバーが繰り返し再生されて利用されることが期待される。これにより、資源の無駄遣いを減らし環境保護に貢献できる。
【0125】
また、再生システムに関わる各当事者についても、次のような利点がある。ワイパー装置のユーザは、払拭性能が低下したときに新品のブレードラバーに交換するのではなく、再生により払拭性能を回復するので、必要な出費を抑えることができる。また、ブレードラバーに貼付されたシールや、電子メールおよびアプリ等によって再生推奨時期がユーザに通知されるため、ワイパー装置の払拭性能が極端に低下する前に再生が行え、運転の安全に繋がる。また、再生推奨時期の通知の際に近くの再生施設が通知されるため、再生依頼を容易に行える。また、ブレードラバーの再生済回数を把握できるため、ユーザは環境への貢献を実感できる。
【0126】
再生業者は、ブレードラバーの再生処理のためにユーザが来訪するので、その他の商品購入やサービス利用による売上増大が見込める。また、ユーザへの再生推奨時期の通知の際に再生施設も一緒に通知されることで、より大きな集客効果が見込める。また、再生対象のブレードラバーが再生可能かどうかを測定により判定できるので、再生業者の作業効率が向上する。さらに、再生処理後に残切断(再生)回数を把握してユーザに通知できることも利点の一つである。
【0127】
(6.その他の実施形態)
一実施形態において、車両あるいはブレードラバーを受け取った再生業者は、ユーザ情報を取得してもよい。ユーザ情報の一例は、車両番号、ブレードラバー型式、ブレードラバー個体番号、ブレードラバー残切断回数の少なくともいずれかである。ユーザ情報は、例えば、ユーザIDと関連付けてデータベースに格納され、再生業者がコンピュータ端末を介してアクセスすることで取得すればよい。あるいは、再生業者は、ブレードラバーあるいはワイパー装置等に貼付されたバーコード(1次元コード)、2次元コードあるいはRFIDタグからブレードラバーの残切断回数などの情報を取得してもよい。バーコード等には、ブレードラバーの残切断回数が直接格納されていてもよいし、残切断回数を取得するためのアクセス情報が格納されていてもよい。再生実行者は、これらのユーザ情報を参照できるので、再生処理を円滑に行うことができる。また、取得したユーザ情報と、再生対象のワイパー装置(ブレードラバー)を比較することで、再生実行者は再生対象の取り間違えを防止することができる。
【0128】
再生処理の各工程は、機械によって自動的に行われてもよいし、人間(再生実行者またはユーザなど)による操作が介入してもよい。また、一部の工程についてはその全てが人間によって行われても構わない。
【0129】
<付記>
本実施形態の開示は以下の構成を含む。
[構成1]
ワイパーブレードの先端の長さを測定する測定工程と、
前記測定工程において測定した前記長さに基づき、前記ワイパーブレードの前記先端が切削可能であるかどうかを判定する判定工程と、
前記判定において前記ワイパーブレードの前記先端が切削可能であると判定した場合には、前記ワイパーブレードの先端の少なくとも一部を除去する除去工程と、
を有する、ことを特徴とするワイパーブレードの再生方法。
[構成2]
前記判定工程において前記ワイパーブレードの前記先端が除去不可能であると判定した場合に、再生が不可能であることを通知する第1通知工程、
をさらに有する、構成1に記載のワイパーブレードの再生方法。
[構成3]
前記除去工程において前記ワイパーブレードの前記先端の少なくとも一部を除去した場合に、当該除去後の先端の長さに基づき、残りの再生可能回数を通知する第2通知工程、
をさらに有する、構成1または2に記載のワイパーブレードの再生方法。
[構成4]
前記第2通知工程は、
前記残りの再生可能回数をディスプレイに表示すること、
前記残りの再生可能回数をラベルに印字すること、
前記残りの再生可能回数を情報として含むバーコードまたは2次元コードを出力すること、および
前記残りの再生可能回数を情報としてRFIDタグに書き込むこと
の少なくともいずれかを含む、構成3に記載のワイパーブレードの再生方法。
[構成5]
前記第2通知工程は、前記ワイパーブレードの再生済回数も通知する、構成3または4に記載のワイパーブレードの再生方法。
[構成6]
前記除去工程において前記ワイパーブレードの前記先端の少なくとも一部を除去した場合に、当該除去後の前記先端の長さを通知する第3通知工程、をさらに有する、構成1から5のいずれか1項に記載のワイパーブレードの再生方法。
[構成7]
前記除去後の前記ワイパーブレードの前記先端の長さは、
前記除去工程の後に、前記除去後の前記ワイパーブレードの前記先端の長さを測定すること、または、
前記測定工程において測定された前記ワイパーブレードの前記先端の長さから、前記除去工程における切断代を引くこと、
により求められる、構成6に記載のワイパーブレードの再生方法。
[構成8]
前記除去工程において前記ワイパーブレードの先端の少なくとも一部を除去した場合に、当該除去後の前記ワイパーブレードの払拭性能を確認する確認工程、
をさらに有する、構成1から7のいずれか1項に記載のワイパーブレードの再生方法。[構成9]
前記確認工程において、前記払拭性能は、前記除去後の前記ワイパーブレードの前記先端の長さのばらつきに基づいて判断される、請求項8に記載のワイパーブレードの再生方法。
[構成10]
前記確認工程において、前記払拭性能は、前記除去後の前記ワイパーブレードを用いた払拭対象物の清掃結果に基づいて判断される、構成8または9に記載のワイパーブレードの再生方法。
[構成11]
前記除去工程において前記ワイパーブレードの前記先端の少なくとも一部を除去した場合に、次回の再生推奨時期を通知する第4通知工程、をさらに有する、構成1から10のいずれか1項に記載のワイパーブレードの再生方法。
[構成12]
前記測定工程の前に、車両に装着されているワイパーブレードの再生推奨時期が到来したことを前記車両のユーザに通知する第5通知工程、をさらに有する、構成1から11のいずれか1項に記載のワイパーブレードの再生方法。
[構成13]
前記第5通知工程における前記ユーザへの通知は、電話、電子メール、SNS、および前記ユーザが有する端末のアプリからなる群から選択される少なくとも一つを介して行われる、構成12に記載のワイパーブレードの再生方法。
[構成14]
前記第5通知工程における前記再生推奨時期の到来は、前回の再生時または新品交換時に設定された再生推奨時期、前回の再生後または新品交換後の前記車両の走行距離または前記車両におけるワイパー装置の稼働回数、ワイパー装置の駆動モーターの負荷、及び、ウインドシールドの表面のワイパーブレードによる払拭状態を観察可能なセンサによって観察された払拭状態、からなる群から構成される少なくとも一に基づいて判断する、構成12または13に記載のワイパーブレードの再生方法。
[構成15]
前記第5通知工程は、前記ユーザの属性に基づいて複数のワイパーブレードの再生施設の中から少なくとも1つの該再生施設を選択し、該ユーザに通知すること、を含む、構成12から14のいずれか1項に記載のワイパーブレードの再生方法。
[構成16]
前記測定工程は、前記ワイパーブレードの前記先端の長さを長手方向にわたって測定し、
前記判定工程では、前記ワイパーブレードの前記先端の最短長さに基づき、前記ワイパーブレードの前記先端が切削可能であるかどうかを判定する、
構成1から14のいずれか1項に記載のワイパーブレードの再生方法。
[構成17]
前記ワイパーブレードは、ブレードラバーと、当該ブレードラバーを指示するブレードステーを有し、
前記ブレードラバーは、前記ブレードステーに取り付け可能な基部と、ネック部と、前記ネック部を介して前記基部に揺動可能に連結されているリップ部とを有し、
前記測定工程では、前記基部の端面から前記リップ部までの長さを測定し、当該測定された長さから前記ブレードラバーに応じてあらかじめ定められた長さを引くことで、前記先端の長さを求める、
構成1から16のいずれか1項に記載のワイパーブレードの再生方法。
[構成18]
車両に装着されているワイパーブレードを再生する再生システムであって、
前記ワイパーブレードの基部から先端までの長さを取得する取得手段と、
前記長さに基づき、前記ワイパーブレードが切削可能であるかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段によって切削可能と判定した場合に、前記ワイパーブレードの先端を切削する切削装置と、
前記判定手段により切削不可能であると判定された場合には切削不可能であることを通知し、前記判定手段により切削可能であると判定され前記切削装置により切削した場合には、前記基部と切削後の先端までの長さに基づき、残りの切削可能回数を通知する通知手段と、
を備える、ことを特徴とするワイパーブレードの再生システム。
[構成19]
構成1から17のいずれか1項に記載の方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
[構成20]
構成19に記載のプログラムを記録した、コンピュータにより読み取り可能な情報記録媒体。
【符号の説明】
【0130】
10:ブレードラバー 20:ワイパーブレード
41:リップ部先端長さ取得部 42:切断可否判定部 47:通知部
S102:測定工程 S103:切断か被判定工程 S104:切断工程