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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162169
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】シート巻取り装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/24 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A01G9/24 K
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077468
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000221568
【氏名又は名称】東都興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】澤田 明
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029LA01
2B029RB01
2B029RB07
(57)【要約】
【課題】
本発明では、シートの格納時において、シートを巻取り軸に対して均一に巻取り可能なシート巻取り装置の提供を目的とする。
【解決手段】
前記課題を解決するための手段は、アーチ状あるいは山型状の複数の骨材Pを奥行方向に沿って並べて配置して構成される骨組Fを有するビニールハウスHに設けられて、骨組Fの外側又は内側に設けられる遮光シート2の格納および展開を可能なシート巻取り装置1であって、骨材Pを横切るように配置され遮光シートの上端に取付けられて骨組Fに対して軸回りに回転可能に支持されるとともに遮光シート2を巻取りおよび繰り出し可能な巻取軸3と、巻取軸3の一端に設けられて巻取軸3を回転駆動する駆動装置Mと、遮光シート2の巻取り時および繰り出し時において遮光シート2の下端の移動を案内するガイド部材4とを備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーチ状あるいは山型状の複数の骨材を奥行方向に沿って並べて配置して構成される骨組を有する簡易構築物に設けられて、前記骨組の外側又は内側に設けられるシートの格納および展開を可能なシート巻取り装置であって、
前記骨材を横切るように配置され前記シートの上端に取付けられて前記骨組に対して軸回りに回転可能に支持されるとともに前記シートを巻取りおよび繰り出し可能な巻取軸と、
前記巻取軸の一端に設けられて前記巻取軸を回転駆動する駆動装置と、
前記シートの巻取り時および繰り出し時において前記シートの下端の移動を案内するガイド部とを備える
ことを特徴とするシート巻取り装置。
【請求項2】
前記シートの下端に連結されて前記巻取軸に対して平行に配置されるロッド状の錘を備え、
前記錘の軸方向長さは、前記シートにおける前記巻取軸の軸方向に沿う幅方向の長さ以上であって、
前記シートの前記幅方向の中央と前記錘の軸方向の中央を一致させて前記シートに前記錘を取付ける
ことを特徴とする請求項1に記載のシート巻取り装置。
【請求項3】
前記シートの下端に前記錘を連結するシート止め材を備え、
前記錘は前記シート止め材を介して前記ガイド部に当接する
ことを特徴とする請求項2に記載のシート巻取り装置。
【請求項4】
前記骨組に連結されて前記巻取軸を軸回りに回転可能に支持するとともに前記シートの巻取り時および繰り出し時における前記シートの出入りを許容する開口を有するホルダを備え、
前記ホルダは、前記簡易構築物の奥行方向に沿って所定の間隔をあけて複数設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のシート巻取り装置。
【請求項5】
前記骨組は前記骨材の頂部における内側に連結されるとともに前記簡易構築物の奥行方向に沿って配置される棟材を有しており、
前記各ホルダは、それぞれ前記棟材に連結されるとともに前記巻取軸を収容する筒部を有する
ことを特徴とする請求項4に記載のシート巻取り装置。
【請求項6】
前記ホルダは、前記開口を有する筒部と、前記筒部における一方の開口側端に回転可能に設けられる第一ローラと、前記筒部における前記第一ローラに対して前記筒部の周方向で反開口側に隣接する位置又は前記筒部の他方の開口側端に回転可能に設けられる第二ローラとを有し、
前記巻取軸は前記筒部内に収容されるとともに前記第一ローラと前記第二ローラとの間に軸回りに回転可能に下方から支持されている
ことを特徴とする請求項4に記載のシート巻取り装置。
【請求項7】
前記第二ローラが前記筒部における前記第一ローラに対して前記筒部の周方向で反開口側に隣接する位置に設けられており、
前記筒部の他方の開口側端に第三ローラが回転可能に設けられる
ことを特徴とする請求項6に記載のシート巻取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート巻取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビニールハウスや温室、簡易型の倉庫等の簡易構築物には、簡易構築物に設けられる開口部を覆う開閉シートを開閉して換気を行う換気装置や、骨組に展張される被覆シートを簡易構築物の内側又は外側から覆う遮光シートを展開および格納して簡易構築物内で栽培する植物に降り注ぐ日差しの量を調整する遮光装置等のシート巻取り装置が設けられる場合がある。
【0003】
このようなシート巻取り装置としては、例えば、開閉シートや遮光シート(以下、「シート」と称する。)の下端に取付けられて簡易構築物を構成するアーチ状の骨組上を転動してシートを巻取り及び繰り出す巻取軸と、巻取軸の一端に設けられて巻取軸を回転駆動する駆動装置とを備えるものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-299365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のシート巻取り装置では、シートの巻取り時において、巻取軸が回転しながら簡易構築物の頂部側に向かって移動するため、巻取軸の一端に設けられた駆動装置も巻取軸と共に簡易構築物の頂部側に向かって移動する。よって、従来のシート巻取り装置では、駆動装置を簡易構築物に対して固定できない。
【0006】
すると、巻取軸の一端に設けられた駆動装置の重みによって、シートの駆動装置側のみが下向きに引張られるため、巻取軸は一端側が他端側よりも下方に位置するように傾いた状態となる。
【0007】
この状態で、シートが巻取軸に巻き取られると、巻取軸が蛇行して、巻取軸の一端側と他端側でシートを均一に巻き取ることができないため、シートの格納時において、シートの一部が巻取軸に巻き取りされない状態になってしまう。
【0008】
特にシートが簡易構築物の屋根面を覆う場合は、シートの格納時において、巻取軸に巻き取られたシートのロール状の部分の他に、巻取軸に巻き取られなかったシートの一部によって簡易構築物内に影ができてしまう。
【0009】
そこで、本発明は、シートの格納時において、シートを巻取り軸に対して均一に巻取り可能なシート巻取り装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成させるための本発明のシート巻取り装置は、アーチ状あるいは山型状の複数の骨材を奥行方向に沿って並べて配置して構成される骨組を有する簡易構築物に設けられて、骨組の外側又は内側に設けられるシートの格納および展開を可能なシート巻取り装置であって、骨材を横切るように配置されシートの上端に取付けられて骨組に対して軸回りに回転可能に支持されるとともにシートを巻取りおよび繰り出し可能な巻取軸と、巻取軸の一端に設けられて巻取軸を回転駆動する駆動装置と、シートの巻取り時および繰り出し時においてシートの下端の移動を案内するガイド部とを備えることを特徴とする。この構成によると、一端に駆動装置が設けられた巻取軸がシートの上端に取付けられているため、シートの下端には駆動装置の荷重が作用しない。
【0011】
また、本発明のシート巻取り装置は、シートの下端に連結されて巻取軸に対して平行に配置されるロッド状の錘を備え、錘の軸方向長さは、シートにおける巻取軸の軸方向に沿う幅方向の長さ以上であって、シートの幅方向の中央と錘の軸方向の中央を一致させてシートに錘を取付けてもよい。この構成によると、錘の重みによってシートのめくれ上がりやシートの撓みを防止できるとともに、錘の荷重がシートに対して均一にかかるため、シートの巻取り時において、シートを巻取軸に対して軸方向で均一に巻き取ることができる。
【0012】
また、本発明のシート巻取り装置は、シートの下端に錘を連結するシート止め材を備え、錘はシート止め材を介してガイド部に当接してもよい。この構成によると、シートの下端が錘の重みによってガイド部材に押し付けられていても、シートがガイド部に直接当接することがないので、シートの巻取り時および繰り出し時において、シートがガイド部に擦れて劣化するのを防止できる。
【0013】
また、本発明のシート巻取り装置は、骨組に連結されて巻取軸を軸回りに回転可能に支持するとともにシートの巻取り時および繰り出し時におけるシートの出入りを許容する開口を有するホルダを備え、ホルダは、簡易構築物の奥行方向に沿って所定の間隔をあけて複数設けられていてもよい。この構成によると、既存の簡易構築物に対して、ホルダを後付けすることで、巻取軸を骨組に対して軸回りに回転可能に支持させることができるため、既存の簡易構築物に対するシート巻取り装置の設置が容易となる。
【0014】
また、本発明のシート巻取り装置では、骨組は骨材の頂部における内側に連結されるとともに簡易構築物の奥行方向に沿って配置される棟材を有しており、各ホルダは、それぞれ棟材に連結されるとともに巻取軸を収容する筒部を有してもよい。ここで、巻取軸が地面に対して水平に配置されると、シートの巻取り時において、シートを巻取軸に対して軸方向で均一に巻き取ることができるため、巻取軸は地面に対して水平に配置されるのが好ましい。これに対して、棟材は、骨材の頂部の内側に連結されて簡易構築物の奥行方向に沿って延びているため、地面に対して水平に設置されている。そのため、棟材に対して連結される複数のホルダの筒部の中心を通る線は棟材の軸方向に対して平行、つまり、地面に対して水平となる。したがって、この構成によると、各ホルダの筒部内に収容された巻取軸は、地面に対して水平に配置される。よって、簡易構築物にシート巻取り装置を設置する際に、地面に対して水平に配置されている既存の棟材を利用することで、巻取軸を地面に対して水平に配置することが容易となる。
【0015】
また、本発明のシート巻取り装置では、ホルダは、開口を有する筒部と、筒部における一方の開口側端に回転可能に設けられる第一ローラと、筒部における第一ローラに対して筒部の周方向で反開口側に隣接する位置又は筒部の他方の開口側端に回転可能に設けられる第二ローラとを有し、巻取軸は筒部内に収容されるとともに第一ローラと第二ローラとの間に軸回りに回転可能に下方から支持されてもよい。この構成によると、巻取軸を回転駆動させると、巻取軸の回転に合わせて第一ローラと第二ローラが回転する。すると、シートの巻取り時および繰り出し時において、第一ローラと第二ローラとが転がるので、シートの巻取りと繰り出しとをスムーズに行え、ホルダから抵抗を受けずにシートの巻取りと繰り出しを行える。また、筒部の一方の開口側端に第一ローラが設けられているため、シートが筒部内を出入りする際に、筒部に設けられた第一ローラ52が回転するので、遮光シート2はホルダ5からの抵抗を受けにくく、遮光シート2の劣化を防止できる。よって、シートの劣化が抑制される。
【0016】
また、本発明のシート巻取り装置では、第二ローラが筒部における第一ローラに対して筒部の周方向で反開口側に隣接する位置に設けられており、筒部の他方の開口側端に第三ローラが回転可能に設けられてもよい。この構成によると、シートが筒部内を出入りする際に、シートが第三ローラに接触しても、第三ローラが回転するので、シートはホルダからの抵抗を受けにくく、シートの劣化を防止できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のシート巻取り装置によれば、シートの格納時において、シートを巻取り軸に対して均一に巻取りできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施の形態の簡易構築物の斜視図であって、一部を切欠いて示す図である。
図2】本実施の形態の簡易構築物の正面図である。
図3】本実施の形態の簡易構築物の骨組に連結されたホルダによってシート巻取り装置における巻取軸が支持された状態を示す拡大正面図である。
図4】本実施の形態のシート巻取り装置におけるホルダを示す斜視図である。
図5図3の拡大正面図におけるホルダを他の形態のホルダに変更した図である。
図6】本実施の形態のシート巻取り装置におけるシートの下端部分を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照しながら本実施の形態について説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は同じ部品を示す。
【0020】
簡易構造物は、本実施の形態では図1図2に示すように、奥行方向に沿って並べて配置されるアーチ状の複数の骨材Pと骨材Pの頂部における内側に連結されるとともに奥行方向に沿って延びる棟材Rとを有して構成される骨組Fと、骨組Fの外側に展張される被覆シートSとを備えて、アーチ型に構成されるビニールハウスHとされている。
【0021】
棟材Rは、骨材Pの頂部の内側に連結されてビニールハウスHの奥行方向に沿って延びるとともに、地面に対して水平に配置される円筒状のパイプ材である。
【0022】
また、ビニールハウスHには、図1図2に示すように骨組Fの内側に設けられるシートとしての遮光シート2の格納および展開を可能なシート巻取り装置1が設けられている。
【0023】
つづいて、本実施の形態のビニールハウスHの各部について、詳細に説明する。骨材Pは、図1図2に示すように、正面から見て地面から直線状に起立する左右一対の起立部Pa,Paと、各起立部Pa,Paの上端同士を繋ぐ略円弧状のアーチ部Pbとを有して、アーチ状に構成されている。また、複数の骨材Pは、起立部Paの下端が地面に埋められて奥行方向に沿って整列して配置されている。ただし、骨材Pは、アーチ部Pbを各起立部の上端から互いに斜め内向きに傾斜して上端同士が接続される山型にして、山型状に構成されてもよい。
【0024】
また、図示しないが、各骨材Pの外周には、各骨材Pの起立部Paの側部同士及びアーチ部Pb同士に架け渡される複数のシート定着フレームが取付けられている。当該シート定着フレームは溝を備えており、シート定着フレームの溝に被覆シートSを挿入した状態で、被覆シートSの上から当該溝に弾性部材を挿入すると、被覆シートSがシート定着フレームに定着される。このように、骨組Fを覆う被覆シートSを各シート定着フレームに定着させることによって、骨組Fの外側の全体に被覆シートSを展張している。
【0025】
また、図1図2中では、後述するシート巻取り装置1の構造を分かりやすくするために、ビニールハウスHの妻面の構成を省略しているが、実際には、ビニールハウスHの妻面には、ビニールハウスH内の出入口となる開口部と、ビニールハウスHの妻面の開口部以外を覆う被覆シートと、開口部を開閉する扉が設けられている。
【0026】
なお、本実施の形態の被覆シートSとしては、塩化ビニルフィルム、PETフィルム等のポリオレフィン系フィルムなどの軟質シートが利用されているが、ポリエステルフィルム、フッ素フィルムなどの硬質シートが利用されてもよい。
【0027】
また、本実施の形態では、独立して設置される単棟型のビニールハウスHについて説明しているが、ビニールハウスHは複数の棟を幅方向で左右に連ねた連棟型であってもよい。
【0028】
つづいて、本実施の形態のシート巻取り装置1について、詳細に説明する。シート巻取り装置1は、図1図2に示すように、骨組Fの内側に設けられて骨組Fの頂部から図2中右側の一方の側部までの範囲に展開可能な遮光シート2の巻取りおよび繰り出しを行う装置である。具体的には、シート巻取り装置1は、骨組Fの内側で骨材Pを横切るように配置されて骨組Fに対して軸回りに回転可能に支持されるとともに遮光シート2の上端に取付けられて遮光シート2を巻取りおよび繰り出し可能な巻取軸3と、巻取軸3の一端に設けられて巻取軸3を回転駆動する駆動装置Mと、遮光シート2の巻取り時および繰り出し時において遮光シート2の下端の移動を案内するガイド部としてのガイド部材4とを備えている。
【0029】
本実施の形態の巻取軸3は、図1図3に示すように、ビニールハウスHの奥行方向に沿って延びるパイプ材であって、後述するホルダ5を介して、骨組Fの棟材Rに対して、軸回りに回転可能に支持されている。また、巻取軸3は、遮光シート2の上端に連結されている。そして、巻取軸3の一端に設けられた駆動装置Mを回転駆動させることで、遮光シート2を巻取軸3に巻取りできるようになっている。
【0030】
詳しくは説明しないが、本実施の形態の駆動装置Mは、棟材Rの一端に設けられた吊り具(図示せず)によって、棟材Rに対して固定的に支持されるモータである。ただし、駆動装置MのビニールハウスHへの設置手段は特に限定されず、例えば、ビニールハウスH内に架台を設置して、当該架台の上端に駆動装置Mを支持させてもよい。また、駆動装置Mの構成は、巻取軸3を回転駆動できる限りにおいて、特に限定されない。例えば、駆動装置Mは、地面に設置したモータと、モータの出力軸と巻取軸3の一端とを接続するとともにモータの出力軸の回転を伝達する伝達機構とで構成されてもよい。
【0031】
また、詳しくは後述するが、本実施の形態のガイド部材4は、複数であって、図2に示すように、各骨材Pにおけるアーチ部Pbの右側の下端と、アーチ部Pbの頂部より左側の上端付近に架け渡されて右肩下がりに設置されたパイプであって、遮光シート2の下端に連結された後述する錘6を下方から支持している。
【0032】
このように構成されたシート巻取り装置1によると、図2に示すように、遮光シート2が骨組Fの内側で頂部から図中右側の一方の側部までの範囲に展開された状態で、駆動装置Mによって巻取軸3を正方向に回転駆動させると、遮光シート2は下端がガイド部材4に案内されつつ巻取軸3に巻き取られていく。そして、遮光シート2が下端付近まで巻取軸3に巻き取られると、遮光シート2が格納された状態となる。
【0033】
反対に、遮光シート2が巻取軸3に格納された状態から、駆動装置Mによって巻取軸3を逆方向に回転駆動させると、遮光シート2は巻取軸3から繰り出されていき、遮光シート2の下端はガイド部材4に案内されつつ徐々に骨組Fの側部側に接近していく。そして、遮光シート2の下端が骨組Fの一方の側部付近まで移動するまで遮光シート2が巻取軸3から繰り出されると、遮光シート2が展開された状態となる。このように、遮光シート2は、展開時において、ビニールハウスHの屋根面の片側を内側から覆うので、日差しが遮られる。
【0034】
よって、本実施の形態のシート巻取り装置1は、駆動装置Mにより巻取軸3を駆動して遮光シート2を展開又は格納することで、ビニールハウスH内で栽培する植物に降り注ぐ日差しの量を調整できる。
【0035】
また、このようなシート巻取り装置1では、一端に駆動装置Mが設けられた巻取軸3が遮光シート2の上端に取付けられている。そのため、遮光シート2の下端には駆動装置Mの荷重が作用しない。よって、従来のシート巻取り装置のように、シートの下端に取付けた巻取軸の一端に駆動装置を取付ける場合に、シートの下端の一方側に荷重が集中してシートを巻取り軸に対して均一に巻き取ることができなくなるという事態が生じず、遮光シート2の一部だけが引っ張られるようなことがないので、遮光シート2を巻取軸3の一端側と他端側で均一に巻き取ることができる。よって、遮光シート2の格納時において、全ての遮光シート2を巻取軸3に巻き取ることができる。
【0036】
なお、遮光シート2は、巻取軸3に巻取り可能な程度の可撓性があって、通過する日差しの量を減少させることができる限りにおいて、材質や構造は特に限定されない。例えば、遮光シート2は、遮光率の高い素材で形成されたり、網目状に形成されてもよい。
【0037】
つづいて、シート巻取り装置1の各部について、詳細に説明する。本実施の形態の巻取軸3は、図1図3に示すように、ビニールハウスHの奥行方向に沿って延びるパイプ材であって、骨組Fの棟材Rに対して、棟材RにビニールハウスHの奥行方向に沿って所定の間隔をあけて連結される複数のホルダ5を介して、軸回りに回転可能に支持されている。
【0038】
具体的には、各ホルダ5は、図3図4に示すように、遮光シート2の出入りを許容するとともに展開状態の遮光シート2の下端側を向く位置(図3中右斜め下側)に開口50aを有する円筒状の筒部50と、筒部50の上端から垂直に起立して取付金具Jを介して棟材Rに連結可能な取付片51とを備え、筒部50内に巻取軸3を収容している。
【0039】
ここで、巻取軸3が地面に対して水平に配置されると、遮光シート2の巻取り時において、遮光シート2を巻取軸3に対して軸方向で均一に巻き取ることができるため、巻取軸3は地面に対して水平に配置されるのが好ましい。
【0040】
ホルダ5は、骨材Pの頂部の内側に連結されてビニールハウスHの奥行方向に沿って延びるとともに地面に対して水平に設置される棟材Rに対して、所定の間隔をあけて複数設置されている。そのため、各ホルダ5の筒部50の中心を通る線は棟材Rの軸方向に対して平行、つまり、地面に対して水平となる。
【0041】
したがって、図3に示すように、棟材Rに連結された各ホルダ5の筒部50内に巻取軸3を収容すると、巻取軸3は、地面に対して水平に配置される。このように、本実施の形態では、ビニールハウスHにシート巻取り装置1を設置する際に、地面に対して水平に配置されている既存の棟材Rを利用することで、巻取軸3を地面に対して水平に配置することが容易となる。なお、棟材Rの形状は、円筒型には限定されず、例えば、四角筒型であってもよい。
【0042】
また、詳細には説明しないが、取付片51は、図4に示すように、筒部50の上部に設けられた平らな面である平面部50bから垂直に起立する板材であって、孔51aを有している。そして、図3に示すように、棟材Rに吊持された取付金具Jに設けられた図示しない孔と取付片51の孔51aにボルトBを挿通し、ボルトBのネジ部に蝶ナットNを螺合することで、ホルダ5は、棟材Rに連結されている。ただし、上述した取付片51と取付金具Jの構成は一例であって、ホルダ5を棟材Rに連結可能である限りにおいて、取付片51と取付金具Jの構成は特に限定されない。
【0043】
また、本実施の形態では、遮光シート2の出入りを許容する開口50aが、筒部50における展開状態の遮光シート2の下端側を向く位置(図4中右斜め下側)に設けられているため、巻取り時に遮光シート2が筒部50内にスムーズに入る。ただし、筒部50における開口50aの位置は、筒部50における展開状態の遮光シート2の下端側を向く位置でなくともよく、例えば、筒部50の鉛直方向で下向きに開口50aが設けられてもよい。
【0044】
また、筒部50の開口50aの開口幅は、巻取軸3の直径よりも狭くなっている。そのため、巻取軸3が筒部50内から落下することがない。ただし、筒部50の開口50aの開口幅は、巻取軸3の直径以上であってもよい。
【0045】
また、筒部50の内径は、遮光シート2の格納時に、巻取軸3に巻き取られたロール状の遮光シート2の直径以上に設定されていればよい。また、本実施の形態では、筒部50は、円筒状に形成されているが、筒部50の断面形状は特に限定されず、例えば、四角筒状であってもよい。
【0046】
また、ホルダ5は、図3図4に示すように、筒部50における開口50aを挟んで図3中左側に位置する一方の開口側端に回転可能に設けられる第一ローラ52と、筒部50における第一ローラ52に対して筒部50の周方向で反開口側(図3中左側)に隣接する位置に設けられる第二ローラ53と、筒部50の図3中右側に位置する他方の開口側端に回転可能に設けられる第三ローラ54とを備えている。
【0047】
そして、図3に示すように、巻取軸3は、筒部50内に収容されるとともに第一ローラ52と第二ローラ53との間に軸回りに回転可能に下方から支持されている。
【0048】
この状態で、巻取軸3を回転駆動させると、第一ローラ52と第二ローラ53は巻取軸3と回転軸の方向が同じであるため、巻取軸3の回転に合わせて第一ローラ52と第二ローラ53が回転する。すると、遮光シート2の巻取り時および繰り出し時において、第一ローラ52と第二ローラ53とが転がるので、遮光シート2の巻取りと繰り出しとをスムーズに行え、ホルダ5から抵抗を受けずに遮光シート2の巻取りと繰り出しを行える。また、筒部50の図3中左側である一方の開口側端に第一ローラ52が設けられているため、遮光シート2が筒部50内を出入りする際に、筒部50に設けられた第一ローラ52が回転するので、遮光シート2はホルダ5からの抵抗を受けにくく、遮光シート2の劣化を防止できる。よって、筒部50に第一ローラ52と第二ローラ53を設けると、遮光シート2の劣化が抑制される。
【0049】
また、筒部50における図3中右側である他方の開口側端には巻取軸3と回転軸の方向が同じ第三ローラ54が設けられている。すると、遮光シート2が筒部50内を出入りする際に、遮光シート2が第三ローラ54に接触しても、第三ローラ54が回転するので、遮光シート2はホルダ5からの抵抗を受けにくく、遮光シート2の劣化を防止できる。ただし、第三ローラ54は省略されてもよい。
【0050】
なお、筒部50に設けられるローラの数と位置は適宜変更可能であって、例えば、ホルダ5Aが、図5に示すように、筒部50における一方の開口側端に回転可能に設けられる第一ローラ52Aと、筒部50における他方の開口側端に設けられる第二ローラ53Aとを有し、第一ローラ52Aと第二ローラ53Aの間で巻取軸3を軸回りに回転可能に下方から支持するようにしてもよい。
【0051】
このように構成されたホルダ5Aによると、図3に示すホルダ5と同様に、巻取軸3を回転駆動させると、巻取軸3の回転に合わせて第一ローラ52Aと第二ローラ53Aが回転する。したがって、遮光シート2の巻取り時および繰り出し時において、遮光シート2の巻取りと繰り出しとをスムーズに行え、ホルダ5から抵抗を受けずに遮光シート2の巻取りと繰り出しを行える。さらに、筒部50の各開口側端にそれぞれ第一ローラ52Aと第二ローラ53Aが設けられるため、遮光シート2が筒部50内を出入りする際に、第一ローラ52Aと第二ローラ53Aが回転するので、遮光シート2はホルダ5から抵抗を受けにくく、遮光シート2の劣化を防止できる。
【0052】
よって、図5に示すホルダ5Aによると、第二ローラ53Aが、図3に示すホルダ5における第二ローラ53と第三ローラ54の機能を兼ねるため、ホルダ5と同様の効果を発揮しつつ、ローラの数を削減できる。ただし、ホルダ5,5Aは、ローラを備えていなくともよい。
【0053】
つづいて、本実施の形態のガイド部材4について詳細に説明する。本実施の形態では、ガイド部材4は、複数であって、図1に示すように、各骨材Pに対してそれぞれ設けられている。具体的には、ガイド部材4は、図2に示すように、骨材Pにおけるアーチ部Pbの頂部より右側の下端と、アーチ部Pbの頂部より左側の上端付近に架け渡されて右肩下がりに設置されたパイプであって、ビニールハウスHの頂部から図2中右側である一方の側部までの屋根面の傾斜に沿って傾斜している。
【0054】
このように、本実施の形態のガイド部材4は、ビニールハウスHの頂部から一方の側部までの屋根面の片側の下方に上下に間隔をあけて配置され、当該屋根面の傾斜に対して略平行になるように骨材Pに対して設置されて遮光シート2の下方に配置されている。
【0055】
したがって、遮光シート2の展開時には、図2に示すように、遮光シート2は、各骨材Pに設けられた複数のガイド部材4によって下側から支えられた状態となる。そのため、遮光シート2の巻取り時には、遮光シート2の下端がガイド部材4に当接してガイド部材4に案内されながら巻取軸3側へ移動する。また、遮光シート2の繰り出し時においても、遮光シート2の下端がガイド部材4に当接してガイド部材4に案内されながら反巻取軸側であるビニールハウスHの側部側へ移動する。
【0056】
なお、本実施の形態では、ガイド部材4の各端部は、骨材Pに対して図示しないブラケットを介して連結されているが、ガイド部材4の骨材Pに対する連結方法は特に限定されない。また、ガイド部材4の骨材Pに対する取付角度は、適宜変更可能であって。ビニールハウスHの屋根面の傾斜と平行になっていなくともよい。
【0057】
また、図6に示すように、遮光シート2の下端にはロッド状の錘6が後述するシート止め材7を介して連結されており、遮光シート2の巻取りと繰り出しの際に、錘6により遮光シート2の下端がばたつくことなく、ガイド部材4に沿って上下へ移動できるようになるので、遮光シート2のめくれ上がりが防止される。また、遮光シート2が錘6の重みにより下向きに引っ張られるため、遮光シート2にテンションがかかって、遮光シート2の撓みが抑制される。
【0058】
具体的には、錘6は、巻取軸3に対して平行に配置されるパイプ材であって、軸方向長さが遮光シート2の巻取軸3の軸方向に沿う幅方向(以下、単に「幅方向」と称する。)の長さ以上に設定されている。また、錘6は、遮光シート2の幅方向の中央と錘6の軸方向の中央を一致させた状態で、遮光シート2の下端に取付けられている。すると、遮光シート2には錘6の荷重が均一にかかるので、遮光シート2の下端の上下の位置が幅方向で同じになる。そのため、遮光シート2の巻取り時において、遮光シート2を巻取軸3に対して軸方向で均一に巻き取ることができる。
【0059】
なお、錘6は、軸方向で断面形状が変わらないロッド状であれば、径や材質、形状は特に限定されず、例えば、錘6は中実であってもよい。ただし、錘6の重量が重すぎると、遮光シート2を下向きに引張る力が大きくなって、遮光シート2の劣化の原因になったり、巻取軸3を回転駆動する駆動装置Mの出力を大きくする必要がでてきてしまう。そのため、錘6は、遮光シート2のめくれ上がりを防止しつつ、遮光シート2の撓みを抑制できる程度のテンションを遮光シート2に与えられる重量があればよい。
【0060】
また、錘6の荷重が遮光シート2に均一にかからなくてもよいのであれば、錘6はロッド状でなくともよく、例えば、遮光シート2の下端に幅方向で間隔をあけて複数の錘を連結してもよい。また、遮光シート2の自重により、遮光シート2のめくれ上がりや撓みが十分に防止されるのであれば、錘6は省略されてもよい。
【0061】
また、本実施の形態では、錘6は、軸方向に沿って所定の間隔をあけて配置される複数のシート止め材7によって遮光シート2の下端に連結されている。シート止め材7は、図6に示すように、錘6の直径よりも幅が狭い開口7aを有するとともに内径が錘6の直径と略等しいC字筒状であって、弾性を有している。
【0062】
そして、錘6の外周に遮光シート2の下端を巻き付けた状態で、シート止め材7の開口7aを押し広げつつ開口7aを通じてシート止め材7の内側に錘6を嵌め込むことで、錘6の外周とシート止め材7の内周との間に遮光シート2が挟持されて、錘6が遮光シート2の下端に連結されている。
【0063】
また、シート止め材7は、図3に示すように、錘6におけるガイド部材4と上下で対向する部分に対して、開口7aが上側(反ガイド部材側)を向く取付向きで設けられており、錘6はシート止め材7を介してガイド部材4に当接している。また、遮光シート2の巻取り時および繰り出し時においては、錘6はガイド部材4上を引きずられるように移動し転動しないため、錘6は常にシート止め材7を介してガイド部材4に当接する。
【0064】
したがって、遮光シート2の下端が錘6の重みによってガイド部材4に押し付けられていても、遮光シート2がガイド部材4に直接当接することがないので、遮光シート2の巻取り時および繰り出し時において、遮光シート2がガイド部材4に擦れて劣化するのを防止できる。なお、シート止め材7の錘6に対する取付向きは、開口7aがガイド部材4に対向しない向きであればよい。
【0065】
なお、シート止め材7の数は、要求される錘6の取付強度に応じて適宜決定されればよいが、少なくとも錘6の軸方向中央から略等距離にあってガイド部材4と対向する2箇所にシート止め材7を取付けておけば、錘6が傾くのを防止できる。
【0066】
また、上述したシート止め材7の構成は一例であって、シート止め材7は遮光シート2の下端に錘6を連結可能な限りにおいて、特に限定されない。シート止め材がどのように構成されていたとしても、シート止め材を遮光シート2とガイド部材4との間に配置して、遮光シート2をガイド部材4から離間すれば、遮光シート2がガイド部材4に擦れて劣化するのを防止できる。ただし、遮光シート2がガイド部材4に擦れるのを防止する必要がないのであれば、シート止め材は、ガイド部材4に当接していなくともよい。
【0067】
なお、本実施の形態では、シート巻取り装置1の遮光シート2は、展開時において、ビニールハウスHの屋根面の片側のみを内側から覆っているが、ビニールハウスHにシート巻取り装置1を2つ設置して、ビニールハウスHの屋根面の図2中左右両側を内側から覆うようにしてもよい。その場合、遮光シート2の巻取り時および繰り出し時において遮光シート2の下端の移動を案内するガイド部材は、例えば、骨材Pのアーチ部Pbの内側にアーチ部Pbと間隔をあけて配置されるアーチ状の部材とすればよい。
【0068】
前述したように、本実施の形態のシート巻取り装置1は、アーチ状あるいは山型状の複数の骨材Pを奥行方向に沿って並べて配置して構成される骨組Fを有する簡易構築物としてのビニールハウスHに設けられて、骨組Fの内側に設けられるシートとしての遮光シート2の格納および展開を可能なシート巻取り装置1であって、骨材Pを横切るように配置され遮光シート2の上端に取付けられて骨組Fに対して軸回りに回転可能に支持されるとともに遮光シート2を巻取りおよび繰り出し可能な巻取軸3と、巻取軸3の一端に設けられて巻取軸3を回転駆動する駆動装置と、遮光シート2の巻取り時および繰り出し時において遮光シート2の下端の移動を案内するガイド部としてのガイド部材4とを備える。
【0069】
このように構成されたシート巻取り装置1によると、巻取軸3が遮光シート2の上端に取付けられており、遮光シート2の下端には駆動装置の荷重が作用しないため、遮光シート2を巻取軸3の一端側と他端側で均一に巻き取ることができる。よって、遮光シート2の格納時において、全ての遮光シート2を巻取軸3に巻き取ることができる。
【0070】
そして、本実施の形態では、遮光シート2がビニールハウスHの屋根面を覆っているため、このように全ての遮光シート2を巻取軸3に巻き取りできると、遮光シート2の格納時において、巻取軸3と遮光シート2によってビニールハウスH内にできる影の大きさを最小限にできる。
【0071】
なお、本実施の形態では、シート巻取り装置1は、内側からビニールハウスHの屋根面を覆う遮光シート2を展開又は格納しているが、シート巻取り装置1は、ビニールハウスHの屋根面を構成する被覆シートSの外側を覆う遮光シート2を展開又は格納するものであってもよい。その場合は、骨組Fの頂部に外側から巻取軸3を回転可能に設置して、各骨材Pの上部を遮光シート2の巻取り時および繰り出し時において遮光シート2の下端の移動を案内するガイド部として機能させればよい。
【0072】
また、シート巻取り装置1は、ビニールハウスHの側部の内側又は外側を覆う遮光シート2を展開又は格納するものであってもよい。その場合は、各骨材Pの起立部Paとアーチ部Pbの境の部分である肩部あるいは起立部Paの上部に巻取軸3を回転可能に設置するとともに、各起立部Paの近傍に複数のガイドパイプをそれぞれ起立させて、起立部Paとガイドパイプとの間に遮光シート2を配置するようにすればよい。その場合、当該ガイドパイプが、遮光シート2の巻取り時および繰り出し時において遮光シート2の下端の移動を案内するガイド部となる。このようなガイドパイプを設けると、ビニールハウスHの側部を覆う遮光シート2が骨材Pに対して遠近するのを防止できる。
【0073】
また、本実施の形態では、シート巻取り装置1は、遮光シート2を展開又は格納する遮光装置として機能しているが、例えば、シート巻取り装置1によって展開又は格納されるシートを、ビニールハウスHの屋根面又は側面に設けられた開口部を開閉する透明な開閉シートとしてもよい。
【0074】
また、本実施の形態のシート巻取り装置1は、遮光シート2の下端に連結されて巻取軸3に対して平行に配置されるロッド状の錘6を備え、錘6の軸方向長さが遮光シート2における巻取軸3の軸方向に沿う幅方向の長さ以上であって、遮光シート2の幅方向の幅の中央と錘6の軸方向の中央を一致させて遮光シート2に錘6を取付けている。
【0075】
このように構成されたシート巻取り装置1によると、錘6の重みによって遮光シート2のめくれ上がりや遮光シート2の撓みを防止できるとともに、錘6の荷重が遮光シート2に対して均一にかかるため、遮光シート2の巻取り時において、遮光シート2を巻取軸3に対して軸方向で均一に巻き取ることができる。
【0076】
また、本実施の形態のシート巻取り装置1は、遮光シート2の下端に錘6を連結するシート止め材7を備え、錘6はシート止め材7を介してガイド部材4に当接している。
【0077】
このように構成されたシート巻取り装置1によると、遮光シート2の下端が錘6の重みによってガイド部材4に押し付けられていても、遮光シート2がガイド部材4に直接当接することがないので、遮光シート2の巻取り時および繰り出し時において、遮光シート2がガイド部材4に擦れて劣化するのを防止できる。ただし、遮光シート2の自重により、遮光シート2のめくれ上がりや撓みが十分に防止されるのであれば、錘6は省略されてもよい。
【0078】
また、本実施の形態のシート巻取り装置1は、骨組Fに連結されて巻取軸3を軸回りに回転可能に支持するとともに遮光シート2の巻取り時および繰り出し時における遮光シート2の出入りを許容する開口50aを有するホルダ5を備え、ホルダ5は、ビニールハウスHの奥行方向に沿って所定の間隔をあけて複数設けられている。
【0079】
このように構成されたシート巻取り装置1によると、既存のビニールハウスHに対して、ホルダ5を後付けすることで、巻取軸3を骨組Fに対して軸回りに回転可能に支持させることができるため、既存のビニールハウスHに対するシート巻取り装置1の設置が容易となる。ただし、骨組Fに巻取軸3を軸回りに回転可能に支持する支持部が予め設けられていてもよい。
【0080】
また、本実施の形態のシート巻取り装置1では、各ホルダ5は、骨組Fが骨材Pの頂部における内側に連結されるとともにビニールハウスHの奥行方向に沿って配置される棟材Rに対してそれぞれ連結されるとともに、巻取軸3を収容する筒部50を有している。
【0081】
ここで、巻取軸3が地面に対して水平に配置されると、遮光シート2の巻取り時において、遮光シート2を巻取軸3に対して軸方向で均一に巻き取ることができるため、巻取軸3は地面に対して水平に配置されるのが好ましい。
【0082】
これに対して、棟材Rは、骨材Pの頂部の内側に連結されてビニールハウスHの奥行方向に沿って延びているため、地面に対して水平に設置されている。そのため、棟材Rに対して連結される複数のホルダ5の筒部50の中心を通る線は棟材Rの軸方向に対して平行、つまり、地面に対して水平となる。
【0083】
したがって、このように構成されたシート巻取り装置1によると、各ホルダ5の筒部50内に収容された巻取軸3は、地面に対して水平に配置される。よって、ビニールハウスHにシート巻取り装置1を設置する際に、地面に対して水平に配置されている既存の棟材Rを利用することで、巻取軸3を地面に対して水平に配置することが容易となる。ただし、ホルダ5は、骨組Fの棟材R以外の部分に連結されてもよい。
【0084】
また、本実施の形態のシート巻取り装置1では、ホルダ5は、開口50aを有する筒部50と、筒部50における一方の開口側端に回転可能に設けられる第一ローラ52と、筒部50における第一ローラ52に対して筒部50の周方向で反開口側に隣接する位置に回転可能に設けられる第二ローラ53とを有し、巻取軸3は筒部50内に収容されるとともに第一ローラ52と第二ローラ53との間に軸回りに回転可能に下方から支持されている。
【0085】
このように構成されたシート巻取り装置1によると、巻取軸3を回転駆動させると、巻取軸3の回転に合わせて第一ローラ52と第二ローラ53が回転する。すると、遮光シート2の巻取り時および繰り出し時において、第一ローラ52と第二ローラ53とが転がるので、遮光シート2の巻取りと繰り出しとをスムーズに行え、ホルダ5から抵抗を受けずに遮光シート2の巻取りと繰り出しを行える。また、筒部50の一方の開口側端に第一ローラ52が設けられているため、遮光シート2が筒部50内を出入りする際に、筒部50に設けられた第一ローラ52が回転するので、遮光シート2はホルダ5からの抵抗を受けにくく、遮光シート2の劣化を防止できる。よって、遮光シート2の劣化が抑制される。
【0086】
また、本実施の形態のシート巻取り装置1では、筒部50の他方の開口側端に第三ローラ54が回転可能に設けられている。このように構成されたシート巻取り装置1によると、遮光シート2が筒部50内を出入りする際に、遮光シート2が第三ローラ54に接触しても、第三ローラ54が回転するので、遮光シート2はホルダ5からの抵抗を受けにくく、遮光シート2の劣化を防止できる。ただし、第三ローラ54は省略されてもよい。
【0087】
また、ホルダ5Aは、図5に示すように、第一ローラ52Aを筒部50における一方の開口側端に設け、第二ローラ53Aを筒部50の他方の開口側端に設けるようにしてもよい。このようにすると、第二ローラ53Aが、図3に示すホルダ5における第二ローラ53と第三ローラ54の機能を兼ねるため、ホルダ5と同等の効果を発揮しつつ、ローラの数を削減できる。ただし、ホルダ5,5Aは、ローラを備えていなくともよい。
【0088】
また、本実施の形態では、簡易構築物として、ビニールハウスHを例に説明したが、簡易構築物は温室や簡易型の倉庫等であってもよく、ビニールハウスHには限定されない。
【0089】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱なく改造、変形及び変更ができるのは当然である。
【符号の説明】
【0090】
1・・・シート巻取り装置、2・・・遮光シート(シート)、3・・・巻取軸、4・・・ガイド部(ガイド部材)、5・・・ホルダ、6・・・錘、7・・・シート止め材、50・・・筒部、50a・・・開口、52,52A・・・第一ローラ、53,53A・・・第二ローラ、54・・・第三ローラ、F・・・骨組、H・・・ビニールハウス(簡易構造物)、M・・・駆動装置、P・・・骨材、R・・・棟材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーチ状あるいは山型状の複数の骨材を奥行方向に沿って並べて配置して構成される骨組を有する簡易構築物に設けられて、前記骨組の外側又は内側に設けられるシートの格納および展開を可能なシート巻取り装置であって、
前記骨材を横切るように配置され前記シートの上端に取付けられて前記骨組に対して軸回りに回転可能に支持されるとともに前記シートを巻取りおよび繰り出し可能な巻取軸と、
前記骨組に連結されて前記巻取軸を軸回りに回転可能に支持するとともに前記シートの巻取り時および繰り出し時における前記シートの出入りを許容する開口を有し前記簡易構築物の奥行方向に沿って所定の間隔をあけて設けられる複数のホルダと、
前記巻取軸の一端に設けられて前記巻取軸を回転駆動する駆動装置と、
前記シートの巻取り時および繰り出し時において前記シートの下端の移動を案内するガイド部とを備え
前記ホルダは、前記開口を有する筒部と、前記筒部における一方の開口側端に回転可能に設けられる第一ローラと、前記筒部における前記第一ローラに対して前記筒部の周方向で反開口側に隣接する位置に設けられる第二ローラと、前記筒部の他方の開口側端に回転可能に設けられる第三ローラとを有し、
前記巻取軸は前記筒部内に収容されるとともに前記第一ローラと前記第二ローラとの間に軸回りに回転可能に下方から支持されている
ことを特徴とするシート巻取り装置。
【請求項2】
アーチ状あるいは山型状の複数の骨材を奥行方向に沿って並べて配置して構成される骨組を有する簡易構築物に設けられて、前記骨組の外側又は内側に設けられるシートの格納および展開を可能なシート巻取り装置であって、
前記骨材を横切るように配置され前記シートの上端に取付けられて前記骨組に対して軸回りに回転可能に支持されるとともに前記シートを巻取りおよび繰り出し可能な巻取軸と、
前記巻取軸の一端に設けられて前記巻取軸を回転駆動する駆動装置と、
前記シートの巻取り時および繰り出し時において前記シートの下端の移動を案内するガイド部と、
前記シートの下端に錘を連結するシート止め材とを備え、
前記シート止め材は前記シートの下端と前記ガイド部との間に配置されて前記シートの下端を前記ガイド部から離間させる
ことを特徴とするシート巻取り装置。
【請求項3】
前記シートの下端に連結されて前記巻取軸に対して平行に配置されるロッド状の錘を備え、
前記錘の軸方向長さは、前記シートにおける前記巻取軸の軸方向に沿う幅方向の長さ以上であって、
前記シートの前記幅方向の中央と前記錘の軸方向の中央を一致させて前記シートに前記錘取付けられ
ことを特徴とする請求項1に記載のシート巻取り装置。
【請求項4】
前記錘は前記巻取軸に対して平行に配置されるロッド状であり、
前記錘の軸方向長さは、前記シートにおける前記巻取軸の軸方向に沿う幅方向の長さ以上であって、
前記シートの前記幅方向の中央と前記錘の軸方向の中央を一致させて前記シートに前記錘が取付けられる
ことを特徴とする請求項2に記載のシート巻取り装置。
【請求項5】
前記骨組は前記骨材の頂部における内側に連結されるとともに前記簡易構築物の奥行方向に沿って配置される棟材を有しており、
前記各ホルダは、それぞれ前記棟材に連結され
ことを特徴とする請求項1に記載のシート巻取り装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
また、本発明のシート巻取り装置は、シートの下端に錘を連結するシート止め材を備え、シート止め材はシートの下端とガイド部との間に配置されてシートの下端をガイド部から離間させている。この構成によると、シートの下端が錘の重みによってガイド部に押し付けられていても、シートがガイド部に直接当接することがないので、シートの巻取り時および繰り出し時において、シートがガイド部に擦れて劣化するのを防止できる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
また、本発明のシート巻取り装置は、骨組に連結されて巻取軸を軸回りに回転可能に支持するとともにシートの巻取り時および繰り出し時におけるシートの出入りを許容する開口を有するホルダを備え、ホルダは、簡易構築物の奥行方向に沿って所定の間隔をあけて複数設けられてい。この構成によると、既存の簡易構築物に対して、ホルダを後付けすることで、巻取軸を骨組に対して軸回りに回転可能に支持させることができるため、既存の簡易構築物に対するシート巻取り装置の設置が容易となる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
また、本発明のシート巻取り装置では、ホルダは、開口を有する筒部と、筒部における一方の開口側端に回転可能に設けられる第一ローラと、筒部における第一ローラに対して筒部の周方向で反開口側に隣接する位置又は筒部の他方の開口側端に回転可能に設けられる第二ローラとを有し、巻取軸は筒部内に収容されるとともに第一ローラと第二ローラとの間に軸回りに回転可能に下方から支持されている。この構成によると、巻取軸を回転駆動させると、巻取軸の回転に合わせて第一ローラと第二ローラが回転する。すると、シートの巻取り時および繰り出し時において、第一ローラと第二ローラとが転がるので、シートの巻取りと繰り出しとをスムーズに行え、ホルダから抵抗を受けずにシートの巻取りと繰り出しを行える。また、筒部の一方の開口側端に第一ローラが設けられているため、シートが筒部内を出入りする際に、筒部に設けられた第一ローラが回転するので、遮光シートはホルダからの抵抗を受けにくく、シトの劣化を防止できる。よって、シートの劣化が抑制される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
また、本発明のシート巻取り装置では、第二ローラが筒部における第一ローラに対して筒部の周方向で反開口側に隣接する位置に設けられており、筒部の他方の開口側端に第三ローラが回転可能に設けられている。この構成によると、シートが筒部内を出入りする際に、シートが第三ローラに接触しても、第三ローラが回転するので、シートはホルダからの抵抗を受けにくく、シートの劣化を防止できる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0090】
1・・・シート巻取り装置、2・・・遮光シート(シート)、3・・・巻取軸、4・・・ガイド部(ガイド部)、5・・・ホルダ、6・・・錘、7・・・シート止め材、50・・・筒部、50a・・・開口、52,52A・・・第一ローラ、53,53A・・・第二ローラ、54・・・第三ローラ、F・・・骨組、H・・・ビニールハウス(簡易構造物)、M・・・駆動装置、P・・・骨材、R・・・棟材