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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162188
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】車両のパーキングロック制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/02 20060101AFI20241114BHJP
   F16H 59/08 20060101ALI20241114BHJP
   F16H 61/22 20060101ALI20241114BHJP
   F16H 63/48 20060101ALI20241114BHJP
   F16H 63/34 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
F16H61/02
F16H59/08
F16H61/22
F16H63/48
F16H63/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077507
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】佐用 一貴
(72)【発明者】
【氏名】舘野 允人
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 淳史
【テーマコード(参考)】
3J067
3J552
【Fターム(参考)】
3J067AA21
3J067AB21
3J067DB31
3J067FA56
3J067FB45
3J067FB90
3J067GA01
3J552MA04
3J552NA01
3J552NB08
3J552PA65
3J552RB02
3J552TB13
3J552VA62W
3J552VB01W
3J552VD17W
3J552VD18W
(57)【要約】
【課題】シフト操作装置の型式に拘わらず、自動P切替制御を無効化する自動P切替無効化制御を行なうことができる、車両のパーキングロック制御装置を提供する。
【解決手段】タッチスイッチ(ソフトスイッチ)94の操作によりパーキングモード以外のモードたとえばニュートラル(N)モードが選択され、車両電源操作体40のオフ操作とが行なわれたことで、自動P切替無効化制御切替部110により、自動P切替制御から自動P切替無効化制御へ切り替えられる。これにより、自動P切替制御から前記自動P切替無効化制御への切替条件にシフト操作装置30の操作が含まれていないので、シフト操作装置30の型式に拘わらず、自動P切替制御を無効化する自動P切替無効化制御を行なうことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーキングロック機構を自動的に解除する自動P切替制御を無効化する自動P切替無効化制御を実行する車両のパーキングロック制御装置であって、
パーキングモード、後進走行モード、前進走行モードに選択的に操作されることで車両の走行状態を切り替えるシフト操作装置と、
電源オフ時に前記パーキングモード以外の走行モードとすることを選択するソフトスイッチを有するメータシステムと、
車両電源をオンオフ操作する車両電源操作体と、
前記ソフトスイッチにより前記パーキングモード以外のモードが選択され、前記ソフトスイッチの操作と前記車両電源操作体のオフ操作とが行なわれたことで、前記自動P切替制御から前記自動P切替無効化制御へ切り替える自動P切替無効化制御切替部と、を備える
ことを特徴とする車両のパーキングロック制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動パーキングロック切替を一時的に無効化するための自動P切替無効化制御を有する車両において、メータシステムのソフトスイッチを用いて自動P切替無効化制御を無効化する、車両のパーキングロック制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の電源操作体が操作されると、自動的にパーキングロック(オートパーク)の設定を行なう自動P切替制御が実行される車両において、Nレンジへの操作を維持しつつ電源のオフ操作にともなって、上記自動P切替制御を無効化する自動P切替無効化制御を行ない、牽引等による車両の移動を可能とした車両が知られている。たとえば、特許文献1に記載の車両の制御装置がそれである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-127947
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両には、引用文献1に記載されたh型シフトパターンを有する絶対操作型のシフト操作装置の他に、ホームジションから前方或いは後方へ操作することでRレンジ位置或いはDレンジ位置を選択するI型シフトパターンを有する相対操作型のシフト操作装置がある。後者のシフト操作装置では、Nレンジ位置が設けられておらず、引用文献1に記載されたような自動P切替無効化制御を適用することができなかった。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、シフト操作装置の型式に拘わらず、自動P切替制御を無効化する自動P切替無効化制御を行なうことができる、車両のパーキングロック制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨とするところは、(a)パーキングロック機構を自動的に解除する自動P切替制御を無効化する自動P切替無効化制御を実行する車両のパーキングロック制御装置であって、(b)パーキングモード、後進走行モード、前進走行モードに選択的に操作されることで車両の走行状態を切り替えるシフト操作装置と、(c)電源オフ時に前記パーキングモード以外の走行モードとすることを選択するソフトスイッチを有するメータシステムと、(d)車両電源をオンオフ操作する車両電源操作体と、(e)前記ソフトスイッチにより前記パーキングモード以外のモードが選択され、前記ソフトスイッチの操作と前記車両電源操作体のオフ操作とが行なわれたことで、前記自動P切替制御から前記自動P切替無効化制御へ切り替える自動P切替無効化制御切替部と、を備えることにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、前記ソフトスイッチの操作により前記パーキングモード以外のモードが選択され、前記車両電源操作体のオフ操作とが行なわれたことで、自動P切替無効化制御切替部により、前記自動P切替制御から前記自動P切替無効化制御へ切り替えられる。これにより、前記自動P切替制御から前記自動P切替無効化制御への切替条件にシフト操作装置の操作が含まれていないので、シフト操作装置の型式に拘わらず、自動P切替制御を無効化する自動P切替無効化制御を行なうことができる。
【0008】
好適には、前記車両電源操作体のオフ操作前の走行モードがパーキングモードである場合は、前記パーキングロック機構をロック状態としたまま車両電源をオフとすることにある。
【0009】
好適には、前記メータシステムは、車両のメータにて切替可能な選択メニュー又はマルチメディア(マルチインフォメーションディスプレイ)にて切替可能な選択メニューを示すユーザインターフェースと、接触によって車両走行状態が切り替え可能なタッチスイッチとを備える入力装置である。
【0010】
好適には、前記自動P切替無効化制御は、(1)一定車速以上で走行、(2)自動P切替制御機能を有する制御装置(電子制御装置)の故障、(3)車両状態の切替えが可能なユーザインターフェースを備えた入力装置の故障、(4)自動P切替制御機能を有する制御装置と車両走行状態が切り替え可能なユーザインターフェースを備える入力装置との間の通信の故障、のいずれかの条件を満たしたときに、前記入力装置による切り替え操作が不可とされる。
【0011】
好適には、前記自動P切替無効化制御への切替が前記入力装置により選択された状態では、(1)一定車速以上で走行、(2)自動P切替制御機能を有する制御装置(電子制御装置)の故障、(3)車両状態の切り替えが可能なユーザインターフェースを備えた入力装置の故障、(4)自動P切替制御機能を有する制御装置と車両走行状態が切り替え可能なユーザインターフェースを備える入力装置との間の通信の故障、のいずれかの条件を満たしたときに、前記の自動P切替無効化制御状態を終了する。
【0012】
好適には、前記自動P切替無効化制御状態が終了した場合に、前記自動P切替無効化制御状態が終了したことを報知する表示出力装置が、備えられる。
【0013】
好適には、前記自動P切替制御を無効化し、パーキングモードに切り替わることなく車両電源操作体をオフ操作した場合、前記入力装置による前記自動P切替無効化制御への切替操作を不可とする。
【0014】
好適には、(1)パーキングモードへの切替え、及び(2)車両電源操作体の一定回数以上の操作があったときは、前記入力装置による前記自動P切替無効化制御への切替操作を許可する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例の、シフトバイワイヤ(SBW)システムを有する車両のパーキングロック制御装置を説明する図であるとともに、シフトレンジ切替などを制御するために車両に設けられている制御系統の要部を説明するブロック図である。
図2図1の電子制御装置の、SBWシステムの故障やソフトスイッチの故障がないときの制御作動の要部を説明するタイムチャートである。
図3図1の電子制御装置の、SBWシステムの故障及びソフトスイッチの故障があるときの制御作動の要部を説明するタイムチャートである。
図4図1の電子制御装置の、メータシステムの故障があるときの制御作動の要部を説明するタイムチャートである。
図5図1の電子制御装置の一制御作動例の要部を説明するフローチャートである。
図6図1の電子制御装置の他の制御作動例の要部を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例0017】
図1において、車両10は、駆動力源としてエンジン12および電動機Mを備えたハイブリッド車両である。車両10は、パーキングロック装置16、変速機18、シフト操作装置30、電動機M等を駆動するための充電装置50などを備え、車両10の走行に関わるシフト位置すなわち変速機18のシフト位置を電気的に切替えるシフトバイワイヤ(SBW)方式を採用している。変速機18は、エンジン12の動力をカウンタギヤ対20の一方を構成する出力歯車22から、カウンタギヤ対20、ファイナルギヤ対24、差動歯車装置26、及び一対の車軸28等を順次介して一対の駆動輪14へ伝達する。
【0018】
車両10には、パーキングロック装置16の作動状態、シフトレンジを切替える等の制御を行う車両用シフト操作装置を含む電子制御装置90が備えられている。電子制御装置90は、エンジン12の出力制御や電動機Mの駆動制御等のハイブリッド駆動制御、変速機18の変速制御、シフトバイワイヤ方式を用いた変速機18のシフト位置の切替制御、パーキングロック装置16の作動状態の切替制御などを実行する。
【0019】
電子制御装置90には、運転者による操作が解除されるとシフトレバー32が中立ポジションへ戻る自動復帰型のシフトレバー32の操作位置を検出する為の位置センサであるシフトセンサ36からのシフトレバー位置信号Psh、変速機18のシフトレンジを非PレンジからPレンジへ切り替える為のパークスイッチ34におけるスイッチ操作を表すパークスイッチ信号Pon、パーキングロックを作動或いは解除する為のパーキングロック装置16のシフトコントロールアクチュエータ60(図2)の回転量を示す回転量信号Ro、車両電源操作体40におけるスイッチ操作を表すパワースイッチ信号SWon、常用ブレーキの作動を検出するブレーキスイッチ42からのブレーキオン状態を表すブレーキ操作信号Bon、出力歯車22の回転を示す出力回転センサ44からの信号である回転速度Nout、バッテリセンサ52からの充電装置50の充電状態を示す充電容量信号SOC等が、それぞれ供給される。
【0020】
車両電源操作体40は、その押圧操作の間だけパワースイッチ信号SWonが出力される、すなわちパワースイッチ信号SWonがON状態とされる。また、車両電源操作体40の押圧操作によって、車両走行を可能とするための電源オン状態と、車両走行に係わる電源をオフと且つ車両走行に関わらない電源をオンとする為の電源一部オン状態(パーキングロック装置作動可)と、何れの電源もオフとする車両電源オフ状態とに順次切替えられる。
【0021】
また、電子制御装置90からは、例えばエンジン12の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号Seや変速機18内の電動機Mの駆動制御の為のモータ制御指令信号Smgや変速機18の変速制御の為のハイブリッド制御指令、変速機18のシフト位置を切り替える為のシフトレンジ切替制御指令などの信号Ssh、P位置インジケータランプ38を作動させてPロック状態を表示するためのPロック表示制御指令信号、パーキングロック装置16の切替制御の為のP切替制御指令信号Sp、自動P切替無効化制御が実行されていることをマルチインフォメーションディスプレイ92に表示させる表示信号Sdなどが、それぞれ出力される。
【0022】
パーキングロック装置16は、シフトコントロールアクチュエータ60(以降アクチュエータという)により回転駆動される図示しないシャフトの回転に伴って回転することにより、パーキング位置に対応するPロック位置とパーキング位置に対応しない非Pロック位置とを切り替える為のPロック位置決め部材として機能する図示しないディテントプレート、ディテントプレートの回転に伴って動作する図示しないロッド、変速機18の出力歯車22に同心上に固定されて駆動輪14と連動して回転するパーキングギヤ78、パーキングギヤ78を回転阻止(ロック)するための図示しないパーキングロックポール、ディテントプレートの回転を制限してシフト位置を固定する図示しないディテントスプリング、及びころ等を備えたパーキングロック機構を、含む。
【0023】
車両10には、マルチインフォメーションディスプレイ(ユーザインターフェース表示器)92に設けられたタッチスイッチ(ソフトスイッチ)94を備える入力装置96を有するメータ用電子制御装置であるメータシステム98が、備えられている。マルチインフォメーションディスプレイ92に表示された選択メニューからタッチスイッチ94を用いてユーザにより選択された選択情報は電子制御装置90に入力される。本実施例では、たとえば車両電源操作体40によるオフ操作時にニュートラルモード(Nモード)の指令信号Scが上記選択情報として電子制御装置90に出力されることで、自動P切替制御から自動P切替無効化制御への切替許可状態とされる。メータシステム98は、メータ/MMシステム異常判定部100、車両状態切替部102、及び表示制御部104を、機能的に備えている。
【0024】
電子制御装置90は、車両のパーキングロック制御装置すなわちSBWシステムとして機能するものである。電子制御装置90は、自動P切替制御部106、自動P切替無効化制御部108、自動P切替無効化制御切替部110、及びSBWシステム異常判定部112を、機能的に備えている。
【0025】
メータシステム98のメータ/MMシステム異常判定部100は、車両状態切り替え可能なユーザインターフェースを有する入力装置であるメータシステム98及びマルチメディアシステム自体の異常、或いは電子制御装置90等との間の通信異常が発生したことを、判定する。車両状態切替部102は、タッチスイッチ(ソフトスイッチ)94の操作により指令された車両状態へ切り替える。たとえば、タッチスイッチ(ソフトスイッチ)94によって、「電源オフ時Nモード」が選択された場合は、車両電源操作体40によって電源オフとされたことに応答して、車両をニュートラルモード(Nモード)に切り替える。表示制御部104は、選択メニューをマルチインフォメーションディスプレイ92に表示させる一方、後述の自動P切替無効化制御が開始された場合や、自動P切替無効化制御が解除された場合には、その旨をマルチインフォメーションディスプレイ92に表示させる。
【0026】
SBWシステムとして機能する電子制御装置90の自動P切替制御部106は、車両電源操作体40が操作されると、自動的にパーキングロック装置16を作動させ、ディテントプレート74をPロック位置へ回動させてパーキングギヤ78を回転阻止(パーキングロック)する。自動P切替無効化制御部108は、自動P切替制御を無効化し、ディテントプレート74を非P位置へ回動させてパーキングギヤ78を回転阻止(パーキングロック)を解除する。
【0027】
自動P切替無効化制御切替部110は、タッチスイッチ(ソフトスイッチ)94によって、パーキングモード以外のモード、たとえば「電源オフ時Nモード」が選択された場合は、車両電源操作体40によって電源オフとされたことに基づいて、自動P切替制御から自動P切替無効化制御への切替を許可し、自動P切替制御の無効化を実行させる。SBWシステム異常判定部112は、パーキングロック装置16の作動異常や、メータシステム98等との間の通信異常を判定する。
【0028】
図2は、電子制御装置90及びメータシステム98の基本的作動を示している。図2において、t1時点では、各所の故障が判定されておらず、車速Vが3km/h未満の停車状態であることに基づいて、タッチスイッチ(ソフトスイッチ)94の操作が許可される。次いで、タッチスイッチ94のオン操作が行なわれて、パーキングモード以外のモードたとえば「電源オフ時Nモード」が選択され、たとえばIGスイッチとして知られる車両電源操作体40がオン操作されると、t2時点では、パーキングモード以外のモードであること、車速Vが3km/h未満の停車状態であること、タッチスイッチ94のオン操作時に車両電源操作体40がオン操作されたこと、を条件として、自動P切替制御から自動P切替無効化制御へ切り替えられるとともに、車両10がニュートラルモードへ切替えられ、且つタッチスイッチ94のオン操作が不可とされる。次いで、パークスイッチ34が操作されると、t3時点において、自動P切替無効化制御が終了させられてその旨がマルチインフォメーションディスプレイ92に表示されるとともに、車両10がパーキングモードへ切り替えられる。
【0029】
図3は、SBWシステムの異常、メータシステム98の異常が発生した場合の作動を示している。図3において、車速Vが3km/h未満の停車状態で、タッチスイッチ94の操作許可が判定され、タッチスイッチ94がオン操作された後、t11時点でメータシステム98の異常が判定されると、タッチスイッチ94がオフとされ且つ操作不可とされ、その旨がマルチインフォメーションディスプレイ92に表示される。次いで、SBWシステムの異常が判定されなくなると、タッチスイッチ94の操作許可が判定され、タッチスイッチ94がオン操作された後、t12時点でメータシステムの異常が判定されると、タッチスイッチ94がオフとされ且つ操作不可とされ、その旨がマルチインフォメーションディスプレイ92に表示される。次いで、SBWシステムとして機能する電子制御装置90の異常が判定されない場合に、t13時点で車速Vが20km/h以上である異常が判定されると、タッチスイッチ94が操作不可とされ、その旨がマルチインフォメーションディスプレイ92に表示される。
【0030】
図4は、車速異常、及びSBWシステムとして機能する電子制御装置90とメータシステム98との間の通信異常が発生した場合の作動を示している。図4において、車速Vが3km/h未満の停車状態で、タッチスイッチ94の操作が許可された後、t21時点でSBWシステムとして機能する電子制御装置98の異常が判定されると、タッチスイッチ94の操作が不可とされるが、SBWシステムとして機能する電子制御装置90の異常が回復すると、タッチスイッチ94の操作が許可される。次いで、t22時点で車速Vが3km/h以上となると、タッチスイッチ94の操作が不可とされた後、t23時点でメータシステム98の異常中に車速Vが3km/h未満の停車状態となっても、SBWシステム90とメータシステム98との間の通信異常が判定されると、タッチスイッチ94の操作が不可が係属されるが、上記メータシステム98の異常及び通信異常が解消されると、タッチスイッチ94の操作が許可される。
【0031】
図5は、電子制御装置90及びのメータシステム98の基本的な制御作動を説明するフローチャートである。図5のステップS1( 以下、ステップを省略する)では、タッチスイッチ94が操作され、たとえば「電源オフ時Nモード」が選択される。次いで、S2では、車両がパーキングモード以外のモードのシフトモードであるか否かが判断される。このS2の判断が否定される場合はS2が繰り返えされるが、肯定される場合は、S3において、SBWシステムとして機能する電子制御装置90又はメータシステム98の異常或いは故障であるか否かが判断される。このS3の判断が否定される場合はS1以下が繰り返えされるが、肯定される場合は、S4において、車速Vが20km/h未満であるか否かが判断される。このS4の判断が否定される場合はS1以下が繰り返されるが、肯定される場合は、S5において、車両電源操作体40の操作が許可され、車両電源操作体40のオフ操作が行なわれる。次いで、S6では、自動P切替無効化制御が実行される。S2-S6は、自動P切替無効化制御切替部110に対応している。そして、S7では、走行意志を表す操作、たとえばパークスイッチ34の操作、又は一定回数以上の車両電源操作体40の操作が行なわれたか否かが判断される。このS7の判断が否定される場合はS7以下が繰り返されるが、肯定される場合は、S8において、自動P切替無効化制御が解除され、S9において、その旨がマルチインフォメーションディスプレイ92に表示される。
【0032】
図6は、電子制御装置90及びのメータシステム98の、異常発生時時の制御作動を説明するフローチャートである。図6のS11において、タッチスイッチ(ソフトスイッチ)94により「電源オフ時Nモード」がオフ操作されて、たとえばパーキングモードとされた後、S12において、SBWシステムとして機能する電子制御装置90又はメータシステム98の異常であるか否かが判断される。このS12の判断が否定される場合はS11以下が実行されるが、肯定される場合は、S13において、車速Vがたとえば3km/h程度の予め設定された停止状態判定閾値未満であるか否かが判断される。このS13の判断が否定される場合はS11以下が実行されるが、肯定される場合は、S14において、タッチスイッチ(ソフトスイッチ)94の操作が許可状態とされる。次いで、S15において、タッチスイッチ(ソフトスイッチ)94がオン操作されて、「電源オフ時Nモード」がオンとされる。そして、S16において、車両電源操作体40のオフ操作に応答して自動P切替無効化制御の実施が設定される。S11-S16は、自動P切替無効化制御切替部110に対応している。
【0033】
上述のように、本実施例によれば、タッチスイッチ(ソフトスイッチ)94の操作によりパーキングモード以外のモードたとえばニュートラル(N)モードが選択され、車両電源操作体40のオフ操作とが行なわれたことで、自動P切替無効化制御切替部110により、自動P切替制御から自動P切替無効化制御へ切り替えられる。これにより、自動P切替制御から前記自動P切替無効化制御への切替条件にシフト操作装置30の操作が含まれていないので、シフト操作装置30の型式に拘わらず、自動P切替制御を無効化する自動P切替無効化制御を行なうことができる。
【0034】
なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形態様で実施できる。
【0035】
例えば、前述の実施例の車両10は、駆動力源としてエンジン12および電動機Mを備えたハイブリッド車両であったが、エンジン12のみを駆動源とする車両や、電動機Mのみを駆動源とする電動車両であっても差し支えない。
【0036】
また、変速機18は、有段変速機、ベルト式無段変速機、電機式無段変速機などであってもよい。
【0037】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0038】
10:車両、12:エンジン、14:駆動輪、16:パーキングロック装置、18:変速機、20:カウンタギヤ対、22:出力歯車、24:ファイナルギヤ対、26:差動歯車装置、28:車軸、30:シフト操作装置、32:シフトレバー、34:パークスイッチ、36:シフトセンサ、38:P位置インジケータランプ、40:車両電源操作体、42:ブレーキスイッチ、44:出力回転センサ、50:充電装置、52:バッテリセンサ、60:シフトコントロールアクチュエータ、78:パーキングギヤ、86:テーパ部材、88:山、90:電子制御装置(SBWシステム)、92:マルチインフォメーションディスプレイ、94:タッチスイッチ(ソフトスイッチ)、96:入力装置、98:メータシステム、100:メータ/MMシステム異常判定部、102:車両状態切替部、104:表示制御部、106:自動P切替制御部、108:自動P切替無効化制御部、110:自動P切替無効化制御切替部、112:SBWシステム異常判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6