(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162194
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/068 20060101AFI20241114BHJP
F21S 41/675 20180101ALI20241114BHJP
H02K 7/06 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B60Q1/068 100
F21S41/675
H02K7/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077513
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110004509
【氏名又は名称】弁理士法人シリウスIP
(74)【代理人】
【識別番号】100122183
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】野澤 恒
(72)【発明者】
【氏名】滝井 直樹
【テーマコード(参考)】
3K339
5H607
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA13
3K339BA14
3K339BA18
3K339CA01
3K339GB01
3K339HA01
3K339HA12
3K339HA13
3K339HA14
3K339HA15
3K339HA19
3K339JA23
3K339JA26
3K339LA02
3K339LA03
3K339MA10
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB14
5H607CC03
5H607CC07
5H607DD03
5H607EE32
5H607EE36
5H607EE52
(57)【要約】
【課題】アクチュエータが備える部品の配置を工夫することで新たな構成のアクチュエータを提供する。
【解決手段】アクチュエータは、モータ48の回転に伴い回転する回転部材50と、車両用灯具が備える光学部材を傾動する機構に接続される接続部を有し、回転部材50と同軸に相対回転可能に連結されているロッド44と、ロッド44が進退する開口部56cが形成されているハウジング56と、モータ48の回転を制御する電子部品を搭載する制御基板86と、制御基板86に搭載され、電子部品への信号を外部から伝達するケーブルが接続されるコネクタ90と、を備える。コネクタ90は、開口部56cと同じ向きに配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用灯具の照射方向を変化させるために用いられるアクチュエータであって、
モータの回転に伴い回転する回転部材と、
車両用灯具が備える光学部材を傾動する機構に接続される接続部を有し、前記回転部材と同軸に相対回転可能に連結されているロッドと、
前記ロッドが進退する第1の開口部が形成されているハウジングと、
前記モータの回転を制御する電子部品を搭載する基板と、
前記基板に搭載され、前記電子部品への信号を外部から伝達するケーブルが接続されるコネクタと、を備え、
前記コネクタは、前記第1の開口部と同じ向きに配置されていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記第1の開口部が形成されている側面と同じ側面に前記ケーブルを挿入する第2の開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
車両用灯具の照射方向を変化させるために用いられるアクチュエータであって、
モータと、
前記モータの回転に伴い回転する回転部材と、
車両用灯具が備える光学部材を傾動する機構に接続される接続部を有し、前記回転部材と同軸に相対回転可能に連結されているロッドと、
前記ロッドが進退する開口部が形成されているハウジングと、
前記モータの回転を制御する電子部品を搭載する基板と、を備え、
前記回転部材及び前記ロッドは、前記モータを挟んで前記電子部品と反対側に配置されていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項4】
車両用灯具の照射方向を変化させるために用いられるアクチュエータであって、
モータの回転に伴い回転する回転部材と、
車両用灯具が備える光学部材を傾動する機構に接続される接続部を有し、前記回転部材と同軸に相対回転可能に連結されているロッドと、
前記ロッドが進退する開口部が形成されている第1のハウジングと、
前記モータの回転を制御する電子部品を搭載する基板と、を備え、
前記第1のハウジングは、アクチュエータの動きを実現する前記回転部材及び前記ロッドを含む機構部品が配置される第1のスペースと、前記電子部品が配置される第2のスペースとを隔てる隔壁を有することを特徴とするアクチュエータ。
【請求項5】
前記第1のハウジングの一方の側に組み付けることで前記第1のスペースに配置された前記機構部品が露出しないようにする第2のハウジングと、
前記第1のハウジングの他方の側に組み付けることで前記第2のスペースに配置された前記電子部品が露出しないようにする第3のハウジングと、を更に備えることを特徴とする請求項4に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の傾斜角度に応じて車両用前照灯の光軸を調節して照射方向を変化させるレベリングアクチュエータ装置が知られている。例えば、特許文献1には、電気モータと、電気モータにより回転するロッドと、ロッドの周囲を部分的に覆い、ロッドの回転運動を直線運動に変換するメカトロニクス装置と、を備える照明補正器が開示されている。ロッドの先端には球状部が設けられており、リフレクタの背面にある接続部に嵌められた球状部が進退することでリフレクタが傾動し、ひいては照明器の照射方向が変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述の照明補正器は、前キャップ及び後キャップで構成されたハウジングに複数の部品を収納しており、各部品の配置には適切な工夫が必要である。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところの一つは、アクチュエータが備える部品の配置を工夫することで新たな構成のアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のアクチュエータは、車両用灯具の照射方向を変化させるために用いられるアクチュエータであって、モータの回転に伴い回転する回転部材と、車両用灯具が備える光学部材を傾動する機構に接続される接続部を有し、回転部材と同軸に相対回転可能に連結されているロッドと、ロッドが進退する第1の開口部が形成されているハウジングと、モータの回転を制御する電子部品を搭載する基板と、基板に搭載され、電子部品への信号を外部から伝達するケーブルが接続されるコネクタと、を備える。コネクタは、第1の開口部と同じ向きに配置されている。
【0007】
この態様によると、ハウジングに対してロッドやコネクタを同じ向きに配置できる。
【0008】
ハウジングは、第1の開口部が形成されている側面と同じ側面にケーブルを挿入する第2の開口部が形成されていてもよい。これにより、ロッドの連結とケーブルの挿入をハウジングに対して同じ方向からできる。
【0009】
本発明の別の態様もまた、アクチュエータである。このアクチュエータは、車両用灯具の照射方向を変化させるために用いられるアクチュエータであって、モータと、モータの回転に伴い回転する回転部材と、車両用灯具が備える光学部材を傾動する機構に接続される接続部を有し、回転部材と同軸に相対回転可能に連結されているロッドと、ロッドが進退する開口部が形成されているハウジングと、モータの回転を制御する電子部品を搭載する基板と、を備える。回転部材及びロッドは、モータを挟んで電子部品と反対側に配置されている。
【0010】
この態様によると、アクチュエータの小型化が可能となる。また、ロッドや回転部材をハウジングの端部に配置できる。
【0011】
本発明のさらに別の態様もまた、アクチュエータである。このアクチュエータは、車両用灯具の照射方向を変化させるために用いられるアクチュエータであって、モータの回転に伴い回転する回転部材と、車両用灯具が備える光学部材を傾動する機構に接続される接続部を有し、回転部材と同軸に相対回転可能に連結されているロッドと、ロッドが進退する開口部が形成されている第1のハウジングと、モータの回転を制御する電子部品を搭載する基板と、を備える。第1のハウジングは、アクチュエータの動きを実現する回転部材及びロッドを含む機構部品が配置される第1のスペースと、電子部品が配置される第2のスペースとを隔てる隔壁を有する。
【0012】
この態様によると、第1のスペースに配置されている機構部品に潤滑油が用いられていても潤滑油が第2のスペースに漏れ出ることを防止できる。
【0013】
第1のハウジングの一方の側に組み付けることで第1のスペースに配置された機構部品が露出しないようにする第2のハウジングと、第1のハウジングの他方の側に組み付けることで第2のスペースに配置された電子部品が露出しないようにする第2のハウジングと、を更に備えてもよい。これにより、3つのハウジングで機構部品と電子部品を収容しつつ第1のスペースと第2のスペースとを隔てることができる。
【0014】
以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を製造方法、灯具や照明などの装置、発光モジュール、光源などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アクチュエータが備える部品の配置や位置決めに有効な新たな技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施の形態に係るアクチュエータを備える車両用灯具の一例を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す車両用灯具を正面方向から見た断面図である。
【
図3】本実施の形態に係るアクチュエータの全体斜視図である。
【
図4】本実施の形態に係るアクチュエータの分解斜視図である。
【
図5】本実施の形態に係るアクチュエータにおける減速機構の要部を示す部分側面図である。
【
図6】本実施の形態に係る回転部材の斜視図である。
【
図7】本実施の形態に係る回転部材の側面図である。
【
図9】
図8に示すロッドをA方向から見た図である。
【
図10】
図8に示すロッドをB方向から見た図である。
【
図11】
図8に示すロッドをC方向から見た図である。
【
図12】本実施の形態に係る保持部材の斜視図である。
【
図16】
図3に示すアクチュエータのG-G断面図である。
【
図17】ロッドが
図16に示す状態よりも伸長した状態を示す図である。
【
図18】変位抑制部を回転部材の後端部側から見た正面図である。
【
図20】本実施の形態に係るアクチュエータが備える平歯ギアの回転軸及びモータの回転軸を含む断面図である。
【
図21】本実施の形態に係るアクチュエータの一例を示す側面図である。
【
図23】ハウジングの裏面側に搭載された制御基板をカバー側から見た図である。
【
図24】本実施の形態に係るアクチュエータをロッドが進退する開口部側から見た一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0018】
(車両用灯具)
図1は、本実施の形態に係るアクチュエータを備える車両用灯具の一例を示す断面図である。
図2は、
図1に示す車両用灯具10を正面方向から見た断面図である。
図1に示す車両用灯具10は、左右前照灯の一方を示す。前照灯は、車両前部における車幅方向両側にそれぞれ取り付けられており、一対の前照灯により車両前方が照射される。
【0019】
車両用灯具10は、前方に開口を有するランプハウジング12と、ランプハウジング12の開口を閉塞するカバー14と、を備えている。ランプハウジング12とカバー14によって灯具外筐16が構成され、灯具外筐16の内部が灯室16aとして形成されている。
【0020】
灯室16aにはフレーム18が配置されている。フレーム18は、上端部に設けられた上側支持部18aと、下端部に設けられた一対の下側支持部18b,18bと、中間部に設けられたユニット取付部18cと、を有している。一対の下側支持部18bは車両の左右方向に離れて配置されている。
【0021】
フレーム18における下側支持部18bの後側には、スクリュー支持部材20が設けられている。スクリュー支持部材20の上前端部は球状部20aとして設けられている。スクリュー支持部材20,20は、車体の前後方向へ移動自在にランプハウジング12に支持されている。
【0022】
フレーム18の上側支持部18aと下側支持部18b,18bには、それぞれベアリング部材22,24,24が貫通された状態で取り付けられている。
【0023】
ベアリング部材24にはそれぞれスクリュー支持部材20の球状部20aが連結されている。ベアリング部材24は、スクリュー支持部材20に対して任意の方向へ回動可能とされている。
【0024】
ランプハウジング12には、一対のエイミングスクリュー26,26が回転自在かつ前後方向(軸方向)へ移動不能な状態で支持されている。エイミングスクリュー26,26は、車両の左右方向に離れて配置され、それぞれの後端部がランプハウジング12から後方に突出している。エイミングスクリュー26はネジ部26aを有し、ネジ部26aがスクリュー支持部材20に結合されている。
【0025】
フレーム18のユニット取付部18cには灯具ユニット28,28が取り付けられている。なお、ユニット取付部18cに取り付けられる灯具ユニット28は一つでもよく、三つ以上であってもよい。
【0026】
灯具ユニット28は、熱を放出するヒートシンク30と、ヒートシンク30上に配置された基板32と、基板32上に搭載された光源34と、光源34から出射される光を前方へ向けて反射するリフレクタ36と、光源34から出射された光が透過する投影レンズ38と、投影レンズ38を保持するホルダ40と、を有している。
【0027】
灯室16aにはアクチュエータ42が配置されている。アクチュエータ42は、例えば、灯室16aの上部において灯具ユニット28の後側に配置され、ランプハウジング12の一部に固定されている。
【0028】
(車両用灯具における光軸調整)
次に、車両用灯具10における光軸調整について説明する。車両用灯具10は、照射方向の初期調整であるエイミング調整と、車載物の重量によって変化する光軸のズレを調整するレベリング調整と、が可能な構成である。エイミング調整には左右エイミング調整と上下エイミング調整がある。
【0029】
左右エイミング調整は、一方のエイミングスクリュー26が回転操作されることにより行われる。エイミングスクリュー26が回転操作されると、ネジ部26aがネジ止めされているスクリュー支持部材20がエイミングスクリュー26の回転方向に応じて前方又は後方へ送られ、フレーム18と灯具ユニット28,28が一体になって、他方のスクリュー支持部材20の球状部20aとロッド44の先端にある球状部46とを結ぶ線を支点軸として回動される。フレーム18と灯具ユニット28,28が一体になって回動されることにより、灯具ユニット28,28における光軸の向きが左右に変位され左右エイミング調整が行われる。
【0030】
上下エイミング調整は、両方のエイミングスクリュー26,26が同じ方向へ回転操作されることにより行われる。エイミングスクリュー26,26が回転操作されると、ネジ部26a,26aがネジ止めされているスクリュー支持部材20,20がエイミングスクリュー26,26の回転方向に応じて前方又は後方へ送られ、フレーム18と灯具ユニット28,28が一体になって、ロッド44の球状部46を支点として回動される。フレーム18と灯具ユニット28,28が一体になって回動されることにより、灯具ユニット28,28における光軸の向きが上下に変位され上下エイミング調整が行われる。
【0031】
レベリング調整は、アクチュエータ42の駆動機構が動作されることにより行われる。ロッド44は、駆動機構が動作されるとランプハウジング12に対して車両前後方向に移動する。
【0032】
ロッド44が、例えば、前方へ移動されると、ベアリング部材22,24,24がそれぞれ球状部46と球状部20a,20aに対して回動され、ベアリング部材22,24,24の回動に伴って、フレーム18と灯具ユニット28,28が一体になって球状部20a,20aを結ぶ線を支点軸として下向きに回動される。フレーム18と灯具ユニット28,28が一体になって回動されることにより、灯具ユニット28,28における光軸の向きが下方に変位されレベリング調整が行われる。
【0033】
一方、ロッド44が、例えば、後方へ移動されると、ベアリング部材22,24,24がそれぞれ球状部46と球状部20a,20aに対して回動され、ベアリング部材22,24,24の回動に伴って、フレーム18と灯具ユニット28,28が一体になって球状部20a,20aを結ぶ線を支点軸として上向きに回動される。フレーム18と灯具ユニット28,28が一体になって回動されることにより、灯具ユニット28,28における光軸の向きが上方に変位されレベリング調整が行われる。
【0034】
(アクチュエータ)
次に、本実施の形態に係るアクチュエータ42の構成について詳述する。
図3は、本実施の形態に係るアクチュエータの全体斜視図である。
図4は、本実施の形態に係るアクチュエータの分解斜視図である。
図5は、本実施の形態に係るアクチュエータにおける減速機構の要部を示す部分側面図である。
【0035】
アクチュエータ42は、前述のレベリング調整によって車両用灯具の照射方向を変化させるために用いられる。アクチュエータ42は、モータ48と、モータ48の回転軸に固定されているピニオンギア48aと噛み合う平歯ギア52と、平歯ギア52の回転軸となるピン54と、ピン54を支持する軸受部56aが底部に設けられているハウジング56と、ハウジング56の一方の開口部56bを覆うカバー58と、ハウジング56の他方の開口部56cに装着される保持部材60と、ロッド44の一方の端部に装着されるCリング62と、を備える。
【0036】
また、アクチュエータ42は、制御基板86と、ハウジング56の他方の開口部を覆うカバー88と、を更に備える。制御基板86は、プリント配線基板であり、外部の車両ECUやヘッドランプ車両ECUから制御信号を伝達するケーブルが接続されるコネクタ90と、コンデンサ92と、モータ48のロータの回転位置を検出するための3つのホールIC94と、その他の素子が搭載されている。また、
図4に示す制御基板86の裏側には、モータ48の位置決め制御を行う制御用IC(不図示)が搭載されている。
【0037】
本実施の形態に係るモータ48は、ハウジング56の厚みをなるべく薄くするように、扁平モータの一種であるブラシレスDCモータである。ここで、扁平モータとは、主要部品を収容したケースの直径CDに対して回転軸方向のケースの厚みCTが比較的薄いモータをいい、例えば、CD>CTを満たすモータである。平歯ギア52は、同軸に固定されているウォーム64を有し、回転部材50の外周に設けられているヘリカルギア66と噛み合う。ウォーム64とヘリカルギア66とは互いの回転軸が直交するウォームギアを構成する。
【0038】
回転部材50は、モータ48の回転に伴い、ピニオンギア48a、平歯ギア52、ウォーム64及びヘリカルギア66からなる減速機構を介して、回転する。このように、減速機構を介してモータの回転を回転部材50に伝達することで、高速回転で比較的小さなトルクのモータを利用しても回転部材50を適切な回転速度まで減速して回転させ十分な推力を得ることができる。そのため、小型で扁平なブラシレスDCモータをアクチュエータ42に採用することもできる。
【0039】
(回転部材)
図6は、本実施の形態に係る回転部材の斜視図である。
図7は、本実施の形態に係る回転部材の側面図である。回転部材50は、全体が円柱状の部材であり、ロッド44と連結される前端部の回転軸の外周には雄ネジ72が形成されている。回転部材50の後端部の外周にはCリング62が装着される溝70が形成されている。そして、回転部材50の中央には前述のヘリカルギア66が形成されている。回転部材50は、ガラス繊維を含まないナイロン樹脂を主成分とする材料からなる。
【0040】
(ロッド)
図8は、本実施の形態に係るロッドの斜視図である。
図9は、
図8に示すロッドをA方向から見た図である。
図10は、
図8に示すロッドをB方向から見た図である。
図11は、
図8に示すロッドをC方向から見た図である。
【0041】
ロッド44は、球状部46が前端部に設けられている。球状部46は、車両用灯具10が備える光学部材(灯具ユニット28)を傾動する機構の一部を構成するベアリング部材22に接続される接続部である。また、ロッド44の後端部の回転軸に沿った孔には、回転部材50の雄ネジ72が嵌まる(噛み合う)雌ネジ68が形成されている。これにより、ロッド44は、回転部材50と同軸に相対回転可能に連結される。また、ロッド44及び回転部材50のそれぞれにネジを形成することにより、簡易な加工で回転部材とロッドとを互いに回転可能に連結できる。
【0042】
また、ロッド44は、外周に複数のガイドレール74が軸方向に延びるように設けられている。本実施の形態に係るロッド44は、ロッドの周方向に等間隔(120°間隔)で3つのガイドレール74が設けられている。各ガイドレール74の前端部は傾斜部74aが形成されている。また、各ガイドレール74の後端部は環状部76で連結されている。これにより、ロッド44に回転部材50が連結された状態で回転部材50が相対回転することで、回転部材50の前端部は、雄ネジ72と雌ネジ68とが嵌まり合いながら球状部46に向かって進む、あるいは、球状部46から遠ざかるように退避する。
【0043】
また、ロッド44は、回転部材50とは異なる材料であって、ガラス繊維を含むナイロン樹脂を主成分とする材料からなる。なお、ナイロン樹脂の代わりに摺動性の良い樹脂、例えばポリアセタール樹脂を用いてもよい。これにより、回転部材50とロッド44との摺動摩擦を低減できる。また、回転部材50を構成する材料の強度よりロッド44を構成する材料の強度が高い。これにより、肉厚が薄くなりがちな雌ネジ68が形成されているロッド44の強度が高くなり、加工や製造がし易くなる。
【0044】
本実施の形態に係るロッド44は、回転部材50と連結される側の端部から球状部46に向かって形成された孔に雌ネジ68が形成されている。また、回転部材50は、ロッド44と連結される側の端部の外周に雄ネジ72が設けられており、雄ネジ72と雌ネジ68とが噛み合うことでロッドと連結されている。
【0045】
回転部材50は、外周に雄ネジ72が設けられているため、ネジ形成のための加工や製造が比較的容易となる。回転部材50は、雄ネジ72よりも外径の大きなヘリカルギア66が設けられている。ロッド44は、孔が形成されている環状部76の最大径がヘリカルギア66の最大径より大きい。これにより、雌ネジ68が形成されているロッド44の環状部76の肉厚をある程度確保できる。
【0046】
また、本実施の形態に係るアクチュエータ42のスクリュー減速機構においては、金型への食いつきによる部品の破損防止のため、肉厚が確保でき、かつ回転方向への固定がしやすいロッド44に雌ネジ68を形成している。
【0047】
(保持部材)
図12は、本実施の形態に係る保持部材の斜視図である。
図13は、
図12に示すロッドをD方向から見た図である。
図14は、
図12に示すロッドをE方向から見た図である。
図15は、
図12に示すロッドをF方向から見た図である。
【0048】
本実施の形態に係る保持部材60は、ロッド44を進退方向に摺動可能に保持しつつロッド44の進退方向と交差する方向へのガタつきを抑制する部材であり、ポリアセタール樹脂を主成分とする材料からなる。そして、ロッド44が進退するハウジング56の開口部56cに装着される。保持部材60は、内周に複数のガイド溝80が軸方向に設けられている。本実施の形態に係る保持部材60は、保持部材60の周方向に等間隔(120°間隔)で3つのガイド溝80が設けられている。ガイド溝80は、ロッド44のガイドレール74が摺動するように構成されている。
【0049】
これにより、ロッド44の複数のガイドレール74のそれぞれが、保持部材60の複数のガイド溝80のそれぞれで等間隔にガイドされる。これにより、保持部材60に対してロッド44が傾きにくくなり、ロッド44が回転せずに保持部材60の軸方向に対してスムーズに摺動する。また、保持部材60の前端部の開口部60aを囲むように3つの円弧部60bが等間隔で設けられており、ロッド44の環状部76が当接するように構成されている。
【0050】
保持部材60は、
図4に示す開口部56cの内周に設けられている角穴56fと係合する突起82が外周に等間隔に3個形成されている。突起82は、ガイド溝80同士の間に設けられている。これにより、保持部材60を開口部56cに簡単に装着でき、保持部材60が開口部56cにおいて回転したりスライドしたりせずにロッド44を保持できる。そのため、ロッド44は、回転部材50が回転した際に保持部材60によって回転が規制される。その結果、回転部材50と同軸のロッド44は、回転部材50の回転によって保持部材60に対して軸方向に摺動することで開口部56cから進退する。このように、本実施の形態に係る回転部材50及びロッド44は、一体としてコンパクトに進退機構を構成できる。
【0051】
図16は、
図3に示すアクチュエータ42のG-G断面図である。
図16は、ロッド44の大半がハウジング56の内部に収縮した状態を示している。
図17は、ロッド44が
図16に示す状態よりも伸長した状態を示す図である。回転部材50は、収縮時にロッド44の後端側に形成されたネジ孔の底部69に突き当たる第1の位置P1(
図16に示す状態)と、伸長時に保持部材60の円弧部60bに突き当たる第2の位置P2(
図17に示す状態)との間で移動できるように回転部材50と連結されている。
【0052】
円弧部60bは、ロッド44が突き当たることでロッド44が開口部56cから最も突出している位置が決まる位置決め部として機能する。また、保持部材60は、開口部56cに装着された状態で開口部56cから抜けないように係合する係合部としての突起82を有する。これにより、保持部材60は、ロッド44が最も突出している位置を決めることができるとともに、開口部56cから抜けないように構成されている。
【0053】
ロッド44は、第1の位置P1において、ガイドレール74が雌ネジ68とオーバーラップしている。つまり、ロッド44の収縮時にはガイドレール74が回転部材50とオーバーラップすることで、回転部材50とロッド44を一体として短くできる。
【0054】
上述した本実施の形態に係るアクチュエータ42は、扁平モータであるモータ48と、モータ48、回転部材50及びロッド44を収容するハウジング56と、を備える。ロッド44は、回転部材50の回転に伴い回転部材50に対して球状部46が進退するように構成されている。また、
図5に示すように、アクチュエータ42において、モータ48の回転軸X1と回転部材50の回転軸X2とが平行でない。換言すると、回転軸X1と回転軸X2とがねじれの位置にある。なお、本実施の形態に係る回転軸X1と回転軸X2とが成す角は90°である。
【0055】
モータ48の回転軸X1と回転部材50の回転軸X2とがねじれの位置にあることで、モータ48の回転軸方向の厚みが抑えられ、ハウジング56の所定方向の厚みを薄くできる。
【0056】
アクチュエータ42のハウジング(ハウジング56及びカバー58)は、全体が箱型の形状であり、モータ48を支持するハウジング56と、ハウジング56に形成された開口部56bを覆うカバー58と、を有している。開口部56bは、
図4に示すように、カバー58に覆われていない状態でモータ48が露出するように形成されている。これにより、ハウジング56の開口部56cからモータ48をハウジング56に組み付けることができる。
【0057】
図3に示すハウジング56の高さをH、幅をW、厚みをD(ただしH>W>D)とすると、モータ48は、回転軸X1が厚み方向に沿うように配置されており、回転部材50は、幅方向Wに沿うように配置されている。これにより、モータ48の回転軸X1方向の厚みDを抑えることで、ハウジング56の厚み方向を薄くできる。また、ハウジング56は、幅方向の両側の面の一方に、ロッド44がスライドするスライド穴としての開口部56cが形成されている。
【0058】
(アクチュエータの制御方法)
次に、アクチュエータの制御方法の一例について説明する。車両のレベリング制御を行う電子制御ユニット(以下、「車両用ECU」と称す。)は、車両側に設けられているセンサ(例えば車高センサ)からの出力に基づいてアクチュエータ42の動作を制御する。具体的には、車両の傾斜を検出した車両用ECUは、センサからの情報に基づいてその時点での傾斜角度を算出し、所望の傾斜角度(水平状態)になるように、アクチュエータ42におけるロッド44の移動量(進退量)を実現するために必要なモータ48の制御位置情報を算出する。そして、車両用ECUは、算出した制御位置情報に応じた信号を制御用ICに対して出力する。
【0059】
制御位置情報に応じた信号は、コネクタ90を介して制御用ICに入力される。モータ48は、制御基板86に対して電気接続されており、制御用ICにより駆動される。制御基板86にはモータ48のロータの円周方向に沿って所定の間隔で並んだ3個のホールIC94が配列されている。そして、ロータと共にロータマグネットが回転すると、各ホールICにおける磁界が変化し、各ホールICのオン、オフ状態が変化することで、ロータの回転周期に対応したパルス信号が出力される。制御用ICは、このパルス信号をカウントすることで、そのカウント値とモータ48の回転位置とを対応させている。
【0060】
(アクチュエータの組立方法)
次に、上述のアクチュエータの組立方法について説明する。本実施の形態に係るアクチュエータの組立方法は、
図4に示すように、開口部56bと開口部56cが異なる側面に設けられているハウジング56を準備する工程と、回転部材50を開口部56bからハウジング56の所定位置に載置する工程と、車両用灯具が備える光学部材を傾動する機構に接続されるロッド44を開口部56cから挿入し、回転部材50と同軸に連結する工程と、ロッド44を保持する保持部材60を開口部56cに装着する工程と、を含む。回転部材50を載置する所定位置は、ハウジング56の底部に設けられたU字状の突起部84に回転部材50の後端部に装着されたCリング62が保持される位置である。Cリング62は、ポリアセタール樹脂を主成分とする材料からなる係止部である。
【0061】
この組立方法によれば、互いに連結される回転部材50及びロッド44を異なる開口部56b,56cから挿入した後で同軸に連結できるので、組立て工程の自由度が増し、組立てが容易となる。また、予め部品同士を連結してからハウジング56に載置するよりも開口部全体を小さくできる場合がある。
【0062】
また、本実施の形態に係る組立方法は、モータ48を開口部56bからハウジング56の所定位置に載置する工程と、モータ48の回転を減速して回転部材50に伝達する減速機構を構成する平歯ギア52を開口部56bから所定の位置に載置する工程と、を含んでいる。これにより、モータ48、減速機構、回転部材50を含む回転伝達機構を開口部56bから載置できるので、ハウジング56の向きを変えたり部材を載置する向きを変えたりせずに回転伝達機構をハウジング56内に設けることができる。また、保持部材60を開口部56cに装着することで、ロッド44の動きを所定の範囲で規制できる。
【0063】
また、ハウジング56は、厚み方向の両側の面の一方に開口部56bが形成されており、幅方向の両側の面の一方に開口部56cが形成されている。これにより、厚み方向の両側の面の他方を底面としてハウジング56を配置することで、ハウジング56を回転させずに開口部56bと開口部56cの両方から部材を組み付けることができる。
【0064】
本実施の形態に係る装着する工程は、連結する工程の後であってもよい。これにより、保持部材60を装着することで、連結して一体となったロッド44と回転部材50とが抜け落ちることがない。また、装着する工程において、保持部材60をロッド44の先端側から開口部56cに装着してもよい。これにより、保持部材60の装着が容易となる。
【0065】
(球状部のベアリング部材への組み付け)
本実施の形態に係るアクチュエータ42は、最終的には
図1に示すベアリング部材22に球状部46が組み付けられる。その際、
図16に示すように、球状部46には矢印方向に大きな荷重L(数百N以上)がかかることになり、ロッド44を介して回転部材50の後端部50bがハウジング56の内壁56dに向かって変位しようとする。
【0066】
しかしながら、後端部50b近傍の溝70にCリング62が装着されており、係止部としてのCリング62が突起部84の溝に嵌まることで、後端部50bがハウジング56の所定位置に係止される。そのため、後端部50bが内壁56dに向かって変位しようとすると、Cリング62に大きな力が加わることになり、変位量が多い場合にはCリング62が変形したり割れたりすることになる。
【0067】
そこで、本実施の形態に係るアクチュエータ42は、回転部材50の後端部50bとハウジング56の内壁56dとの間に後端部50bの変位を抑制する変位抑制部を設けている。
図18は、変位抑制部を回転部材の後端部側から見た正面図である。
【0068】
本実施の形態に係る変位抑制部は、ハウジング56の内壁56dに設けられている、回転部材50の後端部50bが当接する平坦面56eである。平坦面56eは、内壁56dから出っ張った凸状の部分である。これにより、ハウジング56の形状を工夫することで平坦面56eをハウジング56と一体的に設けることができる。
【0069】
平坦面56eの面積は、後端部50bの面積より広い。後端部50bの端面50cは、中央部が凹んだ円形であり、外周の環状部分の全体が平坦面56eに当接、接触している。これにより、端面全体が平坦面56eに当接でき、回転部材50の後端部50bと平坦面56eとが当接する部分の応力を均等に分散できる。回転部材50は、金型で製造された樹脂成形品であってもよい。これにより、端面の中央部が凹んだ形状を簡易に製造できる。
【0070】
凸状の平坦面56eがない場合、
図16に示す後端部50bは、内壁56dとの間隔d1まで変位できる。その場合、突起部84に係止されているCリング62に大きな荷重がかかり変形したり割れたりすることがあり得る。しかしながら、内壁56dに凸状の平坦面56eを設けることで、後端部50bと平坦面56eとの隙間をd2(d2<d1)まで小さくできる。その結果、後端部50bの変位量が最大で隙間d2まで小さくなり、Cリング62にかかる荷重が小さくなる。つまり、回転部材50の後端部50bの変位が抑制されることでCリング62や突起部84の変形や割れが抑制される。
【0071】
本実施の形態に係る平坦面56eは、厚みD及び高さHの方向に延びる矩形の凸部である。これにより、簡易な形状で確実に回転部材50の後端部50bの変位を抑制できる。また、後端部50bと平坦面56eとの隙間d2が0.3~1.0mmであってもよい。これにより、後端部50bの変位を0.3~1.0mm以下に抑えられる。また、平坦面56eの高さは1.0~2.0mmである。これにより、ハウジング56内の他の部材と干渉しにくい平坦面56eを設けることができる。
【0072】
図19は、変形例に係るロッドの斜視図である。なお、前述のロッド44と同様の構成については同じ符号を付して説明を適宜省略する。
図19に示すロッド96は、環状部76と球状部46との間の領域であって、周方向に等間隔に3個設けられているガイドレール74同士の間の領域に、肉抜き部98が形成されている。肉抜き部98は、中心に雌ネジ68が形成されていない領域に設けられており、肉厚の部分を減らすことで型でロッドを製造した際のヒケ(部品表面の凹みや変形)を抑制できる。
【0073】
図20は、本実施の形態に係るアクチュエータが備える平歯ギアの回転軸及びモータの回転軸を含む断面図である。本実施の形態に係るアクチュエータ42は、モータの回転を回転部材50に伝達する減速ギアとしての平歯ギア52と、ハウジング56に組み付けることで平歯ギア52を位置決めするハウジングとしてのカバー58と、平歯ギア52の回転軸となるピン54と、を備えている。ハウジング56は、ピン54の一端54aが支持される軸受部56aを有している。カバー58は、ピン54の他端54bが支持される軸受部58aを有している。軸受部56a又は軸受部58aは、ピン54のスラスト方向の位置を決める位置決め部として機能する。これにより、ピン54に支持された状態で平歯ギア52のスラスト方向のガタつきが抑制され、精度の高い位置決めが可能となる。
【0074】
本実施の形態に係る制御基板86は、
図20に示すように、ハウジング56とカバー88とで挟み込まれている。ハウジング56は、制御基板86の一方の面に当接する当接部56g,56hを有している。カバー88は、制御基板86の他方の面に当接する当接部88aを有している。これにより、2つのハウジングで制御基板86を挟み込むことができ、制御基板86のガタつきを抑制できる。
【0075】
図21は、本実施の形態に係るアクチュエータの一例を示す側面図である。
図22は、
図21に示すアクチュエータのJ-J断面図である。Cリング62は、回転部材50の後端部50bを回転可能に支持する支持部材である。回転部材50は、後端部50bに装着されたCリング62を突起部84に嵌めることで、回転部材50のスラスト方向の位置決めがなされる。加えて、
図22に示すCリング62は、カバー58をハウジング56に組み付けることで位置決めされる。ハウジング56は、Cリング62の一方の側面62aに当接する一つ以上の当接部56hを有する。また、カバー58は、Cリング62の他方の側面62bに当接する当接部58bを有する。これにより、ハウジング56にカバー58を組み付けることでCリング62を挟み込むことができ、Cリング62のラジアル方向のガタつきを抑制できる。これにより、回転部材50のスラスト方向及びラジアル方向の位置決め精度が向上する。
【0076】
図23は、ハウジング56の裏面側に搭載された制御基板86をカバー88側から見た図である。制御基板86は、モータ48の回転を制御する電子部品を搭載する。ハウジング56は、制御基板86の所定位置を支持する円形の凸部である支持部56iと、支持部56iを中心として制御基板86が回転しないように係止する係止部56jと、を有している。制御基板86には、支持部56iが嵌まる貫通孔86a(
図4参照)と、係止部56jが圧入されるノッチ86bとが形成されている。ノッチ86bは、矩形の制御基板86の短辺の一つであって、コンデンサ92やコネクタ90から離れた一辺に形成されている。
【0077】
係止部56jは、ノッチ86bに圧入されるように構成されている。これにより、ハウジング56内で制御基板86が簡易な構成で回転することが防止され、制御基板86をハウジング56の所定の位置に精度良く配置できる。制御基板86にはモータ48の回転制御に必要なホールIC94が搭載されており、モータ48のロータの回転位置を検出する。そのため、モータ48の回転軸となる部分が形成されているハウジング56に対して制御基板86が精度良く配置されることで、ホールIC94の検出精度も向上する。
【0078】
図24は、本実施の形態に係るアクチュエータをロッドが進退する開口部側から見た一部断面図である。
図24に示すように、アクチュエータ42は、モータ48の回転を回転部材50に伝達する平歯ギア52と、ハウジング56に組み付けることで平歯ギア52を収容するカバー58と、を備えている。ハウジング56とカバー58との接合部Rにラビリンス構造100が設けられている。これにより、ハウジング56及びカバー58で囲まれた空間に異物が浸入することを防止できる。
【0079】
また、カバー58に設けられた凸部58cが、ハウジング56に設けられた凹部56kに圧入されている。これにより、ハウジング56とカバー58との位置ずれが低減されるとともに、ハウジング56に対してカバー58が浮き上がりにくくなる。
【0080】
また、アクチュエータ42のハウジング56は、
図24に示すように、アクチュエータの動きを実現する回転部材50及びロッド44を含む機構部品が配置される第1のスペースS1と、電子部品であるコンデンサ92が配置される第2のスペースS2とを隔てる隔壁56mを有する。これにより、第1のスペースS1に配置されている機構部品に潤滑油が用いられていても潤滑油が第2のスペースS2に漏れ出ることを防止できる。
【0081】
また、カバー58は、ハウジング56の一方の側に組み付けることで第1のスペースS1に配置された回転部材50等が露出しないようにする。カバー88は、ハウジング56の他方の側に組み付けることで第2のスペースS2に配置されたコンデンサ92等が露出しないようにする。これにより、3つのハウジングで機構部品と電子部品を収容しつつ第1のスペースS1と第2のスペースS2とを隔てることができる。
【0082】
アクチュエータ42は、
図4に示すように、ロッド44が進退する開口部56cが形成されているハウジング56と、制御基板86と、制御基板86に搭載され、電子部品への信号を外部から伝達するケーブルが接続されるコネクタ90と、を備える。コネクタ90は、開口部56cと同じ向きに配置されている。これにより、ハウジング56に対してロッド44やコネクタ90を同じ向きに配置できる。
【0083】
ハウジング56は、
図4に示すように、開口部56cが形成されている側面と同じ側面にケーブルを挿入する開口部56nが形成されている。これにより、ロッド44の連結とケーブルの挿入をハウジング56に対して同じ方向からできる。また、アクチュエータ42において、回転部材50及びロッド44は、モータ48を挟んで電子部品であるコンデンサ92と反対側に配置されている。これにより、アクチュエータ42の小型化が可能となる。また、ロッド44や回転部材50をハウジング56の端部に配置できる。
【0084】
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0085】
10 車両用灯具、 28 灯具ユニット、 42 アクチュエータ、 44 ロッド、 46 球状部、 48 モータ、 50 回転部材、 50b 後端部、 50c 端面、 52 平歯ギア、 54 ピン、 54a 一端、 54b 他端、 56 ハウジング、 56a 軸受部、 56b 開口部、 56c 開口部、 56d 内壁、 56e 平坦面、 56g 当接部、 56h 当接部、 56i 支持部、 56j 係止部、 56k 凹部、 56m 隔壁、 56n 開口部、 58 カバー、 58a 軸受部、 58b 当接部、 58c 凸部、 60 保持部材、 60a 開口部、 60b 円弧部、 62 Cリング、 62a 側面、 62b 側面、 64 ウォーム、 66 ヘリカルギア、 68 雌ネジ、 69 底部、 70 溝、 72 雄ネジ、 74 ガイドレール、 76 環状部、 78 空間、 80 ガイド溝、 82 突起、 84 突起部、 86 制御基板、 86a 貫通孔、 86b ノッチ、 88 カバー、 88a 当接部、 90 コネクタ、 92 コンデンサ、 94 ホールIC、 96 ロッド、 98 肉抜き部、 100 ラビリンス構造、 P1 第1の位置、 P2 第2の位置、 S1 第1のスペース、 S2 第2のスペース。