(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162197
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】取付具、盛土構造及び盛土構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
E02D 17/18 20060101AFI20241114BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
E02D17/18 Z
F16B5/02 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077518
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】518264055
【氏名又は名称】株式会社エンバイン
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(74)【代理人】
【識別番号】100198214
【弁理士】
【氏名又は名称】眞榮城 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100224926
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 雄久
(72)【発明者】
【氏名】山下 喜央
【テーマコード(参考)】
2D044
3J001
【Fターム(参考)】
2D044CA08
3J001FA13
3J001GA06
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA07
3J001HA08
3J001JA10
3J001KA19
3J001KB04
(57)【要約】
【課題】盛土用の発泡樹脂ブロックを設計した位置に配置することが可能となり、施工を容易に行うことが可能となる取付具を提供する。
【解決手段】実施形態における取付具1は、締結具を設けるための貫通孔22が形成される取付板部21と、取付板部21の両端に形成される第1繋ぎ板部31と第2繋ぎ板部41と、第1繋ぎ板部31から折り曲げられて形成される第1アンカー板部32と、第2繋ぎ板部41から折り曲げられて形成される第2アンカー板部42と、第1繋ぎ板部31と第1アンカー板部32との折り曲げ箇所の端面が頂部33aとなるように突出される第1爪部33と、第2繋ぎ板部41と第2アンカー板部42との折り曲げ箇所の端面が頂部43aとなる第2爪部43と、取付板部21の両端から立ち上がる第1受羽根板部23と、第2受羽根板部24と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
盛土用の発泡樹脂ブロックに盛土用パネルを取り付けるための取付具であって、
前記盛土用パネルに取り付けられる締結具を設けるための貫通孔が形成される取付板部と、
前記取付板部の両端に形成される第1繋ぎ板部と第2繋ぎ板部と、
前記第1繋ぎ板部の前記取付板部側の端部とは反対側の端部から折り曲げられて形成される第1アンカー板部と、
前記第2繋ぎ板部の前記取付板部側の端部とは反対側の端部から折り曲げられて形成される第2アンカー板部と、
前記第1繋ぎ板部と前記第1アンカー板部との折り曲げ箇所の端面が頂部となるように突出される第1爪部と、
前記第2繋ぎ板部と前記第2アンカー板部との折り曲げ箇所の端面が頂部となるように前記第1爪部の突出方向に沿って突出される第2爪部と、
前記取付板部の両端から立ち上がる第1受羽根板部と第2受羽根板部と、を備えること
を特徴とする取付具。
【請求項2】
前記第1受羽根板部の端部及び前記第2受羽根板部の端部の少なくとも何れかは、前記突出方向において前記第1爪部の頂部及び前記第2爪部の頂部よりも突出される位置に配置されること
を特徴とする請求項1記載の取付具。
【請求項3】
前記取付板部は、前記第1爪部の突出方向と反対側の端面に互いに対向する第1切欠部と第2切欠部とが形成されること
を特徴とする請求項1記載の取付具。
【請求項4】
前記締結具が設けられるとともに、前記取付板部に対向して設けられる供回り抑止板部を有し、
前記供回り抑止板部は、前記取付板部に接触可能に設けられること
を特徴とする請求項1記載の取付具。
【請求項5】
盛土用の発泡樹脂ブロックに盛土用パネルが取り付けられる盛土構造であって、
前記発泡樹脂ブロックと、
前記盛土用パネルと、
前記発泡樹脂ブロックに前記盛土用パネルを取り付ける取付具と、を備え、
前記取付具は、
前記盛土用パネルに取り付けるための締結具と、
前記締結具を設けるための貫通孔が形成される取付板部と、
前記取付板部の両端に形成される第1繋ぎ板部と第2繋ぎ板部と、
前記第1繋ぎ板部の前記取付板部側とは反対側の端部から折り曲げられて形成される第1アンカー板部と、
前記第2繋ぎ板部の前記取付板部側とは反対側の端部から折り曲げられて形成される第2アンカー板部と、
前記第1繋ぎ板部と前記第1アンカー板部との折り曲げ箇所の端面が頂部となるように突出される第1爪部と、
前記第2繋ぎ板部と前記第2アンカー板部との折り曲げ箇所の端面が頂部となるように前記第1爪部の突出方向に沿って突出される第2爪部と、
前記取付板部の両端から立ち上がる第1受羽根板部と第2受羽根板部と、を備え、
前記発泡樹脂ブロックは、前記第1繋ぎ板部と前記第2繋ぎ板部と、前記第1アンカー板部と前記第2アンカー板部と、前記第1爪部と前記第2爪部と、が挿入され、
前記第1受羽根板部と前記第2受羽根板部とは、前記盛土用パネルに対向する前記発泡樹脂ブロックの正面に接触されること
を特徴とする盛土構造。
【請求項6】
請求項1記載の取付具を用いて盛土用の発泡樹脂ブロックに盛土用パネルを取り付ける盛土構造の施工方法であって、
前記第1受羽根板部と前記第2受羽根板部とを前記発泡樹脂ブロックの正面に接触させながら、前記第1繋ぎ板部と、前記第2繋ぎ板部と、前記第1アンカー板部と、前記第2アンカー板部と、前記第1爪部と、前記第2爪部とを、前記発泡樹脂ブロックに挿入する挿入工程と、
前記取付板部と前記盛土用パネルとを前記締結具により取り付ける取付工程と、を備えること
を特徴とする盛土構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、取付具、盛土構造及び盛土構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発泡樹脂ブロックを用いた盛土構造に関する技術として、特許文献1が開示されている。特許文献1の盛土用の面状材付き発泡樹脂ブロックは、発泡樹脂ブロックにおける面状材の取付面に配置される固定部と、発泡樹脂ブロックに埋設され、取付面の面外方向への固定部の移動を規制するアンカー部とを有する固定具を、前記固定部を取付面の上部2箇所と下部1箇所の少なくとも3箇所にそれぞれ位置付けて発泡樹脂ブロックに設け、前記固定具の固定部に面状材を止め具で固定して、発泡樹脂ブロックの取付面に面状材を取り付けた、ことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1の盛土用の面状材付き発泡樹脂ブロックでは、固定具は、発泡樹脂ブロックの上面又は下面に沿って配置される連結部を備える。このため、発泡樹脂ブロックを並べて設けたとき、一の発泡樹脂ブロックの上面又は下面に沿って配置された連結部が、隣り合う他の発泡樹脂ブロックに干渉してしまう。その結果、連結部が干渉した部分だけ発泡樹脂ブロックの位置が設計された位置からずれてしまい、発泡樹脂ブロックを並べるにつれて発泡樹脂ブロックの位置のずれも累積して大きくなる。このように、連結部が干渉することにより、発泡樹脂ブロックを設計した位置に配置することができない、という問題があった。このため、連結部が干渉しないように発泡樹脂ブロックを削り、削った部分に連結部を配置した場合、発泡樹脂ブロックを削る作業が必要になり、施工に時間がかかってしまう、という問題もある。
【0005】
そこで本発明は、上述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、盛土用の発泡樹脂ブロックを設計した位置に配置することが可能となり、施工を容易に行うことが可能となる取付具、盛土構造及び盛土構造の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る取付具は、盛土用の発泡樹脂ブロックに盛土用パネルを取り付けるための取付具であって、前記盛土用パネルに取り付けられる締結具を設けるための貫通孔が形成される取付板部と、前記取付板部の両端に形成される第1繋ぎ板部と第2繋ぎ板部と、前記第1繋ぎ板部の前記取付板部側の端部とは反対側の端部から折り曲げられて形成される第1アンカー板部と、前記第2繋ぎ板部の前記取付板部側の端部とは反対側の端部から折り曲げられて形成される第2アンカー板部と、前記第1繋ぎ板部と前記第1アンカー板部との折り曲げ箇所の端面が頂部となるように突出される第1爪部と、前記第2繋ぎ板部と前記第2アンカー板部との折り曲げ箇所の端面が頂部となるように前記第1爪部の突出方向に沿って突出される第2爪部と、前記取付板部の両端から立ち上がる第1受羽根板部と第2受羽根板部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る盛土構造は、盛土用の発泡樹脂ブロックに盛土用パネルが取り付けられる盛土構造であって、前記発泡樹脂ブロックと、前記盛土用パネルと、前記発泡樹脂ブロックに前記盛土用パネルを取り付ける取付具と、を備え、前記取付具は、前記盛土用パネルに取り付けるための締結具と、前記締結具を設けるための貫通孔が形成される取付板部と、前記取付板部の両端に形成される第1繋ぎ板部と第2繋ぎ板部と、前記第1繋ぎ板部の前記取付板部側とは反対側の端部から折り曲げられて形成される第1アンカー板部と、前記第2繋ぎ板部の前記取付板部側とは反対側の端部から折り曲げられて形成される第2アンカー板部と、前記第1繋ぎ板部と前記第1アンカー板部との折り曲げ箇所の端面が頂部となるように突出される第1爪部と、前記第2繋ぎ板部と前記第2アンカー板部との折り曲げ箇所の端面が頂部となるように前記第1爪部の突出方向に沿って突出される第2爪部と、前記取付板部の両端から立ち上がる第1受羽根板部と第2受羽根板部と、を備え、前記発泡樹脂ブロックは、前記第1繋ぎ板部と前記第2繋ぎ板部と、前記第1アンカー板部と前記第2アンカー板部と、前記第1爪部と前記第2爪部と、が挿入され、前記第1受羽根板部と前記第2受羽根板部とは、前記盛土用パネルに対向する前記発泡樹脂ブロックの正面に接触されることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る盛土構造の施工方法は、第1発明の取付具を用いて盛土用の発泡樹脂ブロックに盛土用パネルを取り付ける盛土構造の施工方法であって、前記第1受羽根板部と前記第2受羽根板部とを前記発泡樹脂ブロックの正面に接触させながら、前記第1繋ぎ板部と、前記第2繋ぎ板部と、前記第1アンカー板部と、前記第2アンカー板部と、前記第1爪部と、前記第2爪部とを、前記発泡樹脂ブロックに挿入する挿入工程と、前記取付板部と前記盛土用パネルとを前記締結具により取り付ける取付工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、盛土用の発泡樹脂ブロックを設計した位置に配置することが可能となり、施工を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態における盛土構造の一例を示す側面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態における盛土構造の一例を示す正面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態における取付具の一例を分解して示す斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態における盛土構造の施工方法の一例を示す図であり、
図4(a)は、発泡樹脂ブロックの正面に取付具を接して設けた状態を示す側面図であり、
図4(b)は、発泡樹脂ブロックの正面に取付具を接して設けた状態を示す正面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態における盛土構造の施工方法の一例を示す図であり、発泡樹脂ブロックに取付具を挿入した状態を示す平面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態における盛土構造の施工方法の一例を示す図であり、
図6(a)は、下側の発泡樹脂ブロックに取付具を挿入した状態を示す側面図であり、
図6(b)は、発泡樹脂ブロックに取付具を挿入した状態を示す正面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態における盛土構造の施工方法の一例を示す図であり、取付具に盛土用パネルを取り付けた後の状態を示す平面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態における盛土構造の施工方法の一例を示す図であり、下側の発泡樹脂ブロックに挿入した取付具に目地プレートを設置した後の状態を示す側面図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態における盛土構造の施工方法の一例を示す図であり、上側の発泡樹脂ブロックに挿入した取付具に目地プレートを設置した後の状態を示す側面図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態における盛土構造の一例を示す側面図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態における盛土構造の一例を示す正面図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態における盛土構造の施工方法の一例を示す図であり、下側の発泡樹脂ブロックに取付具を挿入した状態を示す側面図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態における盛土構造の施工方法の一例を示す図であり、上側の発泡樹脂ブロックに取付具を挿入した状態を示す正面図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態における盛土構造の施工方法の一例を示す図であり、中間床版の上に発泡樹脂ブロックを設置した後の状態を示す側面図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態における盛土構造の施工方法の一例を示す図であり、ずれ止めプレートを中間床版に設置した後の状態を示す側面図である。
【
図16】
図16は、第3実施形態における盛土構造の一例を示す正面図である。
【
図17】
図17は、第3実施形態における盛土構造の一例を示す側面図である。
【
図18】
図18は、第4実施形態における取付具の一例を分解して示す斜視図である。
【
図19】
図19は、第5実施形態における盛土構造の一例を示す平面図である。
【
図20】
図20は、第6実施形態における盛土構造の一例を示す側面図である。
【
図21】
図21は、第7実施形態における取付具の一例を示す斜視図である。
【
図22】
図22は、第7実施形態における盛土構造の一例を示す正面図である。
【
図23】
図23は、第8実施形態における盛土構造の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態としての取付具、盛土構造及び盛土構造の施工方法の一例について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
(第1実施形態:盛土構造100)
図1及び
図2に示すように、盛土構造100は、盛土用の発泡樹脂ブロック7に取付具1を介して盛土用パネル8が取り付けられる盛土構造である。盛土構造100は、山の斜面等に構築される軽量盛土であり、上側に道路等の上部床版91が設けられる。上部床版91は、コンクリート製の床版であり、内部には図示しない鉄筋などが設けられる。盛土構造100は、発泡樹脂ブロック7と、盛土用パネル8と、取付具1と、備える。盛土構造100は、発泡樹脂ブロック7と、盛土用パネル8と、隣接する発泡樹脂ブロック7同士の目地部75に設けられる目地材70を備えてもよい。目地材70は、上下方向及び左右方向の少なくとも何れかに隣接する複数の発泡樹脂ブロック7に跨って設けられる目地プレート79と、目地プレート79を発泡樹脂ブロック7に取り付ける取付具1と、を備えてもよい。
【0013】
発泡樹脂ブロック7の素材は、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂からなる発泡体を採用できる。発泡樹脂ブロック7は、直方体形状に形成される。発泡樹脂ブロック7は、例えば上下方向及び左右方向に位置をずらして千鳥状に複数積み上げることで施工される。発泡樹脂ブロック7は、例えば1個当たりの重量が12kg~30kgとなり、持ち運びやすく軽量盛土の施工作業の作業性に優れていることから好適に採用できる。
【0014】
発泡樹脂ブロック7は、盛土用パネル8が取り付けられる側の面を正面71とし、正面71の左右方向の側端側の面を側面72とし、正面71の上下方向の上端側の面を上面73とし、正面71の上下方向の下端側の面を下面74とする。
【0015】
盛土用パネル8は、発泡樹脂ブロック7に取付具1を介して取り付けられる。盛土用パネル8は、発泡樹脂ブロック7を保護するために、発泡樹脂ブロック7の正面71側に取り付けられる。盛土用パネル8としては、軽量盛土工法によって構築する土木構造物の表面仕上げ材として使用できるものであればよく、コンクリートパネル、樹脂系パネル、金属系パネルなどを用いることができる。1つの盛土用パネル8には、上下方向に離間して複数の取付具1が取り付けられる。複数の取付具1は、例えば同一の形状のものが用いられる。
【0016】
盛土用パネル8は、盛土用パネル8の外面を構成するように例えば断面ハット形状の鋼板81が設けられる。鋼板81には、孔が形成され、盛土用パネル8の孔を構成する。鋼板81に形成された孔には、盛土用パネル8を締結する締結具が設けられる。鋼板81に締結具を締結することにより、締結力が鋼板81に作用するため、例えばコンクリート製の盛土用パネル8を取付具1に締結する際に、盛土用パネル8のコンクリート部分の破損を抑制できる。
【0017】
取付具1は、発泡樹脂ブロック7に盛土用パネル8を取り付ける金具である。取付具1は、発泡樹脂ブロック7の上面73、下面74及び側面72の何れかに挿入される。取付具1は、1つの盛土用パネル8に上下方向及び左右方向に離間して例えば4つ設けられる。取付具1は、盛土用パネル8を発泡樹脂ブロック7の正面71から離間して取り付けることができる。
【0018】
図3に示すように、取付具1は、板厚0.5mm~4mm程度の1枚の鋼板から折り曲げられて形成される。取付具1は、取付部2と、挿入部3と、を備える。
【0019】
取付部2は、盛土用パネル8と目地プレート79との少なくとも何れかを取り付けるためのものであり、発泡樹脂ブロック7の外側に設けられる。取付部2は、取付板部21と、締結具としてのボルト25とナット26と、第1受羽根板部23と第2受羽根板部24と、を有する。挿入部3は、取付部2に繋がるとともに発泡樹脂ブロック7の内部に挿入される。挿入部3は、第1繋ぎ板部31と第2繋ぎ板部41と、第1アンカー板部32と第2アンカー板部42と、第1爪部33と第2爪部43と、を有する。
【0020】
取付板部21は、コの字状に形成され、盛土用パネル8が接する主板部21aと、主板部21aの両端から折り曲げられる一対の側板部21bと、を有する。主板部21aは、締結具としてのボルト25を設けるための貫通孔22が形成される。主板部21aは、ボルト25とナット26とにより盛土用パネル8に接して取り付けられる。貫通孔22は、第1爪部33の突出方向に沿って延伸する長孔である。貫通孔22が長孔の場合、盛土用パネル8の取り付け位置を長孔の延伸方向に調整することができる。
【0021】
ボルト25としては、例えばM8、M10等のボルトが用いられる。ボルト25は、盛土用パネル8に貫通される。ボルト25は、発泡樹脂ブロック7から離間される。ボルト25は、軸部の先端側に形成されるネジ部25aと、ネジ部25aとボルト25の頭部との間に形成される平坦部25bと、を有する。これにより、ナット26をネジ部25aに螺着したとき、ナット26が平坦部25bに螺着されないことからボルト25を長孔の貫通孔22の延伸方向にスライド移動可能に構成できる。なお、ボルト25は、軸部の全てがネジ部25aで構成されてもよい。この場合、ナット26をネジ部25aに螺着したとき、ボルト25が取付板部21に対してスライド移動せずに固定することもできる。
【0022】
一方の側板部21bの第1爪部33の突出方向と反対側の端面には、第1受羽根板部23よりも取付板部21の主板部21a側に第1切欠部28が形成される。他方の側板部21bの第2爪部43の突出方向と反対側の端面には、第2受羽根板部24よりも取付板部21の主板部21a側に第2切欠部29が形成される。第1切欠部28と第2切欠部29は、互いに対向される。
【0023】
取付板部21には、供回り抑止板部5が取り付けられる。供回り抑止板部5は、例えば1枚の鋼板がコの字状に折り曲げられて形成される。供回り抑止板部5は、一対の側板部21bの間に設けられ、一対の側板部21bの少なくとも何れかに接触可能に設けられる。これにより、ボルト25を螺着したとき、一対の側板部21bの少なくとも何れかに接した供回り抑止板部5から反力が得られる。このため、供回り抑止板部5に設けたボルト25とナット26との供回りを抑制できる。
【0024】
供回り抑止板部5は、第1抑止板部51と、一対の第2抑止板部53、54とを有する。第1抑止板部51は、主板部21aに接して設けられ、締結具としてのボルト25が設けられる貫通孔52が形成される。第2抑止板部53、54は、第1抑止板部51の両端から折り曲げられて形成され、互いに対向して設けられる。第2抑止板部53、54の少なくとも何れかは、一対の側板部21bの少なくとも何れかに接して設けられる。
【0025】
第1繋ぎ板部31と第2繋ぎ板部41は、取付板部21の両端に形成され、取付板部21の側板部21bと面一に互いに対向される。
【0026】
第1アンカー板部32は、第1繋ぎ板部31の取付板部21側の端部とは反対側の端部から折り曲げられて形成される。第2アンカー板部42は、第2繋ぎ板部41の取付板部21側の端部とは反対側の端部から折り曲げられて形成される。第1アンカー板部32と第2アンカー板部42とは、主板部21aと平行に設けられる。
【0027】
第1爪部33は、第1繋ぎ板部31と第1アンカー板部32との折り曲げ箇所の端面が頂部33aとなるように突出される。これにより、発泡樹脂ブロック7への挿入を容易に行うことができる。第1爪部33は、第1繋ぎ板部31と第1アンカー板部32とに沿って、第1爪部33の突出方向から見てL字状に形成される。第1爪部33は、第1繋ぎ板部31に沿う第1繋ぎ爪部34と、第1アンカー板部32に沿う第1アンカー爪部35と、の少なくとも何れかを有すればよい。第1繋ぎ爪部34は、頂部33aから傾斜される傾斜部341と、傾斜部341に繋がり第1爪部33の突出方向に平行な平坦部342と、を有する。これにより、第1繋ぎ爪部34を発泡樹脂ブロック7に挿入し易くできる。第1アンカー爪部35は、頂部33aから傾斜される傾斜部351と、傾斜部351に繋がり第1爪部33の突出方向に平行な平坦部352と、を有する。これにより、第1アンカー爪部35を発泡樹脂ブロック7に挿入し易くできる。
【0028】
第2爪部43は、第2繋ぎ板部41と第2アンカー板部42との折り曲げ箇所の端面が頂部43aとなるように突出される。これにより、発泡樹脂ブロック7への挿入を容易に行うことができる。第2爪部43は、第1爪部33の突出方向に沿って突出される。第2爪部43は、第2繋ぎ板部41と第2アンカー板部42とに沿って、第2爪部43の突出方向から見てL字状に形成される。第2爪部43は、第2繋ぎ板部41に沿う第2繋ぎ爪部44と、第2アンカー板部42に沿う第2アンカー爪部45と、の少なくとも何れかを有すればよい。第2繋ぎ爪部44は、頂部43aから傾斜される傾斜部441と、傾斜部441に繋がり第2爪部43の突出方向に平行な平坦部442と、を有する。これにより、第2繋ぎ爪部44を発泡樹脂ブロック7に挿入し易くできる。第2アンカー爪部45は、頂部43aから傾斜される傾斜部451と、傾斜部451に繋がり第2爪部43の突出方向に平行な平坦部452と、を有する。これにより、第2アンカー爪部45を発泡樹脂ブロック7に挿入し易くできる。
【0029】
第1受羽根板部23と第2受羽根板部24とは、取付板部21の両端から立ち上がり、発泡樹脂ブロック7の正面71に接して設けられる。第1受羽根板部23は、取付板部21の一方の側板部21bの端部から他方の側板部21bとは反対側に向けて略垂直に立ち上がる。第1受羽根板部23は、孔23aが形成される。第2受羽根板部24は、取付板部21の他方の側板部21bの端部から一方の側板部21bとは反対側に向けて略垂直に立ち上がる。第2受羽根板部24は、孔24aが形成される。第1受羽根板部23と第2受羽根板部24とは、取付板部21の主板部21aと平行に設けられる。なお、孔23a、孔24aには、図示しないアンカー等の補強部材を打ち込むことができる。孔23a、孔24aに補強部材が打ち込まれることにより、第1受羽根板部23と第2受羽根板部24とを発泡樹脂ブロック7に強固に固定できる。
【0030】
第1受羽根板部23の端部及び第2受羽根板部24の端部は、第1爪部33の突出方向において第1爪部33の頂部33a及び第2爪部43の頂部43aよりも突出される位置に配置される。これにより、第1爪部33の頂部33a及び第2爪部43の頂部43aが発泡樹脂ブロック7の外面(例えば上面73)に接したとき、第1受羽根板部23及び第2受羽根板部24を発泡樹脂ブロック7の正面71に接して設けることができる。このため、取付具1を発泡樹脂ブロック7に挿入するとき、発泡樹脂ブロック7の正面71に第1受羽根板部23及び第2受羽根板部24が接した状態で第1爪部33と第2爪部43を挿入できる。なお、本発明では、第1受羽根板部23の端部及び第2受羽根板部24の端部の少なくとも何れかは、第1爪部33の突出方向において第1爪部33の頂部33a及び第2爪部43の頂部43aよりも突出される位置に配置されてもよい。
【0031】
また、盛土構造100は、発泡樹脂ブロック7同士の目地部75に沿って目地材70が設けられる。目地部75は、例えば互いに接して設けられる発泡樹脂ブロック7の上面73と発泡樹脂ブロック7の下面74とにより形成される。目地部75は、例えば互いに接して設けられる発泡樹脂ブロック7の側面72同士により形成される。
【0032】
目地材70は、紫外線等による発泡樹脂ブロック7の劣化を抑制するものである。目地材70は、取付具1と、目地プレート79とを有する。取付具1は、目地プレート79を発泡樹脂ブロック7の正面71側に取り付けることができる。
【0033】
目地プレート79は、取付具1の第1切欠部28と第2切欠部29とに篏合される。目地プレート79は、板厚0.5mm~4mm程度の鋼板、樹脂板等が用いられる。目地プレート79は、発泡樹脂ブロック7同士の目地部75に沿って延伸して形成される。目地プレート79は、短手方向の両端部がそれぞれ同じ方向に折り曲げられて形成される。この場合、目地プレート79が平板である場合と比べて、目地プレート79の剛性を向上させることができる。また、目地プレート79の短手方向の端部が折り曲げられている場合、目地プレート79を第1切欠部28と第2切欠部29とに挿入し易い。なお、目地プレート79の短手方向の端部には、取付部2に篏合する溝が形成されてもよい。この場合、目地プレート79を取付部2に取り付けたとき、目地プレート79の長手方向の移動を抑制できる。
【0034】
第1切欠部28と第2切欠部29は、入口側から奥側に向けて縮幅されたテーパー状に切り欠かれる。これにより、目地プレート79を第1切欠部28と第2切欠部29とに挿入し易い。
【0035】
<第1実施形態:盛土構造100の施工方法>
次に、盛土構造100の施工方法の一例を説明する。盛土構造100の施工方法は、盛土用の発泡樹脂ブロック7に盛土用パネル8を取り付ける盛土工法である。盛土構造100の施工方法は、上下方向と左右方向に並べた複数の発泡樹脂ブロック7に、盛土用パネル8を取り付ける。盛土構造100の施工方法は、例えば挿入工程と、取付工程と、目地プレート設置工程と、を備える。
【0036】
図4~
図6に示すように、挿入工程では、取付具1-1を下側の発泡樹脂ブロック7-1に挿入する。
【0037】
詳細には先ず、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、挿入工程では、取付具1-1の第1爪部33の頂部33aと、取付具1-1の第2爪部43の頂部43aと、を、発泡樹脂ブロック7の上面73に接して設ける。このとき、第1受羽根板部23と第2受羽根板部24とが発泡樹脂ブロック7の正面71に接して設けられる。
【0038】
そして、
図5及び
図6に示すように、挿入工程では、第1受羽根板部23と第2受羽根板部24とを発泡樹脂ブロック7-1の正面71に接触させながら、第1繋ぎ板部31と、第2繋ぎ板部41と、第1アンカー板部32と、第2アンカー板部42と、第1爪部33と、第2爪部43とを、発泡樹脂ブロック7-1の上面73に挿入する。これにより、発泡樹脂ブロック7-1は、第1繋ぎ板部31と第2繋ぎ板部41と、第1アンカー板部32と第2アンカー板部42と、第1爪部33と第2爪部43と、が挿入される。すなわち、挿入部3が発泡樹脂ブロック7-1に挿入される。
【0039】
第1爪部33は、第1繋ぎ板部31と第1アンカー板部32との折り曲げ箇所の端面が頂部33aとなるように突出されるため、発泡樹脂ブロック7-1への挿入を容易に行うことができる。同様に、第2爪部43は、第1繋ぎ板部31と第1アンカー板部32との折り曲げ箇所の端面が頂部43aとなるように突出されるため、発泡樹脂ブロック7-1への挿入を容易に行うことができる。
【0040】
また、挿入工程では、第1受羽根板部23と第2受羽根板部24とを発泡樹脂ブロック7-1の正面71に接触させながら取付具1-1を挿入するため、取付具1-1を設計された位置に挿入し易い。
【0041】
取付具1-1を発泡樹脂ブロック7-1に挿入したとき、第1繋ぎ板部31と、第2繋ぎ板部41と、第1アンカー板部32と、第2アンカー板部42と、第1爪部33と、第2爪部43とは、発泡樹脂ブロック7-1に埋設され、発泡樹脂ブロック7-1の側面72、上面73及び下面74から突出されない。これにより、上下方向と左右方向に発泡樹脂ブロック7を設置したとき、取付具1-1が他の発泡樹脂ブロック7に干渉するのを防止することができる。このため、盛土用の発泡樹脂ブロック7を設計した位置に配置することが可能となる。
【0042】
取付具1-1を発泡樹脂ブロック7-1に挿入したとき、取付板部21の主板部21aは、発泡樹脂ブロック7-1の正面71から離間した位置で発泡樹脂ブロック7-1の正面71に対向される。また、第1切欠部28と第2切欠部29は、発泡樹脂ブロック7-1の外側に配置される。
【0043】
次に、
図7に示すように、取付工程では、取付具1-1の取付板部21と盛土用パネル8-1とを締結具により取り付ける。取付工程では、供回り抑止板部5を第1繋ぎ板部31と第2繋ぎ板部41との間に配置する。そして、取付工程では、第1抑止板部51と取付板部21とを盛土用パネル8-1にボルト25とナット26とにより取り付ける。第2抑止板部53、54は、一対の側板部21bにそれぞれ接して設けられる。これにより、ボルト25を螺着したとき、一対の側板部21bの少なくとも何れかに接した供回り抑止板部5から反力が得られる。このため、供回り抑止板部5に設けたボルト25とナット26との供回りを抑制できる。
【0044】
次に、
図8に示すように、目地プレート設置工程では、発泡樹脂ブロック7-1に挿入した取付具1-1の第1切欠部28と第2切欠部29とに目地プレート79を設置する。
【0045】
そして、
図9に示すように、挿入工程では、発泡樹脂ブロック7-1の上側に設けられる上側の発泡樹脂ブロック7-2の下面74に、取付具1-2を挿入する。発泡樹脂ブロック7-2の下面74への取付具1-2の挿入は、下側の発泡樹脂ブロック7-1の上面73への取付具1-1の挿入と同様であるため、詳細な説明を省略する。取付具1-2を発泡樹脂ブロック7-2に挿入したとき、第1繋ぎ板部31と、第2繋ぎ板部41と、第1アンカー板部32と、第2アンカー板部42と、第1爪部33と、第2爪部43とは、発泡樹脂ブロック7-2に埋設され、発泡樹脂ブロック7-2の側面72、上面73及び下面74から突出されない。これにより、上下方向と左右方向に発泡樹脂ブロック7を設置したとき、取付具1-2が他の発泡樹脂ブロック7に干渉するのを防止することができる。このため、盛土用の発泡樹脂ブロック7を設計した位置に配置することが可能となる。
【0046】
そして、取付工程では、上側の発泡樹脂ブロック7-2の下面74に挿入された取付具1-2の取付板部21に盛土用パネル8-2をボルト25とナット26とにより取り付ける。盛土用パネル8-2の取り付けは、盛土用パネル8-1の取り付けと同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0047】
そして、目地プレート設置工程では、発泡樹脂ブロック7-1の上側に発泡樹脂ブロック7-2を設ける。目地プレート設置工程では、発泡樹脂ブロック7-1の上側に発泡樹脂ブロック7-2を設ける際に、発泡樹脂ブロック7-2に挿入した取付具1-2の第1切欠部28と第2切欠部29とに、取付具1-1に設置した目地プレート79を設置する。これにより、目地プレート79は、発泡樹脂ブロック7-1、7-2に跨るように設けられる。
【0048】
このように、挿入工程と、取付工程と、目地プレート設置工程と、を繰り返し行う。以上により、盛土構造100の施工方法の一例が完了する。なお、上述した実施形態では、発泡樹脂ブロック7-2に挿入された取付具1-2に盛土用パネル8-2を取り付けた後に目地プレート79を設置したが、発泡樹脂ブロック7-2に挿入された取付具1-2に目地プレート79を設置した後に盛土用パネル8-2を取り付けてもよい。
【0049】
本実施形態では、第1繋ぎ板部31と第1アンカー板部32との折り曲げ箇所の端面が頂部33aとなるように突出される第1爪部33と、第2繋ぎ板部41と第2アンカー板部42との折り曲げ箇所の端面が頂部となるように第1爪部33の突出方向に沿って突出される第2爪部43と、を有する。これにより、発泡樹脂ブロック7に取付具1を挿入したとき、取付具1が発泡樹脂ブロック7の側面72、上面73及び下面74から突出されないものとなる。このため、上下方向及び左右方向に隣接して発泡樹脂ブロック7を複数設置したとき、一の発泡樹脂ブロック7に挿入された取付具1が隣接する他の発泡樹脂ブロック7に干渉するのを防止することができる。その結果、盛土用の発泡樹脂ブロックを設計した位置に配置することが可能となる。
【0050】
本実施形態では、第1爪部33は、第1繋ぎ板部31と第1アンカー板部32との折り曲げ箇所の端面が頂部33aとなるように突出されるため、発泡樹脂ブロック7-1への挿入を容易に行うことができる。同様に、第2爪部43は、第1繋ぎ板部31と第1アンカー板部32との折り曲げ箇所の端面が頂部43aとなるように突出されるため、発泡樹脂ブロック7-1への挿入を容易に行うことができる。このため、施工を容易に行うことができる。
【0051】
特に、本実施形態では、第1爪部33は、第1繋ぎ板部31に沿う第1繋ぎ爪部34と、第1アンカー板部32に沿う第1アンカー爪部35と、を有し、第2爪部43は、第2繋ぎ板部41に沿う第2繋ぎ爪部44と、第2アンカー板部42に沿う第2アンカー爪部45と、を有する。この場合、第1爪部33と、第2爪部43と、がアングル状等の折り曲げられた形状となることから、爪の強度を向上できる。このため、比較的真密度の小さい(12kg/m3~30kg/m3程度)の発泡樹脂ブロックだけでなく、比較的真密度の大きい(46kg/m3~70kg/m3程度)の発泡樹脂ブロック(浮力対策ブロック)であっても、爪の破損を抑制し、更に容易に挿入することができる。このため、従来の取付具では施工が困難であった浮力対策ブロックでも壁面を安全に取付けることが可能となる。
【0052】
本実施形態では、第1繋ぎ板部31の取付板部21側とは反対側の端部から折り曲げられて形成される第1アンカー板部32と、第2繋ぎ板部41の取付板部21側とは反対側の端部から折り曲げられて形成される第2アンカー板部42と、を有する。これにより、盛土用パネル8を取付具1に取り付けたとき、第1アンカー板部32と第2アンカー板部42が受圧面となって発泡樹脂ブロック7の正面71側に引き抜かれるのを抑制できる。このため、盛土用パネル8の脱落を抑制できる。
【0053】
本実施形態では、第1爪部33は、第1アンカー板部32に沿う第1アンカー爪部35を有し、第2爪部43は、第2アンカー板部42に沿う第2アンカー爪部45を有する。これにより、盛土用パネル8を取付具1に取り付けたとき、第1アンカー爪部35と第2アンカー爪部45が受圧面となって発泡樹脂ブロック7の正面71側に引き抜かれるのを抑制できる。このため、盛土用パネル8の脱落を抑制できる。
【0054】
本実施形態では、取付板部21の両端から立ち上がる第1受羽根板部23と第2受羽根板部24と、を備える。これにより、第1受羽根板部23と第2受羽根板部24とを発泡樹脂ブロック7の正面71に接触させながら、取付具1を発泡樹脂ブロック7に挿入できる。このため、取付具1を設計された位置に挿入し易くなり、施工を容易に行うことができる。
【0055】
また、
図10に示すように、盛土構造100では、発泡樹脂ブロック7-1に挿入された取付具1-1には、盛土用パネル8-1の自重により左右方向を回転軸とする図中矢印R方向に回転しようする。この点、本実施形態では、取付板部21の両端から立ち上がる第1受羽根板部23と第2受羽根板部24と、を備える。これにより、発泡樹脂ブロック7の正面71に接した第1受羽根板部23と第2受羽根板部24とが受圧面となって、この図中矢印R方向に回転しようとするのを抑制できる。このため、取付具1が発泡樹脂ブロック7の正面71側に引き抜かれるのを更に抑制することが可能となる。
【0056】
本実施形態では、第1受羽根板部23の端部及び第2受羽根板部24の端部の少なくとも何れかは、第1爪部33の突出方向において第1爪部33の頂部33a及び第2爪部43の頂部43aよりも突出される位置に配置される。これにより、第1爪部33の頂部33a及び第2爪部43の頂部43aの少なくとも何れかが発泡樹脂ブロック7の外面(例えば上面73)に接したとき、第1受羽根板部23及び第2受羽根板部24の少なくとも何れかを発泡樹脂ブロック7の正面71に接して設けることができる。このため、取付具1を発泡樹脂ブロック7に挿入するとき、発泡樹脂ブロック7の正面71に第1受羽根板部23及び第2受羽根板部24が接した状態で第1爪部33と第2爪部43を挿入できる。その結果、発泡樹脂ブロック7の設計された位置に取付具1を挿入し易い。
【0057】
本実施形態では、貫通孔22は、長孔である。これにより、盛土用パネル8を現場で所望の位置に調整して取り付けることができる。このため、盛土用パネル8の施工性を向上させることが可能となる。
【0058】
また、
図10に示すように、盛土構造100では、盛土用パネル8-1が取付具1-1、1-3により取り付けられる。上段の取付具1-1の締結具は、ボルト25の軸部がネジ部25aのみで構成される。この場合、取付具1-1の締結具は、取付板部21に対してスライド移動しないように固定できる。下段の取付具1-3の締結具は、ボルト25の軸部がネジ部25aと平坦部25bとで構成される。この場合、取付具1-3の締結具は、長孔である貫通孔22の延伸方向に沿ってスライド移動可能に構成される。
【0059】
ここで、発泡樹脂ブロック7には、上積荷重による圧縮変形が生じ、発泡樹脂ブロック7の圧縮変形に伴う盛土用パネル8の変形が懸念される。この点、本実施形態では、1つの盛土用パネル8-1に上下方向に離間された取付具1-1、1-3のうち、取付具1-1の締結具は、取付具1-1の取付板部21に固定され、取付具1-3の締結具は、長孔である貫通孔22に沿ってスライド移動可能に構成される。これにより、発泡樹脂ブロック7の圧縮変形に伴う盛土用パネル8-1の変形を抑制できる。このため、盛土用パネル8-1の破損を抑制できる。
【0060】
なお、本発明では、取付具1-1の締結具をスライド移動可能に構成したとき、取付具1-3の締結具をスライド移動しないように固定してもよい。なお、本発明では、取付具1-1と取付具1-3とのそれぞれの締結具をスライド移動しないように固定してもよい。
【0061】
本実施形態では、第1爪部33は、頂部33aから傾斜される傾斜部341、351と、傾斜部341から第1爪部33の突出方向に平行に延びる平坦部342、352と、を有する。これにより、第1爪部33を発泡樹脂ブロック7に更に挿入し易くできる。このため、施工を更に容易に行うことが可能となる。
【0062】
従来、盛土用パネル8の固定にはビスが用いられており、ビスでは盛土用パネル8の取付強度の管理が難しかった。加えて、ビスでは着脱ができず、メンテナンスも行うことができなかった。この点、本実施形態では、締結具として盛土用パネル8に貫通されるボルト25を有する。これにより、ボルト25による取付強度をトルクで管理することができる。このため、盛土構造の安全性を向上させることが可能となる。
【0063】
本実施形態では、盛土用パネル8に貫通されるボルト25を有する。これにより、ボルト25の着脱を行うことができる。このため、盛土構造100のメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0064】
また、本実施形態では、盛土用パネル8に貫通されるボルト25を有する。これにより、盛土用パネル8を取り付けた後であっても、盛土用パネル8の取付位置の微調整ができる。
【0065】
本実施形態では、取付具1は、1枚の板材が折り曲げられて形成される。これにより、板材の板厚や板材の材質を、設定することができる。例えば発泡樹脂ブロック7が地下水位以下に主として用いられる浮力対策ブロックの場合には、ステンレス製の板材を用いることにより、板材の腐食を抑制できる。
【0066】
本実施形態では、供回り抑止板部5は、一対の側板部21bの間に設けられ、一対の側板部21bの少なくとも何れかに接触可能に設けられる。これにより、ボルト25を螺着したとき、一対の側板部21bの少なくとも何れかに接した供回り抑止板部5から反力が得られる。このため、供回り抑止板部5に設けたボルト25とナット26との供回りを抑制できる。
【0067】
ここで、従来の盛土構造では、盛土用パネルが発泡樹脂ブロックの正面に接して設けられる。これにより、雨水が盛土用パネルの正面側を伝って排水される。このため、雨水による盛土用パネルの表面の劣化や汚れが生じ、景観性を損なうことが傾向がある。この点、本実施形態では、取付具1は、発泡樹脂ブロック7から離間した位置に盛土用パネル8を取り付ける。これにより、盛土用パネル8と発泡樹脂ブロック7との間に空間が形成される。このため、雨水が盛土用パネル8と発泡樹脂ブロック7との間で排水される。その結果、雨水による盛土用パネル8の表面の劣化や汚れの発生を抑制でき、景観性を維持できる。
【0068】
従来の盛土構造では、盛土用パネルが発泡樹脂ブロックの正面に接して設けられることから、気温が高いとき、断熱性能の高い発泡樹脂ブロックの熱が盛土用パネルに伝達される。このため、盛土用パネルの熱による変形が懸念される。この点、本実施形態では、取付具1は、発泡樹脂ブロック7から離間した位置に盛土用パネル8を取り付ける。これにより、盛土用パネル8と発泡樹脂ブロック7との間に空間が形成される。このため、盛土用パネル8と発泡樹脂ブロック7との間の空間が空気層となって、発泡樹脂ブロック7から盛土用パネル8への熱の伝達を抑制できる。このため、盛土用パネル8の変形を抑制できる。
【0069】
また、本実施形態では、取付具1は、発泡樹脂ブロック7から離間した位置に盛土用パネル8を取り付ける。これにより、盛土用パネル8と発泡樹脂ブロック7との間に空間が形成される。このため、盛土用パネル8と発泡樹脂ブロック7との間の空間が空気層となって耐火性を向上させることができる。
【0070】
本実施形態では、取付具1は、発泡樹脂ブロック7の外側に配置されるとともに目地プレート79が取り付けられる取付部2と、取付部2に繋がるとともに発泡樹脂ブロック7の内部に挿入される挿入部3と、を有する。これにより、発泡樹脂ブロック7同士で目地材を挟むことなく、発泡樹脂ブロック7同士が互いに接した状態で並べることができ、発泡樹脂ブロック7を設計された位置に設置することができる。
【0071】
従来の盛土構造では、紫外線等による劣化を抑制するために発泡樹脂ブロック同士の目地部がコーキングされる場合がある。この場合、発泡樹脂ブロック同士の目地部に全く隙間が生じなく目地部からの放熱性が低いことから、断熱性能の高い発泡樹脂ブロックの熱が盛土用パネルに伝達される。このため、盛土用パネルの熱による変形が懸念される。この点、本実施形態では、取付具1は、発泡樹脂ブロック7の外側に配置されるとともに目地プレート79が取り付けられる取付部2と、取付部2に繋がるとともに発泡樹脂ブロック7に挿入される挿入部3と、を有する。これにより、目地部75にコーキングが不要となる。このため、目地部75からの放熱性を確保でき、盛土用パネル8の変形を抑制できる。
【0072】
従来の盛土構造では、紫外線等による劣化を抑制するために、各々の盛土用パネルの外周に接着剤により樹脂製の緩衝材を接着し、隣接する盛土用パネルにおける緩衝材同士を互いに接触させることで、発泡樹脂ブロックの目地部を覆う場合もある。この場合、接着剤が乾燥するまで時間がかかることに加え、降雨等の場合には、この接着剤の施工ができず、施工に時間がかかる。この点、本実施形態では、取付具1は、発泡樹脂ブロック7の外側に配置されるとともに目地プレート79が取り付けられる取付部2と、取付部2に繋がるとともに発泡樹脂ブロック7に挿入される挿入部3と、を有する。これにより、盛土用パネル8の外周に接着剤を介して緩衝材を設置することが不要となる。このため、施工を容易に行うことができる。
【0073】
本実施形態では、目地プレート79は、発泡樹脂ブロック7-1に設けられる取付具1-1の互いに対向する第1切欠部28と第2切欠部29に取り付けられる。これにより、目地プレート79を第1切欠部28と第2切欠部29に挿入できる。このため、目地プレート79の設置が容易となる。
【0074】
(第2実施形態:盛土構造100)
次に、第2実施形態における盛土構造100の一例について説明する。以下、第1実施形態と同様の構成については、詳細な説明を省略する。
【0075】
図11に示すように、第2実施形態における盛土構造100では、上下方向に離間する複数の発泡樹脂ブロック7と、上側の発泡樹脂ブロック7と下側の発泡樹脂ブロック7との間に設けられる中間床版92と、中間床版92と中間床版92の上側の発泡樹脂ブロック7とに跨って設けられるずれ止めプレート94と、を更に備える。中間床版92の上側の発泡樹脂ブロック7に設けられる取付具1は、ずれ止めプレート94の上方に、上側の発泡樹脂ブロック7の側面から挿入される。
【0076】
中間床版92は、例えばコンクリート製の床版である。ずれ止めプレート94は、中間床版92にアンカー93を介して固定される。ずれ止めプレート94は、例えば板厚0.5mm~4mm程度の平板状の鋼板が用いられる。ずれ止めプレート94は、発泡樹脂ブロック7の左右方向の幅よりも長く形成されてもよい。
【0077】
(第2実施形態:盛土構造100の施工方法)
次に、盛土構造100の施工方法の一例を説明する。盛土構造100の施工方法は、盛土用の発泡樹脂ブロック7に盛土用パネル8を取り付ける盛土工法である。盛土構造100の施工方法は、上下方向と左右方向に並べた複数の発泡樹脂ブロック7に、盛土用パネル8を取り付ける。盛土構造100の施工方法は、例えば挿入工程と、取付工程と、ずれ止めプレート設置工程と、を備える。
【0078】
図12に示すように、第1実施形態と同様に、挿入工程では、取付具1-1を下側の発泡樹脂ブロック7-1に挿入する。
【0079】
そして、第1実施形態と同様に、取付工程では、取付板部21と盛土用パネル8-1とをボルト25とナット26とにより取り付ける。
【0080】
そして、
図13に示すように、挿入工程では、上側の発泡樹脂ブロック7-2の側面72に、取付具1-2を挿入する。挿入工程では、第1受羽根板部23と第2受羽根板部24とを発泡樹脂ブロック7-1の正面71に接触させながら、第1繋ぎ板部31と、第2繋ぎ板部41と、第1アンカー板部32と、第2アンカー板部42と、第1爪部33と、第2爪部43とを、発泡樹脂ブロック7-1の側面72に挿入する。これにより、発泡樹脂ブロック7-2は、第1繋ぎ板部31と第2繋ぎ板部41と、第1アンカー板部32と第2アンカー板部42と、第1爪部33と第2爪部43と、が挿入される。取付具1-2を発泡樹脂ブロック7-2に挿入したとき、第1繋ぎ板部31と、第2繋ぎ板部41と、第1アンカー板部32と、第2アンカー板部42と、第1爪部33と、第2爪部43とは、発泡樹脂ブロック7-2に埋設され、発泡樹脂ブロック7-2の側面72、上面73及び下面74から突出されない。これにより、上下方向と左右方向に発泡樹脂ブロック7を設置したとき、取付具1-2が他の発泡樹脂ブロック7に干渉するのを防止することができる。このため、盛土用の発泡樹脂ブロック7を設計した位置に配置することが可能となる。なお、挿入工程では、上側の発泡樹脂ブロック7-2の下面74に、取付具1-2を挿入してもよい。
【0081】
そして、
図14に示すように、挿入工程では、発泡樹脂ブロック7-1の上側に中間床版92を設け、中間床版92の上側に発泡樹脂ブロック7-2を設ける。
【0082】
そして、取付工程では、上側の発泡樹脂ブロック7-2の側面72に挿入された取付具1-2の取付板部21に盛土用パネル8-2をボルト25とナット26とにより取り付ける。盛土用パネル8-2の取り付けは、盛土用パネル8-1の取り付けと同様である。
【0083】
そして、
図15に示すように、ずれ止めプレート設置工程では、中間床版92と中間床版92の上側の発泡樹脂ブロック7-2とに跨るようにずれ止めプレート94を配置し、アンカー93を介してずれ止めプレート94を中間床版92に固定する。
【0084】
このように、挿入工程と、取付工程と、ずれ止めプレート設置工程と、を繰り返し行う。以上により、盛土構造100の施工方法の一例が完了する。なお、ずれ止めプレート設置工程は、挿入工程と、取付工程と、以前に行われてもよい。
【0085】
従来の盛土構造では、上下に離間した発泡樹脂ブロックの間に中間床版が設けられる場合がある。この場合、地震が発生したとき、発泡樹脂ブロックが浮き上がるようなロッキング現象が発生し、発泡樹脂ブロックがずれるおそれがあった。この点、本実施形態では、上下方向に離間する複数の発泡樹脂ブロック7と、盛土用パネル8と、盛土用パネル8を発泡樹脂ブロック7から離間して取り付ける取付具1と、上側の発泡樹脂ブロック7-2と下側の発泡樹脂ブロック7-1との間に設けられる中間床版92と、中間床版92と中間床版92の上側の発泡樹脂ブロック7-2とに跨って設けられるずれ止めプレート94と、を備える。これにより、地震による発泡樹脂ブロック7のずれを抑制できる。このため、盛土構造100を更に安定化できる。
【0086】
本実施形態では、中間床版92の上側の発泡樹脂ブロック7に設けられる取付具1は、ずれ止めプレート94の上方に配置され、発泡樹脂ブロック7の側面72から挿入される。これにより、取付具1とずれ止めプレート94との干渉を抑制できる。
【0087】
(第3実施形態:盛土構造100)
次に、第3実施形態における盛土構造100の一例について説明する。
【0088】
図16に示すように、第3実施形態における盛土構造100では、上下方向に離間する複数の発泡樹脂ブロック7と、上側の発泡樹脂ブロック7と下側の発泡樹脂ブロック7との間に設けられる中間床版92と、中間床版92と中間床版92に隣接する発泡樹脂ブロック7とに跨って設けられるずれ止めプレート94と、を更に備える。このずれ止めプレート94は、中間床版92の上側の発泡樹脂ブロック7と、下側の発泡樹脂ブロック7とに跨って設けられる。
【0089】
取付具1により発泡樹脂ブロック7と盛土用パネル8との間に空隙が形成させるように設けられることで、ずれ止めプレート94の主板から立ち上がるフランジ部を形成することができる。例えば
図17に示すように、ずれ止めプレート94は、断面コの字状に形成されてもよい。このように、ずれ止めプレート94の主板から立ち上がるフランジ部を形成されることにより、ずれ止めプレート94が平板の場合と比べて、ずれ止めプレート94の断面係数を向上できる。このため、ずれ止めプレート94が平板の場合と比べて、ずれ止めプレート94の左右方向の延長を短く形成できる。
【0090】
(第4実施形態:取付具1)
次に、第4実施形態における取付具1の一例について説明する。
【0091】
図18に示すように、第4実施形態における取付具1では、供回り抑止板部5の形状が、第1実施形態と相違する。
【0092】
供回り抑止板部5は、例えば1枚の鋼板がL字状に折り曲げられて形成される。供回り抑止板部5は、一対の側板部21bの間に設けられ、一対の側板部21bの少なくとも何れかに接触可能に設けられる。これにより、ボルト25を螺着したとき、一対の側板部21bの少なくとも何れかに接した供回り抑止板部5から反力が得られるため、供回り抑止板部5に設けたボルト25とナット26との供回りを抑制できる。
【0093】
供回り抑止板部5は、第1抑止板部51と、第2抑止板部53と、を有する。第1抑止板部51は、取付板部21の主板部21aに接して設けられ、締結具としてのボルト25が設けられる貫通孔52が形成される。第2抑止板部53は、第1抑止板部51の一端から折り曲げられて形成される。第2抑止板部53は、一対の側板部21bの少なくとも何れかに接して設けられる。
【0094】
本実施形態では、供回り抑止板部5は、一対の側板部21bの間に設けられ、一対の側板部21bの少なくとも何れかに接触可能に設けられる。これにより、ボルト25を螺着したとき、一対の側板部21bの少なくとも何れかに接した供回り抑止板部5から反力が得られる。このため、供回り抑止板部5に設けたボルト25とナット26との供回りを抑制できる。
【0095】
(第5実施形態:盛土構造100)
次に、第5実施形態における盛土構造100の一例について説明する。
【0096】
図19に示すように、第5実施形態における盛土構造100では、取付具1の第1繋ぎ板部31と、第2繋ぎ板部41とが、側板部21bに対して傾斜して形成される。
【0097】
第1繋ぎ板部31は、一方の側板部21bの第1受羽根板部23の立ち上がる箇所から折り曲げられて形成される。なお、第1繋ぎ板部31が折り曲げられる場合、第1受羽根板部23と第1アンカー板部32との間で折り曲げられてもよい。
【0098】
第2繋ぎ板部41は、他方の側板部21bの第2受羽根板部24の立ち上がる箇所から折り曲げられて形成される。なお、第2繋ぎ板部41が折り曲げられる場合、第2受羽根板部24と第2アンカー板部42との間で折り曲げられてもよい。
【0099】
本実施形態では、第1繋ぎ板部31は、第1受羽根板部23と第1アンカー板部32との間で折り曲げられ、第2繋ぎ板部41は、第2受羽根板部24と第2アンカー板部42との間で折り曲げられる。これにより、盛土用パネル8を取付具1に取り付けたとき、第1繋ぎ板部31と第2繋ぎ板部41が受圧面となって発泡樹脂ブロック7の正面71側に引き抜かれるのを更に抑制できる。このため、盛土用パネル8の脱落を抑制できる。
【0100】
(第6実施形態:盛土構造100)
次に、第6実施形態における盛土構造100の一例について説明する。
【0101】
図20に示すように、第6実施形態における盛土構造100では、目地材70の目地プレート79に折り返し部79aが形成される。目地プレート79は、鋼板が例えば蛇腹折りにより折り返された折り返し部79aが形成される。折り返し部79aは、取付板部21よりも前方側に突出されて配置され、下側の盛土用パネル8-1と上側の盛土用パネル8-2との間に配置される。
【0102】
本実施形態では、目地プレート79は、板材が折り返された折り返し部79aが形成される。これにより、発泡樹脂ブロック7等に変形が生じたとしても、目地プレート79が目地部75を覆うように維持され易い。このため、発泡樹脂ブロック7の紫外線等による劣化を更に抑制できる。
【0103】
本実施形態では、目地プレート79は、蛇腹折りされた折り返し部79aが形成され、折り返し部79aは、下側の盛土用パネル8-1と上側の盛土用パネル8-2との間に配置される。これにより、発泡樹脂ブロック7等の変形などにより、下側の盛土用パネル8-1と上側の盛土用パネル8-2との隙間が小さくなったとき、蛇腹折りされた目地プレート79が緩衝材となって、下側の盛土用パネル8-1と上側の盛土用パネル8-2との少なくとも何れかに接触できる。このため、下側の盛土用パネル8-1と上側の盛土用パネル8-2とが直接接するのを抑制でき、盛土用パネル8の破損を抑制できる。
【0104】
(第7実施形態:盛土構造100)
次に、第7実施形態における盛土構造100の一例について説明する。第7実施形態における盛土構造100では、第7実施形態における取付具1が用いられる。
【0105】
図21に示すように、第7実施形態における取付具1では、挿入部3は、第1爪部33とは反対方向に突出される第3爪部36と、第2爪部43とは反対方向に突出される第4爪部46と、を有する。
【0106】
第3爪部36は、第1繋ぎ板部31と第1アンカー板部32との折り曲げ箇所の端面が頂部36aとなるように突出される。これにより、発泡樹脂ブロック7への挿入を容易に行うことができる。第3爪部36は、第1繋ぎ板部31と第1アンカー板部32とに沿って、第3爪部36の突出方向から見てL字状に形成される。第3爪部36は、第1繋ぎ板部31に沿う第3繋ぎ爪部37と、第1アンカー板部32に沿う第3アンカー爪部38と、の少なくとも何れかを有すればよい。第3繋ぎ爪部37は、頂部36aから傾斜される傾斜部371と、傾斜部371に繋がり第3爪部36の突出方向に平行な平坦部372と、を有する。これにより、第3繋ぎ爪部37を発泡樹脂ブロック7に挿入し易くできる。第3アンカー爪部38は、頂部36aから傾斜される傾斜部381と、傾斜部381に繋がり第3爪部36の突出方向に平行な平坦部382と、を有する。これにより、第3アンカー爪部38を発泡樹脂ブロック7に挿入し易くできる。
【0107】
第4爪部46は、第2繋ぎ板部41と第2アンカー板部42との折り曲げ箇所の端面が頂部46aとなるように突出される。これにより、発泡樹脂ブロック7への挿入を容易に行うことができる。第4爪部46は、第3爪部36の突出方向に沿って突出される。第4爪部46は、第2繋ぎ板部41と第2アンカー板部42とに沿って、第4爪部46の突出方向から見てL字状に形成される。第4爪部46は、第2繋ぎ板部41に沿う第4繋ぎ爪部47と、第2アンカー板部42に沿う第4アンカー爪部48と、の少なくとも何れかを有すればよい。第4繋ぎ爪部47は、頂部46aから傾斜される傾斜部471と、傾斜部471に繋がり第4爪部46の突出方向に平行な平坦部472と、を有する。これにより、第4繋ぎ爪部47を発泡樹脂ブロック7に挿入し易くできる。第4アンカー爪部48は、頂部46aから傾斜される傾斜部481と、傾斜部481に繋がり第4爪部46の突出方向に平行な平坦部482と、を有する。これにより、第4アンカー爪部48を発泡樹脂ブロック7に挿入し易くできる。
【0108】
図22に示すように、取付具1-1を発泡樹脂ブロック7-1に挿入したとき、第1繋ぎ板部31と、第2繋ぎ板部41と、第1アンカー板部32と、第2アンカー板部42と、第1爪部33と、第2爪部43とは、発泡樹脂ブロック7-1に埋設される。また、第3爪部36と、第4爪部46とは、発泡樹脂ブロック7-1に隣接する他の発泡樹脂ブロック7-2に挿入されて埋設される。これにより、上下方向と左右方向に発泡樹脂ブロック7を設置したとき、取付具1-1が他の発泡樹脂ブロック7に干渉するのを防止することができる。このため、盛土用の発泡樹脂ブロック7を設計した位置に配置することが可能となる。
【0109】
本実施形態では、第1爪部33の突出方向と反対側に突出される第3爪部36と、第2爪部43の突出方向と反対側に突出される第4爪部46と、を有する。これにより、第1爪部33と第2爪部43とを発泡樹脂ブロック7-1に挿入したとき、第3爪部36と第4爪部46とを、発泡樹脂ブロック7-1に隣接する他の発泡樹脂ブロック7-2に挿入できる。このため、上下方向と左右方向に発泡樹脂ブロック7を設置したとき、取付具1-1が他の発泡樹脂ブロック7に干渉するのを防止することができる。このため、盛土用の発泡樹脂ブロック7を設計した位置に配置することが可能となる。
【0110】
本実施形態では、第3爪部36と第4爪部46とは、発泡樹脂ブロック7-1に隣接する発泡樹脂ブロック7-2に挿入される。これにより、発泡樹脂ブロック7への受圧面積が大きくなるため、発泡樹脂ブロック7の正面71側に引き抜かれるのを更に抑制できる。このため、盛土用パネル8の脱落を抑制できる。
【0111】
本実施形態では、第3爪部36は、第1アンカー板部32に沿う第3アンカー爪部38を有し、第4爪部46は、第2アンカー板部42に沿う第4アンカー爪部48を有する。これにより、盛土用パネル8を取付具1に取り付けたとき、第3アンカー爪部38と第4アンカー爪部48が受圧面となって発泡樹脂ブロック7の正面71側に引き抜かれるのを抑制できる。このため、盛土用パネル8の脱落を抑制できる。
【0112】
本実施形態では、第3爪部36は、第1繋ぎ板部31に沿う第3繋ぎ爪部37と、第1アンカー板部32に沿う第3アンカー爪部38と、を有し、第4爪部46は、第2繋ぎ板部41に沿う第4繋ぎ爪部47と、第2アンカー板部42に沿う第4アンカー爪部48と、を有する。これにより、第3爪部36と、第4爪部46と、がアングル状等の折り曲げられた形状となることから、爪としての強度を向上できる。このため、爪の破損を抑制し、更に容易に発泡樹脂ブロック7に挿入することができる。
【0113】
(第8実施形態:盛土構造100)
次に、第8実施形態における盛土構造100の一例について説明する。第8実施形態における盛土構造100では、上述した第7実施形態における取付具1が用いられ、第3爪部36と第4爪部46とは、発泡樹脂ブロック7-1に隣接する中間床版92に埋設される。
【0114】
図23に示すように、取付具1-1を発泡樹脂ブロック7-1に挿入したとき、第1繋ぎ板部31と、第2繋ぎ板部41と、第1アンカー板部32と、第2アンカー板部42と、第1爪部33と、第2爪部43とは、発泡樹脂ブロック7-1に埋設される。また、第3爪部36と、第4爪部46とは、発泡樹脂ブロック7-1に隣接する中間床版92に埋設される。これにより、上下方向と左右方向に発泡樹脂ブロック7を設置したとき、取付具1-1が他の発泡樹脂ブロック7に干渉するのを防止することができる。このため、盛土用の発泡樹脂ブロック7を設計した位置に配置することが可能となる。
【0115】
第3爪部36と第4爪部46とを中間床版92に埋設する場合、先ずは発泡樹脂ブロック7-1に、第1繋ぎ板部31と、第2繋ぎ板部41と、第1アンカー板部32と、第2アンカー板部42と、第1爪部33と、第2爪部43とを、発泡樹脂ブロック7-1に挿入する。このとき、発泡樹脂ブロック7の例えば上面73から第3爪部36と第4爪部46とが突出される。そして、発泡樹脂ブロック7-1にコンクリート等を打設して中間床版92を設置する。これにより、第3爪部36と第4爪部46とが中間床版92に埋設できる。
【0116】
本実施形態では、第3爪部36と第4爪部46とは、発泡樹脂ブロック7-1に隣接する中間床版92に埋設される。これにより、発泡樹脂ブロック7と中間床版92とを強固に連結でき、地震に伴う発泡樹脂ブロック7のロッキング現象等を抑制できる。このため、発泡樹脂ブロック7の地震によるずれを抑制できる。
【0117】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0118】
100 :盛土構造
1 :取付具
2 :取付部
21 :取付板部
22 :貫通孔
23 :第1受羽根板部
23a :孔
24 :第2受羽根板部
24a :孔
25 :ボルト
26 :ナット
28 :第1切欠部
29 :第2切欠部
3 :挿入部
31 :第1繋ぎ板部
32 :第1アンカー板部
33 :第1爪部
33a :頂部
34 :第1繋ぎ爪部
35 :第1アンカー爪部
36 :第3爪部
36a :頂部
37 :第3繋ぎ爪部
38 :第3アンカー爪部
41 :第2繋ぎ板部
42 :第2アンカー板部
43 :第2爪部
43a :頂部
44 :第2繋ぎ爪部
45 :第2アンカー爪部
46 :第4爪部
46a :頂部
47 :第4繋ぎ爪部
48 :第4アンカー爪部
5 :供回り抑止板部
51 :第1抑止板部
52 :貫通孔
53 :第2抑止板部
54 :第2抑止板部
7 :発泡樹脂ブロック
71 :正面
72 :側面
73 :上面
74 :下面
70 :目地材
79 :目地プレート
8 :盛土用パネル
91 :上部床版
92 :中間床版
93 :アンカー
94 :ずれ止めプレート