(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016220
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】抗体-薬物コンジュゲートを用いた免疫応答の調節
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20240130BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20240130BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240130BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240130BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240130BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20240130BHJP
A61K 31/475 20060101ALI20240130BHJP
A61K 31/4164 20060101ALI20240130BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20240130BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20240130BHJP
A61K 41/00 20200101ALI20240130BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240130BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240130BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240130BHJP
【FI】
A61K47/68 ZNA
A61K38/05
A61P35/00
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K31/704
A61K31/475
A61K31/4164
A61K31/675
A61K31/573
A61K41/00
A61K39/395 E
A61K39/395 T
C07K16/28
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023191995
(22)【出願日】2023-11-10
(62)【分割の表示】P 2020520650の分割
【原出願日】2018-10-11
(31)【優先権主張番号】62/572,345
(32)【優先日】2017-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/576,017
(32)【優先日】2017-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/657,511
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503188759
【氏名又は名称】シージェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハイザー,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ガーダイ,シャイラ
(72)【発明者】
【氏名】タフト,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】オグデン,キャロル アン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含む、癌を有する被験体でのCD30
+T調節(Treg)細胞の活性を低下させる方法を提供する。
【解決手段】CD30に結合する抗体-薬物コンジュゲートの投与を通じて、CD30
+T調節細胞の活性を低下させるためおよびCD30
+T調節細胞に対するCD8
+T細胞の比率を増加させるためなどの、被験体での免疫応答を調節するための方法および組成物を提供する。本発明はまた、免疫応答を調節するための、CD30に結合する該抗体-薬物コンジュゲートを含む製品またはキットも提供する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含む、癌を有する被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞の活性を低下させる方法であって、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュゲートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性部分を含む、上記方法。
【請求項2】
CD30+ Treg細胞の活性を低下させることが、CD30+ Treg細胞の数の減少を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
CD30+ Treg細胞の数が、1種以上の他のタイプのCD4+ T細胞の数と比較して減少する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1種以上の他のタイプのCD4+ T細胞が、Th1細胞、Th2細胞またはTh17細胞を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記1種以上の他のタイプのCD4+ T細胞が、Th1 CD30+細胞、Th2 CD30+細胞またはTh17 CD30+細胞を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
CD30+ Treg細胞の数が、前記抗体-薬物コンジュゲートの投与前の前記被験体でのCD30+ Treg細胞の数と比較して減少する、請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
CD30+ Treg細胞の活性を低下させることが、CD30+ Treg細胞の機能の低下を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
CD30+ Treg細胞の機能の低下が、前記抗体-薬物コンジュゲートの投与前の被験体でのCD30+ Treg細胞の機能と比較したものである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含む、癌を有する被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞に対するCD8+ T細胞の比率を増加させる方法であって、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュゲートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性部分を含む、上記方法。
【請求項10】
抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含む、癌を有する被験体での免疫応答を調節する方法であって、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュゲートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性部分を含み、調節が、被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞に対するCD8+ T細胞の比率を増加させることを含む、上記方法。
【請求項11】
CD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率が、前記抗体-薬物コンジュゲートの投与前の前記被験体でのCD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率と比較して増加する、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
CD30+ Treg細胞が、CD30+誘導性T調節(iTreg)細胞またはCD30+末梢T調節(pTreg)細胞である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
モノメチルアウリスタチンが、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
モノメチルアウリスタチンが、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)である、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
抗CD30抗体が、抗CD30抗体AC10である、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
抗CD30抗体が、cAC10である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記抗体-薬物コンジュゲートの抗CD30抗体が重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、
重鎖可変領域は、
(i) 配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) 配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii) 配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含み;かつ軽鎖可変領域は、
(i) 配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) 配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii) 配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記抗体-薬物コンジュゲートの抗CD30抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記抗体-薬物コンジュゲートの抗CD30抗体が、配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記抗体-薬物コンジュゲートが、抗CD30抗体またはその抗原結合性部分とモノメチルアウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記リンカーが切断可能ペプチドリンカーである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記切断可能ペプチドリンカーが、式-MC-vc-PAB-を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記抗体-薬物コンジュゲートが、ブレンツキシマブ・ベドチンである、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記被験体が、癌について以前に治療されている、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記被験体が、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記被験体が、癌について以前に治療されていない、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
癌がリンパ腫である、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
リンパ腫がT細胞リンパ腫である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
リンパ腫がB細胞リンパ腫である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
リンパ腫が非ホジキンリンパ腫である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
非ホジキンリンパ腫が成熟T細胞リンパ腫である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
非ホジキンリンパ腫が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、または皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
非ホジキンリンパ腫が、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
非ホジキンリンパ腫が、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
リンパ腫がホジキンリンパ腫である、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記被験体が、ホジキンリンパ腫について以前に治療され、かつ該被験体が、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記被験体が、自家幹細胞移植後に再発した、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記被験体が、第1選択の治療後に再発し、かつ該被験体が、自家幹細胞移植に対して不適格である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記被験体が、ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
ホジキンリンパ腫が古典的ホジキンリンパ腫(cHL)である、請求項35~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
古典的ホジキンリンパ腫(cHL)が進行cHLである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記被験体が、cHLについて以前に治療されている、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記被験体が、cHLについて以前に治療されていない、請求項40または41に記載の方法。
【請求項44】
前記方法が、免疫応答を調節することが可能な1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む、請求項1~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記1種以上の追加の治療剤が、抗体またはその抗原結合性断片ではない、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記1種以上の追加の治療剤が、抗体またはその抗原結合性断片である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記方法が、1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む、請求項1~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記1種以上の追加の治療剤が、ドキソルビシン、ビンブラスチン、およびダカルバジン(AVD)から本質的になる化学療法レジメンである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記1種以上の追加の治療剤が、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)から本質的になる化学療法レジメンである、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記1種以上の追加の治療剤が、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、葉酸拮抗剤、代謝拮抗剤、抗チューブリン剤、アウリスタチン、化学療法増感剤、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、および/またはビンカアルカロイドである、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記1種以上の追加の治療剤が、アドリアマイシン、アンドロゲン、アントラマイシン(AMC)、アスパラギナーゼ、5-アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(BSNU)、CC-1065、クロラムブシル、シスプラチン、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン、シチジンアラビノシド、サイトカラシンB、ダカルバジン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ダウノルビシン、デカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エストロゲン、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、グラミシジンD、ヒドロキシダウノルビシン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ニトロイミダゾール、パクリタキセル、プリカマイシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プロカルビジン(procarbizine)、ストレプトゾトシン、テノポシド(tenoposide)、6-チオグアニン、チオTEPA、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、VP-16およびVM-26からなる群より選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記被験体が、以前に治療されていないcHLを有し、かつ前記1種以上の追加の治療剤が、アドリアマイシン、ダカルバジン(dacarabazine)およびビンブラスチンである、請求項47に記載の方法。
【請求項53】
cHLが、進行cHLである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記被験体が、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ前記1種以上の追加の治療剤が、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾンである、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
前記被験体が、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ前記1種以上の追加の治療剤が、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾロンである、請求項47に記載の方法。
【請求項56】
前記1種以上の追加の治療剤が、抗体またはその抗原結合性断片である、請求項47に記載の方法。
【請求項57】
照射(irradiation)を用いて前記被験体を治療するステップをさらに含む、請求項1~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記未分化大細胞リンパ腫(ALCL)が、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)である、請求項34に記載の方法。
【請求項59】
前記皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)が、菌状息肉腫(MF)である、請求項33に記載の方法。
【請求項60】
前記菌状息肉腫(MF)が、CD30陽性菌状息肉腫(MF)である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)が、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(pcALCL)である、請求項33に記載の方法。
【請求項62】
前記被験体が、先行する全身性治療を受けている、請求項61に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2017年10月13日出願の米国特許仮出願第62/572,345号、2017年10月23日出願の米国特許仮出願第62/576,017号、および2018年4月13日出願の米国特許仮出願第62/657,511号(それらのそれぞれの内容が、その全体で参照により本明細書中に組み入れられる)に対する優先権を主張する。
【0002】
ASCIIテキストファイル上の配列表の提出
ASCIIテキストファイル上の以下の提出物の内容は、その全体で参照により本明細書中に組み入れられる:コンピュータ読み取り可能形式(CRF)の配列表(ファイル名:761682000140SEQLIST.TXT、記録日:2018年10月8日、サイズ:6KB)。
【0003】
発明の分野
本発明は、抗CD30抗体-薬物コンジュゲートおよび被験体での癌の治療のために免疫応答を調節するためのその使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
CD30は、120キロダルトンの膜糖タンパク質であり(Froese et al., 1987, J. Immunol. 139: 2081-87)、かつホジキンリンパ腫、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)のサブセットでの悪性細胞のマーカーであることが示されているTNF受容体スーパーファミリーのメンバーである(Durkop et al., 1992, Cell 88:421-427)。CD30は、すべてのホジキンリンパ腫およびALCLの大多数の細胞表面に強く発現されることが見出されている(Josimovic-Alasevic et al., 1989, Eur. J. Immunol. 19:157-162)。
【0005】
CD30は元々、モノクローナル抗体Ki-1により特定された(Schwab et al., 1982, Nature 299:65-67)。このモノクローナル抗体は、ホジキンリンパ腫の悪性細胞であるホジキン・リード-ステルンベルグ(H-RS)細胞に対して開発された。Ki-1により認識されるものとは異なるホルマリン抵抗性エピトープに結合することが可能である第2のモノクローナル抗体が、続いて記載された(Schwarting et al., 1989 Blood 74:1678-1689)。4種類の追加の抗体の特定により、1986年の第3回白血球タイピングワークショップでのCD30クラスターの作製が行なわれた(McMichael, A., ed., 1987, Leukocyte Typing III (Oxford: Oxford University Press))。CD30抗原に特異的なモノクローナル抗体は、前臨床モデルおよび臨床研究の両方で、CD30を発現する癌性細胞に対する細胞静止薬、植物毒素および放射性同位体の送達のためのビヒクルとして模索されてきた(Engert et al., 1990, Cancer Research 50:84-88;Barth et al., 2000, Blood 95:3909-3914)。ホジキンリンパ腫を有する患者では、CD30抗原の標的化は、抗CD30抗体である低用量のBerH2を用いて達成することができた(Falini et al., 1992, British Journal of Haematology 82:38-45)。しかし、悪性腫瘍細胞のin vivo標的化での成功にもかかわらず、患者はひとりとして腫瘍退縮に至らなかった。その後の臨床試験では、毒素サポニンが、BerH2抗体に化学的にコンジュケートされ、4名の患者全員が腫瘍塊の迅速かつ相当な減少を示した(Falini et al., 1992, Lancet 339:1195-1196)。しかしながら、毒素dgAがKi-1抗体にコンジュケートされた抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を用いたin vitro研究は、第1相臨床試験で抵抗性HLを有する患者に投与された際には、中等度の有効性しか示さなかった(Schnell et al., 2002, Clinical Cancer Research, 8(6):1779-1786)。
【0006】
T調節細胞(Treg)は、T細胞免疫応答の必須の調節因子であり、慢性炎症を制限し、かつ正常組織を自己免疫から保護する。T調節細胞はまた、腫瘍微小環境中で免疫抑制状態を維持し、細胞傷害性抗腫瘍免疫サーベイランスを抑止することにも関与している。臨床腫瘍サンプルの分析により、多数の癌の種類において腫瘍内Tregの密度増加が思わしくない臨床転帰と関連することが示されている(Fridman, 2012, Nature Reviews Cancer;Charoentong, 2017, Cell Reports 18: 248-262)。乳癌組織、肺癌組織、および結腸直腸癌組織から単離された腫瘍内Tregの近年のトランスクリプトーム分析では、転写産物の中でもTNFSFR8(CD30)が、隣接する正常組織から単離されたTregおよび血中を循環するTregと比較して、異なって上方調節されていることが示された(Plitas, 2016, Immunity, 45: 1122-1134;De Simone, 2016, Immunity, 45: 1135-1147)。TregでのCD30転写産物発現上昇の機能的有意性は不明のままである。正常組織での免疫恒常性の促進でのTregの保護的役割を考慮すれば、非疾患組織でのTregは見逃しつつ、腫瘍内Tregを優先的に標的化する癌治療剤の開発には、大きな関心が持たれる。したがって、T調節細胞の活性などの、癌の病原性に関与する免疫細胞の活性を選択的に制御することができる療法が必要とされていると考えられる。
【0007】
特許出願、特許公開公報、および科学文献をはじめとする本明細書中で引用されるすべての参考文献が、それぞれ個々の参考文献が参照により組み入れられることが具体的かつ個別に示されているかのように、それらの全体で参照により本明細書中に組み入れられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Froese et al., 1987, J. Immunol. 139: 2081-87
【非特許文献2】Durkop et al., 1992, Cell 88:421-427
【非特許文献3】Josimovic-Alasevic et al., 1989, Eur. J. Immunol. 19:157-162
【非特許文献4】Schwab et al., 1982, Nature 299:65-67
【非特許文献5】Schwarting et al., 1989 Blood 74:1678-1689
【非特許文献6】McMichael, A., ed., 1987, Leukocyte Typing III (Oxford: Oxford University Press)
【非特許文献7】Engert et al., 1990, Cancer Research 50:84-88
【非特許文献8】Barth et al., 2000, Blood 95:3909-3914
【非特許文献9】Falini et al., 1992, British Journal of Haematology 82:38-45
【非特許文献10】Falini et al., 1992, Lancet 339:1195-1196
【非特許文献11】Schnell et al., 2002, Clinical Cancer Research, 8(6):1779-1786
【非特許文献12】Fridman, 2012, Nature Reviews Cancer
【非特許文献13】Charoentong, 2017, Cell Reports 18: 248-262
【非特許文献14】Plitas, 2016, Immunity, 45: 1122-1134
【非特許文献15】De Simone, 2016, Immunity, 45: 1135-1147
【発明の概要】
【0009】
一態様では、本発明は、抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含む、癌を有する被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞の活性を低下させる方法を提供し、このとき、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュケートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性部分を含む。
【0010】
一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞の活性を低下させることは、CD30+ Treg細胞の数の減少を含む。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞の数は、1種以上の他のタイプのCD4+ T細胞の数と比較して、減少する。一部の実施形態では、1種以上の他のタイプのCD4+ T細胞は、Th1細胞、Th2細胞またはTh17細胞を含む。一部の実施形態では、1種以上の他のタイプのCD4+ T細胞は、Th1 CD30+細胞、Th2 CD30+細胞またはTh17 CD30+細胞を含む。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞の数は、抗体-薬物コンジュゲートの投与前の被験体でのCD30+ Treg細胞の数と比較して、減少する。
【0011】
一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞の活性を低下させることは、CD30+ Treg細胞の機能の低下を含む。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞の機能の低下は、抗体-薬物コンジュゲートの投与前の被験体でのCD30+ Treg細胞の機能と比較したものである。
【0012】
一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞は、CD30+誘導性T調節(iTreg)細胞またはCD30+末梢T調節(pTreg)細胞である。
【0013】
一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)である。
【0014】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、モノクローナル抗CD30抗体AC10である。一部の実施形態では、抗CD30抗体は、cAC10である。一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、ブレンツキシマブ・ベドチン(brentuximab vedotin)である。
【0015】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、このとき、重鎖可変領域は、
(i) 配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) 配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii) 配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含み;かつ軽鎖可変領域は、
(i) 配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) 配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii) 配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む。
【0016】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0017】
一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、抗CD30抗体またはその抗原結合性部分とモノメチルアウリスタチンとの間にリンカーを含む。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能リンカーおよび非切断可能リンカーからなる群より選択される。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能ペプチドリンカーである。一部の実施形態では、リンカーは、プロテアーゼ切断可能リンカーである。一部の実施形態では、プロテアーゼ切断可能リンカーは、チオール反応性スペーサーおよびジペプチドを含む。一部の実施形態では、プロテアーゼ切断可能リンカーは、チオール反応性マレイミドカプロイルスペーサー、バリン-シトルリンジペプチド、およびp-アミノ-ベンジルオキシカルボニルスペーサーを含む。一部の実施形態では、切断可能ペプチドリンカーは、式:-MC-vc-PAB-を有する。一部の実施形態では、リンカーは、式:-MC-を有する非切断可能リンカーである。
【0018】
一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されている。一部の実施形態では、被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されていない。
【0019】
一部の実施形態では、癌は、リンパ腫である。一部の実施形態では、リンパ腫は、T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、リンパ腫は、B細胞リンパ腫である。
【0020】
一部の実施形態では、リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫について以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、成熟T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、または皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。一部の実施形態では、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、菌状息肉腫(MF)である。一部の実施形態では、菌状息肉腫は、CD30陽性菌状息肉腫(MF)である。一部の実施形態では、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(pcALCL)である。一部の実施形態では、被験体は、先行する全身性治療を受けている。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)である。一部の実施形態では、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)は、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)である。
【0021】
一部の実施形態では、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、ホジキンリンパ腫について以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、自家幹細胞移植後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、第1選択の治療後に再発し、かつ被験体は、自家幹細胞移植に対して不適格である。一部の実施形態では、被験体は、ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、ホジキンリンパ腫は、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)である。一部の実施形態では、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)は、進行cHLである。一部の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されている。一部の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されていない。
【0022】
一部の実施形態では、方法は、免疫応答を調節することが可能な1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片でない。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0023】
一部の実施形態では、方法は、1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、ドキソルビシン、ビンブラスチン、およびダカルバジン(AVD)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、葉酸拮抗剤、代謝拮抗剤、抗チューブリン剤、アウリスタチン、化学療法増感剤、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、および/またはビンカアルカロイドである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、アンドロゲン、アントラマイシン(AMC)、アスパラギナーゼ、5-アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(BSNU)、CC-1065、クロラムブシル、シスプラチン、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン、シチジンアラビノシド、サイトカラシンB、ダカルバジン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ダウノルビシン、デカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エストロゲン、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、グラミシジンD、ヒドロキシダウノルビシン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ニトロイミダゾール、パクリタキセル、プリカマイシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プロカルビジン(procarbizine)、ストレプトゾトシン、テノポシド(tenoposide)、6-チオグアニン、チオTEPA、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、VP-16およびVM-26からなる群より選択される。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0024】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていないcHLを有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、ダカルバジン(dacarabazine)およびビンブラスチン(AVD)である。一部の実施形態では、cHLは、進行cHLである。
【0025】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾン(CHP)である。一部の実施形態では、被験体は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)を有し、かつ以前に治療されている。
【0026】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾロンである。
【0027】
一部の実施形態では、方法は照射(irradiation)を用いて被験体を治療するステップをさらに含む。
【0028】
別の態様では、本発明は、抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含む、癌を有する被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞に対するCD8+ T細胞の比率を増加させる方法を提供し、このとき、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュケートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性部分を含む。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率は、抗体-薬物コンジュゲートの投与前の被験体でのCD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率と比較して増加する。
【0029】
一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞は、CD30+誘導性T調節(iTreg)細胞またはCD30+末梢T調節(pTreg)細胞である。
【0030】
一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)である。
【0031】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、モノクローナル抗CD30抗体AC10である。一部の実施形態では、抗CD30抗体は、cAC10である。一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、ブレンツキシマブ・ベドチン(brentuximab vedotin)である。
【0032】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、このとき、重鎖可変領域は、
(i) 配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) 配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii) 配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含み;かつ軽鎖可変領域は、
(i) 配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) 配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii) 配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む。
【0033】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0034】
一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、抗CD30抗体またはその抗原結合性部分とモノメチルアウリスタチンとの間にリンカーを含む。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能リンカーおよび非切断可能リンカーからなる群より選択される。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能ペプチドリンカーである。一部の実施形態では、リンカーは、プロテアーゼ切断可能リンカーである。一部の実施形態では、プロテアーゼ切断可能リンカーは、チオール反応性スペーサーおよびジペプチドを含む。一部の実施形態では、プロテアーゼ切断可能リンカーは、チオール反応性マレイミドカプロイルスペーサー、バリン-シトルリンジペプチド、およびp-アミノ-ベンジルオキシカルボニルスペーサーを含む。一部の実施形態では、切断可能ペプチドリンカーは、式:-MC-vc-PAB-を有する。一部の実施形態では、リンカーは、式:-MC-を有する非切断可能リンカーである。
【0035】
一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されている。一部の実施形態では、被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されていない。
【0036】
一部の実施形態では、癌は、リンパ腫である。一部の実施形態では、リンパ腫は、T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、リンパ腫は、B細胞リンパ腫である。
【0037】
一部の実施形態では、リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫について以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、成熟T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、または皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。一部の実施形態では、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、菌状息肉腫(MF)である。一部の実施形態では、菌状息肉腫は、CD30陽性菌状息肉腫(MF)である。一部の実施形態では、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(pcALCL)である。一部の実施形態では、被験体は、先行する全身性治療を受けている。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)である。一部の実施形態では、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)は、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)である。
【0038】
一部の実施形態では、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、ホジキンリンパ腫について以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、自家幹細胞移植後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、第1選択の治療後に再発し、かつ被験体は、自家幹細胞移植に対して不適格である。一部の実施形態では、被験体は、ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、ホジキンリンパ腫は、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)である。一部の実施形態では、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)は、進行cHLである。一部の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されている。一部の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されていない。
【0039】
一部の実施形態では、方法は、免疫応答を調節することが可能な1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片でない。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0040】
一部の実施形態では、方法は、1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、ドキソルビシン、ビンブラスチン、およびダカルバジン(AVD)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、葉酸拮抗剤、代謝拮抗剤、抗チューブリン剤、アウリスタチン、化学療法増感剤、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、および/またはビンカアルカロイドである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、アンドロゲン、アントラマイシン(AMC)、アスパラギナーゼ、5-アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(BSNU)、CC-1065、クロラムブシル、シスプラチン、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン、シチジンアラビノシド、サイトカラシンB、ダカルバジン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ダウノルビシン、デカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エストロゲン、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、グラミシジンD、ヒドロキシダウノルビシン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ニトロイミダゾール、パクリタキセル、プリカマイシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プロカルビジン(procarbizine)、ストレプトゾトシン、テノポシド(tenoposide)、6-チオグアニン、チオTEPA、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、VP-16およびVM-26からなる群より選択される。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0041】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていないcHLを有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、ダカルバジン(dacarabazine)およびビンブラスチンである。一部の実施形態では、cHLは、進行cHLである。
【0042】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾンである。
【0043】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾロンである。
【0044】
一部の実施形態では、方法は照射を用いて被験体を治療するステップをさらに含む。
【0045】
別の態様では、本発明は、抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含む、癌を有する被験体での免疫応答を調節する方法を提供し、このとき、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュケートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性部分を含み、このとき、調節は、被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞に対するCD8+ T細胞の比率を増加させることを含む。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率は、抗体-薬物コンジュゲートの投与前の被験体でのCD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率と比較して増加する。
【0046】
一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞は、CD30+誘導性T調節(iTreg)細胞またはCD30+末梢T調節(pTreg)細胞である。
【0047】
一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)である。
【0048】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、モノクローナル抗CD30抗体AC10である。一部の実施形態では、抗CD30抗体は、cAC10である。一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、ブレンツキシマブ・ベドチン(brentuximab vedotin)である。
【0049】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、このとき、重鎖可変領域は、
(i) 配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) 配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii) 配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含み;かつ軽鎖可変領域は、
(i) 配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) 配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii) 配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む。
【0050】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0051】
一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、抗CD30抗体またはその抗原結合性部分とモノメチルアウリスタチンとの間にリンカーを含む。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能リンカーおよび非切断可能リンカーからなる群より選択される。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能ペプチドリンカーである。一部の実施形態では、リンカーは、プロテアーゼ切断可能リンカーである。一部の実施形態では、プロテアーゼ切断可能リンカーは、チオール反応性スペーサーおよびジペプチドを含む。一部の実施形態では、プロテアーゼ切断可能リンカーは、チオール反応性マレイミドカプロイルスペーサー、バリン-シトルリンジペプチド、およびp-アミノ-ベンジルオキシカルボニルスペーサーを含む。一部の実施形態では、切断可能ペプチドリンカーは、式:-MC-vc-PAB-を有する。一部の実施形態では、リンカーは、式:-MC-を有する非切断可能リンカーである。
【0052】
一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されている。一部の実施形態では、被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されていない。
【0053】
一部の実施形態では、癌は、リンパ腫である。一部の実施形態では、リンパ腫は、T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、リンパ腫は、B細胞リンパ腫である。
【0054】
一部の実施形態では、リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫について以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、成熟T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、または皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。一部の実施形態では、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、菌状息肉腫(MF)である。一部の実施形態では、菌状息肉腫は、CD30陽性菌状息肉腫(MF)である。一部の実施形態では、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(pcALCL)である。一部の実施形態では、被験体は、先行する全身性治療を受けている。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)である。一部の実施形態では、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)は、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)である。
【0055】
一部の実施形態では、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、ホジキンリンパ腫について以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、自家幹細胞移植後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、第1選択の治療後に再発し、かつ被験体は、自家幹細胞移植に対して不適格である。一部の実施形態では、被験体は、ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、ホジキンリンパ腫は、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)である。一部の実施形態では、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)は、進行cHLである。一部の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されている。一部の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されていない。
【0056】
一部の実施形態では、方法は、免疫応答を調節することが可能な1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片でない。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0057】
一部の実施形態では、方法は、1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、ドキソルビシン、ビンブラスチン、およびダカルバジン(AVD)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、葉酸拮抗剤、代謝拮抗剤、抗チューブリン剤、アウリスタチン、化学療法増感剤、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、および/またはビンカアルカロイドである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、アンドロゲン、アントラマイシン(AMC)、アスパラギナーゼ、5-アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(BSNU)、CC-1065、クロラムブシル、シスプラチン、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン、シチジンアラビノシド、サイトカラシンB、ダカルバジン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ダウノルビシン、デカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エストロゲン、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、グラミシジンD、ヒドロキシダウノルビシン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ニトロイミダゾール、パクリタキセル、プリカマイシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プロカルビジン(procarbizine)、ストレプトゾトシン、テノポシド(tenoposide)、6-チオグアニン、チオTEPA、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、VP-16およびVM-26からなる群より選択される。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0058】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていないcHLを有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、ダカルバジン(dacarabazine)およびビンブラスチンである。一部の実施形態では、cHLは、進行cHLである。
【0059】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾンである。
【0060】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾロンである。
【0061】
一部の実施形態では、方法は、照射を用いて被験体を治療するステップをさらに含む。
【0062】
本明細書中に記載される種々の実施形態の特性のうちの1種類、数種類、または全部を組み合わせて、本発明の他の実施形態を形成することができることが、理解されるべきである。本発明のこれらおよび他の態様は、当業者には明らかになるであろう。本発明のこれらおよび他の態様が、以下の詳細な説明によりさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1A】
図1A及び
図1Bは、ブレンツキシマブ・ベドチン(BV)がin vitroでT調節細胞を害することを示す一連のグラフである。(A) BVは、5名の別個のドナー由来の合計生存iTreg数の用量依存的減少をもたらした。(B) BVは、CD30
+ iTregの枯渇の促進を示した。細胞数は、未処理対照に対する割合(%)として示される。ADCは、抗体-薬物コンジュゲートを示す。IgG MMAEは、対照ADCを示す。
【
図2】
図2A~Dは、BVを用いた処理が、誘導性T調節細胞の数を減少させ、一方で、in vitroでのCD8
+ T細胞増殖の抑制を緩和したことを示す一連のグラフである。(A)ドナー1または(B)ドナー2から単離された細胞のCD8
+ T細胞に対するiTreg細胞の比率(iTreg:CD8比)の増加は、T細胞増殖を抑止した。(C)ドナー1および(D)ドナー2の両方について、BV処理の濃度増加により、iTregが選択的に減少し、かつCD8
+ T細胞蓄積が増大した。細胞数は、未処理対照に対する割合(%)として示される。ADCは、抗体-薬物コンジュゲートを示す。IgG MMAEは、対照ADCを示す。
【
図3】
図3A及び
図3Bは、BVは、in vitroで、天然のCD30
+血中Tregを枯渇させたが、CD30
+ CD8
+ T細胞は枯渇させなかったことを示す一連のグラフである。(A) BVは、4名の別個のドナー由来の生存CD30
+ Treg数の用量依存的減少をもたらした。(B) BVは、CD30
+ CD8
+ T細胞を枯渇させなかった。ADCは、抗体-薬物コンジュゲートを示す。IgG MMAEは、対照ADCを示す。
【
図4】
図4A~
図4Cは、BVが、xeno-GVHDマウスモデルで、T調節細胞を減少させ、かつTregに対するCD8
+ T細胞の比率を増加させたことを示す一連のグラフである。(A) BVは、PBS単独(未処置)と比較して、脾臓中のヒトT調節細胞を有意に減少させた。(B) 脾臓CD8
+ T細胞は、BV処置により影響されず、数の増加傾向を有した。(C) BV処置は、in vivoでのCD8
+ T細胞/Treg比を増加させた。
【
図5】
図5は、古典的ホジキンリンパ腫を有する患者でのBVを用いた単回治療が、Tヘルパー細胞サブセット集団の減少をもたらしたことを示すグラフである。
【
図6】
図6は、ヒト血液から単離されたT細胞サブタイプでのCD30の発現を示すグラフである。
【
図7】
図7は、古典的ホジキンリンパ腫を有する患者でのBVを用いた単回治療が、CD30を発現しなかった(CD30
-)T調節細胞の数と比較して、CD30を発現した(CD30
+)T調節細胞の数を減少させたことを示すグラフである。BSLNは、ベースライン測定値を示す。
【
図8】
図8A及び
図8Bは、CD30発現が、PBMC中のCD25
hi CCR4
hi FoxP3
hiエフェクターTregで富化されていることを示す一連のグラフである。(A) CD30は、CD4
+およびCD8
+メモリー細胞サブセットならびにナイーブT細胞サブセットと比較して、T調節細胞によって最も高頻度に発現される。(B) CD30の発現は、エフェクターT調節サブセット(FoxP3
hi CD25
hi CCR4
hi)と高度に関連する。
【
図9】
図9A~Dは、活性化T調節細胞が、薬物排出能力の欠損と共に、高いCD30受容体発現およびペイロード送達を示すことを示す一連のグラフである。(A)活性化後に、CD4
+およびCD8
+ T細胞と比較して、より高い割合の富化されたT調節細胞が、CD30を発現する。(B)富化されたT調節細胞は、活性化後に、CD4
+およびCD8
+ T細胞と比較して、平均蛍光強度(MFI)により、CD30の発現の程度が増加している。(C) T調節細胞は、内在化アッセイでは、CD4
+およびCD8
+ T細胞と比較して、条件付き蛍光抗CD30 mAbからの蛍光ペイロードの放出の加速および増加を示す。(D) ローダミン123排出アッセイにおいて、T調節細胞は、T細胞サブセットのうちでは最も緩慢なローダミン123排出を示すが、CD8
+ T細胞細胞は、細胞内ローダミン123の迅速なクリアランスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
I. 定義
本開示をさらに容易に理解できるように、一部の用語を最初に定義する。本明細書中で用いる場合、本明細書中で別途明示的に規定されない限り、以下の用語の各々は、下記で説明される意味を有するであろう。追加の定義は、本出願全体を通して説明される。
【0065】
用語「および/または」とは、本明細書中で用いる場合、2種類の明記された特徴もしくは構成要素のうちのそれぞれの、他方を伴うかまたは伴わない、具体的開示として解釈されるべきである。つまり、用語「および/または」とは、本明細書中で「Aおよび/またはB」などの語句の中で用いられる場合、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、用語「および/または」とは、「A、Bおよび/またはC」などの語句の中で用いられる場合、以下の態様のうちのそれぞれを包含することが意図される:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
【0066】
用語「約」(about)とは、本明細書中で用いる場合、本技術分野で当業者には容易に知られる個々の値に対する通常の誤差範囲を意味する。本明細書中での「約」値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータそれ自体を対象とする実施形態を含む(かつ記載する)。
【0067】
本明細書中に記載される本発明の態様および実施形態は、態様および実施形態を「含む」、それら「からなる」、およびそれら「から本質的になる」ことを含む。
【0068】
別途定義されない限り、本明細書中で用いられるすべての技術的用語および科学的用語は、本開示が関連する技術分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 2nd ed., 2002, CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology, 3rd ed., 1999, Academic Press;およびthe Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology, Revised, 2000, Oxford University Pressは、本開示中で用いられる用語のうちの多数の一般的事典を当業者に提供する。
【0069】
単位、接頭語、および記号は、それらのSysteme International de Unites(SI)承認形式で示される。数値範囲は、範囲を規定する数字を含む。本明細書中で提供される見出しは、本開示の種々の態様を限定するものではなく、それらは本明細書を全体として参照することにより与えられ得る。したがって、直後に定義される用語は、本明細書を全体として参照することにより、さらに完全に定義される。
【0070】
「投与するステップ」とは、当業者に公知の種々の方法および送達システムのうちのいずれかを用いた、被験体に対する治療剤の物理的導入を意味する。投与の例示的経路としては、静脈内、筋内、皮下、腹腔内、脊髄または他の非経口投与経路、例えば、注入または点滴によるものが挙げられる。語句「非経口投与」とは、本明細書中で用いる場合、腸内および局所投与以外の、通常は注入による投与様式を意味し、限定するものではないが、静脈内、筋内、動脈内、くも膜下腔、リンパ管内、病巣内、嚢内、眼窩内、心腔内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、髄腔内、硬膜外および胸骨内注入および点滴、ならびにin vivo電気穿孔が挙げられる。治療剤は、非経口的でない経路を介して、または経口的に投与することができる。他の非経口的でない経路としては、局所、表皮または粘膜投与経路、例えば、鼻内、経膣、直腸、舌下または局所投与経路が挙げられる。投与するステップはまた、例えば、1回、複数回、および/または1回以上の長期間にわたって行なうことができる。
【0071】
「有害事象」(AE)とは、本明細書中で用いる場合、医学的処置の使用に関連する、いずれかの好ましくなくかつ一般的に意図されないかまたは望ましくない徴候(異常な検査所見を含む)、症状、または疾患である。医学的処置は、1種以上の随伴するAEを有する場合があり、それぞれのAEが、同じかまたは異なる重症度レベルを有し得る。「有害事象を変化させる」ことが可能な方法への言及は、異なる治療レジメンの使用に関連する1種以上のAEの発生率および/または重症度を低減させる治療レジメンを意味する。
【0072】
「抗体」(Ab)としては、限定するものではないが、抗原に特異的に結合し、かつジスルフィド結合により互いに連結された少なくとも2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖を含む糖タンパク質免疫グロブリン、またはその抗原結合性部分が挙げられるであろう。各H鎖は、重鎖可変領域(本明細書中ではVHと略される)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、少なくとも3個の定常ドメイン、CH1、CH2およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書中ではVLと略される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1個の定常ドメイン、CLを含む。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存された領域が混在する、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性を有する領域にさらに細分することができる。各VHおよびVLは、以下の順序でアミノ末端からカルボキシ末端へと配置される3個のCDRおよび4個のFRを含む:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合性ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(C1q)をはじめとする宿主組織または因子に対する免疫グロブリンの結合を媒介することができる。
【0073】
免疫グロブリンは、限定するものではないが、IgA、分泌型IgA、IgG、およびIgMをはじめとする一般的に公知のアイソタイプのうちのいずれかに由来し得る。IgGサブクラスもまた、当業者には周知であり、限定するものではないが、ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4が挙げられる。「アイソタイプ」とは、重鎖定常領域遺伝子によりコードされる、抗体クラスまたはサブクラス(例えば、IgMまたはIgG1)を意味する。用語「抗体」としては、例えば、天然の抗体および非天然の抗体の両方;モノクローナルおよびポリクローナル抗体;キメラ抗体およびヒト化抗体;ヒトまたは非ヒト抗体;完全合成抗体;ならびに単鎖抗体が挙げられる。非ヒト抗体は、ヒトにおけるその免疫原性を低減するために、組み換え法によりヒト化することができる。明示的に記載されない場合、および文脈がそうでないことを示さない限り、用語「抗体」はまた、上述の免疫グロブリンのうちのいずれかの抗原結合性断片または抗原結合性部分を含み、一価および二価断片または部分、ならびに単鎖抗体を含む。
【0074】
「単離抗体」とは、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を意味する(例えば、CD30に特異的に結合する単離抗体は、CD30以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。CD30に特異的に結合する単離抗体は、しかしながら、異なる生物種由来のCD30分子などの他の抗原に対する交差反応性を有し得る。さらに、単離抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まなくてもよい。一実施形態では、抗体は、別の薬剤(例えば、小分子薬物)に連結されたコンジュゲートを含む。一部の実施形態では、抗CD30抗体は、抗CD30抗体の小分子薬物(例えば、MMAEまたはMMAF)とのコンジュゲートを含む。
【0075】
用語「モノクローナル抗体」(mAb)とは、単一の分子組成の抗体分子(すなわち、一次配列が本質的に同一であり、かつ単一の結合特異性および特定のエピトープに対する親和性を示す抗体分子)の非天然の調製物を意味する。モノクローナル抗体は、単離抗体の一例である。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術、組み換え技術、トランスジェニック技術、または当業者に公知のその他の技術により作製することができる。
【0076】
「ヒト抗体」(HuMAb)とは、FRおよびCDRの両方が、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を意味する。さらに、抗体が定常領域を含む場合、定常領域もまた、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する。本開示のヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダムもしくは部位特異的突然変異誘発により、またはin vivoでの体細胞突然変異により導入された突然変異)を含むことができる。しかしながら、用語「ヒト抗体」は、本明細書中で用いる場合、マウスなどの別の哺乳動物生物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上へと移植されている抗体を含むことを意図しない。用語「ヒト抗体」および「完全ヒト抗体」は、同義的に用いられる。
【0077】
「ヒト化抗体」とは、非ヒト抗体のCDRの外側のアミノ酸のうちの一部、大部分、または全部が、ヒト免疫グロブリンに由来する対応するアミノ酸に置き換えられている抗体を意味する。抗体のヒト化形態の一実施形態では、CDRの外側のアミノ酸のうちの一部、大部分、または全部がヒト免疫グロブリン由来のアミノ酸に置き換えられているが、1個以上のCDR内の一部、大部分、または全部のアミノ酸は変化していない。アミノ酸の僅かな付加、欠失、挿入、置換または修飾は、特定の抗原に結合する抗体の能力を抑止しない限りは、許容され得る。「ヒト化抗体」は、元の抗体のものと同様の抗原特異性を保持する。一部の実施形態では、ヒト化抗体のCDRは、非ヒト哺乳動物抗体由来のCDRを含む。他の実施形態では、ヒト化抗体のCDRは、遺伝子操作された合成抗体由来のCDRを含む。
【0078】
「キメラ抗体」とは、可変領域が、ある生物種に由来し、かつ定常領域は別の生物種に由来する抗体、例えば、可変領域はマウス抗体に由来し、かつ定常領域はヒト抗体に由来する抗体などを意味する。
【0079】
「抗抗原抗体」とは、該抗原に特異的に結合する抗体を意味する。例えば、抗CD30抗体は、CD30に特異的に結合する。
【0080】
抗体の「抗原結合性部分」(「抗原結合性断片」とも称される)とは、全体抗体が結合する抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1種以上の断片を意味する。抗体断片の例としては、限定するものではないが、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ;直鎖抗体(linear antibody);単鎖抗体分子(例えば、scFv);および抗体断片により形成される多重特異的抗体が挙げられる。抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と称される2つの同一の抗原結合性断片であって、各断片が単一の抗原結合性部位を有するFab断片と、残りの「Fc」断片とを生じる。Fc断片の呼称は、容易に結晶化するその能力を反映している。ペプシン処理により、F(ab')2断片が得られ、これは2箇所の抗原結合性部位を有し、かつ抗原を架橋(cross-link)することがまだ可能である。
【0081】
用語「可変」とは、可変ドメインの特定の区域は、抗体間で配列が幅広く異なるとの事実を意味する。Vドメインは抗原結合を媒介し、かつその特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を規定する。しかしながら、可変性は、可変ドメインの全域にわたって均一に分布してはいない。むしろ、軽鎖および重鎖可変ドメインの両方で、相補性決定領域(CDR)と称される3箇所の区域に集中している。可変ドメインのうちの比較的高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインは、それぞれ4箇所のFR領域を含み、これらは大部分がβシート構造をとり、βシート構造を連結し、かつ一部の場合にはその一部分を形成するループを形成する3個のCDRにより連結されている。各鎖のCDRは、FR領域によって近接して共に保持され、他の鎖に由来するCDRと共に、抗体の抗原結合性部位の形成に寄与する(Kabat et al, Sequences of Immunological Interest, Fifth Edition, National Institute of Health, Bethesda, MD (1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗原に対する抗体の結合に直接的には関与しないが、抗体依存的細胞毒性への抗体の参加などの、種々のエフェクター機能を示す。
【0082】
抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを意味する。重鎖および軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、「VH」および「VL」と称される場合がある。これらのドメインは、一般的には抗体のうちの最も可変的な部分であり(同じクラスの他の抗体と比較して)、かつ抗原結合性部位を含む。
【0083】
用語「超可変領域」、「HVR」または「HV」とは、本明細書中で用いる場合、配列が超可変的であり、かつ/または構造的に規定されたループを形成する、抗体可変ドメインの領域を意味する。一般的に、抗体は、6箇所のHVRを含む:VH中に3箇所(H1、H2、H3)、およびVL中に3箇所(L1、L2、L3)。天然の抗体では、H3およびL3が6箇所のHVRのうちで最大の多様性を示し、H3は特に、抗体に対して優れた特異性を賦与する独自の役割を果たすと考えられている。例えば、Xu et al. Immunity 13:37-45 (2000);Johnson and Wu in Methods in Molecular Biology 248:1-25 (Lo, ed., Human Press, Totowa, NJ, 2003)を参照されたい。実際に、重鎖のみからなる天然のラクダ抗体は機能的であり、軽鎖の非存在下で安定である。例えば、Hamers-Casterman et al., Nature 363:446-448 (1993)およびSheriff et al., Nature Struct. Biol. 3:733-736 (1996)を参照されたい。
【0084】
多数のHVR描写が使用されており、本明細書中に包含される。Kabat相補性決定領域(CDR)であるHVRは、配列可変性に基づいており、最も一般的に用いられる(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5
th Ed. Public Health Service, National Institute of Health, Bethesda, MD (1991))。Chothia HVRは、その代わりに、構造上のループの位置を意味する(Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。「接触(contact)」HVRは、利用可能な複合体結晶構造の解析に基づく。これらのHVRのそれぞれからの残基を、以下に記載する。
【0085】
別途示さない限り、可変ドメイン残基(HVR残基およびフレームワーク領域残基)は、Kabatら(上掲)に従ってナンバリングされる。
【0086】
「フレームワーク」または「FR」残基とは、本明細書中で定義されるHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
【0087】
「Kabat通りの可変ドメイン残基ナンバリング」または「Kabat通りのアミノ酸位置ナンバリング」との表現、およびそれらの変形は、Kabatら(上掲)における抗体の編集物の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに対して用いられるナンバリングシステムを意味する。このナンバリングシステムを用いると、実際の直鎖アミノ酸配列は、可変ドメインのFRもしくはHVRの短縮、またはそれに対する挿入に対応して、より少ないかまたは追加のアミノ酸を含む場合がある。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後ろの単一アミノ酸挿入(Kabatに従えば残基52a)および重鎖FR残基82の後ろの挿入残基(例えば、Kabatに従えば、残基82a、82b、および82cなど)を含み得る。残基のKabatナンバリングは、抗体配列の、「標準的」なKabatナンバリングされた配列との相同性領域でのアライメントにより、所与の抗体について決定することができる。
【0088】
本明細書中で用いる場合、「に特異的に結合する」または「に対して特異的」であるとの用語は、標的と抗体との間の結合性などの、測定可能かつ再現性のある相互作用を意味し、生物学的分子をはじめとする分子の不均一な集団の存在下で標的の存在を決定する。例えば、標的(エピトープであり得る)に特異的に結合する抗体は、該抗体が他の標的に結合するよりも、高い親和性で、高いアビディティで、容易に、かつ/または長い持続時間を有して、この標的に結合する抗体である。一実施形態では、無関係の標的に対する抗体の結合性の程度は、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)により測定される場合に、標的に対する抗体の結合性の約10%未満である。特定の実施形態では、標的に対して特異的に結合する抗体は、1μM未満、100nM未満、10nM未満、1nM未満、または0.1nM未満の解離定数(Kd)を有する。特定の実施形態では、抗体は、様々な生物種由来のタンパク質の間で保存されているタンパク質上のエピトープに特異的に結合する。別の実施形態では、特異的結合性は、排他的結合性を含み得るが、これを必要とはしない。
【0089】
略語「vc」および「val-cit」とは、バリン-シトルリンのジペプチドを意味する。
【0090】
略語「PAB」とは、自己犠牲的(self-immolative)スペーサーを意味する:
【化1】
【0091】
略語「MC」とは、ストレッチャーとなるマレイミドカプロイルを意味する:
【化2】
【0092】
用語「cAC10-MC-vc-PAB-MMAE」とは、MC-vc-PABリンカーを介して薬物MMAEにコンジュケートしているキメラAC10抗体を意味する。
【0093】
「抗CD30 vc-PAB-MMAE抗体-薬物コンジュゲート」とは、米国特許第9,211,319号の式(I)に示されている通りの、ジペプチドバリン-シトルリンを含むリンカーおよび自己犠牲的スペーサーPABを介して薬物MMAEにコンジュケートしている抗CD30抗体を意味する。
【0094】
「癌」とは、体内の異常細胞の制御されない増殖により特徴付けられる種々の疾患の広範な群を意味する。「癌」または「癌組織」は、腫瘍を含むことができる。制御されない細胞分裂および増殖は、悪性腫瘍の形成をもたらし、これが隣接組織に浸潤し、かつリンパ系または血流を通じて身体の遠隔部位にも転移する場合がある。転移後には、遠隔腫瘍は、転移前腫瘍「に由来する」と言える。例えば、非ホジキンリンパ腫「に由来する腫瘍」とは、非ホジキンリンパ腫の転移の結果である腫瘍を意味する。遠隔腫瘍は転移前腫瘍に由来するので、「~に由来する」腫瘍はまた、転移前腫瘍も含むことができ、例えば、非ホジキンリンパ腫に由来する腫瘍は、非ホジキンリンパ腫を含むことができる。
【0095】
「CD30」または「TNFRSF8」とは、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバーである受容体を意味する。CD30は、活性化型CD4+およびCD8+ T細胞およびB細胞ならびにウイルス感染したリンパ球上で発現される膜貫通型糖タンパク質である。CD30は、TRAF2およびTRAF3と相互作用して、NF-κBの活性化をもたらすシグナル伝達を媒介する。CD30は、アポトーシスの正の調節因子として機能し、かつ、自己反応性CD8エフェクターT細胞の増殖能を制限することが示されている。CD30はまた、ホジキンリンパ腫(CD30はリード-ステルンベルグ細胞により発現される)および非ホジキンリンパ腫(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、および皮膚T細胞リンパ腫(CTCL))をはじめとする様々な形態のリンパ腫によっても発現される。
【0096】
用語「Treg」または「調節T細胞」とは、CD4 CD25"およびCD8+ T細胞増殖および/またはエフェクター機能を抑制するか、またはそうでなければ免疫応答を下方調節するCD4+ T細胞を意味する。とりわけ、Tregは、ナチュラルキラー細胞、ナチュラルキラーT細胞ならびに他の免疫細胞により媒介される免疫応答を下方調節することができる。
【0097】
用語「調節T細胞機能」または「Tregの機能」とは、相互に交換可能に用いられて、CD4 CD25"またはCD8+ T細胞増殖の減少またはエフェクターT細胞媒介免疫応答の減少をもたらすTregのいずれかの生物学的機能を意味する。Treg機能は、当技術分野で確立された技術を介して測定することができる。Treg機能を測定するための有用なin vitroアッセイの非限定的な例としては、Transwell抑制アッセイならびにヒト末梢血または臍帯血(またはネズミ脾臓もしくはリンパ節)から精製された標的の通常T細胞(Tconv)およびTregを、抗CD3+抗CD28コーティングビーズ(または、例えば、照射後脾細胞または精製された樹状細胞(DC)または照射後PBMCなどの抗原提示細胞(APC))により任意選択的に活性化し、続いて、通常T細胞増殖のin vitro検出が行う(例えば、放射性ヌクレオチド(例えば、[H]-チミジンなど)もしくは蛍光ヌクレオチドの取り込みを測定することにより、あるいはCayman Chemical MTT細胞増殖アッセイキットにより、あるいは緑色蛍光色素エステルであるCFSEもしくはセミナフタローダフルオール(seminaphtharhodafluor、SNARF-1)色素の希釈をフローサイトメトリーによってモニタリングすることにより行う)。他の一般的なアッセイは、T細胞サイトカイン応答を測定する。Treg機能の有用なin vivoアッセイとしては、例えば、以下のものをはじめとする、Tregが重要な役割を果たす疾患の動物モデルでのアッセイが挙げられる:(1) 恒常性モデル(ナイーブな恒常的に増殖するCD4+ T細胞を、Tregにより主に抑制される標的細胞として用いる)、(2) 炎症性腸疾患(IBD)回復モデル(Th1 T細胞(Thl7)を、Tregにより主に抑制される標的細胞として用いる)、(3) 実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデル(Th17およびTh1 T細胞を、Tregにより主に抑制される標的細胞として用いる)、(4) B16黒色腫モデル(抗腫瘍免疫の抑制)(CD8+ T細胞を、Tregにより主に抑制される標的細胞として用いる)、(5) ナイーブなCD4+CD45RBM Tconv細胞がRagVマウスに移植される、養子移入結腸炎での結腸炎症の抑制、および(6) Foxp3レスキューモデル(リンパ球を、Tregにより主に抑制される標的細胞として用いる)。1つのプロトコールに従うと、モデルのうちのすべてが、ドナーT細胞集団に関してマウスを必要とし、ならびにレシピエントに関してRagl-/-またはFoxp3マウスを必要とする。種々の有用なアッセイについてのさらなる詳細に関しては、例えば、以下の文献を参照されたい:Collison and Vignali, In Vitro Treg Suppression Assays, Chapter 2 in Regulatory T Cells: Methods and Protocols, Methods in Molecular Biology, Kassiotis and Liston eds., Springer, 2011, 707:21-37;Workman et al, In Vivo Treg Suppression Assays, Chapter 9 in Regulatory T Cells: Methods and Protocols, Methods in Molecular Biology, Kassiotis and Liston eds., Springer, 2011, 119-156;Takahashi et al, Int. Immunol, 1998, 10: 1969-1980;Thornton et al, J. Exp. Med., 1998, 188:287-296;Collison et al, J. Immunol, 2009, 182:6121-6128;Thornton and Shevach, J. Exp. Med., 1998, 188:287-296;Asseman et al, J. Exp. Med., 1999, 190:995-1004;Dieckmann et al, J. Exp. Med., 2001, 193: 1303-1310;Belkaid, Nature Reviews, 2007, 7:875-888;Tang and Bluestone, Nature Immunology, 2008, 9:239-244;Bettini and Vignali, Curr. Opin. Immunol, 2009, 21 :612-618;Dannull et al, J Clin Invest, 2005, 115(12):3623-33;Tsaknaridis, et al, J Neurosci Res., 2003, 74:296-308。
【0098】
用語「免疫療法」とは、免疫応答を、誘導、増強、抑制、またはそれ以外に改変させるステップを含む方法による、疾患を患っているか、疾患に罹るリスクを有するか、または疾患の再発に罹患している被験体の治療を意味する。
【0099】
被験体の「治療」または「療法」とは、疾患に関連する症状、合併症、状態、もしくは生化学的兆候の、発症、進行、発達、重症度、または再発を、逆転させる、軽減する、改善する、阻害する、遅延させる、または予防する目的での、被験体に対して行なわれるいずれかのタイプの介入もしくはプロセス、または被験体に対する活性薬剤の投与を意味する。
【0100】
「被験体」としては、いずれかのヒトまたは非ヒト動物が挙げられる。用語「非ヒト動物」としては、限定するものではないが、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、およびげっ歯類(例えばマウス、ラット、およびモルモット)などの脊椎動物が挙げられる。一部の実施形態では、被験体はヒトである。用語「被験体」および「患者」および「個体」は、本明細書中で相互に交換可能に用いられる。
【0101】
薬物もしくは治療剤の「治療上有効量」または「治療上有効投与量」とは、単独で、または別の治療剤と組み合わせて用いられる場合に、被験体を疾患の発症から保護するか、あるいは疾患症状の重症度の低下、疾患の無症状期間の頻度および持続期間の増加、または疾患の罹患に起因する機能不全もしくは障害の予防により明らかになる疾患の退縮を促進する、薬物のいずれかの量である。治療剤が疾患退縮を促進する能力は、熟練した実務者には公知の様々な方法を用いて、例えば、臨床試験中のヒト被験体で、ヒトでの有効性を予測するものである動物モデル系で、またはin vitroアッセイで薬剤の活性をアッセイすることによって、評価することができる。
【0102】
本明細書中で用いる場合「治療量以下の用量(subtherapeutic dose)」とは、過剰増殖性疾患(例えば、癌)の治療に対して単独で投与される場合の、治療用化合物の通常のまたは典型的な用量未満である、治療的化合物(例えば、抗体)の用量を意味する。
【0103】
例として、「抗癌剤」は、被験体での癌の退縮を促進する。一部の実施形態では、治療上有効量の薬物は、癌が消失する時点までの癌の退縮を促進する。「癌の退縮を促進すること」とは、単独または抗癌剤と組み合わせて、有効量の薬物を投与することにより、腫瘍の増殖もしくはサイズの減少、腫瘍の壊死、少なくとも1種の疾患症状の重症度の低下、疾患の無症状期間の頻度および持続期間の増加、または疾患の罹患に起因する機能不全もしくは障害の予防が生じることを意味する。加えて、治療に関して、用語「有効な」および「有効性」とは、薬理学的有効性および生理学的安全性の両方を含む。薬理学的有効性とは、薬物が、患者での癌の退縮を促進する能力を意味する。生理学的安全性とは、薬物の投与により生じる、細胞レベル、臓器レベルおよび/もしくは生体レベルでの毒性または他の有害な生理学的作用(有害作用)のレベルを意味する。
【0104】
腫瘍の治療に関する例として、治療上有効量の抗癌剤は、未処置被験体と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%まで、細胞増殖または腫瘍増殖を阻害する。
【0105】
本開示の他の実施形態では、腫瘍の退縮は、少なくとも約20日間、少なくとも約30日間、少なくとも約40日間、少なくとも約50日間、または少なくとも約60日間の期間、観察および継続することができる。治療有効性のこれらの基本的な尺度にもかかわらず、免疫療法薬の評価はまた、「免疫関連応答パターン」も考慮しなければならない。
【0106】
「免疫関連応答パターン」とは、癌特異的免疫応答を誘導することにより、または天然の免疫プロセスを改変することにより、抗腫瘍効果を生じる免疫療法剤を用いて治療された癌患者で多くの場合に観察される、臨床的応答パターンを意味する。この応答パターンは、慣用的な化学療法剤の評価では、疾患進行に分類され、かつ薬物の失敗と同義であろう、腫瘍量の当初の増加または新規病変の出現に続く、有益な治療効果により特徴付けられる。したがって、免疫療法剤の適正な評価には、標的疾患に対するこれらの薬剤の効果の長期的モニタリングが必要であり得る。
【0107】
「持続応答」とは、治療の停止後の、腫瘍増殖現象に対する持続する作用を意味する。例えば、腫瘍サイズが、投与期の開始時のサイズと比較して同じかまたはより小さく留まり得る。一部の実施形態では、持続応答は、治療継続期間と少なくとも同じ、治療継続期間の少なくとも1.5倍、2.0倍、2.5倍、または3.0倍の長さの継続期間を有する。
【0108】
本明細書中で用いる場合、「完全奏功(complete response)」または「CR」とは、すべての標的病変の消失を意味し;「部分奏功(partial response)」または「PR」とは、ベースライン長径和(SLD)を基準とした、標的病変のSLDの少なくとも30%の減少を意味し;「安定(stable disease)」または「SD」とは、PRに関して適格と判定するための標的病変の十分な縮小も、または治療開始からの最小SLDを基準とした、PDに関して適格と判定するための十分な増加もないことを意味する。
【0109】
本明細書中で用いる場合、「無増悪生存期間(progression free survival)」(PFS)とは、治療されている疾患(例えば、癌)が悪化しない、治療中および治療後の期間の長さを意味する。無増悪生存期間には、患者が完全奏功または部分奏功を経験した期間、ならびに患者が安定を経験した期間が含まれ得る。
【0110】
本明細書中で用いる場合、「全奏効率(overall response rate)」(ORR)とは、完全奏功(CR)率と部分奏功(PR)率との和を意味する。
【0111】
本明細書中で用いる場合、「全生存率」とは、特定の期間後に生存している可能性が高い、群中の個体の割合(%)を意味する。
【0112】
薬物の治療上有効量には、「予防上有効量」が含まれ、これは、癌が発達するリスクを有する被験体(例えば、前悪性状態を有する被験体)または癌の再発に罹患するリスクを有する被験体に、単独または抗癌剤と組み合わせて投与した場合に、癌の発達または再発を阻害する、薬物のいずれかの量である。一部の実施形態では、予防上有効量は、癌の発達または再発を完全に妨げる。癌の発達または再発を「阻害すること」とは、癌の発達もしくは再発の可能性を減少させるか、または癌の発達もしくは再発を完全に妨げることのいずれかを意味する。
【0113】
用語「体重に基づく用量」(weight-based dose)とは、本明細書中で用いる場合、患者に投与される用量が、患者の体重に基づいて算出されることを意味する。例えば、60kgの体重を有する患者が3mg/kgの抗CD30抗体を必要とする場合、投与のために適切な量の抗CD30抗体(すなわち、180mg)を算出し、これを用いることができる。
【0114】
本開示の方法および投与量に関して、用語「一定用量(flat dose)」の使用は、患者の体重または体表面積(BSA)にかかわらず、患者に投与される用量を意味する。したがって、一定用量は、mg/kg用量としては与えられず、むしろ、薬剤(例えば、抗CD30抗体)の絶対量として与えられる。例えば、60kgの人物と100kgの人物が、同じ用量の抗体(例えば、240mgの抗CD30抗体)を投与されるであろう。
【0115】
語句「製薬上許容される」とは、物質または組成物が、製剤を構成する他の成分、および/もしくはそれを用いて治療される哺乳動物と、化学的かつ/または毒物学的に適合しなければならないことを示す。
【0116】
語句「製薬上許容される塩」とは、本明細書中で用いる場合、本発明の化合物の製薬上許容される有機塩または無機塩を意味する。例示的な塩としては、限定するものではないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシル酸塩」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩))、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)塩、およびアンモニウム塩が挙げられる。製薬上許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオンまたは他の対イオンなどの別の分子を含有するものも包むことができる。対イオンは、親化合物上の電荷を安定化するいずれかの有機または無機部分であり得る。さらに、製薬上許容される塩は、その構造中に、2以上の荷電原子を有し得る。複数の荷電原子が製薬上許容される塩の一部分である場合は、複数の対イオンを有し得る。したがって、製薬上許容される塩は、1以上の荷電原子および/または1以上の対イオンを有し得る。
【0117】
選択肢の使用(例えば、「または」)は、選択肢のうちの一方、両方、またはそれらのいずれかの組み合わせのいずれかを意味するものと理解されるべきである。本明細書中で用いる場合、不定冠詞「a」または「an」は、「1以上」の、任意の記載されたかまたは列挙された構成要素を意味するものと理解されるべきである。
【0118】
用語「約」または「から本質的に構成される」とは、当業者により決定される場合に、特定の値または組成に対し許容される誤差範囲内にある値または組成を意味し、これは、値もしくは組成がどのように測定または決定されるか、すなわち、測定系の限界に依存するであろう。例えば、「約」または「から本質的に構成される」とは、当技術分野での実務に従って、1または1を超える標準偏差の範囲内を意味することができる。あるいは、「約」または「から本質的に構成される」とは、最大20%の範囲を意味することができる。さらに、特に生物学的な系またはプロセスに関しては、この用語は、最大で1桁分または最大で値の5倍までを意味することができる。特定の値または組成が本出願および特許請求の範囲の中で与えられる場合、別途記載しない限り、「約」または「から本質的に構成される」の意味は、その特定の値または組成に対して許容できる誤差範囲内であると推定されるべきである。
【0119】
用語「約週1回」、「約2週間に1回」またはいずれかの他の同様の投与間隔の用語は、本明細書中で用いる場合、近似の数を意味する。「約週1回」は、7日±1日毎、すなわち、6日毎~8日毎を含み得る。「約2週間に1回」は、14日±3日毎、すなわち、11日毎~17日毎を含むことができる。同様の近似が、例えば、約3週間に1回、約4週間に1回、約5週間に1回、約6週間に1回、および約12週間に1回に適用される。一部の実施形態では、約6週間に1回または約12週間に1回の投与間隔とは、第1の用量を第1週のうちのいずれかの日に投与することができ、続いて、次の用量を、それぞれ、第6週または第12週のうちのいずれかの日に投与することができることを意味する。他の実施形態では、約6週間に1回または約12週間に1回の投与間隔とは、第1の用量を第1週のうちの特定の曜日(例えば、月曜日)に投与し、かつ、続いて、次の用量を、それぞれ、第6週または第12週のうちの同じ曜日(すなわち、月曜日)に投与することを意味する。
【0120】
本明細書中に記載される場合、いずれの濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲も、別途示されない限り、記載された範囲内のいずれかの整数、および、適切な場合には、それらの分数(整数の10分の1および100分の1など)の値を含むと理解されるはずである。
【0121】
本開示の種々の態様を、さらに詳細に、以下のサブセクションに記載する。
【0122】
II. 本発明の方法
一態様では、本明細書中に開示される方法は、標準治療療法の代わりに用いられる。本明細書中に記載される抗CD30抗体-薬物コンジュゲートは、癌を有する被験体での、CD30+ T調節細胞の活性を低下させ、かつ/またはCD30+ T調節細胞に対するCD8+ T細胞の比率を増加させるために用いられ、これにより、標準治療療法と比較して、改善された治療をもたらされ得る。特定の実施形態では、標準治療療法が、本明細書中に開示されるいずれかの方法と組み合わせて用いられる。様々な癌のタイプに対する標準治療療法が、当業者に周知である。例えば、米国の21箇所の主要な癌センターの連携団体である全米総合癌センターネットワーク(NCCN)が、NCCN腫瘍学臨床実務ガイドライン(NCCNガイドライン(登録商標))を公開しており、これにより、広範囲の癌についての標準治療療法の詳細な最新情報が提供されている(NCCNガイドライン(登録商標), 2014, www.nccn.org/professionals/physician_gls/ f_guidelines.aspで入手可能, 最終アクセス2014年5月14日を参照されたい)。
【0123】
一部の実施形態では、本開示の療法を、リンパ腫(例えば、リンパ腫由来の腫瘍)を治療するために用いることができる。リンパ腫は、免疫系に影響を及ぼす癌の一形態である。リンパ腫のうちの大多数が、2種類の分類に入る:ホジキンリンパ腫(HL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)。NHLは、リンパ腫の最も一般的な形態であり、リンパ腫の全症例のうちの約90%を占めるが、HLはリンパ腫の全症例のうちの約10%のみを占める。したがって、本明細書中に提供される方法の一部の実施形態では、リンパ腫はHLである。本明細書中に提供される方法の他の実施形態では、リンパ腫はNHLである。
【0124】
NHLは、2017年には米国国内で推定72000件の新規症例(すべての新規癌症例のうちの4.3%)および2万件の死亡数(すべての癌に関連した死亡数の3.4%)を占めるであろう。2016年11月のSEERデータ提出に基づく、Howlader N et al., SEER Cancer Statistics Review, 1975-2014を参照されたい。最も一般的なNHLサブタイプであるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、10万人/年(P-Y)あたり7.14件の発生率を有し、これには最大で10%の原発性縦隔B細胞リンパ腫(PMBL)が含まれる。Dunleavy K et al., Blood 2015;125:33-39を参照されたい。末梢T細胞リンパ腫(PTCL)および菌状息肉腫/セザリー症候群(MF/SS)の発生率は、10万P-Y当たり0.60および0.52件である。Morton LM et al., Blood 2006; 107:265-276を参照されたい。リンパ腫の2種類の主要な分類であるHLおよびNHLの中には、数種類の具体的なリンパ腫のサブグループがある。ホジキンリンパ腫としては、限定するものではないが、古典的HL(cHL;例えば、結節硬化型HL、混合細胞型HL、リンパ球豊富型HL、およびリンパ球枯渇型HL)および結節性リンパ球優位型HLが挙げられる。非ホジキンリンパ腫としては、限定するものではないが、B細胞リンパ腫(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、バーキットリンパ腫、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、およびマントル細胞リンパ腫)およびT細胞リンパ腫(例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、菌状息肉腫、未分化大細胞リンパ腫、および前駆Tリンパ芽球性リンパ腫)が挙げられる。
【0125】
再発性/難治性(R/R)NHLに対する治療ガイドラインでは、MF/SSに対する局所的療法に加えて、(B細胞リンパ腫に対する標的療法との組み合わせた)多剤化学療法、ブレンツキシマブ・ベドチン(BV)、自家もしくは同種造血幹細胞移植(HSCT)、および/または放射線療法が推奨されていた。全米総合癌センターネットワーク、非ホジキンリンパ腫(バージョン3、2016)。5年相対生存率は、DLBCL、PTCL、およびMF/SSについてそれぞれ、48%、44%、および86%である。Han X et al., Cancer Causes Control 2008;19:841-858を参照されたい。
【0126】
A. 抗CD30抗体-薬物コンジュゲート
一態様では、本開示の療法は、抗CD30抗体またはその抗原結合性断片を利用する。CD30受容体は、自己反応性CD8エフェクターT細胞の増殖能の制限に関与する腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバーである。CD30を標的とする抗体は、これらのCD30媒介活性のアゴニストまたはアンタゴニストのいずれかである可能性があり得る。
【0127】
当技術分野で公知であるマウス抗CD30 mAbは、ホジキン病(HD)細胞株または精製されたCD30抗原を用いたマウスの免疫化により作製されてきた。AC10(元来はC10と命名された;Bowen et al., 1993, J. Immunol. 151:5896-5906)は、この抗CD30 mAbがヒトNK様細胞株であるYTに対して調製された点で異なる(Bowen et al., 1993, J. Immunol. 151:5896-5906)。当初は、当該mAbのシグナル伝達活性は、CD28およびCD45分子の細胞表面発現の下方調節、細胞表面CD25発現の上方調節ならびにYT細胞に対するC10の結合後の同型接着の誘導により明らかとなった。AC10抗体の配列は、配列番号1~16および以下の表Aに示される。参照により本明細書中に組み入れられる米国特許第7,090,843号もまた参照されたい。
【0128】
一般的に、本開示の抗体は、免疫特異的にCD30に結合し、かつホジキン病での悪性細胞に対する細胞静止作用および細胞傷害作用を及ぼす。本開示の抗体は、好ましくはモノクローナルであり、多重特異的、ヒト、ヒト化もしくはキメラ抗体、単鎖抗体、Fab断片、F(ab')断片、Fab発現ライブラリーにより生成される断片、および上記のうちのいずれかのCD30結合性断片であり得る。本開示の免疫グロブリン分子は、いずれかの型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)または免疫グロブリン分子のサブクラスのものであり得る。
【0129】
本開示の特定の実施形態では、抗体は、本開示のヒト抗原結合性断片であり、限定するものではないが、Fab、Fab'およびF(ab')2、Fd、単鎖Fv(scFv),単鎖抗体、ジスルフィド連結型Fv(sdFv)ならびにVLまたはVHドメインのいずれかを含む断片が挙げられる。単鎖抗体をはじめとする抗原結合性抗体断片は、単独で、または以下の全体もしくは一部分と組み合わせて、可変領域を含む場合がある:ヒンジ領域、CH1、CH2、CH3およびCLドメイン。可変領域と、ヒンジ領域、CH1、CH2、CH3およびCLドメインとのいずれかの組み合わせを含む抗原結合性断片もまた、本開示に含められる。好ましくは、抗体は、ヒト、ネズミ(例えば、マウスおよびラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリである。
【0130】
本開示の抗体は、単一特異的、二重特異的、三重特異的であるか、またはそれ以上の多重特異性を有するものであり得る。多重特異的抗体は、CD30の異なるエピトープに対して特異的であり得、またはCD30ならびに異種タンパク質の両方に対して特異的であり得る。例えば、PCT公報国際公開第93/17715号;同第92/08802号;同第91/00360号;同第92/05793号;Tutt, et al., 1991, J. Immunol. 147:60-69;米国特許第4,474,893号;同第4,714,681号;同第4,925,648号;同第5,573,920号;同第5,601,819号;Kostelny et al., 1992, J. Immunol. 148:1547-1553を参照されたい。
【0131】
本開示の抗体は、それらが含む特定のCDRに関して記載または特定され得る。特定の実施形態では、本開示の抗体は、AC10の1種以上のCDRを含む。本開示は、
抗体またはその誘導体であって、以下:
(a) 3種類のCDRのセットであって、モノクローナル抗体AC10由来である、CDRのセット、および
(b) 4種類のフレームワーク領域のセットであって、モノクローナル抗体AC10のフレームワーク領域のセットとは異なる、フレームワーク領域のセット、
を含む重鎖もしくは軽鎖可変ドメインを含み、かつ、
CD30に免疫特異的に結合する、抗体またはその誘導体
を包含する。
【0132】
一態様では、抗CD30抗体は、AC10である。一部の実施形態では、抗CD30抗体は、cAC10である。cAC10は、キメラIgG1モノクローナル抗体であり、CD30に特異的に結合する。cAC10は、in vitroでCD30+細胞株の増殖停止を誘導し、かつホジキン病の重症複合型免疫不全(SCID)マウス異種移植片モデルで明らかな抗腫瘍活性を有する。Francisco et al., Blood 102(4):1458-64 (2003)を参照されたい。AC10抗体およびcAC10抗体は、米国特許第9,211,319号;同第7,090,843号に記載されている。
【0133】
一態様では、CD30への結合に関してAC10抗体および/またはcAC10抗体と競合する抗CD30抗体が提供される。AC10抗体およびcAC10抗体と同じエピトープに結合する抗CD30抗体もまた提供される。
【0134】
一態様では、AC10抗体のCDR配列のうちの1種、2種、3種、4種、5種、または6種を含む抗CD30抗体が、本明細書中に提供される。一態様では、cAC10抗体のCDR配列のうちの1種、2種、3種、4種、5種、または6種を含む抗CD30抗体が、本明細書中に提供される。一部の実施形態では、CDRは、Kabat CDRまたはChothia CDRである。
【0135】
一態様では、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む抗CD30抗体が本明細書中に提供され、このとき、重鎖可変領域は、(i) 配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii) 配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(iii) 配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み;かつ/または軽鎖可変領域は、(i) 配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii) 配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(iii) 配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
【0136】
本明細書中に記載される抗CD30抗体は、いずれかの好適なフレームワーク可変ドメイン配列を含むことができ、ただし、該抗体は、CD30(例えば、ヒトCD30)に結合する能力を保持する。本明細書中で用いる場合、重鎖フレームワーク領域は「HC-FR1-FR4」と記載され、かつ軽鎖フレームワーク領域は「LC-FR1-FR4」と記載される。一部の実施形態では、抗CD30抗体は、配列番号9、10、11、および12の重鎖可変ドメインフレームワーク配列(それぞれ、HC-FR1、HC-FR2、HC-FR3、およびHC-FR4)を含む。一部の実施形態では、抗CD30抗体は、配列番号13、14、15、および16の軽鎖可変ドメインフレームワーク配列(それぞれ、LC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、およびLC-FR4)を含む。
【0137】
一実施形態では、抗CD30抗体は、フレームワーク配列および超可変領域を含む重鎖可変ドメインを含み、このとき、フレームワーク配列は、それぞれ、配列番号9(HC-FR1)、配列番号10(HC-FR2)、配列番号11(HC-FR3)、および配列番号12(HC-FR4)のHC-FR1-HC-FR4アミノ酸配列を含み;CDR-H1は配列番号1のアミノ酸配列を含み;CDR-H2は配列番号2のアミノ酸配列を含み;かつCDR-H3は配列番号3のアミノ酸配列を含む。
【0138】
一実施形態では、抗CD30抗体は、フレームワーク配列および超可変領域を含む軽鎖可変ドメインを含み、このとき、フレームワーク配列は、それぞれ、配列番号13(LC-FR1)、配列番号14(LC-FR2)、配列番号15(LC-FR3)、および配列番号16(LC-FR4)のLC-FR1-LC-FR4アミノ酸配列を含み;CDR-L1は配列番号4のアミノ酸配列を含み;CDR-L2は配列番号5のアミノ酸配列を含み;かつCDR-L3は配列番号6のアミノ酸配列を含む。
【0139】
本明細書中に記載される抗CD30抗体の一部の実施形態では、重鎖可変ドメインは、
のアミノ酸配列を含み、かつ軽鎖可変ドメインは、
のアミノ酸配列を含む。
【0140】
本明細書中に記載される抗CD30抗体の一部の実施形態では、重鎖CDR配列は、以下を含む:
(a) CDR-H1(DYYIT(配列番号1));
(b) CDR-H2(WIYPGSGNTKYNEKFKG(配列番号2));および
(c) CDR-H3(YGNYWFAY(配列番号3))。
【0141】
本明細書中に記載される抗CD30抗体の一部の実施形態では、重鎖FR配列は、以下を含む:
(a) HC-FR1(QIQLQQSGPEVVKPGASVKISCKASGYTFT(配列番号9));
(b) HC-FR2(WVKQKPGQGLEWIG(配列番号10));
(c) HC-FR3(KATLTVDTSSSTAFMQLSSLTSEDTAVYFCAN(配列番号11));および
(d) HC-FR4(WGQGTQVTVSA(配列番号12))。
【0142】
本明細書中に記載される抗CD30抗体の一部の実施形態では、軽鎖CDR配列は、以下を含む:
(a) CDR-L1(KASQSVDFDGDSYMN(配列番号4));
(b) CDR-L2(AASNLES(配列番号5));および
(c) CDR-L3(QQSNEDPWT(配列番号6))。
【0143】
本明細書中に記載される抗CD30抗体の一部の実施形態では、軽鎖FR配列は、以下を含む:
(a) LC-FR1(DIVLTQSPASLAVSLGQRATISC(配列番号13));
(b) LC-FR2(WYQQKPGQPPKVLIY(配列番号14));
(c) LC-FR3(GIPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDAATYYC(配列番号15));および
(d) LC-FR4(FGGGTKLEIK(配列番号16))。
【0144】
一部の実施形態では、CD30(例えば、ヒトCD30)に結合する抗CD30抗体が本明細書中に提供され、このとき、該抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、このとき、該抗体は、以下を含む:
(a) 以下を含む重鎖可変ドメイン:
(1) 配列番号9のアミノ酸配列を含むHC-FR1;
(2) 配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(3) 配列番号10のアミノ酸配列を含むHC-FR2;
(4) 配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;
(5) 配列番号11のアミノ酸配列を含むHC-FR3;
(6) 配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;および
(7) 配列番号12のアミノ酸配列を含むHC-FR4;
ならびに/または
(b) 以下を含む軽鎖可変ドメイン:
(1) 配列番号13のアミノ酸配列を含むLC-FR1;
(2) 配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(3) 配列番号14のアミノ酸配列を含むLC-FR2;
(4) 配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;
(5) 配列番号15のアミノ酸配列を含むLC-FR3;
(6) 配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;および
(7) 配列番号16のアミノ酸配列を含むLC-FR4。
【0145】
一態様では、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、および/または配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗CD30抗体が、本明細書中に提供される。
【0146】
一部の実施形態では、配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗CD30抗体が、本明細書中に提供される。特定の実施形態では、配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインは、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含み、かつ、CD30(例えば、ヒトCD30)に結合する能力を保持する。特定の実施形態では、合計で1~10アミノ酸が、配列番号7の中で置換、挿入および/または欠失している。特定の実施形態では、置換、挿入または欠失(例えば、1、2、3、4、または5アミノ酸)は、CDRの外側の領域中で(すなわち、FR中で)生じる。一部の実施形態では、抗CD30抗体は、配列番号7の重鎖可変ドメイン配列(その配列が翻訳後修飾されたものを含む)を含む。特定の実施形態では、重鎖可変ドメインは、以下から選択される1、2または3種のCDRを含む:(a) 配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b) 配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(c) 配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3。
【0147】
一部の実施形態では、配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗CD30抗体が、本明細書中に提供される。特定の実施形態では、配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインは、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含み、かつ、CD30(例えば、ヒトCD30)に結合する能力を保持する。特定の実施形態では、合計で1~10アミノ酸が、配列番号8の中で置換、挿入および/または欠失している。特定の実施形態では、置換、挿入または欠失(例えば、1、2、3、4、または5アミノ酸)は、CDRの外側の領域中で(すなわち、FR中で)生じる。一部の実施形態では、抗CD30抗体は、配列番号8の軽鎖可変ドメイン配列(その配列が翻訳後修飾されたものを含む)を含む。特定の実施形態では、軽鎖可変ドメインは、以下から選択される1、2または3種のCDRを含む:(a) 配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b) 配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(c) 配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-H3。
【0148】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、上記に与えられた実施形態のうちのいずれかの通りの重鎖可変ドメイン、および上記に与えられた実施形態のうちのいずれかの通りの軽鎖可変ドメインを含む。一実施形態では、抗体は、配列番号7の重鎖可変ドメイン配列および配列番号8の軽鎖可変ドメイン配列(それらの配列が翻訳後修飾されたものを含む)を含む。
【0149】
一部の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲートの抗CD30抗体は、(i) 配列番号1に示される重鎖CDR1、配列番号2に示される重鎖CDR2、配列番号3に示される重鎖CDR3;ならびに(ii) 配列番号4に示される軽鎖CDR1、配列番号5に示される軽鎖CDR2、および配列番号6に示される軽鎖CDR3を含む。
【0150】
一部の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲートの抗CD30抗体は、(i) 配列番号7に示される重鎖可変領域に対して少なくとも85%同一なアミノ酸配列、および(ii) 配列番号8に示される軽鎖可変領域に対して少なくとも85%同一なアミノ酸配列を含む。
【0151】
一部の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲートの抗CD30抗体は、モノクローナル抗体である。
【0152】
一部の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲートの抗CD30抗体は、キメラAC10抗体である。
【0153】
本発明の抗体はまた、CD30に対するそれらの結合親和性に関して説明または特定され得る。好ましい結合親和性としては、5×102M、10-2M、5×10-3M、10-3M、5×10-4M、10-4M、5×10-5M、10-5M、5×10-6M、10-6M、5×10-7M、10-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10-9M、5×10-10M、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×10-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×10-15M、または10-15M未満の解離定数またはKdを有するものが挙げられる。
【0154】
免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMの5種類のクラスがあり、それぞれ、α、δ、ε、γおよびμと称される重鎖を有する。γおよびαクラスは、サブクラスへとさらに分割され、例えば、ヒトは以下のサブクラスを発現する:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2。IgG1抗体は、アロタイプと称される複数の多型変異体で存在することができ(Jefferis and Lefranc 2009. mAbs, Vol 1, Issue 4, 1-7に総説されている)、それらのいずれも本明細書中の一部の実施形態での使用に好適である。ヒト集団での一般的なアロタイプ変異体は、a、f、n、zの文字またはそれらの組み合わせにより示されるものである。本明細書中の実施形態のうちのいずれかでは、抗体は、ヒトIgG Fc領域を含む重鎖Fc領域を含むことができる。さらなる実施形態では、ヒトIgG Fcは、ヒトIgG1を含む。
【0155】
本発明の一態様では、本明細書中に記載される抗CD30抗体などの抗CD30抗体をコードするポリヌクレオチドが提供される。特定の実施形態では、本明細書中に記載される通りの抗CD30抗体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターが提供される。特定の実施形態では、そのようなベクターを含む宿主細胞が提供される。本発明の別の態様では、本明細書中に記載される抗CD30抗体または本明細書中に記載される抗CD30抗体をコードするポリヌクレオチドを含む組成物が提供される。
【0156】
抗体にはまた、修飾、すなわち、共有結合が、抗体がCD30に結合することを、またはHD細胞に対する細胞静止作用もしくは細胞傷害作用を及ぼすことを妨げないような、抗体へのいずれかのタイプの分子の共有結合により修飾されている、誘導体も含まれる。例えば、限定するものではないが、抗体誘導体としては、例えば、グリコシル化、アセチル化、PEG化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質分解的切断、細胞性リガンドまたは他のタンパク質に対する連結などにより修飾されている抗体が挙げられる。多数の化学的修飾のうちのいずれも、限定するものではないが、特異的な化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などをはじめとする、公知の技術により行なうことができる。加えて、誘導体は、1種以上の非古典的アミノ酸を含有することができる。
【0157】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、治療剤にコンジュケートされる(例えば、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート)。一部の実施形態では、治療剤は、抗新生物剤(例えば、抗有糸分裂剤)を含む。特定の実施形態では、治療剤は、以下からなる群より選択される:モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、アウリスタチン薬類似体、カンタンシノイド(cantansinoid)、メイタンシノイド(maytansinoid)(例えば、メイタンシン;DM)、ドラスタチン、クリプトフィシン、デュオカルマイシン、デュオカルマイシン誘導体、エスペラマイシン、カリケアマイシン、ピロロベノジアゼピン(pyrolobenodiazepine)(PBD)、およびそれらのいずれかの組み合わせ。1つの特定の実施形態では、抗CD30抗体は、MMAEにコンジュケートされる。抗体は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個の治療剤(例えば、MMAE)の分子にコンジュケートすることができる。一実施形態では、抗CD30抗体は、4個の治療剤の分子(例えば、4個のMMAEの分子)にコンジュケートされる。1つの特定の実施形態では、抗CD30抗体は、MMAFにコンジュケートされる。抗体は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個の治療剤(例えば、MMAF)の分子にコンジュケートすることができる。一実施形態では、抗CD30抗体は、4個の治療剤の分子(例えば、4個のMMAFの分子)にコンジュケートされる。
【0158】
一部の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲートは、治療剤と抗体との間にリンカーをさらに含む。一部の実施形態では、リンカーは、1個以上の天然のアミノ酸、1個以上の非天然の(例えば、合成)アミノ酸、化学リンカー、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。特定の実施形態では、リンカーは、切断可能リンカー、例えば、プロテアーゼ切断可能リンカーである。特定の実施形態では、リンカーは、標的細胞による取り込みに際して、例えば、CD30を発現する細胞による取り込みに際して、特異的に切断される。特定の実施形態では、リンカーは、以下の式:「-MC-vc-PAB-」または「-MC-val-cit-PAB-」を有する切断可能ペプチドリンカーであり、式中、「MC」とは、以下の構造を有するストレッチャーマレイミドカプロイルを意味し:
【化3】
「vc」および「val-cit」とはジペプチドバリン-シトルリンを意味し、かつPABとは以下の構造を有する自己犠牲的スペーサーを意味する:
【化4】
【0159】
一部の実施形態では、リンカーの切断により、治療剤の細胞傷害活性が活性化される。特定の実施形態では、リンカーは、非切断可能リンカーである。特定の実施形態では、非切断可能リンカーは式:「-MC-」を有し、式中、「MC」とは、以下の構造を有するストレッチャーマレイミドカプロイルを意味する:
【化5】
【0160】
一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、vc-PABリンカーを介してMMAEに共有結合した抗CD30抗体を含む。一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、医薬組成物として被験体に送達される。一部の実施形態では、本明細書中で企図されるCD30抗体-薬物コンジュゲートは、参照により本明細書中に組み入れられる米国特許第9,211,319号に記載される通りである。
【0161】
一実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲートは、ブレンツキシマブ・ベドチンを含む。1つの特定の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲートは、ブレンツキシマブ・ベドチンである。ブレンツキシマブ・ベドチン(BV;「アドセトリス」(ADCETRIS(登録商標))としても知られる)は、キメラ抗CD30抗体(cAC10)、治療剤(MMAE)、およびcAC10とMMAEとの間のプロテアーゼ切断可能リンカーを含むCD30標的化型抗体-薬物コンジュゲート(ADC)であり、以下の構造に示される通りである:
【化6】
【0162】
抗体に対する薬物の比率または薬物搭載量は、ブレンツキシマブ・ベドチンの構造中の「p」により表わされ、1~8の整数値の範囲内に入る。医薬組成物中のブレンツキシマブ・ベドチンの平均薬物搭載量は、約4である。アドセトリス(登録商標)は、自家幹細胞移植(ASCT)の失敗後またはASCT候補でない患者での少なくとも2回の先行する多剤化学療法レジメンの失敗後のホジキンリンパ腫を有する患者の治療に対して、および少なくとも1回の先行する多剤化学療法レジメンの失敗後の全身性未分化大細胞リンパ腫を有する患者の治療に対して、FDAにより承認されている。
【0163】
一実施形態では、抗CD30抗体は、cAC10と同じエピトープ、例えば、ブレンツキシマブ・ベドチンと同じエピトープに結合する抗CD30抗体またはその抗原結合性断片である。特定の実施形態では、抗CD30抗体は、cAC10と同じCDR、例えば、ブレンツキシマブ・ベドチンと同じCDRを有する抗体である。同じエピトープに結合する抗体は、cAC10の機能的特性と非常に似通った機能的特性を有すると予測される。なぜなら、それらはCD30の同じエピトープ領域に対し結合するためである。これらの抗体は、例えば、Biacore分析、ELISAアッセイ、またはフローサイトメトリーなどの標準的なCD30結合性アッセイで、cAC10と交差競合するそれらの能力に基づいて、容易に特定することができる。
【0164】
特定の実施形態では、ヒトCD30に対してcAC10と交差競合するか、またはcAC10と同じヒトCD30のエピトープ領域に結合する抗体は、モノクローナル抗体である。ヒト被験体に対する投与のためには、これらの交差競合性抗体は、キメラ抗体であるか、またはヒト化もしくはヒト抗体であり得る。そのようなキメラ、ヒト化、またはヒトモノクローナル抗体は、当技術分野で周知の方法により調製または単離することができる。開示される本開示の方法で使用可能な抗CD30抗体にはまた、上記の抗体の抗原結合性部分が含まれる。
【0165】
他の実施形態では、抗CD30抗体またはその抗原結合性部分は、キメラ、ヒト化、もしくはヒトモノクローナル抗体またはその部分である。ヒト被験体を治療するための特定の実施形態では、抗体は、ヒト化抗体である。ヒト被験体を治療するための他の実施形態では、抗体は、ヒト抗体である。IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプの抗体を用いることができる。
【0166】
B. 免疫応答を調節する方法
一態様では、本発明は、抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含む、癌を有する被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞の活性を低下させる方法を提供し、このとき、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュケートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性部分を含む。
【0167】
一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞の活性を低下させることは、CD30+ Treg細胞の数の減少を含む。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞の数は、1種以上の他のタイプのCD4+ T細胞の数と比較して、減少する。一部の実施形態では、1種以上の他のタイプのCD4+ T細胞は、Th1細胞、Th2細胞またはTh17細胞を含む。一部の実施形態では、1種以上の他のタイプのCD4+ T細胞は、Th1 CD30+細胞、Th2 CD30+細胞またはTh17 CD30+細胞を含む。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞の数は、抗体-薬物コンジュゲートの投与前の被験体でのCD30+ Treg細胞の数と比較して、減少する。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞の数は、抗体-薬物コンジュゲートを用いて治療されたことがない被験体でのCD30+ Treg細胞の数と比較して、減少する。
【0168】
一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞の活性を低下させることは、CD30+ Treg細胞の機能の低下を含む。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞の機能の低下は、抗体-薬物コンジュゲートの投与前の被験体でのCD30+ Treg細胞の機能と比較したものである。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞の機能の低下は、抗体-薬物コンジュゲートを用いて治療されたことがない被験体でのCD30+ Treg細胞の機能と比較したものである。
【0169】
一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞は、CD30+誘導性T調節(iTreg)細胞またはCD30+末梢T調節(pTreg)細胞である。
【0170】
一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)である。
【0171】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、モノクローナル抗CD30抗体AC10である。一部の実施形態では、抗CD30抗体は、cAC10である。一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、ブレンツキシマブ・ベドチンである。
【0172】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、このとき、重鎖可変領域は、
(i) 配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) 配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii) 配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含み;かつ軽鎖可変領域は、
(i) 配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) 配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii) 配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む。
【0173】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0174】
一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、抗CD30抗体またはその抗原結合性部分とモノメチルアウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能リンカーおよび非切断可能リンカーからなる群より選択される。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能ペプチドリンカーである。一部の実施形態では、切断可能ペプチドリンカーは、式:-MC-vc-PAB-を有する。一部の実施形態では、リンカーは、式:-MC-を有する非切断可能リンカーである。
【0175】
一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されている。一部の実施形態では、被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されていない。
【0176】
一部の実施形態では、癌は、リンパ腫である。一部の実施形態では、リンパ腫は、T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、リンパ腫は、B細胞リンパ腫である。
【0177】
一部の実施形態では、リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫について以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、成熟T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、または皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。一部の実施形態では、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、菌状息肉腫(MF)である。一部の実施形態では、菌状息肉腫は、CD30陽性菌状息肉腫(MF)である。一部の実施形態では、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(pcALCL)である。一部の実施形態では、被験体は、先行する全身性治療を受けている。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)である。一部の実施形態では、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)は、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)である。
【0178】
一部の実施形態では、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、ホジキンリンパ腫について以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、自家幹細胞移植後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、第1選択の治療後に再発し、かつ被験体は、自家幹細胞移植に対して不適格である。一部の実施形態では、被験体は、ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、ホジキンリンパ腫は、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)である。一部の実施形態では、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)は、進行cHLである。一部の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されている。一部の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されていない。
【0179】
一部の実施形態では、方法は、免疫応答を調節することが可能な1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片でない。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0180】
一部の実施形態では、方法は、1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、ドキソルビシン、ビンブラスチン、およびダカルバジン(AVD)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、葉酸拮抗剤、代謝拮抗剤、抗チューブリン剤、アウリスタチン、化学療法増感剤、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、および/またはビンカアルカロイドである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、アンドロゲン、アントラマイシン(AMC)、アスパラギナーゼ、5-アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(BSNU)、CC-1065、クロラムブシル、シスプラチン、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン、シチジンアラビノシド、サイトカラシンB、ダカルバジン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ダウノルビシン、デカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エストロゲン、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、グラミシジンD、ヒドロキシダウノルビシン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ニトロイミダゾール、パクリタキセル、プリカマイシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プロカルビジン(procarbizine)、ストレプトゾトシン、テノポシド(tenoposide)、6-チオグアニン、チオTEPA、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、VP-16およびVM-26からなる群より選択される。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0181】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていないcHLを有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、ダカルバジン(dacarabazine)およびビンブラスチンである。一部の実施形態では、cHLは、進行cHLである。
【0182】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾンである。
【0183】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾロンである。
【0184】
一部の実施形態では、方法は照射を用いて被験体を治療するステップをさらに含む。
【0185】
別の態様では、本発明は、抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含む、癌を有する被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞に対するCD8+ T細胞の比率を増加させる方法を提供し、このとき、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュケートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性部分を含む。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率は、抗体-薬物コンジュゲートの投与前の被験体でのCD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率と比較して増加する。
【0186】
一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞は、CD30+誘導性T調節(iTreg)細胞またはCD30+末梢T調節(pTreg)細胞である。
【0187】
一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)である。
【0188】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、モノクローナル抗CD30抗体AC10である。一部の実施形態では、抗CD30抗体は、cAC10である。一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、ブレンツキシマブ・ベドチンである。
【0189】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、このとき、重鎖可変領域は、
(i) 配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) 配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii) 配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含み;かつ軽鎖可変領域は、
(i) 配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) 配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii) 配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む。
【0190】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0191】
一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、抗CD30抗体またはその抗原結合性部分とモノメチルアウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能リンカーおよび非切断可能リンカーからなる群より選択される。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能ペプチドリンカーである。一部の実施形態では、切断可能ペプチドリンカーは、式:-MC-vc-PAB-を有する。一部の実施形態では、リンカーは、式:-MC-を有する非切断可能リンカーである。
【0192】
一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されている。一部の実施形態では、被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されていない。
【0193】
一部の実施形態では、癌は、リンパ腫である。一部の実施形態では、リンパ腫は、T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、リンパ腫は、B細胞リンパ腫である。
【0194】
一部の実施形態では、リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫について以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、成熟T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、または皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。一部の実施形態では、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、菌状息肉腫(MF)である。一部の実施形態では、菌状息肉腫は、CD30陽性菌状息肉腫(MF)である。一部の実施形態では、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(pcALCL)である。一部の実施形態では、被験体は、先行する全身性治療を受けている。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)である。一部の実施形態では、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)は、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)である。
【0195】
一部の実施形態では、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、ホジキンリンパ腫について以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、自家幹細胞移植後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、第1選択の治療後に再発し、かつ被験体は、自家幹細胞移植に対して不適格である。一部の実施形態では、被験体は、ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、ホジキンリンパ腫は、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)である。一部の実施形態では、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)は、進行cHLである。一部の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されている。一部の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されていない。
【0196】
一部の実施形態では、方法は、免疫応答を調節することが可能な1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片でない。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0197】
一部の実施形態では、方法は、1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、ドキソルビシン、ビンブラスチン、およびダカルバジン(AVD)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、葉酸拮抗剤、代謝拮抗剤、抗チューブリン剤、アウリスタチン、化学療法増感剤、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、および/またはビンカアルカロイドである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、アンドロゲン、アントラマイシン(AMC)、アスパラギナーゼ、5-アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(BSNU)、CC-1065、クロラムブシル、シスプラチン、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン、シチジンアラビノシド、サイトカラシンB、ダカルバジン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ダウノルビシン、デカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エストロゲン、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、グラミシジンD、ヒドロキシダウノルビシン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ニトロイミダゾール、パクリタキセル、プリカマイシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プロカルビジン(procarbizine)、ストレプトゾトシン、テノポシド(tenoposide)、6-チオグアニン、チオTEPA、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、VP-16およびVM-26からなる群より選択される。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0198】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていないcHLを有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、ダカルバジン(dacarabazine)およびビンブラスチンである。一部の実施形態では、cHLは、進行cHLである。
【0199】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾンである。
【0200】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾロンである。
【0201】
一部の実施形態では、方法は、照射を用いて被験体を治療するステップをさらに含む。
【0202】
別の態様では、本発明は、抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含む、癌を有する被験体での免疫応答を調節する方法を提供し、このとき、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュケートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性部分を含み、調節は、被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞に対するCD8+ T細胞の比率を増加させることを含む。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率は、抗体-薬物コンジュゲートの投与前の被験体でのCD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率と比較して増加する。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率を、抗体-薬物コンジュゲートを用いて治療されたことがない被験体でのCD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率と比較して増加する。
【0203】
一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞は、CD30+誘導性T調節(iTreg)細胞またはCD30+末梢T調節(pTreg)細胞である。
【0204】
一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)である。
【0205】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、モノクローナル抗CD30抗体AC10である。一部の実施形態では、抗CD30抗体は、cAC10である。一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、ブレンツキシマブ・ベドチンである。
【0206】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、このとき、重鎖可変領域は、
(i) 配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) 配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii) 配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含み;かつ軽鎖可変領域は、
(i) 配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) 配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii) 配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む。
【0207】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0208】
一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、抗CD30抗体またはその抗原結合性部分とモノメチルアウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能リンカーおよび非切断可能リンカーからなる群より選択される。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能ペプチドリンカーである。一部の実施形態では、切断可能ペプチドリンカーは、式:-MC-vc-PAB-を有する。一部の実施形態では、リンカーは、式:-MC-を有する非切断可能リンカーである。
【0209】
一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されている。一部の実施形態では、被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されていない。
【0210】
一部の実施形態では、癌は、リンパ腫である。一部の実施形態では、リンパ腫は、T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、リンパ腫は、B細胞リンパ腫である。
【0211】
一部の実施形態では、リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫について以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、成熟T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、または皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。一部の実施形態では、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、菌状息肉腫(MF)である。一部の実施形態では、菌状息肉腫は、CD30陽性菌状息肉腫(MF)である。一部の実施形態では、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(pcALCL)である。一部の実施形態では、被験体は、先行する全身性治療を受けている。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)である。一部の実施形態では、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)は、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)である。
【0212】
一部の実施形態では、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、ホジキンリンパ腫について以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、自家幹細胞移植後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、第1選択の治療後に再発し、かつ被験体は、自家幹細胞移植に対して不適格である。一部の実施形態では、被験体は、ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、ホジキンリンパ腫は、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)である。一部の実施形態では、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)は、進行cHLである。一部の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されている。一部の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されていない。
【0213】
一部の実施形態では、方法は、免疫応答を調節することが可能な1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片でない。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0214】
一部の実施形態では、方法は、1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、ドキソルビシン、ビンブラスチン、およびダカルバジン(AVD)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、葉酸拮抗剤、代謝拮抗剤、抗チューブリン剤、アウリスタチン、化学療法増感剤、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、および/またはビンカアルカロイドである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、アンドロゲン、アントラマイシン(AMC)、アスパラギナーゼ、5-アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(BSNU)、CC-1065、クロラムブシル、シスプラチン、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン、シチジンアラビノシド、サイトカラシンB、ダカルバジン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ダウノルビシン、デカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エストロゲン、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、グラミシジンD、ヒドロキシダウノルビシン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ニトロイミダゾール、パクリタキセル、プリカマイシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プロカルビジン(procarbizine)、ストレプトゾトシン、テノポシド(tenoposide)、6-チオグアニン、チオTEPA、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、VP-16およびVM-26からなる群より選択される。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0215】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていないcHLを有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、ダカルバジン(dacarabazine)およびビンブラスチンである。一部の実施形態では、cHLは、進行cHLである。
【0216】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾンである。
【0217】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾロンである。
【0218】
一部の実施形態では、方法は照射を用いて被験体を治療するステップをさらに含む。
【0219】
C. 治療方法
一部の実施形態では、本開示は、治療上有効量の抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含む、腫瘍または腫瘍を患っている被験体を治療するための方法を対象とし、このとき、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュケートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性断片(「抗CD30抗体-薬物コンジュゲート」)を含む。一部の実施形態では、被験体での癌を治療する方法は、抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含み、このとき、該抗体-薬物コンジュゲートの投与後に、CD30+ T調節(Treg)の活性が低下する。一部の実施形態では、被験体での癌を治療する方法は、抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含み、このとき、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュケートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性部分を含み、該抗体-薬物コンジュゲートの投与後に、被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞に対するCD8+ T細胞の比率が増加する。一部の実施形態では、被験体での癌を治療する方法は、抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含み、このとき、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュケートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性部分を含み、該抗体-薬物コンジュゲートの投与後に、免疫応答が調節され、該調節は、被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞に対するCD8+ T細胞の比率を増加させることを含む。
【0220】
一部の実施形態では、腫瘍は、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、またはそれらの組み合わせに由来する。特定の実施形態では、被験体は、1回、2回、3回、4回、5回またはそれ以上の先行する癌治療を受けている。他の実施形態では、被験体は、治療ナイーブである。一部の実施形態では、被験体は、他の癌治療に進んでいる。一部の実施形態では、被験体は、先行する癌治療を受け、かつ、該先行する治療に応答しなかったか、またはその後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、先行する癌治療後に再発し、かつ自家幹細胞移植に対して不適格である。一部の実施形態では、被験体は、自家幹細胞移植後に再発した。一部の実施形態では、腫瘍が再発している。一部の実施形態では、腫瘍は転移性である。他の実施形態では、腫瘍は転移性ではない。
【0221】
特定の実施形態では、腫瘍は、HLに由来する(例えば、HLを含む腫瘍)。特定の実施形態では、被験体は、HLについて以前に治療されていない。特定の実施形態では、被験体は、ホジキンリンパ腫について以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。特定の実施形態では、被験体は、第1選択の治療後に再発し、かつ被験体は、自家幹細胞移植に対して不適格である。特定の実施形態では、被験体は、自家幹細胞移植後に再発した。特定の実施形態では、HLは、古典的HL(cHL;例えば、結節硬化型HL、混合細胞型HL、リンパ球豊富型HL、またはリンパ球枯渇型HL)である。他の実施形態では、HLは、結節性リンパ球優位型HLである。特定の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されていない。特定の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されていない。特定の実施形態では、cHLは、進行cHLである。特定の実施形態では、被験体は、進行cHLについて以前に治療されていない。特定の実施形態では、被験体は、進行cHLについて以前に治療されていない。
【0222】
他の実施形態では、腫瘍は、NHLに由来する。一部の実施形態では、腫瘍は、NHLを含む。特定の実施形態では、NHLは、再発性または難治性NHLである。特定の実施形態では、NHLは、以前に治療されていない。特定の実施形態では、被験体は、NHLについて以前に治療されていない。特定の実施形態では、被験体は、NHLについて以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、NHLは、B細胞リンパ腫、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、バーキットリンパ腫、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、またはそれらのいずれかの組み合わせである。一部の実施形態では、NHLは、T細胞リンパ腫、例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、菌状息肉腫、未分化大細胞リンパ腫、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫、またはそれらのいずれかの組み合わせである。特定の実施形態では、NHLは、DLBCL、PTCL、CTCL、およびそれらのいずれかの組み合わせから選択される。特定の実施形態では、NHLは、再発性または難治性CTCLであるCTCLである。特定の実施形態では、T細胞リンパ腫は、成熟T細胞リンパ腫である。特定の実施形態では、被験体は、成熟T細胞リンパ腫について以前に治療されていない。
【0223】
一部の実施形態では、被験体での癌を治療する方法は、抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含み、このとき、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュケートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性部分を含み、該抗体-薬物コンジュゲートの投与後に、CD30+ T調節(Treg)の活性が低下する。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞の活性を低下させることは、CD30+ Treg細胞の数の減少を含む。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞の数は、1種以上の他のタイプのCD4+ T細胞の数と比較して、減少する。一部の実施形態では、1種以上の他のタイプのCD4+ T細胞は、Th1細胞、Th2細胞またはTh17細胞を含む。一部の実施形態では、1種以上の他のタイプのCD4+ T細胞は、Th1 CD30+細胞、Th2 CD30+細胞またはTh17 CD30+細胞を含む。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞の数は、抗体-薬物コンジュゲートの投与前の被験体でのCD30+ Treg細胞の数と比較して、減少する。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞の数は、抗体-薬物コンジュゲートを用いて治療されたことがない被験体と比較して、減少する。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞の活性を低下させることは、CD30+ Treg細胞の機能の低下を含む。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞の機能の低下は、抗体-薬物コンジュゲートの投与前の被験体でのCD30+ Treg細胞の機能と比較したものである。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞の機能の低下は、抗体-薬物コンジュゲートを用いて治療されたことがない被験体でのCD30+ Treg細胞の機能と比較したものである。
【0224】
一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞は、CD30+誘導性T調節(iTreg)細胞またはCD30+末梢T調節(pTreg)細胞である。
【0225】
一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)である。
【0226】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、モノクローナル抗CD30抗体AC10である。一部の実施形態では、抗CD30抗体は、cAC10である。一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、ブレンツキシマブ・ベドチンである。
【0227】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、このとき、重鎖可変領域は、
(i) 配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) 配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii) 配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含み;かつ軽鎖可変領域は、
(i) 配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) 配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii) 配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む。
【0228】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0229】
一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、抗CD30抗体またはその抗原結合性部分とモノメチルアウリスタチンとの間にリンカーを含む。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能リンカーおよび非切断可能リンカーからなる群より選択される。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能ペプチドリンカーである。一部の実施形態では、切断可能ペプチドリンカーは、式:-MC-vc-PAB-を有する。一部の実施形態では、リンカーは、式:-MC-を有する非切断可能リンカーである。
【0230】
一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されている。一部の実施形態では、被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されていない。
【0231】
一部の実施形態では、癌は、リンパ腫である。一部の実施形態では、リンパ腫は、T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、リンパ腫は、B細胞リンパ腫である。
【0232】
一部の実施形態では、リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫について以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、成熟T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、または皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。一部の実施形態では、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、菌状息肉腫(MF)である。一部の実施形態では、菌状息肉腫は、CD30陽性菌状息肉腫(MF)である。一部の実施形態では、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(pcALCL)である。一部の実施形態では、被験体は、先行する全身性治療を受けている。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)である。一部の実施形態では、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)は、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)である。
【0233】
一部の実施形態では、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、ホジキンリンパ腫について以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、自家幹細胞移植後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、第1選択の治療後に再発し、かつ被験体は、自家幹細胞移植に対して不適格である。一部の実施形態では、被験体は、ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、ホジキンリンパ腫は、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)である。一部の実施形態では、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)は、進行cHLである。一部の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されている。一部の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されていない。
【0234】
一部の実施形態では、方法は、免疫応答を調節することが可能な1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片でない。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0235】
一部の実施形態では、方法は、1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、ドキソルビシン、ビンブラスチン、およびダカルバジン(AVD)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、葉酸拮抗剤、代謝拮抗剤、抗チューブリン剤、アウリスタチン、化学療法増感剤、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、および/またはビンカアルカロイドである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、アンドロゲン、アントラマイシン(AMC)、アスパラギナーゼ、5-アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(BSNU)、CC-1065、クロラムブシル、シスプラチン、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン、シチジンアラビノシド、サイトカラシンB、ダカルバジン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ダウノルビシン、デカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エストロゲン、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、グラミシジンD、ヒドロキシダウノルビシン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ニトロイミダゾール、パクリタキセル、プリカマイシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プロカルビジン(procarbizine)、ストレプトゾトシン、テノポシド(tenoposide)、6-チオグアニン、チオTEPA、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、VP-16およびVM-26からなる群より選択される。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0236】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていないcHLを有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、ダカルバジン(dacarabazine)およびビンブラスチンである。一部の実施形態では、cHLは、進行cHLである。
【0237】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾンである。
【0238】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾロンである。
【0239】
一部の実施形態では、方法は、照射を用いて被験体を治療するステップをさらに含む。
【0240】
一部の実施形態では、被験体での癌を治療する方法は、抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含み、このとき、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュケートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性部分を含み、該抗体-薬物コンジュゲートの投与後に、被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞に対するCD8+ T細胞の比率が増加する。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率は、抗体-薬物コンジュゲートの投与前の被験体でのCD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率と比較して増加する。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率は、抗体-薬物コンジュゲートを用いて治療されたことがない被験体でのCD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率と比較して増加する。
【0241】
一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞は、CD30+誘導性T調節(iTreg)細胞またはCD30+末梢T調節(pTreg)細胞である。
【0242】
一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)である。
【0243】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、モノクローナル抗CD30抗体AC10である。一部の実施形態では、抗CD30抗体は、cAC10である。一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、ブレンツキシマブ・ベドチンである。
【0244】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、このとき、重鎖可変領域は、
(i) 配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) 配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii) 配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含み;かつ軽鎖可変領域は、
(i) 配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) 配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii) 配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む。
【0245】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0246】
一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、抗CD30抗体またはその抗原結合性部分とモノメチルアウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能リンカーおよび非切断可能リンカーからなる群より選択される。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能ペプチドリンカーである。一部の実施形態では、切断可能ペプチドリンカーは、式:-MC-vc-PAB-を有する。一部の実施形態では、リンカーは、式:-MC-を有する非切断可能リンカーである。
【0247】
一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されている。一部の実施形態では、被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されていない。
【0248】
一部の実施形態では、癌は、リンパ腫である。一部の実施形態では、リンパ腫は、T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、リンパ腫は、B細胞リンパ腫である。
【0249】
一部の実施形態では、リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫について以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、成熟T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、または皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。一部の実施形態では、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、菌状息肉腫(MF)である。一部の実施形態では、菌状息肉腫は、CD30陽性菌状息肉腫(MF)である。一部の実施形態では、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(pcALCL)である。一部の実施形態では、被験体は、先行する全身性治療を受けている。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)である。一部の実施形態では、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)は、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)である。
【0250】
一部の実施形態では、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、ホジキンリンパ腫について以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、自家幹細胞移植後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、第1選択の治療後に再発し、かつ被験体は、自家幹細胞移植に対して不適格である。一部の実施形態では、被験体は、ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、ホジキンリンパ腫は、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)である。一部の実施形態では、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)は、進行cHLである。一部の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されている。一部の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されていない。
【0251】
一部の実施形態では、方法は、免疫応答を調節することが可能な1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片でない。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0252】
一部の実施形態では、方法は、1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、ドキソルビシン、ビンブラスチン、およびダカルバジン(AVD)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、葉酸拮抗剤、代謝拮抗剤、抗チューブリン剤、アウリスタチン、化学療法増感剤、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、および/またはビンカアルカロイドである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、アンドロゲン、アントラマイシン(AMC)、アスパラギナーゼ、5-アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(BSNU)、CC-1065、クロラムブシル、シスプラチン、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン、シチジンアラビノシド、サイトカラシンB、ダカルバジン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ダウノルビシン、デカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エストロゲン、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、グラミシジンD、ヒドロキシダウノルビシン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ニトロイミダゾール、パクリタキセル、プリカマイシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プロカルビジン(procarbizine)、ストレプトゾトシン、テノポシド(tenoposide)、6-チオグアニン、チオTEPA、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、VP-16およびVM-26からなる群より選択される。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0253】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていないcHLを有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、ダカルバジン(dacarabazine)およびビンブラスチンである。一部の実施形態では、cHLは、進行cHLである。
【0254】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾンである。
【0255】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾロンである。
【0256】
一部の実施形態では、方法は、照射を用いて被験体を治療するステップをさらに含む。
【0257】
一部の実施形態では、被験体での癌を治療する方法は、抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含み、このとき、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュケートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性部分を含み、該抗体-薬物コンジュゲートの投与後に免疫応答が調節され、調節は、被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞に対するCD8+ T細胞の比率を増加させることを含む。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率は、抗体-薬物コンジュゲートの投与前の被験体でのCD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率と比較して増加する。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率は、抗体-薬物コンジュゲートを用いて治療されたことがない被験体でのCD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率と比較して増加する。
【0258】
一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞は、CD30+誘導性T調節(iTreg)細胞またはCD30+末梢T調節(pTreg)細胞である。
【0259】
一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)である。
【0260】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、モノクローナル抗CD30抗体AC10である。一部の実施形態では、抗CD30抗体は、cAC10である。一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、ブレンツキシマブ・ベドチンである。
【0261】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、このとき、重鎖可変領域は、
(i) 配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) 配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii) 配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含み;かつ軽鎖可変領域は、
(i) 配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) 配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii) 配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む。
【0262】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0263】
一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、抗CD30抗体またはその抗原結合性部分とモノメチルアウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能リンカーおよび非切断可能リンカーからなる群より選択される。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能ペプチドリンカーである。一部の実施形態では、切断可能ペプチドリンカーは、式:-MC-vc-PAB-を有する。一部の実施形態では、リンカーは、式:-MC-を有する非切断可能リンカーである。
【0264】
一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されている。一部の実施形態では、被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されていない。
【0265】
一部の実施形態では、癌は、リンパ腫である。一部の実施形態では、リンパ腫は、T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、リンパ腫は、B細胞リンパ腫である。
【0266】
一部の実施形態では、リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫について以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、成熟T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、または皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。一部の実施形態では、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、菌状息肉腫(MF)である。一部の実施形態では、菌状息肉腫は、CD30陽性菌状息肉腫(MF)である。一部の実施形態では、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(pcALCL)である。一部の実施形態では、被験体は、先行する全身性治療を受けている。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)である。一部の実施形態では、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)は、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)である。
【0267】
一部の実施形態では、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、ホジキンリンパ腫について以前に治療されており、かつ被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、自家幹細胞移植後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、第1選択の治療後に再発し、かつ被験体は、自家幹細胞移植に対して不適格である。一部の実施形態では、被験体は、ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、ホジキンリンパ腫は、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)である。一部の実施形態では、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)は、進行cHLである。一部の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されている。一部の実施形態では、被験体は、cHLについて以前に治療されていない。
【0268】
一部の実施形態では、方法は、免疫応答を調節することが可能な1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片でない。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0269】
一部の実施形態では、方法は、1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、ドキソルビシン、ビンブラスチン、およびダカルバジン(AVD)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、葉酸拮抗剤、代謝拮抗剤、抗チューブリン剤、アウリスタチン、化学療法増感剤、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、および/またはビンカアルカロイドである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、アンドロゲン、アントラマイシン(AMC)、アスパラギナーゼ、5-アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(BSNU)、CC-1065、クロラムブシル、シスプラチン、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン、シチジンアラビノシド、サイトカラシンB、ダカルバジン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ダウノルビシン、デカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エストロゲン、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、グラミシジンD、ヒドロキシダウノルビシン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ニトロイミダゾール、パクリタキセル、プリカマイシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プロカルビジン(procarbizine)、ストレプトゾトシン、テノポシド(tenoposide)、6-チオグアニン、チオTEPA、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、VP-16およびVM-26からなる群より選択される。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0270】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていないcHLを有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、ダカルバジン(dacarabazine)およびビンブラスチンである。一部の実施形態では、cHLは、進行cHLである。
【0271】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾンである。
【0272】
一部の実施形態では、被験体は、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾロンである。
【0273】
一部の実施形態では、方法は、照射を用いて被験体を治療するステップをさらに含む。
【0274】
一部の実施形態では、癌を治療する方法は、抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含む、被験体での皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)を治療する方法であり、このとき、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュケートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性部分を含む。一部の実施形態では、該抗体-薬物コンジュゲートの投与後に、被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞に対するCD8+ T細胞の比率が増加する。一部の実施形態では、該抗体-薬物コンジュゲートの投与後に免疫応答が調節され、このとき、調節は、CD30+ T調節(Treg)細胞に対するCD8+ T細胞の比率を増加させることを含む。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率は、抗体-薬物コンジュゲートの投与前の被験体でのCD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率と比較して増加する。一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率は、抗体-薬物コンジュゲートを用いて治療されたことがない被験体でのCD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率と比較して増加する。一部の実施形態では、被験体は、CTCLに対する治療に応答しなかったか、またはCTCLに対する第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、CTCLについて以前に治療されていない。
【0275】
一部の実施形態では、CD30+ Treg細胞は、CD30+誘導性T調節(iTreg)細胞またはCD30+末梢T調節(pTreg)細胞である。
【0276】
一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。一部の実施形態では、モノメチルアウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)である。
【0277】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、モノクローナル抗CD30抗体AC10である。一部の実施形態では、抗CD30抗体は、cAC10である。一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、ブレンツキシマブ・ベドチンである。
【0278】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、このとき、重鎖可変領域は、
(i) 配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) 配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii) 配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含み;かつ軽鎖可変領域は、
(i) 配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) 配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii) 配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む。
【0279】
一部の実施形態では、抗CD30抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0280】
一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、抗CD30抗体またはその抗原結合性部分とモノメチルアウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能リンカーおよび非切断可能リンカーからなる群より選択される。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能ペプチドリンカーである。一部の実施形態では、切断可能ペプチドリンカーは、式:-MC-vc-PAB-を有する。一部の実施形態では、リンカーは、式:-MC-を有する非切断可能リンカーである。
【0281】
一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されている。一部の実施形態では、被験体は、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した。一部の実施形態では、被験体は、癌について以前に治療されていない。
【0282】
一部の実施形態では、方法は、免疫応答を調節することが可能な1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片でない。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0283】
一部の実施形態では、方法は、1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、ドキソルビシン、ビンブラスチン、およびダカルバジン(AVD)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)から本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、葉酸拮抗剤、代謝拮抗剤、抗チューブリン剤、アウリスタチン、化学療法増感剤、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、および/またはビンカアルカロイドである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、アンドロゲン、アントラマイシン(AMC)、アスパラギナーゼ、5-アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(BSNU)、CC-1065、クロラムブシル、シスプラチン、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン、シチジンアラビノシド、サイトカラシンB、ダカルバジン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ダウノルビシン、デカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エストロゲン、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、グラミシジンD、ヒドロキシダウノルビシン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ニトロイミダゾール、パクリタキセル、プリカマイシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プロカルビジン(procarbizine)、ストレプトゾトシン、テノポシド(tenoposide)、6-チオグアニン、チオTEPA、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、VP-16およびVM-26からなる群より選択される。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0284】
一部の実施形態では、方法は、照射を用いて被験体を治療するステップをさらに含む。
【0285】
一部の実施形態では、癌を治療する方法は、抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含む、被験体での非ホジキンリンパ腫またはホジキンリンパ腫を治療する方法であり、このとき、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュケートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性部分を含む。一部の実施形態では、該抗体-薬物コンジュゲートの投与後に、被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞に対するCD8+ T細胞の比率が増加する。一部の実施形態では、該抗体-薬物コンジュゲートの投与後に免疫応答が調節され、このとき、該調節は、CD30+ T調節(Treg)細胞に対するCD8+ T細胞の比率を増加させることを含む。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫またはホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、癌は、非ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、非ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない。一部の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、成熟T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、成熟T細胞リンパ腫について以前に治療されておらず、かつ、該方法は、1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、プレドニゾンおよびプレドニゾロンからなる群より選択される1種以上の薬剤を含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、およびプレドニゾンから本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、およびプレドニゾロンから本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、癌は、ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、ホジキンリンパ腫は、古典的ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、被験体は、古典的ホジキンリンパ腫について以前に治療されておらず、かつ、該方法は、1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、ビンブラスチン、およびダカルバジンから本質的になる化学療法レジメンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、ビンブラスチン、およびダカルバジンから本質的になる化学療法レジメンである。
【0286】
一部の実施形態では、本方法は、免疫応答を調節することが可能な1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片でない。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、抗体またはその抗原結合性断片である。
【0287】
一部の実施形態では、本方法は、1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、葉酸拮抗剤、代謝拮抗剤、抗チューブリン剤、アウリスタチン、化学療法増感剤、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、および/またはビンカアルカロイドである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、アンドロゲン、アントラマイシン(AMC)、アスパラギナーゼ、5-アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(BSNU)、CC-1065、クロラムブシル、シスプラチン、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン、シチジンアラビノシド、サイトカラシンB、ダカルバジン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ダウノルビシン、デカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エストロゲン、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、グラミシジンD、ヒドロキシダウノルビシン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ニトロイミダゾール、パクリタキセル、プリカマイシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プロカルビジン(procarbizine)、ストレプトゾトシン、テノポシド(tenoposide)、6-チオグアニン、チオTEPA、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、VP-16およびVM-26からなる群より選択される。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、アドリアマイシン、ダカルバジン(dacarabazine)およびビンブラスチンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、およびプレドニゾンである。一部の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、およびプレドニゾロンである。
【0288】
他の実施形態では、本発明の方法は、有効量の抗CD30抗体-薬物コンジュゲートを投与するステップを含む。抗CD30抗体-薬物コンジュゲートは、一定用量または体重に基づく用量であり得る。
【0289】
特定の実施形態では、本開示の療法(例えば、抗CD30抗体-薬物コンジュゲートの投与)は、被験体の生存期間を、効果的に増加させる。例えば、被験体の生存期間は、別の療法を用いて治療された別の被験体と比較した場合に、少なくとも約1ヵ月、少なくとも約2ヵ月、少なくとも約3ヵ月、少なくとも約4ヵ月、少なくとも約5ヵ月、少なくとも約6ヵ月、少なくとも約7ヵ月、少なくとも約8ヵ月、少なくとも約9ヵ月、少なくとも約10ヵ月、少なくとも約11ヵ月、または少なくとも約1年以上、増加する。
【0290】
特定の実施形態では、本開示の療法は、被験体の無増悪生存期間を効果的に増加させる。例えば、被験体の無増悪生存期間は、別の療法を用いて治療された別の被験体と比較した場合に、少なくとも約1ヵ月、少なくとも約2ヵ月、少なくとも約3ヵ月間、少なくとも約4ヵ月、少なくとも約5ヵ月、少なくとも約6ヵ月、少なくとも約7ヵ月、少なくとも約8ヵ月、少なくとも約9ヵ月、少なくとも約10ヵ月、少なくとも約11ヵ月、または少なくとも約1年、増加する。
【0291】
特定の実施形態では、本開示の療法は、被験体の群における応答率を、効果的に増加させる。例えば、被験体の群における応答率は、別の療法を用いて治療された別の被験体の群と比較した場合に、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%または少なくとも約100%増加する。
【0292】
III. 組成物
一部の態様では、本明細書中に記載された抗CD30抗体-薬物コンジュゲートのうちのいずれか(例えば、ヒトCD30に結合する抗CD30抗体-薬物コンジュゲート)を含む組成物(例えば、医薬組成物)が本明細書中に提供される。本開示の抗CD30-薬物コンジュゲートは、抗体-薬物コンジュゲートおよび製薬上許容される担体を含有する組成物、例えば、医薬組成物中に構成されることができる。本明細書中で用いる場合、「製薬上許容される担体」としては、生理学的に適合可能なありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、ならびに等張化剤および吸収遅延剤などが挙げられる。一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートを含有する組成物のための担体は、静脈内、筋内、皮下、非経口、脊髄内、または表皮投与(例えば、注入または点滴による)に対して好適である。本開示の医薬組成物としては、1種以上の製薬上許容される塩、抗酸化剤、水性および非水性担体、ならびに保存料、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などのアジュバントを挙げることができる。
【0293】
治療用製剤は、最適な製薬上許容される担体、賦形剤または安定化剤と、所望の純度を有する活性成分を混合することにより、保存用に調製される(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Ed., Lippincott Williams & Wiklins, Pub., Gennaro Ed., Philadelphia, Pa. 2000)。許容される担体、賦形剤、または安定化剤は、用いられる投与量および濃度で、レシピエントに対して無毒であり、緩衝剤、抗酸化剤(アスコルビン酸を含む)、メチオニン、ビタミンE、メタ重亜硫酸ナトリウム;保存料、等張化剤(isotonicifier)、安定化剤、金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);キレート剤(EDTAなど)および/または非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0294】
緩衝剤は、特に、安定性がpH依存的である場合、治療的有効性を最適化する範囲内にpHを制御するために用いることができる。緩衝剤は、約50mM~約250mMの範囲の濃度で存在することができる。本発明と共に使用するために好適な緩衝剤としては、有機および無機酸の両方ならびにそれらの塩が挙げられる。例えば、クエン酸(塩)、リン酸(塩)、コハク酸(塩)、酒石酸(塩)、フマル酸(塩)、グルコン酸(塩)、シュウ酸(塩)、乳酸(塩)、酢酸(塩)。加えて、緩衝剤は、ヒスチジンおよびトリスなどのトリメチルアミン塩から構成されることができる。
【0295】
保存料は、微生物増殖を妨げるために添加することができ、典型的には、約0.2%~1.0%(w/v)の範囲内で存在する。本発明と共に使用するために好適な保存料としては、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;ハロゲン化ベンザルコニウム(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、塩化ベンゼトニウム;チメロサール、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン(メチルまたはプロピルパラベンなど);カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール、3-ペンタノール、およびm-クレゾールが挙げられる。
【0296】
ときには「安定化剤」として知られる等張化剤は、組成物中の液体の等張性を調整または維持するために存在することができる。タンパク質および抗体などの大型荷電生体分子と共に用いる場合、それらは、アミノ酸側鎖の荷電基と相互作用して、それにより分子間および分子内相互作用の可能性を低減させることができるので、多くの場合に「安定化剤」と称される。等張化剤は、他の成分の相対量を考慮して、約0.1重量%~約25重量%または約1~約5重量%の任意の量で存在することができる。一部の実施形態では、等張化剤としては、多価糖アルコール、三価またはそれ以上の糖アルコール、例えば、グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトールおよびマンニトールが挙げられる。
【0297】
追加の賦形剤としては、以下のうちの1種以上として機能することができる剤が挙げられる:(1) 増量剤、(2) 溶解性増強剤、(3) 安定化剤および(4) 変性または容器の壁への接着を妨げる剤。そのような賦形剤としては、以下のものが挙げられる:多価糖アルコール(上記に列挙された);アミノ酸(アラニン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、オルニチン、ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸、トレオニンなど);有機糖または糖アルコール(スクロース、ラクトース、ラクチトール、トレハロース、スタキオース、マンノース、ソルボース、キシロース、リボース、リビトール、ミオイニシトース(myoinisitose)、ミオイニシトール(myoinisitol)、ガラクトース、ガラクチトール、グリセロール、シクリトール(例えば、イノシトール)、ポリエチレングリコールなど);含硫還元剤(尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α-モノチオグリセロールおよびチオ硫酸ナトリウムなど);低分子量タンパク質(ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチンまたは他の免疫グロブリンなど);疎水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);単糖(例えば、キシロース、マンノース、フルクトース、グルコース);二糖(例えば、ラクトース、マルトース、スクロース);三糖(ラフィノースなど);および多糖(デキストリンまたはデキストランなど)。
【0298】
非イオン性界面活性剤またはデタージェント(「湿潤剤」としても知られる)は、治療剤(例えば、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート)の可溶化を補助し、ならびに撹拌により誘導される凝集化から治療剤(例えば、抗CD30抗体)を保護するために存在することができ、これはまた、活性な治療用タンパク質の変性を引き起こすことなく、せん断面応力(shear surface stress)に製剤を曝露することを可能にする。非イオン性界面活性剤は、約0.05mg/mL~約1.0mg/mLまたは約0.07mg/mL~約0.2mg/mLの範囲内で存在する。一部の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、約0.001%~約0.1%w/vまたは約0.01%~約0.1%w/vまたは約0.01%~約0.025%w/vの範囲内で存在する。
【0299】
好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリソルベート(20、40、60、65、80等)、ポロキサマー(polyoxamer)(184、188等)、プルロニック(PLURONIC(登録商標))ポリオール、トライトン(TRITON(登録商標))、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN(登録商標)-20、TWEEN(登録商標)-80等)、ラウロマクロゴール400、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン水添ヒマシ油10、50および60、モノステアリン酸グリセロール、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースが挙げられる。使用することができるアニオン性デタージェントとしては、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムおよびジオクチルスルホン酸ナトリウムが挙げられる。カチオン性デタージェントとしては、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウムが挙げられる。
【0300】
in vivo投与のために製剤を用いる目的では、それらは無菌でなければならない。製剤は、滅菌ろ過メンブレンを通したろ過により無菌にすることができる。本明細書中の治療用組成物は、一般的に、無菌取り出し口(access port)を有する容器、例えば、皮下注射針により穿孔可能な栓を有する静脈内溶液バッグ(intravenous solution bag)またはバイアル内に配置される。
【0301】
投与経路は、好適な様式での長時間にわたる単回もしくは複数回ボーラスまたは点滴、例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋内、動脈内、病変内もしくは関節内経路による注入または点滴、局所投与、吸入または持続放出もしくは徐放手段によるなどの、公知かつ認められた方法に従う。
【0302】
本明細書中の製剤はまた、治療される特定の症状に対して必要である場合、2種以上の活性化合物、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含有することができる。あるいは、またはそれに加えて、組成物は、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、葉酸拮抗剤、代謝拮抗剤、抗チューブリン剤、アウリスタチン、化学療法増感剤、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、および/またはビンカアルカロイドを含むことができる。一部の実施形態では、組成物は、アドリアマイシン、アンドロゲン、アントラマイシン(AMC)、アスパラギナーゼ、5-アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(BSNU)、CC-1065、クロラムブシル、シスプラチン、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン、シチジンアラビノシド、サイトカラシンB、ダカルバジン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ダウノルビシン、デカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エストロゲン、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、グラミシジンD、ヒドロキシダウノルビシン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ニトロイミダゾール、パクリタキセル、プリカマイシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プロカルビジン(procarbizine)、ストレプトゾトシン、テノポシド(tenoposide)、6-チオグアニン、チオTEPA、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、VP-16またはVM-26を含むことができる。一部の実施形態では、組成物は、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびプレドニゾン(CHP)を含むことができる。一部の実施形態では、組成物は、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびプレドニゾロンを含むことができる。一部の実施形態では、組成物は、ドキソルビシン、ビンブラスチン、およびダカルバジン(AVD)を含むことができる。そのような分子は、好適には、意図される目的のために有効である量で、組み合わせて存在する。
【0303】
投与レジメンは、最適な所望の応答、例えば、最大限の治療的応答および/または最小限の有害作用を提供するよう調整される。一部の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)は、体重に基づく用量で投与される。抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与に関して、投与量は、被験体の体重の、約0.01mg/kg~約20mg/kg、約0.05mg/kg~約20mg/kg、約0.1mg/kg~約20mg/kg、約0.1mg/kg~約15mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、約0.1mg/kg~約5mg/kg、約0.1mg/kg~約4mg/kg、約0.1mg/kg~約3mg/kg、約0.1~約2mg/kg、約1~約10mg/kg、約1~約10mg/kg、約1~約8mg/kg、約1~約5mg/kg、約1~約3mg/kg、約1~約2mg/kgの範囲であり得る。例えば、投与量は、被験体の体重の、約0.05mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1.0mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2.0mg/kg、約2.1mg/kg、約2.2mg/kg、約2.3mg/kg、約2.4mg/kg、約2.5mg/kg、約2.6mg/kg、約2.7mg/kg、約2.8mg/kg、約2.9mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、または約20mg/kgであり得る。
【0304】
一部の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、0.1mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、0.2mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、0.3mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、0.4mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、0.5mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、0.6mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、0.7mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、0.8mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、0.9mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、1.0mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、1.1mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、1.2mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、1.3mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、1.4mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、1.5mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、1.6mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、1.7mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、1.8mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、1.9mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、2.0mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、2.1mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、2.2mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、2.3mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、2.4mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、2.5mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、約5mg/kg体重である。他の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の投与量は、約10mg/kg体重である。
【0305】
特定の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)は、一定用量で投与される。一部の実施形態では、抗CD30抗体の一定用量は、少なくとも約1~約1500mg、少なくとも約10~約1000mg、例えば、少なくとも約50~約800mg、少なくとも約100~約600mg、少なくとも約100~約400mgまたは少なくとも約100~約200mgなど、例えば、少なくとも約1mg、少なくとも約3mg、少なくとも約5mg、少なくとも約8mg、少なくとも約10mg、少なくとも約20mg、少なくとも約30mg、少なくとも約40mg、少なくとも約50mg、少なくとも約60mg、少なくとも約70mg、少なくとも約80mg、少なくとも約90mg、少なくとも約100mg、少なくとも約110mg、少なくとも約120mg、少なくとも約130mg、少なくとも約140mg、少なくとも約150mg、少なくとも約160mg、少なくとも約170mg、少なくとも約180mg、少なくとも約190mg、少なくとも約200mg、少なくとも約220mg、少なくとも約240mg、少なくとも約260mg、少なくとも約280mg、少なくとも約300mg、少なくとも約320mg、少なくとも約340mg、少なくとも約360mg、少なくとも約380mg、少なくとも約400mg、少なくとも約420mg、少なくとも約440mg、少なくとも約460mg、少なくとも約480mg、少なくとも約500mg、少なくとも約600mg、少なくとも約700mg、少なくとも約800mg、少なくとも約900mg、少なくとも約1000mg、少なくとも約1100mg、少なくとも約1200mg、少なくとも約1300mg、少なくとも約1400mg、または少なくとも約1500mgなどの用量(例えば、一定用量)である。
【0306】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)は、一定用量で投与される。一部の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲートの一定用量は、約1~約1500mg、約10~約1000mg、例えば、約50~約800mg、約100~約600mg、約100~約400mgまたは約100~約200mgなど、例えば、約1mg、約3mg、約5mg、約8mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約220mg、約240mg、約260mg、約280mg、約300mg、約320mg、約340mg、約360mg、約380mg、約400mg、約420mg、約440mg、約460mg、約480mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、または約1500mgなどの用量(例えば、一定用量)である。
【0307】
例示的投与レジメンは、週1回、約2週間に1回、約3週間に1回、約4週間に1回、約1ヵ月に1回、約3~6ヵ月またはそれ以上に1回での投与を必然的に伴う。特定の実施形態では、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)は、約3週間に1回投与される。
【0308】
一部の実施形態では、治療量以下の用量の抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)が、本明細書中の方法で用いられる。本明細書中の方法で用いられる抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)の治療量以下の投与量は、0.001mg/kg超および10mg/kg未満である。一部の実施形態では、治療量以下の用量は、約0.001mg/kg~約10mg/kg、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.01mg/kg~約1mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、または約0.001mg/kg~約0.1mg/kg体重である。一部の実施形態では、治療量以下の用量は、少なくとも約0.001mg/kg、少なくとも約0.005mg/kg、少なくとも約0.01mg/kg、少なくとも約0.05mg/kg、少なくとも約0.1mg/kg、少なくとも約0.2mg/kg、少なくとも約0.3mg/kg、少なくとも約0.4mg/kg、少なくとも約0.5mg/kg、少なくとも約0.6mg/kg、少なくとも約0.7mg/kg、少なくとも約0.8mg/kg、少なくとも約0.9mg/kg、少なくとも約1mg/kg、少なくとも約1.1mg/kg、少なくとも約1.2mg/kg、少なくとも約1.3mg/kg、少なくとも約1.4mg/kg、少なくとも約1.5mg/kg、少なくとも約1.6mg/kg、または少なくとも約1.7mg/kg体重である。
【0309】
一部の実施形態では、治療は、臨床的利益が観察される限り、または許容できない毒性もしくは疾患進行が生じるまで、継続される。
【0310】
投与量および頻度は、被験体における治療剤(例えば、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート)の半減期に応じて変わる。一般的に、ヒト抗体が最も長い半減期を示し、それにヒト化抗体、キメラ抗体、および非ヒト抗体が続く。投与量および投与の頻度は、治療が予防的であるかまたは治療的であるかに応じて変わり得る。予防的用途では、典型的には、比較的低用量が、長期にわたって比較的低い頻度の間隔で投与される。一部の患者は、その人生の残りの時間、治療を受け続ける。治療的用途では、疾患の進行が減少または停止するまで、かつ患者が疾患の症状の部分的または完全な改善を示すまで、比較的短い間隔での比較的高用量が、ときには必要とされる。その後、患者は、予防的レジームを施与されることができる。
【0311】
本開示の医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、患者に対して過度に毒性になることなく、特定の患者、組成物、および投与様式に関して所望の治療的応答を達成するために有効である活性成分の量を得るように、変化させることができる。選択される投与量レベルは、用いられる本開示の特定の組成物の活性をはじめとする様々な薬物動態学的要素、投与経路、投与時期、用いられる特定の化合物の排出率、治療の継続期間、用いられる特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/または材料、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、全身健康状態、および既往歴、ならびに医療分野で周知の同様の要素に依存するであろう。本開示の組成物は、当技術分野で周知の様々な方法のうちの1種以上を用いて1種以上の投与経路を介して投与することができる。当業者には理解されるように、投与の経路および/または様式は、所望の結果に応じて変わるであろう。
【0312】
IV. 製品またはキット
本明細書中に記載される治療剤(例えば、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート)を含む製品またはキットもまた、本開示の範囲内に入る。製品またはキットは、本発明の方法で治療剤(例えば、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート)を使用するための取扱説明書をさらに含むことができる。製品またはキットは、典型的には、製品またはキットの内容物の意図される用途を示すラベルおよび使用説明書を含む。ラベルとの用語は、製品もしくはキット上またはそれと共に供給されるあらゆる書面または記録材料を含む。つまり、特定の実施形態では、製品またはキットは、癌を有する被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞の活性を低下させる方法および/または癌を有する被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞に対するCD8+ T細胞の比率を増加させる方法などの、本明細書中に開示される方法のうちのいずれかで、抗CD30抗体-薬物コンジュゲート(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン)を使用するための取扱説明書を含む。一部の実施形態では、被験体はヒトである。
【0313】
一部の実施形態では、癌を患っている(例えば、癌を有する)被験体の治療のための製品またはキットが本明細書中に提供され、該キットは、以下を含む:(a) 約0.1mg~約500mgの範囲の投与量の抗CD30抗体-薬物コンジュゲート;および(b) 本明細書中に開示される方法のうちのいずれかで抗CD30抗体-薬物コンジュゲートを使用するための取扱説明書。ヒト患者を治療するための特定の実施形態では、製品またはキットは、本明細書中に開示される抗ヒトCD30抗体-薬物コンジュゲート、例えば、ブレンツキシマブ・ベドチンを含む。
【0314】
製品またはキットはさらに、容器を含むことができる。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル(例えば、デュアルチャンバーバイアル)、シリンジ(シングルまたはデュアルチャンバーシリンジなど)および試験管が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成することができる。容器は、製剤を保持する。
【0315】
製品またはキットはさらに、ラベルまたは添付文書を含むことができ、これは、容器上に、または容器に添えられており、製剤の再構成および/もしくは使用に関する指示を示すことができる。ラベルまたは添付文書はさらに、製剤が、個体での、皮下投与、静脈内投与、または他の投与様式に有用であるかまたはそれを目的とすることを示すことができる。製剤を保持する容器は、単回使用バイアルまたは複数回使用バイアルであり得、それは、再調製された製剤の反復投与を可能にする。製品またはキットはさらに、好適な希釈剤を含む第2の容器を含むことができる。製品またはキットはさらに、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および使用説明書を伴う添付文書をはじめとする、商業上、治療上、およびユーザーの視点から望ましい他の材料を含むことができる。
【0316】
具体的な実施形態では、本発明は、単回用量投与単位のためのキットを提供する。そのようなキットは、シングルまたはマルチチャンバーの両方の予め充填されたシリンジをはじめとする、治療用抗体の水性製剤の容器を含む。例示的な予め充填されたシリンジは、Vetter GmbH, Ravensburg, Germanyから入手可能である。
【0317】
本発明はまた、癌を有する被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞の活性を低下させる方法および/または癌を有する被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞に対するCD8+ T細胞の比率を増加させる方法などの、本明細書中に開示される方法のうちのいずれかで使用するための、1種以上の治療剤(例えば、第2の治療剤)と組み合わせた、CD30(例えば、ヒトCD30)に結合する本明細書中に記載される抗CD30抗体-薬物コンジュゲートも提供する。一部の実施形態では、本明細書中の製品またはキットはさらに、任意により、第2の治療用医薬品(例えば、第2の治療剤)を含む容器を含み、このとき、抗CD30抗体-薬物コンジュゲートが第1の医薬(例えば、第1の治療剤)であり、かつ製品またはキットはさらに、有効量で第2の医薬を用いて個体を治療するためのラベルまたは添付文書上の指示を含む。一部の実施形態では、キットはさらに、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、葉酸拮抗剤、代謝拮抗剤、抗チューブリン剤、アウリスタチン、化学療法増感剤、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤またはビンカアルカロイドを含む。一部の実施形態では、キットはさらに、以下からなる群より選択される第2の治療剤を含む:アドリアマイシン、アンドロゲン、アントラマイシン(AMC)、アスパラギナーゼ、5-アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(BSNU)、CC-1065、クロラムブシル、シスプラチン、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン、シチジンアラビノシド、サイトカラシンB、ダカルバジン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ダウノルビシン、デカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エストロゲン、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、グラミシジンD、ヒドロキシダウノルビシン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ニトロイミダゾール、パクリタキセル、プリカマイシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プロカルビジン(procarbizine)、ストレプトゾトシン、テノポシド(tenoposide)、6-チオグアニン、チオTEPA、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、VP-16およびVM-26。一部の実施形態では、キットは、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびプレドニゾン(CHP)を含む。一部の実施形態では、キットは、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびプレドニゾロンを含む。一部の実施形態では、キットは、ドキソルビシン、ビンブラスチン、およびダカルバジン(AVD)を含む。
【0318】
別の実施形態では、自己注射デバイスでの投与用の、本明細書中に記載される製剤を含む製品またはキットが、本明細書中に提供される。自己注射器は、起動すれば、患者または投与者からの追加の動作を必要とせずに、その内容物を送達するであろう、注入デバイスとして説明することができる。自己注射器は、送達速度が一定でなければならず、かつ送達時間が数秒よりも長い場合に、治療用製剤の自己投薬に特に適している。
【0319】
本明細書中に記載される態様および実施形態は例示目的のみのためであること、およびそれらに照らして様々な改変または変更が、当業者に対して示唆されるであろうし、かつ本出願の精神および範囲ならびに特許請求の範囲の範囲内に含められることが理解される。
本発明は以下の態様も提供する。
[1] 抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含む、癌を有する被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞の活性を低下させる方法であって、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュゲートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性部分を含む、上記方法。
[2] CD30+ Treg細胞の活性を低下させることが、CD30+ Treg細胞の数の減少を含む、[1]に記載の方法。
[3] CD30+ Treg細胞の数が、1種以上の他のタイプのCD4+ T細胞の数と比較して減少する、[2]に記載の方法。
[4] 前記1種以上の他のタイプのCD4+ T細胞が、Th1細胞、Th2細胞またはTh17細胞を含む、[3]に記載の方法。
[5] 前記1種以上の他のタイプのCD4+ T細胞が、Th1 CD30+細胞、Th2 CD30+細胞またはTh17 CD30+細胞を含む、[4]に記載の方法。
[6] CD30+ Treg細胞の数が、前記抗体-薬物コンジュゲートの投与前の前記被験体でのCD30+ Treg細胞の数と比較して減少する、[2]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7] CD30+ Treg細胞の活性を低下させることが、CD30+ Treg細胞の機能の低下を含む、[1]に記載の方法。
[8] CD30+ Treg細胞の機能の低下が、前記抗体-薬物コンジュゲートの投与前の被験体でのCD30+ Treg細胞の機能と比較したものである、[7]に記載の方法。
[9] 抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含む、癌を有する被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞に対するCD8+ T細胞の比率を増加させる方法であって、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュゲートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性部分を含む、上記方法。
[10] 抗体-薬物コンジュゲートを被験体に投与するステップを含む、癌を有する被験体での免疫応答を調節する方法であって、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンにコンジュゲートされた抗CD30抗体またはその抗原結合性部分を含み、調節が、被験体でのCD30+ T調節(Treg)細胞に対するCD8+ T細胞の比率を増加させることを含む、上記方法。
[11] CD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率が、前記抗体-薬物コンジュゲートの投与前の前記被験体でのCD30+ Treg細胞に対するCD8+ T細胞の比率と比較して増加する、[9]または[10]に記載の方法。
[12] CD30+ Treg細胞が、CD30+誘導性T調節(iTreg)細胞またはCD30+末梢T調節(pTreg)細胞である、[1]~[11]のいずれかに記載の方法。
[13] モノメチルアウリスタチンが、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である、[1]~[12]のいずれかに記載の方法。
[14] モノメチルアウリスタチンが、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)である、[1]~[12]のいずれかに記載の方法。
[15] 抗CD30抗体が、抗CD30抗体AC10である、[1]~[14]のいずれかに記載の方法。
[16] 抗CD30抗体が、cAC10である、[15]に記載の方法。
[17] 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗CD30抗体が重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、
重鎖可変領域は、
(i) 配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) 配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii) 配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含み;かつ軽鎖可変領域は、
(i) 配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) 配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii) 配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、[1]~[16]のいずれかに記載の方法。
[18] 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗CD30抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、[1]~[17]のいずれかに記載の方法。
[19] 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗CD30抗体が、配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、[1]~[17]のいずれかに記載の方法。
[20] 前記抗体-薬物コンジュゲートが、抗CD30抗体またはその抗原結合性部分とモノメチルアウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む、[1]~[19]のいずれかに記載の方法。
[21]前記リンカーが切断可能ペプチドリンカーである、[20]に記載の方法。
[22] 前記切断可能ペプチドリンカーが、式-MC-vc-PAB-を有する、[21]に記載の方法。
[23] 前記抗体-薬物コンジュゲートが、ブレンツキシマブ・ベドチンである、[1]~[22]のいずれかに記載の方法。
[24] 前記被験体が、癌について以前に治療されている、[1]~[23]のいずれかに記載の方法。
[25] 前記被験体が、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した、[24]に記載の方法。
[26] 前記被験体が、癌について以前に治療されていない、[1]~[23]のいずれかに記載の方法。
[27] 癌がリンパ腫である、[1]~[26]のいずれかに記載の方法。
[28] リンパ腫がT細胞リンパ腫である、[27]に記載の方法。
[29] リンパ腫がB細胞リンパ腫である、[27]に記載の方法。
[30] リンパ腫が非ホジキンリンパ腫である、[27]に記載の方法。
[31] 非ホジキンリンパ腫が成熟T細胞リンパ腫である、[30]に記載の方法。
[32] 非ホジキンリンパ腫が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、または皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である、[30]に記載の方法。
[33] 非ホジキンリンパ腫が、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である、[32]に記載の方法。
[34] 非ホジキンリンパ腫が、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)である、[32]に記載の方法。
[35] リンパ腫がホジキンリンパ腫である、[27]に記載の方法。
[36] 前記被験体が、ホジキンリンパ腫について以前に治療され、かつ該被験体が、治療に対して応答しなかったか、または第1選択の治療後に再発した、[35]に記載の方法。
[37] 前記被験体が、自家幹細胞移植後に再発した、[36]に記載の方法。
[38] 前記被験体が、第1選択の治療後に再発し、かつ該被験体が、自家幹細胞移植に対して不適格である、[36]に記載の方法。
[39] 前記被験体が、ホジキンリンパ腫について以前に治療されていない、[35]に記載の方法。
[40] ホジキンリンパ腫が古典的ホジキンリンパ腫(cHL)である、[35]~[39]のいずれかに記載の方法。
[41] 古典的ホジキンリンパ腫(cHL)が進行cHLである、[40]に記載の方法。
[42] 前記被験体が、cHLについて以前に治療されている、[40]または[41]に記載の方法。
[43] 前記被験体が、cHLについて以前に治療されていない、[40]または[41]に記載の方法。
[44] 前記方法が、免疫応答を調節することが可能な1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む、[1]~[43]のいずれかに記載の方法。
[45] 前記1種以上の追加の治療剤が、抗体またはその抗原結合性断片ではない、[44]に記載の方法。
[46] 前記1種以上の追加の治療剤が、抗体またはその抗原結合性断片である、[44]に記載の方法。
[47] 前記方法が、1種以上の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む、[1]~[43]のいずれかに記載の方法。
[48] 前記1種以上の追加の治療剤が、ドキソルビシン、ビンブラスチン、およびダカルバジン(AVD)から本質的になる化学療法レジメンである、[47]に記載の方法。
[49] 前記1種以上の追加の治療剤が、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)から本質的になる化学療法レジメンである、[47]に記載の方法。
[50] 前記1種以上の追加の治療剤が、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、葉酸拮抗剤、代謝拮抗剤、抗チューブリン剤、アウリスタチン、化学療法増感剤、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、および/またはビンカアルカロイドである、[47]に記載の方法。
[51] 前記1種以上の追加の治療剤が、アドリアマイシン、アンドロゲン、アントラマイシン(AMC)、アスパラギナーゼ、5-アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(BSNU)、CC-1065、クロラムブシル、シスプラチン、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン、シチジンアラビノシド、サイトカラシンB、ダカルバジン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ダウノルビシン、デカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エストロゲン、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、グラミシジンD、ヒドロキシダウノルビシン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ニトロイミダゾール、パクリタキセル、プリカマイシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プロカルビジン(procarbizine)、ストレプトゾトシン、テノポシド(tenoposide)、6-チオグアニン、チオTEPA、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、VP-16およびVM-26からなる群より選択される、[47]に記載の方法。
[52] 前記被験体が、以前に治療されていないcHLを有し、かつ前記1種以上の追加の治療剤が、アドリアマイシン、ダカルバジン(dacarabazine)およびビンブラスチンである、[47]に記載の方法。
[53] cHLが、進行cHLである、[52]に記載の方法。
[54] 前記被験体が、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ前記1種以上の追加の治療剤が、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾンである、[47]に記載の方法。
[55] 前記被験体が、以前に治療されていない成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ前記1種以上の追加の治療剤が、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシンおよびプレドニゾロンである、[47]に記載の方法。
[56] 前記1種以上の追加の治療剤が、抗体またはその抗原結合性断片である、[47]に記載の方法。
[57] 照射(irradiation)を用いて前記被験体を治療するステップをさらに含む、[1]~[56]のいずれかに記載の方法。
[58] 前記未分化大細胞リンパ腫(ALCL)が、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)である、[34]に記載の方法。
[59] 前記皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)が、菌状息肉腫(MF)である、[33]に記載の方法。
[60] 前記菌状息肉腫(MF)が、CD30陽性菌状息肉腫(MF)である、[59]に記載の方法。
[61] 前記皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)が、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(pcALCL)である、[33]に記載の方法。
[62] 前記被験体が、先行する全身性治療を受けている、[61]に記載の方法。
【0320】
本発明は、以下の実施例を参照することによりさらに完全に理解されるであろう。それらは、しかしながら、本発明の範囲を限定するものと解釈するべきではない。本明細書中に記載される実施例および実施形態は、例示目的のみのためであること、およびそれらに照らして様々な改変または変更が、当業者に対して示唆されるであろうし、かつ本出願の精神および範囲ならびに特許請求の範囲の範囲内に含められることが理解される。
【実施例0321】
実施例1. 抗CD30抗体-薬物コンジュゲートは、in vitroで誘導性T調節細胞の増殖を害する
健康ドナーPBMC(Astarte Biologics, Bothell Washington)から単離されたCD4+ T細胞を用いて、誘導性T調節細胞(iTreg)を生成した。iTreg分化を、37℃、6ウェル組織培養プレート中で1~2週間にわたって行なった。細胞を、CD3/CD28 MACS iBead粒子(Miltenyi biotec社)と共に1:32ビーズ/細胞比で、IL-2(50ng/mL)、TGFβ(50ng/mL)、および1:100希釈のLipid-Mixture 1(Sigma-Aldrich社)を含有する2~3mLのX-VIVO 15培地(Lonza社)中でインキュベートした。iTregを、Attune NXTフローサイトメーター(Life Technologies社)でのFACS分析により、FoxP3およびCD30発現について評価した。分化後、個々のドナーiTreg集団は、20~80%FoxP3+および40~70%CD30+の範囲であった。
【0322】
iTreg生存率に対するブレンツキシマブ・ベドチン(BV)、および抗CD30抗体-薬物コンジュゲートの作用を評価するために、細胞を、BVまたは対照抗体-薬物コンジュゲート(IgG-MMAE)の存在下で、in vitroで増殖させた。簡潔には、iTregを、RPMI 10%FCS中でCD3/CD28ビーズ(8:1)と混合し、96ウェル丸底プレート中に約2.0×10
4細胞/ウェルで分配した。BVまたは対照IgG-MMAEの用量調整物(titration)を、最終体積200μLに対して、列記された濃度でレプリケートウェル(replicate wells)に加え、4~5日間、37℃でプレートをインキュベートした。アッセイの最終日に、細胞を、FACS分析のために、Zombie Aqua生存色素(Viability Dye)および非競合性モノクローナルαCD30-PE抗体(Biolegend社)を用いて染色した。BVは、5名の別々のドナー由来の合計生存iTreg数の用量依存的減少をもたらした(
図1A)。分化したiTregの集団は不均一なCD30発現を示し、かつBVはCD30発現細胞を選択的に標的とするので、CD30
+ iTregの数を測定した。培養物からの合計iTregの減少と一致して、BVは、CD30
+ iTregの枯渇の促進を示した(
図1B)。
【0323】
実施例2. 抗CD30抗体-薬物コンジュゲートを用いた処理は、iTreg数を減少させ、in vitroでのCD8
+
T細胞増殖の抑制を解除する。
in vitroでの活性化CD8
+ T細胞へのT調節細胞の添加は、CD8
+ T細胞増殖を機能的に抑制する。2名の別々のドナーから上記の通りに生成されたiTregは、in vitroで自家CD8
+ T細胞の増殖に対して抑制的活性を示した。
図2Aおよび
図2Bに示す通り、各ドナーに関して、iTreg/CD8
+ T細胞比の増加は、T細胞増殖をさらに抑止し、このことにより、抑制的機能が確認された。in vitroでのiTreg抑制に対するBVの作用を評価するために、共培養抑制アッセイを行なった。iTregとCD8
+ T細胞とを、1:2比で混合し、CD3/CD28ビーズと併せた。レプリケートウェルを、BVまたは対照IgG-MMAEの用量調整物(titration)を用いて処理した。4日間の培養後、生存iTregおよびCD8
+ T細胞を、フローサイトメトリーにより定量した。
図2Cおよび
図2Dに示す通り、BVの濃度増加は、選択的にiTregを減少させ、それにより、2名の別々のドナーに関して、CD8
+ T細胞蓄積の増大が生じた。
【0324】
実施例3. 抗CD30抗体-薬物コンジュゲートは、in vitroで、天然の末梢血Tregを枯渇させるが、CD8
+
T細胞は枯渇させない。
末梢血由来白血球除去システム(leukoreduction system、 LRS)チャンバーから富化したCD25
hi CD127
lo T調節細胞またはCD8
+ T細胞を、丸底96ウェル組織培養プレート中にCD3/CD28ビーズ+IL-2と共に播種し、BVまたは対照IgG-MMAEの用量調製物(titration)と共に4~5日間培養した。アッセイの最終日に、細胞を上記の通りに染色し(生存色素およびαCD30-PE抗体)、フローサイトメトリーにより評価した。各ドナーに関して、50%超の活性化末梢血TregおよびCD8
+ T細胞がCD30を発現し、このことは、BV標的化に対する豊富な抗原発現を実証した。iTreg培養物と同様に、BVは、4名の別々のドナー由来の生存CD30
+ Treg数の用量依存的減少をもたらした(
図3A)。対照的に、最大10μg/mLのBVは、CD30
+ CD8
+ T細胞を枯渇させなかった(
図3B)。
【0325】
実施例4. 抗CD30抗体-薬物コンジュゲートは、xeno-GVHDモデルでヒトT調節細胞を減少させ、かつCD8/Treg比を増加させる
in vivoでの活性化ヒトT細胞サブタイプに対するBVの活性を評価するために、急性異種移植片誘導型移植片対宿主病(xeno-GVHD)のモデルを利用した。このモデルでは、免疫不全NSGマウスを、0日目に軽く放射線照射し(2Gy)、続いて、1日目に5×106個の健康ドナーPBMCを養子移入する。疾患経過は、マウス反応性ヒトCD4+およびCD8+ T細胞の活性化および増殖により駆動され、かつ疾患動態は、ヒトT調節細胞の添加により減速する。
【0326】
in vivoでの活性化CD8+ T細胞およびTregに対するBVの作用を評価するために、xeno-GVHDマウスに、5日目に、PBSまたはPBS中のBV(3mg/kg)の単回腹腔内注入を行った。12日目に、脾臓を回収し、70μmセルストレイナーを通して手動で分散させた。遠心分離後、個々の脾臓を、3mLのACK溶解バッファー(Sigma社)中に3分間、再懸濁し、赤血球を除去した。RPMI+10%FCSを用いて細胞を洗浄し、RBC溶解反応を停止させた。脾臓細胞を4mLの培地中に再懸濁し、200μLの細胞懸濁液を、染色およびフローサイトメトリー(FACS)による分析のために用いた。脾臓細胞懸濁液を、Zombie Aqua生存色素(Biolegend社)を用いて染色し、続いて、ヒトCD3、CD8、CD4、FoxP3、CD25、CD45、およびマウスCD45.1を標的とする蛍光標識抗体(1:50希釈、Biolegend社)を用いて染色バッファー(PBS、2%FCS、1%NRS、0.05%NaN3)中で4℃にて30分間染色した。細胞を洗浄し、Attune NXTフローサイトメーターを用いたプレートベースのFACSのために、120μLの染色バッファー中に再懸濁した。すべてのイベントを80μLのサンプルから収集し、FACS測定細胞濃度を用いて、ヒト免疫細胞の数を算出した。CD8+ T細胞は、生存色素neg、hCD45+、mCD45.1-、CD3+、CD8+細胞として特定された。Tregは、生存色素neg、hCD45+、mCD45.1-、CD3+、CD4+、FoxP3+、CD25+細胞として特定された。
【0327】
図4Aに示す通り、BVは、PBS単独と比較して、脾臓中のヒトT調節細胞を有意に減少させた。対照的に、脾臓CD8
+ T細胞は、BV処理により影響されず、数の増加傾向を有した(
図4B)。併せて考えると、BV処理は、in vivoでのCD8
+ T細胞/Treg比を増加させ、このことは、細胞傷害性T細胞活性の上昇と一致した(
図4C)。
【0328】
実施例5. 抗CD30抗体-薬物コンジュゲートは、古典的ホジキンリンパ腫を有する患者でCD30
+
T調節細胞を減少させた
循環中の免疫細胞に対するBVの作用は、以前には完全に明らかになっていなかった。再発したか、または最新の化学療法に対して不応性であった古典的ホジキンリンパ腫(cHL)を有する62名の成人患者が、BVを用いた治療を評価するための研究に参加した。患者は、難治性cHLに対して、サルベージ放射線療法をはじめとする先行するサルベージ療法;PD-1、CTLA4、もしくはCD137経路に影響を及ぼすBVまたはいずれかの免疫腫瘍学療法;および/または同種もしくは自家幹細胞移植(ASCT)を以前に受けていた場合には、除外された。BVを、1日目に1.8mg/kgの用量で患者に投与し、8日目に患者を評価した。フローサイトメトリーによる末梢血の免疫表現型決定を、ヘパリン化全血に対してQ2 Solutionsにより行なった。血漿バンキングにより得られた細胞ペレットを、T細胞受容体β(TCRβ)配列決定のためにAdaptive社に送った。末梢血単核細胞を、CPT管から単離し、凍結させ、続いてペプチド刺激後にCaprionによりその細胞内サイトカイン染色プラットフォームを用いて数回に分けて分析した。
【0329】
BV治療は、調節T細胞を含むTヘルパー細胞サブセット集団の減少をもたらしたように見受けられる(
図5)。BVはCD30標的化治療薬であり、かつCD30はB細胞およびT細胞をはじめとする免疫細胞上に一過性に発現されるので、患者での末梢血細胞上のCD30発現を評価した。調節T細胞は、試験したいずれの他のT細胞サブセットよりも多くのCD30を発現した(
図6)。これらのCD30発現調節T細胞は、BVを用いた治療後に末梢血中での数が有意に減少した(
図7)。加えて、BV治療は、他のCD30
+ Tヘルパー細胞の減少と比較した場合に、より有意にCD30
+調節T細胞の減少をもたらした。
【0330】
実施例6. CD30発現は、PBMC中のCD25
hi
CCR4
hi
FOXP3
hi
エフェクターTreg上で富化されている
健康ドナー由来の凍結保存されたPBMCを、生存色素、抗CD3、CD4、CD8、CD45RA、FoxP3、CCR4、CD127およびCD25(1:50希釈、Biolegend社)を用いて染色し、フローサイトメトリーにより評価した。メモリーT細胞およびナイーブT細胞集団は、CD45RA発現により区別した。T調節細胞は、CD4、CD25、FoxP3および/またはCD127の適切な発現により特定した。
図8Aに示す通り、CD30は、CD4
+およびCD8
+メモリーT細胞サブセットならびにナイーブT細胞サブセットと比較して、T調節細胞によって最も頻繁に発現されている。さらに、FoxP3発現TregをCD25
hiおよびCD25
low/neg集団へと細分すると、CD30の発現が、エフェクターT調節サブセット(FoxP3
hi CD25
hi CCR4
hi)に高度に関連することが示された(
図8B)。
【0331】
実施例7. T細胞サブセットのCD30発現および薬物排出の差異が、BVに対する感受性の基礎となっている可能性がある
T細胞サブセット(CD4
+、CD8
+、CD4
+ CD25
+ CD127
-)を、凍結保存されたPBMCから、磁性選別によりソーティングし、in vitroで7日間、CD3/CD28ビーズ(1:4)を用いて活性化した。毎日、フローサイトメトリーにより、CD30発現をモニタリングした。代表的ドナー由来の値を、CD30を発現する細胞の割合(
図9A)および平均蛍光強度(MFI)による相対発現強度(
図9B)として示す。富化されたT調節細胞は、活性化後に、CD4
+およびCD8
+ T細胞と比較して、高いCD30発現動態および全体的CD30受容体レベルを示した。
【0332】
T調節細胞上での高いCD30発現がペイロード送達の増強につながるか否かを調べるために、内在化アッセイを行なった。ピーク受容体発現が見られるin vitro刺激の4日目に、T細胞サブセットを、条件付き蛍光(conditionally fluorescent)抗CD30 mAbと共に6時間インキュベートした。インキュベーションの時間経過に沿って、消光された蛍光レポーターCD30 mAb構築物の活性化を介して、細胞内ペイロード放出について、フローサイトメトリーにより細胞を分析した(
図9C)。T調節細胞は、CD4
+およびCD8
+ T細胞と比較して、蛍光ペイロードの放出の加速および増加を示し、このことは、4日目での高いCD30発現と一致した。これらのデータは、CD30発現の差異が、T調節細胞(Treg)への薬物送達の増強を促す可能性があるという結論を支持する。
【0333】
MMAEを含む多数の化学療法に対する細胞の感度は、細胞内在性の薬物排出活性により影響される。T細胞サブセットを、製造業者のプロトコールに従って、ローダミン123排出アッセイを用いて、相対的排出ポンプ活性について評価した(Chemicon International社、多剤耐性直接色素排出アッセイ(Multidrug Resistance Direct Dye Efflux Assay))。富化されたT細胞集団に、ローダミン123を加え、37℃の水浴中でインキュベートし、フローサイトメトリーにより、5時間の時間経過にわたる蛍光の喪失について測定した。T調節細胞は、T細胞サブセットのうちで、最も緩慢なローダミン123排出を示し、一方で、CD8
+ T細胞は、細胞内ローダミン123の迅速なクリアランスを示した(
図9D)。
【0334】
まとめると、活性化T調節細胞は、薬物排出能力の欠損と共に、高いCD30受容体発現およびペイロード送達を示し、このことは、細胞傷害性CD8+ T細胞と比較して、BVに対する観察された感度についての機構的根拠を与える。
【0335】
SEQUENCE LISTING
<110> SEAGEN, INC.
<120> MODULATING THE IMMUNE RESPONSE USING ANTIBODY-DRUG CONJUGATES
<130> PA23-565
<150> US 62/657,511
<151> 2018-04-13
<150> US 62/576,017
<151> 2017-10-23
<150> US 62/572,345
<151> 2017-10-13
<160> 16
<170> FastSEQ for Windows Version 4.0
<210> 1
<211> 5
<212> PRT
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<220>
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<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic Construct
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Gly
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<223> Synthetic Construct
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<213> Artificial Sequence
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<223> Synthetic Construct
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1 5
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<223> Synthetic Construct
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<220>
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Ser Val Lys Ile Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr
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Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys
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