IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ウエ・ルコの特許一覧

<>
  • 特開-ダニ捕獲器 図1
  • 特開-ダニ捕獲器 図2
  • 特開-ダニ捕獲器 図3
  • 特開-ダニ捕獲器 図4
  • 特開-ダニ捕獲器 図5
  • 特開-ダニ捕獲器 図6
  • 特開-ダニ捕獲器 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162200
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ダニ捕獲器
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/02 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A01M1/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077522
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】596106984
【氏名又は名称】株式会社ウエ・ルコ
(72)【発明者】
【氏名】藤原 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】今井 浩介
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA16
2B121BA03
2B121BA05
2B121BA47
2B121CA02
2B121CA53
2B121CA64
2B121CA67
2B121CC15
2B121EA01
2B121FA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明では、誘引性能に優れダニの捕獲効果が良好に行われるダニ捕獲器の提供を目的とする。
さらに、本発明は上記に加え、視覚的な作用により需要者の購買意欲を喚起できるダニ捕獲器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、内部に収納空間を有するカバー部と、前記収納空間に収納される誘引捕獲部材とを備え、前記誘引捕獲部材は、ダニを誘引するための誘引手段と、粘着層を有する捕獲手段とを備え、前記カバー部は、ダニが通過可能な空隙を有するダニ捕獲器を、解決手段とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収納空間を有するカバー部と、前記収納空間に収納される誘引捕獲部材とを備え、
前記誘引捕獲部材は、ダニを誘引するための誘引手段と、粘着層を有する捕獲手段を備え、
前記カバー部は、ダニが通過可能な空隙を有することを特徴とするダニ捕獲器。
【請求項2】
前記カバー部は、通気性生地で中綿状部材を被覆してなるシート部材によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載のダニ捕獲器。
【請求項3】
前記誘引捕獲部材における前記捕獲手段は、基材層の表裏面に前記粘着層を積層し、さらに当該表裏面の前記粘着層に夫々不織布層を積層したものとし、
前記誘引捕獲部材は、前記誘引手段上に前記捕獲手段を重合し、不織布からなる収容袋により包持した構成としたことを特徴とする請求項1に記載のダニ捕獲器。
【請求項4】
前記カバー部は前記収納空間を開口させる開口部を備え、
表面の少なくとも一部に意匠を表示する第1の意匠表示部を有するプレートを備え、
前記開口部から前記収納空間に前記プレートが挿入されており、かつ前記プレートの前記第1の意匠表示部が前記開口部から収納空間外に露出して設けられることを特徴とする請求項1に記載のダニ捕獲器。
【請求項5】
前記プレートにおける前記収納空間内に配置される部位に、ダニを誘引するための第2の誘引手段を備えていることを特徴とする請求項4に記載のダニ捕獲器。
【請求項6】
前記カバー部は、その形状を含んだ第2の意匠表示部を有することを特徴とする請求項1に記載のダニ捕獲器。
【請求項7】
少なくとも一部に透明部分を有しかつ第3の意匠表示部を有する包装材によって、包装されており、前記第1の意匠表示部若しくは前記第2の意匠表示部が前記包装材の前記透明部分から透過して外部から視認可能であり、前記第1の意匠表示部若しくは前記第2の意匠表示部と、前記第3の意匠表示部とが組み合わせて視認されるようにしたことを特徴とする請求項4、5又は6に記載のダニ捕獲器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絨毯、敷物、布団、マットレス、ソファー、自動車の座席シートなどに繁殖するダニを集めて捕獲するダニ捕獲器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、布団や絨毯などに生息するダニを捕獲する種々の捕獲器が提案されている。例えば従来のダニ用の捕獲器として、通気性のある不織布で構成される捕集効果を有する外シート層を裏表の2層とし、その外シート層の間に誘引層と粘着層とを積層した防ダニシートが公知である(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-253103
【0004】
特許文献の特開2002-253103に記載の防ダニシートは誘引層の誘引剤により誘引されたダニが外シート層を通過し、粘着層に至ったダニが粘着剤に付着することでダニを捕らえて死滅させるものであるが、粘着剤に付着しないと捕獲できないため、捕獲能力の点で不十分であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明では、誘引性能に優れダニの捕獲効果が良好に行われるダニ捕獲器の提供を目的とする。
さらに、本発明は上記に加え、視覚的な作用により需要者の購買意欲を喚起できるダニ捕獲器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内部に収納空間を有するカバー部と、前記収納空間に収納される誘引捕獲部材とを備え、前記誘引捕獲部材は、ダニを誘引するための誘引手段と、粘着層を有する捕獲手段とを備え、前記カバー部は、ダニが通過可能な空隙を有するダニ捕獲器を、上記課題を解決するための手段とする。ここで、ダニが通過可能な空隙とは直径0.1mm~1mmの空隙であり、好ましくは、直径0.5mm以上の空隙である。
【0007】
また本発明は、上記発明の構成を前提としたうえで、前記カバー部は、通気性生地で中綿状部材を被覆してなるシート部材によって構成されているダニ捕獲器を、上記課題を解決するための手段とする。
【0008】
また本発明は、上記いずれかの発明の構成を前提としたうえで、前記誘引捕獲部材における前記捕獲手段は、基材層の表裏面に前記粘着層を積層し、さらに当該表裏面の前記粘着層に夫々不織布層を積層したものとし、前記誘引捕獲部材は、前記誘引手段上に前記捕獲手段を重合し、不織布からなる収容袋により包持した構成としたダニ捕獲器を、上記課題を解決するための手段とする。
【0009】
また本発明は、上記いずれかの発明の構成を前提としたうえで、前記カバー部は前記収納空間を開口させる開口部を備え、表面の少なくとも一部に意匠を表示する第1の意匠表示部を有するプレートを備え、前記開口部から前記収納空間に前記プレートが挿入されており、かつ前記プレートの前記第1の意匠表示部が前記開口部から収納空間外に露出して設けられるダニ捕獲器を、上記課題を解決するための手段とする。
【0010】
また本発明は、上記いずれかの発明の構成を前提としたうえで、前記プレートにおける前記収納空間内に配置される部位に、ダニを誘引するための第2の誘引手段を備えているダニ捕獲器を、上記課題を解決するための手段とする。
【0011】
また本発明は、上記いずれかの発明の構成を前提としたうえで、前記カバー部は、その形状を含んだ第2の意匠表示部を有するダニ捕獲器を、上記課題を解決するための手段とする。
【0012】
また本発明は、上記いずれかの発明の構成を前提としたうえで、少なくとも一部に透明部分を有しかつ第3の意匠部を有する包装材によって、包装されており、前記第1の意匠表示部若しくは前記第2の意匠表示部が前記包装材の前記透明部分から透過して外部から視認可能であり、前記第1の意匠表示部若しくは前記第2の意匠表示部と、前記第3の意匠表示部とが組み合わせて視認されるようにしたダニ捕獲器を、上記課題を解決するための手段とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の構成によれば、誘引剤により誘引されたダニが、粘着剤に至らずとも、最外装に配置される、カバー部内に滞留することにより従来のダニ捕獲用シートより格段に捕獲効果が得られる。
【0014】
本発明の構成によれば、前記カバー部は、通気性生地で中綿状部材を被覆してなるシート部材によって構成されているダニ捕獲器としたことから、中綿状部材にダニを滞留することで、従来のダニ捕獲用シートより格段に捕獲効果が得られる。
【0015】
本発明の構成によれば、前記誘引捕獲部材における前記捕獲手段は、基材層の表裏面に前記粘着層を積層し、さらに当該表裏面の前記粘着層に夫々不織布層を積層したものとし、前記誘引捕獲部材は、前記誘引手段上に前記捕獲手段を重合し、不織布からなる収容袋により包持した構成としたダニ捕獲器としたことから、上記いずれかの発明の作用効果が得られるうえに、誘引と粘着によるダニ捕獲の効果を得ることができる。
【0016】
本発明の構成によれば、誘引捕獲部材以外に第2の誘引手段を備えることで、全体的な誘引剤の揮散量を増加させ誘引効果を高めることができる。また異なる2つの誘引剤により対象のダニに好適な誘引剤を適用することで種々のダニを誘引可能とする効果も得られる。
【0017】
本発明の構成によれば、カバー部が、第1の意匠表示部を有するプレートを備えること、若しくは、カバー部がその形状を含んだ第2の意匠表示部を有すること(例えば、カバー部が、そのカバー部の形状を動物又は実在する物体などを模した形状とすること)によって、視覚作用により需要者の購買意欲を喚起できるという効果が得られる。
【0018】
また、少なくとも一部に透明部分を有しかつ第3の意匠部を有する包装材によって包装されており、前記第1の意匠表示部若しくは前記第2の意匠表示部が前記包装材の前記透明部分から透過して外部から視認可能であり、前記第1の意匠表示部及び/又は前記第2の意匠表示部と、前記第3の意匠表示部とが組み合わせて視認されるようにしたことで、その立体的な視覚作用により、需要者の購買意欲を喚起できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ダニ捕獲器の第1の実施形態の外観図
図2】ダニ捕獲器の第1の実施形態のA―A断面図
図3】誘引捕獲部材の拡大断面図
図4】ダニ捕獲器の第1の実施形態のプレートを示す説明図
図5】ダニ捕獲器の第1の実施形態の第3の意匠表示部を示す説明図
図6】ダニ捕獲器の第1の実施形態の包装形態を示す説明図
図7】ダニ捕獲器の第2の実施形態の外観図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明によるダニ捕獲器1の第1の実施形態の外観図である、また、図2はダニ捕獲器の第1の実施形態の断面図である。
【0021】
次にダニ捕獲器1の第1の実施形態の詳細な構成について説明する。
ダニ捕獲器1の第1の実施形態は、図1及び図2に示すように、主としてカバー部6と、プレート8と、誘引捕獲部材100とを有する。
【0022】
カバー部2は第1の通気性生地3及び第2の通気性生地4で中綿状部材5を被覆し、厚みのある立体構造としたシート部材2a、2bで構成されており、第1の通気性生地3、第2の通気性生地4はダニが通過可能な空隙を有する通気性のある素材で形成されている。ダニが通過可能な空隙は、直径0.1mm~1mm程度として確保されている。第1の通気性生地3、第2の通気性生地4の素材としては、ダニが通過可能な通気性を有する素材であればよく、例えば、綿のパイル生地、ポリエステル生地、不織布等を適用することができる。
カバー部2の大きさについては本発明の第1の実施形態は120mm×170mm×30mm(幅×奥行×厚み)としている。
【0023】
図1のダニ捕獲器1の第1の実施形態では、カバー部2は一のシート部材2aである掛け布団部分と他のシート部材2bである敷き布団部分を重ね合わせて布団を模した形状をしており、重ね合わせた掛け布団部分と敷布団部分との一端が開口し、開口部6が設けられる。
カバー部2の布団を模した形状は、第2の意匠表示部となる。
【0024】
前記開口部6から連通するようにカバー部2の内部に収納空間7が設けられている。収納空間7は、誘引捕獲部材100を内包できる。
【0025】
誘引捕獲部材100は、誘引手段21と捕獲手段11とを備えた構成である。
【0026】
誘引手段21は誘引剤22によりダニの誘引を行うもので、本発明では、誘引剤22は乾燥酵母としている。前記誘引手段21は、誘引剤22を不織布素材の誘引剤収納袋23に包み構成されている。前記誘引剤収納袋23は通気性のもので誘引剤22の誘引成分が揮散できるものが好ましい。誘引剤22はダニが好む香りを発するもので、且つ人体に影響が少ないものが好ましく、具体的にはビール酵母、ココナッツフレーバー、フルーツエキスなどの食品成分であることが好ましい。
【0027】
前記捕獲手段11は、基材の両面に粘着層12となる粘着剤が塗布されており、
前記粘着層12に対してダニが通過可能な不織布層13が表裏面に積層し配置される構成としている。誘引剤22により誘引されたダニが粘着層12に到達し付着することでダニを捕獲可能とした構造としている。
【0028】
また、前記誘引捕獲部材100の粘着層12にダニが到達しなくとも、カバー部2の中綿状部材5の内部は、ダニが留まることができる捕集空間となりダニを捕集することが可能である。カバー部2は中綿状部材5による捕集空間を確保するため立体構造になるものが良い。ダニ捕獲器1は、布団や絨毯などに設置した際に、設置箇所の凹凸により人に不快感を与えない厚みであることが良い。このためダニ捕獲器1は、10mm~30mmとなる厚みで形成されることが好ましい。10mm未満の場合、捕集空間の体積が少なくなりダニの捕獲量が少なくなる。また、30mmを超える場合、布団、マットレスなどに設置した際に、使用時の設置箇所の凹凸により不快感の原因となることが考えられる。
【0029】
本発明では、誘引捕獲部材100は図3に示すように、誘引手段の上に捕獲手段が重合するように配置され、ダニが通過可能且つ、誘引剤の香りが周囲に揮散可能な空隙を有する不織布素材の誘引剤収容袋23に内包された構成であり、前記カバー部2の収納空間7に配置される。
【0030】
第1の実施形態に係るダニ捕獲器1は、誘引剤として誘引手段21とは別に第2の誘引手段として前記プレート8を有する。前記プレート8は厚紙で形成されており表面には誘引シール9が貼り付けられる、前記誘引シール9は、粘着剤と基材が張り合わされたシート状のシールであり、基材部分には誘引香料が含浸されている。前記プレート8はカバー部2の開口部6から収納空間7に差し込まれ、誘引捕獲部材100の上に配置される。前記プレート8は、開口部6から収納空間7の外に一部が露出するように配置され、当該露出した一部が第1の意匠表示部として使用される。
第1の実施形態では上記したように、プレート8に前記誘引シール9を貼り付けた構成としているが、誘引プレート8は、厚紙自体に液体状の誘引剤を含浸させてもよい。
【0031】
本願発明のダニ捕獲器1の包装形態(以下、パッケージという。)に関しては、図6及び図5に示すように、プレート8の第1の意匠表示部と、カバー部2の第2の意匠表示部と、包装袋Xの透明部分及び第3の意匠表示部(斜め格子線で示した部分であって印刷部分)とによって構成される。
【0032】
パッケージは、包装袋Xの透明部分から、内部の製品形状、即ち、第2の意匠表示部及び第1の意匠表示部を視認可能とし、包装袋Xの第3の意匠表示部と、前記第2の意匠表示部及び第1の意匠表示部が立体的に表示され、また、需要者が販売前に製品を見ることができ、その意匠表示から需要者の購買意欲が増進される。
【0033】
第1の意匠表示部、第2の意匠表示部は、例えば、動物の形状、模様、色彩又はこれらの結合(以下、形状等という。)又は実在する物体を模した形状等とすることができる。
第3の意匠表示部を有する包装袋Xの少なくとも1か所に透明部分があることが好ましく、透明部分は第3の意匠部表示部の一部であってもよいし、全体であってもよい。
【0034】
図7はダニ捕獲器の第2の実施形態である。カバー部2の第2の意匠表示部を動物の形状にすることもでき、前記カバー部2の一端には開口部6が設けられ、前記開口部6から内部に収納空間7を有し、誘引捕獲部材100を収納可能とした構造である。
【0035】
(実験例)
誘引捕獲部材のみと誘引捕獲部材をカバー部に収納したダニ捕獲(以下、本願発明という。)で捕獲性能について比較を行った。夫々をダニと隣り合うように配置し24時間後の捕獲数を計測すると、誘引捕獲部材のみの場合は112匹であったのに対し、本願発明では256匹の捕獲が確認できた。
【符号の説明】
【0036】
1 ダニ捕獲器
2 カバー部
3 第1の通気性生地
4 第2の通気性生地
5 中綿状部材
6 開口部
7 収納空間
8 プレート
9 誘引シール
100 誘引捕獲部材
11 捕獲手段
12 粘着層
13 不織布層
21 誘引手段
22 誘引剤
23 誘引剤収容袋
30 誘引捕獲部材収納袋
X 包装袋
X1 透明部分
D1 第1の意匠部
D2 第2の意匠部
D3 第3の意匠部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7