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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162208
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A47L9/28 A
A47L9/28 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077534
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 敏弘
【テーマコード(参考)】
3B057
【Fターム(参考)】
3B057DA04
(57)【要約】
【課題】電力消費を抑制しつつ集塵パックを的確に膨らませることができる電気掃除機を提供する。
【解決手段】電気掃除機は、電源部から供給される電力で駆動し吸引力を発生させるための電動送風機と、吸い込まれた塵埃が集められる折り畳み可能な集塵パックを着脱可能なパック装着部と、前記電動送風機への入力電力が異なる複数の運転モードの何れかを選択するための操作部と、前記操作部で選択された前記運転モードに応じて、前記電動送風機を制御可能な制御部とを備え、前記制御部は、前記電動送風機が停止状態であるときに、前記操作部において所定操作が行われたと判断した場合、前記複数の運転モードのうちで入力電力が最も低い第一運転モードよりも高い入力電圧で、前記電動送風機を一定時間だけ駆動する特定運転を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部から供給される電力で駆動し吸引力を発生させるための電動送風機と、
吸い込まれた塵埃が集められる折り畳み可能な集塵パックを着脱可能なパック装着部と、
前記電動送風機への入力電力が異なる複数の運転モードの何れかを選択するための操作部と、
前記操作部で選択された前記運転モードに応じて、前記電動送風機を制御可能な制御部とを備え、
前記制御部は、前記電動送風機が停止状態であるときに、前記操作部において所定操作が行われたと判断した場合、前記複数の運転モードのうちで入力電力が最も低い第一運転モードよりも高い入力電圧で、前記電動送風機を一定時間だけ駆動する特定運転を実行する、
電気掃除機。
【請求項2】
前記制御部は、前記操作部において前記複数の運転モードのうち所定の運転モードに対応する選択ボタンが長押しされた場合、前記所定操作が行われたと判断する、
請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記制御部は、前記特定運転の実行後、前記電動送風機を前記所定の運転モードで制御するか、または前記電動送風機を停止させる、
請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記所定の運転モードは前記第一運転モードである、
請求項2または3に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記制御部は、前記操作部において前記特定運転に対応する選択ボタンが押された場合、前記所定操作が行われたと判断する、
請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記制御部は、前記特定運転の実行後、前記電動送風機を停止させる、
請求項5に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記一定時間は5秒以下である、
請求項1、2、3、5、及び6の何れかに記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記複数の運転モードは、前記第一運転モードと、前記第一運転モードよりも入力電力が高い第二運転モードとを含み、
前記制御部は、前記第二運転モードと同じ入力電力で、前記特定運転を実行する、
請求項1、2、3、5、及び6の何れかに記載の電気掃除機。
【請求項9】
前記制御部は、前記複数の運転モードのうちで入力電力が最も高い第三運転モードと同じ入力電圧で、前記特定運転を実行する、
請求項1、2、3、5、及び6の何れかに記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸い込まれた塵埃を紙パック等の集塵パックに集める電気掃除機が知られている。例えば特許文献1に開示の電気掃除機は、電動送風機の入力電力が最も低い動作モードが選択された場合、この動作モードにおける最低入力電力より高い入力電力で所定時間電動送風機を制御する。これにより、電動送風機の入力電力が最も低い動作モードでも、折り畳まれた集塵パックが膨らんで集塵量が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-355208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電気掃除機では、入力電力が最も低い動作モードが選択される毎に、電動送風機が最低入力電力より高い入力電力で所定時間駆動されるため、集塵パックが膨らんでいる場合でも、入力電力が最も低い動作モードが選択されると、電動送風機が最低入力電力より高い入力電力で所定時間駆動される。そのため、このような駆動を行わない電気掃除機と比較して消費電力が大きくなる。例えばバッテリから電力の供給を受ける充電式掃除機では、より長い運転時間を確保するために電力を効率よく使用することが望ましいところ、特許文献1の手法を搭載した電気掃除機の運転時間は、特許文献1の手法を搭載していない電気掃除機の運転時間よりも短くなる可能性がある。
【0005】
本開示の一態様は、電力消費を抑制しつつ集塵パックを的確に膨らませることができる電気掃除機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の電気掃除機は、電源部から供給される電力で駆動し吸引力を発生させるための電動送風機と、吸い込まれた塵埃が集められる折り畳み可能な集塵パックを着脱可能なパック装着部と、前記電動送風機への入力電力が異なる複数の運転モードの何れかを選択するための操作部と、前記操作部で選択された前記運転モードに応じて、前記電動送風機を制御可能な制御部とを備え、前記制御部は、前記電動送風機が停止状態であるときに、前記操作部において所定操作が行われたと判断した場合、前記複数の運転モードのうちで入力電力が最も低い第一運転モードよりも高い入力電圧で、前記電動送風機を一定時間だけ駆動する特定運転を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】電気掃除機の全体斜視図である。
図2】蓋を開けた掃除機本体の斜視図である。
図3】電気掃除機の電気的構成を示すブロック図である。
図4】第一実施形態に係る操作部の外観図である。
図5】第一実施形態に係るメイン処理のフローチャートである。
図6】第一実施形態の変形例に係るメイン処理のフローチャートである。
図7】第二実施形態に係る操作部の外観図である。
図8】第二実施形態に係るメイン処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0009】
[第一実施形態]
第一実施形態に係る電気掃除機1を説明する。図1は、電気掃除機1の全体斜視図である。図2は、蓋16を開けた掃除機本体10の斜視図である。図3は、電気掃除機1の電気的構成を示すブロック図である。図4は、第一実施形態に係る操作部6の外観図である。
【0010】
図1に示すように、第一実施形態の電気掃除機1は、吸込口体2、延長パイプ3、可撓性ホース4、及び掃除機本体10を備えたキャニスタ型の電気掃除機である。可撓性ホース4の先端には、操作ハンドル5を含む手元管が設けられている。例えば掃除機本体10は、掃除機本体10の前端に接続された可撓性ホース4と、可撓性ホース4の先端に設けられている手元管に接続された延長パイプ3とを介して、吸込口体2に接続される。
【0011】
図2に示すように、掃除機本体10の前面には、可撓性ホース4を着脱可能な接続口17が設けられる。掃除機本体10の背面には、電気掃除機1を通過した空気を外部に排出するための排気口(図示外)が設けられる。掃除機本体10の上面には、上方開口状のパック装着部40を開閉するための蓋16が設けられる。掃除機本体10の上側後方には、バッテリ50を着脱可能なバッテリ装着部18が設けられる。
【0012】
掃除機本体10の内部には、電動送風機30(図3参照)とパック装着部40とが設けられる。電動送風機30は、電源部から供給される電力で駆動し吸引力を発生させる。本例では、バッテリ50が電源部として機能する。パック装着部40は、吸い込まれた塵埃が集められる折り畳み可能な集塵パック(図示外)を着脱可能である。本例では、集塵パックは紙パックであるが、ビニールパック等でもよい。パック装着部40は、接続口17と電動送風機30との間に設けられる。電動送風機30の収納スペースとパック装着部40との間には、格子状の通風口41が設けられる。
【0013】
電気掃除機1では、電動送風機30が駆動して吸引力を発生すると、吸込口体2から塵埃を含む空気が吸い込まれ、その空気が延長パイプ3及び可撓性ホース4を経由して掃除機本体10に流入する。パック装着部40に装着された集塵パックは、接続口17から送られる空気に含まれる塵埃を捕集する。集塵パックで塵埃が除去された空気は、通風口41を介して電動送風機30側に移動し、排気口から排出される。
【0014】
図3に示すように、電気掃除機1を制御可能な制御部9が、掃除機本体10に設けられる。本例の制御部9は、所謂マイクロコンピュータとして構成されている。制御部9は、MCU(Micro Control Unit)又はMPU(Micro Processor Unit)でもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、その他の演算機能を有する回路でもよい。
【0015】
塵埃を掻き込むための回転ブラシとパワーブラシモータとを含むパワーブラシ60(図3参照)が、吸込口体2に設けられる。回転ブラシは、吸込口体2に内蔵されたパワーブラシモータによって回転駆動される。また、ユーザが電気掃除機1の動作を指示するための操作部6が、操作ハンドル5に設けられる。例えば操作部6は、電動送風機30への入力電力が異なる複数の運転モードの何れかを選択するために用いられる。電気掃除機1には、操作部6からの指令信号を掃除機本体10側および吸込口体2側へ送信する電気配線部(図示外)が設けられる。
【0016】
制御部9は、電動送風機30、操作部6、パワーブラシ60のパワーブラシモータ、及びバッテリ50と電気的に接続される。制御部9はバッテリ50からの供給電力によって、電動送風機30の動作を制御する。制御部9は、操作部6で選択された運転モードに応じて、電動送風機30を制御可能である。例えば制御部9は、運転モードに応じた入力電力で、電動送風機30を駆動して、その運転モードに応じた強さの吸引力を発生させる。また制御部9は、掃除運転時にパワーブラシモータを駆動することで、パワーブラシ60の回転ブラシを電動送風機30と連動して回転させる。
【0017】
本例では、複数の運転モードとして、最も吸引力が弱い弱運転モード、弱運転モードよりも吸引力が強い強運転モード、最も吸引力が強いフルパワ運転モード、及び吸引力が自動調整される自動運転モードが設けられる。図4に示すように、第一実施形態の操作部6は、三つの選択ボタンとして、ON/OFFボタン61、弱運転モードを選択するための弱ボタン62、及び強運転モードを選択するための強ボタン63を有する。
【0018】
以下の説明では、一回のボタン操作においてボタンの押し続けられた時間の長さが所定値未満である場合、そのボタン操作を短押しという。一回のボタン操作においてボタンの押し続けられた時間の長さが所定値以上である場合、そのボタン操作を長押しという。例えば所定値は1秒であるが、ユーザ又は製造者が任意の時間を所定値に設定してもよい。
【0019】
弱ボタン62が短押しされた場合、制御部9は弱運転モードを実行する。弱運転モードは、電動送風機30への入力電力が最も小さく、例えば50Wの定格入力電力で電動送風機30が駆動される。
【0020】
本例の弱ボタン62は、パック装着部40に装着した集塵パックを膨らませるための交換ボタンとしても機能する。電動送風機30が停止状態であるときに、弱ボタン62が長押しされると、制御部9は弱運転モードよりも吸引力の強い一定時間の特定運転を実行するが、詳細は後述する。
【0021】
強ボタン63が短押しされた場合、制御部9は強運転モードを実行する。強運転モードは、弱運転モードよりも電動送風機30への入力電力が高く、例えば150Wの定格入力電力で電動送風機30が駆動される。
【0022】
本例の強ボタン63は、フルパワ運転モードを選択するためのフルパワボタンとしても機能する。複数の運転モードの何れかが実行されているときに、強ボタン63が長押しされると、制御部9はフルパワ運転モードを一定時間だけ実行する。フルパワ運転モードは、電動送風機30への入力電力が最も大きく、例えば200Wの定格入力電力で電動送風機30が5秒間だけ駆動される。制御部9は、フルパワ運転モードの実行後、フルパワ運転モードの前に実行されていた元の運転モードに戻す。なお、上述した各モードの入力電力は一例であり、他の大きさの入力電力であってもよい。例えば、弱運転モード、強運転モード、及びフルパワ運転モードの各入力電力は、100W、200W、及び250Wでもよい。
【0023】
複数の運転モードの何れかが実行されているときに、ON/OFFボタン61が短押しされると、制御部9は電動送風機30への電力供給を停止して、電動送風機30が停止状態に制御される。
【0024】
電動送風機30が停止状態であるときに、ON/OFFボタン61が短押しされると、制御部9は自動運転モードを実行する。自動運転モードでは、パワーブラシ60で検知されるブラシ回転に対する抵抗の大きさに応じて、電動送風機30への入力電力が変更される。例えば、ブラシ回転に対する抵抗が所定値未満である場合、電動送風機30が弱運転モードと同じ入力電力で駆動される。ブラシ回転に対する抵抗が所定値以上である場合、電動送風機30が弱運転モードよりも高い入力電力で駆動される。
【0025】
第一実施形態の電気掃除機1で実行されるメイン処理を説明する。図5は、第一実施形態に係るメイン処理のフローチャートである。以下に説明するように、制御部9は、電動送風機30が停止状態であるときに、操作部6において所定操作が行われたと判断した場合、複数の運転モードのうちで入力電力が最も低い第一運転モードよりも高い入力電圧で、電動送風機30を一定時間だけ駆動する特定運転を実行する。
【0026】
まず制御部9は、操作部6において複数の運転モードのうち所定の運転モードに対応する選択ボタンが長押しされた場合、所定操作が行われたと判断する。本例では、弱ボタン62が、所定の運転モードに対応する選択ボタンに対応する。弱ボタン62の長押しが、操作部6における所定操作に対応する。具体的には、S501において制御部9は、操作部6でボタン操作があるかを判断する。操作部6でボタン操作がある場合、S503において制御部9は、ボタン操作が弱ボタン62の長押しであるかを判断する。ボタン操作が弱ボタン62の長押しである場合、S505において制御部9は、電動送風機30が停止状態であるかを判断する。
【0027】
電動送風機30が停止状態である場合、S507において制御部9は、弱運転モードよりも高い入力電圧で、電動送風機30を駆動する。具体的には、制御部9は、弱運転モードの入力電圧である50Wよりも高い入力電圧で、電動送風機30を駆動する。
【0028】
複数の運転モードは、第一運転モードと、第一運転モードよりも入力電力が高い第二運転モードとを含む。制御部9は、第二運転モードと同じ入力電力で、特定運転を実行する。本例では、弱運転モードが第一運転モードに対応し、強運転モードが第二運転モードに対応する。S507において制御部9は、例えば強運転モードと同じ入力電圧の150Wで、電動送風機30を駆動する。
【0029】
これに代えて、S507において電動送風機30は、50Wよりも高く且つ150W未満の入力電圧で駆動されてもよいし、150Wよりも高い入力電圧で駆動されてもよい。ただし、少なくとも集塵パックを確実に膨らませることができる入力電圧で駆動する必要がある。例えば、電動送風機30への入力電圧が100W以上であるときに集塵パックが確実に膨らむ電気掃除機1では、S507において電動送風機30は100W以上での入力電圧で駆動される。
【0030】
また制御部9は、複数の運転モードのうちで入力電力が最も高い第三運転モードと同じ入力電圧で、特定運転を実行してもよい。本例では、フルパワ運転モードが第三運転モードに対応する。そのため制御部9は、フルパワ運転モードと同じ入力電圧の200Wで、電動送風機30を駆動してもよい。
【0031】
S507における電動送風機30の駆動時間を、パック交換時の駆動時間という。S509において制御部9は、パック交換時の駆動時間が一定時間を経過したかを判断する。一定時間は、電動送風機30の回転速度又は回転数がゼロから目標値まで上昇するまでの所要時間よりも長ければよい。本例では、電動送風機30の回転数が、ゼロから強運転モードの目標回転数まで上昇するまでの所要時間が、2~3秒程度である。そのため一定時間は、この所要時間よりも長い5秒に設定されている。
【0032】
なお、パック交換時の駆動時間が長すぎると、電動送風機30の消費電力が大きくなり、電気掃除機1の運転時間がより短くなる可能性がある。そのため、一定時間は5秒以下が好ましい。本例では、一定時間が5秒に設定されているため、電動送風機30の消費電力を抑制しつつ、後述のように集塵パックを確実に膨らませることができる。
【0033】
S507~S509の処理により、電動送風機30が弱運転モードよりも強い吸引力で一定時間駆動する特定運転が実行される。制御部9は、特定運転の実行後、電動送風機30を停止させる。具体的には、パック交換時の駆動時間が一定時間を経過していない場合、制御部9は処理をS507に戻し、電動送風機30の駆動を継続する。パック交換時の駆動時間が一定時間を経過した場合、S511において制御部9は、電動送風機30の駆動を停止する。S511の実行後、制御部9は処理をS501に戻す。
【0034】
上述の特定運転は、集塵パックを膨らませるための吸引動作であるため、床面から塵埃を吸引しなくてもよい。そのため特定運転では、パワーブラシ60が駆動されずに停止した状態で、電動送風機30のみが駆動される。これに対し、上述した複数の運転モードは何れも、床面から塵埃を吸引する掃除運転であるため、電動送風機30及びパワーブラシ60の両方が駆動される。
【0035】
なお、S501において操作部6でボタン操作がない場合、制御部9は処理をS501に戻し、ボタン操作を待ち受ける。S503において弱ボタン62の長押しでない場合、S513において制御部9は、操作部6のボタン操作によって選択された運転モードを実行して、処理をS501に戻す。なお、S503においてON/OFFボタン61が短押しされた場合、複数の運転モードの何れかが実行されているときであれば、制御部9は電動送風機30への電力供給を停止して、電動送風機30を停止する。S505において電動送風機30が停止状態でない場合、弱ボタン62の長押しを無効にして、処理をS501に戻す。
【0036】
上述した第一実施形態の具体的な実施態様を説明する。例えば電気掃除機1の集塵パックに多量の塵埃が集められている場合、ユーザは電気掃除機1を停止状態にして、パック装着部40に装着されている集塵パックを交換する。このとき、パック装着部40に装着された新しい集塵パックは、通常折り畳まれており、十分に膨らんでいない状態にある。
【0037】
そこでユーザは、停止状態の電気掃除機1で集塵パックを交換した場合、弱ボタン62を長押しすることで、電気掃除機1に特定運転を実行させる。特定運転では、電動送風機30が弱運転モードよりも強い吸引力で短時間駆動されるため、集塵パックが相対的に強い風圧で確実に膨らむ。このように、集塵パックの交換時に特定運転が実行されることで、交換直後で折り畳まれている集塵パックを、電力消費を抑制しつつ的確に膨らませることができる。
【0038】
例えばバッテリ充電式の電気掃除機1では、消費電力を抑制して長時間の運転を行うために、ユーザは電気掃除機1を弱運転モードで使用することが想定される。しかし、弱運転モードの吸引力で集塵パックが十分に膨らまない場合、集塵パックに十分な集塵量を確保できない可能性がある。このような電気掃除機1においても、集塵パックの交換時に特定運転が実行されることで、電力消費を抑制しつつ集塵パックを的確に膨らませることができる。
【0039】
第一実施形態では、弱ボタン62が集塵パックを膨らませるための交換ボタンの機能を兼ね備えるため、操作部6のボタン数を低減できる。
【0040】
上記実施形態のメイン処理(図5参照)では、特定運転の実行後に電動送風機30が停止されるが、これに代えて特定運転の実行後に掃除運転を行ってもよい。図6は、第一実施形態の変形例に係るメイン処理のフローチャートである。以下では、変形例のメイン処理のうち、上記実施形態のメイン処理(図5参照)と異なる点のみを説明する。以下に説明するように、制御部9は、特定運転の実行後、電動送風機30を所定の運転モードで制御する。本例では、第一運転モードである弱運転モードが、所定の運転モードに対応する。
【0041】
具体的には、S507~S509で特定運転が実行された後、S601において制御部9は、パワーブラシ60を駆動して弱運転モードで運転継続する。例えば制御部9は、電動送風機30を停止させずに、入力電圧を50Wに落として電動送風機30の駆動を継続し、且つパワーブラシ60の駆動を開始する。これにより電気掃除機1は、特定運転の実行後に、電動送風機30が停止することなく弱運転モードに制御される。その他の処理は、図5のメイン処理と同様である。
【0042】
本変形例によれば、ユーザが停止状態の電気掃除機1で集塵パックを交換して弱ボタン62を長押しすると、特定運転が実行された後に弱運転モードが自動的に開始される。そのため、ユーザは弱ボタン62を長押しする一回のボタン操作で、特定運転で集塵パックが膨らませることができ、且つ、その後に弱運転モードで消費電力を抑制しつつ掃除できる。
【0043】
本変形例では、特定運転の実行後に弱運転モードで運転継続される場合を例示したが、他の運転モードで運転継続されてもよい。S601において制御部9は、特定運転よりも低い入力電圧で電動送風機30の駆動を継続し、且つパワーブラシ60の駆動を開始すればよい。例えば、特定運転がフルパワ運転モードと同じ入力電圧で駆動される場合、S601において制御部9は、強運転モードと同じ入力電圧で電動送風機30を運転継続してもよい。これにより電気掃除機1は、特定運転の実行後に、電動送風機30が停止することなく強運転モードに制御される。
【0044】
また、S601において制御部9は、特定運転と同じ入力電圧で電動送風機30の駆動を継続し、且つパワーブラシ60の駆動を開始してもよい。この場合、電気掃除機1は、特定運転の実行後に、電動送風機30の吸引力が低下することがなく、弱運転モードよりも吸引力の強い掃除運転に制御される。
【0045】
[第二実施形態]
第二実施形態に係る電気掃除機1を説明する。以下では、第一実施形態と共通する構成及び処理には、第一実施形態と同一符号を付して説明を省略し、第一実施形態と異なる構成及び処理のみを説明する。第二実施形態の電気掃除機1の構成は、後述する異なる部分以外は第一実施形態(図1図3参照)と同様である。第二実施形態の電気掃除機1は、第一実施形態と同様に複数の運転モードとして、弱運転モード、強運転モード、フルパワ運転モード、及び自動運転モードが設けられる。
【0046】
第二実施形態の電気掃除機1は、操作部6の構成が第一実施形態(図4参照)と異なる。図6は、第二実施形態に係る操作部6の外観図である。第二実施形態の操作部6は、四つの選択ボタンとして、ON/OFFボタン61、弱ボタン62A、強ボタン63、及び交換ボタン62Bを有する。ON/OFFボタン61及び強ボタン63の機能は、第一実施形態と同様である。
【0047】
弱ボタン62Aは、弱運転モードを選択するためのボタンである。弱ボタン62が短押しされた場合、制御部9は弱運転モードを実行する。交換ボタン62Bは、パック装着部40に装着した集塵パックを膨らませるためのボタンである。電動送風機30が停止状態であるときに、弱ボタン62が短押しされると、制御部9は特定運転を実行するが、詳細は後述する。
【0048】
第二実施形態の電気掃除機1で実行されるメイン処理を説明する。図8は、第二実施形態に係るメイン処理のフローチャートである。以下では、第二実施形態のメイン処理のうち、第一実施形態のメイン処理(図5参照)と異なる点のみを説明する。以下に説明するように、制御部9は、操作部6において特定運転に対応する選択ボタンが押された場合、所定操作が行われたと判断する。本例では、交換ボタン62Bが、特定運転に対応する選択ボタンに対応する。交換ボタン62Bの押下が、操作部6における所定操作に対応する。
【0049】
具体的には、S501において操作部6でボタン操作がある場合、S801において制御部9は、ボタン操作が交換ボタン62Bの押下であるかを判断する。ボタン操作が交換ボタン62Bの押下である場合、制御部9はS507~S509において特定運転を実行する。
【0050】
制御部9は、特定運転の実行後、電動送風機30を停止させる。具体的には、S511において電動送風機30を停止させる。ボタン操作が交換ボタン62Bの押下でない場合、S513において制御部9は、操作部6のボタン操作によって選択された運転モードを実行する。なお、S801においてON/OFFボタン61が短押しされた場合、複数の運転モードの何れかが実行されているときであれば、制御部9は電動送風機30への電力供給を停止して、電動送風機30を停止する。その他の処理は、第一実施形態(図5参照)と同様である。
【0051】
上述した第二実施形態の具体的な実施態様を説明する。ユーザは停止状態の電気掃除機1で集塵パックを交換した場合、交換ボタン62Bを短押しする。これにより第一実施形態と同様に、交換直後で折り畳まれている集塵パックを、電力消費を抑制しつつ的確に膨らませることができる。
【0052】
第二実施形態では、集塵パックを膨らませるための交換ボタン62Bが、他の選択ボタンから独立して設けられているため、ユーザは集塵パックを交換するときに、交換ボタン62Bを用いて特定運転の実行指示を正確に入力できる。
【0053】
[備考]
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。また、本発明の実施形態のうちいくつか或いはすべてを組み合わせて用いてもよい。
【0054】
上記実施形態では、キャニスタ型の電気掃除機1を例示したが、電気掃除機1は集塵パックを着脱可能であれば、各種の電気掃除機を利用できる。例えば電気掃除機1は、スティック型でもよいし、ハンディタイプでもよいし、アップライト型でよいし、自走式掃除機(ロボット掃除機)でもよい。また電気掃除機1は、バッテリ充電式に限定されず、商用電源から電源プラグを介して電力の供給を受けてもよい。
【0055】
電気掃除機1は、パワーブラシ60を備えなくてもよい。この場合、上記変形例のメイン処理(図6参照)のS601では、制御部9はパワーブラシ60の駆動制御を省略して、特定運転よりも低い入力電圧で電動送風機30の駆動を継続する。これにより電気掃除機1は、特定運転の実行後に、特定運転よりも吸引力の弱い掃除運転に制御される。
【0056】
第一実施形態では、所定の運転モードに対応する選択ボタンとして、弱ボタン62を例示したが、他の選択ボタンでもよい。例えば操作部6は、図4に示す三つの選択ボタンに加えて、中運転モードを選択するための中ボタンを有してもよい。中運転モードは、弱運転モードよりも吸引力が強く、且つ強運転モードよりも吸引力が弱い運転モードである。制御部9は、中ボタンが長押しされた場合に特定運転を実行してもよい。この場合、特定運転が実行された後、中運転モードが実行されてもよいし、弱運転モードが実行されてもよい。
【0057】
第一実施形態では、操作部6における所定操作として、弱ボタン62の長押しを例示したが、他のボタン操作でもよい。例えば制御部9は、操作部6において複数の選択ボタンが所定の組み合わせで同時に押された場合に(例えば、弱ボタン62と強ボタン63とが同時に押された場合に)、特定運転を実行してもよい。また制御部9は、操作部6において所定の選択ボタンが所定時間内に規定回数以上押された場合に(例えば、弱ボタン62が一秒以内に複数回連続して押された場合に)、特定運転を実行してもよい。
【0058】
なお、操作部6における所定操作は、弱ボタン62の長押しや交換ボタン62Bの短押しのようなボタン押下に限定されない。例えば、操作部6における所定操作は、操作部6に設けられたスライド式のスイッチに対するスライド操作でもよいし、操作部6に設けられたタッチパネルに対するタッチ操作でもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 電気掃除機、6 操作部、9 制御部、30 電動送風機、40 パック装着部
図1
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