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2024-162249空気浄化装置、制御プログラムおよび制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162249
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】空気浄化装置、制御プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/00 20060101AFI20241114BHJP
   A61L 9/18 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A61L9/00 C
A61L9/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077593
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】川越 崇己
(72)【発明者】
【氏名】田口 典明
(72)【発明者】
【氏名】阪本 正文
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180BB08
4C180CC03
4C180CC04
4C180DD03
4C180EA14X
4C180EA33X
4C180EA34X
4C180HH19
4C180KK03
4C180LL04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】環境によらず機器設置空間を適切に浄化できる空気浄化装置を提供する。
【解決手段】空気浄化装置は、筐体内に設けられる光触媒フィルタ、光源および送風ファンを備える。また、空気浄化装置は、筐体内の温度および湿度を測定可能な環境センサ、環境センサによって測定された温度および湿度に基づいて光触媒フィルタに照射する光源の光量を決定する光量決定部(S3)、および空気浄化時に光量決定部によって決定された光量の光を照射するように光源を制御する光源制御部(S5)を備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒を担持する光触媒フィルタを用いて空気の浄化を行う空気浄化装置であって、
吸気口および排気口を有する筐体、
前記筐体内に設けられる前記光触媒フィルタ、
前記筐体内に設けられ、前記光触媒フィルタに光を照射する光源、
前記筐体内に設けられ、前記吸気口から前記光触媒フィルタを通って前記排気口に向かう空気流を発生させる送風ファン、
前記筐体内の温度および湿度を測定可能な環境センサ、
前記環境センサによって測定された温度および湿度に基づいて、前記光触媒フィルタに照射する前記光源の光量を決定する光量決定部、および
空気浄化時に、前記光量決定部によって決定された光量の光を照射するように前記光源を制御する光源制御部を備える、空気浄化装置。
【請求項2】
温度および湿度から算出される空気中の水分量に応じて前記光源の光量が設定されている光量判定テーブルを記憶するテーブル記憶部を備え、
前記光量決定部は、前記光量判定テーブルに前記環境センサの検出結果を照らし合わせることで、前記光源の光量を決定する、請求項1記載の空気浄化装置。
【請求項3】
前記光量判定テーブルは、空気中の水分量に応じた複数の領域に区分されている、請求項2記載の空気浄化装置。
【請求項4】
前記光量決定部は、前記筐体内の温度および湿度によらず前記光触媒フィルタの単位時間当たりの分解能力が略同一となるように、前記光源の光量を決定する、請求項1または2記載の空気浄化装置。
【請求項5】
前記光源は、個別に発光可能な第1発光部と第2発光部とを含み、
前記光量判定テーブルには、空気中の水分量に応じて、前記第1発光部および前記第2発光部の両方を発光させる領域と、前記第1発光部および前記第2発光部のいずれか一方を発光させる領域とのいずれかが設定されている、請求項2記載の空気浄化装置。
【請求項6】
前記第1発光部および前記第2発光部のそれぞれの積算発光時間をカウントする積算カウント部を備え、
前記光源制御部は、前記第1発光部および前記第2発光部のいずれか一方を発光させる領域に対応する環境では、前記第1発光部および前記第2発光部のうち前記積算発光時間の短い方の発光部を優先させて発光させる、請求項5記載の空気浄化装置。
【請求項7】
吸気口および排気口を有する筐体と、光触媒を担持する光触媒フィルタと、前記光触媒フィルタに光を照射する光源と、前記吸気口から前記光触媒フィルタを通って前記排気口に向かう空気流を発生させる送風ファンと、前記筐体内の温度および湿度を測定可能な環境センサとを備える空気浄化装置の制御プログラムであって、
前記空気浄化装置のプロセッサに、
前記環境センサによって測定された温度および湿度に基づいて、前記光触媒フィルタに照射する前記光源の光量を決定する光量決定ステップ、および
空気浄化時に、前記光量決定ステップによって決定された光量の光を照射するように前記光源を制御する光源制御ステップを実行させる、制御プログラム。
【請求項8】
吸気口および排気口を有する筐体と、光触媒を担持する光触媒フィルタと、前記光触媒フィルタに光を照射する光源と、前記吸気口から前記光触媒フィルタを通って前記排気口に向かう空気流を発生させる送風ファンと、前記筐体内の温度および湿度を測定可能な環境センサとを備える空気浄化装置の制御方法であって、
前記環境センサによって測定された温度および湿度に基づいて、前記光触媒フィルタに照射する前記光源の光量を決定する光量決定ステップ、および
空気浄化時に、前記光量決定ステップによって決定された光量の光を照射するように前記光源を制御する光源制御ステップを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は空気浄化装置、制御プログラムおよび制御方法、制御プログラムおよび制御方法に関し、特にたとえば、光触媒を担持する光触媒フィルタを用いて空気の浄化を行う、空気浄化装置およびそれに用いる制御プログラム並びに制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気浄化装置の一例が特許文献1に開示される。特許文献1の空気浄化装置は、送風手段、紫外線照射手段および光触媒性部材からなる脱臭フィルタを備える。そして、特許文献1の技術では、少なくとも室温における湿潤雰囲気下で被分解物を含む空気を光触媒性部材からなる脱臭フィルタへ送風開始する第二工程の前に、湿度により及ぼされる脱臭速度への影響を低減するために、少なくとも0.27~5.4J/cmの紫外線を照射する第一工程を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-272174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、送風開始前に、脱臭フィルタに紫外線を照射する第一工程(予備動作)を実行するが、この第一工程の実行中は機器設置空間の空気を浄化できない。したがって、機器設置空間の浄化を完了するまでに時間がかかる。また、湿度によって光触媒の分解能力に差が出ることには対応できない恐れがある。
【0005】
それゆえに、この開示の主たる目的は、新規な、空気浄化装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【0006】
この開示の他の目的は、環境(温湿度条件)によらず機器設置空間を適切に浄化できる、空気浄化装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の開示は、光触媒を担持する光触媒フィルタを用いて空気の浄化を行う空気浄化装置であって、吸気口および排気口を有する筐体、筐体内に設けられる光触媒フィルタ、筐体内に設けられて光触媒フィルタに光を照射する光源、筐体内に設けられて吸気口から光触媒フィルタを通って排気口に向かう空気流を発生させる送風ファン、筐体内の温度および湿度を測定可能な環境センサ、環境センサによって測定された温度および湿度に基づいて光触媒フィルタに照射する光源の光量を決定する光量決定部、および空気浄化時に光量決定部によって決定された光量の光を照射するように光源を制御する光源制御部を備える、空気浄化装置である。
【0008】
第1の開示によれば、温度および湿度に応じて設定した光量の光を光触媒フィルタに照射して空気の浄化を行うので、環境(温湿度条件)によらず機器設置空間を適切に浄化できる。
【0009】
第2の開示は、第1の開示に従属し、温度および湿度から算出される空気中の水分量に応じて光源の光量が設定されている光量判定テーブルを記憶するテーブル記憶部を備え、光量決定部は、光量判定テーブルに環境センサの検出結果を照らし合わせることで光源の光量を決定する。
【0010】
第3の開示は、第2の開示に従属し、光量判定テーブルは、空気中の水分量に応じた複数の領域に区分されている。
【0011】
第4の開示は、第1または第2の開示に従属し、光量決定部は、筐体内の温度および湿度によらず光触媒フィルタの単位時間当たりの分解能力が略同一となるように、光源の光量を決定する。
【0012】
第5の開示は、第2の開示に従属し、光源は、個別に発光可能な第1発光部と第2発光部とを含み、光量判定テーブルには、空気中の水分量に応じて、第1発光部および第2発光部の両方を発光させる領域と、第1発光部および第2発光部のいずれか一方を発光させる領域とのいずれかが設定されている。
【0013】
第6の開示は、第5の開示に従属し、第1発光部および第2発光部のそれぞれの積算発光時間をカウントする積算カウント部を備え、光源制御部は、第1発光部および第2発光部のいずれか一方を発光させる領域に対応する環境では、第1発光部および第2発光部のうち積算発光時間の短い方の発光部を優先させて発光させる。
【0014】
第7の開示は、吸気口および排気口を有する筐体と、光触媒を担持する光触媒フィルタと、光触媒フィルタに光を照射する光源と、吸気口から光触媒フィルタを通って排気口に向かう空気流を発生させる送風ファンと、筐体内の温度および湿度を測定可能な環境センサとを備える空気浄化装置の制御プログラムであって、空気浄化装置のプロセッサに、環境センサによって測定された温度および湿度に基づいて光触媒フィルタに照射する光源の光量を決定する光量決定ステップ、および空気浄化時に光量決定部によって決定された光量の光を照射するように光源を制御する光源制御ステップを実行させる、制御プログラムである。
【0015】
第8の開示は、吸気口および排気口を有する筐体と、光触媒を担持する光触媒フィルタと、光触媒フィルタに光を照射する光源と、吸気口から光触媒フィルタを通って排気口に向かう空気流を発生させる送風ファンと、筐体内の温度および湿度を測定可能な環境センサとを備える空気浄化装置の制御方法であって、環境センサによって測定された温度および湿度に基づいて光触媒フィルタに照射する光源の光量を決定する光量決定ステップ、および空気浄化時に光量決定部によって決定された光量の光を照射するように光源を制御する光源制御ステップを含む、制御方法である。
【発明の効果】
【0016】
この開示によれば、温度および湿度に応じて設定した光量の光を光触媒フィルタに照射して空気の浄化を行うので、環境(温湿度条件)によらず機器設置空間を適切に浄化できる。
【0017】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この開示の第1実施例の空気浄化装置の外観を示す斜視図である。
図2】空気浄化装置の筐体内部の構造を示す縦断面図である。
図3】空気浄化装置を示す横断面図である。
図4】フィルタユニットを示す斜視図である。
図5】フィルタユニットを示す横断面図である。
図6】空気浄化装置の構造を模式的に示す図である。
図7】空気浄化装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図8】光量の判定基準を示す図である。
図9】光量判定テーブルを示す図である。
図10図7に示したRAMのメモリマップを示す図である。
図11図7に示したCPUの空気浄化処理を示すフロー図である。
図12】この開示の第2実施例の光量の判定基準を示す図である。
図13】第2実施例における光源のLEDの系列を模式的に示す図である。
図14】第2実施例におけるCPUの空気浄化処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施例]
図1および図2を参照して、この開示の第1実施例である空気浄化装置10は、光触媒を担持する光触媒フィルタ60を用いて空気の浄化を行う装置である。詳細は後述するように、空気浄化装置10は、外部から取り入れた空気を光触媒フィルタ60の表面(主面)に沿って流すと共に光触媒フィルタ60に光を照射することで、光触媒フィルタ60に付着した有機物(有機化合物)を分解して空気の浄化を行う。以下、空気浄化装置10の構成について具体的に説明する。
【0020】
図1から図3に示すように、空気浄化装置10は、光触媒フィルタ60を含むフィルタユニット12、光源14、光源カバー16、送風ファン18、埃フィルタ20、活性炭フィルタ22および制御部100(図7参照)等を備え、これらは所定の配置態様で筐体30に内蔵される。制御部100は、CPU102およびメモリ(RAM106およびROM108)等を含み、電源ボタン32等を含む操作部92(図7参照)に対する入力操作に基づいて、空気浄化装置10の各部位(光源14および送風ファン18など)の動作を制御する。
【0021】
筐体30は、直方体状に形成される。筐体30の底部には、吸気口34が設けられ、筐体30の頂部には、排気口36が設けられる。つまり、筐体30は、吸気口34と排気口36とを有する。また、筐体30の中央部には、ユニット収容部38が設けられる。このユニット収容部38には、フィルタユニット12が縦向きに収容(装着)される。フィルタユニット12の具体的構成については後述する。
【0022】
光源14は、基板40と基板40の表面に分散配置された複数のLED42(発光部)とを含み、光触媒フィルタ60の主面と対向するように設けられる。この実施例では、光源14は、光触媒フィルタ60の一方主面と対向するように設けられた第1光源14aと、光触媒フィルタ60の他方主面と対向するように設けられた第2光源14bとを含む。すなわち、光源14は、フィルタユニット12の厚み方向の両側に設けられて、光触媒フィルタ60の両側から光を照射することが可能である。第1光源14aおよび第2光源14bのそれぞれには、たとえば縦方向に3つおよび横方向に4つ並ぶ計12個のLED42が設けられる。
【0023】
光源カバー16は、光源14と平行に配置される矩形板状のカバー本体44を有し、光源14の表面(フィルタユニット12側の面)を覆うように設けられる。また、光源カバー16は、カバー本体44の上端部から上方に延出される第1延出部46と、カバー本体44の下端部から下方に延出される第2延出部48とを有する。第1延出部46の上端部には、後述する上部ユニットガイド72のカバー位置決め固定部80と嵌め合わさる矩形枠状の嵌合部46aが設けられる。
【0024】
また、光源カバー16のカバー本体44は、複数のLED42と対応する位置のそれぞれに形成された開口50を有する。これら複数の開口50のそれぞれは、LED42が挿入される直方体状の第1部分50aと、LED42よりもフィルタユニット12側に突出するように形成され、フィルタユニット12側に向かって開口面積が大きくなる四角錐台状の第2部分50bとを有する。このような開口50を形成することにより、LED42からの光は、光源カバー16によって阻害されることなく光触媒フィルタ60の主面に照射される。この実施例では、光源14には12個のLED42が設けられるので、これに対応して光源カバー16にも縦方向に3つおよび横方向に4つ並ぶ計12個の開口50が形成される。
【0025】
また、この実施例では、光源14がフィルタユニット12の厚み方向の両側に設けられるので、光源カバー16もフィルタユニット12の厚み方向の両側に設けられる。つまり、光源カバー16は、第1光源14a側に設けられた第1光源カバー16aと、第2光源14b側に設けられた第2光源カバー16bとを含む。このような光源カバー16を備えることで、ユニット収容部38からフィルタユニット12を取り外したときに、作業者がLED42に誤って触れて火傷してしまうことが防止される。
【0026】
さらに、この実施例では、光源カバー16は、光源14を支持する支持部材(光源ホルダ)として用いられる。また、光源カバー16は、ユニット収容部38を形成する側壁(ダクト)の一部を構成しており、第1光源カバー16aと第2光源カバー16bとの間の空間がユニット収容部38となる。
【0027】
また、筐体30の上部、すなわち排気口36とユニット収容部38(つまりフィルタユニット12)との間には、ファン収容部52が設けられる。このファン収容部52には、送風ファン18が収容される。送風ファン18は、吸気口34からユニット収容部38(延いては光触媒フィルタ60)を通って排気口36に向かう上向きの空気の流れ(空気流)を発生させる。すなわち、送風ファン18の駆動によって吸気口34から筐体30内に取り入れられた空気は、ユニット収容部38を上向きに流れた後、排気口36から筐体30外に排出される。送風ファン18としては、プロペラファン等の軸流ファンおよび遠心ファン等の公知のファンを用いるとよい。
【0028】
また、筐体30の下部、すなわち吸気口34とユニット収容部38との間には、埃フィルタ収容部54および活性炭フィルタ収容部56が設けられる。埃フィルタ収容部54には、吸気口34を覆うように埃フィルタ20が横向きに収容される。また、その上側に配置される活性炭フィルタ収容部56には、埃フィルタ20の上方を覆うように活性炭フィルタ22が横向きに収容される。すなわち、吸気口34から筐体30内に取り入れられる空気は、埃フィルタ20および活性炭フィルタ22を厚み方向に通過した(すなわち埃フィルタ20および活性炭フィルタ22の内部を通った)後、ユニット収容部38に流入する。埃フィルタ20は、合成樹脂製の不織布などの多孔質体によって構成されるフィルタであって、空気中に含まれる埃および塵などの塵埃を捕捉する。活性炭フィルタ22は、合成樹脂製の不織布などの多孔質基材に活性炭が担持されたフィルタであって、活性炭によって空気中に含まれるアンモニアおよび硫化水素などの臭気成分を吸着して除去する。
【0029】
続いて、フィルタユニット12の構成について説明する。図4および図5に示すように、フィルタユニット12は、光触媒フィルタ60とこれを保持する矩形枠状の保持フレーム62とを含む。これら光触媒フィルタ60と保持フレーム62とは一体成型される。
【0030】
光触媒フィルタ60は、合成樹脂製の不織布などの多孔質基材に光触媒(光触媒粒子)が担持されたフィルタである。光触媒フィルタ60に含まれる光触媒は、紫外線などの光が照射されることで励起して活性酸素種を生成し、この活性酸素種によって空気中に含まれる有機物などを分解して浄化する。光触媒としては、酸化チタンおよび酸化タングステン等の公知の光触媒を用いるとよく、これらの中でも酸化チタンが好適に用いられる。
【0031】
光触媒フィルタ60は、第1方向に延びる山部60aと谷部60bとが第1方向と直交する第2方向に交互に並ぶ波状(プリーツ状または蛇腹状とも言う。)に形成される。この実施例では、光触媒フィルタ60は、山部60aおよび谷部60bの突端部(頂部および底部)に折り目60cが形成された三角波状に形成され、複数の折り目60cが第1方向に延びるように形成されている。このように、光触媒フィルタ60を波状に形成することで、光触媒フィルタ60の大型化を抑制しつつ、光触媒フィルタ60と空気との接触面積を大きくすることができる。また、この実施例では、光触媒フィルタ60は、厚み方向に2つ並べて配置される。2つの光触媒フィルタ60は、予め一体化されていてもよいし、分割されていてもよい。
【0032】
保持フレーム62は、光触媒フィルタ60の4辺を保持する第1フレーム64および第2フレーム66を含む。保持フレーム62は、ABS樹脂またはABS樹脂とポリカーボネートとを混合したPC/ABSアロイ等の合成樹脂によって形成される。
【0033】
第1フレーム64は、光触媒フィルタ60の波状の形状を保持するための部位であって、光触媒フィルタ60の第1方向における両端部を被覆するように設けられる。この第1フレーム64は、第1方向に空気流を通過させる開口部64aを有しており、送風ファン18による空気の流れを阻害しないように構成されている。具体的には、第1フレーム64は、光触媒フィルタ60の第1方向における端部に沿って延びる波状に形成されており(つまり第2方向に波状に延びるように形成されており)、波(山谷)を形成する傾斜片の間に、断面三角形状の開口部64aが形成される。なお、この実施例の第1フレーム64は、2つの光触媒フィルタ60を保持するため、全体としては複数のひし形が第2方向に並ぶ形状を有している。
【0034】
第2フレーム66は、光触媒フィルタ60の第2方向における両端部に設けられる。第2フレーム66は、第1方向に延びる矩形長板状に形成され、第1フレーム64の端部同士を連結する。この第2フレーム66は、第1方向に延びる通気路を形成し、第2方向(つまり光触媒フィルタ60の幅外)への空気流の拡散を規制する。
【0035】
また、保持フレーム62は、光触媒フィルタ60の第1方向における中央部を挟み込むように設けられた第3フレーム68をさらに含む。第3フレーム68は、第1フレーム64と同様に、光触媒フィルタ60の波状の形状を保持するための部位であって、第1方向に空気流を通過させる開口部68aを有している。この実施例では、第3フレーム68は、光触媒フィルタ60の主面に沿って第2方向に波状に延びるように形成され、全体としては複数のひし形が第2方向に並ぶ形状を有している。
【0036】
このようなフィルタユニット12は、筐体30の一方側面に設けられた開閉カバー70(図1参照)を開くことで、ユニット収容部38に対して第2方向に着脱することが可能である。
【0037】
そして、この実施例では、図2および図4からよく分かるように、フィルタユニット12(光触媒フィルタ60)は、送風ファン18による空気流が第1方向(つまり光触媒フィルタ60の折り目60cが延びる方向)に沿って流れるようにユニット収容部38に収容される。すなわち、フィルタユニット12は、第1方向が上下方向となるようにユニット収容部38に縦向きに収容され、送風ファン18による空気流は、光触媒フィルタ60の両面に沿って流れる。
【0038】
また、ユニット収容部38には、フィルタユニット12の着脱を案内するユニットガイド72,74(上部ユニットガイド72および下部ユニットガイド74)が設けられ、フィルタユニット12は、ユニットガイド72,74によって装着位置まで案内される。これらユニットガイド72,74は、第1フレーム64の開口部64aと連通して第1方向に空気流を通過させる開口部72a,74aを有しており、送風ファン18による空気の流れを阻害しないように構成されている。
【0039】
具体的には、上部ユニットガイド72は、フィルタユニット12の着脱を案内するガイドフレームの一例であって、略矩形板状に形成されて、ユニット収容部38の上端部に設けられる。上部ユニットガイド72は、その中央部に一対のガイド部76を有している。一対のガイド部76は、フィルタユニット12の厚み方向(第1方向および第2方向に直交する第3方向)に所定間隔をあけて設けられ、かつフィルタユニット12の着脱方向(第2方向)に延びる。また、一対のガイド部76のそれぞれは、断面L字状に形成され、フィルタユニット12が備える第1フレーム64をスライド可能に支持する。一対のガイド部76の間、つまり第1方向における光触媒フィルタ60の一端と対向する位置には開口部72aが形成されており、ユニット収容部38にフィルタユニット12を装着した状態において、開口部72aが第1フレーム64の開口部64aと連通する。また、一対のガイド部76の両側、つまり第1方向における光触媒フィルタ60の一端と対向しない位置には開口部72bが形成される。すなわち、ユニット収容部38は、ファン収容部52(延いては排気口36)と連通する開口部72aおよび開口部72bを有している。
【0040】
さらに、上部ユニットガイド72は、各部材同士を位置決めして固定するための位置決め部材としても用いられる。具体的には、上部ユニットガイド72は、その上面周縁部から上方に突出する矩形枠状のファン位置決め固定部78を有する。このファン位置決め固定部78に送風ファン18の下端部を嵌め入れて固定することで、光触媒フィルタ60に対して送風ファン18を精度良く配置できる。また、上部ユニットガイド72は、その下面周縁部から下方に突出する矩形枠状のカバー位置決め固定部80を有する。このカバー位置決め固定部80を光源カバー16の嵌合部46aに嵌め入れて固定することで、光触媒フィルタ60に対して光源カバー16を精度良く配置できる。
【0041】
一方、下部ユニットガイド74は、ユニット収容部38の下端部に設けられる。下部ユニットガイド74は、フィルタユニット12の厚み方向に所定間隔をあけて設けられ、かつフィルタユニット12の着脱方向に延びる一対のガイドである。下部ユニットガイド74のそれぞれは、断面L字状に形成され、フィルタユニット12が備える第1フレーム64をスライド可能に支持する。下部ユニットガイド74の間、つまり第1方向における光触媒フィルタ60の他端と対向する位置には開口部74aが形成されており、ユニット収容部38にフィルタユニット12を装着した状態において、開口部74aが開口部64aと連通する。また、下部ユニットガイド74の両側、つまり第1方向における光触媒フィルタ60の他端と対向しない位置には開口部74bが形成される。すなわち、ユニット収容部38は、活性炭フィルタ収容部56(延いては吸気口34)と連通する開口部74aおよび開口部74bを有している。
【0042】
また、図6に示すように、筐体30内には、環境センサ90が設けられる。この実施例の環境センサ90は、温度および湿度(相対湿度)を検出する温湿度センサを含み、空気の流れ方向におけるユニット収容部38の中流領域から下流領域に配置される。ただし、環境センサ90の配置位置は適宜変更可能であり、温度および湿度に加えて他の環境データを検出するようにしてもよい。
【0043】
図7は、空気浄化装置10の電気的な構成を示すブロック図である。図7に示すように、空気浄化装置10は、制御部100を備える。制御部100は、CPU102を含み、CPU102は、バス104を介して、RAM106、ROM108、LED駆動回路110、送風ファン駆動回路112および入力インターフェース(以下、「入力I/F」という)114に接続される。
【0044】
また、LED駆動回路110は、光源14に接続され、送風ファン駆動回路112は、送風ファン18に接続される。また、入力I/F114は、上述した環境センサ90および操作部92に接続される。
【0045】
CPU102は、制御部100の全体的な制御を司るプロセッサである。CPU102は、後述のように光量決定部および光源制御部などとして機能する。RAM106およびROM108は制御部100の主記憶装置である。RAM106は、CPU102の作業領域およびバッファ領域として使用される。ROM108には、制御プログラム(ファームウェア)が記憶される。ただし、ROM108は、EEPROMまたはフラッシュメモリのような不揮発性メモリにすることもできる。また、図示は省略するが、主記憶装置とは別に、HDD、SSDまたはフラッシュメモリなどの不揮発性メモリが補助記憶装置として設けられてもよい。
【0046】
LED駆動回路110は、CPU102の指示の下、光源14(複数のLED42)を駆動するための回路である。送風ファン駆動回路112は、CPU102の指示の下、送風ファン18を駆動するための回路である。入力I/F114は、環境センサ90から入力された検出信号(温度および湿度のデータ)および操作部92から入力された操作信号をCPU102に出力する。
【0047】
上述のような空気浄化装置10では、電源ボタン32がオンにされると、制御部100(具体的にはCPU102)は、送風ファン18を駆動させると共に、光源14のLED42を点灯させて光触媒フィルタ60の表面に対して光を照射させる。送風ファン18の駆動に伴って吸気口34から筐体30内に取り入れられた空気は、先ず、埃フィルタ20によって塵埃が捕捉されると共に、活性炭フィルタ22によって臭気成分が吸着除去される。埃フィルタ20および活性炭フィルタ22を通過した空気は、光触媒フィルタ60の表面(主面)に沿ってユニット収容部38を上向きに流れる。光触媒フィルタ60と空気とが接触することで、光触媒フィルタ60に付着した有機物が光触媒作用によって分解され、空気の浄化が行われる。そして、光触媒フィルタ60によって浄化された清浄な空気は、排気口36から筐体30外に排出される。
【0048】
この際、光触媒フィルタ60が波状に形成されていることで、光触媒フィルタ60と空気との接触面積が大きくなるので、効率よく空気を浄化できる。また、光触媒フィルタ60の厚み方向に空気を通過させるのではなく、光触媒フィルタ60の表面(主面)に沿って空気を流すので、圧力損失を低減できる。特に、光触媒フィルタ60の山部60aおよび谷部60bが延びる方向である第1方向に沿って空気を流すことで、圧力損失をより適切に低減できる。さらに、光触媒フィルタ60の両面に沿って空気を流すと共に、第1光源14aおよび第2光源14bを用いて光触媒フィルタ60の両側から光を照射するので、より効率よく空気を浄化できる。
【0049】
ここで、この発明者らによる検証実験(光触媒フィルタ60によるアセトアルデヒドの分解実験)によると、光触媒フィルタ60の分解能力は、筐体30内の空気中の水分量(水蒸気量)[g/m]によって変化することが確認された。すなわち、光触媒フィルタ60の分解能力が最も発揮される適正水分量があり、その適正水分量よりも水分量が多過ぎても(つまり高温高湿でも)、水分量が少な過ぎても(つまり低温低湿でも)、光触媒フィルタ60の分解能力が低下することが確認された。なお、空気中の水分量[g/m]は、温度[℃]および湿度[%]から算出可能である。また、この発明者らによる検証実験によると、光触媒フィルタ60に照射する光源14の光量を上げることで、光触媒フィルタ60の分解能力を上げることが可能であることも確認されている。
【0050】
そこで、この第1実施例では、筐体30内の空気中の水分量(具体的には温度および湿度)を検出し、その検出結果に応じて、空気浄化時に光触媒フィルタ60に照射する光源14の光量を設定することで、環境(温湿度条件)によらず光触媒フィルタ60の単位時間当たりの分解能力が略同一となるようにして、空気浄化装置10の設置空間を適切に浄化できるようにした。なお、この空気中の水分量に基づく光量の設定(調整)は、電源ボタン32がオンにされたとき、および、空気浄化装置10の運転中に定期的(たとえば、10分ごと)に実行するとよい。
【0051】
図8に示すように、光源14(複数のLED42)の光量は、温度および湿度から算出される空気中の水分量に基づいて判定され、空気中の水分量に応じて区分された複数(実施例では5つ)の領域ごとに設定される。この実施例では、光源14の光量の調整は、デューティ比を制御(PWM制御)することで実行される。また、光源14の光量は、浄化効率(分解効率)の良い所定の領域(この実施例では後述する第1領域)における光量を基準値として、領域ごとに照射倍率が設定される。この領域ごとの照射倍率は、光触媒フィルタ60の単位時間当たりの分解能力が略同一となる(つまり所定範囲内に収まる)ように設定される。
【0052】
たとえば、空気中の水分量が4.0g/m以上8.0g/m未満である第1領域を基準(照射倍率が1.0)として、空気中の水分量が8.0g/m以上11.0g/m未満である第2領域では、照射倍率が0.8に設定され、空気中の水分量が11.0g/m以上15.0g/m未満である第3領域では、照射倍率が1.3に設定される。また、空気中の水分量が15.0g/m以上40.0g/m未満である第4領域では、照射倍率が1.9に設定され、空気中の水分量が0.0g/m以上4.0g/m未満である第5領域では、照射倍率が1.7に設定される。ただし、基準とする領域、領域の数および照射倍率などは、適宜変更可能である。
【0053】
具体的には、この実施例では、図9に示すような光量判定テーブルがROM108等に予め記憶される。図9に示すように、光量判定テーブルは、空気浄化時における光源14の光量を判定(決定)するためのテーブルである。光量判定テーブルでは、温湿度条件に応じて第1領域から第5領域までの5つの領域に区分されており、各領域には、光源14の照射倍率が設定される。たとえば、気温が20℃で湿度が45%である場合(つまり水分量が7.8g/mの場合)には、第1領域の環境であると判断されて、光源14の照射倍率が1.0に設定される。
【0054】
図10は、図7に示したRAM106のメモリマップの一例を示す図である。図10に示すように、RAM106は、プログラム記憶領域202およびデータ記憶領域204を含む。プログラム記憶領域202は、空気浄化装置10のCPU102によって実行される制御プログラムを記憶する。この制御プログラムは、操作検出プログラム202a、ファン制御プログラム202b、光源制御プログラム202c、および光量決定プログラム202d等を含む。
【0055】
操作検出プログラム202aは、操作部92から入力される操作信号を検出し、対応する操作データ204aをデータ記憶領域204に記憶するためのプログラムである。ファン制御プログラム202bは、送風ファン18の駆動を制御するためのプログラムである。光源制御プログラム202cは、光源14に含まれる複数のLED42の点灯を制御するためのプログラムである。光量決定プログラム202dは、環境センサ90の検出結果(温度および湿度)と光量判定テーブルとを照らし合わせて、空気浄化時に光触媒フィルタ60に照射する光源14の光量を決定するためのプログラムである。なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域202には、空気浄化装置10の制御に必要な他のプログラムも適宜記憶される。
【0056】
データ記憶領域204には、操作データ204a、環境データ204bおよび上述した光量判定テーブル204c等が記憶される。操作データ204aは、操作検出プログラム202aに従って検出された操作信号に対応するデータである。環境データ204bは、環境センサ90によって検出された筐体30内の環境情報(温度および湿度)のデータである。なお、図示は省略するが、データ記憶領域204には、空気浄化装置10の制御に必要な他のデータ、フラグおよびタイマ等も適宜記憶される。
【0057】
図11は、図7に示したCPU102が実行する空気浄化処理の一例を示すフロー図である。この空気浄化処理は、ユーザによって電源ボタン32がオンにされると開始される。図11に示すように、CPU102は、電源ボタン32がオンになったことを検出すると、ステップS1で、環境情報を取得する。すなわち、環境センサ90に制御信号を送信して、温度および湿度に関する情報を取得する。
【0058】
次のステップS3では、光量判定テーブルを参照して光量を決定する。すなわち、CPU102(光量決定部、光量決定プログラム202d)は、光量判定テーブルに環境センサ90の検出結果(温度および湿度)を照らし合わせることで、空気浄化時に光触媒フィルタ60に照射する光源14の光量を決定する。
【0059】
続くステップS5では、決定した光量で空気の浄化を開始する。すなわち、CPU102(光源制御部、光源制御プログラム202c)は、送風ファン駆動回路112を制御して、所定の風速となるように送風ファン18を駆動すると共に、LED駆動回路110を制御して、ステップS3で決定した光量の光を光触媒フィルタ60に照射するように光源14を駆動する。
【0060】
続くステップS7では、運転を継続するかどうかを判断する。この運転を継続するかどうかの判断は、所定時間(たとえば10分)ごとに行われる。ただし、電源ボタン32がオフになったことが検出されると、運転は直ちに停止される。ステップS7で“YES”の場合、つまり所定時間の間に電源ボタン32のオフ操作が検出されなかったときには、ステップS1に戻る。すなわち、ステップS1およびS3の処理(温度および湿度に基づく光源14の光量の設定)は、所定時間ごとに行われる。一方、ステップS7で“NO”の場合、つまり電源ボタン32のオフ操作が検出されたときには、光源14および送風ファン18の駆動を停止して、空気浄化処理を終了する。
【0061】
以上のように、この第1実施例によれば、温度および湿度に応じて設定した光量の光を光触媒フィルタに照射して空気の浄化を行うので、環境(温湿度条件)によらず機器設置空間を所定の分解能力で適切に浄化できる。
【0062】
[第2実施例]
次に、図12図14を参照して、この発明の第2実施例の空気浄化装置10について説明する。この第2実施例では、空気浄化時における光源14の制御方法が上述の第1実施例と異なる。その他の部分については同様であるので、上述の第1実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。重複する説明を省略または簡略化することは、後述するその他の実施例においても同様である。
【0063】
上述の第1実施例では、基準となる第1領域よりも効率の良い第2領域の環境については、光源14の照射倍率を小さくする(電流値を下げる)ことで、光触媒フィルタ60に所定の分解能力を発揮させるようにした。これに対して、この第2実施例では、第2領域の環境については、光源14の照射倍率を小さくする代わりに、発光させるLED42の数を減少させることで、光触媒フィルタ60に所定の分解能力を発揮させるようにしている。また、この第2実施例では、発光させるLED42の数を減少させる際に、積算発光時間が短いLED42を優先的に発光させ、所定時間ごとに発光させるLED42を切り替えることで、光源14の劣化を抑制できるようにしている。
【0064】
具体的には、図12に示すように、第2領域の照射倍率は、第1領域と同じ値に設定される。また、図13に示すように、光源14のLED42(発光部)は、個別に発光可能な第1LED群42a(第1発光部)と第2LED群42b(第2発光部)との2つの系列に分けて制御される。第1LED群42aおよび第2LED群42bのそれぞれは、複数(実施例では6個)のLED42によって構成される。また、第1LED群42aを構成するLED42と第2LED群42bを構成するLED42とは、片方のLED群のみが発光された場合でも光触媒フィルタ60の全体をバランスよく照射できる(延いては分解能力の減少量を小さくできる)ように、交互に並ぶように配置される。さらに、この第2実施例の光源14は、フィルタユニット12の厚み方向の両側に設けられた第1光源14aおよび第2光源14bを含むが、第1光源14aおよび第2光源14bの互いに対向するLED42については、片方のLED群のみが発光された場合でも光触媒フィルタ60の全体をバランスよく照射できるように、別系列のLED群とすることが好ましい。ただし、第1光源14aおよび第2光源14bの配置態様は、適宜変更可能である。
【0065】
また、図示は省略するが、光量判定テーブルでは、空気中の水分量(具体的には温度および湿度)に応じて区分された各領域には、光源14の照射倍率が設定されると共に、第1LED群42aおよび第2LED群42bの両方を発光させる領域であるか、第1LED群42aおよび第2LED群42bのいずれか一方を発光させる領域であるかのいずれかが設定される。この第2実施例では、第1、第3~第5領域については、第1LED群42aおよび第2LED群42bの両方を発光させる領域に設定され、第2領域については、第1LED群42aおよび第2LED群42bのいずれか一方を発光させる領域に設定される。
【0066】
図14は、第2実施例におけるCPU102の空気浄化処理の一例を示すフロー図である。なお、CPU102は、光量決定部および光源制御部などとして機能すると共に、積算カウント部として機能する。これは、第1実施例と同様である。
【0067】
図14に示すように、CPU102は、空気浄化処理が開始されると、ステップS11で、環境情報(温度および湿度の情報)を取得する。次のステップS13では、光量判定テーブルを参照して光量を決定する。すなわち、光量判定テーブルに環境センサ90の検出結果を照らし合わせることで、光触媒フィルタ60に照射する光源14の光量を決定する。
【0068】
続くステップS15では、第2領域の環境であるかどうかを判断する。すなわち、光量判定テーブルに環境センサ90の検出結果を照らし合わせることで、対応する環境が第1発光部および第2発光部のいずれか一方を発光させる領域に設定されているか、第1発光部および第2発光部の両方を発光させる領域に設定されているかを判断する。
【0069】
ステップS15で“NO”の場合、つまり第2領域の環境でない場合には、ステップS17に進む。ステップS17では、第1LED群42aおよび第2LED群42bの双方を用いて、決定した光量で空気の浄化を開始する。すなわち、CPU102は、送風ファン18を駆動すると共に、ステップS13で決定した光量の光を光触媒フィルタ60に照射するように、第1LED群42aおよび第2LED群42bを含む全ての光源14を駆動する。また、光源14を駆動する際には、その発光時間(駆動時間)をカウントして、第1LED群42aおよび第2LED群42bのそれぞれについて、積算発光時間をRAM106のデータ記憶領域204などに光源データとして記憶しておく。ステップS17の処理が終了すると、ステップS21に進む。
【0070】
一方、ステップS15で“YES”の場合、つまり第2領域の環境である場合には、ステップS19に進む。ステップS19では、積算発光時間の短い方のLED群を用いて、決定した光量で空気の浄化を開始する。すなわち、CPU102は、RAM106のデータ記憶領域204などに記憶された第1LED群42aおよび第2LED群42bの積算発光時間を比較して、積算発光時間の短い方のLED群を選択する。そして、送風ファン18を駆動すると共に、ステップS13で決定した光量の光を光触媒フィルタ60に照射するように、選択したLED群(第1LED群42aおよび第2LED群42bのいずれか一方)を駆動する。また、光源14を駆動する際には、駆動したLED群の発光時間(駆動時間)をカウントして、その積算発光時間をRAM106のデータ記憶領域204などに光源データとして記憶しておく。ステップS19の処理が終了すると、ステップS21に進む。
【0071】
ステップS21では、運転を継続するかどうかを判断する。この運転を継続するかどうかの判断は、所定時間(たとえば10分)ごとに行われる。ただし、電源ボタン32がオフになったことが検出されると、直ちに運転は停止される。ステップS21で“YES”の場合、つまり運転を継続する場合には、ステップS11に戻る。すなわち、ステップS11~S15の処理(温度および湿度に基づく光源14の光量および系列の設定)は、所定時間ごとに行われる。一方、ステップS21で“NO”場合、つまり電源ボタン32がオフになったことを検出した場合には、光源14および送風ファン18の駆動を停止して、空気浄化処理を終了する。
【0072】
この第2実施例によれば、上述の第1実施例と同様に、環境によらず機器設置空間を所定の分解能力で適切に浄化できる。その上、光源の発光部を第1発光部と第2発光部とに分け、積算発光時間の短い発光部を優先して発光させるので、光源の劣化を抑制できる。したがって、光源の寿命を長くすることができる。
【0073】
なお、上述の第2実施例では、所定時間ごとに積算発光時間の短い発光部(LED群)を選択することで、使用する発光部を切り替えるようにしたが、積載発光時間によらず所定時間ごとに使用する発光部を自動的に切り替えることもできる。
【0074】
また、上述の各実施例では、フィルタユニット12の両側に光源14を配置するようにしたが、光源14は、フィルタユニット12の片側のみに配置してもよい。この際、光源14を配置しない側には、反射板を設けるようにしてもよい。
【0075】
さらに、上述の各実施例では、送風ファン18によって上向きに流れる空気流を発生させているが、送風ファン18によって発生させる空気流の流れ方向は、適宜変更可能である。たとえば、送風ファン18によって横向きに流れる空気流を発生させ、この空気流が第1方向に沿って流れるようにフィルタユニット12を横向きに配置することもできる。すなわち、フィルタユニット12の配置方向は、縦向き横向きのどちらでも構わない。また、送風ファン18によって発生させた空気流を光触媒フィルタ60の厚み方向に通過させることもできる。さらに、送風ファン18は、吸気口側に設ける吸気ファンであっても構わない。
【0076】
さらにまた、上述のフィルタユニット12の構成は、単なる一例であり、光触媒フィルタ60および保持フレーム62の具体的構成は、適宜変更可能である。たとえば、光触媒フィルタ60を波状に形成するに際して、三角波状に形成するのではなく、正弦波状または矩形波状などに形成することもできる。また、上述の各実施例では、2つの光触媒フィルタ60を厚み方向に並べて設けているが、これに限定されず、1つの光触媒フィルタ60のみを設けることもできるし、3つ以上の光触媒フィルタ60を設けることもできる。
【0077】
なお、上で挙げた具体的な数値および部品形状などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。また、各実施例または各変形例において記載している技術的特徴のそれぞれは、互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0078】
10 …空気浄化装置
12 …フィルタユニット
14 …光源
18 …送風ファン
30 …筐体
34 …吸気口
36 …排気口
38 …ユニット収容部
42 …LED(発光部)
42a …第1LED群(第1発光部)
42b …第2LED群(第2発光部)
60 …光触媒フィルタ
90 …環境センサ
100 …制御部
102 …CPU
106 …RAM
108 …ROM
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14