(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162250
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】動物用トイレ
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A01K1/01 801A
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077594
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA20
2B101CA06
2B101CB01
2B101CC02
(57)【要約】
【課題】仕切部の高さを調節することが可能な動物用トイレを提供する。
【解決手段】動物用トイレ1は、本体容器10、及び仕切部20を備えている。本体容器10は、底面部10a及び側面部10bを有している。仕切部20は、尿を通過させる貫通孔21を有し、本体容器10内を上下に区画している。仕切部20の高さは、連続的に可変である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部及び側面部を有する本体容器と、
尿を通過させる貫通孔を有し、前記本体容器内を上下に区画する仕切部と、を備え、
前記仕切部の高さは、連続的に可変であることを特徴とする動物用トイレ。
【請求項2】
請求項1に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部の高さの最大値と最小値との差は、5cm以上である動物用トイレ。
【請求項3】
請求項2に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部の高さの最大値と最小値との差は、10cm以上である動物用トイレ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部は、水平方向に伸縮可能である動物用トイレ。
【請求項5】
請求項4に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部の伸縮方向について、当該仕切部の長さの最大値は前記本体容器の内寸よりも大きく、当該仕切部の長さの最小値は前記本体容器の内寸よりも小さい動物用トイレ。
【請求項6】
請求項4に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部は、当該仕切部の伸縮方向の両端に位置する第1及び第2の端面が前記本体容器の前記側面部に当接することにより、当該本体容器に対して解除可能に固定される動物用トイレ。
【請求項7】
請求項6に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部は、前記第1及び第2の端面から前記側面部に対して付勢力が加わるように構成されている動物用トイレ。
【請求項8】
請求項6に記載の動物用トイレにおいて、
前記第1及び第2の端面には、滑り止め部材が取り付けられている動物用トイレ。
【請求項9】
請求項4に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部は、前記貫通孔を有する第1の部材と、前記第1の部材に重なった状態で当該第1の部材に対して変位可能な第2の部材とを含む動物用トイレ。
【請求項10】
請求項9に記載の動物用トイレにおいて、
前記第2の部材は、前記第1の部材に対して一方向にのみ変位可能である動物用トイレ。
【請求項11】
請求項10に記載の動物用トイレにおいて、
前記第1の部材は、平面視で略矩形状をしており、
前記一方向は、前記第1の部材の辺方向に等しい動物用トイレ。
【請求項12】
請求項9に記載の動物用トイレにおいて、
前記第1の部材において前記貫通孔は、前記第2の部材と重ならないように設けられている動物用トイレ。
【請求項13】
請求項9に記載の動物用トイレにおいて、
前記第2の部材は、前記第1の部材の周辺部にのみ重なるように設けられている動物用トイレ。
【請求項14】
請求項9に記載の動物用トイレにおいて、
前記第1の部材は、
前記貫通孔が形成された板状の部分である板状部と、
前記板状部に連続し、前記第2の部材を支持する支持部とを有する動物用トイレ。
【請求項15】
請求項14に記載の動物用トイレにおいて、
前記第2の部材は、前記第1の部材に対向する面と反対側の面である非対向面を有しており、
前記支持部は、前記第2の部材の側面から前記非対向面にかけて覆うようにして当該第2の部材を支持する動物用トイレ。
【請求項16】
請求項14に記載の動物用トイレにおいて、
前記第1の部材は、前記板状部に連続し、前記第2の部材における当該第1の部材側の側面に対向する壁部を有する動物用トイレ。
【請求項17】
請求項16に記載の動物用トイレにおいて、
前記壁部は、前記板状部及び前記支持部と一体に成形されている動物用トイレ。
【請求項18】
請求項16に記載の動物用トイレにおいて、
前記壁部と前記第2の部材との間には、弾性部材が介在している動物用トイレ。
【請求項19】
請求項18に記載の動物用トイレにおいて、
前記弾性部材は、圧縮コイルばねである動物用トイレ。
【請求項20】
請求項18に記載の動物用トイレにおいて、
前記壁部と前記第2の部材との間には、複数の前記弾性部材が介在している動物用トイレ。
【請求項21】
請求項1に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部上に敷設され、疎水性を有する複数の粒状体を備える動物用トイレ。
【請求項22】
請求項21に記載の動物用トイレにおいて、
前記各粒状体は、有機物を主材料とする動物用トイレ。
【請求項23】
請求項22に記載の動物用トイレにおいて、
前記各粒状体は、有機物のみからなる動物用トイレ。
【請求項24】
請求項1に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部の下方に配設され、前記尿を吸収する吸水性シートを備える動物用トイレ。
【請求項25】
請求項24に記載の動物用トイレにおいて、
前記吸水性シートが収容される引出部を備え、
前記本体容器の前記側面部には、開口が形成されており、
前記引出部は、前記開口を通じて前記本体容器に対して抜き挿しすることが可能である動物用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の動物用トイレとしては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された動物用トイレは、本体容器、及び尿を通過させる貫通孔を有する仕切部(簀子)を備えている。仕切部は、本体容器内の所定の位置に配設されており、本体容器内を上下に区画している。仕切部上には、低吸水性を有する複数の粒状体が敷設されている。仕切部の下方には、吸水性シートが配設されている。粒状体上に排泄された尿は、粒状体どうしの間、及び仕切部の貫通孔を通過した後、吸水性シートに吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の動物用トイレにおいては、仕切部が本体容器内の所定の位置に据えられているため、仕切部の高さは一定である。しかしながら、仕切部の適度な高さは、当該動物用トイレを使用する動物の大きさによって異なる。そのため、従来の動物用トイレにおいては、仕切部の位置が高すぎたり低すぎたりすることがあった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、仕切部の高さを調節することが可能な動物用トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による動物用トイレは、底面部及び側面部を有する本体容器と、尿を通過させる貫通孔を有し、上記本体容器内を上下に区画する仕切部と、を備え、上記仕切部の高さは、連続的に可変であることを特徴とする。
【0007】
この動物用トイレにおいては、仕切部の高さが可変となっている。この場合、当該動物用トイレを使用する動物の大きさに合わせて仕切部の高さを変えることにより、仕切部の高さを調節することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、仕切部の高さを調節することが可能な動物用トイレが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による動物用トイレの一実施形態を示す端面図である。
【
図12】動物用トイレ1の使用方法の一例を説明するための図である。
【
図13】動物用トイレ1の効果を説明するための図である。
【
図14】動物用トイレ1の効果を説明するための図である。
【
図15】変形例に係る仕切部20を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明による動物用トイレの一実施形態を示す端面図である。動物用トイレ1は、本体容器10、仕切部20、複数の粒状体30、吸水性シート40、及び引出部50を備えている。動物用トイレ1は、例えば猫用トイレである。本体容器10は、1つの箱状の容器からなり、底面部10a及び側面部10bを有している。本体容器10は、排泄された尿を受ける。本体容器10の外形は、略直方体である。本体容器10の材料としては、例えばプラスチックを用いることができる。プラスチックとしては、例えば、ポリプロピレン又はポリエチレンが挙げられる。
【0012】
図2及び
図3は、それぞれ、本体容器10を示す端面図及び正面図である。本体容器10の側面部10bには、引出部50を抜き挿しするための開口12が形成されている。開口12は、底面部10aの近傍に位置し、横長の長方形状をしている。開口12の横方向(
図3の左右方向)の長さは、本体容器10の横幅(内寸)に略等しく、例えば20cm以上40cm以下である。開口12の縦方向(
図3の上下方向)の長さは、例えば2cm以上5cm以下である。
【0013】
図4は、仕切部20を示す平面図である。仕切部20は、尿を通過させる貫通孔21を有している。貫通孔21は、尿を通過させる一方で、各粒状体30を通過させない。仕切部20は、複数の貫通孔21を有している。複数の貫通孔21は、仕切部20において格子状に配列されている。各貫通孔21の平面形状は、円形である。各貫通孔21の径は、例えば2mm以上10mm以下である。
【0014】
仕切部20は、平面視で、略矩形状をしている。ここで、略矩形とは、矩形に限らず、角丸四角形のように矩形に近い形状も含む趣旨である。仕切部20は、底面部10aと平行に配置されている。また、仕切部20は、本体容器10(側面部10b)の上端及び吸水性シート40の双方から離間した位置に配設されている。これにより、仕切部20は、本体容器10内を上下に区画している。すなわち、仕切部20は、本体容器10の内部空間を上部空間S1と下部空間S2とに区画している。上部空間S1は、仕切部20の上方に存在し、複数の粒状体30が敷設される空間である。下部空間S2は、仕切部20の下方に存在し、尿が溜まる空間である。
【0015】
仕切部20の高さh1(
図1参照)は、連続的に可変である。すなわち、仕切部20は、本体容器10の上下方向の一定範囲(本体容器10の上端及び吸水性シート40の何れにも仕切部20が達しない範囲)内における任意の位置に配設できるように構成されている。高さh1は、底面部10aから後述する板状部22aまでの距離として定義するものとする。高さh1の最大値と最小値との差は、5cm以上であることが好ましく、10cm以上であることがより好ましい。
【0016】
図5及び
図6は、それぞれ、
図4のV-V線及びVI-VI線に沿った端面図である。仕切部20は、水平方向に伸縮可能である。仕切部20の伸縮方向(
図4及び
図6の左右方向)について、仕切部20の長さd1の最大値は本体容器10の内寸d2(
図1参照)よりも大きく、長さd1の最小値は内寸d2よりも小さい。仕切部20は、端面20a(第1の端面)及び端面20b(第2の端面)が本体容器10の側面部10bに当接することにより、本体容器10に固定される。このとき、仕切部20は、動物の体重が加わっても高さh1が変わらないように固定される。ただし、仕切部20は、本体容器10に対して解除可能に固定される。ここで、「解除可能」とは、本体容器10及び仕切部20を損傷することなく、本体容器10に対して仕切部20が固定された状態を解除できるということである。端面20a及び端面20bは、仕切部20の伸縮方向の両端に位置する端面である。仕切部20は、端面20a及び端面20bから側面部10bに対して付勢力が加わるように構成されている。
【0017】
仕切部20は、部材22(第1の部材)、及び部材24(第2の部材)を含んでいる。部材22は、平面視で略矩形状をしている。部材24は、平面視で略矩形の板状をしている。平面視で、部材24の面積は、部材22の面積よりも小さい。部材24の厚みは、例えば5mm以上10mm以下である。部材22の4つの側面のうち、部材24と反対側の側面が、仕切部20の端面20aに相当する。また、部材24の4つの側面のうち、部材22と反対側の側面が、仕切部20の端面20bに相当する。部材24は、部材22に重なった状態で、部材22に対して変位可能である。すなわち、部材24は、その板面に平行な面内で、部材22に対して相対的に移動できるように構成されている。部材24は、部材22に対して一方向にのみ変位可能である。当該一方向は、部材22の辺方向(長辺方向又は短辺方向)に等しい。
図4においては、部材24の変位方向を矢印で示している。部材22と部材24とは、互いに部分的に重なっている。すなわち、部材22の一部と部材24の一部とが、互いに重なっている。各部材22,24の材料としては、例えばプラスチックを用いることができる。
【0018】
図7、
図8及び
図9は、それぞれ、部材22を示す平面図、側面図及び正面図である。また、
図10は、部材24を示す斜視図である。部材22には、上述の貫通孔21が形成されている。一方、部材24には、貫通孔21が形成されていない。部材22において貫通孔21は、部材24と重ならないように設けられている。すなわち、部材24がその可動域内の何れの位置にあっても、貫通孔21は、部材24と重ならない。部材24は、部材22の周辺部にのみ重なるように設けられている。すなわち、部材24がその可動域内の何れの位置にあっても、部材24は、部材22の周辺部にのみ重なる。周辺部は、部材22における中央部以外の部分である。中央部は、平面視で全ての貫通孔21を内包し得る最小の矩形R1(
図7参照)で囲まれた部分である。矩形R1の長辺及び短辺は、それぞれ、部材22の長辺及び短辺に平行である。
【0019】
部材22は、板状部22a、支持部22b、及び壁部22cを有している。板状部22aは、貫通孔21が形成された板状の部分である。板状部22aの下面は、部材24の上面に対向している。板状部22aの厚みは、例えば3mm以上10mm以下である。支持部22bは、板状部22aに連続しており、部材24を支持する。詳細には、支持部22bは、部材24の側面24aから非対向面にかけて覆うようにして部材24を支持する。ここで、部材24の非対向面とは、部材22に対向する面と反対側の面をいう。側面24aは、部材24の4つの側面のうち、部材24の変位方向に平行な一対の側面である。本実施形態の場合、部材24の下面が非対向面となる。支持部22bは、鉤型(断面L字状)をしている。
【0020】
支持部22bは、板状部22aの4辺のうち2辺にのみ接続されている。支持部22bが接続された2辺は、部材24の変位方向に平行な一対の辺である。支持部22bは、上記2辺の各々の一部にのみ接続されている。支持部22bは、部材22の周辺部にのみ設けられている。支持部22bは、板状部22aと一体に成形されてもよいし、板状部22aと別々に成形された後に板状部22aに取り付けられてもよい。部材24が支持部22bに支持された状態で変位方向にスライドできるように、板状部22aと支持部22bの先端との間隔d3(
図5参照)は、部材24の厚みよりも僅かに大きく設計されている。
【0021】
壁部22cは、板状部22aに連続している。壁部22cは、板状部22aの下面から下方に突出するように設けられている。壁部22cは、部材24の側面24bに対向している。側面24bは、部材24の変位方向に垂直な一対の側面のうち、部材22側の側面である。壁部22cは、側面24bの全体に対向している。壁部22cと部材24(側面24b)との間には、弾性部材26が介在している。本実施形態において弾性部材26は、圧縮コイルばねである。弾性部材26は、部材24の変位方向(仕切部20の伸縮方向)に伸縮するように配置されている。壁部22cと部材24との間には、複数の弾性部材26が介在している(
図4参照)。壁部22cは、部材22の周辺部にのみ設けられている。壁部22cは、板状部22a及び支持部22bと一体に成形されてもよいし、板状部22a及び支持部22bと別々に成形された後に板状部22aに取り付けられてもよい。
【0022】
図1に戻って、仕切部20上(上部空間S1)には、排泄物(主に尿)を処理するための複数の粒状体30が敷設される。複数の粒状体30は、仕切部20上に直接敷設される。各粒状体30は、粒状をしている。かかる粒状の形状としては、例えば、球、円柱、又は楕円体が挙げられる。各粒状体30の粒径は、例えば、5mm以上30mm以下である。ここで、粒状体30の粒径は、当該粒状体30を内包し得る最小の球の直径として定義される。動物用トイレ1の使用時、粒状体30は、排泄物を直接に受けることになる。
【0023】
粒状体30は、疎水性を有している。すなわち、粒状体30は、尿等の液体を全く吸収しないか、あるいは吸収するとしても殆ど吸収しない性質を有する。粒状体30が疎水性を有するというには、次の試験により測定される液通過率が60%以上であることが必要である。まず、内径10cm、目開き1mmの篩に50g相当の粒状体30(サンプル)を入れる。篩の下には、空のビーカーを設置する。そして、サンプルに対し、外筒の内径3cm、筒先の内径4mmのシリンジ(テルモ社製60mlシリンジ)を用いて、30mlの水を10秒かけて滴下する。1分間放置した後、ビーカー内の水量を計測する。計測した水量の滴下した水量(30ml)に対する割合をもって液通過率とする。このとき、ビーカー内の水量が18ml以上であれば、液通過率が60%以上となるため、粒状体30が疎水性を有するといえる。
【0024】
各粒状体30は、有機物を主材料とすることが好ましい。ここで、粒状体30の主材料とは、粒状体30を構成する1又は2以上の材料のうち、当該粒状体30に占める重量割合が最大のものをいう。かかる有機物としては、例えば、紙類、植物類、プラスチック類、又は有機汚泥類が挙げられる。各粒状体30は、有機物のみからなっていてもよいし、有機物及び無機物からなっていてもよい。
【0025】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙(紙粉)の他にも、印画紙、剥離紙、フラッフパルプ、塩ビ壁紙由来の紙(塩ビ壁紙の製造時又は分級時に発生する紙)、石膏ボード由来の紙(石膏ボードの製造時又は分級時に発生する紙)、又は衛生用品由来の紙(紙を含む衛生用品の製造時又は分級時に発生する紙)を用いることができる。紙を含む衛生用品としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、尿取りパッド、又は衛生用紙(ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオル等)が挙げられる。植物類としては、例えば、木粉、大鋸屑、又は植物性残渣(茶殻、オカラ等)を用いることができる。プラスチック類としては、例えば、通常のプラスチックの他にも、アルミ蒸着フィルム、塩ビ壁紙由来のプラスチック(塩ビ壁紙の製造時又は分級時に発生するプラスチック)、又は衛生用品由来のプラスチック(プラスチックを含む衛生用品の製造時又は分級時に発生するプラスチック)を用いることができる。プラスチックを含む衛生用品としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、尿取りパッド、又は衛生マスクが挙げられる。有機汚泥類としては、例えば、製紙スラッジ、又はパルプスラッジを用いることができる。これらの材料には、疎水処理(撥水処理)が施されていてもよいし、施されていなくてもよい。
【0026】
粒状体30を構成する材料は、1つのみであってもよいし、2つ以上であってもよい。前者の場合、粒状体30を構成する材料は、上述の主材料のみということになる。後者の場合、粒状体30は、主材料と他の材料との混合物によって構成されることになる。他の材料としては、例えば、石膏又は重曹が挙げられる。石膏又は重曹を加えることにより、粒状体30に疎水性を付与しやすくなる。石膏又は重曹の割合は、例えば、粒状体30の全体に対して5重量%以上50重量%未満とされる。
【0027】
粒状体30は、例えば、次の方法により製造することができる。まず、造粒装置を用いて造粒材料(粒状体30を構成する材料)を造粒することにより、粒状体30となる造粒物を形成する。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。造粒物には、必要に応じて疎水処理を施してもよい。疎水処理は、例えば、造粒物の表面を疎水剤(撥水剤)でコーティングすることにより行うことができる。疎水処理を行わない場合、造粒時に造粒材料に加わる圧力を高めることにより、造粒物内に隙間が極力生じないようにすることが好ましい。かかる隙間は、粒状体30の内部に尿等の液体が浸入する経路となるからである。造粒に先立って、造粒材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。また、造粒後には、篩分け(分粒)、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。
【0028】
仕切部20の下方(下部空間S2)には、吸水性シート40が配設される。吸水性シート40は、仕切部20の貫通孔21を通過した尿を吸収する。すなわち、貫通孔21を通過した尿は、吸水性シート40に吸収された状態で下部空間S2に溜まる。
【0029】
図11は、引出部50を示す斜視図である。引出部50は、底板50a、前板50b、先板50c、及び一対の側板50dを有している。底板50aの大きさは、本体容器10の底面部10aの大きさに略等しい。前板50bは、開口12と略同一の形状及び大きさをしている。前板50bには、把手52が取り付けられている。引出部50は、開口12を通じて本体容器10に対して抜き挿しすることが可能である。引出部50には、吸水性シート40が収容される。すなわち、吸水性シート40は、引出部50に収容された状態で本体容器10内に配設される。引出部50の材料としては、例えばプラスチックを用いることができる。
【0030】
動物用トイレ1の使用方法の一例を説明する。動物が排泄するのに先立って、仕切部20の高さを必要に応じて調節する。仕切部20の高さを調節するには、まず、
図12に示すように、部材24を部材22側に押し込んで、仕切部20を収縮した状態にする。次に、その状態のまま仕切部20を本体容器10内の所望の位置に移動した後、部材24を押し込む力を解放する。すると、弾性部材26の復元力により、仕切部20が伸長し、端面20a,20bが本体容器10の側面部10bに当接する。それにより、仕切部20が当該位置に固定される。動物が排泄する際、本体容器10に排泄された尿は、粒状体30どうしの隙間を通り抜けた後、仕切部20の貫通孔21を通じて、上部空間S1から下部空間S2へと移動する。下部空間S2に移動した尿は、吸水性シート40に吸収される。
【0031】
動物用トイレ1の効果を説明する。動物用トイレ1においては、仕切部20の高さが可変となっている。この場合、動物用トイレ1を使用する動物の大きさに合わせて仕切部20の高さを変えることにより、仕切部20の高さを調節することができる。したがって、仕切部20の高さを調節することが可能な動物用トイレ1が実現されている。
【0032】
また、仕切部20の高さは、連続的に可変である。このため、仕切部20の高さが段階的に可変である場合に比して、仕切部20の高さを微細に調節することができる。
【0033】
ところで、仕切部20の位置を低くした方が、上部空間S1が深くなるため、粒状体30が本体容器10の外に飛び散るのを防ぐのに有利である。しかし、その反面、上部空間S1が深いと、体の小さい動物が本体容器10に出入りしにくくなってしまう。それゆえ、粒状体30の飛び散りにくさと動物の出入りしやすさとの均衡の観点から、仕切部20の適度な高さは、動物用トイレ1を使用する動物の大きさによって異なる。具体的には、比較的大きい動物に対しては
図13に示すように仕切部20の位置を比較的低くし、比較的小さい動物に対しては
図14に示すように仕切部20の位置を比較的高くすることが好ましい。本実施形態によれば、このように動物の大きさに応じた仕切部20の高さの調節が可能となる。
【0034】
様々な大きさの動物に柔軟に対応するには、仕切部20の高さの変動幅が大きい方が有利である。かかる観点から、仕切部20の高さの最大値と最小値との差は、5cm以上であることが好ましく、10cm以上であることがより好ましい。他方、仕切部20の高さの変動幅が大きすぎると、仕切部20が配置される可能性のあるスペースを本体容器10内に確保するのが困難になりかねない。かかる観点から、仕切部20の高さの最大値と最小値との差は、20cm以下であることが好ましい。
【0035】
仕切部20は、水平方向に伸縮可能である。この場合、仕切部20の高さを調節する際、仕切部20を収縮させることにより、仕切部20を所望の位置まで円滑に移動させることができる。
【0036】
仕切部20の伸縮方向について、仕切部20の長さd1の最大値は本体容器10の内寸d2よりも大きく、長さd1の最小値は内寸d2よりも小さい。この場合、仕切部20を伸長させたときに端面20a,20bが側面部10bに接する一方、仕切部20を収縮させたときに端面20a,20bが側面部10bに接しないようにすることができる。
【0037】
仕切部20は、端面20a,20bが側面部10bに当接することにより、本体容器10に対して解除可能に固定される。これにより、仕切部20を固定するための固定手段を本体容器10に設けなくても、仕切部20を側面部10bに直接固定することができる。かかる固定手段としては、例えば、仕切部20を載置できるように側面部10bから本体容器10の内側に突出した部材が挙げられる。
【0038】
仕切部20は、端面20a,20bから側面部10bに対して付勢力が加わるように構成されている。これにより、側面部10bに対する仕切部20の固定を強化することができる。
【0039】
仕切部20は、部材22及び部材24を含んでいる。そして、部材24は、部材22に重なった状態で部材22に対して変位可能である。これにより、水平方向に伸縮可能な仕切部20を簡易な構成で実現することができる。
【0040】
部材24は、部材22に対して一方向にのみ変位可能である。このように変位可能な方向を一方向に限ることにより、部材24が部材22に対して変位可能な構成を容易に実現することができる。
【0041】
上記一方向は、部材22の辺方向に等しい。このように変位可能な方向を部材22の辺方向に合わせることも、仕切部20の構成を簡易にする上で有利である。
【0042】
部材22において貫通孔21は、部材24と重ならないように設けられている。これにより、貫通孔21を通過した尿が、下部空間S2に達する前に部材24に遮られてしまう事態を回避することができる。
【0043】
部材24は、部材22の周辺部にのみ重なるように設けられている。これにより、部材22の貫通孔21が部材24に重ならない構成を容易に実現することができる。
【0044】
部材22は、板状部22aに加えて、部材24を支持する支持部22bを有している。これにより、他の部材(部材22及び部材24以外の部材)を用いなくても、部材24が部材22に重なった状態を維持することができる。
【0045】
支持部22bは、部材24の側面24aから非対向面にかけて覆うようにして部材24を支持する。これにより、部材24を支持する支持部22bを簡易な構成で実現することができる。
【0046】
部材22は、部材24の側面24bに対向する壁部22cを有している。これにより、部材24の可動域を規制することができる。具体的には、部材24が部材22側に変位しすぎないようにすることができる。
【0047】
壁部22cが板状部22a及び支持部22bと一体に成形される場合、部材22の形成工程を簡略化することができる。このことは、動物用トイレ1の製造コストの削減に資する。
【0048】
壁部22cと部材24との間には、弾性部材26が介在している。これにより、仕切部20の端面20a,20bから側面部10bに対して付勢力が加わる構成を容易に実現することができる。
【0049】
壁部22cと部材24との間には、複数の弾性部材26が介在している。これにより、端面20a,20bから側面部10bに加わる付勢力の向き(側面部10bに対して垂直な向き)を安定させやすくなる。
【0050】
粒状体30は、疎水性を有している。この場合、粒状体30上に排泄された尿の大部分は、粒状体30に吸収されずに、粒状体30どうしの隙間を通り抜けていく。これにより、尿を下部空間S2まで速やかに導くことができる。
【0051】
各粒状体30が有機物を主材料とする場合、焼却処分に適した粒状体30を得ることができる。このことは、使用済みの粒状体30の処分の便宜に資する。特に各粒状体30が有機物のみからなる場合、焼却処分に一層適した粒状体30を得ることができる。
【0052】
下部空間S2には、吸水性シート40が配設されている。これにより、下部空間S2に溜まった尿を吸水性シート40内に閉じ込めることができる。このため、当該尿からの悪臭の発生を緩和することができる。
【0053】
本体容器10に対して抜き挿しすることが可能な引出部50が設けられている。これにより、使用済みの吸水性シート40を新しいものと交換する作業を楽に行うことができる。
【0054】
ところで、猫は、犬等の他の動物と異なり、排泄後に排泄物を粒状体で隠す習性を有する。それゆえ、上部空間S1に複数の粒状体30が敷設される動物用トイレ1は、猫用トイレとして特に好適に用いることができる。
【0055】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態において仕切部20の端面20a及び端面20bには、例えば
図15に示すように、滑り止め部材28が取り付けられていてもよい。滑り止め部材28の材料としては、例えばゴムを用いることができる。このように滑り止め部材28を設けることにより、仕切部20を側面部10bに対してより安定的に固定することができる。
【0056】
上記実施形態においては、弾性部材26がばね(圧縮コイルばね)である場合を例示した。しかし、弾性部材30としては、ばね以外の弾性体(例えばゴム)を用いてもよい。
【0057】
上記実施形態においては、貫通孔21の平面形状が円形である場合を例示した。しかし、貫通孔21の平面形状は、任意であり、例えば、楕円形であってもよいし、矩形等の多角形であってもよい。
【0058】
上記実施形態においては、引出部50が設けられた場合を例示した。しかし、引出部50を設けることは必須でない。引出部50を設けない場合、吸水性シート40は、底面部10a上に直接配設される。その場合、当然ながら、側面部10bに開口12は設けられない。
【0059】
上記実施形態においては、本体容器10に吸水性シート40が配設される場合を例示した。しかし、本体容器10に吸水性シート40を配設することは必須でない。吸水性シート40を配設しない場合、引出部50も設けられない。
【符号の説明】
【0060】
1 動物用トイレ
10 本体容器
10a 底面部
10b 側面部
12 開口
20 仕切部
20a 端面(第1の端面)
20b 端面(第2の端面)
21 貫通孔
22 部材(第1の部材)
22a 板状部
22b 支持部
22c 壁部
24 部材(第2の部材)
24a 側面
24b 側面
26 弾性部材
28 滑り止め部材
30 粒状体
40 吸水性シート
50 引出部
52 把手
S1 上部空間
S2 下部空間