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特開2024-162274プログラム、情報処理方法及び情報処理端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162274
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理方法及び情報処理端末
(51)【国際特許分類】
   G01S 1/68 20060101AFI20241114BHJP
   H04L 67/131 20220101ALI20241114BHJP
   H04L 67/52 20220101ALI20241114BHJP
【FI】
G01S1/68
H04L67/131
H04L67/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077621
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】520175189
【氏名又は名称】oVice株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207619
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 知晴
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・セーヒョン
(57)【要約】
【課題】より利便性が高く、コミュニケーションを補助できる手段を提供する。
【解決手段】ビーコン信号受信部120は、各種近距離無線通信の規格等によりビーコン装置3等から送信されてきたビーコン信号を受信する。優先時間帯管理部121は、所定の基準に基づいて、ビーコン信号を優先的に受信する時間帯を管理する。ステータス情報取得部122は、ビーコン信号受信部120で取得されたビーコン信号の種別に応じて、ユーザのステータスを判定する。受信頻度決定部123は、前記識別情報を受信する頻度を制御する。受信頻度決定部123は、優先時間帯管理部121による現在の時刻が優先的に受信を行う時間帯であるか否かの判定の結果、及びステータス情報取得部122で分類されたユーザのステータスに基づいて、ビーコン信号受信部120がビーコン信号を受信する頻度を決定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の情報を送信する送信装置と通信を行う情報処理端末に、
前記送信装置により発信された識別情報を受信する識別情報受信ステップと、
受信した前記識別情報に基づいて、前記情報処理端末に係るユーザの位置を推定する位置推定ステップと、
推定された前記ユーザの位置に基づいて、前記ユーザの仮想空間における配置を決定する配置決定ステップと、
前記識別情報を受信する頻度を決定する受信頻度決定ステップと、
を含む処理を実行させるプログラム。
【請求項2】
前記配置決定ステップは、前記仮想空間に対応する所定の現実空間における前記ユーザの位置に応じて、前記ユーザの前記仮想空間における配置を決定する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記受信頻度決定ステップは、前記ユーザの勤務の時間帯に応じて、前記識別情報を受信する頻度を決定する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記受信頻度決定ステップは、前記ユーザにより定められた所定の時間帯の前記識別情報を受信する頻度を増加させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記受信頻度決定ステップは、過去の前記識別情報の取得状況に応じて、前記識別情報を受信する頻度を変更する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記受信頻度決定ステップは、前記ユーザの予定又は勤怠に関する情報に応じて、前記識別情報を受信する頻度を決定する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記識別情報の種別に基づいて、前記ユーザの行動状態を判定する行動状態判定ステップを含む処理をさらに実行させ、
前記受信頻度決定ステップは、前記行動状態の判定の結果をあわせて、前記識別情報を受信する頻度を決定する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記受信頻度決定ステップは、前記位置推定ステップにおいて前記ユーザの位置情報の推定に複数回失敗した場合に、前記行動状態を判定するための前記識別情報の受信頻度を増加させる、
請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
所定の情報を送信する送信装置と通信を行う情報処理端末が実行する情報処理方法であって、
前記送信装置により発信された識別情報を受信する識別情報受信ステップと、
受信した前記識別情報に基づいて、前記情報処理端末に係るユーザの位置を推定する位置推定ステップと、
推定された前記ユーザの位置に基づいて、前記ユーザの仮想空間における配置を決定する配置決定ステップと、
前記識別情報を受信する頻度を決定する受信頻度決定ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項10】
所定の情報を送信する送信装置と通信を行う情報処理端末であって、
前記送信装置により発信された識別情報を受信する識別情報受信手段と、
受信した前記識別情報に基づいて、前記情報処理端末に係るユーザの位置を推定する位置推定手段と、
推定された前記ユーザの位置に基づいて、前記ユーザの仮想空間における配置を決定する配置決定手段と、
前記識別情報を受信する頻度を決定する受信頻度決定手段と、
を備える情報処理端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理方法及び情報処理端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器の位置情報等を利用した多くのサービスが提供されている。この電子機器の位置情報の推定には、例えば、GPS(Global Positioning System)やビーコンを利用した方法等が知られている。そのような方法の一つとして、ビーコンを利用した電子機器の位置推定システムに関する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、近年、電子機器の位置情報を常時把握し、それぞれのユーザの位置情報をわかりやすく表示するような技術も提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-96978号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「Beacapp HERE」、[online]、[令和4年7月19日検索]、インターネット(URL:https://jp.beacapp-here.com/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述の特許文献1を含む従来技術の多くは、電子機器の位置情報の精度の向上を目的とするものである。しかしながら、上述の特許文献1を含め、高い精度で位置情報を取得するためには多くの処理が必要であり、これを常時行った場合、通信する情報量が増大したり、電子機器のバッテリーが大きく消耗してしまう等の問題が生じる可能性がある。
また、上述の特許文献1を含む従来技術の多くは、あくまでも現実世界の位置情報の取得手段に過ぎず、仮想空間におけるコミュニケーションと関連性を有するものでもない。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、より利便性が高く、コミュニケーションを補助できる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明の一態様のプログラムは、
所定の情報を送信する送信装置と通信を行う情報処理端末に、
前記送信装置により発信された識別情報を受信する識別情報受信ステップと、
受信した前記識別情報に基づいて、前記情報処理端末に係るユーザの位置を推定する位置推定ステップと、
推定された前記ユーザの位置に基づいて、前記ユーザの仮想空間における配置を決定する配置決定ステップと、
前記識別情報を受信する頻度を決定する受信頻度決定ステップと、
を含む処理を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より利便性が高く、コミュニケーションを補助できる手段を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するユーザ端末、サーバ及びビーコン装置の機能的構成の一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムの適用対象となる第1サービスの一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムの適用対象となる第2サービスの概要を説明するためのイメージ図である。
図6】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムの適用対象となる第1サービスに第2サービスを適用した場合を説明するためのイメージ図である。
図7】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するユーザ端末が実行する処理のうち、位置情報推定処理の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
ここで、実施形態の説明に先立ち、本発明の一実施形態にかかる情報処理システム(以下、「本システム」と呼ぶ)の適用対象となる第1サービス及び第2サービスについて説明する。
まず、本システムにかかる第1サービスを説明する。本システムの第1サービスは、例えば、仮想空間を利用したコミュニケーションサービスである。ユーザは、仮想空間内に存在する自身のアバタを利用することで、仮想空間内に存在する複数のユーザと音声等によりコミュニケーションを図ることができる。具体的に第1サービスでは、仮想空間上に存在するアバタ間の距離に応じて、入力された音声等の出力条件を変更することで、仮想空間を利用したコミュニケーションの支援を実現する。
特に本実施形態では、第1サービスにおける仮想空間は、例えば、現実のユーザが存在するオフィスを模して生成される。そのため、ユーザは、現実世界のオフィスの状況と近い環境で仮想空間においてもコミュニケーションを実現することが可能となる。また、第1サービスにおける仮想空間上のユーザの配置は、後述する第2サービスにより取得された現実のオフィスにおける各ユーザの位置情報に基づいて行うことができる。すなわち、本システムは、後述する第2サービスにより取得された現実のオフィスにおける各ユーザの位置情報を反映して、対応するアバタを仮想空間内に配置できる。そのため、ユーザは、自身が存在するオフィス内の位置関係と同様の位置関係が再現された仮想空間において、(オフライン、オンラインを含む)社内の同僚等とコミュニケーションを行うことが可能となる。
【0012】
次に、本システムにかかる第2サービスを説明する。本システムの第2サービスは、例えば、ビーコンを利用してオフィス内の電子機器の位置情報を推定するサービスである。具体的には、現実のオフィス等にビーコンを配置し、電波を受信した電子機器の位置情報を推定する。これにより、本システムは、オフィスに在籍する各ユーザの位置情報を推定することができる。
ここで、第2サービスにおいて、位置情報の推定は、常に行われるわけではなく、電子機器の位置が変化する蓋然性が高い状況においてのみ実施されてもよい。具体的には、本システムは、第2サービスにおいて、優先的にビーコン信号を受信する時間帯であるか否か、各ユーザのステータスに基づいて、ビーコン信号を受信する頻度を決定する仕様を採用している。これにより、本システムは、過度のバッテリー消費を抑えて、効率的にユーザの位置を推定することができる。
【0013】
そして、本システムは、上述の第1サービス及び第2サービスを組み合わせて、それぞれのユーザに提供することができる。具体的に本システムは、第2サービスにおいて現実世界のユーザの位置を推定し、推定したユーザの現実世界の位置情報に応じて、そのユーザに対応するアイコンを仮想空間内に配置して第1サービスを提供することができる。すなわち、本システムの第1サービスは、現実世界の空間(例えば、現実のオフィス)の位置関係を反映した仮想空間において、それぞれのユーザが自身に対応するアバタを介してコミュニケーションを実現する。換言すれば、本システムは、現実世界に極めて近い状況を再現した仮想的なコミュニケーション環境を提供することができる。これらのサービスへの提供を想定し、以下、本システムの概要について具体的に説明していく。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態にかかる情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図1に示す情報処理システムは、ユーザ端末1と、サーバ2と、ビーコン装置3とを含み構成される。ユーザ端末1とサーバ2とは、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されている。なお、ネットワークNは必須の構成要素ではなく、例えば、NFC(Near Field Communication)、ブルートゥース(登録商標)、LAN(Local Area Network)等が利用されてもよい。
【0015】
ユーザ端末1は、汎用的なスマートフォン等により構成され、本サービスの提供を受けるユーザにより使用される。ユーザ端末1は、後述する位置情報推定処理に関する各種処理を実行する。
特にユーザ端末1は、ビーコン装置3からのビーコン信号等を受信して、ユーザの位置情報を推定する。なお、ユーザ端末1には、本サービスの提供に必要となる各種アプリケーション等があらかじめインストールされているものとする。
【0016】
サーバ2は、汎用的なPC(Personal Computer)等により構成され、本システムの管理者等により管理される。サーバ2は、ユーザ端末1のそれぞれから送信されてきた各種情報を取得し、各種処理を実行する。
【0017】
ビーコン装置3は、本サービスの管理者等により管理される。ビーコン装置3は、ユーザ端末1で位置情報を推定するために必要となるビーコン信号を発信する。
具体的にビーコン装置3は、例えば、Bluetooth(登録商標)やBLE(Bluetooth Low Energy)等の規格に基づき、各ビーコンのビーコン識別情報(以下、「ビーコンID」と呼ぶ)等を含む電波を、一定の時間間隔で発信する。なお、これらの規格は、例示であり、例えば、RFID(Radio Frequency Identifier)等の任意の規格や通信方法等が採用されてもよい。
【0018】
図2は、図1の情報処理システムのうちユーザ端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
図2に示す通り、ユーザ端末1は、制御部11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0020】
制御部11は、CPUやGPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータ等で構成され、ROM12に記録されているプログラム、または記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、制御部11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0021】
制御部11、ROM12およびRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19およびドライブ20が接続されている。
【0022】
出力部16は、液晶ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
【0023】
入力部17は、タッチパネル等で構成され、各種情報を入力する。
【0024】
記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
【0025】
通信部19は、所定のネットワークNを介して、他のハードウェア等と通信を行う。なお、ネットワークNには、インターネットやBluetooth(登録商標)等を含め、互いに通信が可能であれば任意の方法が含まれてもよい。
【0026】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するユーザ端末、サーバ及びビーコン装置の機能的構成の一例を示す図である。
【0028】
図3に示すように、ユーザ端末1の制御部11は、各種プログラムを実行することにより、仮想空間処理部100と、入力操作受付部101と、ビーコン管理部102と、位置情報管理部103と、アバタ管理部104と、コミュニケーション管理部105として機能する。
【0029】
仮想空間処理部100は、サーバ2から送信されてきた仮想空間情報を、通信部19を介して取得する。また、仮想空間処理部100は、サーバ2から送信されてきた他のユーザの他ユーザ位置情報を、通信部19を介して取得する。
仮想空間処理部100は、取得した仮想空間情報に基づいて、ユーザ端末1の出力部16等に表示するための仮想空間画像を生成する。なお、表示される画像の具体的な例は、図4及び図6等を参照しながら後述する。
【0030】
入力操作受付部101は、ユーザからの入力操作を受け付ける。また、入力操作受付部101は、受け付けた入力操作に関する入力操作情報を、サーバ2へ送信する。
【0031】
ビーコン管理部102は、ビーコンに関する各種処理を実行する。ビーコン管理部102には、ビーコン信号受信部120と、優先時間帯管理部121と、ステータス情報取得部122と、受信頻度決定部123とが設けられている。
【0032】
ビーコン信号受信部120は、前記送信装置により発信された識別情報を受信する。具体的にビーコン信号受信部120は、各種近距離無線通信の規格等によりビーコン装置3等から送信されてきたビーコン信号を受信する。また、ビーコン信号受信部120は、受信したビーコン信号の強度及びビーコン信号を受信した時刻等を記憶部18等に設けられたデータベース等に記録する。なお、ビーコン信号受信部120は、受信したビーコン信号に含まれるビーコンID等に基づいて、受信した電波の送出元を特定する。
【0033】
優先時間帯管理部121は、所定の基準に基づいて、ビーコン信号を優先的に受信する時間帯を管理する。具体的に例えば、優先時間帯管理部121は、一般的なユーザの勤務時間である午前9時から午後6時(18時)までの時間帯をビーコン信号の受信を優先的に行う時間帯として設定し、現在の時刻が優先的に受信を行う時間帯であるか否かを判定する。
【0034】
ステータス情報取得部122は、前記識別情報の種別に基づいて、前記ユーザの行動状態を判定する。具体的にステータス情報取得部122は、ビーコン信号受信部120で取得された過去のビーコン信号の種別に応じて、ユーザの行動状態(以下、「ステータス」と呼ぶ)を判定する。例えば、ステータス情報取得部122は、ビーコン信号受信部120で取得されたビーコン信号が喫煙所に設置したビーコン装置3である場合、ユーザのステータスを「離席状態」と分類する。同様に、ステータス情報取得部122は、ビーコン信号受信部120で取得されたビーコン信号が車等に設置されたビーコン装置3である場合、ユーザのステータスを「移動中」と分類する。
【0035】
受信頻度決定部123は、前記識別情報を受信する頻度を制御する。具体的に受信頻度決定部123は、優先時間帯管理部121による現在の時刻が優先的に受信を行う時間帯であるか否かの判定の結果、及びステータス情報取得部122で分類されたユーザのステータスに基づいて、ビーコン信号受信部120がビーコン信号を受信する頻度を決定する。
【0036】
位置情報管理部103は、ビーコン信号受信部120で受信されたビーコン信号、及びステータス情報取得部122で分類されたユーザのステータスに基づいて、ユーザ端末1を使用するユーザの現実のオフィスにおける位置を推定する。また、位置情報管理部103は、推定したユーザの位置に関する情報(以下、「ユーザ位置情報」と呼ぶ)を、サーバ2へ送信する。
【0037】
アバタ管理部104は、位置情報管理部103で推定されたユーザの現実のオフィスにおける位置に基づいて、仮想空間上の対応する位置にユーザのアバタを配置する。
また、アバタ管理部104は、仮想空間処理部100で取得された他ユーザ位置情報に基づいて、他のユーザに対応するアバタを仮想空間内に配置する。
【0038】
コミュニケーション管理部105は、ユーザと他のユーザとのコミュニケーションに関する各種処理を実行する。具体的にコミュニケーション管理部105は、例えば、ユーザから他のユーザに送信を希望する音声に関する情報(以下、「コミュニケーション情報」と呼ぶ)を取得し、その情報をサーバ2等へ送信する。また、コミュニケーション管理部105は、例えば、サーバ2等から送信されてきた他のユーザのコミュニケーション情報を取得し、その情報を、出力部16等を介して音声として出力する。
【0039】
図3に示すように、サーバ2の制御部200は、各種プログラムを実行することにより、仮想空間管理部220と、位置情報管理部221と、コミュニケーション管理部222として機能する。
仮想空間管理部220は、図示せぬDBなどに格納されている画像情報などに基づいて、ユーザのそれぞれに提示し得る仮想空間を生成し、生成した仮想空間に関する情報(以下、「仮想空間情報」と呼ぶ)を、ユーザ端末1のそれぞれに送信する。
【0040】
位置情報管理部221は、管理している他のユーザの位置情報(以下、「他ユーザ位置情報」と呼ぶ)のそれぞれを、ユーザ端末1へ送信する。また、位置情報管理部221は、ユーザ端末1から送信されてきたユーザ位置情報を、通信部210を介して取得し、管理する。
【0041】
コミュニケーション管理部222は、所定のユーザ端末1から送信されてきたコミュニケーション情報を、通信部210を介して取得する。コミュニケーション管理部222は、取得したコミュニケーション情報を他のユーザ端末1へ送信する。
【0042】
図3に示すように、ビーコン装置3は、ビーコン信号送信部300を備える。
ビーコン信号送信部300は、ビーコン信号を、例えば、Bluetooth(登録商標)等の規格に基づき、送出する。なお、ビーコン信号の電波強度は、例えばRSSI等の値により示すことが可能であり、この電波強度の違いにより発信源からの距離等を推定することができる。
なお、ビーコン装置3は、例えば、図示せぬ制御部や記憶部等の汎用的な情報処理端末としての機能をも備えていてもよい。
【0043】
図4を参照しながら、本システムにかかる第1サービスについて簡単に説明する。図4は、本システムの適用対象となる第1サービスの一例を示す図である。
図4には、現実のオフィスを模した仮想空間(以下、「オフィス空間」と呼ぶ)が表示されている。そして、図4の例では、ユーザのそれぞれに対応するアイコンA乃至Dがオフィス空間の所定の位置に表示されている。なお、図4の例では、現実のオフィスに存在するユーザのそれぞれの位置情報に基づいて、アイコンA乃至Dの配置場所が決定される。
第1サービスは、このような仮想空間を利用したコミュニケーションサービスである。マイク等を介して入力された音声情報は、他のユーザのスピーカ等を介して出力される。これにより、各ユーザは、現実世界だけでなく仮想空間内においても容易にコミュニケーションを図ることが可能となる。ここで、第1サービスにおいて、本システムは、例えば、オフィス空間におけるアイコンの距離に応じて、出力する音声の音量を調整することができる。
例えば、図4の例では、アイコンAとアイコンBは互いに近い位置に配置されているのに対して、アイコンAとアイコンCは比較的離れた位置にアイコンが配置されている。アイコンAとアイコンDは、さらに離れた位置にアイコンが配置されている。そのため、例えば、「A」のアイコンに対応するユーザにより入力された音声は、「B」のアイコンに対応するユーザのユーザ端末1では大きく出力され、「C」のアイコンに対応するユーザのユーザ端末1では小さく出力される。なお、図4図6の例で、アイコンAの周囲に表示されている演出はアイコンAに対応するユーザが、音声を入力中(発言中)であることを示している。
また、例えば、図4における点線は、例えば「A」のアイコンに対応するユーザの音声の可聴域を示している。そのため、「D」のアイコンに対応するユーザのユーザ端末1では、「A」に対応するユーザの音声は出力されない。
なお、第1サービスの詳細については、例えば、本出願人による特願2020-187756等を参照することができる。ただし、上述の文献に記載の方法を採用するか否かは、本システム等の任意である。
【0044】
続いて、図5及び図6を参照しながら本システムにかかる第2サービスについて説明する。
図5は、本システムの適用対象となる第2サービスの概要を説明するためのイメージ図である。図5の例では、所定の空間(例えば、現実のオフィス)に設置されたビーコン装置3から送信されたビーコン信号を、ユーザUA、UB、UC、UDのそれぞれが使用するユーザ端末1A、1B、1C、1Dで受信し、その情報に基づいて、各ユーザの位置情報が推定される。
そして、ユーザ端末1A、1B、1C、1Dで推定された各ユーザの位置情報はサーバ2へと送信され、サーバ2で仮想空間内におけるそれぞれのユーザに対応するアバタの位置が決定される。
なお、図5の例を含め、所定の空間内に設置されるビーコンの台数は、任意である。対象となる空間の広さや構造等に応じて、ビーコン装置3は、任意の台数が設置されてもよい。
【0045】
そして、図6は、本システムの適用対象となる第1サービスに第2サービスを適用した場合を説明するためのイメージ図である。具体的に図6の例は、アイコンAに対応するユーザが、オフィス内の丸いテーブルの付近(図4に示した状態)から、会議室内のカウンターの付近(図6に示した状態)へと移動した場合の例を示している。図6の例では、オフィス内のユーザの実際の移動を反映し、オフィス空間においても、アイコンAの場所の配置場所が変更されている。
このように図6の例では、図5に示す位置情報推定技術をうまく利用することで、実際に現実のオフィスで行われたユーザの移動は速やかにオフィス空間の位置の変化に反映することができる。これにより、仮想空間内の配置を見た他のユーザは、容易に現実のオフィスに存在する各ユーザの位置関係等を把握することができ、また、その状態を前提として現実世界と近いコミュニケーションを図ることができる。
【0046】
ここで、このような第1サービス及び第2サービスを提供する場合、通常、常時すべてのユーザの位置情報を取得し続ける必要がある。しかし、位置情報を定期的に取得し続ける処理は、それぞれのユーザ端末1における処理が増大するだけでなく、ユーザ端末1とサーバ2との間でやり取りする情報量が増加するという意味でも非効率である。特に本サービスは、本来、常時ユーザの位置情報を取得する必要はなく、各ユーザが移動した場合にのみ位置情報を更新すれば、問題なくユーザにサービスを提供できるとも考えられる。
そのため、本システムは、必要な場合にのみ位置情報を取得するための手段として、上述のような優先的にビーコン信号を受信する時間帯であるか否か、各ユーザのステータスに基づいて、ビーコン信号を受信する頻度を決定することで、効率的に位置情報を更新するという仕様を採用している。
【0047】
図7は、本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するユーザ端末が実行する処理のうち、位置情報推定処理の流れの一例を示す図である。
【0048】
ステップS1において、ステータス情報取得部122は、過去にビーコン信号受信部120で取得されたビーコン信号の種別に応じて、ユーザのステータスを判定する。
【0049】
ステップS2において、優先時間帯管理部121は、所定の基準に基づいて、ビーコン信号を優先的に受信する時間帯を設定し、現在の時刻が優先的に受信を行う時間帯であるか否かを判定する。
【0050】
ステップS3において、受信頻度決定部123は、優先時間帯管理部121による現在の時刻が優先的に受信を行う時間帯であるか否かの判定の結果、及びステータス情報取得部122で分類されたユーザのステータスに基づいて、ビーコン信号受信部120がビーコン信号を受信する頻度を決定する。
【0051】
ステップS4において、ビーコン信号受信部120は、受信頻度決定部123で決定された受信頻度に従い、各種近距離無線通信の規格等によりビーコン装置3等から送信されてきたビーコン信号を受信する。
【0052】
ステップS5において、位置情報管理部103は、ビーコン信号受信部120で受信されたビーコン信号、及びステータス情報取得部122で分類されたユーザのステータスに基づいて、ユーザ端末1を使用するユーザの現実のオフィスにおける位置を推定する。
【0053】
ステップS6において、位置情報管理部103は、推定したユーザの位置に関するユーザ位置情報を、サーバ2へ送信する。
【0054】
ステップS7において、アバタ管理部104は、仮想空間処理部100で生成された仮想空間に関する画像において、位置情報管理部103で推定されたユーザの現実世界の位置に基づいて、仮想空間上の対応する位置にユーザのアバタを配置する。これにより、位置情報推定処理は終了する。
【0055】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0056】
ここで、上述の実施形態では説明を省略したが、第1サービス及び第2サービスを組み合わせて提供する場合の具体的なサービスの提供方法の一例を紹介する。
第1サービスと第2サービスを合わせて提供した場合、基本的にユーザの現実のオフィスでの位置と、仮想空間内での位置は対応していることになる。
これは、例えば、現実にオフィスに出勤している社員と在宅勤務で仮想空間内でのみ出勤している(以下、「リモートワーク」とも呼ぶ)社員が混在しているような場合に特に有用である。具体的には、実際にオフィスに出社している社員の立場からすれば、実際にはオフィスに出社せず在宅勤務を行っている社員を現実と対応した仮想空間において、常にリモートワークを行っている社員の存在を意識しながら仕事を行うことができる。そして、逆にリモートワークを行っている社員の立場からすれば、実際にオフィスで他の社員と働いているような一体感を持ちながら在宅で仕事を行うことが可能となる。
ただし、本システムが、第1サービス及び第2サービスを組み合わせて提供するか否かは本システムの管理者等の任意である。また、本システムが、第1サービス及び第2サービスを組み合わせて提供するユーザの現実のオフィスでの位置と、仮想空間内での位置が対応しているか否かについても本システムの管理者等の任意である。
【0057】
さらに言えば、本システムが第1サービス及び第2サービスを組み合わせて提供する場合、必ずしもオフラインでの位置や状況にオンラインでの位置や状況を厳密に対応させる必要はなく、例えば、現実のオフィスでは休憩スペースである場所を、仮想空間ではソファーエリアに変更するような一定の基準においてオフラインとオンラインの対応関係があれば足りる。なお、上述の通り、そもそも本システムが、オフラインとオンラインに対応関係を含めるかどうかも、本システムの管理者等の任意である。
【0058】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本システムは、それぞれのユーザが自身に対応するアバタを任意の操作(例えば、Drag And Drop等)により自由に操作できる仕様を採用してもよい。これにより、本システムは、よりそれぞれのユーザにとって自由度の高いコミュニケーションの手段を提供することができる。
【0059】
また、上述の実施形態における第1サービスにおいて、原則として、ユーザは1対1の会話を行うことを想定して説明したが、限定されない。例えば、現実のオフィスの休憩スペースに複数人が座って談笑しているような場合、本システムは仮想空間において複数人を合わせて表示し、会話も複数人で同時に行ってもよい。
【0060】
また、上述の実施形態において、本システムは、一般的なユーザの勤務時間に基づいてビーコン信号の受信の頻度を決定するものとして説明したが、限定されない。本システムは、例えば、事前にユーザ又は本システムの管理者等が設定した時間に応じて、ビーコン信号の受信頻度を変更してもよい。
【0061】
また、同様に本システムは、例えば、ビーコン信号の過去の受信履歴に応じて、ビーコン信号の取得頻度を変更してもよい。
【0062】
また、同様に本システムは、例えば、ユーザに関連する他のアプリケーション等から取得できる情報(例えば、カレンダー、勤怠管理ツール)等に応じて、ビーコン信号の取得頻度を変更してもよい。
【0063】
また、上述の実施形態において、本システムは、単に所定の時間帯のビーコン信号の取得頻度を高く設定し、それ以外の時間帯のビーコン信号の取得頻度を低く設定するする例を説明したが、限定されない。本システムは、ビーコン信号の取得頻度を段階的に変更する機能を備えていてもよい。例えば、本システムは、深夜の時間帯ではビーコン信号の取得頻度を最も低く設定し、早朝に向けて段階的にビーコン信号の取得頻度を高くしていく機能を備えていてもよい。
【0064】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本システムは、ユーザの位置情報の推定を正常に行えない場合に対処するために、例えば、以下のような機能を備えていてもよい。具体的に例えば、本システムは、複数回位置情報の推定が正常に行えない場合、単にビーコン信号の取得頻度を増加するのではなく、ステータスの判定に関する受信回数を優先的に増加させることで、効率的に位置情報の推定精度を向上させることができる。
【0065】
また、近年では、一部の情報処理端末において、そもそも位置情報の取得が難しい場合や位置情報の取得のタイミングが制限される場合などが存在する。特に、スマートフォンを用いた位置情報の取得には、制限がかかることも多い。このような場合であっても、本システムは、複数のユーザ端末1の位置情報を利用することで、状況を改善できる場合がある。
例えば、Aの情報処理端末(例えば、スマートフォン)の位置が移動している情報を取得している状況で、Bの情報処理端末(例えば、ノートパソコン)の位置も移動している情報を取得しているのであれば、ユーザはAの情報処理端末(例えば、スマートフォン)とBの情報処理端末を同時に携行し室内を移動している状況であると考えられる。このような状況であれば、本システムは、Aの情報処理端末(例えば、スマートフォン)の位置情報の取得は行わず、Bの情報処理端末(例えば、ノートパソコン)の位置情報を取得し、Bの情報処理端末(例えば、ノートパソコン)の位置をユーザの位置として推定しても良いと考えられる。
他方、例えば、Aの情報処理端末(例えば、スマートフォン)の位置が移動している情報を取得している状況で、Cの情報処理端末(例えば、据え置き型のパソコン)の位置が移動していないのであれば、ユーザはAの情報処理端末(例えば、スマートフォン)のみを携行し室内を移動している状況であると考えられる。このような状況であれば、本システムは、たとえAの情報処理端末(例えば、スマートフォン)の同期のタイミングが制限されているとしても、Aの情報処理端末(例えば、スマートフォン)の位置情報を取得し、Aの情報処理端末(例えば、スマートフォン)の位置をユーザの位置として推定しても良いと考えられる。
本システムは、このように複数の情報処理端末の特徴やユーザの置かれた状況をうまく活用することで、効率的にユーザの位置情報を推定することもできる。
【0066】
また例えば、上述の実施形態では説明を省略したが、本サービス(特に第1サービス)におけるコミュニケーションは、会話であってもよいし、チャットやメール等であってもよい。すなわち、上述の本サービス(特に第1サービス)において、あらゆるコミュニケーション手段が採用されてもよい。
【0067】
また例えば、上述の実施形態では説明を省略したが、上述のオフィス空間には、任意のオブジェクトが配置されてもよい。オブジェクトは、例えば、オフィス空間の任意の位置に固定して配置され、全てのユーザに共通したコンテンツの利用を促すことに利用される。すなわち、オブジェクトは、指示操作(クリックなど)を行ったユーザに共通して会話を実現させることに利用できるだけでなく、例えば、動画像の再生や各種ゲーム(将棋、オセロ、人狼ゲームなど)への参加、動画像の共有(カメラ画像やPC画像など)、広告の再生など、あらゆる内容のコンテンツを共有し得るオブジェクトであってもよい。
【0068】
また例えば、上述の実施形態において、第1サービスと第2サービスは組み合わせて提供されるものとして説明しているが、限定されない。本システムは、第1サービス又は第2サービスを、それぞれ単独でユーザに提供してもよい。
【0069】
また例えば、上述の実施形態において、本システムは、位置情報の推定をビーコンにより行うものとして説明したが、限定されない。例えば、本システムは、GPSやWi-fi(登録商標)等を利用して、ユーザの位置情報を推定してもよい。
【0070】
また例えば、上述の実施形態において、位置情報の検知対象となる空間はオフィス(及びオフィス空間)であるものとして説明しているが、限定されない。例えば、本システムは、位置情報の検知対象となる空間として、例えば、イベント会場、パーティールーム、レストラン、お見合い会場、駅、商業施設(スーパーやコンビニ等)等を採用してもよい。
【0071】
ここで、ビーコンによる位置情報の推定は、上述のような便利な側面を有するものの、高い精度でユーザの位置を推定することが難しい場合がある。例えば、オフィスでユーザの座っている座席の位置を推定する場合、複数の座席が近接して配置されているとユーザの座っている座席を正確に特定できない場合も起こりえる。このような問題の解決策の一つとして、例えば、以下の非特許文献1に示すような、ネットワーク等を利用してそれぞれの座席の状況を常時管理する方法がビーコンによる位置情報の推定と併用されることがある。
[非特許文献2]ホテリング機能[2022年10月17日検索],インターネット<https://jp.beacapp-here.com/hotelling/>
【0072】
しかし、例えば、非特許文献1に記載の技術は、個別の座席等を管理する技術としては有用であるものの、インターネット等を用いて座席の予約や管理等を行う必要がある。また、他の従来技術においては、例えば、NFCタグにタッチすることで、座席の予約や管理を行うことができる技術が提案されているものの、タッチ操作を行わないユーザも多いと予想される。
そこで、本システムは、例えば、NFC(Near Field Communication)タグとスマートフォン等の充電操作を組み合わせることで、ユーザがタッチ操作を行うよう誘導可能な技術を提供する。
具体的に例えば、本システムは、無線又は有線の充電デバイス(スマートフォンの充電器等)にNFCタグ等を組み込むことで、ユーザの充電操作の際に自動的に座席の予約や管理、位置情報の取得等を行う。NFCタグには、例えば、設置されている座席の管理番号や位置情報等の各種情報を含むことができるため、本システムは、ユーザの使用する座席やユーザの位置を高精度かつ容易に推定することができる。
このような方法は、本システムで採用するビーコンによる位置情報の推定と組み合わせることで特に有効に機能する。すなわち、ビーコンによる位置情報の推定が必ずしも十分でない場合にも、ユーザに煩わしい操作をさせることなく、容易にユーザの位置情報や座席の使用状況等を管理することができる。ただし、本システムは、充電デバイスを利用したこの方法と、上述のビーコンを利用した方法を併用せず、充電デバイスを利用した位置情報等の推定を単独のサービスとして実施してもよい。
【0073】
さらに言えば、本システムは、例えば、上述の充電デバイスへのタッチ操作に関して、タッチ操作を行ったユーザに所定の特典を付与してもよい。具体的に本システムは、例えば、タッチ操作(充電)を行ったユーザに対して、買い物などに利用できるポイント、物品、お菓子、クーポン等を付与してもよい。
【0074】
また例えば、上述の実施形態では説明を省略したが、仮想空間において現実のオフィス内の人の所在を完全に反映することが必ずしも望ましくない状況が存在する。具体的に例えば、トイレ等のプライベートな空間に存在する場合、その情報を、あえて仮想空間に反映しない等の配慮が考えられる。
そこで、本システムは、オフィス等におけるトイレ等のプライバシーの観点で配慮が望まれる場所に、異なる機能を有するビーコンを設置してもよい。本システムは、例えば、この異なる機能を有するビーコンで人の所在が確認された場合、仮想空間から除外する、休憩モードに入る等の表示を行ってもよい。
【0075】
また例えば、上述の実施形態では説明を省略したが、本システムは、例えば、現実のオフィスと仮想空間を連動させるような場合、すなわち、例えば、現実のオフィスに設置されたカメラの情報を仮想空間で配信(ストリーミング配信等)する機能を備えていてもよい。
なお、本システムが、このような配信機能を備えている場合、現実のオフィスの状況を配信してしまうと、各種バッテリーの消費、ネットワーク帯域の圧迫、データ量の消費等による問題を引き起こす可能性がある。この点、本システムの利用目的等により、現実のオフィスに人が存在しないのであれば、ストリーミング配信等が不要となる場合がある。このような場合、本システムは、現実のオフィス内に人がいない場合(ビーコンで人が検知されていない場合)にはストリーミング配信等を停止し、現実のオフィス内に人がいる場合(ビーコンで人が検知されている場合)にのみカメラの情報を仮想空間で配信してもよい。
【0076】
ここで、上述の実施形態では説明を省略したが、ビーコンでユーザの位置情報を検知する場合に行う方法は1つには限られない。例えば、一般的にビーコンでユーザの位置情報を検知する方法として、(1)ユーザがビーコンを持ち歩き、受信機等を介してそのビーコンの位置情報からユーザの位置を特定する方法、(2)設置されているビーコンをモバイル端末等で検知して位置情報を検知する方法等が考えられる。
(1)の方法は、相対的に高い精度で位置情報を検知できる反面、設置する受信機等の数が増加することでコストが増大してしまう傾向がある。他方、(2)の方法は、費用等は安く抑えられる一方で、位置情報を検知する対象となるユーザがモバイル端末等の受信デバイスを有している必要がある。具体的に(2)の方法のみでは、例えば、会社員のユーザであっても会社用のモバイル端末が支給されていない場合や会社にゲストとして訪問したユーザ等の位置情報の検知は難しい。
このような状況を踏まえて、本システムは、これらの方法を組み合わせた方法で、ユーザの位置情報を検知する機能を備えていてもよい。
具体的に本システムは、例えば、(2)の設置されているビーコンに基づく位置情報の検知を基本としつつ、所定のモバイル端末を持たない人(例えば、会社を初めて訪問したゲスト)には携帯用のビーコンを持ち歩いてもらい、そのゲストが持っているビーコンを所定のモバイル端末を有しているユーザ(例えば、会社用のモバイル端末を持っている社員)がゲストの位置情報を検知する方法を備えていてもよい。本システムは、このような仕様を備えることで、所定のモバイル端末やアプリケーション等を有していないユーザであっても容易に位置情報を検知することができる。
さらに言えば、本システムは、現実のオフィスに設置されている各種デバイスやハードウェア等からユーザ(ゲスト)の位置情報を推定できる機能を備えていてもよい。これにより、利用者(ゲストや社員)がスマートフォン等を使用していなくても、容易かつ正確に利用者の位置情報を推定することができる。
【0077】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本システムは、ジャイロセンサ等を活用することで、ビーコン信号の受信の可否を制御する仕様を備えていてもよい。具体的に例えば、本システム(特にユーザ端末1)は、ジャイロセンサ等により角速度の変化が検出された場合にのみビーコン信号の受信を許可することで、常時ビーコン信号の受信を行わず、バッテリーの消耗を抑えて効率的にユーザの位置情報を推定することができる。
【0078】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図3等の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは図3等の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、図3等の例に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成されてもよいし、ソフトウェア単体で構成されてもよいし、それらの組み合わせで構成されてもよい。
【0079】
また例えば、上述の実施形態では、ユーザ端末1、サーバ2、ビーコン装置3は、それぞれ1台で構成されるものとして説明したが、限定されない。すなわち、本システムを構成するハードウェアの使用者や数は上述の例に限定されず任意である。また、本システムは、上述のハードウェアのみならず、他のハードウェア等を組み合わせて構成してもよい。
また例えば、本システムは、いわゆるクラウド型のシステムであり、Web等を介して各種処理を実行し、処理の結果を各種ハードウェアに送る等の構成を採用してもよい。
【0080】
また例えば、本システムは、複数のユーザ端末1から取得した位置情報を総合的に勘案し、ユーザの位置情報を推定してもよい。この場合、複数のユーザ端末1は、例えば、スマートフォンとノートパソコンなど異なる種別のハードウェアであってもよいし、位置情報の取得を目的とした専用のハードウェアであってもよい。
【0081】
また、一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0082】
また、コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータであってもよい。
すなわち、例えば、上述の実施形態における各種ハードウェアには、任意のコンピュータ、任意のスマートフォン等の携帯端末等が自由に採用されてもよい。
【0083】
また、このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に提供される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成されてもよい。
【0084】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理は勿論、並列的又は個別に実行されてもよい。また、上述の実施形態で記載するステップは、一部が省略されてもよい。
【0085】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味している。
【0086】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、及び他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【0087】
以上をまとめると、本発明が適用される情報処理システムは、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用されるプログラムは、
所定の情報を送信する送信装置と通信を行う情報処理端末に、
前記送信装置により発信された識別情報を受信する識別情報受信ステップ(例えば、ビーコン信号受信部120)と、
受信した前記識別情報に基づいて、前記情報処理端末に係るユーザの位置を推定する位置推定ステップ(例えば、位置情報管理部103)と、
推定された前記ユーザの位置に基づいて、前記ユーザの仮想空間における配置を決定する配置決定ステップ(例えば、アバタ管理部104)と、
前記識別情報を受信する頻度を決定する受信頻度決定ステップ(例えば、受信頻度決定部123)と、
を含む処理を実行させるプログラムであれば足りる。
【0088】
前記配置決定ステップは、前記仮想空間に対応する所定の現実空間における前記ユーザの位置に応じて、前記ユーザの前記仮想空間における配置を決定することができる。
【0089】
前記受信頻度決定ステップは、前記ユーザの勤務の時間帯に応じて、前記識別情報を受信する頻度を決定することができる。
【0090】
前記受信頻度決定ステップは、前記ユーザにより定められた所定の時間帯の前記識別情報を受信する頻度を増加させることができる。
【0091】
前記受信頻度決定ステップは、過去の前記識別情報の取得状況に応じて、前記識別情報を受信する頻度を変更することができる。
【0092】
前記受信頻度決定ステップは、前記ユーザの予定又は勤怠に関する情報に応じて、前記識別情報を受信する頻度を決定することができる。
【0093】
前記プログラムは、前記識別情報の種別に基づいて、前記ユーザの行動状態を判定する行動状態判定ステップを含む処理をさらに実行させることができ、
前記受信頻度決定ステップは、前記行動状態の判定の結果をあわせて、前記識別情報を受信する頻度を決定することができる。
【0094】
前記受信頻度決定ステップは、前記位置推定ステップにおいて前記ユーザの位置情報の推定に複数回失敗した場合に、前記行動状態を判定するための前記識別情報の受信頻度を増加させることができる。
【0095】
また、本発明の他の態様は、
所定の情報を送信する送信装置と通信を行う情報処理端末が実行する情報処理方法であって、
前記送信装置により発信された識別情報を受信する識別情報受信ステップと、
受信した前記識別情報に基づいて、前記情報処理端末に係るユーザの位置を推定する位置推定ステップと、
推定された前記ユーザの位置に基づいて、前記ユーザの仮想空間における配置を決定する配置決定ステップと、
前記識別情報を受信する頻度を決定する受信頻度決定ステップと、
を含む情報処理方法であってもよい。
【0096】
また、本発明の他の態様は、
所定の情報を送信する送信装置と通信を行う情報処理端末であって、
前記送信装置により発信された識別情報を受信する識別情報受信手段と、
受信した前記識別情報に基づいて、前記情報処理端末に係るユーザの位置を推定する位置推定手段と、
推定された前記ユーザの位置に基づいて、前記ユーザの仮想空間における配置を決定する配置決定手段と、
前記識別情報を受信する頻度を決定する受信頻度決定手段と、
を備える情報処理端末であってもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 ユーザ端末
11 制御部
100 仮想空間処理部
101 入力操作受付部
102 ビーコン管理部
120 ビーコン信号受信部
121 優先時間帯管理部
122 ステータス情報取得部
123 受信頻度決定部
103 位置情報管理部
104 アバタ管理部
105 コミュニケーション管理部
2 サーバ
210 制御部
220 仮想空間管理部
221 位置情報管理部
222 コミュニケーション管理部
3 ビーコン装置
300 ビーコン信号送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7