(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162276
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】仙腸関節矯正用ベッド
(51)【国際特許分類】
A61G 13/08 20060101AFI20241114BHJP
A61F 5/01 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A61G13/08
A61F5/01 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077624
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】503474249
【氏名又は名称】石川 安彦
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】石川 安彦
【テーマコード(参考)】
4C098
4C341
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB05
4C098BB08
4C098BC23
4C098BC42
4C098BD02
4C098BD15
4C341MM05
4C341MP02
4C341MQ03
(57)【要約】
【課題】 安価な構成により仙腸関節を効果的に矯正することができる仙腸関節矯正用ベッドを提供する。
【解決手段】 胸部支持部2と脚部支持部3との間に腰部支持部10を備える仙腸関節矯正用ベッド1であって、腰部支持部10は、前後左右にマトリクス状に配置されて個別に上下動可能に設けられた4つの基台20a~20dと、各基台20a~20dに水平軸周りに回動自在に取り付けられた平板状の4つの支持体30a~30dと、各基台20a~20dと各支持体30a~30dとの間にそれぞれ介在された4つの保持機構40a~40dとを備え、各支持体30a~30dは、傾斜状態において、左側腸骨および左側坐骨をそれぞれ支持する支持体30a,30c同士が対向し、右側腸骨および右側坐骨をそれぞれ支持する支持体30b,30d同士が対向する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
うつ伏せ状態の患者の胸部および脚部をそれぞれ支持する胸部支持部と脚部支持部との間に、腰部を支持する腰部支持部を備える仙腸関節矯正用ベッドであって、
前記腰部支持部は、前後左右にマトリクス状に配置されて個別に上下動可能に設けられた4つの基台と、前記各基台に水平軸周りに回動自在に取り付けられて患者の左側腸骨、右側腸骨、左側坐骨および右側坐骨をそれぞれ支持する平板状の4つの支持体と、前記各基台と前記各支持体との間にそれぞれ介在された4つの保持機構とを備え、
前記保持機構は、前記基台に固定された本体と、前記本体に上下動可能に設けられて上昇位置で前記支持体を傾斜状態に保持する保持部材とを備え、前記支持体に衝撃力を作用させることにより、前記保持部材が下降位置まで降下して前記支持体を水平状態に回動させるように構成されており、
前記各支持体は、傾斜状態において、左側腸骨および左側坐骨をそれぞれ支持する前記支持体同士が対向し、右側腸骨および右側坐骨をそれぞれ支持する前記支持体同士が対向するように配置されている仙腸関節矯正用ベッド。
【請求項2】
前後に隣接する前記支持体は、後方側が前方側よりも大面積に形成されて、互いの隙間が10~30mmであり、
左右に隣接する前記支持体は、互いの隙間が50~70mmである請求項1に記載の仙腸関節矯正用ベッド。
【請求項3】
前記保持部材の下降位置から上昇位置までの距離は、10~30mmである請求項1に記載の仙腸関節矯正用ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仙腸関節矯正用ベッドに関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
仙腸関節のずれを矯正するために使用される従来のベッドとして、例えば、特許文献1に開示された治療台が知られている。この治療台は、横たわった患者の腰部を支持する腰部支持部を備えており、腰部支持部は、患者の体軸方向および体幅方向にそれぞれ分割された複数の分割部材と、分割部材を個別に上下動可能に支持する支持体とを備えている。支持体は、分割部材を上昇させるリフト手段と、上昇した分割部材を所定の落下高さに保持する保持手段とを備えており、保持手段に保持された分割部材に上方からの衝撃力が作用すると、この分割部材が落下するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の治療台は、落下させる分割部材を適宜選択して、腰部の所望の部位に衝撃力を作用させることができるが、各分割部材は鉛直方向に落下するため、左右の仙腸関節の立体的なズレを矯正する上で、更に改良の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、安価な構成により仙腸関節を効果的に矯正することができる仙腸関節矯正用ベッドの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、うつ伏せ状態の患者の胸部および脚部をそれぞれ支持する胸部支持部と脚部支持部との間に、腰部を支持する腰部支持部を備える仙腸関節矯正用ベッドであって、前記腰部支持部は、前後左右にマトリクス状に配置されて個別に上下動可能に設けられた4つの基台と、前記各基台に水平軸周りに回動自在に取り付けられて患者の左側腸骨、右側腸骨、左側坐骨および右側坐骨をそれぞれ支持する平板状の4つの支持体と、前記各基台と前記各支持体との間にそれぞれ介在された4つの保持機構とを備え、前記保持機構は、前記基台に固定された本体と、前記本体に上下動可能に設けられて上昇位置で前記支持体を傾斜状態に保持する保持部材とを備え、前記支持体に衝撃力を作用させることにより、前記保持部材が下降位置まで降下して前記支持体を水平状態に回動させるように構成されており、前記各支持体は、傾斜状態において、左側腸骨および左側坐骨をそれぞれ支持する前記支持体同士が対向し、右側腸骨および右側坐骨をそれぞれ支持する前記支持体同士が対向するように配置されている仙腸関節矯正用ベッドにより達成される。
【0007】
この仙腸関節矯正用ベッドにおいて、前後に隣接する前記支持体は、後方側が前方側よりも大面積に形成されて、互いの隙間が10~30mmであることが好ましく、左右に隣接する前記支持体は、互いの隙間が50~70mmであることが好ましい。
【0008】
前記保持部材の下降位置から上昇位置までの距離は、10~30mmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、安価な構成により仙腸関節を効果的に矯正することができる仙腸関節矯正用ベッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る仙腸関節矯正用ベッドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る仙腸関節矯正用ベッドの斜視図である。
図1に示すように、仙腸関節矯正用ベッド1は、うつ伏せ状態の患者の胸部、腰部および脚部をそれぞれ支持する胸部支持部2、腰部支持部10および脚部支持部3を備えており、胸部支持部2と脚部支持部3との間に腰部支持部10が配置されている。胸部支持部2、腰部支持部10および脚部支持部3は、左右両側が帯板5を介して複数の脚体4により支持されている。
【0012】
腰部支持部10は、前後左右にマトリクス状に配置された4つの基台20a,20b,20c,20dと、各基台20a,20b,20c,20dの上部にそれぞれ取り付けられた4つの支持体30a,30b,30c,30dとを備えている。4つの支持体30a,30b,30c,30dは、クッション性を有する矩形平板状の部材である。
【0013】
図2は、
図1に示す腰部支持部10の平面図である。
図2に示すように、4つの支持体30a,30b,30c,30dは、腰部の骨盤90の標準的な大きさに合わせてマトリクス状に配置されており、左側腸骨91a、右側腸骨91b、左側坐骨92a、右側坐骨92bをそれぞれ支持する。前方側(
図1の胸部支持部2側)に配置された2つの支持体30a,30bは、互いに同じ大きさ・形状に形成されている。後方側(
図1の脚部支持部3側)に配置された2つの支持体30c,30dは、互いに同じ大きさ・形状で、且つ、前後方向長さL2が、前方側の2つの支持体30a,30bの前後方向長さL1よりも長くなるように形成されている。各支持体30a,30b,30c,30dの幅Wは、同じ大きさである。
【0014】
図3は、
図1に示す仙腸関節矯正用ベッド1の側面図である。
図3に示すように、各基台20a,20b,20c,20dは、帯板5に固定されたパンタグラフ式の昇降台22に個別に上下動可能に支持されており、ハンドル21の回動操作により、所定の高さ範囲(例えば、各支持体30a,30b,30c,30dが、胸部支持部2および脚部支持部3と面一の状態から最大10cm程度の上昇位置まで)の任意の位置に、それぞれを保持することができる。
【0015】
各支持体30a,30b,30c,30dは、各基台20a,20b,20c,20dに水平軸31周りに回動自在に取り付けられており、上面が水平状態から傾斜状態になるように回動させることができる。
図3に示す各支持体30a,30b,30c,30dの傾斜状態においては、前後に隣接する支持体30a,30c同士および支持体30b,30d同士が、互いに対向する。
【0016】
また、
図3に示すように、腰部支持部10は、各基台20a,20b,20c,20dと各支持体30a,30b,30c,30dとの間にそれぞれ介在されて、各支持体30a,30b,30c,30dを傾斜状態に保持する4つの保持機構40a,40b,40c,40dを備えている。
【0017】
図4は、保持機構40aを胸部支持部2側から見た概略断面図である。
図4(a)に示すように、保持機構40aは、基台20aに固定された本体41と、本体41の貫通孔41aに上下動可能に設けられた円筒状の保持部材42とを備えている。保持部材42の外周面には、中央部から先端まで延びる溝状の切欠部42aが形成されている。本体41の貫通孔41aに連通する横孔41bには、係合片43が収容されている。係合片43は、バネ等からなる弾性部材44の付勢力により先端部が貫通孔41a内に突出して切欠部42aに係合し、保持部材42を上昇位置に保持することができる。これにより、
図3に示すように、支持体30aが傾斜状態に保持される。なお、他の保持機構40b,40c,40dについても、上記の保持機構40aと同様に構成されている。
【0018】
図4(a)に示す支持体30aに対して下方(矢示方向)への衝撃力を作用させると、係合片43が弾性部材44の付勢力に抗して右方向に移動し、係合片43と切欠部42aとの係合が解除される。これにより、
図4(b)に示すように、保持部材42が下降位置まで降下して下端が本体41の下方に突出し、支持体30aが本体41の上面に落下して水平状態になる。支持体30aが所望の衝撃力で落下するように、横孔41bに螺合された調整ねじ45の進退によって、弾性部材44の付勢力を適宜調整することができる。支持体30aを再び傾斜状態に保持する場合は、保持部材42を押し上げることで、係合片43を切欠部42aに係合させる。保持部材42の押し上げは、
図4(b)に2点鎖線で示すリセットレバー46を回動自在に設けて、リセットレバー46の押し上げによって行うこともできる。
【0019】
上記の構成を備える仙腸関節矯正用ベッド1は、
図2に示すように、うつ伏せ状態の患者の骨盤90を各支持体30a,30b,30c,30dで支持するように位置合わせを行った後、
図1に示す各基台20a,20b,20c,20dの高さ位置を、施術者のハンドル21の操作によるリンクアーム23の作動により、個別に調整する。そして、
図5(a)に示すように、患者の施術箇所に対応する支持体(本実施形態では支持体30b)が傾斜状態になるように保持機構40bを操作した後に、患者の施術箇所を手技で押圧する。これにより、支持体30bは、矢示方向の衝撃力が作用することで、保持部材42の降下により
図5(b)に示す水平状態になる。
図5(a)に示す保持部材42の下降位置から上昇位置までの距離Hは、10~30mmであることが好ましく、20mmであることがより好ましい。傾斜状態の支持体30bの水平面に対する傾斜角度θは、例えば3~10度であり、4~7度がより好ましい。
【0020】
本実施形態の仙腸関節矯正用ベッド1は、
図2に示す左右の腸骨91a,92bと仙骨93との間の仙腸関節94a,94bのズレの大きさや方向等に合わせて、4つの支持体30a,30b,30c,30dの高さ位置を、4つの基台20a,20b,20c,20dの上下動によって個別に調整することができる。また、各支持体30a,30b,30c,30dは、前後に隣接する者同士(すなわち、支持体30a,30c同士、および、支持体30b,30d同士)が傾斜状態で互いに対向するように配置されており、患者の施術箇所を押圧したときに、施術箇所に対応する支持体30a,30b,30c,30dが単なる落下ではなく回動することで、左右の仙腸関節94a,94bに対して矯正力を効果的に作用させることができる。
【0021】
図2に示す各支持体30a,30b,30c,30d間の隙間S1,S2は、小さすぎると、仙腸関節94a,94bに所望の矯正力を作用させ難くなる一方、大きすぎると、骨盤90の支持が不安定になり易い。このため、前後に隣接する支持体30a,30c間の隙間(および支持体30b,30d間の隙間)S1は、10~30mmであることが好ましく、20mmがより好ましい。また、左右に隣接する支持体30a,30b間の隙間(および支持体30c,30d間の隙間)S2は、50~70mmであることが好ましく、60mmがより好ましい。
【0022】
後方側の支持体30c,30dは、仙腸関節94a,94bに近い前方側の支持体30a,30bよりも大面積であることが好ましく、これによって、後方側の支持体30c,30dによって骨盤90の支持を安定的に行いつつ、前方側の支持体30a,30bの回動により、仙腸関節94a,94bに所望の矯正力を作用させ易くなる。
図2に示す前方側の支持体30a,30bの前後方向の長さL1は、例えば120~150mmであり、後方側の支持体30c,30dの前後方向の長さL2は、例えば160~190mmである。また、各30a,30b,30c,30dの幅は、例えば210~240mmである。
【符号の説明】
【0023】
1 仙腸関節矯正用ベッド
2 胸部支持部
3 脚部支持部
10 腰部支持部
20a,20b,20c,20d 基台
30a,30b,30c,30d 支持体
31 水平軸
40a,40b,40c,40d 保持機構
41 本体
42 保持部材