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  • -油圧装置 図1
  • -油圧装置 図2
  • -油圧装置 図3
  • -油圧装置 図4A
  • -油圧装置 図4B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162286
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】油圧装置
(51)【国際特許分類】
   F03C 1/253 20060101AFI20241114BHJP
   F04B 1/2078 20200101ALI20241114BHJP
【FI】
F03C1/253
F04B1/2078
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077648
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】小西 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】横田 貴也
【テーマコード(参考)】
3H070
3H084
【Fターム(参考)】
3H070BB04
3H070BB06
3H070CC07
3H070DD44
3H070DD48
3H070DD96
3H084AA08
3H084AA16
3H084AA43
3H084BB09
3H084CC32
3H084CC35
3H084CC48
(57)【要約】
【課題】耐久性を向上できる油圧装置を提供する。
【解決手段】油圧装置は、凹部を有するケースと、ケース内に設けられ回転軸に沿って回転可能なシャフトと、シャフトの外周に接続されるシリンダブロックと、回転軸の方向に揺動可能にシリンダブロック内に設けられる第1ピストン部と、第1ピストン部の一端に斜面が接触し、回転軸に垂直な軸に沿って傾転可能にケース内に設けられる斜板と、斜板の底面に接触するボール、及び先端でボールを回転可能に保持し、回転軸の方向に揺動可能にケースの凹部に設けられ、ボールとの間に油が流通する隙間が底面側に設けられているボール保持部を有する第2ピストン部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を有するケースと、
前記ケース内に設けられ、回転軸に沿って回転可能なシャフトと、
前記シャフトの外周に接続されるシリンダブロックと、
前記回転軸の方向に揺動可能に、前記シリンダブロック内に設けられる第1ピストン部と、
前記第1ピストン部の一端に斜面が接触し、前記回転軸に垂直な軸に沿って傾転可能に前記ケース内に設けられる斜板と、
前記斜板の底面に接触するボール、及び先端で前記ボールを回転可能に保持し、前記回転軸の方向に揺動可能に前記ケースの凹部に設けられ、前記ボールとの間に油が流通する隙間が底面側に設けられているボール保持部を有する第2ピストン部と、
を備える油圧装置。
【請求項2】
前記ボール保持部は、前記先端に前記底面側に凹であり前記ボールが設けられる凹部を有し、
前記ボール保持部の凹部は、底面に設けられ半球状に形成されている半球部と、開口に設けられ前記ボールの直径よりも直径が狭くなるように形成されている開口部とを有する、
請求項1に記載の油圧装置。
【請求項3】
前記ボール保持部の凹部は、前記半球部及び前記開口部の間に設けられ、前記半球部の開口の直径及び前記開口部の直径よりも直径が広くなるように形成されている円筒状の空間である円筒部をさらに有する、
請求項2に記載の油圧装置。
【請求項4】
前記半球部は、中心に、前記ボール保持部を揺動させる油が流れるための孔部を有し、
前記隙間は、前記半球部及び前記ボールの間に設けられている、
請求項2又は3に記載の油圧装置。
【請求項5】
前記ボール保持部は、弾性変形する素材で形成されており、前記先端の外径が底面側の外径よりも狭い、
請求項2又は3に記載の油圧装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、回転斜板の傾転角度を切り替えることによって容量を変更可能な変速油圧モータや変速油圧ポンプなどの油圧装置が知られている。
【0003】
これに関し、特許文献1には、傾転角度を切り替えるための二速ピストンの先端に係合する斜板の位置に半球が回転自在に圧入されているボールを備える二速油圧モータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-132188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ボール及び斜板が密着しているため、ボールの揺動によってボール及び斜板の接触面が摩耗して、耐久性が低下してしまう可能性があった。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐久性を向上できる油圧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の油圧装置は、凹部を有するケースと、前記ケース内に設けられ、回転軸に沿って回転可能なシャフトと、前記シャフトの外周に接続されるシリンダブロックと、前記回転軸の方向に揺動可能に、前記シリンダブロック内に設けられる第1ピストン部と、前記第1ピストン部の一端に斜面が接触し、前記回転軸に垂直な軸に沿って傾転可能に前記ケース内に設けられる斜板と、前記斜板の底面に接触するボール、及び先端で前記ボールを回転可能に保持し、前記回転軸の方向に揺動可能に前記ケースの凹部に設けられ、前記ボールとの間に油が流通する隙間が底面側に設けられているボール保持部を有する第2ピストン部と、を備える。
【0008】
また、前記ボール保持部は、前記先端に前記底面側に凹であり前記ボールが設けられる凹部を有し、前記ボール保持部の凹部は、前記底面に設けられ半球状に形成されている半球部と、開口に設けられ前記ボールの直径よりも直径が狭くなるように形成されている開口部とを有する。
【0009】
また、前記ボール保持部の凹部は、前記半球部及び前記開口部の間に設けられ、前記半球部の開口の直径及び前記開口部の直径よりも直径が広くなるように形成されている円筒状の空間である円筒部をさらに有する。
【0010】
また、前記半球部は、中心に、前記ボール保持部を揺動させる油が流れるための孔部を有し、前記隙間は、前記半球部及び前記ボールの間に設けられている。
【0011】
また、前記ボール保持部は、弾性変形する素材で形成されており、前記先端の外径が底面側の外径よりも狭い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、油圧装置は、耐久性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る油圧装置の構成を示す断面図である。
図2図1に示す油圧装置において斜板の傾転角を変更した場合を示す断面図である。
図3図1に示す油圧装置の第2ピストン部近傍の拡大図である。
図4A図3に示すボール保持部にボールを取り付ける際の第2ピストン部の形状を示す図である。
図4B図3に示すボール保持部にボールを取り付ける際の第2ピストン部の形状を示す図である。
図4C図3に示すボール保持部にボールを取り付ける際の第2ピストン部の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素及びステップに対しては可能な限り同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る油圧装置1の構成を概略的に示す断面図である。また、図2は、図1に示す油圧装置1において斜板30の傾転角を変更した場合を示す断面図である。油圧装置1は、例えば、容量が可変であるアキシャル・ピストンモータであり、外部から流入口を介して油が供給され、流出口から油を外部に排出する。また、油圧装置1は、油圧装置1を制御するための制御装置(図示せず)によって、容量が例えば1速及び2速のいずれかに対応する量に制御される。図1における油圧装置1は、容量が1速に対応する容量(大容量)に制御されている状態である。図2を参照して、図2における油圧装置1は、容量が2速に対応する容量(小容量)に制御されている状態である。図1に戻って、油圧装置1は、例えば、ケース10と、シャフト20と、シリンダブロック21と、第1ピストン部22と、斜板30と、第2ピストン部40と、流通路50とを含んで構成される。なお、本実施形態において、図1に示す油圧装置1を正面側からみた場合における右側方向を上面方向とし、図1に示す油圧装置1を正面側からみた場合における左側方向を底面方向とする。
【0016】
ケース10は、油圧装置1の各構成要素を囲う容器である。ケース10は、油圧装置1の外部から油が供給され第1の位置に設けられる流入口と、第1ピストン部22によって押し出される油を排出し第1の位置と異なる第2の位置に設けられる流出口と、シャフト20、シリンダブロック21、第1ピストン部22、斜板30及びボール35が設けられる空洞11と、空洞11の底面に設けられる凹部12とを有する。凹部12は、底面側が流通路50に接続され、内部に第2ピストン部40が収容される。
【0017】
シャフト20は、回転軸Oに沿って回転可能な軸であり、ケース10の底面側の外壁から上面方向に向かってケース10内を介して空洞11内に至り、かつ斜板30の中心に設けられている孔部を貫通するようにケース10内に設けられる。シャフト20は、一端がケース10の底面側の外壁に露出しており、一端に接続されている油圧装置1の外部にある減速機に回転を伝達する。また、シャフト20は、両端のうち空洞11内にある他端の外周にシリンダブロック21が接続される。
【0018】
シリンダブロック21は、第1ピストン部22の各ピストンを収容するためのケースであり、シャフト20の空洞11内にある部分の外周に、例えば、スプラインを介して接続される。シリンダブロック21は、シャフト20と同様に、回転軸Oに沿って回転する。また、シリンダブロック21は、第1ピストン部22が有するピストンの数だけ、当該ピストンを収容するための底面から上面方向に向かう孔部が設けられている。孔部は、底面側に第1ピストン部22のピストンが挿入され、挿入されたピストンの揺動に従って上面側から油が供給及び排出される。また、孔部は、シリンダブロック21が回転軸Oに沿って回転した際に、第1の位置に一致することによって流入口に接続され、第2の位置に一致することによって流出口に接続されるように、シリンダブロック21に設けられる。
【0019】
第1ピストン部22は、回転軸Oの方向に揺動可能に、シリンダブロック21内に設けられる。具体的には、第1ピストン部22は、複数のピストンを有しており、各ピストンが、シリンダブロック21に設けられている孔部のうちそれぞれのピストンに対応する孔部に挿入される。また、第1ピストン部22は、シャフト20及びシリンダブロック21と同様に、回転軸Oに沿って回転する。ピストンは、両端のうち底面側の一端が斜板30の斜面31に接触しており、上面側の他端が孔部の上面側を向いている。ピストンは、第1ピストン部22の回転軸Oに沿う回転に伴って、接触する斜面31の位置の変動に従って、回転軸Oに沿って揺動する。
【0020】
ピストンは、ピストンが挿入されている孔部が流入口に接続されている場合、底面方向に移動することによって流入口から孔部内に油が供給される。これに対して、ピストンは、ピストンが挿入されている孔部が流出口に接続されている場合、上面方向に移動することによって流出口を介して孔部内の油を排出する。
【0021】
斜板30は、回転軸Oに垂直な軸(図示せず)に沿って傾転可能にケース10の空洞11内に設けられる。ここで、垂直な軸は、図1において、回転軸Oに垂直であり、背面側から正面側に向かう仮想軸である。斜板30は、中心部に孔部を有し、当該孔部内にシャフト20が貫通するように設けられる。また、斜板30は、斜面31と、側面32と、底面33及び34とを有する。斜面31は、底面33及び34に対して非平行な上面側の面であり、第1ピストン部22の一端に接触する。側面32は、斜面31並びに底面33及び34を接続する面であり、斜板30の外周に設けられる。また、側面32は、斜面31及び底面33の間の幅よりも、斜面31及び底面34の間の幅が長くなるように形成されている。底面33は、シャフト20を挟んで底面34と反対側にある底面側の面であり、第2ピストン部40が有するボール46が接触する。また、底面34は、シャフト20を挟んで底面33と反対側にある底面側の面であり、ボール35が接続される。すなわち、斜板30は、ボール35を支点として、底面側から上面側に又は上面側から底面側に底面34が向かうように空洞11内で傾転する。
【0022】
ボール35は、斜板30を傾転させるための機構であり、空洞11の底面におけるシャフト20近傍の位置に設けられる。ボール35は、斜板30が回転軸Oに対して垂直な軸に沿って傾転できるように、斜板30の底面34と空洞11の底面とを接続する。
【0023】
第2ピストン部40は、斜板30の傾転角を変更するための機構であり、回転軸Oの方向に揺動可能に、ケース10の凹部12に設けられる。また、第2ピストン部40は、例えば、ボール46と、ボール保持部41とを有する。具体的には、第2ピストン部40は、凹部12の底面側に接続されている流通路50を介した圧油の供給及び当該供給の停止によって、回転軸Oの方向に揺動する。第2ピストン部40は、流通路50を介して圧油が供給された場合、油圧の変化によって上面方向に移動し、斜板30の底面33を上面方向に押す。これによって、斜板30は、底面34が上面側から底面側に向かい空洞11の底面に接触する位置に到達するまで、ボール35を支点に傾転する。なお、図1においては、斜板30は、図1を正面側から見た場合に反時計回りとなるように傾転する。これにともなって、油圧装置1は、図1に示される状態から図2に示される状態となり、容量が2速に対応する量に制御される。
【0024】
これに対して、第2ピストン部40は、流通路50を介した圧油の供給が停止された場合、油圧の変化によって底面方向に移動し、底面33の上面方向への押し出しを停止する。これによって、斜板30は、底面33が上面側から底面側に向かい空洞11の底面に接触する位置に到達するまで、ボール35を支点に傾転する。なお、図1においては、斜板30は、図1を正面側から見た場合に時計回りとなるように傾転する。これにともなって、油圧装置1は、図2に示される状態から図1に示される状態となり、容量が1速に対応する量に制御される。
【0025】
図3を参照しつつ、第2ピストン部40の詳細について説明する。図3は、図1に示す油圧装置1の第2ピストン部40近傍の拡大図である。図3に示すように、ボール46は、ボール保持部41の先端に回転可能に保持され、上面側が斜板30の底面33に接触する。ボール46は、斜板30の底面34に接触することによって、斜板30の底面33が上面側から底面側に向かう際、上面方向に向かう力を斜板30の底面34に伝える。また、ボール46は、ボール保持部41の先端において、あらゆる方向に自在に回転可能に保持される。
【0026】
ボール保持部41は、回転軸Oに対して揺動可能に凹部12に設けられており、先端でボール46を回転可能に保持する。ボール保持部41は、底面側の外周が凹部12の内周に接触し、上面側の先端の外周が凹部12の内周から離れるように、弾性変形可能な素材で柱状に形成されている。また、ボール保持部41は、上面側の先端に、底面側に凹でありボール46が設けられる凹部を有しており、ボール46との間に油が流通する隙間が当該凹部の底面側に設けられている。さらに、ボール保持部41は、底面側の一端から上面側の先端の凹部の底面に至る孔部45を有している。孔部45は、内部にボール保持部41を揺動させるための油の一部が流通する。
【0027】
ボール保持部41の凹部は、半球部42と、円筒部43と、開口部44とによって形成されている。半球部42は、ボール46が収容可能な半球状に形成されており、凹部の底面に設けられている。また、半球部42の底面の中心には、孔部45が設けられている。開口部44は、ボール46の直径よりも直径が狭くなるように形成されており、ボール保持部41の凹部において最も上面側である開口に設けられている。なお、開口部44は、上面側の先端の凹部において、半球部42にボール46が収容されている状態において、半球部42及びボール46の間に油が流通可能な隙間ができる程度に、当該凹部において半球部42から離れた位置に設けられる。円筒部43は、半球部42の開口の直径及び開口部44の直径よりも直径が広くなるように形成されている円筒状の空間であり、ボール保持部41の凹部において半球部42及び開口部44の間に設けられている。
【0028】
なお、ボール保持部41は、円筒部43及び開口部44が設けられている位置における外径が空洞11の凹部12の内径よりも狭く、かつボール保持部41の底面側の外径よりも狭くなるように、形成される。また、ボール保持部41は、開口部44から上面を介して外周に至る周縁部が、例えば、塑性変形しない程度の厚さかつR字型の形状になるように形成される。
【0029】
以上のように構成されるボール保持部41は、ボール46が上面側の先端の凹部に収容される。具体的には、ボール保持部41は、上面側の先端の凹部の半球部42にボール46が収容されており、開口部44によって、ボール46が半球部42から脱落しないようにボール46を支持する。また、流通路50から孔部45を介して上面側の先端の凹部内に油が流通する。凹部内に流通する油は、半球部42及びボール46の間の隙間、並びに円筒部43及びボール46の間の隙間の間で流通し、ボール46が回転する際の摩擦を低減し、ボール46の回転の潤滑性を向上させる。
【0030】
続いて、ボール保持部41にボール46を取り付ける場合における第2ピストン部40の形状の変化について説明する。図4A図4Cは、図3に示すボール保持部41にボール46を取り付ける際の第2ピストン部40の形状を示す図である。
【0031】
図4Aを参照して、ボール保持部41にボール46を取り付ける場合、ボール46は、ボール保持部41の上面側の先端の凹部に押し付けられる。ボール保持部41は、上面側の先端の凹部における開口部44がボール46から底面方向に力を受ける。
【0032】
続いて、図4Bを参照して、ボール保持部41は、ボール46から底面方向に向かう力を受けて、開口部44近傍の部分が中心より外側に向かって弾性変形する。ボール46は、弾性変形したことによって開口の直径が広がった開口部44を通り、円筒部43及び半球部42の方向に移動する。
【0033】
続いて、図4Cを参照して、ボール46は、底面側に移動し、半球部42に収容される。ボール保持部41は、ボール46が収容されたことによって、開口部44の直径が元の長さに戻る。そして、ボール保持部41は、開口部44によってボール46を回転可能に保持する。
【0034】
<効果>
以上、本実施形態では、油圧装置1は、凹部12を有するケース10と、ケース10内に設けられ、回転軸Oに垂直な軸に沿って回転可能なシャフト20と、シャフト20の外周に接続されるシリンダブロック21と、回転軸Oの方向に揺動可能にシリンダブロック21内に設けられる第1ピストン部22と、第1ピストン部22の一端に斜面31が接触し回転軸Oに垂直な軸に沿って傾転可能にケース10内に設けられる斜板30とを備える。また、油圧装置1は、斜板30の底面33に接触するボール46、及び先端でボール46を回転可能に保持し、回転軸Oの方向に揺動可能に凹部12に設けられ、ボール46との間に油が流通する隙間が底面側に設けられているボール保持部41を有する第2ピストン部40とをさらに備える。
【0035】
この構成によれば、油圧装置1は、第2ピストン部40において、ボール保持部41がボール46を回転可能に保持するため、ボール46及び斜板30の接触が転がり接触となる。また、油圧装置1は、ボール保持部41において、ボール46との間に油が流通する隙間が設けられている。したがって、油圧装置1は、第2ピストン部40や斜板30などの摩耗が低減されるため、耐久性を向上できる。
【0036】
また、本実施形態では、ボール保持部41は、先端に底面側に凹でありボール46が設けられる凹部を有する。また、ボール保持部41の凹部は、底面に設けられ半球状に形成されている半球部42と、開口に設けられボール46の直径よりも直径が短くなるように形成されている開口部44とを有する。
【0037】
これにより、油圧装置1は、開口部44の直径がボール46の直径よりも短いため、ボール46がボール保持部41から脱落することが抑制される。したがって、油圧装置1は、さらに耐久性を向上できる。
【0038】
また、本実施形態では、ボール保持部41の凹部は、半球部42及び開口部44の間に設けられ、半球部42の開口の直径及び開口部44の直径よりも直径が長くなるように形成されている円筒状の空間である円筒部43をさらに有する。
【0039】
これにより、ボール保持部41は、円筒部43の直径が半球部42の開口及び開口部44の直径より長いため、円筒部43の内壁とボール46との間に空間が形成される。したがって、油圧装置1は、ボール保持部41及びボール46の間の潤滑性が増大し、第2ピストン部40の摩耗が低減されるため、さらに耐久性を向上できる。
【0040】
また、本実施形態では、半球部42は、中心に、ボール保持部41を揺動させる油が流れるための孔部45を有する。また、隙間は、半球部42及びボール46の間に設けられている。
【0041】
これにより、油圧装置1は、油が孔部45を介してボール保持部41の凹部内に流通するため、ボール保持部41及びボール46の間の潤滑性が増大し、第2ピストン部40の摩耗が低減される。したがって、油圧装置1は、さらに耐久性を向上できる。
【0042】
また、本実施形態では、ボール保持部41は、弾性変形する素材で形成されており、先端の外径が底面側の外径よりも狭い。
【0043】
これにより、油圧装置1は、ボール保持部41にボール46を押し込むことによって、ボール46がボール保持部41に収容される。したがって、油圧装置1は、容易に製造できる。
【0044】
<変形例>
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記の実施形態に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、上記実施形態及び後述する変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0045】
例えば、本実施形態では、油圧装置1は、シャフト20に接続されているシリンダブロック21及び第1ピストン部22が回転軸Oに沿って回転する固定斜板式のアキシャル・ピストンモータであるが、これに限られるものではない。油圧装置1は、斜板30がシャフト20に接続されており回転軸Oに沿って回転する回転斜板であり、かつシリンダブロック21がケース10に固定接続されている回転斜板式のアキシャル・ピストンモータであってもよい。
【0046】
この構成によれば、油圧装置1は、回転斜板式のアキシャル・ピストンモータであっても、第2ピストン部40や斜板30などの摩耗が低減されるため、耐久性を向上できる。
【0047】
また、本実施形態では、油圧装置1は、油圧モータであり、シャフト20による回転軸Oに沿った回転を油圧装置1の外部にある減速機に伝達するが、これに限られるものではない。油圧装置1は、油圧ポンプであり、減速機から伝達される回転速度に従って、シャフト20及びシリンダブロック21が回転軸Oに沿って回転しても良い。
【0048】
この構成によれば、油圧装置1は、油圧ポンプであっても、第2ピストン部40や斜板30などの摩耗が低減されるため、耐久性を向上できる。
【0049】
また、本実施形態では、油圧装置1は、容量が1速及び2速の2種類に制御可能な油圧モータであるが、これに限られるものではない。油圧装置1は、例えば、斜板30が第2ピストン部40に押されて傾転することによって1速及び2速に加えて3速以上に容量を制御可能な油圧ポンプであっても良い。
【0050】
この構成によれば、油圧装置1は、3速以上に容量が制御可能な油圧ポンプであっても、第2ピストン部40や斜板30などの摩耗が低減されるため、耐久性を向上できる。
【符号の説明】
【0051】
1…油圧装置、10…ケース、20…シャフト、21…シリンダブロック、22…第1ピストン部、30…斜板、40…第2ピストン部、41…ボール保持部、46…ボール

図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C