(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162295
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】三次元情報生成装置及び三次元情報生成方法
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20241114BHJP
G06T 5/50 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G06T1/00 500Z
G06T5/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077667
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】籾山 悦郎
【テーマコード(参考)】
5B057
【Fターム(参考)】
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA13
5B057CB13
5B057CE08
5B057DB02
5B057DB03
5B057DB06
5B057DB09
(57)【要約】
【課題】少ないカメラを用いて、容易に被写体の三次元形状を取得する。
【解決手段】三次元情報生成装置は、被写体を撮像した画像情報と、当該画像情報に対応する距離情報とを含む第1画像情報を取得する第1取得部と、少なくとも1つの画素情報を含む第2画像情報を取得する第2取得部と、取得した前記第1画像情報に含まれる画像情報と前記第2画像情報に含まれる情報とを合成することにより、合成画像を生成する画像合成部と、生成された前記合成画像と、前記第1画像情報に含まれる距離情報とに基づき点群データを生成する点群データ生成部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像した画像情報と、当該画像情報に対応する距離情報とを含む第1画像情報を取得する第1取得部と、
少なくとも1つの画素情報を含む第2画像情報を取得する第2取得部と、
取得した前記第1画像情報に含まれる画像情報と前記第2画像情報に含まれる情報とを合成することにより、合成画像を生成する画像合成部と、
生成された前記合成画像と、前記第1画像情報に含まれる距離情報とに基づき点群データを生成する点群データ生成部と
を備える三次元情報生成装置。
【請求項2】
前記画像合成部は、取得した前記第1画像情報に含まれる画像情報における列または行についての画素情報と、前記第2画像情報に含まれる画素情報とを交互に有する画像を、前記合成画像として生成する
請求項1に記載の三次元情報生成装置。
【請求項3】
前記第2画像情報は、前記被写体を前記第1画像情報に含まれる画像情報において前記被写体が撮像された方向とは異なる方向から撮像した画像情報と、当該画像情報に対応する距離情報とを含み、
取得した前記第1画像情報に含まれる距離情報と前記第2画像情報に含まれる距離情報とを合成することにより、合成距離画像を生成する距離情報合成部を更に備える
請求項1又は請求項2に記載の三次元情報生成装置。
【請求項4】
前記第1画像情報を撮像する第1撮像装置が設置された地点と、前記第2画像情報を撮像する第2撮像装置が設置された地点との間の距離に関する情報を取得する設置情報取得部を更に備え、
前記距離情報合成部は、取得した前記第1画像情報に含まれる距離情報における列または行方向の距離情報と、前記設置情報取得部により取得された距離から前記第2画像情報に含まれる距離情報における列または行方向の距離情報を引いた距離情報とを、交互に有する距離画像を、前記合成距離画像として生成する
請求項3記載の三次元情報生成装置。
【請求項5】
三次元情報生成装置が実行する三次元情報生成方法であって
被写体を撮像した画像情報と、当該画像情報に対応する距離情報とを含む第1画像情報を取得する第1取得工程と、
少なくとも1つの画素情報を含む第2画像情報を取得する第2取得工程と、
取得した前記第1画像情報に含まれる画像情報と前記第2画像情報に含まれる情報とを合成することにより、合成画像を生成する画像合成工程と、
生成された前記合成画像と、前記第1画像情報に含まれる距離情報とに基づき点群データを生成する点群データ生成工程と
を含む三次元情報生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元情報生成装置及び三次元情報生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現実世界に存在する物体の三次元形状を取得し、取得した三次元形状に基づき三次元モデルをモデリングすることが行われている。物体の三次元形状を正確に取得するため、複数台の測距カメラを用いて、多視点から被写体の三次元情報を取得する技術があった。複数台の測距カメラからそれぞれ得られた三次元情報は、1つの三次元情報に合成される。複数台の測距カメラを用いて多視点から被写体の三次元情報を取得することにより、1台の測距カメラにより1方向から三次元情報を取得する場合と比べて、より再現度の高い三次元情報を取得することが可能となる。複数台の測距カメラから得られた三次元情報を1つの三次元情報に合成するための技術として、例えば特許文献1に記載された技術を例示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来技術によれば、多視点において撮像された複数の画像データを用いて画像間の相対位置を算出し、画像データの座標変換パラメータを求め、求めた座標変換パラメータに基づいて三次元情報についての貼り合わせを行うことで、1つの三次元情報に合成する。しかしながら、より再現度の高い三次元情報を取得するには、より多くのカメラを用いることを要し、カメラの台数が増えるほど合成処理のための十分なハードウェアリソースが必要となり、また時間も要することとなる。特に、被写体の動的な三次元形状を取得するような場合には、三次元形状の取得が困難であるといった問題があった。また、上述したような従来技術によれば、複数台のカメラを要し、スタジオ設備等の大掛かりな設備を要するといった問題があった。
【0005】
そこで本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、少ないカメラを用いて、容易に被写体の三次元形状を取得することが可能な三次元情報生成装置及び三次元情報生成方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明の一態様は、被写体を撮像した画像情報と、当該画像情報に対応する距離情報とを含む第1画像情報を取得する第1取得部と、少なくとも1つの画素情報を含む第2画像情報を取得する第2取得部と、取得した前記第1画像情報に含まれる画像情報と前記第2画像情報に含まれる情報とを合成することにより、合成画像を生成する画像合成部と、生成された前記合成画像と、前記第1画像情報に含まれる距離情報とに基づき点群データを生成する点群データ生成部と
を備える三次元情報生成装置である。
【0007】
[2]また、本発明の一態様は、上記[1]に記載の三次元情報生成装置において、前記画像合成部は、取得した前記第1画像情報に含まれる画像情報における列または行についての画素情報と、前記第2画像情報に含まれる画素情報とを交互に有する画像を、前記合成画像として生成するものである。
【0008】
[3]また、本発明の一態様は、上記[1]又は[2]に記載の三次元情報生成装置において、前記第2画像情報は、前記被写体を前記第1画像情報に含まれる画像情報において前記被写体が撮像された方向とは異なる方向から撮像した画像情報と、当該画像情報に対応する距離情報とを含み、取得した前記第1画像情報に含まれる距離情報と前記第2画像情報に含まれる距離情報とを合成することにより、合成距離画像を生成する距離情報合成部を更に備えるものである。
【0009】
[4]また、本発明の一態様は、上記[3]に記載の三次元情報生成装置において、前記第1画像情報を撮像する第1撮像装置が設置された地点と、前記第2画像情報を撮像する第2撮像装置が設置された地点との間の距離に関する情報を取得する設置情報取得部を更に備え、前記距離情報合成部は、取得した前記第1画像情報に含まれる距離情報における列または行方向の距離情報と、前記設置情報取得部により取得された距離から前記第2画像情報に含まれる距離情報における列または行方向の距離情報を引いた距離情報とを、交互に有する距離画像を、前記合成距離画像として生成するものである。
【0010】
[5]また、本発明の一態様は、三次元情報生成装置が実行する三次元情報生成方法であって被写体を撮像した画像情報と、当該画像情報に対応する距離情報とを含む第1画像情報を取得する第1取得工程と、少なくとも1つの画素情報を含む第2画像情報を取得する第2取得工程と、取得した前記第1画像情報に含まれる画像情報と前記第2画像情報に含まれる情報とを合成することにより、合成画像を生成する画像合成工程と、生成された前記合成画像と、前記第1画像情報に含まれる距離情報とに基づき点群データを生成する点群データ生成工程とを含む三次元情報生成方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、少ないカメラを用いて、容易に被写体の三次元形状を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る三次元情報生成システムの機能構成の一例を示す機能構成図である。
【
図2】第1実施形態に係る三次元情報生成装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。
【
図3】第1実施形態に係る画像情報の合成について説明するための図である。
【
図4】第1実施形態に係る三次元情報生成装置の一連の動作の一例について示すフローチャートである。
【
図5】第1実施形態に係る三次元情報生成装置の内部構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】第2実施形態に係る三次元情報取得システムの機能構成の一例を示す機能構成図である。
【
図7】第2実施形態に係る三次元情報生成装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。
【
図8】第2実施形態に係る画像情報の合成について説明するための図である。
【
図9】第2実施形態に係る距離情報のオフセットについて説明するための図である。
【
図10】第2実施形態に係る距離画像の合成について説明するための図である。
【
図11】第2実施形態に係る三次元情報生成装置の一連の動作の一例について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の態様に係る三次元情報生成装置及び三次元情報生成方法について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
【0014】
[第1実施形態]
まず、
図1から
図5を参照しながら、第1実施形態に係る三次元情報生成システム1について説明する。
【0015】
図1は、第1実施形態に係る三次元情報生成システムの機能構成の一例を示す機能構成図である。同図を参照しながら、三次元情報生成システム1の機能構成の一例について説明する。以降の説明において、x軸、y軸及びz軸の三次元直交座標系によって三次元情報生成システム1が有する各装置の姿勢や、各装置の位置関係等について説明する場合がある。
【0016】
三次元情報生成システム1は、三次元情報生成装置10と、撮像装置20とを備える。三次元情報生成システム1は、三次元情報生成装置10と、撮像装置20とを備えることにより、被写体Sの三次元情報を取得し、三次元モデルを生成する。撮像装置20は、被写体Sからz軸方向に距離D離れた地点から被写体Sを撮像する。被写体Sの背後には、ブルースクリーン等のスクリーンSCRが配置されていてもよい。なお、被写体Sの三次元形状が、背景と容易に分離可能な場合は、スクリーンSCRを要しない。
【0017】
撮像装置20は、被写体Sの三次元情報を取得可能な測距カメラである。撮像装置20は、撮像する画像(又は映像)に対応して、被写体Sとの距離を二次元的に測定することにより、被写体Sの三次元情報を取得する。撮像装置20により取得される被写体Sの三次元情報とは、例えば三次元点群データであってもよい。撮像装置20は、例えばToF(Time of Flight)方式を用いて、被写体Sに対して二次元的に光を照射し、反射光を受光するまでの時間に基づいて距離を計測するものであってもよい。撮像装置20は、取得した被写体Sの三次元情報を、第1画像情報IMG1として三次元情報生成装置10に出力する。
【0018】
第1画像情報IMG1には、被写体Sを所定の方向から撮像した画像情報(例えば、RGB画像)と、当該画像情報に対応する距離情報とが含まれる。第1画像情報IMG1に含まれる距離情報には、x-y平面における座標情報に対応する複数の距離情報が含まれる。当該距離情報が有するx-y平面における座標情報とは、画像が有する画素に対応するものである。以下、x-y平面における座標情報に対応する複数の距離情報を距離画像と記載する場合がある。なお、画像が有する画素ごとに距離情報を有することが好適ではあるが、複数の画素に対して1つの距離情報を有するものであってもよい。すなわち、距離情報についてのx-y平面における解像度は、画像情報が有する解像度より低くてもよい。
【0019】
以下の説明において、被写体Sのうち、撮像装置20が存在する面を、被写体Sの前面と記載し、スクリーンSCRが存在する面を、被写体Sの背面と記載する場合がある。被写体Sの前面及び背面は、被写体Sの形状から特定されるものではなく、撮像装置20と被写体Sとの位置関係により特定されるものである。したがって、第1画像情報IMG1には、被写体Sの前面における画像情報と、当該画像情報に対応する距離情報とが含まれるということもできる。
【0020】
三次元情報生成装置10は、撮像装置20から第1画像情報IMG1を取得する。三次元情報生成装置10は、取得した第1画像情報IMG1に基づき、被写体Sの三次元形状を有する三次元モデルを生成する。三次元情報生成装置10により生成される三次元モデルとは、例えば点群データであってもよい。ここで、三次元情報生成システム1は、1台の撮像装置20により、1つの方向から被写体Sの情報を取得している。したがって、三次元情報生成システム1は、被写体Sの背面における情報を十分に取得できない。三次元情報生成装置10は、撮像装置20から取得した情報に基づき、被写体Sの背面における三次元情報を補完し、三次元モデルを生成する。なお、本実施形態は、必ずしも1台の撮像装置20のみを用いる場合に限定されるものではなく、複数の撮像装置20が用いられてもよい。
【0021】
図2は、第1実施形態に係る三次元情報生成装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。同図を参照しながら、三次元情報生成装置10の機能構成の一例について説明する。三次元情報生成装置10は、第1取得部11と、第2取得部12と、画像合成部13と、点群データ生成部14と、出力部15とを備える。これらの各機能部は、例えば、電子回路を用いて実現される。また、各機能部は、必要に応じて、半導体メモリや磁気ハードディスク装置などといった記憶手段を内部に備えてよい。また、各機能を、コンピュータおよびソフトウェアによって実現するようにしてもよい。
【0022】
第1取得部11は、撮像装置20から第1画像情報IMG1を取得する。第1画像情報IMG1には、被写体Sを撮像した画像情報と、当該画像情報に対応する距離情報とが少なくとも含まれる。第1取得部11は、取得した第1画像情報IMG1に含まれる画像情報を第1画像情報IMG1-1として画像合成部13に出力する。また、第1取得部11は、取得した第1画像情報IMG1に含まれる距離情報を第1画像情報IMG1-2として点群データ生成部14に出力する。
【0023】
第2取得部12は、記憶装置25から、第2画像情報IMG2を取得する。第2画像情報IMG2には、被写体Sの背面を補完するための画素情報が含まれる。また、好適には、第2画像情報IMG2には、被写体Sの背面を補完するための画像情報が含まれていてもよい。例えば被写体Sが人物の顔部分であり、撮像装置20により当該人物の正面が撮像された場合、被写体Sの背面を補完するための画素情報又は画像情報とは、背面における被写体Sの色情報又は被写体Sの背面の画像情報であってもよい。被写体Sの背面における色情報とは、例えば、髪の毛の色情報等であってもよい。この場合、第2画像情報IMG2には、少なくとも髪の毛の色を特定する1つの色に関する情報が含まれていればよい。すなわち、第2画像情報IMG2には、少なくとも1つの画素情報が含まれていればよい。また、被写体Sの背面を補完するための画像情報とは、少なくとも髪の毛の画像情報を有する画像パターンであってもよい。
【0024】
なお、第2画像情報IMG2は、記憶装置25に予め記憶されていることを要しない。例えば、第2画像情報IMG2は、第1取得部11により取得された第1画像情報IMG1に含まれる画像情報の一部の画素情報(色情報)を抽出することにより、取得されてもよい。また、第2画像情報IMG2は、第1取得部11により取得された第1画像情報IMG1に含まれる画像情報の一部のパターンを抽出することにより、取得されてもよい。また、第2画像情報IMG2は、第1取得部11により取得された第1画像情報IMG1を画像解析することにより、推定される被写体Sの背面の色を第2画像情報IMG2として取得してもよい。
【0025】
画像合成部13は、第1取得部11から第1画像情報IMG1-1を取得し、第2取得部12から第2画像情報IMG2を取得する。画像合成部13は、取得した第1画像情報IMG1-1に含まれる画像情報と、第2画像情報IMG2に含まれる画素情報又は画像情報とを合成することにより、合成画像を生成する。画像合成部13により行われる画像合成の方法の一例については、
図3を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
図3は、第1実施形態に係る画像情報の合成について説明するための図である。同図を参照しながら、画像合成部13により行われる画像合成の方法の一例について詳細に説明する。
図3(A)は、第1画像情報IMG1-1に含まれる画像情報の一例である。図示するように、同図には、被写体Sを前面から撮像した画像情報が示されている。同図に示す一例において、被写体Sとは、人物の顔部分である。
図3(B)は、第2画像情報IMG2に含まれる画素情報の一例である。図示するように、同図には、被写体Sの背面における色の画素を有する画像が示されている。被写体Sの背面における色の画素とは、すなわち、被写体Sの髪の毛の色を示すものである。当該画素は、被写体Sから推定されたものであってもよい。また、
図3(B)に示す画像は、被写体Sの背面における画像を表現したパターン画像(すなわち髪の毛のパターン)であってもよい。
【0027】
図3(C)は、画像合成部13により画像合成処理が行われた結果として得られる合成画像の一例である。画像合成部13は、まず、第1画像情報IMG1-1に含まれる画像情報に基づき、被写体Sの部分をトリミング処理する。トリミング処理が行われた後、画像合成部13は、被写体Sの部分について、第1画像情報IMG1-1に含まれる画像情報と、第2画像情報IMG2に含まれる画素情報とを交互に有する画像を、合成画像として生成する。画像合成部13は、第1画像情報IMG1-1に含まれる画像情報と、第2画像情報IMG2に含まれる画素情報とを、列方向に交互に合成していってもよいし、行方向に交互に合成していってもよい。図示する一例において、画像合成部13は、第1画像情報IMG1-1に含まれる画像情報と、第2画像情報IMG2に含まれる画素情報とを列方向に交互に合成している。すなわち、画像合成部13は、第1画像情報IMG1に含まれる画像情報における列または行についての画素情報と、第2画像情報IMG2に含まれる画素情報とを交互に有する画像を、合成画像として生成する。
【0028】
なお、画像合成部13は、1列又は1行ごとに交互に合成する場合の一例に限定されず。複数列又は複数行ごとに交互に合成してもよい。また、画像合成部13は、列又は行のいずれかごとに交互に合成する場合の一例に限定されず、その他の方向ごとに交互に合成してもよい。更に、画像合成部13は、所定の方向ごとに交互に合成する場合の一例に限定されず、例えば、1画素ごと、複数画素ごと、又は複数の画素を含んで構成される画素ブロックごとに交互に合成してもよい。
【0029】
図2に戻り、画像合成部13は、生成した合成画像についての情報を、合成画像CIMGとして点群データ生成部14に出力する。
【0030】
点群データ生成部14は、第1取得部11から第1画像情報IMG1-2を取得し、画像合成部13から合成画像CIMGを取得する。点群データ生成部14は、取得した情報に基づき、点群データを生成する。ここで、第1取得部11から取得した第1画像情報IMG1-2には、被写体Sの前面における距離情報が含まれ、画像合成部13から取得した合成画像CIMGには、前面及び背面における画像情報が含まれている。点群データ生成部14は、被写体Sの前面における距離情報と、合成画像CIMGのうち被写体Sの前面部分の画素情報とに基づき、前面における点群データを生成する。また、点群データ生成部14は、被写体Sの背面における距離データを補完し、補完した距離情報と、合成画像CIMGのうち被写体Sの背面部分の画素情報とに基づき、背面における点群データを生成する。点群データ生成部14は、前面における点群データと、背面における点群データとを合成し、被写体Sの点群データを生成する。点群データ生成部14は、生成した点群データを、点群データPCDとして出力部15に出力する。
【0031】
ここで、点群データ生成部14により行われる、被写体Sの背面部分の距離情報の補完処理は、被写体Sを物体検知することにより、物体の種類に応じて行われてもよい。また、背面部分の形状が重要でないような被写体の場合は、背面が平面となるように、背面部分の距離情報を一定の値として補完してもよい。
【0032】
出力部15は、点群データ生成部14から点群データPCDを取得し、取得した点群データPCDを、不図示の情報処理装置や、記憶装置、又は表示装置等に三次元モデルとして出力する。
【0033】
図4は、第1実施形態に係る三次元情報生成装置の一連の動作の一例について示すフローチャートである。同図を参照しながら、三次元情報生成装置10により行われる三次元情報生成処理の一連の流れについて説明する。
【0034】
まず、第1取得部11は、撮像装置20から、被写体Sの前面の画像情報及び距離情報が含まれる第1画像情報IMG1を取得する(ステップS11)。次に、第2取得部12は、記憶装置25から、第2画像情報IMG2を取得する(ステップS12)。画像合成部13は、取得した第1画像情報IMG1と、第2画像情報IMG2とに基づき、画像情報を合成することにより、合成画像CIMGを生成する(ステップS13)。点群データ生成部14は、生成された合成画像CIMGと、第1画像情報IMG1に含まれる距離画像とに基づき、点群データを生成する(ステップS14)。
【0035】
図5は、第1実施形態に係る三次元情報生成装置10の内部構成の一例を示すブロック図である。三次元情報生成装置10の少なくとも一部の機能は、コンピュータを用いて実現され得る。図示するように、そのコンピュータは、中央処理装置901と、RAM902と、入出力ポート903と、入出力デバイス904や905等と、バス906と、を含んで構成される。コンピュータ自体は、既存技術を用いて実現可能である。中央処理装置901は、RAM902等から読み込んだプログラムに含まれる命令を実行する。中央処理装置901は、各命令にしたがって、RAM902にデータを書き込んだり、RAM902からデータを読み出したり、算術演算や論理演算を行ったりする。RAM902は、データやプログラムを記憶する。RAM902に含まれる各要素は、アドレスを持ち、アドレスを用いてアクセスされ得るものである。なお、RAMは、「ランダムアクセスメモリー」の略である。入出力ポート903は、中央処理装置901が外部の入出力デバイス等とデータのやり取りを行うためのポートである。入出力デバイス904や905は、入出力デバイスである。入出力デバイス904や905は、入出力ポート903を介して中央処理装置901との間でデータをやりとりする。バス906は、コンピュータ内部で使用される共通の通信路である。例えば、中央処理装置901は、バス906を介してRAM902のデータを読んだり書いたりする。また、例えば、中央処理装置901は、バス906を介して入出力ポートにアクセスする。
【0036】
[第1実施形態のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、三次元情報生成装置10は、第1取得部11を備えることにより、被写体を撮像した画像情報と、当該画像情報に対応する距離情報とを含む第1画像情報IMG1を取得し、第2取得部12を備えることにより、少なくとも1つの画素情報を含む第2画像情報IMG2を取得し、画像合成部13を備えることにより、取得した第1画像情報IMG1に含まれる画像情報と第2画像情報IMG2に含まれる情報とを合成することにより合成画像CIMGを生成し、点群データ生成部14を備えることにより、生成された合成画像CIMGと、第1画像情報IMG1に含まれる距離情報とに基づき点群データPCDを生成する。すなわち、本実施形態によれば、1台のカメラを用いて、容易に被写体Sの三次元形状を取得することができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、従来技術のように被写体Sの前面における点群データと、背面における点群データとをそれぞれ作成し、点群データ同士を合成するのではなく、被写体Sの前面及び背面における情報を有する画像情報と、距離情報とを合成することにより点群データPCDを生成する。ここで、点群データ同士の合成には、多くのリソースを要する。本実施形態によれば、点群データ同士の合成を要せず、予め合成された画像データと距離データとを合成することにより、従来技術より軽い処理により、被写体Sの点群データPCDを生成することができる。また、本実施形態によれば、軽い処理により被写体Sの点群データPCDを生成することができるため、被写体Sの動きを三次元的に取得したいような場合であっても、リアルタイムに変化する被写体Sの三次元形状を取得することができる。
【0038】
また、上述した実施形態によれば、画像合成部13は、取得した第1画像情報IMG1に含まれる画像情報における列または行についての画素情報と、第2画像情報IMG2に含まれる画素情報とを交互に有する画像を、合成画像CIMGとして生成する。当該画像は、点群データPCDの生成のために用いられる画像である。本実施形態によれば、合成画像CIMGに基づき、容易に被写体Sの三次元形状を表す点群データPCDを生成することができる。
【0039】
[第2実施形態]
次に、
図6から
図10を参照しながら、第2実施形態に係る三次元情報生成システム1Aについて説明する。
【0040】
図6は、第2実施形態に係る三次元情報取得システムの機能構成の一例を示す機能構成図である。同図を参照しながら、三次元情報生成システム1Aの機能構成の一例について説明する。
【0041】
三次元情報生成システム1Aは、三次元情報生成装置10Aと、複数の撮像装置20とを備える。以下の説明においては、三次元情報生成システム1Aが、2台の撮像装置20を備える場合の一例について説明する。しかしながら、本実施形態は、この一例に限定されず、3台以上の撮像装置20を備えていてもよい。なお、図示する一例においては、具体的に、複数の撮像装置20の一例として、第1撮像装置20-1と、第2撮像装置20-2とが記載されている。三次元情報生成システム1Aは、2台以上の撮像装置20を備える点において三次元情報生成システム1とは異なる。また、三次元情報生成システム1Aは、三次元情報生成装置10に代えて三次元情報生成装置10Aを備える点において、三次元情報生成システム1とは異なる。
【0042】
三次元情報生成システム1Aは、三次元情報生成装置10Aと、複数の撮像装置20とを備えることにより、被写体Sの三次元情報を、多視点的に観測し、被写体Sの三次元情報を生成する。具体的には、三次元情報生成システム1Aは、被写体Sを挟んで互いに対向する位置に備えられた2台の撮像装置20を備えることにより、被写体Sの前面及び背面それぞれについての画像情報及び距離情報を取得する。
【0043】
第1撮像装置20-1は、被写体Sからz軸方向に第1距離D1離れた地点から被写体Sを撮像する。第2撮像装置20-2は、第1撮像装置20-1に対向する位置であって、被写体Sからz軸方向に第2距離D2離れた地点から被写体Sを撮像する。対向する位置とは、好適には、第1撮像装置20-1の光軸と、第2撮像装置20-2の光軸とが互いに一致する位置であることが好適である。しかしながら本実施形態はこの一例に限定されず、第1撮像装置20-1の光軸と、第2撮像装置20-2の光軸とが互いに略一致していればよい。ここで、光軸が互いに略一致する範囲とは、光軸が互いに略平行であり、三次元形状を生成した際の誤差として許容される範囲であってもよい。
【0044】
なお、後述する演算を考慮すると、第1距離D1と第2距離D2とは、互いに同一であることが好適である。しかしながら本実施形態はこの一例に限定されず、第1距離D1と第2距離D2とが異なる距離であってもよい。三次元情報生成装置10Aは、第1距離D1と第2距離D2とに関する情報を、予め記憶しているものとする。
【0045】
以下の説明において、被写体Sのうち、第1撮像装置20-1が存在する面を、被写体Sの前面と記載し、第2撮像装置20-2が存在する面を、被写体Sの背面と記載する場合がある。被写体Sの前面及び背面は、被写体Sの形状から特定されるものではなく、第1撮像装置20-1及び第2撮像装置20-2と被写体Sとの位置関係により特定されるものである。したがって、第1画像情報IMG1には、被写体Sの前面における画像情報と、当該画像情報に対応する距離情報とが含まれており、第2画像情報IMG2には、被写体Sの背面における画像情報と、当該画像情報に対応する距離情報とが含まれているということもできる。
【0046】
第1撮像装置20-1は、被写体Sの前面における三次元情報を、第1画像情報IMG1として三次元情報生成装置10Aに出力する。第2撮像装置20-2は、被写体Sの背面における三次元情報を、第2画像情報IMG2として三次元情報生成装置10Aに出力する。なお、三次元情報生成装置10Aは、第1撮像装置20-1及び第2撮像装置20-2によりそれぞれ撮像された画像に基づいて、第1距離D1と第2距離D2とを推定してもよい。
【0047】
三次元情報生成装置10Aは、第1撮像装置20-1から第1画像情報IMG1を取得し、第2撮像装置20-2から第2画像情報IMG2を取得する。三次元情報生成装置10Aは、取得した第1画像情報IMG1と第2画像情報IMG2とに基づき、被写体Sの三次元形状を有する三次元モデルを生成する。三次元情報生成装置10Aにより生成される三次元モデルとは、例えば点群データであってもよい。ここで、三次元情報生成システム1Aは、2台の撮像装置20により、2つの異なる方向から被写体Sの情報を取得している。したがって、三次元情報生成システム1Aは、被写体Sの前面における情報と、背面における情報とを取得することができる。三次元情報生成装置10Aは、取得した被写体Sの前面における情報と、背面における情報とに基づき、三次元モデルを生成する。なお、本実施形態において、3台以上の撮像装置20が用いられる場合、被写体Sの側面や、上下の面における三次元形状が更に取得されてもよい。
【0048】
図7は、第2実施形態に係る三次元情報生成装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。同図を参照しながら、三次元情報生成装置10Aの機能構成の一例について説明する。三次元情報生成装置10Aは、第2取得部12に代えて第2取得部12Aを、画像合成部13に代えて画像合成部13Aを、点群データ生成部14に代えて点群データ生成部14Aを備える点において三次元情報生成装置10とは異なる。また、三次元情報生成装置10Aは、更に距離情報オフセット部16と、設置情報取得部17と、距離情報合成部18とを備える点において、三次元情報生成装置10とは異なる。三次元情報生成装置10Aの説明において、三次元情報生成装置10と同様の構成要件については、同様の符号を付すことにより、説明を省略する場合がある。
【0049】
第1取得部11は、第1撮像装置20-1から第1画像情報IMG1を取得する。第1画像情報IMG1には、被写体Sを前面から撮像した画像情報と、当該画像情報に対応する距離情報とが少なくとも含まれる。第1取得部11は、取得した第1画像情報IMG1に含まれる画像情報を第1画像情報IMG1-1として画像合成部13Aに出力する。また、第1取得部11は、取得した第1画像情報IMG1に含まれる距離情報を第1画像情報IMG1-2として距離情報合成部18に出力する。
【0050】
第2取得部12Aは、第2撮像装置20-2から第2画像情報IMG2を取得する。第2画像情報IMG2には、被写体Sを背面から撮像した画像情報と、当該画像情報に対応する距離情報とが少なくとも含まれる。第2取得部12Aは、取得した第2画像情報IMG2に含まれる画像情報を第2画像情報IMG2-1として画像合成部13Aに出力する。また、第2取得部12Aは、取得した第2画像情報IMG2に含まれる距離情報を第2画像情報IMG2-2として距離情報オフセット部16に出力する。
【0051】
画像合成部13Aは、第1取得部11から第1画像情報IMG1-1を取得し、第2取得部12Aから第2画像情報IMG2-1を取得する。画像合成部13Aは、取得した第1画像情報IMG1-1に含まれる画像情報と、第2画像情報IMG2-1に含まれる画像情報とを合成することにより、合成画像を生成する。画像合成部13Aにより行われる画像合成の方法の一例については、
図8を参照しながら詳細に説明する。
【0052】
図8は、第2実施形態に係る画像情報の合成について説明するための図である。同図を参照しながら、画像合成部13Aにより行われる画像合成の方法の一例について詳細に説明する。
図8(A)は、第1画像情報IMG1-1に含まれる画像情報の一例である。図示するように、同図には、被写体Sを前面から撮像した画像情報が示されている。同図に示す一例において、被写体Sとは、人物の顔部分である。
図8(B)は、第2画像情報IMG2-1に含まれる画像情報の一例である。図示するように、同図には、被写体Sを背面から撮像した画像情報が示されている。
【0053】
ここで、画像合成部13Aは、まず、第2画像情報IMG2-1に含まれる画像情報の左右反転処理を行う。
図8(C)は、画像合成部13Aにより、左右反転処理が行われた後の第2画像情報IMG2-1の一例が示されている。画像合成部13Aは、画像合成処理において、まず、背面の画像を左右反転させることにより、容易に画像合成を行うことができる。なお、左右反転処理は、本実施形態において必須ではなく、左右反転処理を行う前の画像から取り出す画素を左右反転させることにより、左右反転処理を行う前の画像を用いて直接的に画像合成を行うことも可能である。この場合、
図8(B)は、説明の簡易化のための補助的な図であるということもできる。
【0054】
図8(D)は、画像合成部13Aにより画像合成処理が行われた結果として得られる合成画像の一例である。画像合成部13Aは、まず、第1画像情報IMG1-1に含まれる画像情報に基づき、被写体Sの前面部分をトリミング処理する。画像合成部13Aは、次に、第2画像情報IMG2-1に含まれる画像情報に基づき、被写体Sの背面部分をトリミング処理する。背面部分のトリミング処理は、前面部分のトリミング処理をした結果に基づいて、同様の部分がトリミング処理されるものであってもよい。
【0055】
トリミング処理が行われた後、画像合成部13Aは、被写体Sの部分について、第1画像情報IMG1-1に含まれる画像情報と、第2画像情報IMG2-1に含まれる画像情報とを交互に有する画像を、合成画像として生成する。画像合成部13Aは、第1画像情報IMG1-1に含まれる画像情報と、第2画像情報IMG2-1に含まれる画像情報とを、列方向に交互に合成していってもよいし、行方向に交互に合成していってもよい。図示する一例において、画像合成部13Aは、第1画像情報IMG1-1に含まれる画像情報と、第2画像情報IMG2-1に含まれる画像情報とを列方向に交互に合成している。すなわち、画像合成部13Aは、第1画像情報IMG1に含まれる画像情報における列または行についての画素情報と、第2画像情報IMG2に含まれる画像情報とを交互に有する画像を、合成画像として生成する。
【0056】
なお、画像合成部13Aは、1列又は1行ごとに交互に合成する場合の一例に限定されず。複数列又は複数行ごとに交互に合成してもよい。また、画像合成部13Aは、列又は行のいずれかごとに交互に合成する場合の一例に限定されず、その他の方向ごとに交互に合成してもよい。更に、画像合成部13Aは、所定の方向事に交互に合成する場合の一例に限定されず、例えば、1画素ごと、複数画素ごと、又は複数の画素を含んで構成される画素ブロックごとに交互に合成してもよい。
【0057】
図7に戻り、画像合成部13Aは、生成した合成画像についての情報を、合成画像CIMGとして点群データ生成部14Aに出力する。
【0058】
設置情報取得部17は、第1画像情報IMG1を撮像する第1撮像装置20-1が設置された地点と、第2画像情報IMG2を撮像する第2撮像装置20-2が設置された地点との間の距離に関する情報を取得する。当該距離は、すなわち、第1距離D1と第2距離D2とを足した距離である。設置情報取得部17は、第1距離D1と第2距離D2とをそれぞれ別個独立に取得してもよいし、1つの距離情報として取得してもよい。
【0059】
距離情報オフセット部16は、第2取得部12Aから、第2画像情報IMG2-2を取得する。また、距離情報オフセット部16は、設置情報取得部17から、第1画像情報IMG1を撮像する第1撮像装置20-1が設置された地点と、第2画像情報IMG2を撮像する第2撮像装置20-2が設置された地点との間の距離に関する情報、すなわち第1距離D1と第2距離D2とを足した距離に関する情報を取得する。距離情報オフセット部16は、第2撮像装置20-2により取得された距離情報、すなわち第2撮像装置20-2から被写体Sまでの距離情報を、第1撮像装置20-1の位置から被写体Sまでの距離情報に変換する。以下、距離情報オフセット部16により行われる距離情報の変換処理を、オフセット処理と記載する場合がある。
【0060】
図9は、第2実施形態に係る距離情報のオフセットについて説明するための図である。同図を参照しながら、距離情報オフセット部16により行われるオフセット処理について説明する。同図には、第1撮像装置20-1と、第2撮像装置20-2と、被写体Sとの位置関係が示されている。第1撮像装置20-1から被写体Sの中心位置までの距離は第1距離D1であり、第2撮像装置20-2から被写体Sの中心位置までの距離は第2距離D2である。
【0061】
ここで、第2撮像装置20-2から被写体Sまでの距離は、距離D21である。距離情報オフセット部16は、距離D21を、第1撮像装置20-1とz軸上において同一に存在する架空の第2撮像装置20-2’から撮像されたものとして、距離D22に変換する。距離D21から距離D22への変換式は、以下の式(1)により示される。
【0062】
距離D22=(第2距離D2-距離D21)+第1距離D1・・・(1)
【0063】
距離情報オフセット部16は、z-y平面における各座標について、式(1)に基づくオフセット処理を行う。
図7に戻り、距離情報オフセット部16は、オフセット処理を行った結果得られる情報を、第2画像情報IMG2-3として距離情報合成部18に出力する。
【0064】
距離情報合成部18は、第1取得部11から第1画像情報IMG1-2を取得し、距離情報オフセット部16から第2画像情報IMG2-3を取得する。距離情報合成部18は、取得した第1画像情報IMG1-2に含まれる距離情報と、第2画像情報IMG2-3に含まれる距離情報とを合成することにより、合成距離画像CDIを生成する。
【0065】
図10は、第2実施形態に係る距離画像の合成について説明するための図である。同図を参照しながら、距離情報合成部18により行われる距離情報の合成方法の一例について詳細に説明する。
図10(A)は、第1画像情報IMG1-2に含まれる距離情報の一例である。図示するように、同図には、被写体Sを前面から撮像した距離画像についての情報が示されている。同図に示す一例において、被写体Sとは、人物の顔部分である。すなわち第1画像情報IMG1-2には、人物の顔である被写体Sの前面における距離画像についての情報が含まれる。
図10(B)は、第2画像情報IMG2-3に含まれる距離情報の一例である。図示するように、同図には、被写体Sを背面から撮像した距離画像についての情報が示されている。同図に示す一例において、被写体Sとは、人物の顔部分であるため、第2画像情報IMG2-3には、人物の顔である被写体Sの背面における距離画像についての情報が含まれる。
【0066】
ここで、距離情報合成部18は、まず、第2画像情報IMG2-3に含まれる距離画像の左右反転処理を行う。
図10(C)は、距離情報合成部18により、左右反転処理が行われた後の第2画像情報IMG2-3の一例が示されている。距離情報合成部18は、距離情報合成処理において、まず、背面の距離画像を左右反転させることにより、容易に距離画像の合成処理を行うことができる。なお、左右反転処理は、本実施形態において必須ではなく、左右反転処理を行う前の距離画像から取り出す距離情報を左右反転させることにより、左右反転処理を行う前の距離画像を用いて直接的に距離画像の合成処理を行うことも可能である。この場合、
図8(B)は、説明の簡易化のための補助的な図であるということもできる。
【0067】
図10(D)は、距離情報合成部18により距離情報合成処理が行われた結果として得られる合成距離画像の一例である。距離情報合成部18は、まず、第1画像情報IMG1-2に含まれる距離画像に基づき、被写体Sの前面部分をトリミング処理する。距離情報合成部18は、次に、第2画像情報IMG2-3に含まれる距離画像に基づき、被写体Sの背面部分をトリミング処理する。背面部分のトリミング処理は、前面部分のトリミング処理をした結果に基づいて、同様の部分がトリミング処理されるものであってもよい。トリミング処理が行われた後、距離情報合成部18は、第1画像情報IMG1-2に含まれる距離情報と、第2画像情報IMG2-3に含まれる距離情報とを交互に有する距離画像を、合成距離画像として生成する。距離情報合成部18は、第1画像情報IMG1-2に含まれる距離情報と、第2画像情報IMG2-3に含まれる距離情報とを、列方向に交互に合成していってもよいし、行方向に交互に合成していってもよい。図示する一例において、距離情報合成部18は、第1画像情報IMG1-2に含まれる距離情報と、第2画像情報IMG2-3に含まれる距離情報とを列方向に交互に合成している。すなわち、画像合成部13Aは、第1画像情報IMG1に含まれる距離情報における列または行についての距離情報と、第2画像情報IMG2に含まれる距離情報とを交互に有する画像を、合成画像として生成する。ここで、距離情報合成部18により行われる合成の方向(すなわち、行方向に交互に合成する等)は、画像合成部13Aにより行われる合成の方向と互いに同一であることが好適である。
【0068】
図7に戻り、距離情報合成部18は、合成した距離画像についての情報を、合成距離画像CDIとして点群データ生成部14Aに出力する。
【0069】
点群データ生成部14Aは、画像合成部13Aから合成画像CIMGを取得し、距離情報合成部18から合成距離画像CDIを取得する。点群データ生成部14Aは、取得した情報に基づき、点群データを生成する。ここで、画像合成部13Aから取得した合成画像CIMGには、前面及び背面における画像情報が含まれており、距離情報合成部18から取得した合成距離画像CDIには、前面及び背面における距離情報が含まれている。したがって、点群データ生成部14Aは、合成画像CIMGと、合成距離画像CDIとに基づくことにより、被写体Sの全体の三次元形状を有する点群データを生成することができる。点群データ生成部14Aは、生成した点群データを、点群データPCDとして出力部15に出力する。
【0070】
図11は、第2実施形態に係る三次元情報生成装置の一連の動作の一例について示すブロック図である。同図を参照しながら、三次元情報生成装置10Aにより行われる三次元情報生成処理の一連の流れについて説明する。
【0071】
まず、第1取得部11は、第1撮像装置20-1から、被写体Sの前面の画像情報及び距離情報が含まれる第1画像情報IMG1を取得する(ステップS21)。次に、第2取得部12Aは、第2撮像装置20-2から、被写体Sの背面の画像情報及び距離情報が含まれる第2画像情報IMG2を取得する(ステップS22)。画像合成部13Aは、取得した第1画像情報IMG1と、第2画像情報IMG2とに基づき、画像情報を合成することにより、合成画像CIMGを生成する(ステップS23)。距離情報合成部18は、取得した第1画像情報IMG1と、第2画像情報IMG2とに基づき、距離情報を合成することにより、合成距離画像CDIを生成する(ステップS24)。点群データ生成部14Aは、生成された合成画像CIMGと、合成距離画像CDIとに基づき、点群データを生成する(ステップS25)。
【0072】
[第2実施形態のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、第2取得部12Aにより取得される第2画像情報IMG2は、被写体Sを第1画像情報IMG1に含まれる画像情報とは異なる方向(例えば背面)から撮像した画像情報と、当該画像情報に対応する距離情報とを含む。また、三次元情報生成装置10Aは、距離情報合成部18を更に備えることにより、取得した第1画像情報IMG1に含まれる距離情報と第2画像情報IMG2に含まれる距離情報とを合成することにより、合成距離画像CDIを生成する。更に点群データ生成部14Aは、生成された合成画像CIMGと合成距離画像CDIとに基づき、点群データPCDを生成する。すなわち、本実施形態によれば、被写体Sの背面の三次元形状についても取得することができる。したがって、本実施形態によれば、精度よく被写体Sの三次元形状を取得することができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、従来技術のように被写体Sの前面における点群データと、背面における点群データとをそれぞれ作成し、点群データ同士を合成するのではなく、被写体Sの前面及び背面における情報を有する画像情報と、距離情報とを合成することにより点群データPCDを生成する。したがって、本実施形態によれば、軽い処理により被写体Sの点群データPCDを生成することができる。また、本実施形態によれば、軽い処理により被写体Sの点群データPCDを生成することができるため、被写体Sの動きを三次元的に取得したいような場合であっても、リアルタイムに変化する被写体Sの三次元形状を取得することができる。
【0074】
また、上述した実施形態によれば、設置情報取得部17を備えることにより、第1画像情報IMG1を撮像する第1撮像装置20-1が設置された地点と、第2画像情報IMG2を撮像する第2撮像装置20-2が設置された地点との間の距離に関する情報を取得する。また、距離情報合成部18は、取得した第1画像情報IMG1に含まれる距離情報における列または行方向の距離情報と、設置情報取得部17により取得された距離から、第2画像情報IMG2に含まれる距離情報における列または行方向の距離情報を引いた距離情報とを、交互に有する距離画像を、合成距離画像CDIとして生成する。すなわち、本実施形態によれば、被写体Sの背面から取得された距離情報を、被写体Sの前面からの距離情報に変換し、被写体Sの前面から見た、被写体Sの前面及び背面における距離情報を有する合成距離画像CDIを生成する。三次元情報生成装置10Aによれば、被写体Sの前面及び背面における画像情報を有する合成画像CIMGと、被写体Sの前面及び背面における距離情報を有する合成距離画像CDIとに基づき点群データを生成する。したがって、本実施形態によれば、容易に、軽い処理により点群データを生成することができる。
【0075】
また、上述した実施形態によれば、画像合成部13Aは、取得した第1画像情報IMG1に含まれる画像情報と、第2画像情報IMG2に含まれる画像情報を左右反転した画像情報とを合成することにより、合成画像CIMGを生成する、また、距離情報合成部18は、取得した第1画像情報IMG1に含まれる距離情報と、第2画像情報IMG2に含まれる距離情報を左右反転した画像情報とを合成することにより、合成距離画像CDIを生成する。したがって、本実施形態によれば、容易に、前面及び背面における画像情報と、距離情報合成とを、それぞれ合成することができる。
【0076】
また、上述した実施形態によれば、三次元情報生成システム1Aは、第1撮像装置20-1を備えることにより被写体Sを第1の方向から撮像した画像情報と当該画像情報に対応する距離情報とを含む第1画像情報IMG1を撮像し、第2撮像装置20-2を備えることにより被写体Sを第2の方向から撮像した画像情報と当該画像情報に対応する距離情報とを含む第2画像情報IMG2を撮像し、三次元情報生成装置10Aを備えることにより第1画像情報IMG1と第2画像情報IMG2とに基づき被写体Sの三次元情報を生成する。また、三次元情報生成装置10Aは、第1取得部11を備えることにより第1画像情報IMG1を取得し、第2取得部12Aを備えることにより第2画像情報IMG2を取得し、画像合成部13Aを備えることにより取得した第1画像情報IMG1に含まれる画像情報と第2画像情報IMG2に含まれる画像情報とに基づき合成画像CIMGを生成し、距離情報合成部18を備えることにより取得した第1画像情報IMG1に含まれる距離情報と第2画像情報IMG2に含まれる距離情報とに基づき合成距離画像CDIを生成し、点群データ生成部14Aを備えることにより生成された合成画像CIMGと合成距離画像CDIとに基づき点群データPCDを生成する。また、第1撮像装置20-1と第2撮像装置20-2とは、互いに対向する位置に設置されるものである。すなわち、本実施形態によれば、2つの互いに対向し合う撮像装置20により、被写体Sの三次元形状を取得する。したがって、本実施形態によれば、少ない撮像装置20により、精度の良い三次元形状の測定を、リアルタイムで行うことができる。
【0077】
なお、上述した実施形態における各装置が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0078】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。また、上述した各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1、1A…三次元情報生成システム、10、10A…三次元情報生成装置、20…撮像装置、S…被写体、SCR…スクリーン、IMG1…第1画像情報、11…第1取得部、12…第2取得部、13…画像合成部、14…点群データ生成部、15…出力部、25…記憶装置、20…撮像装置、CIMG…合成画像、PCD…点群データ、IMG2…第2画像情報、16…距離情報オフセット部、17…設置情報取得部、18…距離情報合成部、CDI…合成距離画像、DII…設置情報