(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162312
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】バッテリーケース
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20241114BHJP
H01M 50/227 20210101ALI20241114BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20241114BHJP
【FI】
H01M50/204 101
H01M50/227
H01M50/271 S
H01M50/271 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077690
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 吉則
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AA32
5H040AS04
5H040CC05
5H040JJ02
5H040JJ03
5H040LL01
(57)【要約】
【課題】浸水を抑制しつつ、所望のサイズのケースを製造し易いバッテリーケースを提供する。
【解決手段】バッテリーケース10は、ロアケース20と、アッパーケース30と、を備えている。バッテリーケース10は、ロアケース20とアッパーケース30とが組み付けられた状態で内部にバッテリーが収容される。ロアケース20は、第1分割体40及び第2分割体50が合体して構成されている。バッテリーケース10は、隣り合う第1分割体40及び第2分割体50の合わせ目25に設けられ、溶接によって接合される接合部26と、合わせ目25を液密状にシールするシール部材60と、を備えている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロアケースと、アッパーケースと、を備え、前記ロアケースと前記アッパーケースとが組み付けられた状態で内部にバッテリーが収容されるバッテリーケースであって、
前記ロアケース及び前記アッパーケースのうち少なくとも一方のケースは、複数の分割体が合体して構成され、
隣り合う2つの前記分割体の合わせ目の少なくとも一部に設けられ、溶接によって接合される接合部と、
前記合わせ目を液密状にシールするシール部材と、
を備える、バッテリーケース。
【請求項2】
前記シール部材によって前記合わせ目が液密状にシールされるように、前記分割体との間に前記シール部材を挟んで保持する保持部材を備える、請求項1に記載のバッテリーケース。
【請求項3】
前記保持部材は、前記合わせ目を覆う位置に配され、
前記合わせ目とは反対側から前記保持部材を支持し、前記隣り合う2つの前記分割体のそれぞれに溶接によって固着される連結部材を備える、請求項2に記載のバッテリーケース。
【請求項4】
外周面にフランジが形成されたバッテリーケースであって、
前記フランジは、
前記ロアケースにおいて上縁開口から張り出すロア側フランジ部と、
前記アッパーケースにおいて前記ロア側フランジ部の上方に配置されるアッパー側フランジ部と、を有し、
前記ロア側フランジ部と前記アッパー側フランジ部との間を液密状にシールする第2シール部材を備え、
前記シール部材と前記第2シール部材は、非接触状態であり、
前記合わせ目には、前記シール部材及び前記第2シール部材によってシールされない非シール部が含まれ、
前記非シール部は、溶接によって接合されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のバッテリーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動車に搭載されるバッテリーケースが開示されている。このようなバッテリーケースは、室外に配置されるため密閉構造となっている。また、バッテリーケースは、絞り形状のトレイとアッパーカバーとが合体することによって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなバッテリーケースでは、収容するバッテリーの数等に応じて設計されるサイズが異なる。例えば、バッテリーケースがプレス成型によって製造される場合、バッテリーケースが大型化すると、大型のプレス装置や大型の金型が必要となってしまう。そのため、所望のサイズのケースを製造し易いバッテリーケースの構造が求められている。また、特許文献1のようなバッテリーケースでは、搭載される場所によっては、水などが付着する環境に置かれるため、耐浸水性も求められている。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、浸水を抑制しつつ、所望のサイズのケースを製造し易いバッテリーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のバッテリーケースは、
ロアケースと、アッパーケースと、を備え、前記ロアケースと前記アッパーケースとが組み付けられた状態で内部にバッテリーが収容されるバッテリーケースであって、
前記ロアケース及び前記アッパーケースのうち少なくとも一方のケースは、複数の分割体が合体して構成され、
隣り合う2つの前記分割体の合わせ目の少なくとも一部に設けられ、溶接によって接合される接合部と、
前記合わせ目を液密状にシールするシール部材と、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例1のバッテリーケースを例示する斜視図である。
【
図2】アッパーケースを除いたバッテリーケースを例示する上方から見た斜視図である。
【
図3】アッパーケースを除いたバッテリーケースを例示する下方から見た斜視図である。
【
図5】ロアケースにおけるロア側フランジ部及びその周辺の構成を例示する平面図である。
【
図7】第1分割体におけるロア側フランジ部を構成する部分の端部及びその周辺を例示する上方から見た斜視図である。
【
図8】ロアケースにおけるロア側フランジ部を構成する部分及びその周辺を例示する下方から見た分解斜視図である。
【
図9】ロアケースにおけるロア側フランジ部を構成する部分及びその周辺を例示する下方から見た組み付け後の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のバッテリーケースによれば、ロアケース及びアッパーケースのうち少なくとも一方のケースが複数の分割体が合体して構成され、隣り合う2つの分割体の合わせ目の少なくとも一部に溶接によって接合される接合部が設けられている。このように分割体が組み合わされてケースが構成されることで、所望のサイズのケースを製造し易くなる。その上で、シール部材によって隣り合う2つの分割体の合わせ目が液密状にシールされるため、合わせ目からの浸水を抑制できる。
【0009】
本発明のバッテリーケースにおいて、前記シール部材によって前記合わせ目が液密状にシールされるように、前記分割体との間に前記シール部材を挟んで保持する保持部材を備えることが好ましい。
分割体と保持部材とによってシール部材が挟まれて保持されるため、シール部材による合わせ目のシール状態が安定して維持される。
【0010】
本発明のバッテリーケースは、前記保持部材が、前記合わせ目を覆う位置に配され、
前記合わせ目とは反対側から前記保持部材を支持し、前記隣り合う2つの前記分割体のそれぞれに溶接によって固着される連結部材を備えることが好ましい。
連結部材によって、保持部材がシール部材を保持した状態で支持することができる。そのため、シール部材による合わせ目のシール状態がより一層安定して維持される。
【0011】
本発明のバッテリーケースは、外周面にフランジが形成されたバッテリーケースであって、前記フランジは、前記ロアケースにおいて上縁開口から張り出すロア側フランジ部と、前記アッパーケースにおいて前記ロア側フランジ部の上方に配置されるアッパー側フランジ部と、を有し、前記ロア側フランジ部と前記アッパー側フランジ部との間を液密状にシールする第2シール部材を備え、前記シール部材と前記第2シール部材は、非接触状態であり、前記合わせ目には、前記シール部材及び前記第2シール部材によってシールされない非シール部が含まれ、前記非シール部は、溶接によって接合されている。
隣り合う2つの分割体の合わせ目において、シール部材及び第2シール部材によるシールの効果が生じない部分(非シール部)に対して、溶接による接合で、シール性を担保することができる。
【0012】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を
図1~
図9を参照して説明する。以下の説明では、説明の便宜上、
図1、
図2、
図4、
図6にあらわれる上下方向をそのまま上下方向として定義するが、バッテリーケース10の実際の配置状態における上下方向と一致しなくてもよい。
図1に示すZ軸方向が上下方向であり、Z軸の正方向を上方と定義し、Z軸の負方向を下方と定義する。X軸方向及びY軸方向は、互いに直交し、Z軸方向に直交する。
【0013】
(バッテリーケースの構成)
本実施例の
図1に示すバッテリーケース10は、バッテリーモジュール(図示略)を収容する。バッテリーケース10は、
図1に示すように、例えば平面視で略四角形状である。バッテリーケース10は、例えばブラケット(図示省略)によって下方側から支持された状態で、車両ボディの下面(床下の外面)に取り付けられる。バッテリーケース10は、例えばCPU、センサ等の電気部品も収容する。
【0014】
バッテリーケース10は、
図1に示すように、ロアケース20と、アッパーケース30と、を備えている。バッテリーケース10は、ロアケース20とアッパーケース30とが組み付けられた状態で、内部にバッテリーを収容する。ロアケース20の内側の底面に、バッテリーが載置される。アッパーケース30は、ロアケース20の開口を覆って閉塞している。バッテリーケース10は、外周面にフランジ12が形成されている。フランジ12は、バッテリーケース10の周縁の全周に亘って設けられている。
【0015】
ロアケース20は、例えば金属材料(鉄、アルミニウム等)からなる。ロアケース20は、
図2に示すように、底壁21と、側壁22と、ロア側フランジ部23と、を有している。底壁21は、四角板状である。側壁22は、底壁21の周縁から立ち上がっている。ロア側フランジ部23は、側壁22の上縁開口(上端)から外側に張り出している。
【0016】
アッパーケース30は、金属材料からなる。アッパーケース30は、
図1に示すように、天井壁31と、側壁32と、アッパー側フランジ部33と、を有している。天井壁31は、四角板状である。側壁32は、天井壁31の周縁から下方に延出している。アッパー側フランジ部33は、側壁32の下縁開口(下端)から外側に張り出している。アッパー側フランジ部33は、ロア側フランジ部23の上方に配置されている。
【0017】
フランジ12は、ロア側フランジ部23とアッパー側フランジ部33とによって構成されている。バッテリーケース10は、フランジ側シール部材13(
図2参照)を備えている。フランジ側シール部材13は、「第2シール部」の一例に相当する。フランジ側シール部材13は、ロア側フランジ部23とアッパー側フランジ部33とによって挟まれている。フランジ側シール部材13は、ロア側フランジ部23とアッパー側フランジ部33との間を液密状にシールする。フランジ側シール部材13は、例えばゴム等の弾性部材からなる。フランジ側シール部材13は、環状である。
【0018】
(ロアケース20側の特徴的構成)
ロアケース20は、
図2~
図4に示すように、2つの分割体(第1分割体40及び第2分割体50)を有している。ロアケース20は、第1分割体40及び第2分割体50が合体して構成されている。具体的には、第1分割体40及び第2分割体50は、Y軸方向で合体している。
【0019】
第1分割体40は、
図4に示すように、底板41と、側板42と、第1フランジ部43とを有している。底板41は、四角形状である。側板42は、底板41の周縁における-Y方向側の縁を除く三辺から立ち上がっている。第1フランジ部43は、側板42の上端から外側に張り出している。
【0020】
第1分割体40には、
図4、
図7、
図8に示すように、第2分割体50と接合される第1縁部44(-Y方向側の縁部)が設けられている。第1縁部44は、側板42の-Y方向側の両端部と、底板41の-Y方向側の端部と、によって構成されている。第1縁部44は、内側縁部45と、一対の外側縁部46と、を具備している。一対の外側縁部46は、内側縁部45の両側に設けられている。外側縁部46は、第1フランジ部43の-Y方向側の端部における外側に位置している。内側縁部45は、一対の外側縁部46に対して-Y方向に突出している。すなわち、内側縁部45と外側縁部46とによってY方向の段差が形成されている。第1縁部44において、内側縁部45に対して+Y方向側に隣接する位置に、+Z方向側に凸となる突部47が設けられている。突部47は、Y方向において、内側縁部45と同じ範囲に設けられている。
【0021】
第2分割体50は、
図4に示すように、底板51と、側板52と、第2フランジ部53と、を有している。底板51は、四角形状である。側板52は、底板51の周縁における+Y方向側の縁を除く三辺から立ち上がっている。第2フランジ部53は、側板52の上端から外側に張り出している。
【0022】
第2分割体50には、
図4、
図5、
図8示すように、第2分割体50と接合される第2縁部54(+Y方向側の縁部)が設けられている。第2縁部54は、内側縁部55と、一対の外側縁部56と、を具備している。一対の外側縁部56は、内側縁部55の両側に設けられている。内側縁部55は、底板51及び側板52におけるその他の部分(隣接する部分)に対して内側に段差状にずれている。また、内側縁部55のX軸方向の端部は、外側縁部56に対して+Z方向に段差状にずれている。内側縁部55のY方向の幅は、第1分割体40の内側縁部45のY方向の幅と同程度になっている。
【0023】
第1縁部44と第2縁部54とによって、隣り合う2つの分割体(第1分割体40及び第2分割体50)の合わせ目25が構成されている。第1縁部44と第2縁部54とは、一部が重なるように、Y軸方向で突き合わされている。
図5、
図6に示すように、第1縁部44の内側縁部45は、第2縁部54の内側縁部55の下側(-Z方向側)に入り込んでいる。第2縁部54の内側縁部55は、突部47に接触することによって、Y方向で位置決めされる。第1縁部44の外側縁部46は、Y方向で第2縁部54の外側縁部56と付き合わされる。
【0024】
第1縁部44の端面及び表裏両面、第2縁部54の端面及び表裏両面は、例えば、切削加工等の加工によって、面の粗さが小さく、平坦な状態に保たれている。これにより、第1縁部44と第2縁部54との突き合わされた部分に、隙間等が生じにくくなる。
【0025】
合わせ目25の一部には、溶接によって接合される接合部26が設けられている。具体的には、接合部26は、第1縁部44の内側縁部45と、第2縁部54の内側縁部55とが重なる部分に設けられている。すなわち、接合部26は、第1縁部44の内側縁部45及び第2縁部54の内側縁部55におけるY方向に沿う全領域に亘って設けられている。
【0026】
更に、
図4に示すように、ロアケース20には、シール部材60と、保持部材70と、連結部材80と、が設けられている。
【0027】
シール部材60は、
図6に示すように、合わせ目25を液密状にシールする。シール部材60は、例えばゴム等の弾性部材からなる。シール部材60は、環状である。シール部材60は、合わせ目25に対して下方側(-Z方向側)から接触している。シール部材60は、
図5に示すように、第1縁部44の内側縁部45及び突部47を囲むように配置されている。
【0028】
保持部材70は、
図6に示すように、シール部材60によって合わせ目25が液密状にシールされるように、第1分割体40との間、及び第2分割体50との間にシール部材60を挟んで保持する。保持部材70は、合わせ目25を下方側(-Z方向側)から覆っている。保持部材70は、例えば樹脂材料によって構成されている。
【0029】
保持部材70は、
図4に示すように、第1構成部71と、一対の第2構成部72と、一対の第3構成部73と、を具備している。第1構成部71は、X軸方向に長い帯板状である。一対の第2構成部72は、第1構成部71の両端からそれぞれ立ち上がっている。一対の第3構成部73は、一対の第2構成部72の上端(+Z方向側の端部)から外側(第1構成部71とは反対側)に延出している。
【0030】
第1構成部71は、底壁21における合わせ目25を下方側(-Z方向側)から覆っている。第2構成部72は、側壁22における合わせ目25を側方(X方向外側)から覆っている。第3構成部73は、ロア側フランジ部23における合わせ目25を下方側(-Z方向側)から覆っている。
【0031】
保持部材70には、
図4に示すように、縁に沿って環状の溝部74が設けられている。溝部74は、下方(-Z方向)に凹む溝である。溝部74には、シール部材60が嵌め込まれる。
【0032】
ロアケース20は、複数(実施例1では5つ)の連結部材80を有している。連結部材80は、例えば金属材料(鉄等)によって構成されている。連結部材80は、合わせ目25とは反対側から保持部材70を支持する。連結部材80は、隣り合う2つの分割体(第1分割体40及び第2分割体50)のそれぞれに溶接によって固着される。
【0033】
連結部材80は、第1板部81と、一対の延出部82と、を具備している。第1板部81は、帯板状である。一対の延出部82は、第1板部81の両端からそれぞれ同じ方向に突出している。
【0034】
連結部材80は、保持部材70を跨ぐように保持部材70に組み付けられている。3つの連結部材80は、保持部材70の第1構成部71に組み付けられている。2つの連結部材80は、それぞれ保持部材70の一対の第3構成部73に組み付けられている。保持部材70の一端は、第1分割体40に溶接によって固着されている。保持部材70の他端は、第2分割体50に溶接によって固着されている。
【0035】
図2に示すように、フランジ側シール部材13における合わせ目25に対応する部分には、一対の突出部13Aが設けられている。突出部13Aは、外側(X軸方向の外側)に四角状に突出する。
図5に示すように、突出部13Aは、内側に接合部26の端部(X軸方向の端部)が位置するように、ロア側フランジ部23上に配されている。
【0036】
図9に示すように、シール部材60とフランジ側シール部材13は、ロアケース20に組み付けた状態において、非接触状態である。ロア側フランジ部23において、合わせ目25を含む部分には、シール部材60及びフランジ側シール部材13によってシールされない非シール部27が設けられている。非シール部27は、合わせ目25の両端部(X軸方向の両端部)に設けられている。具体的には、非シール部27は、合わせ目25において、上下方向(Z軸方向)でシール部材60とフランジ側シール部材13とによって挟まれる部分よりも外側の部分である。
【0037】
非シール部27は、溶接によって接合されている。これにより、合わせ目25において、シール部材60及びフランジ側シール部材13によるシールの効果が生じない部分(非シール部27)に対して、溶接による接合で、シール性を担保することができる。
【0038】
また、溶接接合された非シール部27は、切削加工等の加工によって、面の粗さが小さく、平坦な状態に保たれている。これにより、ロア側フランジ部23とアッパー側フランジ部33とが、フランジ側シール部材13を介して重なった状態で、シールが良好に行われる。
【0039】
(本実施例の効果)
以下、本実施例1の効果について説明する。本実施例1のバッテリーケース10によれば、ロアケース20が複数の分割体(第1分割体40及び第2分割体50)が合体して構成され、隣り合う2つの分割体(第1分割体40及び第2分割体50)の合わせ目25の一部に溶接によって接合される接合部26が設けられている。このように分割体が組み合わされてロアケース20が構成されることで、所望のサイズのロアケース20を製造し易くなる。特に、大型のバッテリーケース10を製造する際に、大型のプレス設備を用いることなく、所望の大型サイズのロアケース20を容易に製造することができ、有利である。その上で、シール部材60によって隣り合う2つの分割体(第1分割体40及び第2分割体50)の合わせ目25が液密状にシールされるため、合わせ目25からの浸水を抑制できる。
【0040】
本実施例1のバッテリーケース10において、シール部材60によって合わせ目25が液密状にシールされるように、第1分割体40及び第2分割体50との間にシール部材60を挟んで保持する保持部材70を備える。これにより、第1分割体40及び第2分割体50と保持部材70とによってシール部材60が挟まれて保持されるため、シール部材60による合わせ目25のシール状態が安定して維持される。
【0041】
本実施例1のバッテリーケース10は、保持部材70が、合わせ目25を覆う位置に配されている。合わせ目25とは反対側から保持部材70を支持し、隣り合う2つの分割体(第1分割体40及び第2分割体50)のそれぞれに溶接によって固着される連結部材80を備える。これにより、連結部材80によって、保持部材70がシール部材60を保持した状態で支持することができる。そのため、シール部材60による合わせ目25のシール状態がより一層安定して維持される。
【0042】
本実施例1のバッテリーケース10は、外周面にフランジ12が形成されている。フランジ12は、ロアケース20において上縁開口から張り出すロア側フランジ部23と、アッパーケース30においてロア側フランジ部23の上方に配置されるアッパー側フランジ部33と、を有している。バッテリーケース10は、ロア側フランジ部23とアッパー側フランジ部33との間を液密状にシールするフランジ側シール部材13を備えている。シール部材60とフランジ側シール部材13は、非接触状態である。合わせ目25には、シール部材60及びフランジ側シール部材13によってシールされない非シール部27が含まれている。非シール部27は、溶接によって接合されている。これにより、隣り合う2つの分割体(第1分割体40及び第2分割体50)の合わせ目25において、シール部材60とフランジ側シール部材13によるシールの効果が生じない部分(非シール部27)に対して、溶接による接合で、シール性を担保することができる。
【0043】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1において、ロアケース20が複数の分割体が合体して構成されていたが、アッパーケース30も同様の構成(複数の分割体が合体する構成)となっていてもよい。この場合、アッパーケース30にも、ロアケース20と同様のシール構造(シール部材、保持部材、及び連結部材)が設けられる。
(2)上記実施例1において、ロアケース20は、2つの分割体(第1分割体40及び第2分割体50)を有する構成を例示したが、3つ以上の分割体を有する構成であってもよい。この場合、隣り合う2つの分割体の間に、実施例1のロアケース20と同様のシール構造(シール部材、保持部材、及び連結部材)が設けられる。
(3)上記実施例1において、シール構造(シール部材、保持部材、及び連結部材)がロアケース20の外側(-Z方向側)に設けられていたが、ロアケース20の内側側(+Z方向側)に設けられていてもよい。
(4)上記実施例1において、接合部26が、第1縁部44の内側縁部45と第2縁部54の内側縁部55とが重なる部分全体に設けられていたが、第1縁部44の内側縁部45と第2縁部54の内側縁部55とが重なる部分の一部に設けられていてもよい。
(5)上記実施例1において、シール部材60は、環状であったが、帯板状であってもよい。この場合、シール部材60は、合わせ目25における第1縁部44と第2縁部54との隙間を覆う。
(6)上記実施例1において、合わせ目25において接合部26及び非シール部27が溶接接合されていたが、合わせ目25の全体が溶接されていてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10…バッテリーケース
12…フランジ
13…フランジ側シール部材(第2シール部材)
13A…突出部
20…ロアケース
21…底壁
22…側壁
23…ロア側フランジ部
25…合わせ目
26…接合部
27…非シール部
30…アッパーケース
31…天井壁
32…側壁
33…アッパー側フランジ部
40…第1分割体(分割体)
41…底板
42…側板
43…第1フランジ部
44…第1縁部
45…内側縁部
46…外側縁部
47…突部
50…第2分割体(分割体)
51…底板
52…側板
53…第2フランジ部
54…第2縁部
55…内側縁部
56…外側縁部
60…シール部材
70…保持部材
71…第1構成部
72…第2構成部
73…第3構成部
74…溝部
80…連結部材
81…第1板部
82…延出部