(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162313
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】バッテリーケース
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20241114BHJP
H01M 50/227 20210101ALI20241114BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20241114BHJP
【FI】
H01M50/204 101
H01M50/227
H01M50/271 S
H01M50/271 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077691
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 吉則
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AA32
5H040AS04
5H040JJ02
5H040JJ03
5H040LL01
5H040LL06
(57)【要約】
【課題】浸水を抑制しつつ、所望のサイズのケースを製造し易いバッテリーケースを提供する。
【解決手段】バッテリーケース10は、ロアケース20と、アッパーケース30と、を備え、ロアケース20とアッパーケース30とが組み付けられた状態で内部にバッテリーが収容される。ロアケース20は、底壁41と、底壁41の端部から立ち上がる第1側壁42及び第2側壁43と、を有する。ロアケース20は、隣り合う第1側壁42及び第2側壁43における合わせ目44の隙間45を塞ぐ被覆部材60と、合わせ目44の隙間45を液密状にシールするシール部材70と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロアケースと、アッパーケースと、を備え、前記ロアケースと前記アッパーケースとが組み付けられた状態で内部にバッテリーが収容されるバッテリーケースであって、
前記ロアケース及び前記アッパーケースのうち少なくとも一方のケースは、底壁と、前記底壁の端部から立ち上がる複数の側壁と、を有し、
隣り合う2つの前記側壁における合わせ目の隙間を塞ぐ被覆部材と、
前記合わせ目の隙間を液密状にシールするシール部材と、
を備える、バッテリーケース。
【請求項2】
前記側壁は、前記底壁の端部から立ち上がる壁部と、前記壁部から前記底壁とは反対側に屈曲するように延出するフランジ部と、を有し、
隣り合う2つの前記フランジ部を連結するフランジパッチを備える、請求項1に記載のバッテリーケース。
【請求項3】
前記被覆部材は、
隣り合う2つの前記壁部にそれぞれ対向する一対の壁部対応部と、
前記フランジパッチに対向するフランジ対応部と、
を有し、
前記シール部材は、前記壁部と前記壁部対応部との間を液密状にシールするとともに、前記フランジパッチと前記フランジ対応部との間を液密状にシールする、請求項2に記載のバッテリーケース。
【請求項4】
前記シール部材は環状であり、前記被覆部材の外縁に沿って配される、請求項3に記載のバッテリーケース。
【請求項5】
前記側壁とは反対側から前記被覆部材を支持し、前記隣り合う2つの前記側壁のそれぞれに溶接によって固着される支持部材を備える、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のバッテリーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動車に搭載されるバッテリーケースが開示されている。このようなバッテリーケースは、室外に配置されるため密閉構造となっている。また、バッテリーケースは、絞り形状のトレイとアッパーカバーとが合体することによって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなバッテリーケースでは、収容するバッテリーの数等に応じて設計されるサイズが異なる。例えば、バッテリーケースがプレス成型によって製造される場合、バッテリーケースが大型化すると、大型のプレス装置や大型の金型が必要となってしまう。そのため、所望のサイズのケースを製造し易いバッテリーケースの構造が求められている。また、特許文献1のようなバッテリーケースでは、搭載される場所によっては、水などが付着する環境に置かれるため、耐浸水性も求められている。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、浸水を抑制しつつ、所望のサイズのケースを製造し易いバッテリーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のバッテリーケースは、
ロアケースと、アッパーケースと、を備え、前記ロアケースと前記アッパーケースとが組み付けられた状態で内部にバッテリーが収容されるバッテリーケースであって、
前記ロアケース及び前記アッパーケースのうち少なくとも一方のケースは、底壁と、前記底壁の端部から立ち上がる複数の側壁と、を有し、
隣り合う2つの前記側壁における合わせ目の隙間を塞ぐ被覆部材と、
前記合わせ目の隙間を液密状にシールするシール部材と、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例1のバッテリーケースを例示する斜視図である。
【
図2】アッパーケースを除いたバッテリーケースを例示する上方から見た斜視図である。
【
図3】ロアケースの角部を内側から見た斜視図である。
【
図4】ロアケースの角部を外側から見た斜視図である。
【
図5】展開状態の箱体を例示する上方から見た斜視図である。
【
図6】組立状態の箱体を例示する上方から見た斜視図である。
【
図7】ロアケースにフランジパッチを組み付けた状態を示す内側から見た斜視図である。
【
図8】分解状態のシール部材及び被覆部材を示す斜視図である。
【
図9】シール部材が被覆部材に組み付けられた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のバッテリーケースによれば、被覆部材によって隣り合う2つの側壁における合わせ目の隙間が塞がれる構成であるため、プレス成型等の加工によって予め隣り合う2つの側壁が連なった形状とする必要がなく、所望のサイズのケースを製造し易くなる。その上で、シール部材によって、隣り合う2つの側壁における合わせ目の隙間が液密状にシールされる構成であるため、合わせ目の隙間からの浸水を抑制できる。
【0009】
本発明のバッテリーケースにおいて、前記側壁は、前記底壁の端部から立ち上がる壁部と、前記壁部から前記底壁とは反対側に屈曲するように延出するフランジ部と、を有し、隣り合う2つの前記フランジ部を連結するフランジパッチを備えることが好ましい。
フランジパッチによって隣り合う2つのフランジ部が連結される構成であるため、隣り合う2つの側壁が倒れることを抑制できる。
【0010】
本発明のバッテリーケースにおいて、前記被覆部材は、隣り合う2つの前記壁部にそれぞれ対向する一対の壁部対応部と、前記フランジパッチに対向するフランジ対応部と、を有し、前記シール部材は、前記壁部と前記壁部対応部との間を液密状にシールするとともに、前記フランジパッチと前記フランジ対応部との間を液密状にシールすることが好ましい。
シール部材によって、壁部と壁部対応部との間が液密状にシールされる構成であるため、壁部と壁部対応部との間からの浸水を抑制できる。また、シール部材によって、フランジパッチとフランジ対応部との間が液密状にシールされる構成であるため、フランジパッチとフランジ対応部との間からの浸水を抑制できる。
【0011】
本発明のバッテリーケースは、前記シール部材は環状であり、前記被覆部材の外縁に沿って配されることが好ましい。
1つの環状のシール部材によって、壁部と壁部対応部との間、及びフランジパッチとフランジ対応部との間をシールすることができる。そのため、シール構造を簡略化できる。
【0012】
本発明のバッテリーケースは、前記側壁とは反対側から前記被覆部材を支持し、前記隣り合う2つの前記側壁のそれぞれに溶接によって固着される支持部材を備えることが好ましい。
側壁と被覆部材との間にシール部材が挟まれた状態で、支持部材によって被覆部材を支持することができる。そのため、シール部材による被覆部材と側壁との間のシール状態がより一層安定して維持される。
【0013】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を
図1~
図9を参照して説明する。以下の説明では、説明の便宜上、
図1~
図9にあらわれる上下方向をそのまま上下方向として定義するが、バッテリーケース10の実際の配置状態における上下方向と一致しなくてもよい。
図1に示すZ軸方向が上下方向であり、Z軸の正方向を上方と定義し、Z軸の負方向を下方と定義する。X軸方向及びY軸方向は、互いに直交し、Z軸方向に直交する。
【0014】
(バッテリーケースの構成)
本実施例の
図1に示すバッテリーケース10は、バッテリーモジュール(図示略)を収容する。バッテリーケース10は、
図1に示すように、例えば平面視で略四角形状である。バッテリーケース10は、例えばブラケット(図示省略)によって下方側から支持された状態で、車両ボディの下面(床下の外面)に取り付けられる。バッテリーケース10は、例えばCPU、センサ等の電気部品も収容する。
【0015】
バッテリーケース10は、
図1に示すように、ロアケース20と、アッパーケース30と、を備えている。バッテリーケース10は、ロアケース20とアッパーケース30とが組み付けられた状態で、内部にバッテリーを収容する。ロアケース20の内側の底面に、バッテリーが載置される。ロアケース20は、
図2に示すように、ロア側フランジ部21を有している。アッパーケース30は、ロアケース20の開口を覆って閉塞している。バッテリーケース10には、外周面にフランジ12が形成されている。フランジ12は、バッテリーケース10の周縁の全周に亘って設けられている。
【0016】
アッパーケース30は、金属材料からなる。アッパーケース30は、
図1に示すように、天井壁31と、側壁32と、アッパー側フランジ部33と、を有する単一部品である。天井壁31は、四角板状である。側壁32は、天井壁31の周縁から下方に延出している。アッパー側フランジ部33は、側壁32の下縁開口(下端)から外側に張り出している。アッパー側フランジ部33は、ロア側フランジ部21の上方に配置されている。
【0017】
フランジ12は、ロア側フランジ部21とアッパー側フランジ部33とによって構成されている。バッテリーケース10は、フランジ側シール部材13(
図2参照)を備えている。フランジ側シール部材13は、ロア側フランジ部21とアッパー側フランジ部33とによって挟まれている。フランジ側シール部材13は、ロア側フランジ部21とアッパー側フランジ部33との間を液密状にシールする。フランジ側シール部材13は、例えばゴム等の弾性部材からなる。フランジ側シール部材13は、フランジ12に沿って配される環状である。
【0018】
(ロアケース20側の特徴的構成)
ロアケース20は、本体40と、フランジパッチ50と、被覆部材60と、シール部材70と、支持部材81,82,83と、を備えている。
【0019】
本体40は、例えば金属材料(鉄、アルミニウム等)からなる。本体40は、
図2に示すように、底壁41と、一対の第1側壁42と、一対の第2側壁43と、を有する単一部品である。第1側壁42及び第2側壁43は、本発明の「側壁」に相当する。底壁41は、四角板状である。一対の第1側壁42及び一対の第2側壁43は、底壁41の4辺からそれぞれ立ち上がっている。一対の第1側壁42は、互いに対向している。一対の第2側壁43は、互いに対向している。例えば、第1側壁42は、第2側壁43よりも幅広である。
【0020】
第1側壁42は、第1壁部42Aと、第1フランジ部42Bと、を具備している。第1壁部42Aは、本発明の「壁部」に相当する。第1フランジ部42Bは、本発明の「フランジ部」に相当する。第1壁部42Aは、底壁41の端部(Y軸方向に沿う端部)から立ち上がっている。第1フランジ部42Bは、第1壁部42Aから底壁41とは反対側(X軸方向)に屈曲するように延出している。
【0021】
第2側壁43は、第2壁部43Aと、第2フランジ部43Bと、を具備している。第2壁部43Aは、本発明の「壁部」に相当する。第2フランジ部43Bは、本発明の「フランジ部」に相当する。第2壁部43Aは、底壁41の端部(X軸方向に沿う端部)から立ち上がっている。第2フランジ部43Bは、第2壁部43Aから底壁41とは反対側(Y軸方向)に屈曲するように延出している。
【0022】
ロアケース20は、4つの角部に対応する4つのフランジパッチ50を有している。フランジパッチ50は、隣り合う2つのフランジ部(
図7では第1フランジ部42Bと第2フランジ部43B)を連結する。フランジパッチ50は、
図7に示すように、帯板状であり、長さ方向の中央で板面に沿う方向に屈曲する形状となっている。フランジパッチ50の厚さ(板厚)は、例えば第1フランジ部42Bの厚さ及び第2フランジ部43Bの厚さと同程度である。フランジパッチ50の材質は、例えば本体40と同じである。
【0023】
図7に示すように、フランジパッチ50は、隣り合う第1フランジ部42Bと第2フランジ部43Bとを連結している。フランジパッチ50は、隣り合う第1フランジ部42Bと第2フランジ部43Bとにそれぞれ溶接によって接合されている。例えば、
図7に示すように、フランジパッチ50の一端51(長さ方向の一端)は、第1フランジ部42Bの一端(延出方向と直交する方向の一端)に接合されている。フランジパッチ50の他端52(長さ方向の他端)は、第2フランジ部43Bの一端(延出方向と直交する方向の一端)に接合されている。本体40の4つの角部では、
図7に示す構成のように、フランジパッチ50が隣り合う第1フランジ部42Bと第2フランジ部43Bとを連結している。
【0024】
フランジパッチ50の上面は、第1フランジ部42Bの上面、及び第2フランジ部43Bの上面と面一になっている。フランジパッチ50の下面は、第1フランジ部42Bの下面、及び第2フランジ部43Bの下面と面一になっている。フランジパッチ50の外縁は、第1フランジ部42Bの外縁、及び第2フランジ部43Bの外縁と連なっている。
図2に示すように、一対の第1フランジ部42Bと、一対の第2フランジ部43Bと、4つのフランジパッチ50と、によってロア側フランジ部21が構成されている。
【0025】
ロアケース20は、4つの角部に対応して4つの被覆部材60を有している。被覆部材60は、隣り合う2つの側壁における合わせ目44の隙間45を塞いでいる。被覆部材60は、外側から合わせ目44の隙間45を塞いでいる。例えば、
図3に示すように、隣り合う2つの側壁(第1側壁42及び第2側壁43)における合わせ目44の隙間45を塞いでいる。被覆部材60は、例えば樹脂製である。
【0026】
図8に示すように、被覆部材60は、下板部61と、第1側板部62と、第2側板部63と、上板部64と、を具備する単一部品である。下板部61は、四角板状である。第1側板部62及び第2側板部63は、下板部61の隣り合う2つの辺からそれぞれ立ち上がっている。第1側板部62及び第2側板部63は、上下方向に長い長方形の板状である。第1側板部62と第2側板部63は、立ち上がり方向の全体に亘って連なっている。上板部64は、平面視L字の板状である。上板部64は、第1側板部62の上端及び第2側板部63の上端から外側(下板部61とは反対側)に延出している。
【0027】
図8に示すように、下板部61、第1側板部62、第2側板部63、及び上板部64の各外縁(他の部分とつながらない部分)は、段差なく滑らかに環状に連なっている。
【0028】
図8に示すように、被覆部材60の内側の面(本体40に接する側の面)には、外縁に沿って環状の溝部65が設けられている。溝部65は、外側(本体40に接する側とは反対側)に凹む溝である。溝部65には、シール部材70が嵌め込まれる。
【0029】
図3に示すように、下板部61は、底壁41に下方側から対向している。第1側板部62は、第1壁部42AにX方向外側から対向している。第2側板部63は、第2壁部43AにY方向外側から対向している。第1側板部62及び第2側板部63は、本発明の「壁部対応部」に相当する。上板部64は、フランジパッチ50に下方側から対向している。上板部64は、本発明の「フランジ対応部」に相当する。
【0030】
図4に示すように、上板部64の外縁は、ロア側フランジ部21の外縁と上下方向(Z軸方向)で連なっている。
【0031】
シール部材70は、
図3に示すように、合わせ目44の隙間45を液密状にシールする。シール部材70は、例えばゴム等の弾性部材からなる。シール部材70は、環状である。シール部材70は、溝部65に嵌め込まれている。シール部材70は、本体40と被覆部材60との間、及びフランジパッチ50と被覆部材60との間に挟まれている。シール部材70は、底壁41と下板部61の間、第1壁部42Aと第1側板部62の間、第2壁部43Aと第2側板部63の間、及びフランジパッチ50と上板部64の間を液密状にシールする。
【0032】
シール部材70は、
図3に示すように、合わせ目44の隙間45を囲むように配置されている。シール部材70は、被覆部材60の縁部に沿って配置されている。
【0033】
支持部材81,82,83は、シール部材70を支持する。支持部材81,82,83は、例えば本体40と同じ材料(鉄等の金属材料)によって構成されている。
図4に示すように、支持部材81,82,83は、本体40(第1側壁42及び第2側壁43)とは反対側から被覆部材60を支持する。支持部材81は、本発明の「支持部材」に相当しない。支持部材82,83は、隣り合う2つの側壁(第1側壁42及び第2側壁43)のそれぞれに溶接によって固着されている。
【0034】
支持部材81は、
図4に示すように、第1支持部81Aと、一対の第1延出部81Bと、を具備している。第1支持部81Aは、帯板状であり、長さ方向の中央で板面に沿う方向に屈曲する形状となっている。一対の第1延出部81Bは、第1支持部81Aの両端からそれぞれ同じ方向に突出している。支持部材81は、下板部61を跨ぐように被覆部材60に組み付けられている。支持部材81の両端(一対の第1延出部81B)は、下板部61に溶接によって固着されている。
【0035】
支持部材82は、
図4に示すように、第2支持部82Aと、一対の第2延出部82Bと、を具備している。第2支持部82Aは、帯板状であり、長さ方向の中央で板面と交わる方向に屈曲する形状となっている。一対の第2延出部82Bは、第2支持部82Aの両端からそれぞれ同じ方向に突出している。支持部材82は、第1側板部62及び第2側板部63を跨ぐように被覆部材60に組み付けられている。支持部材82の一端(一方の第2延出部82B)は、第1壁部42Aに溶接によって固着されている。支持部材82の他端(他方の第2延出部82B)は、第2壁部43Aに溶接によって固着されている。
【0036】
支持部材83は、
図4に示すように、第3支持部83Aと、一対の第3延出部83Bと、を具備している。第3支持部83Aは、帯板状であり、長さ方向の中央で板面に沿う方向に屈曲する形状となっている。一対の第3延出部83Bは、第3支持部83Aの両端からそれぞれ同じ方向に突出している。支持部材83は、フランジパッチ50を跨ぐように被覆部材60に組み付けられている。支持部材83の一端(一方の第3延出部83B)は、第1フランジ部42Bに溶接によって固着されている。支持部材83の他端(他方の第3延出部83B)は、第2フランジ部43Bに溶接によって固着されている。
【0037】
(バッテリーケース10の製造方法)
実施例1のバッテリーケース10の製造方法について説明する。
まず、
図5に示すように、本体40の展開状態の形態をなす基体140を用意する。基体140は、第1板部141と、一対の第2板部142と、一対の第3板部143と、を具備している。第1板部141は、四角板状である。一対の第2板部142は、第1板部141の対向する一対の辺からそれぞれ延出している。一対の第3板部143は、一対の第2板部142が延出する辺とは異なる一対の対向する辺からそれぞれ延出している。
【0038】
続いて、
図5、
図6に示すように、第1板部141に対して第2板部142及び第3板部143を上方に折り曲げるとともに、第2板部142の先端側及び第3板部143の先端側を外側に折り曲げる。これにより、第1側壁42(第1壁部42A及び第1フランジ部42B)、及び第2側壁43(第2壁部43A及び第2フランジ部43B)を有する本体40が形成される。
【0039】
続いて、
図7に示すように、フランジパッチ50を本体40の4つの角部に組み付ける。フランジパッチ50の一端51(長さ方向の一端)を、第1フランジ部42Bの一端(延出方向と直交する方向の一端)に溶接によって接合する。フランジパッチ50の他端52(長さ方向の他端)を、第2フランジ部43Bの一端(延出方向と直交する方向の一端)に溶接によって接合する。
【0040】
続いて、
図8、
図9に示すように、シール部材70を、被覆部材60の溝部65に嵌め込む。そして、
図3、
図4に示すように、シール部材70が組み付けられた被覆部材60を、本体40の4つの角部に対して外側から組み付ける。これにより、合わせ目44の隙間45が被覆部材60によって閉塞される。ここで、
図9に示すように、支持部材81,82,83を、被覆部材60を跨ぐように組み付ける。そして、支持部材81の両端を、下板部61に溶接によって固着する。また、支持部材82,83の両端を、隣り合う2つの側壁(第1側壁42及び第2側壁43)のそれぞれに溶接によって固着する。これにより、ロアケース20が完成する。
【0041】
続いて、ロア側フランジ部21とアッパー側フランジ部33との間にフランジ側シール部材13(
図2参照)が挟まれるようにして、
図1に示すように、ロアケース20にアッパーケース30を組み付ける。これにより、バッテリーケース10が完成する。
【0042】
(本実施例の効果)
以下、本実施例1の効果について説明する。本実施例1のバッテリーケース10によれば、被覆部材60によって隣り合う2つの側壁(第1側壁42及び第2側壁43)における合わせ目44の隙間45が塞がれる構成であるため、プレス成型等の加工によって予め隣り合う2つの側壁(第1側壁42及び第2側壁43)が連なった形状とする必要がなく、所望のサイズのケースを製造し易くなる。特に、大型のバッテリーケース10を製造する際に、大型のプレス設備を用いることなく、所望の大型サイズのロアケース20を容易に製造することができ、有利である。その上で、シール部材70によって、隣り合う2つの側壁(第1側壁42及び第2側壁43)における合わせ目44の隙間45が液密状にシールされる構成であるため、合わせ目44の隙間45からの浸水を抑制できる。
また、ロアケース20をプレス加工で製造する構成に比べて、ロアケース20の角部の曲率を大きくすることができ、バッテリーケース10内のスペースを大きく確保できる。
【0043】
本実施例1のバッテリーケース10によれば、第1側壁42は、底壁41の端部から立ち上がる第1壁部42Aと、第1壁部42Aから底壁41とは反対側に屈曲するように延出する第1フランジ部42Bと、を有する。第2側壁43は、底壁41の端部から立ち上がる第2壁部43Aと、第2壁部43Aから底壁41とは反対側に屈曲するように延出する第2フランジ部43Bと、を有する。隣り合う2つのフランジ部(第1フランジ部42B及び第2フランジ部43B)を連結するフランジパッチ50を備える。これにより、フランジパッチ50によって隣り合う2つのフランジ部(第1フランジ部42B及び第2フランジ部43B)が連結される構成であるため、隣り合う2つの側壁(第1側壁42及び第2側壁43)が倒れることを抑制できる。
【0044】
本実施例1のバッテリーケース10によれば、被覆部材60は、隣り合う2つの壁部(第1壁部42A及び第2壁部43A)にそれぞれ対向する一対の壁部対応部(第1側板部62及び第2側板部63)と、フランジパッチ50に対向するフランジ対応部(上板部64)と、を有している。シール部材70は、第1壁部42Aと第1側板部62との間、及び第2壁部43Aと第2側板部63との間を液密状にシールするとともに、フランジパッチ50と上板部64との間を液密状にシールする。これにより、シール部材70によって、第1壁部42Aと第1側板部62との間、及び第2壁部43Aと第2側板部63との間が液密状にシールされる構成であるため、第1壁部42Aと第1側板部62との間、及び第2壁部43Aと第2側板部63との間からの浸水を抑制できる。また、シール部材70によって、フランジパッチ50と上板部64との間が液密状にシールされる構成であるため、フランジパッチ50と上板部64との間からの浸水を抑制できる。
【0045】
本実施例1のバッテリーケース10によれば、シール部材70は環状であり、被覆部材60の外縁に沿って配される。これにより、1つの環状のシール部材70によって、第1壁部42Aと第1側板部62との間、第2壁部43Aと第2側板部63との間、及びフランジパッチ50と上板部64との間をシールすることができる。そのため、シール構造を簡略化できる。
【0046】
本実施例1のバッテリーケース10によれば、側壁(第1側壁42及び第2側壁43)とは反対側から被覆部材60を支持し、隣り合う2つの側壁(第1側壁42及び第2側壁43)のそれぞれに溶接によって固着される支持部材82,83を備える。これにより、側壁(第1側壁42及び第2側壁43)と被覆部材60との間にシール部材70が挟まれた状態で、支持部材82,83によって被覆部材60を支持することができる。そのため、シール部材70による被覆部材60と側壁(第1側壁42及び第2側壁43)との間のシール状態がより一層安定して維持される。
【0047】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1において、ロアケース20にシール構造(フランジパッチ50、被覆部材60、シール部材70、及び支持部材81,82,83)が設けられる構成を例示したが、アッパーケース30にも同様のシール構造を設ける構成としてもよい。
(2)上記実施例1において、シール構造(フランジパッチ50、被覆部材60、シール部材70、及び支持部材81,82,83)がロアケース20の外側に設けられていたが、ロアケース20の内側に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…バッテリーケース
12…フランジ
13…フランジ側シール部材
20…ロアケース
21…ロア側フランジ部
30…アッパーケース
31…天井壁
32…側壁
33…アッパー側フランジ部
40…本体
41…底壁
42…第1側壁
42A…第1壁部
42B…第1フランジ部
43…第2側壁
43A…第2壁部
43B…第2フランジ部
44…合わせ目
45…隙間
50…フランジパッチ
51…一端
52…他端
60…被覆部材
61…下板部
62…第1側板部(壁部対応部)
63…第2側板部(壁部対応部)
64…上板部(フランジ対応部)
65…溝部
70…シール部材
81…支持部材
81A…第1支持部
81B…第1延出部
82…支持部材
82A…第2支持部
82B…第2延出部
83…支持部材
83A…第3支持部
83B…第3延出部
140…基体
141…第1板部
142…第2板部
143…第3板部