(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162316
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】連鎖端子の製造方法、連鎖端子及びコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 43/16 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
H01R43/16
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077696
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸端 裕矢
(72)【発明者】
【氏名】高村 直樹
【テーマコード(参考)】
5E063
【Fターム(参考)】
5E063GA03
5E063XA01
5E063XA05
(57)【要約】
【課題】アライメント調整が容易に行え生産性を向上させる連鎖端子の製造方法、連鎖端子及びコネクタを提供することを目的とする。
【解決手段】連鎖端子1の製造方法は、複数連結される端子部2をプレス加工により打ち抜く工程であって、複数連結される端子部2のうち隣り合う二つの端子部2を同時にプレス加工して打ち抜き、二つの端子部2に対し異なる第一凹部23及び第二凹部24を形成するプレス工程S10を含んで構成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数連結される端子部をプレス加工により打ち抜く工程であって、前記複数連結される端子部のうち隣り合う二つの端子部を同時にプレス加工して打ち抜き、前記二つの端子部に対し異なる凹部を形成するプレス工程を含む、
連鎖端子の製造方法。
【請求項2】
前記プレス工程は、前記隣り合う二つの端子部の互いに対向する内側面の反対側の外側面を窪ませて前記異なる凹部を形成する、
請求項1に記載の連鎖端子の製造方法。
【請求項3】
複数の端子部と、
前記複数の端子部を前記端子部の延在方向と交差する方向へ連結する連結部と、備え、
前記複数の端子部のうち隣り合う二つの端子部は、互いに対向する内側面及び前記内側面の反対側の外側面の一方に異なる凹部が形成されている、
連鎖端子。
【請求項4】
前記複数の端子部は、連結する方向に沿って形状の異なる凹部を交互に形成している、
請求項3に記載の連鎖端子。
【請求項5】
前記凹部は、前記端子部のアライメントを調整するように形成されている、
請求項3又は4に記載の連鎖端子。
【請求項6】
両側の側面の一方に対し第一凹部が形成される端子と前記側面の一方に対し前記第一凹部と異なる第二凹部が形成される端子を含む複数の端子と、
前記複数の端子が取り付けられるハウジングと、を備える、
コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連鎖端子の製造方法、連鎖端子及びコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子及びコネクタに関するものとして、例えば、特許文献1に記載されるように、複数の端子(コンタクト)をハウジングに圧入して構成されるコネクタが知られている。複数の端子は、一般的に、連結部(キャリア)により連結された連鎖端子の状態から、個々の端子に切り離されて製造される。連鎖端子は、板金をプレス加工することにより、端子形状に打ち抜かれ、複数の端子が連結部よって連なったものとして製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した連鎖端子の製造方法、連鎖端子及びコネクタは、端子のアライメント調整が難しく連鎖端子及びコネクタの生産性を向上させることが困難である点で改善の余地がある。例えば、連鎖端子の製造において、プレス加工は、一つの端子ごとに行われ、連結方向に沿って各端子について順次行われる。ここで、連鎖端子及びコネクタの生産性を向上させるために、一回のプレス加工で二つの端子を打ち抜いていくことが考えられる。しかしながら、この場合、二つの端子の曲がりや傾きが異なる場合がある。例えば、プレス加工で打ち抜かれた二つの端子は、異なる金型部分で加工されるため、設定された形状に対し互いに異なる傾向で加工される場合がある。具体的には、二つの端子が異なる方向へ曲がって形成される場合があり、この場合、金型のどの部分を補修してアライメント調整を行うべきか判断が困難となる。特に、連鎖端子から各端子に切り離されコネクタに取り付けられる場合、端子に不具合があっても、端子が金型のどの部分で加工されたかを特定することが難しく、金型の補修により端子のアライメントを調整することが困難となる。
【0005】
そこで、本発明は、生産性の向上が図れアライメント調整が容易に行える連鎖端子の製造方法、連鎖端子及びコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係る連鎖端子の製造方法は、複数連結される端子部をプレス加工により打ち抜く工程であって、前記複数連結される端子部のうち隣り合う二つの端子部を同時にプレス加工して打ち抜き、前記二つの端子部に対し異なる凹部を形成するプレス工程を含んで構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る連鎖端子の製造方法、連鎖端子及びコネクタによれば、生産性の向上が図れアライメント調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る連鎖端子の平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る連鎖端子における端子部の説明図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るコネクタの斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るコネクタの端子の斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る連鎖端子の製造方法を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る連鎖端子の製造方法におけるプレス工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
本実施形態は、連鎖端子の製造方法、連鎖端子及びコネクタに関する。以下の説明では、互いに交差する第一方向、第二方向、及び、第三方向のうち、第一方向を「延在方向X」といい、第二方向を「連結方向Y」といい、第三方向を「高さ方向Z」という。ここでは、延在方向Xと連結方向Yと高さ方向Zとは、相互に直交する。延在方向Xは、端子が延在する方向に相当する。連結方向Yは、複数の端子部が連結される方向に相当する。連結方向Yと高さ方向Zとは、延在方向Xと直交する直交方向に相当する。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。なお、ここでいう直交は、ほぼ直交を含む。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る連鎖端子1は、複数の端子部2を連結部3で連結して構成されている。
図1は、連鎖端子1の一部を示した平面図であり、連結方向Yに沿って複数の端子部2を連ねて構成される連鎖端子1の一部を図示している。連鎖端子1は、例えば、導電性金属により構成され、平板状の板金をプレス加工により打ち抜いて形成される。
【0012】
連結部3は、複数の端子部2を連結する部位であり、端子部2の延在方向Xに対し交差する連結方向Yへ延び、複数の端子部2を所定の間隔を隔てて保持し連結している。連結部3は、端子部2の両端の間の中間位置に接続されている。
【0013】
端子部2は、棒状を呈し、所定の間隔をおいて複数並設されている。端子部2は、延在方向Xに向けて設けられ、延在方向Xにおいて同じ長さ、連結方向Yにおいて同じ幅となるように形成されている。端子部2は、例えば、延在方向Xに交差する方向の断面形状が矩形とされる。複数の端子部2のうち隣り合う二つの端子部2は、第一凹部23又は第二凹部24を形成している。すなわち、複数の端子部2は、連結方向Yに沿って第一凹部23と第二凹部24が交互に形成されている。
【0014】
第一凹部23及び第二凹部24は、隣り合う二つの端子部2の内側面25又は外側面26のいずれか一方に形成されている。つまり、第一凹部23及び第二凹部24は、隣り合う二つの端子部2の内側面25又は外側面26のいずれか一方のみに形成されている。内側面25は、隣り合う二つの端子部2が対向する内側の側面であり、外側面26は、端子部2において内側面25の反対側の側面である。
図1では、隣り合う二つの端子部2において、外側面26に第一凹部23及び第二凹部24が形成される場合を示している。第一凹部23及び第二凹部24は、連結部3から所定の距離を隔てて形成されている。例えば、第一凹部23及び第二凹部24は、端子部2の先端27と比べて連結部3に近い位置に形成されている。
【0015】
端子部2は、第一凹部23及び第二凹部24のほかに、内側面25及び外側面26に凹部又は凸部を形成していてもよい。例えば、端子部2において、内側面25及び外側面26の双方の位置に対称的に凹部又は凸部が形成されていてもよい。このような凹部又は凸部は、内側面25及び外側面26の双方に形成される点で、端子部2の内側面25又は外側面26のいずれか一方のみに形成される第一凹部23及び第二凹部24と異なるものである。また、端子部2において、隣り合う端子部2と同一の凹部又は凸部が形成されていてもよい。このような凹部又は凸部は、隣り合う端子部2に異なる凹部として形成される第一凹部23及び第二凹部24と異なるものである。
【0016】
図2に示すように、第一凹部23と第二凹部24は、異なる凹部として形成されている。
図2は、隣り合う二つの端子部2の第一凹部23及び第二凹部24を拡大して示している。例えば、第一凹部23と第二凹部24は、異なる形状の凹部として形成される。具体的には、第一凹部23は、外側面26を内側面25へ向けてV字状に窪ませた凹みされる。第二凹部24は、外側面26を内側面25へ矩形状に窪ませた凹みとされる。すなわち、第二凹部24は、外側面26を内側面25へ向けて一定の幅をもって垂直に窪ませた凹みとされる。第一凹部23と第二凹部24は、例えば、第一凹部23と第二凹部24を識別可能な程度の大きさ及び深さの凹みとして形成され、端子部2の機能及び強度を損なわない程度の凹みとして形成される。なお、
図2では、第一凹部23をV字状の凹部とし、第二凹部24を矩形状の凹部としているが、第一凹部23と第二凹部24が異なる凹部であれば、第一凹部23をV字状以外の形状の凹部とし、第二凹部24を矩形状以外の形状の凹部としてもよい。
【0017】
図1において、隣り合う二つの端子部2において異なる凹部である第一凹部23及び第二凹部24を形成することにより、第一凹部23を形成した端子部2と第二凹部24を形成した端子部2を識別することが可能となる。第一凹部23及び第二凹部24は、異なる凹部であれば、同一形状の凹部であってもよい。例えば、第一凹部23及び第二凹部24は、同一形状であっても、延在方向Xにおける凹みの長さ、連結方向Yにおける凹みの深さ、又は、形成位置を異ならせて、異なる凹部としてもよい。
【0018】
このように、第一凹部23及び第二凹部24は、異なる凹部として形成されることにより、第一凹部23及び第二凹部24を形成する隣り合う二つの端子部2がどの金型部分でプレス加工されたものであるかを特定することができる。このため、端子部2に不具合が生じた場合、プレス加工に用いた金型のどの部分に問題があるか把握できるため、金型の補修により不具合対策を的確に講じることができる。
【0019】
端子部2は、連鎖端子1の製造において、一回のプレス加工Pにより同時に二つずつ打ち抜かれて形成され、連結方向Yに沿って順次形成される。すなわち、第一凹部23及び第二凹部24が形成される隣り合う二つの端子部2が一回のプレス加工Pにより同時に打ち抜かれて形成される。連鎖端子1は、いわゆる二個取りのプレス加工Pを行うことにより、一個取りのプレス加工を行う場合と比べて、生産性を向上させることができる。
【0020】
二個取りのプレス加工Pを行う場合、例えば、第一凹部23を形成する端子部2と第二凹部24を形成する端子部2は、異なる金型部分で形成される。第一凹部23を形成する端子部2と第二凹部24を形成する端子部2は、同じ設計形状として形成されるが、異なる金型部分で形成されることから、異なる形状又は向きなどに形成される場合がある。このとき、第一凹部23及び第二凹部24を形成した端子部2のいずれか一方が設計形状に対し異なる形状で形成された場合、端子部2に異なる凹部である第一凹部23及び第二凹部24を形成しておくことにより、プレス加工に用いた金型のどの部分に問題があるか把握できる。このため、プレス加工装置の補修などにより不具合対策を容易かつ的確に講じることができる。従って、連鎖端子1は、二つの端子部2を一回のプレス加工により同時に形成して連鎖端子1の品質を確保しつつ生産性を向上させることができる。
【0021】
また、端子部2に第一凹部23及び第二凹部24を形成することにより、プレス加工を行う際に端子部2のアライメント調整を行うことが可能となる。言い換えれば、第一凹部23及び第二凹部24は、端子部2のアライメント調整を行うように形成することができる。例えば、端子部2が延在方向Xに対し傾いて形成される場合、傾く方向と反対側の側面に第一凹部23及び第二凹部24を形成することにより、端子部2の傾きを抑制することができる。
【0022】
例えば、
図3に示すように、仮に、第一凹部23及び第二凹部24を形成していない連鎖端子100について一回のプレス加工により二個取りで同時に端子部102を形成する場合を考える。この場合、同時にプレス加工Pで形成した端子部102が互いに近づくように斜めに形成される場合がある。つまり、端子部102は、延在方向Xに対し傾いて形成され、互いに近づくように形成される場合がある。この場合、端子部102が延在方向Xに沿って延びるようにアライメント調整が必要となる。
【0023】
そこで、
図1に示すように、本実施形態に係る連鎖端子1は、同時にプレス加工で打ち抜かれる二つの端子部2に対し第一凹部23及び第二凹部24を形成している。すなわち、第一凹部23及び第二凹部24は、同時にプレス加工Pで形成される端子部2において互いに対向する内側面25の反対側の外側面26を窪ませて形成されている。このように端子部2が傾く側と反対側に第一凹部23及び第二凹部24を形成することにより、二つの端子部2は、傾いて形成されることが抑制され、適正に形成される。すなわち、二つの端子部2のそれぞれ外側面26に第一凹部23及び第二凹部24を形成するようにプレス加工Pが行われることにより、二つの端子部2が互い離間するようにアライメントが調整され、適正に形成される。
【0024】
図4に示すように、本実施形態に係るコネクタ4は、複数の端子5及びハウジング6を備えて構成されている。コネクタ4は、例えば、プリント基板に取り付けられて用いられるコネクタであり、複数の端子5がプリント基板に接続される。ハウジング6には、複数の端子5が取り付けられて保持されている。端子5は、例えば、ハウジング6に形成される設置孔61に対し圧入して取り付けられる。
【0025】
端子5は、連鎖端子1の複数の端子部2を別々に切り離したものである。例えば、プレス加工して形成される連鎖端子1は、メッキ処理された後、端子部2ごとに切断されて折り曲げられて、複数の端子5となる。つまり、端子部2は、端子5となってコネクタ4の一部品として用いられる。
【0026】
図5に示すように、複数の端子5は、第一凹部23が形成される端子5と第二凹部24が形成される端子5を含んでいる。すなわち、複数の端子5は、両側の側面51、51の一方のみに第一凹部23が形成されている端子5と両側の側面51、51の一方のみに第二凹部24が形成されている端子5を含んでいる。この第一凹部23又は第二凹部24は、端子5の一方の側面にのみ形成される点で、両側の側面の双方に対称的に形成される凹部又は凸部と異なっている。
【0027】
コネクタ4は、ハウジング6に対し複数の端子5が取り付けられて構成されている。端子5の端部28は、所定の間隔を隔てて並設されている。この状態において、端子5が斜めに形成されていると、相手方コネクタ又はプリント基板に対し適切に接続することができない。このため、端子5が延在方向Xに対し斜めに形成されている場合には、不具合対策を講じる必要がある。この場合、端子5には、第一凹部23又は第二凹部24が形成されている。このため、第一凹部23を形成した端子5が同じ方向に曲がる不具合傾向がある場合には、第一凹部23を形成した端子部2をプレス加工した金型部分を補修すればよい。一方、第二凹部24を形成した端子5が同じ方向に曲がる不具合傾向がある場合には、第二凹部24を形成した端子部2をプレス加工した金型部分を補修すればよい。このような不具合対策を講じることにより、コネクタ4は、生産性を向上させつつ適切に製造される。
【0028】
次に、本実施形態に係る連鎖端子の製造方法について説明する。
【0029】
図6は、本実施形態に係る連鎖端子の製造方法を示すフローチャートである。この
図6のフローチャートは、例えば、製造装置により実行されてもよいし、作業員による手動で実行されてもよい。
【0030】
まず、
図6のステップS10(以下、単に「S10」という。以降のステップについても同様とする。)において、プレス工程が行われる。プレス工程は、平板状の金属板から端子部2をプレス加工により打ち抜く工程である。例えば、
図7に示すように、プレス工程において、金属板80がプレス装置90へ断続的に送られ、金型91により金属板80が打ち抜かれて端子部2を含む連鎖端子1が形成され、プレス装置90から送り出されていく。
【0031】
金型91は、一回のプレス加工で二つの端子部2を同時にプレス加工する二個取りの金型であり、第一凹部23を有する端子部2を形成する金型部分と第二凹部24を有する端子部2を形成する金型部分を備えている。
図7のプレス工程では、隣り合う二つの端子部2の互いに対向する内側面25の反対側の外側面26を窪ませて第一凹部23及び第二凹部24を形成する場合について示している。すなわち、
図7は、一回のプレス加工で二つの端子部2において、それぞれの外側面26に第一凹部23及び第二凹部24を形成する場合について示している。
【0032】
このように一回のプレス加工で二つの端子部2を同時にプレス加工する場合、二つの端子部2の外側面26に第一凹部23又は第二凹部24を形成することにより、端子部2が延在方向Xに対し傾いて形成されることを抑制することができる。また、一回のプレス加工で二つの端子部2を同時にプレス加工する場合、二つの端子部2の側面に第一凹部23又は第二凹部24を形成することにより、第一凹部23及び第二凹部24を形成した端子部2及び端子5がどの金型部分で形成されたものであるかを容易に把握することができる。このため、端子部2又は端子5に不具合があった場合に金型91の補修が迅速かつ適切に行える。
【0033】
そして、
図6のS12に工程が移行し、メッキ工程が行われる。メッキ工程は、プレス工程にて形成された連鎖端子1に対しメッキ処理を施す工程である。例えば、連鎖端子1の表面に対し、錫、ニッケル、金などのメッキ材料を用いて表面処理する工程である。このメッキ工程は、例えば、公知のメッキ処理の手法を用いて行うことができる。
【0034】
S12のメッキ工程を終えたら、
図6の一連の製造方法を終了する。なお、製造された連鎖端子1は、端子部2と端子部2の間の連結部3を切断し、連結された端子部2を別々の端子部2とし、折り曲げることによって端子5とされる。そして、端子5は、コネクタ4の構成部品として用いられる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係る連鎖端子1の製造方法は、複数連結される端子部2のうち隣り合う二つの端子部2を同時にプレス加工して打ち抜くことにより、連鎖端子1の生産性を向上させることができる。また、本実施形態に係る連鎖端子1の製造方法は、隣り合う二つの端子部2に対し異なる第一凹部23及び第二凹部24を形成することにより、プレス加工で用いた金型の補修により端子部2のアライメント調整を容易に行うことができる。
【0036】
また、本実施形態に係る連鎖端子1の製造方法は、プレス工程にて隣り合う二つの端子部2の外側面26に第一凹部23及び第二凹部24を形成することにより、端子部2のアライメントを調整することができ、端子部2を適正に形成することができる。
【0037】
本実施形態に係る連鎖端子1は、隣り合う二つの端子部2に異なる第一凹部23及び第二凹部24を形成することにより、二つの端子部2が一回のプレス加工により同時に形成される場合であっても、第一凹部23を形成した端子部2と第二凹部24を形成した端子部2を識別することができる。このため、第一凹部23及び第二凹部24に基づいて端子部2が金型のどの部分でプレス加工されたかを特定することができ、金型の補修により端子部2のアライメント調整を容易に行うことができる。従って、本実施形態に係る連鎖端子1は、生産性を向上させつつ、端子部2のアライメントを容易に調整することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る連鎖端子1は、複数の端子部2において連結方向Yに沿って形状の異なる第一凹部23と第二凹部24を交互に形成することにより、第一凹部23を形成した端子部2と第二凹部24を形成した端子部2を容易に識別することができる。
【0039】
また、本実施形態に係る連鎖端子1は、第一凹部23及び第二凹部24が端子部2のアライメントを調整するように形成されることにより、端子部2を延在方向Xに沿って適正に形成することができる。
【0040】
本実施形態に係るコネクタ4は、第一凹部23を形成した端子5と第二凹部24を形成した端子5を用いることにより、二つの端子5が一回のプレス加工により同時に形成される場合であっても、第一凹部23を形成した端子5と第二凹部24を形成した端子5を識別することができる。このため、第一凹部23及び第二凹部24に基づいて端子5が金型のどの部分でプレス加工されたかを特定することができ、金型の補修により端子5のアライメント調整を容易に行うことができる。従って、本実施形態に係るコネクタ4は、生産性の向上が図れ、端子5のアライメントを容易に調整することができる。
【0041】
なお、本発明に係る連鎖端子の製造方法、連鎖端子及びコネクタは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係る連鎖端子の製造方法、連鎖端子及びコネクタは、以上で説明した各実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1:連鎖端子
2:端子部
3:連結部
4:コネクタ
5:端子
23:第一凹部(凹部)
24:第二凹部(凹部)
25:内側面
26:外側面
51:側面
X:延在方向
Y:連結方向(連結する方向)