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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162322
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】回転操作装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 1/10 20060101AFI20241114BHJP
   H01H 19/02 20060101ALI20241114BHJP
   G05G 5/03 20080401ALI20241114BHJP
   G05G 25/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G05G1/10 B
H01H19/02 H
G05G5/03 B
G05G25/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077710
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】西條 勝也
(72)【発明者】
【氏名】山崎 恵奨
【テーマコード(参考)】
3J070
5G219
【Fターム(参考)】
3J070AA14
3J070BA12
3J070BA51
3J070BA65
3J070CB01
3J070CC71
3J070CD33
3J070CD36
3J070DA01
5G219GS21
5G219HU01
5G219MS15
(57)【要約】
【課題】回転部材の摺動摩擦を低減しつつ適度な操作感を得られ、耐久性に優れた回転操作装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る回転操作装置は、回転摺動面を有するケースと、回転摺動面に対向する対向部を周縁部に有し、操作部材の回転に伴いケースと回転摺動する回転部材と、回転部材の回転を検出する回転検出部と、を備え、回転部材は、操作部材の回転操作時にクリック感を生成するための凸部を周縁部の対向部とは反対側に有し、回転部材の対向部は、回転摺動面と当接する当接部と、当接部と回転摺動における回転方向に並ぶ位置に配置された凹部とを、有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転摺動面を有するケースと、
前記回転摺動面に対向する対向部を周縁部に有し、操作部材の回転に伴い前記ケースと回転摺動する回転部材と、
前記回転部材の回転を検出する回転検出部と、
を備え、
前記回転部材は、前記操作部材の回転操作時にクリック感を生成するための凸部を前記周縁部の前記対向部とは反対側に有し、
前記回転部材の前記対向部は、
前記回転摺動面と当接する当接部と、
前記当接部と前記回転摺動面における回転方向に並ぶ位置に配置された凹部とを、有する
ことを特徴とする回転操作装置。
【請求項2】
前記回転部材の回転軸に沿った第1方向に見て、前記凸部と前記凹部とが互いに重なる位置に設けられた、請求項1に記載の回転操作装置。
【請求項3】
前記凸部は前記回転方向に複数配置され、前記凹部は前記凸部に対応して間欠的に配置される、請求項2に記載の回転操作装置。
【請求項4】
複数の前記凹部が前記回転方向に等間隔で設けられる、請求項3に記載の回転操作装置。
【請求項5】
前記第1方向に見て、全ての前記凸部のそれぞれと、全ての前記凹部のそれぞれとが互いに重なる位置に設けられた、請求項3に記載の回転操作装置。
【請求項6】
前記第1方向に見て、前記凸部の中央と、前記凹部の中央と、が互いに重なる位置に設けられた、請求項2に記載の回転操作装置。
【請求項7】
前記第1方向に見て、前記凸部の前記回転方向における両端位置と、前記凹部の前記回転方向における両端位置と、が互いに重なる位置に設けられた、請求項2に記載の回転操作装置。
【請求項8】
前記凹部に潤滑剤が充填される、請求項1に記載の回転操作装置。
【請求項9】
前記凹部の前記回転方向における両縁部には曲面部が設けられた、請求項1に記載の回転操作装置。
【請求項10】
前記凹部の前記回転部材の回転軸と直交する方向における外側に壁部が設けられた、請求項1に記載の回転操作装置。
【請求項11】
前記凹部の前記回転部材の回転軸と直交する方向における外側は外周縁まで延在して設けられた、請求項1に記載の回転操作装置。
【請求項12】
前記回転部材は円環状に設けられた、請求項1に記載の回転操作装置。
【請求項13】
前記対向部の前記回転摺動面とは反対側に設けられ、前記対向部を前記回転摺動面に押圧する付勢部材をさらに備え、
前記付勢部材は、前記回転部材が前記回転方向に回転した際、前記凸部を乗り越える突起部を有する、請求項1に記載の回転操作装置。
【請求項14】
前記付勢部材は円環状に設けられた板バネである、請求項13に記載の回転操作装置。
【請求項15】
前記ケースは円環状に設けられ、前記ケースの外周壁の一部に切り欠き部が設けられた、請求項1に記載の回転操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シール部材を設けることなく、内部のセンサが被水しないようにすることができる回転操作装置が開示される。この回転操作装置は、上部が開口した環状の空洞部を有するケースと、ケースに対して空洞部を閉塞するように回転可能に設けられた環状の回転軸部材と、空洞部を覆う下部が開口した環状を有し、回転軸部材と係合して設けられ、回転軸部材とともに回転する操作部材と、空洞部内に設けられ、回転軸部材の回転を検出するセンサとを備える。この回転操作装置において、ケースは環状の内周壁部を有し、操作部材は環状の内筒部を有し、回転軸部材は内周壁部の外周面に沿って配置される環状の周壁部が垂下して設けられており、ケースの内周壁部と回転軸部材の周壁部との間の第1の隙間部は、回転軸部材の内周面と操作部材の内筒部との間の第2の隙間部よりも狭い構成となっている。
【0003】
特許文献2には、ハウジングを薄肉化しても反り等の変形が発生しないと共に、クリック機構の磨耗を軽減して長寿命を図ることができるロータリースイッチが開示される。このロータリースイッチは、回転可能な回転体と、この回転体の一部を回転可能に収納する空洞部を有するハウジングと、空洞部内に配設した固定接点と、回転体に取付けられて固定接点に接離可能な可動接点と、ハウジングの空洞部上を遮蔽すると共に回転体を回転操作可能に保持する保持部材とを備える。
【0004】
特許文献3には、操作感が長期間にわたって維持される回転型電気部品が開示される。この回転型電機部品は、回転操作される操作部と、収容部を有し、収容部の周壁面に凹凸部が形成されたハウジング部と、収容部に収容されると共に操作部に接続され、操作部の回転に応じて周壁面に沿って回転するように配置された回転体と、周壁面に向かって付勢する付勢部と、付勢部に付勢されて周壁面に当接するように回転体に配置され、回転体の回転に従って周壁面に沿って移動しつつ回転し、潤滑剤を保持するための凹部が周壁面に対向する対向面に形成された回転駒とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2021/193307号
【特許文献2】特開2007-149428号公報
【特許文献3】国際公開第2022/030078号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
回転操作装置においては、回転部材を回転させる際の摺動面での抵抗(摺動摩擦)を低減することが望まれる。一方、摺動摩擦は低減しても適度な操作感は得たい。また、回転部材を回転させる際、摺動面で摩擦が生じるため、耐久性に優れたものが望まれる。
【0007】
本発明は、回転部材の摺動摩擦を低減しつつ適度な操作感を得られ、耐久性に優れた回転操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る回転操作装置は、回転摺動面を有するケースと、回転摺動面に対向する対向部を周縁部に有し、操作部材の回転に伴いケースと回転摺動する回転部材と、回転部材の回転を検出する回転検出部と、を備え、回転部材は、操作部材の回転操作時にクリック感を生成するための凸部を周縁部の対向部とは反対側に有し、回転部材の対向部は、回転摺動面と当接する当接部と、当接部と回転摺動面における回転方向に並ぶ位置に配置された凹部とを、有することを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、回転部材における回転摺動面に対向する対向部の当接面に凹部が設けられることで、回転部材と回転摺動面との接触面積が低減する。これにより、回転部材と回転摺動面との摺動摩擦が低減する。
【0010】
上記回転操作装置において、回転部材の回転軸に沿った第1方向に見て、凸部と凹部とが互いに重なる位置に設けられていてもよい。これにより、摺動摩擦を低減させる凹部の背面がクリック感を得る凸部として利用される。また、周縁部の厚さの均一化が向上する。
【0011】
上記回転操作装置において、凸部は回転方向に複数配置され、凹部は凸部に対応して間欠的に配置されていてもよい。これにより、回転部材と回転摺動面との接触面積が調整される。
【0012】
上記回転操作装置において、複数の凹部が回転方向に等間隔で設けられていてもよい。これにより、回転部材と回転摺動面との摺動摩擦が安定的に調整される。
【0013】
上記回転操作装置において、第1方向に見て、全ての凸部のそれぞれと、全ての凹部のそれぞれとが互いに重なる位置に設けられていてもよい。これにより、回転部材の周縁部の厚さの均一化が向上する。
【0014】
上記回転操作装置において、第1方向に見て、凸部の中央と、凹部の中央と、が互いに重なる位置に設けられていてもよい。これにより、回転部材の周縁部の厚さの均一化が向上する。
【0015】
上記回転操作装置において、第1方向に見て、凸部の回転方向における両端位置と、凹部の回転方向における両端位置と、が互いに重なる位置に設けられていてもよい。これにより、回転部材の周縁部の厚さの均一化が向上する。
【0016】
上記回転操作装置において、凹部に潤滑剤が充填されていてもよい。これにより、回転部材の回転摺動面との接触面積を低減させる凹部が潤滑剤を溜めておく領域として利用される。
【0017】
上記回転操作装置において、凹部の回転方向における両縁部には曲面部が設けられていてもよい。これにより、凹部の縁部と回転摺動面との摩擦抵抗が低減する。
【0018】
上記回転操作装置において、凹部の回転部材の回転軸と直交する方向における外側に壁部が設けられていてもよい。これにより、凹部の開口が回転摺動面によって閉じられ、ポケット状となって潤滑剤を溜めやすくなる。
【0019】
上記回転操作装置において、凹部の回転部材の回転軸と直交する方向における外側は外周縁まで延在して設けられていてもよい。これにより、回転部材の周縁部の厚さの均一性が向上し、機械強度の均一性や成形性が向上する。
【0020】
上記回転操作装置において、回転部材は円環状に設けられていてもよい。これにより、円環状に設けられた回転部材の中央開口での透光性が得られる。
【0021】
上記回転操作装置において、対向部の回転摺動面とは反対側に設けられ、対向部を回転摺動面に押圧する付勢部材をさらに備え、付勢部材は、回転部材が回転方向に回転した際、凸部を乗り越える突起部を有していてもよい。これにより、付勢部材による押圧力によって回転部材の回転摺動における抵抗感と、突起部が凸部を乗り越える際のクリック感とが設定される。
【0022】
上記回転操作装置において、付勢部材は円環状に設けられた板バネであってもよい。これにより、部品点数が削減されるとともに、製品を小型化しやすくなる。
【0023】
上記回転操作装置において、ケースは円環状に設けられ、ケースの外周壁の一部に切り欠き部が設けられていてもよい。これにより、回転検出部は、回転部材における切り欠き部を通過する部分を検出するため、回転検出部の配置の自由度が高まる。また回転部材と回転摺動面との間の異物を切り欠き部から排出しやすくなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、回転部材の摺動摩擦を低減しつつ適度な操作感を得られ、耐久性に優れた回転操作装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係る回転操作装置を例示する分解斜視図である。
図2】本実施形態に係る回転操作装置を例示する分解斜視図である。
図3】本実施形態に係る回転操作装置を例示する分解斜視図である。
図4】回転部材を例示する斜視図である。
図5】回転部材の対向部側の平面図である。
図6】凹部を例示する拡大斜視図である。
図7】凹部と凸部との位置関係を例示する部分拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0027】
(回転操作装置の概要)
図1から図3は、本実施形態に係る回転操作装置を例示する分解斜視図である。なお、本実施形態では、操作部材100の回転軸Oに沿った方向(第1方向)をZ1-Z2方向、Z1-Z2方向と直交する方向の一つをX1-X2方向、Z1-Z2方向およびX1-X2方向と直交する方向のY1-Y2方向ということにする。
図1では、本実施形態に係る回転操作装置1と操作部材100とを分離した状態が示される。
図2では、本実施形態に係る回転操作装置1の各構成を分離してZ1側からZ2向きにみた状態が示される。
図3では、本実施形態に係る回転操作装置1の各構成を分離してZ2側からZ1向きにみた状態が示される。
【0028】
本実施形態に係る回転操作装置1は、例えば自動車等の車両に搭載され、車両が備える車載装置(例えば、エアコン装置)の操作用に用いられる。回転操作装置1は、例えば比較的薄型の円筒形状を有する。回転操作装置1は、車両の室内において、操作者による操作可能な位置(例えば、センターコンソール)に設置される。なお、回転操作装置1の適用例はこれに限定されない。
【0029】
本実施形態に係る回転操作装置1は、ケース10、回転部材20、回転検出部30を備える。ケース10は、円環状に設けられる底面部分11と、底面部分11の中央孔の縁に立設される内周壁12と、底面部分11の外周に立設される外周壁13と、を有することによりZ1側に開口した環状の空洞部10aを有する。ケース10は、その底面部分11において、所定の設置面に固定される部材であり、空洞部10aに回転部材20および回転検出部30などを収容する。
【0030】
ケース10には回転摺動面15が設けられる。回転摺動面15は、例えば外周壁13の内側の所定高さに設けられた段部として設けられる。回転摺動面15はXY面に平行な面である。なお、回転摺動面15は、ケース10における外周壁13以外の部分に設けられていてもよい。
【0031】
回転部材20は、操作部材100の回転に伴いケース10と回転摺動する。操作部材100はノブである。操作部材100は、ケース10の内側、Z1側、およびZ2側を覆う、Z2側が開口した環状を有する。操作部材100は、操作者によって回転操作されることにより、回転部材20とともに回転する。操作部材100は、回転軸Oを中心として時計回り方向(図中矢印A方向)および反時計回り方向(図中矢印B方向)の双方に回転操作可能である。
【0032】
回転部材20は例えば円環状に設けられ、ケース10の回転摺動面15の上に配置される。回転部材20は回転摺動面15に対向する対向部25を周縁部21に有する。周縁部21における対向部25は周縁部21のZ2側の部分であり、周縁部21における対向部25とは反対側の部分(周縁部21のZ1側の部分)は外周部26である。回転部材20がケース10の回転摺動面15の上に配置された状態で、対向部25における回転摺動面15と当接する部分は当接部25aとなる。
【0033】
回転検出部30は回転部材20の回転を検出する。回転検出部30は、例えば、フォトインタラプタ31と複数の壁部32とを有する。フォトインタラプタ31はケース10の底面部分11に載置される円環状の基板35の上に実装される。複数の壁部32は回転部材20の対向部25に設けられる。複数の壁部32は回転方向に一定の間隔で設けられる。回転部材20が回転することで複数の壁部32がフォトインタラプタ31を順に通過して光の遮断/通過を繰り返す。この光の遮断/通過に応じた電気信号をフォトインタラプタ31から出力することで、回転部材20の回転を検出する。
【0034】
回転操作装置1は、ケース10から下方に引き出されたFPC(Flexible Printed Circuits)37を備える。フォトインタラプタ31で検出した信号を操作部材100の回転操作に応じた操作信号としてFPC37から外部へ出力することができる。ケース10の外周壁13の一部に切り欠き部13aを設けてもよい。この切り欠き部13aからFPC37をケース10の外部へ引き出しやすくなる。また、回転部材20と回転摺動面15との間に挟まった異物や、ケース10内に混入した異物を切り欠き部13aから外部へ排出しやすくなる。さらに、切り欠き部13aが設けられていることにより、回転部材20に設けられた複数の壁部32を、ケース10の外側から観察することができる。したがって、上記の例では、ケース10の内部にフォトインタラプタ31が設けられているが、ケース10の外側に複数の壁部32を測定対象とする回転センサ(例えば、反射型のフォトセンサが例示される。)が設けられていてもよい。このように、切り欠き部13aを有することにより、回転検出部30のような回転検知機構の配置自由度を高めることができる。
【0035】
回転部材20の外周部26のZ1側には付勢部材としての板バネ40が配置され、板バネ40のZ1側には蓋50が取り付けられる。板バネ40は例えば円環状に設けられ外周部26に重ねられる。板バネ40が円環状に設けられることで、部品点数が削減されるとともに、製品を小型化しやすくなる。
【0036】
この板バネ40のZ1側に蓋50が重ねられ、ケース10に固定される。すなわち、ケース10のZ1側に回転部材20、板バネ40および蓋50が順に重ねられ、蓋50の爪51をケース10の外周壁13に嵌め込むことで、ケース10内に回転部材20、板バネ40および蓋50が組み付けられる。
【0037】
板バネ40はXY平面に対してZ1-Z2方向に湾曲しており、この湾曲によって蓋50を取り付けた際に回転部材20をZ2側へ押圧する付勢力が付与される。
【0038】
板バネ40には突起部41が設けられる。突起部41は回転部材20の外周部26に当接する。回転部材20の外周部26には、操作部材100の回転操作時にクリック感を生成するための凸部26aが設けられる。凸部26aは外周部26の周方向に所定の間隔で複数設けられる。これにより、回転部材20が回転方向に回転した際、板バネ40の突起部41が凸部26aを乗り越えることでクリック感が生じるようになる。
【0039】
回転操作装置1において、ケース10、回転部材20、板バネ40、蓋50および操作部材100のそれぞれが円環状に設けられることで、中央部分の孔を光が透過できるようになる。例えば、ディスプレイの上に回転操作装置1を載置することで、ディスプレイの表示を回転操作装置1の中央部分の孔を通して参照できるようになる。
【0040】
(回転部材の対向部の構成)
図4は、回転部材を例示する斜視図である。
図4では、回転部材をZ2側からZ1方向にみた斜視図が示される。
図5は、回転部材の対向部側の平面図である。
回転部材20の対向部25には、回転摺動面15と当接する当接部25aが設けられる。すなわち、当接部25aは回転摺動面15と対向して当接する円周に沿った面の領域である。本実施形態では、当接部25aは、対向部25の最外周から所定の幅(回転軸Oと直交する方向の幅(以下、「径方向の幅」とも言う。))を持った円環状の領域である。
【0041】
本実施形態に係る回転操作装置1において、当接部25aには回転摺動における回転方向に並ぶ位置に凹部27が配置される。凹部27は、回転方向に少なくとも1つ設けられる。すなわち、凹部27は、回転方向に所定の間隔で複数個設けられていてもよい。複数の凹部27が設けられる場合の間隔は等間隔でもよいし、非等間隔でもよい。複数の凹部27は間欠的に配置されていてもよいし、連続的に配置されていてもよい。対向部25に凹部27が設けられることで、凹部27が設けられていない場合に比べて回転部材20と回転摺動面15との接触面積が低減し、これにより、回転部材20と回転摺動面15との摺動摩擦が低減することになる。
【0042】
ここで、回転操作装置1を小型化する観点から、回転摺動面15の径方向の幅を狭くすると、回転摺動面15に当接する当接部25aの径方向の幅も狭くなる。摺動摩擦の低減を図るためには回転摺動面15と当接部25aとの当接面積を小さくすることが考えられるが、回転摺動面15および当接部25aの径方向の幅を狭くするには限界がある。このため、本実施形態のように対向部25に凹部27を設けることで、回転摺動面15および当接部25aの径方向の幅を維持しつつ両者の接触面積を小さくして摺動摩擦の低減を図ることができる。また、凹部27によって摺動摩擦を設定できるため、構成部材の設定の際に摩擦係数の調整のための制限が緩和され、設計自由度が高くなる。
【0043】
図6は、凹部を例示する拡大斜視図である。
図6には、凹部をZ2側からみた部分拡大斜視図が示される。
凹部27の回転部材20の回転軸Oと直交する方向(XY方向)における外側は回転部材20の外周縁まで延在して設けられていてもよい。この場合、凹部27の外周縁側には壁が設けられず外周縁に向けて開口するように構成される。周縁部21の対向部25とは反対側の外周部26には凸部26aが設けられていることから、凹部27の外周縁側に壁が設けられていないことで、回転部材20の周縁部21の厚さの均一性が向上し、機械強度の均一性や成形性が向上する。
【0044】
凹部27は潤滑剤を充填する領域として利用してもよい。回転部材20の回転によって当接部25aはケース10の回転摺動面15と摺動接触することになるため、当接部25aと回転摺動面15との間に潤滑剤を塗布しておくことが好ましい。この潤滑剤を凹部27に充填しておくことで、潤滑剤を溜めておくことができ、潤滑剤による摺動抵抗の低減効果を維持しやすくなる。
【0045】
このように、潤滑剤を用いて摺動抵抗の調整を行う場合には、回転部材20の材料選択の自由度が高くなる。回転部材20に用いられる材料が樹脂系の材料である場合には成形加工により高い寸歩精度を実現できること、ケース10と板バネ40との間に挟まれた状態で繰り返し回転動作を受けても破損しにくい優れた機械特性を有すること、および環境の変化、特に湿度の変化に基づく寸法変化が少ないことなど、多くの要求に応える必要がある。上記のように潤滑剤を用いて回転部材20とケース10と摺動抵抗の調整を行う場合には、摺動する2部材の直接的な接触がほぼ回避されるため、材料選定の際に、回転部材20について、ケース10との摺動に基づく材料劣化への対応を重視する必要がなくなる。このため、回転部材20の材料選択の自由度が高くなる。回転部材20の限定されない材料の具体例として、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、液晶ポリマーなどが挙げられる。操作部材100が車両の内装部品として用いられる場合には、荷重たわみ温度など高温での機械特性に優れる材料を用いることが好ましいときがある。ポリアミドを用いる場合には、吸水率が低いグレードを用いることが好ましいときがある。
【0046】
なお、凹部27の回転部材20の回転軸Oと直交する方向(XY方向)における外側に壁部(図示せず)が設けられていてもよい。これにより、凹部27のZ2側の開口が回転摺動面15によって閉じられ、ポケット状となって潤滑剤を溜めやすくなる。
【0047】
また、凹部27の回転方向における両縁部には曲面部27aが設けられていてもよい。これにより、凹部27の回転方向の縁部と回転摺動面15との摩擦抵抗が低減する。すなわち、凹部27の回転方向の縁部が尖っていると、当接部25aと回転摺動面15との摺動接触の際、凹部27の尖った縁部の当たり方によっては局所的に接触抵抗の増加を招く恐れがある。凹部27の両縁部に曲面部27aが設けられていると、この局所的な接触抵抗の増加を効果的に防止することができる。
【0048】
図7は、凹部と凸部との位置関係を例示する部分拡大側面図である。
本実施形態に係る回転操作装置1において、Z1-Z2方向に見て、凸部26aと凹部27とが互いに重なる位置に設けられていてもよい。回転部材20の外周部26にはクリック感を得るための凸部26aが回転方向に複数設けられる。すなわち、外周部26はZ1-Z2方向Z1側に凸形状が繰り返される。対向部25に設けられる凹部27は、この凸部26aの位置に合わせて(Z1-Z2方向にみて凸部26aと重なる位置に)設けられる。
【0049】
これにより、摺動摩擦を低減させる凹部27の背面がクリック感を得る凸部26aとして利用され、製品の小型化を図ることができる。また、対向部25に凹部27が設けられていても、周縁部21の厚さの均一化が向上することから、周縁部21の強度が均一化し、品質向上を図ることができるとともに、周縁部21の成形性を向上させることができる。
【0050】
また、この場合、Z1-Z2方向に見て、全ての凸部26aのそれぞれと、全ての凹部27のそれぞれとが互いに重なる位置に設けられていてもよい。例えば、回転部材20の回転方向に複数の凸部26aが1周分連続して設けられている場合、Z1-Z2方向に見て、全ての凸部26aと重なる位置に凹部27を設けるようにする。これにより、外周部26に複数の凸部26a、対向部25に複数の凹部27が設けられていても、周縁部21の厚さの均一化が向上する。
【0051】
さらに、Z1-Z2方向に見て、凸部26aの中央と、凹部27の中央と、が互いに重なる位置に設けられていてもよいし、凸部26aの回転方向における両端位置と、凹部27の回転方向における両端位置と、が互いに重なる位置に設けられていてもよい。これにより、回転部材20の周縁部21の厚さの均一化がより向上する。
【0052】
回転部材20の周縁部21は円環状に外方に張り出したフランジ型になっているため、周縁部21の厚さの均一性、不均一性は、回転部材20を樹脂材料等の射出成形によって製造する場合に機械強度の均一性や成形性に影響を及ぼす要因となる。したがって、上記のように凸部26aに対応して凹部27を形成することで回転部材20の周縁部21の厚さの均一化を向上させることにより、回転部材20の機械強度および成形性を高めやすくなる。
【0053】
このように、本実施形態によれば、回転部材20の摺動摩擦を低減しつつ適度な操作感を得られ、耐久性に優れた回転操作装置1を提供することが可能となる。
【0054】
なお、上記に本実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、回転部材20として円環状に構成されたものを説明したが、円環状に限定されず、例えばCリング形状などであってもよい。また、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の構成例の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【符号の説明】
【0055】
1…回転操作装置
10…ケース
10a…空洞部
11…底面部分
12…内周壁
13…外周壁
13a…切り欠き部
15…回転摺動面
20…回転部材
21…周縁部
25…対向部
25a…当接部
26…外周部
26a…凸部
27…凹部
27a…曲面部
30…回転検出部
31…フォトインタラプタ
32…壁部
35…基板
37…FPC
40…板バネ
41…突起部
50…蓋
51…爪
100…操作部材
O…回転軸
図1
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図7