(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162337
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】灯器、灯火システム及び航空標識灯
(51)【国際特許分類】
H05B 47/19 20200101AFI20241114BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241114BHJP
F21S 9/02 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H05B47/19
F21S2/00 664
F21S9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077736
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 康史
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA06
3K273QA34
3K273RA04
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA08
3K273TA15
3K273TA28
3K273TA41
3K273TA55
3K273TA62
3K273UA02
3K273UA22
3K273UA29
3K273VA01
3K273VA03
3K273VA05
3K273VA06
3K273VA08
(57)【要約】
【課題】電力線を通しての電力の供給が遮断された状態でも、光源部の動作を制御可能な灯器を提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、灯器は、筐体、窓部、光源部、通信部及び制御部を備え、光源部、通信部及び制御部は、筐体の内部空洞に配置される。窓部では、筐体の内部空洞が外部に対して開口し、光及び電磁波が透過可能である。光源部は、窓部を通して光を筐体の外部に照射する。通信部は、光源部の動作に関する指令信号が窓部を通して内部空洞に入射されることにより、入射した指令信号を受信する。制御部は、通信部が受信した指令信号に基づいて、光源部の動作を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空洞が規定される筐体と;
前記筐体の前記内部空洞が外部に対して開口し、光及び電磁波が透過可能な窓部と;
前記筐体の前記内部空洞に配置され、前記窓部を通して光を前記筐体の前記外部に照射する光源部と;
前記筐体の前記内部空洞に配置され、前記光源部の動作に関する指令信号が前記窓部を通して前記内部空洞に入射されることにより、入射した前記指令信号を受信する通信部と;
前記内部空洞に配置され、前記通信部が受信した前記指令信号に基づいて、前記光源部の動作を制御する制御部と;
を具備する、灯器。
【請求項2】
前記窓部として、第1の窓部、及び、前記第1の窓部とは異なる第2の窓部を具備し、
前記光源部は、前記第1の窓部を通して、前記光を前記筐体の前記外部へ照射し、
前記通信部は、前記第2の窓部を通して前記内部空洞に入射した前記指令信号を受信する、
請求項1の灯器。
【請求項3】
前記第2の窓部での前記内部空洞の開口方向は、前記第1の窓部での前記内部空洞の開口方向とは異なる、請求項2の灯器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項の灯器を複数具備し、
複数の前記灯器は、配列方向に沿って配列され、
複数の前記灯器は、前記配列方向の一方側である第1の側へ前記窓部を通して前記光源部からの前記光を照射する第1の灯器、及び、前記配列方向について前記第1の側とは反対側である第2の側へ前記窓部を通して前記光源部からの前記光を照射する第2の灯器を備え、
前記第1の灯器及び前記第2の灯器が交互に配置される、
灯火システム。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項の灯器と;
路盤に設置され、前記灯器が取外し可能に取付けられる基台と;
前記灯器の前記光源部を動作させる電力を供給可能なバッテリと;
を具備する、航空標識灯。
【請求項6】
前記バッテリは、前記灯器の前記筐体の前記内部空洞に配置される、請求項5の航空標識灯。
【請求項7】
前記バッテリは、前記灯器の外部において、前記灯器と前記基台との間の空間に配置される、請求項5の航空標識灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、灯器、灯火システム及び航空標識灯に関する。
【背景技術】
【0002】
空港の誘導路及び滑走路等の航空機通路では、航空標識灯が用いられ、複数の航空標識灯が間隔を有して配列されている。航空機通路で用いられる航空標識灯は、灯器及び土台を備える。航空機通路では、路盤の内部に埋込まれる状態で路盤に土台が設置され、土台に灯器が取付けられる。そして、灯器の内部空洞に配置される光源部で発光した光が、灯器の窓部を通して、灯器の外部に照射される。これにより、航空機通路において航空機に対して、灯器の光源部からの光が照射される。航空機通路では、電力線が路盤に埋込まれ、航空標識灯で、電力線を通して供給された電力によって、灯器の光源部が発光動作を行う。そして、電力線を通しての光源部への電力の供給が制御されることにより、光源部の動作が制御され、窓部を通しての光源部からの光の照射が制御される。
【0003】
誘導路等の航空機通路では、複数の路盤の間でのずれ等に起因して電力線が断線し、電力線を通しての電力の供給が遮断されることがある。空港では、電力線を通しての電力の供給が遮断される事象が発生しても、空港運用への発生した事象の影響を低減することが、求められている。このため、電力線を通しての電力の供給が遮断された状態でも、航空標識灯において、灯器の光源部の動作を制御可能にすることが、求められている。すなわち、電力線を通しての電力の供給が遮断された状態でも、航空標識灯において、窓部を通しての光源部からの光の照射を制御可能にすることが、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、電力線を通しての電力の供給が遮断された状態でも、光源部の動作を制御可能な灯器を提供することにある。また、その灯器を備える灯火システム及び航空標識灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、灯器は、筐体、窓部、光源部、通信部及び制御部を備え、筐体では、内部空洞が規定される。窓部では、筐体の内部空洞が外部に対して開口し、光及び電磁波が透過可能である。光源部は、筐体の内部空洞に配置され、窓部を通して光を筐体の外部に照射する。通信部は、筐体の内部空洞に配置され、光源部の動作に関する指令信号が窓部を通して内部空洞に入射されることにより、入射した指令信号を受信する。制御部は、内部空洞に配置され、通信部が受信した指令信号に基づいて、光源部の動作を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電力線を通しての電力の供給が遮断された状態でも、光源部の動作を制御可能な灯器を提供することができる。また、その灯器を備える灯火システム及び航空標識灯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る航空標識灯を概略的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る灯器の構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態において、灯器の光源部の動作を制御する制御系統の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態において、灯器の使用態様の一例を示す概略図である。
【
図5】
図5は、ある変形例に係る航空標識灯を概略的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る灯器の、航空機通路での使用態様の一例を示す概略図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る灯器の、航空機通路での使用態様の
図6とは別の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の灯器(10)は、筐体(13)、窓部(21,22)、光源部(25)、通信部(26)及び制御部(30)を備え、筐体(13)では、内部空洞(15)が規定される。窓部(21,22)では、筐体(13)の内部空洞(15)が外部に対して開口し、光及び電磁波が透過可能である。光源部(25)は、筐体(13)の内部空洞(15)に配置され、窓部(21)を通して光を筐体(13)の外部に照射する。通信部(26)は、筐体(13)の内部空洞(15)に配置され、光源部(25)の動作に関する指令信号が窓部(21;22)を通して内部空洞(15)に入射されることにより、入射した指令信号を受信する。制御部(30)は、内部空洞(15)に配置され、通信部(26)が受信した指令信号に基づいて、光源部(25)の動作を制御する。これにより、電力線(40)を通しての電力の供給が遮断された状態でも、灯器(10)の光源部(25)の動作を制御可能になる。
【0010】
実施形態の灯器(10)は、窓部(21,22)として、第1の窓部(21)、及び、第1の窓部(21)とは異なる第2の窓部(22)を備える。光源部(25)は、第1の窓部(21)を通して、光を筐体(13)の外部へ照射し、通信部(26)は、第2の窓部(22)を通して内部空洞(15)に入射した指令信号を 受信する。光を照射する第1の窓部(21)及び指令信号を入射させる第2の窓部(22)が異なることにより、外部へ照射される光、及び、外部からの指令信号の互いに対する影響が、低減される。
【0011】
実施形態の灯器(10)では、第2の窓部(22)での内部空洞(15)の開口方向は、第1の窓部(21)での内部空洞(15)の開口方向とは異なる。このような構成にすることにより、灯器(10)において、外部へ第1の窓部(21)を通して光を照射する方向が、外部から第2の窓部(22)を通して指令信号が入射される方向とは、異なる。これにより、外部へ照射される光、及び、外部からの指令信号の互いに対する影響が、さらに低減される。
【0012】
実施形態の灯火システム(50)は、灯器(10)を複数備える。複数の灯器(10)は、配列方向に沿って配列される。複数の灯器(10)は、配列方向の一方側である第1の側へ窓部(21)を通して光源部(25)からの光を照射する第1の灯器(10A)、及び、配列方向について第1の側とは反対側である第2の側へ窓部(21)を通して光源部(25)からの光を照射する第2の灯器(10B)を備える。第1の灯器(10A)及び第2の灯器(10B)は、交互に配置される。第1の側に光を照射する第1の灯器(10A)、及び、第2の側に光を照射する第2の灯器(10B)を交互に配置することにより、1つの方向へのみ光を照射する灯器(10)を用いても、航空機通路において空港運用に必要な最低限の光の照射状態を、実現可能となる。
【0013】
実施形態の航空標識灯(1)は、前述の灯器(10)、基台(11)及びバッテリ(35;38)を備える。基台(11)は、路盤(2)に設置され、基台(11)には、灯器(10)が取外し可能に取付けられる。バッテリ(35;38)は、灯器(10)の光源部(25)を動作させる電力を供給可能である。これにより、電力線(40)を通しての電力の供給が遮断されても、バッテリ(35;38)によって、光源部(25)を動作させる電力が適切に確保される。
【0014】
実施形態の航空標識灯(1)では、バッテリ(38)は、灯器(10)の筐体(13)の内部空洞(15)に配置される。このような構成にすることにより、電力線(40)を通しての電力の供給が遮断された場合等において、灯器(10)を外部のバッテリに電気的に接続する作業等を行う必要がなく、灯器(10)を基台(11)に取付けることにより、灯器(10)を使用可能となる。したがって、灯器(10)を設置する作業における手間等が、低減される。
【0015】
実施形態の航空標識灯(1)では、バッテリ(35)は、灯器(10)の外部において、灯器(10)と基台(11)との間の空間(18)に配置される。このような構成にすることにより、バッテリ(35)を設置するスペースを大きく確保することが可能となり、容量の大きいバッテリ(35)を設置可能となる。したがって、電力線(40)を通しての電力の供給が遮断された状態を復旧する作業に長時間を要する場合等でも、容量を大きいバッテリ(35)を用いて光源部(25)に供給する電力を確保する等して、適宜の対応が可能となる。
【0016】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
まず、実施形態の一例として、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る航空標識灯1を示す。
図1では、鉛直方向に対して平行又は略平行な断面が、示される。航空標識灯1は、空港において、誘導路及び滑走路等の航空機通路において、用いられる。ここで、誘導路等の航空機通路では、航空機通路の全体に渡って、路床(図示しない)が形成される。そして、航空機通路では、路床の鉛直上側に、複数の路盤2が配置され、複数の路盤2によって、路面(通路表面)3が形成される。また、航空機通路では、互いに対して隣合って配置される路盤2の間に、路盤2の境界が、形成される。なお、
図1では、路盤2を1つのみ示す。
【0018】
図1に示すように、航空標識灯1は、灯器10及び基台11を備える。航空機通路の路盤2には、路面3から鉛直下側へ凹む凹部5が形成される。航空標識灯1では、基台11は、凹部5に配置され、基台11は、路面3から鉛直上側に突出しない。このため、基台11は、路面3において露出せず、路盤2の内部に埋込まれる状態で、路盤2に設置される。また、航空標識灯1では、路盤2に設置された基台11に、灯器10が鉛直上側から取付けられる。灯器10は、取外し可能に取付けられる。
図1の一例では、路盤2に設置された基台11に、調整リング12が取付けられ、灯器10は、調整リング12を間に介して、基台11に取付けられる。なお、ある一例では、調整リング12が設けられず、灯器10は、基台11に直接的に取付けられてもよい。
【0019】
図2は、灯器10の構成を斜視図で示す。
図1及び
図2に示すように、灯器10では、高さ方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)が規定され、高さ方向に沿う中心軸Cが規定される。灯器10では、高さ方向の一方側が上側(矢印Z1側)となり、高さ方向について上側と反対側が下側(矢印Z2側)となる。中心軸Cは、灯器10の中心を通るように、高さ方向に沿って仮想的に規定される。灯器10の中心は、例えば、灯器10の最もZ1側に位置する面の中心点であったり、灯器10の最もZ2側に位置する面の中心点であったりする。灯器10は、高さ方向の上側が鉛直上側と一致又は略一致する状態で、基台11に取付けられる。また、灯器10では、中心軸Cの軸回り方向が、周方向(矢印Rで示す方向)として規定され、高さ方向及び周方向の両方に対して直交又は略直交する方向が、径方向として規定される。そして、灯器10では、径方向について中心軸Cに近づく側が、内周側となり、径方向について中心軸Cから離れる側が、外周側となる。
【0020】
灯器10は、外装を形成する筐体13を備える。筐体13は、例えば、アルミニウム合金等の金属から形成され、可視光、紫外線及び赤外線等を含むの光、及び、電波等を含む電磁波を、透過させない又はほとんど透過させない。筐体13の内部には、内部空洞15が規定される。筐体13は、上部灯体16及び下部灯体(灯体カバー)17を備える。上部灯体16は、高さ方向の上側から下部灯体17に取付けられ、高さ方向の上側から内部空洞15を覆う。また、下部灯体17は、外周側及び高さ方向の下側から内部空洞15を覆う。したがって、灯器10は、上部灯体16及び下部灯体17に囲まれた空洞として、内部空洞15が規定される。
【0021】
航空標識灯1では、鉛直方向について灯器10の下部灯体17と基台11との間に空間18が形成される状態で、路盤2に設置された基台11に取付けられる。したがって、基台11に灯器10が取付けられた状態では、路盤2の凹部5において、灯器10と基台11との間に、空間18が形成される。また、基台11に灯器10が取付けられた状態では、灯器10の少なくとも一部は、路面3から鉛直上側に突出し、上部灯体16を含む灯器10(筐体13)の上端部は、路面3において露出する。なお、基台11に灯器10が取付けられた状態では、灯器10において上端部以外の部分は、凹部5に挿入され、路盤2の内部に埋込まれる。
【0022】
また、
図1及び
図2の一例では、灯器10において筐体13の上部灯体16に、2つの窓部21,22が形成される。すなわち、筐体13に、窓部(第1の窓部)21、及び、窓部21とは異なる窓部(第2の窓部)22が形成される。窓部21,22のそれぞれでは、内部空洞15が筐体13の外部に対して開口する。そして、窓部21,22のそれぞれでは、径方向の外周側へ向かって、内部空洞15が開口する。ここで、開口とは、窓部21,22を介して、可視光、紫外線及び赤外線等を含むの光、及び、電波等を含む電磁波等が、筐体13の内側へ侵入したり、筐体13の外側へ放射されたりすることが可能であることを指し、必ずしも内部空洞15と筐体13の外部とが窓部21,22を介して連通していなくてもよい。また、基台11に灯器10が取付けられた状態では、窓部21,22は、灯器10において路面3から鉛直上側への突出する部分に位置する。このため、基台11に灯器10が取付けられた状態では、窓部21,22は、路面3において露出する。なお、窓部21、22は、灯器10が基台11に取付けられた状態で、路面3と略平行となるように形成されることで、路面3において露出するように構成されていてもよい。
【0023】
図1及び
図2の一例では、窓部22での内部空洞15の開口方向は、窓部21での内部空洞15の開口方向とは異なる。そして、窓部22での内部空洞15の開口方向は、窓部21での内部空洞15の開口方向とは反対方向となる。したがって、窓部22での内部空洞15の開口方向は、窓部21での内部空洞15の開口方向に対して、灯器10の周方向に180°又は略180°ずれる。
【0024】
なお、灯器10の周方向についての窓部21での開口方向と窓部22での開口方向との間のずれは、180°より小さい角度となってもよく、例えば、90°、120°及び150°等のいずれかの角度になってもよい。この場合、窓部21での内部空洞15の開口方向に対して、窓部22での内部空洞15の開口方向が交差する構成となる。ある一例では、窓部22での内部空洞15の開口方向は、窓部21での内部空洞15の開口方向に対して、灯器10の周方向に10°以上170°以下の範囲のいずれかの角度ずれる。この場合、窓部21での開口方向へ中心軸Cから向かう仮想上のベクトル、及び、窓部22での開口方向へ中心軸Cから向かう仮想上のベクトルによって、V字形状又は略V字形状が形成される。
【0025】
また、別のある一例では、窓部21での内部空洞15の開口方向に対して、窓部22での内部空洞15の開口方向は、同一又は略同一であってもよい。この場合、灯器10の周方向についての窓部21での開口方向と窓部22での開口方向との間のずれは、0°又は略0°となる。また、窓部としては、窓部(第1の窓部)21だけが形成される構成であってもよいし、3つ以上の窓部が形成される構成であってもよい。
【0026】
また、窓部21,22のそれぞれには、プリズム等の光学素子23が配置される。光学素子23は、例えば、ガラス又は樹脂から形成され、可視光、紫外線及び赤外線等を含むの光、及び、電波等を含む電磁波を、透過させる。このため、光及び電磁波は、窓部21,22のそれぞれを透過可能である。また、窓部21,22のそれぞれでは、光学素子23によって開口が閉塞される。また、窓部21,22のそれぞれでは、筐体13の上部灯体16が形成する開口縁と光学素子23との隙間は、密封される。このため、窓部21,22のそれぞれを通しての気体及び液体の内部空洞15への流入が、防止される。
【0027】
図2に示すように、筐体13の内部空洞15には、光源部25及び通信部26が配置される。光源部25は、発光素子(図示しない)を備える。光源部25に設けられる発光素子は、LED(light emitting diode)で、あってもよく、LED以外の発光素子であってもよい。光源部25は、電力が供給されることにより、発光素子を用いて発光動作を行い、可視光等の光を出射する。この際、光源部25は、窓部(第1の窓部)21に向かって光を出射する。ある一例では、光源部25は、内部空洞15において、窓部21に内側から対向する状態で、配置される。
【0028】
光源部25からの光は、窓部21を透過して、窓部21を通して筐体13の外部に照射される。この際、光源部25からの光は、窓部21において光学素子23によって屈折した後、筐体13の外部に照射される。また、光源部25からの光は、窓部21での内部空洞15の開口方向へ向かって、窓部21を通して照射される。基台11に灯器10が取付けられた状態で前述のようにして窓部21を通して光源部25からの光を照射することにより、誘導路等の航空機通路において航空機に対して、灯器10の光源部25からの光が照射される。なお、光源部25からの光は地上(路面等)に対して照射されるように構成されていてもよい。
【0029】
通信部26は、例えば、送信された信号を受信可能なアンテナ等の受信部を備える通信回路から構成される。通信部26は、窓部22を通して内部空洞15に入射された無線信号等の信号を、受信可能である。ある一例では、通信部26は、内部空洞15において、窓部22に内側から対向する状態で、配置される。なお、通信部26は、窓部(第2の窓部)22を通して内部空洞15に入射された信号に加えて、窓部(第1の窓部)21を通して内部空洞15に入射された信号も、受信可能であってもよい。また、通信部26は、内部空洞15において、窓部21に内側から対向する状態で、配置されてもよい。また、通信部26は、窓部22等を通して、無線信号等の信号を筐体13の外部へ送信可能であってもよい。
【0030】
図3は、灯器10の光源部25の動作を制御する制御系統の一例を示す。
図3等に示すように、灯器10では、筐体13の内部空洞15に、制御部30が配置される。制御部30は、点灯回路31及び制御回路32から構成される。点灯回路31及び制御回路32は、互いに対して別体の回路基板に形成されてもよく、1つの基板に一体に形成されてもよい。
【0031】
点灯回路31は、光源部25への電力の供給経路に配置される。点灯回路31は、スイッチ回路(図示しない)を備える。灯器10では、スイッチ回路の駆動状態に対応して、光源部25に電力が供給される状態と光源部25に電力が供給されない状態との間が、切替わる。すなわち、点灯回路31のスイッチ回路の駆動状態に対応して、点灯状態と消灯状態との間で、光源部25の動作が切替わる。これにより、スイッチ回路の駆動状態に対応して、光源部25からの光が窓部21を通して照射される状態と光源部25からの光が照射されない状態との間が、切替わる。
【0032】
また、ある一例では、光源部25において、出射される光の明るさ(光束及び光度)を変化させることが、可能である。この場合、点灯回路31は、スイッチ回路に加えて、電流調整回路(図示しない)を備える。そして、光源部25が点灯している状態において、電流調整回路の駆動状態に対応して、光源部25に供給される電流の大きさが変化し、光源部25から出射される光の明るさが変化する。したがって、光源部25からの光が窓部21を通して照射されている状態では、点灯回路31の電流調整回路の駆動状態に対応して、光源部25から筐体13の外部に照射される光の明るさが変化する。
【0033】
なお、点灯回路31には、スイッチ回路が設けられていればよく、電流調整回路は必ずしも設けられる必要はない。電流調整回路が設けられない場合、光源部25は、1つの特定の明るさでのみ、光を出射可能である。また、ある一例では、光源部25は、互いに対して異なる複数の光色で光を出射可能であってもよい。この場合、光源部25が点灯している状態において、点灯回路31の駆動状態に対応して、光源部25から出射される光の明るさが変化する。すなわち、光源部25からの光が窓部21を通して照射されている状態では、点灯回路31の駆動状態に対応して、光源部25から筐体13の外部に照射される光の光色が変化する。
【0034】
制御回路32は、プロセッサ又は集積回路、及び、メモリ等の記憶媒体から構成される。制御回路32を構成するプロセッサ又は集積回路は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及び、DSP(Digital Signal processor)等のいずれかを含む。制御回路32は、集積回路等を1つのみ備えてもよく、集積回路等を複数備えてもよい。また、制御回路32は、記憶媒体を1つのみ備えてもよく、記憶媒体を複数備えてもよい。
【0035】
制御回路32は、点灯回路31の駆動を制御することにより、光源部25への電力の供給を制御する。これにより、制御回路32を含む制御部30によって、光源部25の動作が制御され、窓部21を通しての光源部25からの光の照射が制御される。このため、制御回路32等による制御によって、光源部25からの光が筐体13の外部へ照射されているか否かが、切替わる。
【0036】
また、光源部25からの光の明るさが変化可能な構成では、制御回路32等による制御によって、光源部25からの光が筐体13の外部は照射されている状態での照射される光の明るさが、調整される。なお、
図3では、制御回路32による点灯回路31の駆動制御及び制御の指令信号は、実線の矢印で示す。また、
図3では、光源部25からの光は、破線の矢印で示す。
【0037】
本実施形態の航空標識灯1では、
図1等に示すように、基台11にバッテリ35が設置される。
図1及び
図3等に示すように、本実施形態では、バッテリ35は、灯器10の筐体13の外部に配置される。そして、バッテリ35は、路盤2の凹部5に配置され、灯器10が基台11に取付けられた状態では、バッテリ35は、灯器10と基台11との間の空間18に配置される。なお、バッテリ35は、防水性及び防塵性を有するケース(図示しない)に収容され、バッテリ35の防水性及び防塵性が確保されることが、好ましい。
【0038】
灯器10は、基台11に取付けられた状態において、バッテリ35に電気的に接続可能である。
図1の一例では、空間18において灯器10側のコネクタ36をバッテリ35側のコネクタ37へ接続することにより、灯器10がバッテリ35に電気的に接続される。灯器10がバッテリ35に電気的に接続されることにより、バッテリ35から光源部25に電力を供給可能となる。そして、制御部30の点灯回路31は、バッテリ35から光源部25への供給経路に配置される。本実施形態では、バッテリ35に灯器10が電気的に接続された状態において、制御回路32は、点灯回路31の駆動を制御することにより、バッテリ35から光源部25への電力の供給を制御し、光源部25の動作を前述のようにして制御する。
【0039】
基台11に取付けられた灯器10を使用している状態では、主に窓部(第2の窓部)22を通して、光源部25の動作に関する指令信号が、内部空洞15に入射する。そして、通信部26は、窓部22を通して入射した指令信号を受信する。制御回路32を含む制御部30は、通信部26が受信した指令信号に基づいて、光源部25の動作を制御する。なお、窓部22を通して入射された信号に加えて、窓部(第1の窓部)21を通して内部空洞15に入射された信号も、通信部26が受信可能であれば、光源部25の動作に関する指令信号は、窓部21を通して内部空洞15に入射されてもよい。この場合、通信部26は、窓部21を通して入射した指令信号を受信する。
【0040】
指令信号は、無線信号として、窓部22(又は窓部21)を通して、内部空洞15に入射される。無線信号となる指令信号は、灯器10の外部から、送信器(図示しない)を用いて送信される。このため、基台11に取付けられた灯器10に向かって送信器から指令信号を送信することにより、光源部25の動作等を遠隔操作することが可能となる。指令信号を送信する送信器としては、専用のリモコン機が用いられてもよく、タブレット及びスマートフォン等の携帯端末が用いられてもよい。なお、指令信号は、窓部21,22以外から内部空洞15に入射されてもよい。例えば、指令信号は、上部灯体16と下部灯体17との間の空間(灯体間空間)から内部空洞15に入射したり、灯器10に設けられた窓部21,22とは異なる貫通孔(ガラスなどで閉塞されていても、閉塞されていなくてもよい)から内部空洞15に入射したり、してもよい。
【0041】
また、送信器と灯器10の通信部26との間での通信方式(無線通信方式)は、特に限定されるものではない。ある一例では、Wi-Fi、BlueTooth(登録商標)及びWi-SUN等の既存の通信技術を用いて、又は、既存の通信技術を組み合わせて、送信器と灯器10の通信部26との間で無線通信が行われ、送信器からの指令信号が、通信部26によって受信される。この場合、送信器から、指令信号となる電波等が灯器10へ送信される。別のある一例では、指令信号として、赤外線又は紫外線が、送信器から灯器10へ送信される。
【0042】
ここで、光及び電磁波等は、窓部21,22のそれぞれを透過可能である。このため、電波、赤外線及び紫外線等のいずれかとして送信される指令信号は、窓部22(又は窓部21)を通して、内部空洞15に適切に入射する。したがって、内部空洞15において、窓部22を透過して入射した指令信号が、通信部26によって適切に受信される。実際に、Wi-Fiを用いた構成において、灯器10に対して30m程度離れた位置から携帯端末を送信器として指令信号を送信することにより、光源部25が指令信号に対応する動作を行うことが、確認された。
【0043】
図4は、本実施形態において灯器10が使用態様の一例を示す。
図4の一例では、異常が発生していない通常時(正常時)において、灯器10の代わりに灯器110が用いられる。航空標識灯1では、灯器110は、灯器10と同様にして、基台11に取外し可能に取付けられる。また、灯器110は、灯器10と同様に、上部灯体116及び下部灯体(灯体カバー)117から構成される筐体113を備え、筐体113の内部には、内部空洞115が規定される。
【0044】
また、灯器110の筐体113では、灯器10の窓部21,22と同様の窓部121,122が、上部灯体116に形成される。基台11に灯器110が取付けられた状態では、窓部121,122は、灯器110において路面3から鉛直上側への突出する部分に位置し、窓部121,122は、路面3において露出する。また、灯器10では、窓部122での内部空洞115の開口方向は、窓部121での内部空洞の開口方向とは異なる。例えば、窓部122での開口方向は、窓部121での開口方向とは反対方向になる、又は、窓部121での開口方向に対して交差する。
【0045】
灯器110には、通信部26等は設けられず、灯器110は、灯器10とは異なり、無線通信を行わない。また、灯器110には、2つの光源部125A,125Bを備え、光源部125A,125Bのそれぞれは、電力が供給されることにより、可視光等の光を出射する。光源部125Aからの光は、窓部121を透過して、窓部121を通して筐体13の外部に照射される。そして、光源部125Bからの光は、窓部122を透過し、窓部122を通して筐体113の外部に照射される。このため、灯器110は、互いに対して異なる2つの方向へ、光を照射可能である。灯器110は、例えば、互いに対して反対の2つ方向、又は、互いに対して交差する2つの方向へ、光を照射可能である。
【0046】
図1及び
図4等に示すように、誘導路等の航空機通路では、電力線40が路盤2に埋込まれる。灯器110は、基台11に取付けられた状態において、電力線40に電気的に接続可能である。
図4の一例では、空間18において灯器110側のコネクタ136を電力線40側のコネクタ41へ接続することにより、灯器110が電力線40に電気的に接続される。灯器110の光源部125A,125Bは、電力線40を通して供給された電力によって、発光動作を行う。そして、電力線40を通しての光源部125A,125Bへの電力の供給が制御されることにより、光源部125A,125Bの動作が制御され、窓部121,122のそれぞれを通しての光の照射が制御される。
【0047】
航空機通路では、異常が発生していない通常時等において、複数の灯器110が配置され、複数の灯器110は、電力線40を介して、電気的に接続される。そして、複数の灯器110のそれぞれには、電力線40を通して、外部の電源装置(図示しない)等から電力が供給される。これにより、電力線40が接続される複数の灯器110のそれぞれから、光が照射される。また、電力線40を通しての電源装置からの電力の供給は、電源装置に組込まれた制御回路、又は、電源装置とは別体の制御装置(図示しない)等によって制御される。なお、
図4の一例では、灯器110は、バッテリ35に電気的に接続されず、バッテリ35からの電力は、灯器110の光源部125A,125Bに供給されない。
【0048】
ここで、誘導路等の航空機通路では、複数の路盤2の間でのずれ等に起因して電力線40が断線し、電力線40を通しての電力の供給が遮断されることがある。この場合、航空標識灯1では、電力線40を通しての灯器110へ電力が供給されない状態(異常時)となる。
図4の一例では、電力線40を通しての電力の供給が遮断される異常(事象)が発生した場合、航空標識灯1において、基台11から灯器110を取外す(矢印A1)。
【0049】
そして、灯器110の代わりに、灯器10を基台11に取付ける(矢印A2)。灯器10を基台11に取付ける際には、凹部5に配置されるバッテリ35に、灯器10を電気的に接続する。これにより、バッテリ35からの電力を、光源部25に供給可能となる。そして、灯器10が基台11に取付けられた状態において、前述のようにして指令信号を内部空洞15に入射させることより、通信部26が入射した指令信号を受信する。そして、制御回路32を含む制御部30は、受信した指令信号に基づいて、光源部25の動作を制御し、窓部21を通しての光の照射を制御する。
【0050】
なお、ある一例では、基台11に取付けられた灯器110に、電力線40が電気的に接続されるとともに、灯器110と基台11との間の空間18に配置されるバッテリ35にも、電力線40が電気的に接続される。この場合も、
図4の一例等と同様に、基台11に取付けられた灯器110において、電力線40を通して供給される電力によって、光源部125A,125Bが動作可能になる。そして、電力線40を通して供給される電力によって、バッテリ35を充電可能となる。
【0051】
また、ある一例では、基台11に灯器110が取付けられ、灯器110が使用されている状態において、灯器110と基台11との間の空間18に、バッテリ35が配置されない。この場合、電力線40を通しての電力の供給が遮断される等して、灯器110の代わりに灯器10を使用する際に、灯器110を基台11から取外すとともに、基台11にバッテリ35を設置する。これにより、凹部5に、バッテリ35が配置される。そして、基台11に灯器10を取付け、灯器10をバッテリ35に電気的に接続する。これにより、
図4等の一例と同様に、通信部26が受信した制御指令に基づいて、光源部25の動作を制御可能となる。
【0052】
前述のように本実施形態では、筐体13の内部空洞15に、光源部25、通信部26及び制御部30が配置され、光源部25は、窓部21を通して、光を筐体13の外部に照射する。そして、通信部26は、光源部25の動作に関する指令信号が窓部21,22のいずれかを通して内部空洞15に入射されることにより、入射した指令信号を受信し、制御部は30、通信部26が受信した指令信号に基づいて、光源部25の動作を制御する。これにより、電力線40を通しての電力の供給が遮断された状態でも、航空標識灯1において、灯器10の光源部25の動作を制御可能になる。
【0053】
したがって、電力線40を通しての航空標識灯1への電力の供給が遮断された状態でも、窓部21を通しての筐体13の外部への光の照射を制御可能になる。これにより、電力の供給が遮断される異常が発生しても、灯器10を用いて、空港運用を行うことが可能になる。すなわち、電力線を通しての電力の供給が遮断される事象が発生しても、空港運用への発生した事象の影響が、低減される。
【0054】
また、本実施形態のある一例では、光源部25は、窓部(第1の窓部)21を通して、筐体13の外部へ光を照射するのに対し、通信部26は、窓部21とは異なる窓部(第2の窓部)22を通して内部空洞15に入射した指令信号を、受信する。光を照射する窓部21及び指令信号を入射させる窓部22が異なることにより、外部へ照射される光、及び、外部からの指令信号の互いに対する影響が、低減される。
【0055】
また、灯器110のように2つの窓部121,122のそれぞれを通して光を外部に照射する灯器から、2つの光源部125A,125Bの一方が配置される位置に通信部26を配置することにより、窓部22を通して入射した指令信号を通信部26が受信する構成を、実現可能になる。このため、灯器110等を用いて、窓部22を通して入射した指令信号を通信部26が受信する灯器10を、形成可能となる。
【0056】
また、本実施形態のある一例では、灯器10において、窓部22での内部空洞15の開口方向は、窓部21での内部空洞15の開口方向とは異なる。このような構成にすることにより、灯器10において、外部へ窓部21を通して光を照射する方向が、外部から窓部22を通して指令信号が入射される方向とは、異なる。これにより、外部へ照射される光、及び、外部からの指令信号の互いに対する影響が、さらに低減される。
【0057】
また、本実施形態では、灯器10を含む航空標識灯1に、バッテリ35が設けられる。そして、灯器10が基台11に取付けられた状態では、灯器10がバッテリ35に電気的に接続され、バッテリ35からの電力を、光源部25に供給可能となる。このため、電力線40を通しての電力の供給が遮断されても、バッテリ35によって、光源部25を動作させる電力が適切に確保される。
【0058】
また、本実施形態では、灯器10(筐体13)の外部にバッテリ35が設置され、灯器10と基台11との間の空間18に、バッテリ35が配置される。このため、バッテリ35を設置するスペースを大きく確保することが可能となり、容量の大きいバッテリ35を設置可能となる。したがって、電力線40を通しての電力の供給が遮断された状態を復旧する作業に長時間を要する場合等でも、容量を大きいバッテリ35を用いて光源部25に供給する電力を確保する等して、適宜の対応が可能となる。また、バッテリ35の残容量が少なくなった場合等において、バッテリ35とは別のバッテリを追加で空間18に配置する等して、追加したバッテリから灯器10の光源部25に電力を供給可能となる。
【0059】
なお、前述の実施形態等では、灯器10の外部に配置されるバッテリ35から光源部25に電力が供給されるが、これに限るものではない。
図5に示すある変形例では、灯器10において、筐体13の内部空洞15に、バッテリ38が配置される。そして、灯器10では、バッテリ38からの電力を、光源部25に供給可能となる。本変形例では、制御回路32を含む制御部30は、バッテリ38から光源部25への電力の供給を制御することにより、光源部25の動作を制御し、光源部25から窓部21を通しての光の照射を制御する。本変形例でも、通信部26は、窓部21,22のいずれかを通して内部空洞15に入射された指令信号を受信し、制御部30は、受信した指令信号に基づいて、光源部25の動作を制御する。
【0060】
本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。また、本変形例では、灯器10を使用する場合において、外部のバッテリ等に灯器を電気的に接続することなく、光源部25を動作させる電力が、バッテリ38によって確保される。このため、電力線40を通しての電力の供給が遮断された場合等において、灯器10を外部のバッテリに電気的に接続する作業等を行う必要がなく、灯器10を基台11に取付けることにより、灯器10を使用可能となる。したがって、灯器10を設置する作業における手間等が、低減される。
【0061】
なお、ある変形例では、航空標識灯1において、凹部5にバッテリ35が配置されるとともに、灯器10の内部空洞15にバッテリ38が設けられる。そして、灯器10が基台11に取付けられた状態では、バッテリ35,38の両方から、光源部25に電力を供給可能である。例えば、光源部25が複数存在する場合は、ある光源部25は、バッテリ35のみから電力が供給され、別の光源部25は、バッテリ38のみから電力が供給されるように構成されてもよい。この場合、制御回路32を含む制御部30は、バッテリ35,38のそれぞれから光源部25への電力の供給を制御することにより、光源部25の動作を制御し、光源部25から窓部21を通しての光の照射を制御する。本変形例でも、通信部26は、窓部21,22のいずれかを通して内部空洞15に入射された指令信号を受信し、制御部30は、受信した指令信号に基づいて、光源部25の動作を制御する。
【0062】
また、前述の実施形態等では、灯器10に光源部25が1つのみ設けられ、光源部25からの光は、窓部21を通して筐体13の外部へ照射されるが、灯器10からの光の照射の態様は、これに限るものではない。ある変形例では、灯器10に光源部25が2つ設けられる。そして、2つの光源部25の一方からの光は、窓部(第1の窓部)21を通して筐体13の外部に照射され、2つの光源部25の他方からの光は、窓部(第2の窓部)22を通して筐体13の外部に照射される。このような構成では、窓部21での内部空洞15の開口方向及び窓部22での内部空洞15の開口方向を互いに対して異ならせることにより、互いに対して異なる2つの方向へ、灯器10からの光が照射される。
【0063】
本変形例では、制御回路32を含む制御部30は、バッテリ(35,38のいずれか1つ以上)から光源部25のそれぞれへの電力の供給を制御することにより、光源部25のそれぞれの動作を制御し、窓部21,22のそれぞれを通しての光の照射を制御する。本変形例でも、通信部26は、窓部21,22のいずれかを通して内部空洞15に入射された指令信号を受信し、制御部30は、受信した指令信号に基づいて、光源部25の動作を制御する。このため、本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0064】
また、前述の実施形態等では、灯器10の筐体13に、2つの窓部21,22が設けられるが、ある変形例では、筐体13に窓部が1つのみ設けられ、例えば、窓部21のみが設けられる。この場合も、光源部25は、窓部(例えば21)を通して、筐体13の外部に光を照射する。また、本変形例では、光源部25の動作に関する指令信号が、1つのみ設けられる窓部(例えば21)を通して、内部空洞15に入射され、通信部26は、内部空洞15に入射された指令信号を受信する。本変形例でも、制御部30は、通信部26が受信した指令信号に基づいて、光源部25の動作を制御する。このため、本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0065】
また、
図4等の一例では、電力線40を通しての電力の供給が遮断される異常が発生した場合等にのみ、灯器10が使用されるが、これに限るものではない。ある変形例では、異常が発生していない通常時(正常時)においても、灯器10が基台11に取付けられ、灯器10が使用される。この場合、異常が発生していない通常時において、基台11に取付けられた灯器10は、電力線40に電気的に接続可能である。この際、空間18において灯器10側のコネクタ36を電力線40側のコネクタ41へ接続することにより、灯器10が電力線40に電気的に接続される。そして、制御回路32を含む制御部30は、電力線40からの電力の光源部25への供給を制御することにより、光源部25の動作を制御し、窓部21等を通しての光の照射を制御する。
【0066】
異常が発生していない通常時でも、通信部26は、窓部21,22のいずれかを通して内部空洞15に入射された指令信号を受信し、制御部30は、受信した指令信号に基づいて、光源部25の動作を制御する。したがって、電力線40を通して灯器10に電力が供給される状態でも、灯器10において、光源部25の動作を制御可能となる。なお、本変形例では、電力線40を通しての電力の供給が遮断される異常が発生した場合、灯器10をバッテリ35,38のいずれかからの電力によって、光源部25を動作させる。そして、前述の実施形態等と同様にして、制御部30は、バッテリ(35,38のいずれか1つ以上)から光源部25への電力の供給を制御することにより、光源部25の動作を制御し、窓部21等を通しての光の照射を制御する。
【0067】
図6は、実施形態に係る灯器10の、航空機通路での使用態様の一例を示す。
図6は、灯器10が配設された航空機通路を上方から見た状態を示す上面図である。
図6の一例では、複数の灯器10が配列方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)に沿って配列され、複数の灯器10によって、灯火システム50が形成される。
図6の一例では、誘導路等の航空機通路が直線状に延設される部分での、複数の灯器10の配置を示し、灯器10の配列方向は、航空機通路の延設方向と一致又は略一致する。したがって、複数の灯器10は、航空機通路の延設方向に沿って配列される。
【0068】
ここで、灯器10の配列方向の一方側を、第1の側(矢印Y1側)とし、灯器10の配列方向について第1の側とは反対側を、第2の側(矢印Y2側)とする。なお、航空機通路において配列される複数の灯器10から構成されるシステムは、灯火システム50等のように、“灯火システム”と称される。また、航空機通路では、前述のように複数の灯器10が配列されるため、灯器10、基台11及びバッテリ(例えば、35,38のいずれか)等をそれぞれが備える複数の航空標識灯1が、配列方向(航空機通路の延設方向)に沿って配列される。航空機通路において配列される複数の航空標識灯1から構成されるシステムは、“標識灯システム”とも称される。以下に説明する灯火システム50の態様は、標識灯システムにおいても適用される態様である。
【0069】
図6の一例において配列される灯器10のそれぞれでは、2つの窓部21,22が形成され、光源部25は、窓部(第1の窓部)21を通して、筐体13の外部へ光を照射する。また、灯器10のそれぞれでは、窓部22での内部空洞15の開口方向は、窓部21での内部空洞15の開口方向とは反対方向となる。
【0070】
図6の一例では、配列される複数の灯器10は、灯器10A,10Bの2種類の灯器10から構成される。灯器(第1の灯器)10Aは、配列方向の一方側である第1の側へ、窓部21を通して光源部25からの光を照射する(矢印B1)。また、灯器(第2の灯器)10Bは、配列方向について第1の側とは反対側である第2の側へ、窓部21を通して光源部25からの光を照射する(矢印B2)。
図6の一例の灯火システム50では、第1の側へ光を照射する灯器10A、及び、第2の側へ光を照射する灯器10Bが、交互に配置される。なお、灯器10Aと灯器10Bとは同一の灯器であってもよく、この場合、灯器の設置方向を変えることで光の照射方向を調整し、灯器10Aと灯器10Bとの使い分けがなされる。
【0071】
図6の一例では、電力線40を通しての電力の供給が遮断されていない通常時において、複数の灯器10の代わりに、複数の灯器110が、配列方向(航空機通路の延設方向)に沿って配列される。そして、複数の灯器110のそれぞれは、配列方向について、第1の側及び第2の側の両方に、光を照射する。
図6の一例では、電力線40を通しての電力の供給が遮断される異常が発生した場合に、複数の灯器110の代わりに複数の灯器10を配列し、前述のようにして、複数の灯器10のそれぞれから光を照射させる。
【0072】
図6の使用態様では、複数の灯器10のそれぞれは1つの方向へのみ光を照射するため、複数の灯器110のそれぞれから2つの方向へ光が照射される通常時等に比べて、灯火システム50の全体での光の照射量は減少する。ただし、
図6の使用態様では、第1の側に光を照射する灯器10A、及び、第2の側に光を照射する灯器10Bを交互に配置することにより、1つの方向へのみ光を照射する灯器10を用いても、航空機通路において空港運用に必要な最低限の光の照射状態を、実現可能となる。これにより、電力線40を通しての電力の供給が遮断される異常が発生しても、灯火システム50を用いて、空港運用を行うことが可能になる。
【0073】
図7は、実施形態に係る灯器10の、航空機通路での使用態様の
図6とは別の一例を示す。
図7の一例でも、複数の灯器10が配列方向(矢印Y3及び矢印Y4で示す方向)に沿って配列され、複数の灯器10によって、灯火システム50が形成される。ただし、
図7の一例では、誘導路等の航空機通路が曲線状に延設される部分での、複数の灯器10の配置を示す。本一例でも、灯器10の配列方向は、航空機通路の延設方向と一致又は略一致する。そして、灯器10の配列方向の一方側が、第1の側(矢印Y3側)となり、灯器10の配列方向について第1の側とは反対側を、第2の側(矢印Y4側)となる。なお、以下に説明する灯火システム50の態様は、標識灯システムにおいても適用される態様である。
【0074】
図7の一例において配列される灯器10のそれぞれでは、2つの窓部21,22が形成され、光源部25は、窓部(第1の窓部)21を通して、筐体13の外部へ光を照射する。また、灯器10のそれぞれでは、窓部21での内部空洞15の開口方向に対して、窓部22での内部空洞15の開口方向が交差する構成となる。すなわち、灯器10のそれぞれでは、窓部21での開口方向と窓部22での開口方向との間の周方向についてのずれは、180°より小さい角度となる。
【0075】
図7の一例でも、配列される複数の灯器10は、灯器10A,10Bの2種類の灯器10から構成される。そして、灯器(第1の灯器)10Aは、配列方向の一方側である第1の側へ、窓部21を通して光源部25からの光を照射し(矢印B3)、灯器(第2の灯器)10Bは、配列方向について第1の側とは反対側である第2の側へ、窓部21を通して光源部25からの光を照射する(矢印B4)。そして、灯火システム50では、第1の側へ光を照射する灯器10A、及び、第2の側へ光を照射する灯器10Bが、交互に配置される。
【0076】
図7の使用態様でも、
図6の使用態様と同様に、第1の側に光を照射する灯器10A、及び、第2の側に光を照射する灯器10Bを交互に配置することにより、1つの方向へのみ光を照射する灯器10を用いても、航空機通路において空港運用に必要な最低限の光の照射状態を、実現可能となる。これにより、電力線40を通しての電力の供給が遮断される異常が発生しても、灯火システム50を用いて、空港運用を行うことが可能になる。
【0077】
図6、
図7の使用態様では灯火システム50において、隣接する2つの灯器10において、光を照射する窓部21ではない窓部22が隣り合う箇所が存在する。この箇所においては、信号を受けた一方の灯器10から、他方の灯器10へ信号を送信する構成とすることで、灯火システム50として動作するための信号送信の回数を低減することが可能となり、作業性がよい。また、特に
図6の使用態様では、1つの方向からの信号送信により全ての灯器10を動作させることが可能となり、作業性が向上する。
【0078】
これら少なくとも一つの実施形態によれば、光源部は、窓部を通して光を筐体の外部に照射し、通信部は、光源部の動作に関する指令信号が窓部を通して内部空洞に入射されることにより、入射した指令信号を受信する。そして、制御部は、通信部が受信した指令信号に基づいて、光源部の動作を制御する。電力線を通しての電力の供給が遮断された状態でも、光源部の動作を制御可能な灯器を提供することができる。このため、前述した実施形態では、空港での使用を主に説明を行ったが、空港以外(例えば、公園や、商業施設等)でも適用可能である。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1…航空標識灯、10…灯器、11…基台、13…筐体、15…内部空洞、18…空間、21…窓部(第1の窓部)、22…窓部(第2の窓部)、25…光源部、26…通信部、30…制御部、31…点灯回路、32…制御回路、35,38…バッテリ、40…電力線、50…灯火システム。