(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162346
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】光ファイバおよび光ファイバリボン
(51)【国際特許分類】
C03C 25/1065 20180101AFI20241114BHJP
C03C 25/285 20180101ALI20241114BHJP
C03C 25/40 20060101ALI20241114BHJP
C03C 25/475 20180101ALI20241114BHJP
C03C 25/42 20060101ALI20241114BHJP
C08F 220/20 20060101ALI20241114BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20241114BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20241114BHJP
C08L 33/04 20060101ALI20241114BHJP
C08L 51/10 20060101ALI20241114BHJP
C08F 292/00 20060101ALI20241114BHJP
G02B 6/44 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C03C25/1065
C03C25/285
C03C25/40
C03C25/475
C03C25/42
C08F220/20
C08F2/44 A
C08K3/22
C08L33/04
C08L51/10
C08F292/00
G02B6/44 301A
G02B6/44 371
G02B6/44 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077747
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】岩口 矩章
(72)【発明者】
【氏名】浜窪 勝史
(72)【発明者】
【氏名】池川 未歩
【テーマコード(参考)】
2H201
2H250
4G060
4J002
4J011
4J026
4J100
【Fターム(参考)】
2H201AX02
2H201AX17
2H201BB06
2H201BB12
2H201BB23
2H201BB24
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2H250BA32
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4J100BC45P
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4J100JA32
(57)【要約】
【課題】被覆除去性に優れる光ファイバおよび光ファイバリボンを提供すること。
【解決手段】本開示に係る光ファイバは、コアおよびクラッドを含むガラスファイバと、ガラスファイバを被覆する被覆樹脂層とを備え、被覆樹脂層が、ガラスファイバに接してガラスファイバを被覆するプライマリ樹脂層と、プライマリ樹脂層を被覆するセカンダリ樹脂層とを有し、プライマリ樹脂層が、光重合性化合物および光重合開始剤を含有する樹脂組成物の硬化物を含み、光重合性化合物が、ビスフェノールA骨格を有する(メタ)アクリレートを含み、ウレタン(メタ)アクリレートを含まない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアおよびクラッドを含むガラスファイバと、前記ガラスファイバを被覆する被覆樹脂層と、を備え、
前記被覆樹脂層が、前記ガラスファイバに接して前記ガラスファイバを被覆するプライマリ樹脂層と、前記プライマリ樹脂層を被覆するセカンダリ樹脂層と、を有し、
前記プライマリ樹脂層が、光重合性化合物および光重合開始剤を含有する樹脂組成物の硬化物を含み、
前記光重合性化合物が、ビスフェノールA骨格を有する(メタ)アクリレートを含み、ウレタン(メタ)アクリレートを含まない、光ファイバ。
【請求項2】
前記ビスフェノールA骨格を有する(メタ)アクリレートの含有量が、前記樹脂組成物の総量を基準として、45質量%以上90質量%以下である、請求項1に記載の光ファイバ。
【請求項3】
前記樹脂組成物が、シランカップリング剤を更に含有する、請求項1に記載の光ファイバ。
【請求項4】
前記セカンダリ樹脂層が、ウレタン結合を有しない(メタ)アクリレートを含む光重合性化合物および光重合開始剤を含有する樹脂組成物の硬化物を含む、請求項1に記載の光ファイバ。
【請求項5】
前記被覆樹脂層が、前記セカンダリ樹脂層を被覆する着色樹脂層を更に有する、請求項1に記載の光ファイバ。
【請求項6】
前記着色樹脂層の厚さが2μm以上14μm以下である、請求項5に記載の光ファイバ。
【請求項7】
前記着色樹脂層が、ウレタン結合を有しない(メタ)アクリレートを含む光重合性化合物、光重合開始剤、および酸化チタン粒子を含有する樹脂組成物の硬化物を含む、請求項5に記載の光ファイバ。
【請求項8】
前記酸化チタン粒子が、表面処理酸化チタン粒子である、請求項7に記載の光ファイバ。
【請求項9】
前記表面処理酸化チタン粒子が、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、および二酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む表面処理層を有する、請求項8に記載の光ファイバ。
【請求項10】
並列に配置された複数の請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の光ファイバと、複数の前記光ファイバを被覆して連結する連結樹脂層と、を備える、光ファイバリボン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイバおよび光ファイバリボンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、光ファイバは、光伝送体であるガラスファイバを保護するための被覆樹脂層を備えている。被覆樹脂層は、例えば、ガラスファイバと接するプライマリ樹脂層と、プライマリ樹脂層の外周面に形成されるセカンダリ樹脂層との2層構造から構成される。
【0003】
光ファイバの側圧特性を向上するために、プライマリ樹脂層のヤング率を低くすること、セカンダリ樹脂層のヤング率を高くすることが知られている。例えば、特許文献1には、ポリオールと、ジイソシアネートと、水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートを含有する樹脂組成物を用いて、プライマリ樹脂層の柔軟性(低ヤング率)と機械強度とを両立することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、データセンター用途において、光ファイバの充填密度を高めた高密度ケーブルの需要が高まっている。光ケーブルを高密度化する方法としては、ケーブルに収められる光ファイバの外径を細くする方法が挙げられる。光ファイバの外径を細くする手法としては、ガラスファイバ径を細くする手法、被覆樹脂層の厚さを薄くする手法等が考えられる。しかしながら、光ファイバを接続する際にガラスファイバから被覆樹脂層の一部を除去する必要があり、被覆樹脂層の厚さを薄くすると、被覆樹脂層全体の剛性が低下して、被覆除去作業の際に被覆樹脂層が崩れ易くなる傾向にある。被覆樹脂層が崩れると、被覆樹脂層を除去し難くなり、作業性が低下することがある。
【0006】
本開示は、被覆除去性に優れる光ファイバおよび光ファイバリボンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る光ファイバは、コアおよびクラッドを含むガラスファイバと、ガラスファイバを被覆する被覆樹脂層とを備え、被覆樹脂層が、ガラスファイバに接してガラスファイバを被覆するプライマリ樹脂層と、プライマリ樹脂層を被覆するセカンダリ樹脂層とを有し、プライマリ樹脂層が、光重合性化合物および光重合開始剤を含有する樹脂組成物の硬化物を含み、光重合性化合物が、ビスフェノールA骨格を有する(メタ)アクリレートを含み、ウレタン(メタ)アクリレートを含まない。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、被覆除去性に優れる光ファイバおよび光ファイバリボンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は本実施形態に係る光ファイバの一例を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は本実施形態に係る光ファイバの一例を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は本実施形態に係る光ファイバリボンの一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0011】
(1)本開示の一形態に係る光ファイバは、コアおよびクラッドを含むガラスファイバと、ガラスファイバを被覆する被覆樹脂層と、を備え、被覆樹脂層が、ガラスファイバに接してガラスファイバを被覆するプライマリ樹脂層と、プライマリ樹脂層を被覆するセカンダリ樹脂層と、を有し、プライマリ樹脂層が、光重合性化合物および光重合開始剤を含有する樹脂組成物の硬化物を含み、光重合性化合物が、ビスフェノールA骨格を有する(メタ)アクリレートを含み、ウレタン(メタ)アクリレートを含まない。
【0012】
本開示に係る光ファイバは、上述のようなプライマリ樹脂層を有する被覆樹脂層を備えることにより、被覆除去性に優れる。
【0013】
(2)上記(1)において、製造性に優れる観点から、ビスフェノールA骨格を有する(メタ)アクリレートの含有量が、樹脂組成物の総量を基準として、45質量%以上90質量%以下であってもよい。
【0014】
(3)上記(1)または(2)において、ガラス強度に優れる観点から、樹脂組成物が、シランカップリング剤を更に含有してもよい。
【0015】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、各樹脂層間の密着性を向上する観点から、セカンダリ樹脂層が、ウレタン結合を有しない(メタ)アクリレートを含む光重合性化合物および光重合開始剤を含有する樹脂組成物の硬化物を含んでもよい。
【0016】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、光ファイバの識別性の観点から、被覆樹脂層が、セカンダリ樹脂層を被覆する着色樹脂層を更に有してもよい。
【0017】
(6)上記(5)において、光ファイバの充填密度を高める観点、着色樹脂層の厚さが2μm以上14μm以下であってもよい。
【0018】
(7)上記(5)または(6)において、各樹脂層間の密着性を向上する観点から、着色樹脂層が、ウレタン結合を有しない(メタ)アクリレートを含む光重合性化合物、光重合開始剤、および酸化チタン粒子を含有する樹脂組成物の硬化物を含んでもよい。
【0019】
(8)上記(7)において、光ファイバの識別性をより向上する観点から、酸化チタン粒子が、表面処理酸化チタン粒子であってもよい。
【0020】
(9)上記(8)において、被覆樹脂層の耐候性を向上する観点から、表面処理酸化チタン粒子が、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、および二酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む表面処理層を有してもよい。
【0021】
(10)本開示の一形態に係る光ファイバリボンは、並列に配置された複数の上記(1)から(9)のいずれかに記載の光ファイバと、複数の光ファイバを被覆して連結する連結樹脂層と、を備える。これにより、被覆除去性に優れる光ファイバを備える光ファイバリボンを提供することができる。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る光ファイバおよび光ファイバリボンの具体例を、必要により図面を参照しつつ説明する。本開示はこれらの例示に限定されず、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本明細書における(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはそれに対応するメタクリレートを意味する。(メタ)アクリロイル等の他の類似表現についても同様である。
【0023】
(光ファイバ)
本実施形態に係る光ファイバは、コアおよびクラッドを含むガラスファイバと、ガラスファイバに接してガラスファイバを被覆する被覆樹脂層とを備える。被覆樹脂層が、ガラスファイバに接してガラスファイバを被覆するプライマリ樹脂層と、プライマリ樹脂層を被覆するセカンダリ樹脂層とを有する。プライマリ樹脂層は、光重合性化合物と光重合開始剤とを含有する樹脂組成物の硬化物を含み、光重合性化合物が、ビスフェノールA骨格を有する(メタ)アクリレートを含み、ウレタン(メタ)アクリレートを含まない。
【0024】
図1は、本実施形態に係る光ファイバの一例を示す概略断面図である。光ファイバ1は、コア12およびクラッド14を含むガラスファイバ10と、ガラスファイバ10の外周面に設けられた被覆樹脂層20とを備えている。被覆樹脂層20は、ガラスファイバ10に接してガラスファイバを被覆するプライマリ樹脂層22と、プライマリ樹脂層22を被覆するセカンダリ樹脂層24とを有する。
【0025】
ガラスファイバ10は、コア12およびクラッド14を含み、クラッド14はコア12を取り囲んでいる。コア12およびクラッド14は石英ガラス等のガラスを主に含み、例えば、コア12にはゲルマニウムを添加した石英ガラス、または、純石英ガラスを用いることができ、クラッド14には純石英ガラス、または、フッ素が添加された石英ガラスを用いることができる。ガラスファイバ10の外径は100μm以上125μm以下であってもよい。ガラスファイバ10を構成するコア12の直径は、7μm以上15μm以下であってもよい。
【0026】
被覆樹脂層20は、クラッド14を覆う紫外線硬化型の樹脂層である。被覆樹脂層20は、ガラスファイバ10の外周を被覆するプライマリ樹脂層22と、プライマリ樹脂層22の外周を被覆するセカンダリ樹脂層24と、セカンダリ樹脂層24の外周を被覆する着色樹脂層26とを備えている。プライマリ樹脂層22は、クラッド14の外周面に接しており、クラッド14の全体を被覆している。セカンダリ樹脂層24は、プライマリ樹脂層22の外周面に接しており、プライマリ樹脂層22の全体を被覆している。着色樹脂層26は、セカンダリ樹脂層24の外周面に接しており、セカンダリ樹脂層24の外周を被覆している。
【0027】
プライマリ樹脂層22の厚さは、例えば、10μm以上50μm以下である。セカンダリ樹脂層24の厚さは、例えば、10μm以上40μm以下である。
【0028】
プライマリ樹脂層22は、ビスフェノールA骨格を有する(メタ)アクリレートを含み、ウレタン(メタ)アクリレートを含まない光重合性化合物と、光重合開始剤とを含有する樹脂組成物を用いて形成することができる。ビスフェノールA骨格を有する(メタ)アクリレートは、ビスフェノールA骨格を有し、ウレタン結合を有していない点、ウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタン結合を有し、ビスフェノールA骨格を有していない点で、それぞれ区別することができる。
【0029】
一般的な光ファイバのプライマリ樹脂層は、極性が高く、ガラスファイバとの密着力が高いウレタン(メタ)アクリレート樹脂を含んでいる。これに対して、本実施形態に係るプライマリ樹脂層は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂を含んでいないので、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂を含むプライマリ樹脂層に比べてガラスファイバとの密着力を下げることができ、光ファイバの被覆除去性を向上することができる。
【0030】
ビスフェノールA骨格を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノールA骨格を有するエポキシジ(メタ)アクリレートおよびビスフェノールA骨格を有するアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0031】
ビスフェノールA骨格を有するアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレートは、ヤング率を調整する観点から、エチレンオキサイド(EO)鎖およびプロピレンオキサイド(PO)鎖からなる群より選ばれる少なくとも1種を有してもよい。エチレンオキサイド鎖を「(EO)n」、プロピレンオキサイド鎖を「(PO)n」と表すことができる。nは1以上の整数であり、2以上または3以上であってもよく、40以下、35以下、または30以下であってもよい。
【0032】
ビスフェノールA骨格を有するアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノールAのEO変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO変性ジ(メタ)アクリレート、およびビスフェノールAのEO・PO変性ジ(メタ)アクリレートが挙げられる。ビスフェノールA骨格を有するアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレートは、ビスフェノールAのEO変性ジ(メタ)アクリレートを含んでもよい。
【0033】
ビスフェノールA骨格を有するエポキシジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノール骨格を有するジグリシジルエーテル化合物と、(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリロイル基を有する化合物との反応物を用いることができる。
【0034】
ビスフェノールA骨格を有する(メタ)アクリレートの含有量は、製造性に優れる観点から、樹脂組成物の総量を基準として、45質量%以上、47質量%以上、または49質量%以上であってもよく、90質量%以下、88質量%以下、または86質量%以下であってもよい。
【0035】
本実施形態に係る光重合性化合物は、ビスフェノールA骨格を有する(メタ)アクリレート以外の光重合性化合物(以下、「他のモノマー」という。)を更に含むことができる。
【0036】
他のモノマーとしては、重合性基を1つ有する単官能モノマー、重合性基を2つ以上有する多官能モノマーを用いることができる。他のモノマーは、2種以上を混合して用いてもよい。
【0037】
単官能モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、3-フェノキシベンジルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキサノールアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等のカルボキシ基含有モノマー;N-(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-(メタ)アクリロイルピペリジン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン、3-(3-ピリジン)プロピル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート等の複素環含有モノマー;マレイミド、N-シクロへキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等のアミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;N-(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-6-オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-8-オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマーが挙げられる。
【0038】
多官能モノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,20-エイコサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソペンチルジオールジ(メタ)アクリレート、3-エチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、およびカプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレートが挙げられる。
【0039】
光重合開始剤は、公知のラジカル光重合開始剤の中から適宜選択して使用することができる。光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Omnirad 184、IGM Resins社製)、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン(Omnirad 907、IGM Resins社製)、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Omnirad TPO、IGM Resins社製)、およびビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(Omnirad 819、IGM Resins社製)が挙げられる。
【0040】
光重合開始剤の含有量は、光重合性化合物の総量100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下、2質量部以上8質量部以下、または3質量部以上7質量部以下であってもよい。
【0041】
本実施形態に係る樹脂組成物は、ガラス強度に優れる観点から、シランカップリング剤を更に含有してもよい。
【0042】
シランカップリング剤は、樹脂組成物の硬化の妨げにならなければ、特に限定されない。シランカップリング剤としては、例えば、テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシ-エトキシ)シラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ビス-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、γ-トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、およびγ-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドが挙げられる。
【0043】
一般的に耐側圧特性を向上させるためにはプライマリ樹脂層のヤング率を下げることが有効であるが、被覆樹脂層の厚さが薄い場合は、プライマリ樹脂層を低ヤング率化しても耐側圧特性を向上させ難いことがある。一方、プライマリ樹脂層のヤング率を下げると硬化性が低下することから、プライマリ樹脂層のヤング率は低すぎないことが望ましい。プライマリ樹脂層のヤング率は、23℃で0.5MPa以上30MPa以下、1.0MPa以上20MPa以下、または1.5MPa以上10MPa以下であってもよい。
【0044】
セカンダリ樹脂層24は、従来公知のセカンダリ樹脂層用の樹脂組成物を使用して形成してもよい。セカンダリ樹脂層24は、光重合性化合物および光重合開始剤を含む樹脂組成物を硬化させて形成することができる。
【0045】
セカンダリ樹脂層24は、被覆樹脂層における樹脂層間の密着性に優れる観点から、ウレタン結合を有しない(メタ)アクリレートを含む光重合性化合物を含有する樹脂組成物の硬化物を含んでもよい。セカンダリ樹脂層24の組成が、プライマリ樹脂層22の組成と近い場合、セカンダリ樹脂層24とプライマリ樹脂層22との密着性がより優れるため、界面に剥離等が生じ難くなる。
【0046】
セカンダリ樹脂層24のヤング率は、プライマリ樹脂層に働く引張応力を下げる観点から、2000MPa以下であってもよい。セカンダリ樹脂層のヤング率が上記上限以下であると、プライマリ樹脂層に働く引張応力が低減し、ガラスファイバと被覆樹脂層との間に剥離が生じることを抑制できる。セカンダリ樹脂層24のヤング率は、被覆除去性を向上する観点から、300MPa以上、または500MPa以上であってもよい。
【0047】
プライマリ樹脂層の厚さT1に対するセカンダリ樹脂層の厚さT2(T2/T1)は、被覆除去性を向上する観点から、0.2以上1.5以下であってもよく、0.3以上1.3以下であってもよい。
【0048】
本実施形態に係る被覆樹脂層は、光ファイバの識別性を向上する観点から、セカンダリ樹脂層を被覆する着色樹脂層を備えてもよい。
図2は、本実施形態に係る光ファイバの一例を示す概略断面図である。光ファイバ1Aは、コア12およびクラッド14を含むガラスファイバ10と、ガラスファイバ10の外周面に設けられた被覆樹脂層20とを備えている。被覆樹脂層20は、ガラスファイバ10に接してガラスファイバを被覆するプライマリ樹脂層22と、プライマリ樹脂層22を被覆するセカンダリ樹脂層24と、セカンダリ樹脂層を被覆する着色樹脂層26とを有する。
【0049】
着色樹脂層26の厚さは、被覆除去性を向上する観点から、14μm以下、10μm以下または7μm以下であってもよく、識別性を向上する観点から、2μm以上または4μm以上であってもよい。
【0050】
着色樹脂層26は、被覆樹脂層における樹脂層間の密着性に優れる観点および光ファイバの識別性に優れる観点から、ウレタン結合を有しない(メタ)アクリレートを含む光重合性化合物、光重合開始剤、および酸化チタン粒子を含有する樹脂組成物の硬化物を含んでもよい。着色樹脂層26の組成が、セカンダリ樹脂層24の組成と近い場合、着色樹脂層26とセカンダリ樹脂層24との密着性がより優れるため、界面に剥離等が生じ難くなる。着色樹脂層26が酸化チタン粒子を含む場合、光ファイバ1Aの遮蔽性が向上する。
【0051】
酸化チタン粒子の含有量は、樹脂層の視認性を向上する観点から、樹脂組成物の総量を基準として0.6質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、または3質量%以上であってもよい。酸化チタン粒子の含有量は、樹脂組成物の硬化性を高める観点から、樹脂組成物の総量を基準として20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、または8質量%以下であってもよい。
【0052】
酸化チタン粒子として、樹脂組成物中の分散性に優れる観点から、表面処理酸化チタン粒子を用いてもよい。表面処理酸化チタン粒子は、酸化チタンが無機物により表面処理が施された粒子である。
【0053】
表面処理に用いる無機物としては、例えば、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、および二酸化ジルコニウムが挙げられる。表面処理酸化チタン粒子が、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、および二酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む表面処理層を有することで、分散性をより向上することができる。表面処理層は、酸化チタン粒子の表面の少なくとも一部に形成されていてもよく、酸化チタン粒子の全表面に形成されていてもよい。表面処理層は、酸化チタン粒子の表面処理によって形成されたものである。
【0054】
表面処理酸化チタン粒子における表面処理層の量は、樹脂組成物中の分散性に優れる観点から、1質量%以上、1.5質量%以上、または2質量%以上であってもよく、隠蔽力を高める観点から、10質量%以下、9質量%以下、または8質量%以下であってもよい。表面処理層の量は、誘導結合質量分析(ICP-MS)を用いて、表面処理酸化チタン粒子に含まれるチタン元素およびチタン以外の無機物の元素の量を測定することで算出することができる。
【0055】
表面処理酸化チタン粒子の平均一次粒径は、被覆樹脂層の側圧耐性を向上する観点から、300nm以下、295nm以下、または290nm以下であってもよい。表面処理酸化チタン粒子の平均一次粒径は、隠蔽力を高める観点から、100nm以上、150nm以上、または200nm以上であってもよく、200nm以上300nm以下であってもよい。平均一次粒径は、例えば、電子顕微鏡写真の画像解析、光散乱法、BET法等によって測定することができる。
【0056】
本実施形態に係る光ファイバは、ガラスファイバの外周面にプライマリ樹脂層用の樹脂組成物を塗布した後に紫外線照射することによりプライマリ樹脂層用の樹脂組成物を硬化させてプライマリ樹脂層を形成する工程(プライマリ樹脂層形成工程)と、プライマリ樹脂層の外周にセカンダリ樹脂層用の樹脂組成物を塗布した後に紫外線照射することによりセカンダリ樹脂層用の樹脂組成物を硬化させてセカンダリ樹脂層を形成する工程(セカンダリ樹脂層形成工程)とを含む方法により作製することができる。
【0057】
(光ファイバリボン)
本実施形態に係る光ファイバを用いて光ファイバリボンを作製することができる。本実施形態に係る光ファイバリボンは、並列に配置された複数の光ファイバと、複数の光ファイバを被覆して連結する連結樹脂層と、を備える。
【0058】
図3は本実施形態に係る光ファイバリボンの一例を示す概略断面図である。
図3において、光ファイバリボン100は、並列に配置された複数の光ファイバ1Aと、複数の光ファイバ1Aがリボン用樹脂により被覆されて連結された連結樹脂層40とを有している。
図3では、一例として4本の光ファイバ1Aが示されているが、その本数は特に限定されるものではない。
【0059】
光ファイバ1Aは接して並列された状態で一体化されていてもよく、一部または全部の光ファイバ1Aが一定間隔をあけて並列された状態で一体化されていてもよい。隣り合う光ファイバ1A同士の中心間距離Fは、220μm以上280μm以下であってもよい。中心間距離を220μm以上280μm以下とした場合は、既存のV溝に光ファイバを載せ易く、一括融着性により優れる光ファイバリボンを得ることができる。光ファイバリボン100の厚さTは、光ファイバ1Aの外径にもよるが、164μm以上285μm以下であってもよい。リボン用樹脂は、特に限定されず、連結樹脂層は、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂等を含むことができる。
【実施例0060】
以下本開示に係る実施例および比較例を用いた評価試験の結果を示し、本開示を更に詳細に説明する。なお、本開示はこれら実施例に限定されない。
【0061】
[プライマリ樹脂層用の樹脂組成物]
表1に示す配合量(質量部)で各成分を混合することにより、各試験例のプライマリ樹脂層用の樹脂組成物を作製した。表1に示す各成分の詳細は、以下のとおりである。
(光重合性化合物)
光重合性化合物として、ビスフェノールAエポキシジアクリレート(EA)、ビスフェノールAのEO変性ジアクリレート(EO-EDA)、ノニルフェノールEO変性アクリレート(EO-NPA)、分子量4000のポリプロピレングリコール、トリレンジイソシアネート、およびヒドロキシエチルアクリレートを反応させて得られるウレタンアクリレート(UA)を準備した。
(光重合開始剤)
光重合開始剤として、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Omnirad TPO)を準備した。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤として、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)を準備した。
【0062】
[セカンダリ樹脂層用の樹脂組成物]
ビスフェノールAエポキシジアクリレートを60質量部、ビスフェノールAのEO変性ジアクリレートを20質量部、トリプロピレングリコールジアクリレートを15質量部、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Omnirad TPO)を1質量部、および1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン(Omnirad 184)を4質量部混合して、セカンダリ樹脂層用の樹脂組成物Sを作製した。
【0063】
[着色樹脂層用の樹脂組成物]
ビスフェノールAエポキシジアクリレートを60質量部、ビスフェノールAのEO変性ジアクリレートを29質量部、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Omnirad TPO)を1質量部、1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン(Omnirad 184)を4質量部、エーテル変性シリコーン化合物を1質量部、および表面処理酸化チタン粒子を5質量部混合して、着色樹脂層用の樹脂組成物Cを作製した。表面処理酸化チタン粒子は、酸化アルミニウム(Al2O3)を含む表面処理層を有する酸化チタン粒子であり、平均一次粒径が200nm以上300nm以下であり、ICP-MSの測定により算出されるAl2O3の量は2質量%であった。
【0064】
[リボン用の樹脂組成物]
ビスフェノールA・エチレンオキサイド付加ジオール1mol、トリレンジイソシアネート2molおよびヒドロキシエチルアクリレート2molを反応させて得られるウレタンアクリレートaと、ポリテトラメチレングリコール1mol、トリレンジイソシアネート2molおよびヒドロキシエチルアクリレート2molを反応させて得られるウレタンアクリレートbとを準備した。ウレタンアクリレートaを18質量部、ウレタンアクリレートbを10質量部、トリシクロデカンジアクリレートを15質量部、N-ビニルピロリドンを10質量部、イソボルニルアクリレートを10質量部、ビスフェノールA・エチレンオキサイド付加ジオールジアクリレートを5質量部、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン(Omnirad 907)を0.7質量部、および2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Omnirad TPO)を1.3質量部混合して、リボン用の樹脂組成物Rを作製した。
【0065】
[光ファイバの作製]
コアおよびクラッドから構成される直径125μmのガラスファイバの外周に、試験例1~7の樹脂組成物を用いて厚さ12.5μmのプライマリ樹脂層を形成し、更にその外周に樹脂組成物Sを用いて10μmのセカンダリ樹脂層を形成して、光ファイバを得た。次いで、光ファイバを一旦巻き取った後に、着色機で光ファイバを改めて繰り出しながらセカンダリ樹脂層の外周に樹脂組成物Cにより、厚さ5μmの着色樹脂層を形成することで、着色樹脂層を有する直径180μmの光ファイバ(以下、「着色光ファイバ」という。)を作製した。試験例1から試験例5が実施例に相当し、試験例6および試験例7が比較例に相当する。
【0066】
(ガラス強度)
着色光ファイバの束を温度85℃、湿度85%の環境下で60日間保管し、保管前後のガラス強度を評価した。ガラス強度は50%強度の測定により良否を判断した。50%強度は、光ファイバの引張試験において被試験光ファイバの半数が破断する強度である。本試験例では、引張速度25mm/分で各被試験光ファイバの引張試験を行った。保管前のガラス強度の50%強度値に対し、保管後のガラス強度の50%強度値が、80%よりも小さい場合を「C」、80~90%の場合を「B」、90%よりも大きい場合を「A」と評価した。
【0067】
[光ファイバリボンの作製]
12本の並列に配置された着色光ファイバの周囲に樹脂組成物Rを用いて厚み10μmの連結樹脂層を形成し、光ファイバリボンを作製した。
【0068】
(被覆除去性)
光ファイバリボンを温度85℃、湿度85%の環境下で60日間保管した後、被覆除去性を評価した。住友電気工業株式会社製のホットジャケットリムーバ「JR-6+」を使用して、光ファイバリボンを95℃で5秒間加熱した後、光ファイバリボンから樹脂層の被覆を除去した。ガラスファイバ上に樹脂層の被覆カスがなく、ガラスファイバの断線もなかった場合を「A」、ガラスファイバ上に残存した樹脂層の被覆カスを、エタノールで湿らせたキムワイプで拭き取れず、または、ガラスファイバの断線があった場合を「B」と評価した。
【0069】