(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162357
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】モータ装置および操舵装置
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20241114BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20241114BHJP
H02K 5/10 20060101ALI20241114BHJP
B60R 16/027 20060101ALN20241114BHJP
【FI】
H02K5/22
H01R13/52 D
H02K5/10
B60R16/027 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077767
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】柘植 智也
(72)【発明者】
【氏名】林 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕人
【テーマコード(参考)】
5E087
5H605
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087MM02
5E087MM05
5E087QQ04
5E087RR12
5H605AA02
5H605CC01
5H605EC05
(57)【要約】
【課題】相手コネクタの内部への水の浸入を抑制することができるモータ制御装置および操舵装置を提供する。
【解決手段】モータ装置11は、車両に搭載されるモータ12と、モータ12の端部に取り付けられる電子制御装置13とを有する。電子制御装置13は、モータ12の側方に張り出すように構成される基板22と、モータ12の軸方向からみて基板22の一部に重なるようにモータ12の側方に配置されるコネクタ組立体21とを有する。コネクタ組立体21は、基板22と向き合う第1端面、および第1端面とは反対側の第2端面を有する。第2端面には、雄型の第3のコネクタ21Eが設けられている。第3のコネクタ21Eは、雌型の第3の相手コネクタ33の内部に嵌合される。電子制御装置13は、第3のコネクタ21Eが車両の下方を向く姿勢で使用される。コネクタ組立体21の第2端面は、複数の第1の凹部42を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるモータと、前記モータの端部に取り付けられる電子制御装置と、を有するモータ装置であって、
前記電子制御装置は、前記モータの端部に取り付けられる基板であって、前記モータの軸方向からみて前記モータの側方に張り出すように構成される基板と、
前記モータの軸方向からみて前記基板の一部に重なるように前記モータの側方に配置されるコネクタ組立体であって、前記基板と向き合う第1端面、および前記第1端面とは反対側の第2端面を有するコネクタ組立体と、を有し、
前記コネクタ組立体は、前記第2端面に設けられる雄型のコネクタであって、組み合わせ相手である雌型の相手コネクタの内部に嵌合されるように構成されるコネクタを有し、
前記電子制御装置は、前記コネクタが前記車両の下方を向く姿勢で使用されるものであって、
前記第2端面は、複数の凹部または複数の突部を有するモータ装置。
【請求項2】
前記第2端面は、前記第2端面のうち前記モータと前記コネクタとの間の領域に設けられる複数の前記凹部を有するものであって、
前記第2端面に複数の前記凹部を設けることによって、互いに隣接する2つの前記凹部の間に前記モータから前記コネクタへ向かう方向に延びる複数の壁が形成されており、
複数の前記壁の少なくとも一部は、前記モータから前記コネクタへ向かう方向に直交する方向に互い違いに配置されている請求項1に記載のモータ装置。
【請求項3】
複数の前記凹部は、前記第2端面に直交する方向からみて、前記第2端面のうち前記相手コネクタに重ならない領域に設けられている請求項2に記載のモータ装置。
【請求項4】
前記コネクタは、前記基板と、前記車両に搭載されるセンサとの間で信号を授受するための信号用コネクタである請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載のモータ装置。
【請求項5】
請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載のモータ装置を有する操舵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ装置および操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータ装置は、様々な電動装置の駆動源に使用されている。たとえば、特許文献1のモータ装置は、車両の電動パワーステアリング装置に搭載される。モータ装置は、モータ、基板、およびコネクタを有している。基板は、モータの端部に設けられている。コネクタは、たとえば、雄型であって、基板に対してモータの反対側に設けられている。コネクタは、電源に接続される電源用コネクタと、外部の制御装置に接続される第1の信号用コネクタと、センサに接続される第2の信号用コネクタとを含む。コネクタは、組み合わせ相手である雌型の相手コネクタの内部に嵌合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モータ装置の搭載姿勢によっては、たとえば、モータケースを伝う水が相手コネクタの内部に浸入するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決し得るモータ装置は、車両に搭載されるモータと、前記モータの端部に取り付けられる電子制御装置と、を有するモータ装置である。前記電子制御装置は、前記モータの端部に取り付けられる基板であって、前記モータの軸方向からみて前記モータの側方に張り出すように構成される基板と、前記モータの軸方向からみて前記基板の一部に重なるように前記モータの側方に配置されるコネクタ組立体であって、前記基板と向き合う第1端面、および前記第1端面とは反対側の第2端面を有するコネクタ組立体と、を有する。前記コネクタ組立体は、前記第2端面に設けられる雄型のコネクタであって、組み合わせ相手である雌型の相手コネクタの内部に嵌合されるように構成されるコネクタを有する。前記電子制御装置は、前記コネクタが前記車両の下方を向く姿勢で使用されるものである。前記第2端面は、複数の凹部または複数の突部を有する。
【0006】
たとえば、モータ装置の表面に水が付着した場合、付着した水の一部がコネクタ組立体の第2端面を伝うおそれがある。上記の構成によれば、複数の凹部または複数の突部が、第2端面を伝う水の流れを邪魔する。このため、第2端面を伝う水が、コネクタに到達することが抑制される。したがって、コネクタの表面を介して相手コネクタの内部に水が浸入することを抑制することができる。
【0007】
上記のモータ装置において、前記第2端面は、前記第2端面のうち前記モータと前記コネクタとの間の領域に設けられる複数の前記凹部を有するものであってもよい。この場合、前記第2端面に複数の前記凹部を設けることによって、互いに隣接する2つの前記凹部の間に前記モータから前記コネクタへ向かう方向に延びる複数の壁が形成されており、複数の前記壁の少なくとも一部は、前記モータから前記コネクタへ向かう方向に直交する方向に互い違いに配置されていてもよい。
【0008】
この構成によれば、複数の壁の表面は、水が伝う経路となる。ただし、複数の壁をモータからコネクタへ向かう方向に伝う水の経路は、直線ではなく、途中で屈曲する経路となる。したがって、コネクタに水が届きにくくすることができる。
【0009】
上記のモータ装置において、複数の前記凹部は、前記第2端面に直交する方向からみて、前記第2端面のうち前記相手コネクタに重ならない領域に設けられていてもよい。
この構成によれば、相手コネクタへの水の浸入口が大きくなることが抑制される。浸入口は、相手コネクタの先端面と、コネクタ組立体の第2端面との間の隙間である。したがって、相手コネクタの内部への水の浸入を抑えることができる。
【0010】
上記のモータ装置において、前記コネクタは、前記基板と、前記車両に搭載されるセンサとの間で信号を授受するための信号用コネクタであってもよい。
この構成によれば、水が第2端面を伝って信号用コネクタに到達することを抑制することができる。
【0011】
上記課題を解決し得る操舵装置は、上記のモータ装置を有する。上記のモータ装置は、車両の操舵装置に好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のモータ装置および操舵装置によれば、相手コネクタの内部への水の浸入を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施の形態にかかるモータ装置の外観を示す斜視図である。
【
図3】
図1のモータ装置をコネクタ側からみた斜視図である。
【
図4】
図1のモータ装置の比較例の要部を示す断面図である。
【
図5】
図2のコネクタ組立体をコネクタ側からみた下面図である。
【
図6】
図2のコネクタ組立体をコネクタと反対側からみた上面図である。
【
図7】
図1のモータ装置の要部を示す断面図である。
【
図8】
図2のコネクタ組立体の要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一実施の形態にかかるモータ装置を説明する。モータ装置は、たとえば、車両の操舵装置に搭載される。操舵装置は、電動パワーステアリング装置を含む。
<全体構成>
図1に示すように、モータ装置11は、モータ12と、電子制御装置13とを有している。モータ12は、たとえば三相のブラシレスモータである。三相は、U相、V相およびW相である。モータ12は、たとえば、1系統の巻線群を有している。電子制御装置13は、モータ12の端部に設けられている。電子制御装置13は、モータ12の巻線群に対する給電を制御する。
【0015】
<モータ>
図2に示すように、モータ12は、ケース12Aを有している。ケース12Aは金属製であって、円形の断面形状を有する筒状体である。ケース12Aの内部には、ステータと、バスバーモジュールと、ロータとが収容される。ステータは、ケース12Aの内周面に嵌合される円筒状のコアと、コアにインシュレータを介して巻回される複数の巻線とを有する。バスバーモジュールは、円筒状のホルダと、ホルダに保持される複数のバスバーとを有する。各バスバーには、巻線の一端が接続される。ロータは、ステータおよびバスバーモジュールに非接触状態で挿入される。ロータは、出力軸と、出力軸の外周面に固定された円筒状の磁石とを有する。出力軸は、ケース12Aの内周面に対して軸受を介して回転可能に支持される。モータ12は、出力軸が突出する側の第1端部と、第1端部とは反対側の第2端部と、を有している。
【0016】
モータ12の第2の端部には、基板収容部12Bが設けられている。基板収容部12Bは、金属製であって、ケース12Aと一体的に設けられている。基板収容部12Bは、開口部12Cを有する矩形の箱状体である。開口部12Cは、モータ12と反対方向に開口している。基板収容部12Bは、張り出し部12Gを有している。張り出し部12Gは、基板収容部12Bにおいて、モータ12の側方へ張り出す部分である。側方は、モータ12の軸方向に直交する方向である。基板収容部12Bは、嵌合孔12Dを有している。嵌合孔12Dは、張り出し部12Gの端壁に設けられている。嵌合孔12Dは、張り出し部12Gの端壁をモータ12の軸方向に貫通している。
【0017】
モータ12の第2端部には、ヒートシンク12Eが設けられている。ヒートシンク12Eは、金属製である。金属は、アルミニウムなどの熱伝導性に優れる金属である。ヒートシンク12Eは、円形の断面形状を有する柱状体である。ヒートシンク12Eは、モータ12の軸線に対して同軸上に位置している。ヒートシンク12Eは、基板収容部12Bの端壁をモータ12の軸方向に貫通している。ヒートシンク12Eの一部分は、基板収容部12Bの内部に露出している。
【0018】
ヒートシンク12Eには、3つのモータ端子12Fが設けられている。3つのモータ端子12Fは、モータ12の巻線群を構成する三相の巻線にそれぞれ対応する。モータ端子12Fの各々は、バスバーの一部分である。ケース12Aの内部において、各相の巻線の一端が、対応する相のバスバーに接続される。モータ端子12Fは、絶縁部材を介してヒートシンク12Eをモータ12の軸方向に貫通している。3つのモータ端子12Fは、モータ12の軸方向からみて、モータ12の輪郭に対して接線方向に一列に並んでいる。
【0019】
<モータ制御装置>
図2に示すように、電子制御装置13は、コネクタ組立体21と、基板22と、カバー23とを有している。
【0020】
コネクタ組立体21は、ボディ21Aを有している。ボディ21Aは、たとえば、射出成形により製造される樹脂成形品である。射出成形は、溶融樹脂を金型に注入し、溶融樹脂を冷却して固化させることにより、樹脂成形品を得る成形技術である。ボディ21Aは、基台21Bと、第1のコネクタ21Cと、第2のコネクタ21Dと、第3のコネクタ21Eとを有している。
【0021】
基台21Bは、基板収容部12Bの開口部12Cと同じ方向に開口する矩形の箱状体である。基台21Bは、基板収容部12Bの開口部12Cと同じ方向を向く第1端面と、第1端面とは反対側の第2端面と、を有している。
【0022】
第1のコネクタ21Cは、基台21Bの第2端面に設けられている。第1のコネクタ21Cは、基台21Bの2つの短辺のうちの一方の短辺の近傍に位置するとともに、その短辺に沿うように設けられている。第1のコネクタ21Cは、基台21Bの第2端面から延びる筒状体であって、第2端面が向く方向へ開口している。第1のコネクタ21Cは、いわゆる雄型のコネクタである。
【0023】
第1のコネクタ21Cには、組み合わせ相手である第1の相手コネクタが嵌合される。第1の相手コネクタは、いわゆる雌型のコネクタである。第1のコネクタ21Cは、第1の相手コネクタの内部に嵌合される。第1の相手コネクタは、第1の配線の第1の端部に設けられる。第1の配線の第2の端部は、モータ装置11の外部に設けられるバッテリなどの直流電源に接続される。第1のコネクタ21Cは、直流電源からの電力を基板22に供給するための電源用コネクタである。
【0024】
第2のコネクタ21Dは、基台21Bの第2端面に設けられている。第2のコネクタ21Dは、基台21Bの角部に配置される。角部は、基台21Bの2つの短辺のうち第1のコネクタ21Cの近傍の短辺と、基台21Bの2つの長辺のうちの一方とにより形成される基台21Bの角部である。第2のコネクタ21Dは、角部を形成する長辺に沿うように設けられている。第2のコネクタ21Dは、基台21Bの第2端面から延びる筒状体であって、第2端面が向く方向へ開口している。第1のコネクタ21Cは、いわゆる雄型のコネクタである。
【0025】
第2のコネクタ21Dには、組み合わせ相手である第2の相手コネクタが嵌合される。第2の相手コネクタは、いわゆる雌型のコネクタである。第2のコネクタ21Dは、第2の相手コネクタの内部に嵌合される。第2の相手コネクタは、第2の配線の第1の端部に設けられる。第2の配線の第2の端部は、モータ装置11の外部に設けられる車両制御装置に接続される。第2のコネクタ21Dは、基板22と車両制御装置との間で信号を授受するための第1の信号用コネクタである。
【0026】
第3のコネクタ21Eは、基台21Bの第2端面に設けられている。第3のコネクタ21Eは、基台21Bの2つの長辺のうち第2のコネクタ21Dの近傍の長辺に沿うように設けられている。第3のコネクタ21Eは、基台21Bの長辺方向において、第2のコネクタ21Dと隣り合っている。第3のコネクタ21Eは、モータ12の軸方向からみて、基台21Bの中心を通る中心線であって、長辺方向に直交する中心線上に位置している。第3のコネクタ21Eは、基台21Bの第2端面から延びる筒状体であって、第2端面が向く方向へ開口している。第1のコネクタ21Cは、いわゆる雄型のコネクタである。
【0027】
第3のコネクタ21Eには、組み合わせ相手である第3の相手コネクタが嵌合される。第3の相手コネクタは、いわゆる雌型のコネクタである。第3のコネクタ21Eは、第3の相手コネクタの内部に嵌合される。第3の相手コネクタは、第3の配線の第1の端部に設けられる。第3の配線の第2の端部は、モータ装置11の外部に設けられる車載のセンサに接続される。センサは、たとえばトルクセンサである。第3のコネクタ21Eは、基板22とセンサとの間で信号を授受するための第2の信号用コネクタである。
【0028】
コネクタ組立体21は、電源端子21Fと、グランド端子21Gとを有している。電源端子21Fは、第1のコネクタ21Cの内部から延びて基台21Bの端壁を貫通する経路に沿うように設けられている。電源端子21Fの第1の端部は、第1のコネクタ21Cの内部に位置している。電源端子21Fの第2の端部は、基台21Bの端壁に対して直立している。グランド端子21Gは、基本的には電源端子21Fと同様にして設けられる。電源端子21Fとグランド端子21Gとは、基台21Bの短辺方向に並んでいる。
【0029】
コネクタ組立体21は、第1の信号端子を有している。第1の信号端子は、第2のコネクタ21Dの内部から延びて基台21Bの端壁を貫通する経路に沿うように設けられている。第1の信号端子の第1の端部は、第2のコネクタ21Dの内部に位置している。第1の信号端子の第2の端部は、基台21Bの端壁に対して直立している。
【0030】
コネクタ組立体21は、第2の信号端子を有している。第2の信号端子は、第3のコネクタ21Eの内部から延びて基台21Bの端壁を貫通する経路に沿うように設けられている。第2の信号端子の第1の端部は、第3のコネクタ21Eの内部に位置している。第2の信号端子の第2の端部は、基台21Bの端壁に対して直立している。
【0031】
なお、
図2においては、説明の便宜上、第1の信号端子と、第2の信号端子とを割愛している。
コネクタ組立体21は、モータ12の基板収容部12Bに取り付けられる。基台21Bの外周面は、基板収容部12Bの嵌合孔12Dの内周面に嵌合される。基台21Bは、第1のコネクタ21Cと、第2のコネクタ21Dと、第3のコネクタ21Eとを基板収容部12Bの開口部12Cへ向けた姿勢で嵌合孔12Dに挿入される。基台21Bの外周面の全周にわたって、フランジ部21Hが設けられている。フランジ部21Hは、嵌合孔12Dの周縁部分に対してモータ12の軸方向に接触した状態に維持される。第1のコネクタ21Cと、第2のコネクタ21Dと、第3のコネクタ21Eとは、基板収容部12Bの端壁から基台21Bの開口方向と反対の方向へ突出する。
【0032】
基板22は、基板収容部12Bの内部に収容される。基板22は、基板収容部12Bの内部に収容されたヒートシンク12Eおよびコネクタ組立体21に重ねられる。基板22は、コネクタ組立体21に設けられる支持部と、基板収容部12Bの内部に設けられる支持部とに固定される。基板22は、モータ12の軸方向に対して直交する姿勢に維持される。基板22の外周の輪郭形状は、モータ12の軸方向からみて、基板収容部12Bの内周の輪郭形状に対応している。
【0033】
基板22は、モータ12に電力を供給するための構成を有している。基板22は、インバータ回路22Aと、モータ端子接続部22Bと、電源端子接続部22Cと、グランド端子接続部22Dと、フィルタ22Eと、マイクロコンピュータ22Fとを有している。また、説明の便宜上、図示は割愛するが、基板22は、第1の信号端子接続部と、第2の信号端子接続部とを有している。基板22は、基板収容部12Bの端壁に対してモータ12の軸方向に対向する裏面と、裏面とは反対側の表面と、を有している。
【0034】
インバータ回路22Aは、基板22の裏面に設けられている。インバータ回路22Aは、モータ12の巻線群に供給される電力を生成する。インバータ回路22Aは、直流電源からの直流電力を三相の交流電力に変換する。インバータ回路22Aは、複数のFET(Field Effect Transistor)を有している。FETは、発熱素子である。各FETは、放熱グリスを介してヒートシンク12Eに接触した状態に維持される。
【0035】
モータ端子接続部22Bは、3つのモータ端子12Fに対応する位置に設けられている。モータ端子接続部22Bは、3つのモータ端子12Fがそれぞれ接続される三相の接続部位の群である。群を構成する三相の接続部位は、モータ12の軸方向からみて、3つのモータ端子12Fに対応する位置に設けられている。接続部位は、たとえば基板22をその厚み方向に貫通する第1の貫通孔を含む。基板22の厚み方向は、モータ12の軸方向でもある。各モータ端子12Fは、モータ12の軸方向から、対応する第1の貫通孔に挿入されることによって、対応する接続部位に接続される。
【0036】
電源端子接続部22Cは、電源端子21Fが接続される部分である。電源端子接続部22Cは、モータ12の軸方向からみて、電源端子21Fの直立した第2の端部に対応する位置に設けられている。電源端子接続部22Cには、電源端子21Fの第2の端部がモータ12の軸方向に接続される。電源端子接続部22Cは、たとえば基板22をその厚み方向に貫通する第2の貫通孔を含む。電源端子21Fは、モータ12の軸方向から基板22の第2の貫通孔に挿入されることによって、電源端子接続部22Cに接続される。
【0037】
グランド端子接続部22Dは、グランド端子21Gが接続される部分である。グランド端子接続部22Dは、モータ12の軸方向からみて、グランド端子21Gの直立した第2の端部に対応する位置に設けられている。グランド端子接続部22Dには、グランド端子21Gの第2の端部がモータ12の軸方向に接続される。グランド端子接続部22Dは、たとえば基板22をその厚み方向に貫通する第3の貫通孔を含む。グランド端子21Gは、モータ12の軸方向から基板22の第3の貫通孔に挿入されることによって、グランド端子接続部22Dに接続される。
【0038】
第1の信号端子接続部は、第1の信号端子が接続される部分である。第1の信号端子接続部は、モータ12の軸方向からみて、第1の信号端子の直立した第2の端部に対応する位置に設けられる。第1の信号端子接続部には、第1の信号端子の第2の端部がモータ12の軸方向に接続される。第1の信号端子接続部は、たとえば基板22をその厚み方向に貫通する第4の貫通孔を含む。第1の信号端子は、モータ12の軸方向から基板22の第4の貫通孔に挿入されることによって、第1の信号端子接続部に接続される。
【0039】
第2の信号端子接続部は、第2の信号端子が接続される部分である。第2の信号端子接続部は、モータ12の軸方向からみて、第2の信号端子の直立した第2の端部に対応する位置に設けられる。第1の信号端子接続部には、第1の信号端子の第2の端部がモータ12の軸方向に接続される。第1の信号端子接続部は、たとえば基板22をその厚み方向に貫通する第4の貫通孔を含む。第1の信号端子は、モータ12の軸方向から基板22の第4の貫通孔に挿入されることによって、第1の信号端子接続部に接続される。
【0040】
フィルタ22Eは、たとえば、インダクタおよびコンデンサからなるLCフィルタである。フィルタ22Eは、基板22の表面に設けられている。インダクタは、コイルからなる発熱素子である。
【0041】
マイクロコンピュータ22Fは、チップ型の集積回路である。マイクロコンピュータ22Fは、インバータ回路22Aを介してモータ12の巻線群に対する給電を制御する。マイクロコンピュータ22Fは、基板22の裏面に設けられている。
【0042】
カバー23は、合成樹脂製である。カバー23は、モータ12に向かって開口する矩形の箱状体である。カバー23は、コネクタ組立体21の支持部と、基板収容部12Bの支持部とに基板22が支持された状態で、基板収容部12Bの開口部12Cを覆うように基板収容部12Bに取り付けられる。
【0043】
<コネクタ組立体21の比較例>
つぎに、コネクタ組立体21の比較例について説明する。
図3に示すように、基台21Bの第2端面は、凹凸のない平面である。第2端面は、第1のコネクタ21Cと、第2のコネクタ21Dと、第3のコネクタ21Eとが設けられる基台21Bの端面である。この構成を採用する場合、つぎのような懸念がある。
【0044】
図4に示すように、モータ装置11は、車両の上下方向に対して傾いた姿勢で取り付けられることがある。
図4の例では、モータ装置11は、上下方向に対して反時計回りに傾斜している。電子制御装置13は、上下方向に対して反時計回りに傾いた状態に維持される。
【0045】
たとえば、第3のコネクタ21Eは、下を向いている。第3のコネクタ21Eには、第3の相手コネクタ33が下方から嵌合されている。第3の相手コネクタ33のハウジングは、周壁と、嵌合部とを有している。嵌合部は、第3のコネクタ21Eが嵌合される凹状の部分であって、周壁によって囲まれた部分である。嵌合部は、上方に開口している。
【0046】
このため、
図4に矢印A1で示すように、たとえば、モータ装置11の表面に水が付着した場合、つぎのような事象が発生することが想定される。すなわち、付着した水の一部が、基台21Bの第2端面と、第3のコネクタ21Eの表面とを伝って、第3の相手コネクタ33の内部に浸入するとともに、浸入した水が第3の相手コネクタ33の内部に溜まるおそれがある。
【0047】
モータ装置11が、たとえば寒冷地で使用される場合、第3の相手コネクタ33の内部に溜まった水が凍ることが考えられる。水が凍ると体積が増える。体積の増加に伴い、第3の相手コネクタ33は、第3のコネクタ21Eに対して抜ける方向の力F1を受けるおそれがある。第3のコネクタ21Eと、第3の相手コネクタ33との結合力によっては、力F1によって、第3のコネクタ21Eと、第3の相手コネクタ33との良好な嵌合状態が損なわれることが懸念される。ちなみに、第3のコネクタ21Eと、第3の相手コネクタ33との結合力は、電源用コネクタである第1のコネクタ21Cと、第1の相手コネクタとの結合力よりも弱いことがある。
【0048】
なお、
図4においては、説明の便宜上、第1のコネクタ21Cと、第2のコネクタ21Dとを割愛しているが、第1のコネクタ21Cと、第2のコネクタ21Dとは、各々、下を向いている。
【0049】
第1のコネクタ21Cには、第1の相手コネクタが下方から嵌合されている。第1の相手コネクタのハウジングは、周壁と、嵌合部とを有している。嵌合部は、第1のコネクタ21Cが嵌合される凹状の部分であって、周壁によって囲まれた部分である。嵌合部は、上方に開口している。モータ装置11の表面に付着した水が、基台21Bの第2端面と、第1のコネクタ21Cの表面とを伝って、第1の相手コネクタの内部に浸入するとともに、浸入した水が第1の相手コネクタの内部に溜まるおそれがある。
【0050】
第2のコネクタ21Dには、第2の相手コネクタが下方から嵌合されている。第2の相手コネクタのハウジングは、周壁と、嵌合部とを有している。嵌合部は、第2のコネクタ21Dが嵌合される凹状の部分であって、周壁によって囲まれた部分である。嵌合部は、上方に開口している。モータ装置11の表面に付着した水が、基台21Bの第2端面と、第2のコネクタ21Dの表面とを伝って、第2の相手コネクタの内部に浸入するとともに、浸入した水が第2の相手コネクタの内部に溜まるおそれがある。
【0051】
そこで、本実施の形態では、コネクタ組立体21として、つぎの構成を採用している。
<水の浸入を抑制するための構造>
図5に示すように、基台21Bの第2端面は、第1の凹部群41と、第2の凹部群51とを有している。第1の凹部群41と、第2の凹部群51とは、基台21Bの第2端面に直交する方向からみて、第1の相手コネクタ31と、第2の相手コネクタ32と、第3の相手コネクタ33とに重ならない領域に設けられている。第1の相手コネクタ31は、第1のコネクタ21Cに嵌合される。第2の相手コネクタ32は、第2のコネクタ21Dに嵌合される。第3の相手コネクタ33は、第3のコネクタ21Eに嵌合される。
【0052】
第1の凹部群41は、第2端面に直交する方向からみて、第2端面の中心を通る中心線O1であって、長辺方向に直交する中心線O1上に位置している。第1の凹部群41は、第2端面に直交する方向からみて、モータ12と、第3のコネクタ21Eとの間に位置している。第1の凹部群41は、基台21Bの短辺方向において、第3のコネクタ21Eに間隔をあけて隣接している。第1の凹部群41は、基台21Bの長辺方向において、第1のコネクタ21Cに間隔をあけて隣接している。
【0053】
第2の凹部群51は、第2端面に直交する方向からみて、第1の凹部群41に対して第1のコネクタ21Cと反対側に位置している。すなわち、基台21Bの長手方向において、第1の凹部群41は、第1のコネクタ21Cと、第2の凹部群51との間に位置している。第2の凹部群51は、基台21Bの短辺方向において、第1の凹部群41に隣接する部分と、第3のコネクタ21Eに間隔をあけて隣接する部分とを有している。
【0054】
第1の凹部群41は、複数の第1の凹部42を有している。第1の凹部42は、概ね長方形の断面形状を有する非貫通の穴である。第1の凹部42は、第2端面に直交する方向からみて、縦横に並んでいる。縦は、基台21Bの短辺方向、横は、基台21Bの長辺方向である。ただし、複数の第1の凹部42の一部は、基台21Bの長辺方向に互い違いに配置されている。
【0055】
たとえば、第1の凹部群41は、長辺方向に複数の第1の凹部42が並ぶ3列の第1の凹部42を有している。1列目の第1の凹部42が、基台21Bの短辺方向において、基台21Bの長辺に最も近い。長辺は、基台21Bの2つの長辺のうち、基台21Bの短辺方向において、第3のコネクタ21Eから遠い方の長辺である。
【0056】
1列目の第1の凹部42と、2列目の第1の凹部42とは、長辺方向に交互にずれている。すなわち、1列目の第1の凹部42と、2列目の第1の凹部42とは、短辺方向において同じ列にはない。2列目の第1の凹部42と、3列目の第1の凹部42とは、長辺方向に交互にずれていない。すなわち、2列目の第1の凹部42と、3列目の第1の凹部42とは、短辺方向において同列に並んでいる。
【0057】
複数の第1の凹部42は、複数の第1の縦リブ43Aと、複数の第1の横リブ43Bとを形成している。第1の縦リブ43Aは、基台21Bの長辺方向において互いに隣接する2つの第1の凹部42の間の壁であって、基台21Bの短辺方向に延びている。第1の横リブ43Bは、基台21Bの短辺方向において互いに隣接する2つの第1の凹部42の間の壁であって、基台21Bの長辺方向に延びている。
【0058】
1列目の第1の縦リブ43Aと、2列目の第1の縦リブ43Aとは、長辺方向に交互にずれている。すなわち、1列目の第1の縦リブ43Aと、2列目の第1の縦リブ43Aとは、短辺方向に延びる同一の直線上にない。2列目の第1の縦リブ43Aと、3列目の第1の縦リブ43Aとは、短辺方向に延びる同一の直線上にある。
【0059】
第2の凹部群51は、複数の第2の凹部52を有している。第2の凹部52は、概ね長方形の断面形状を有する非貫通の穴である。第2の凹部52は、第2端面に直交する方向からみて、縦横に並んでいる。縦は、基台21Bの短辺方向、横は、基台21Bの長辺方向である。複数の第2の凹部52は、基台21Bの長辺方向に互い違いに配置されている。
【0060】
たとえば、第2の凹部群51は、長辺方向に複数の第2の凹部52が並ぶ8列の第2の凹部52を有している。1列目の第1の凹部42は、基台21Bの2つの長辺のうち、基台21Bの短辺方向において第3のコネクタ21Eから遠い方の長辺に最も近い。基台21Bの短辺方向において互いに隣接する2つの列の第2の凹部52は、長辺方向に交互にずれている。
【0061】
複数の第2の凹部52は、複数の第2の縦リブ53Aと、複数の第2の横リブ53Bとを形成している。第2の縦リブ53Aは、基台21Bの長辺方向において互いに隣接する2つの第2の凹部52の間の壁であって、基台21Bの短辺方向に延びている。第2の横リブ53Bは、基台21Bの短辺方向において互いに隣接する2つの第1の凹部42の間の壁であって、基台21Bの長辺方向に延びている。
【0062】
基台21Bの短辺方向において互いに隣接する2つの列の第2の縦リブ53Aは、長辺方向に交互にずれている。すなわち、基台21Bの短辺方向において互いに隣接する2つの列の第2の縦リブ53Aは、短辺方向に延びる同一の直線上にない。基台21Bの短辺方向において互いに隣接する2つの列の間の第2の横リブ53Bは、基台21Bの長辺方向に延びる同一の直線上にある。
【0063】
なお、
図6に示すように、基台21Bの第1端面は、第3の凹部群61を有している。第3の凹部群61は、第1端面に直交する方向からみて、第1の凹部群41と、第2の凹部群51とに重ならない第1端面の領域に設けられている。
【0064】
第3の凹部群61は、複数の第3の凹部62を有している。第3の凹部62は、概ね長方形の断面形状を有する非貫通の穴である。第3の凹部62は、基台21Bの第1端面に直交する方向からみて、第1のコネクタ21Cの周辺と、第2のコネクタ21Dの周辺と、第3のコネクタ21Eの周辺とに設けられている。第3の凹部62は、基台21Bの第1端面に直交する方向からみて、縦横に並んでいる。縦は、基台21Bの短辺方向、横は、基台21Bの長辺方向である。
【0065】
複数の第3の凹部62は、複数の第3の縦リブ63Aと、複数の第3の横リブ63Bとを形成している。第3の縦リブ63Aは、基台21Bの長辺方向において互いに隣接する2つの第3の凹部62の間の壁であって、基台21Bの短辺方向に延びている。第3の横リブ63Bは、基台21Bの短辺方向において互いに隣接する2つの第3の凹部62の間の壁であって、基台21Bの長辺方向に延びている。基台21Bの短辺方向において互いに隣接する2つの列の第3の縦リブ63Aは、短辺方向に延びる同一の直線上にあってもよい。
【0066】
<実施の形態の作用>
つぎに、本実施の形態の作用について説明する。
図7に示すように、モータ装置11は、先の
図4に示される比較例と同様に、車両の上下方向に対して反時計回りに傾いた姿勢で取り付けられている。第1の凹部群41は、第3のコネクタ21Eの上流側に位置している。上流側とは、モータ12に近い側のことである。
図7に矢印A2で示すように、たとえば、モータ装置11の表面に水が付着した場合、付着した水の一部は、重力によって、基台21Bの第2端面を、モータ12から第3のコネクタ21Eに向かう方向に流下する。
【0067】
図8に示すように、水は、やがて第1の凹部42に至るとともに、第1の凹部42の内部に流れ込む前に落下する。このため、水が第3のコネクタ21Eに到達することが抑制される。また、水が、第1の凹部群41が設けられた領域から回り込んで、第1のコネクタ21Cあるいは第2のコネクタ21Dに到達することが抑制される。したがって、水が、第1~第3の相手コネクタ31~33の内部に浸入することが抑制される。第1の凹部42は、モータ12から第1のコネクタ21C、第2のコネクタ21D、あるいは第3のコネクタ21Eに向かう方向の水の流れを邪魔する部分である。
【0068】
また、水の一部は、重力によって、基台21Bの第2端面のうち、モータ12から第2の凹部群51が設けられた領域を流下することもある。このとき、水の一部は、第2の凹部52に至るとともに、第2の凹部52の内部に流れ込む前に落下する。このため、水が、第2の凹部群51が設けられた領域から回り込んで、第1のコネクタ21C、第2のコネクタ21D、あるいは第3のコネクタ21Eに到達することが抑制される。第2の凹部52は、モータ12から第1のコネクタ21C、第2のコネクタ21D、あるいは第3のコネクタ21Eに向かう方向の水の流れを邪魔する部分である。
【0069】
ちなみに、
図5に示すように、第1の縦リブ43A、および第1の横リブ43Bは、水が伝う経路となる。第1の縦リブ43Aは、基台21Bの短辺方向、すなわち、モータ12から第3のコネクタ21Eに向かう方向に延びている。ただし、1列目の第1の縦リブ43Aと、2列目の第1の縦リブ43Aとは、短辺方向に延びる同一の直線上にない。このため、
図5に矢印A3で示すように、モータ12から第1の凹部群41が設けられた領域に伝ってくる短辺方向の水の経路は、直線ではなく、途中で屈曲する経路となる。したがって、第3のコネクタ21Eには、水が届きにくい。また、水は、第1の凹部群41が設けられた領域から回り込んで第1のコネクタ21Cあるいは第2のコネクタ21Dに到達することが抑制される。
【0070】
第2の縦リブ53A、および第2の横リブ53Bも、水が伝う経路となる。第2の縦リブ53Aは、基台21Bの短辺方向に延びている。ただし、基台21Bの短辺方向において互いに隣接する2つの列の第2の縦リブ53Aは、短辺方向に延びる同一の直線上にない。このため、
図5に矢印A4で示すように、モータ12から第2の凹部群51が設けられた領域に伝ってくる短辺方向の水の経路は、直線ではなく、途中で屈曲する経路となる。したがって、水が、第2の凹部群51が設けられた領域から回り込んで第3のコネクタ21Eに到達することが抑制される。
【0071】
<実施の形態の効果>
本実施の形態は、以下の効果を奏する。
(1)基台21Bの第2端面は、第1の凹部群41を有している。第1の凹部42は、基台21Bの第2端面のうち、第1の凹部群41が設けられた領域を流下する水の流れを邪魔する。このため、水が、第1のコネクタ21C、第2のコネクタ21D、および第3のコネクタ21Eに到達することが抑制される。したがって、水が、第1~第3の相手コネクタ31~33の内部に浸入することが抑制される。なお、第1の凹部群41は、第3のコネクタ21Eの上流側に位置している。このため、特に、第3のコネクタ21Eは、水が届きにくい。
【0072】
(2)基台21Bの第2端面は、第2の凹部群51を有している。第2の凹部52は、基台21Bの第2端面のうち、第2の凹部群51が設けられた領域を流下する水の流れを邪魔する。このため、水が、第2の凹部群51が設けられた領域から回り込んで、第1のコネクタ21C、第2のコネクタ21D、あるいは第3のコネクタ21Eに到達することが抑制される。したがって、水が、第1~第3の相手コネクタ31~33の内部に浸入することが抑制される。
【0073】
(3)基台21Bの第2端面に、第1の凹部群41、および第2の凹部群51を設けるだけで、第1のコネクタ21C、第2のコネクタ21D、あるいは第3のコネクタ21Eに到達することが抑制される。このため、新たな部品を追加することなく、第1~第3の相手コネクタ31~33の内部への水の浸入に対して、より高い信頼性を確保することができる。
【0074】
(4)
図5に示す1列目の第1の縦リブ43Aと、2列目の第1の縦リブ43Aとは、長辺方向に交互にずれている。すなわち、1列目の第1の縦リブ43Aと、2列目の第1の縦リブ43Aとは、短辺方向に延びる同一の直線上にない。換言すれば、複数の第1の縦リブ43Aの少なくとも一部が、モータ12から第3のコネクタ21Eへ向かう方向に直交する方向に互い違いに配置されている。このため、モータ12から第1の凹部群41に伝ってくる短辺方向の水の経路は、直線ではなく、途中で屈曲する経路となる。したがって、第3のコネクタ21Eに水が届きにくくなる。また、水が、第1の凹部群41から回り込んで第1のコネクタ21Cあるいは第2のコネクタ21Dに到達することを抑制することができる。
【0075】
(5)
図5に示すように、基台21Bの短辺方向において互いに隣接する2つの列の第2の縦リブ53Aは、長辺方向に交互にずれている。すなわち、基台21Bの短辺方向において互いに隣接する2つの列の第2の縦リブ53Aは、短辺方向に延びる同一の直線上にない。このため、モータ12から第2の凹部群51に伝ってくる短辺方向の水の経路は、直線ではなく、途中で屈曲する経路となる。したがって、水が、第2の凹部群51から回り込んで第3のコネクタ21Eに到達することを抑制することができる。
【0076】
(6)第1の凹部群41と、第2の凹部群51と、第3の凹部群61とは、基台21Bの第1端面または第2端面に直交する方向からみて、互いに重ならないように配置されている。複数の第1の凹部42は、複数の第1の縦リブ43Aと、複数の第1の横リブ43Bとを形成している。複数の第2の凹部52は、複数の第2の縦リブ53Aと、複数の第2の横リブ53Bとを形成している。複数の第3の凹部62は、複数の第3の縦リブ63Aと、複数の第3の横リブ63Bとを形成している。すなわち、基台21Bの第1端面または第2端面に直交する方向からみて、互いに重ならない複数の領域に、各々、複数の縦リブ(43A,53A,63A)と、複数の横リブ(43B,53B,63B)とが設けられている。このため、ボディ21A、ひいてはコネクタ組立体21に要求される剛性を確保することができる。
【0077】
(7)第1の凹部群41と、第2の凹部群51とは、基台21Bの第2端面に直交する方向からみて、第1の相手コネクタ31と、第2の相手コネクタ32と、第3の相手コネクタ33とに重ならない領域に設けられている。このため、第1~第3の相手コネクタ31~33への水の浸入口が大きくなることが抑制される。浸入口は、第1~第3の相手コネクタ31~33の先端面と、基台21Bの第2端面との間の隙間である。したがって、第1~第3の相手コネクタ31~33の内部への水の浸入を抑えることができる。
【0078】
(8)第3の凹部群61は、基台21Bの第1端面に直交する方向からみて、第1の凹部群41と、第2の凹部群51とに重ならない領域に設けられている。このため、第1の凹部42と、第2の凹部52と、第3の凹部62との寸法を、各々、調節することにより、ボディ21Aの各部の樹脂の厚みを均一な状態に近づけることができる。このため、ボディ21Aにおいて、ヒケの発生が抑制される。また、ボディ21Aの成形性が向上する。ヒケは、樹脂成形品が金型の内部で冷却されて固化する過程において、肉厚部分が肉薄部分よりも多く収縮することによって、肉厚部分の表面にへこみが発生する現象である。
【0079】
<他の実施の形態>
なお、本実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
・第1の凹部42の断面形状、および第2の凹部52の断面形状は、矩形でなくてもよい。第1の凹部42の断面形状、および第2の凹部52の断面形状は、たとえば、円形、台形、あるいは三角形であってもよい。基台21Bの長辺方向に隣接する2つの凹部の間の縦リブに相当する部分の少なくとも一部が、短辺方向に延びる同一の直線上になければよい。
【0080】
・モータ装置11は、車両の上下方向に対して傾斜して設けられないこともある。ただし、この場合であれ、モータ装置11の表面に水が付着した場合、付着した水の一部がコネクタ組立体21の第2端面を伝うおそれがある。たとえば、複数の第1の凹部42が、第2端面を伝う水の流れを邪魔するため、第2端面を伝う水が、第3のコネクタ21Eに到達することが抑制される。したがって、第3のコネクタ21Eの表面を介して第3の相手コネクタ33の内部に水が浸入することを抑制することができる。
【0081】
・第1の凹部42に代えて、第1の突部を設けてもよい。また、第2の凹部52に代えて、第2の突部を設けてもよい。第1の突部、および第2の突部は、基台21Bの第2端面を流下する水の流れを邪魔する。このため、水が、第1~第3の相手コネクタ31~33の内部に浸入することが抑制される。
【0082】
・モータ12は、2系統の巻線群を有していてもよい。また、モータ装置11は、2系統の巻線群の各々に対応する2系統の給電系統を有していてもよい。この場合、
図5に示される第2の凹部群51に代えて、もう1組の第1のコネクタ21Cと第2のコネクタ21Dとを設ける。
【0083】
・モータ装置11は、ステアバイワイヤ方式の操舵装置において、反力機構あるいは転舵機構の駆動源として使用してもよい。この場合、モータ12は操舵反力を発生する反力モータ、あるいは車両の転舵輪を転舵させるための転舵力を発生する転舵モータとして機能する。
【符号の説明】
【0084】
11…モータ装置
12…モータ
13…電子制御装置
21…コネクタ組立体
22…基板
21E…第3のコネクタ(コネクタ)
33…第3の相手コネクタ(相手コネクタ)
42…凹部
43A…第1の縦リブ(壁)