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特開2024-162375情報処理装置、説明書評価システム、および説明書評価方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162375
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、説明書評価システム、および説明書評価方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20241114BHJP
   G06Q 10/0631 20230101ALI20241114BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06Q10/0631
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077816
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】湊 崇晃
(72)【発明者】
【氏名】下沢 拓
(72)【発明者】
【氏名】大島 訓
(72)【発明者】
【氏名】牧 晋広
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA09
5L049AA09
5L049CC04
5L050CC04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】一般ユーザーが参照する説明書の改善業務を効率化する情報処理装置を提供する。
【解決手段】説明書評価システムにおいて、情報処理装置である説明書管理サーバ103は、制御部、記憶部104、入力部及び出力部を有する。制御部は分析機能を有し、ユーザーに所定の作業を指示する説明書を、ユーザーが操作する端末に提供する。記憶部は、説明書の内容を、作業ブロックと作業要素とユーザーが実行するべき操作とに対応付けた工程メタデータテーブルを記憶する。入力部は、一般的な入力装置及び/又は通信部107であり、ユーザーが説明書を使用する際に端末が検出した処理の履歴を作業ブロック毎に取得して、作業履歴テーブルとして記録する。分析機能は、工程メタデータテーブルと作業履歴テーブルを参照し、ユーザーにとって作業効率の低い作業ブロックにおいて、作業要素のうちどの作業要素が作業効率低下の要因になっているかを分析する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部、記憶部、入力部、出力部を有し、前記制御部が分析機能を有する情報処理装置であって、
前記制御部は、ユーザーに所定の作業を指示する説明書を、前記出力部からユーザーが操作する端末に提供する機能を有し、
前記記憶部は、前記説明書の内容を、作業ブロックと、前記作業ブロックに対応付けられる作業要素と、前記作業要素で前記ユーザーが実行するべき操作と、に対応付け、前記作業ブロックと前記作業要素と前記操作を相互に関連付けて記憶する工程メタデータテーブルを記憶し、
前記入力部は、前記ユーザーが前記説明書を使用する際に前記端末が検出した処理の履歴を前記作業ブロックごとに取得して、前記記憶部に作業履歴テーブルとして記録し、
前記分析機能は、前記工程メタデータテーブルと前記作業履歴テーブルを参照し、前記ユーザーにとって作業効率の低い前記作業ブロックにおいて、前記作業要素のうちどの作業要素が作業効率低下の要因になっているかを分析する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記ユーザーを特定するユーザーIDに対応して当該ユーザーの特性値を格納したユーザーテーブルを有し、
前記工程メタデータテーブルは、前記作業ブロックごとに作業効率を評価する基準値を格納し、
前記作業履歴テーブルは、複数のユーザーについて、前記ユーザーIDと前記作業ブロックの組み合わせに対応して前記処理の履歴を反映した数値を格納し、
前記分析機能は、前記ユーザーテーブルと前記工程メタデータテーブルと前記作業履歴テーブルを参照し、特定の特性値を有する前記ユーザーごとに前記作業履歴テーブルの前記数値を集計し、集計結果と前記基準値を比較することで、特定の特性値を有する前記ユーザーにとって作業効率の低い前記作業ブロックを一または複数の注目作業ブロックとして特定する、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記分析機能は、前記工程メタデータテーブルを参照し、前記説明書に含まれている複数種類の操作のそれぞれについて、前記注目作業ブロックに含まれる割合を計算することで、前記注目作業ブロックに偏在して含まれる操作を一または複数の注目操作として特定する、
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記分析機能は、前記工程メタデータテーブルを参照し、前記注目作業ブロックのうち、前記作業要素として、前記注目操作の少なくとも一つが対応づけられているものを特定し、
前記出力部は、特定された前記作業要素を示す情報を出力する、
請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記出力部は、特定された前記作業要素とともに、前記注目作業ブロックについて作業効率が低いユーザーの特性値を示す情報を出力する、
請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記入力部は、前記ユーザーが配信された前記説明書を使用する際に前記ユーザーが前記端末に対して行った端末操作のタイミングおよび回数の少なくとも一つを前記作業ブロックごとに検出することにより、前記処理の履歴を前記作業ブロックごとに取得する、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記端末が検出した処理の履歴は、前記説明書が前記作業ブロックを単位として前記端末に表示された場合の、表示の切り替えのタイミングである、
請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
請求項1記載の情報処理装置と前記ユーザーが操作する端末を含む説明書評価システムであって、
前記端末は、前記説明書のデータを、前記作業ブロックを単位として、ディスプレイの1画面内に同時もしくは画面スクロールを行うことで表示し、
前記端末が検出した処理の履歴は、前記ディスプレイの画面の切り替えタイミングの情報である、
説明書評価システム。
【請求項9】
請求項1記載の情報処理装置と前記ユーザーが操作する端末を含む説明書評価システムであって、
前記端末が検出した処理の履歴は、前記端末のディスプレイに表示したアイコンまたはイメージの操作回数の情報およびチャット機能の履歴情報の少なくとも一つである、
説明書評価システム。
【請求項10】
制御部、記憶部、入力部、出力部を有し、前記制御部が分析機能を有する情報処理装置で実行される説明書評価方法であって、
前記記憶部は、ユーザーに所定の作業を指示する説明書の内容を、作業ブロックと、前記作業ブロックに対応付けられる作業要素と、前記作業要素でユーザーが実行するべき操作と、に対応付け、前記作業ブロックと前記作業要素と前記操作を相互に関連付けて記憶する工程メタデータテーブルを格納し、
前記制御部が、前記説明書を、前記出力部から前記ユーザーが操作する端末に提供する第1のステップ、
前記入力部が、前記ユーザーが前記説明書を使用する際に前記端末が検出した処理の履歴を、前記作業ブロックごとに取得する第2のステップ、
前記記憶部が、複数のユーザーについて、前記ユーザーIDと前記作業ブロックの組み合わせに対応づけて前記処理の履歴を反映した数値を格納した作業履歴テーブルを記録する第3のステップ、
前記分析機能が、前記作業履歴テーブルを参照し、前記前記作業ブロックごとに前記数値の平均値を計算し、前記平均値と基準値を比較することで、前記作業ブロックから一または複数の注目作業ブロックを抽出する第4のステップ、
前記分析機能が、前記工程メタデータテーブルを参照し、説明書に含まれている複数種類の操作のうち、前記注目作業ブロックに偏在して含まれる操作を一または複数の注目操作として特定する第5のステップ、
前記分析機能が、前記工程メタデータテーブルを参照し、前記注目作業ブロックのうち、前記作業要素として、前記注目操作の少なくとも一つが対応づけられているものを特定する第6のステップ、
前記出力部が、特定された前記作業要素を示す情報を出力する第7のステップ、
を実行する説明書評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーが参照する説明の適切性を判定する技術に関する。特に、家具組立て説明書など、主に一般のユーザーが参照する説明書の改善業務を、ユーザーが端末上から説明書を参照した履歴データに基づく分析処理により支援するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業者が実施した作業行動から収集した情報に基づいて、作業者が範とする作業に関する説明の適切性を評価する技術として、特許文献1や特許文献2に記載された技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、熟練者と非熟練者の作業時間と、作業工程を撮影したデータを比較し、作業遅延が発生したり、動作が異なる作業ステップを検出したりすることで、作業マニュアルに暗黙知が含まれているか否か判定する技術が記載されている。
【0004】
特許文献2には、作業者の習熟度に応じて、事前に撮影した組立てシナリオを表示し、各工程に時間測定と動画撮影を行い、作業効率が最も良かった場合には撮影した作業動画を次回から表示するシナリオとして保存し、作業効率が悪かった作業者に対しては作業の改善点を通知する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-004274号公報
【特許文献2】特開2011-134224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載されているシステムによって評価が可能であるのは、作業データを詳細に取得することが可能である生産現場において、少なくとも必要最低限の操作を体得し、かつその熟練の度合いを経験回数や入社年度などによって分類可能である作業者が参照するマニュアルに限定される。
【0007】
すなわち、特許文献1や特許文献2に記載の技術は、作業の動画を撮影したり、細かな工程の完了ごとに作業データの入力を行ったりすることが可能な、業務として作業を行う者に対する説明書の改善には適用できるが、個々の操作について能力や経験にばらつきがあり、また作業データの取得を義務付けることができない一般のユーザーについて、そのまま適用することが難しい。
【0008】
そこで本発明の課題は、一般ユーザーが参照する説明書の改善業務を効率化する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、制御部、記憶部、入力部、出力部を有し、前記制御部が分析機能を有する情報処理装置であって、前記制御部は、ユーザーに所定の作業を指示する説明書を、前記出力部からユーザーが操作する端末に提供する機能を有し、前記記憶部は、前記説明書の内容を、作業ブロックと、前記作業ブロックに対応付けられる作業要素と、前記作業要素で前記ユーザーが実行するべき操作と、に対応付け、前記作業ブロックと前記作業要素と前記操作を相互に関連付けて記憶する工程メタデータテーブルを記憶し、前記入力部は、前記ユーザーが前記説明書を使用する際に前記端末が検出した処理の履歴を前記作業ブロックごとに取得して、前記記憶部に作業履歴テーブルとして記録し、前記分析機能は、前記工程メタデータテーブルと前記作業履歴テーブルを参照し、前記ユーザーにとって作業効率の低い前記作業ブロックにおいて、前記作業要素のうちどの作業要素が作業効率低下の要因になっているかを分析する、情報処理装置である。
【0010】
本発明の他の一側面は、上記記載の情報処理装置と前記ユーザーが操作する端末を含む説明書評価システムであって、前記端末は、前記説明書のデータを、前記作業ブロックを単位として、ディスプレイの1画面内に同時もしくは画面スクロールを行うことで表示し、前記端末が検出した処理の履歴は、前記ディスプレイの画面の切り替えタイミングの情報である、説明書評価システムである。
【0011】
本発明の他の一側面は、上記記載の情報処理装置と前記ユーザーが操作する端末を含む説明書評価システムであって、前記端末が検出した処理の履歴は、前記端末のディスプレイに表示したアイコンまたはイメージの操作回数の情報およびチャット機能の履歴情報の少なくとも一つである、説明書評価システムである。
【0012】
本発明の他の一側面は、制御部、記憶部、入力部、出力部を有し、前記制御部が分析機能を有する情報処理装置で実行される説明書評価方法であって、前記記憶部は、ユーザーに所定の作業を指示する説明書の内容を、作業ブロックと、前記作業ブロックに対応付けられる作業要素と、前記作業要素でユーザーが実行するべき操作と、に対応付け、前記作業ブロックと前記作業要素と前記操作を相互に関連付けて記憶する工程メタデータテーブルを格納し、前記制御部が、前記説明書を、前記出力部から前記ユーザーが操作する端末に提供する第1のステップ、前記入力部が、前記ユーザーが前記説明書を使用する際に前記端末が検出した処理の履歴を、前記作業ブロックごとに取得する第2のステップ、前記記憶部が、複数のユーザーについて、前記ユーザーIDと前記作業ブロックの組み合わせに対応づけて前記処理の履歴を反映した数値を格納した作業履歴テーブルを記録する第3のステップ、前記分析機能が、前記作業履歴テーブルを参照し、前記前記作業ブロックごとに前記数値の平均値を計算し、前記平均値と基準値を比較することで、前記作業ブロックから一または複数の注目作業ブロックを抽出する第4のステップ、前記分析機能が、前記工程メタデータテーブルを参照し、説明書に含まれている複数種類の操作のうち、前記注目作業ブロックに偏在して含まれる操作を一または複数の注目操作として特定する第5のステップ、前記分析機能が、前記工程メタデータテーブルを参照し、前記注目作業ブロックのうち、前記作業要素として、前記注目操作の少なくとも一つが対応づけられているものを特定する第6のステップ、前記出力部が、特定された前記作業要素を示す情報を出力する第7のステップ、を実行する説明書評価方法である。
【発明の効果】
【0013】
一般ユーザーが参照する説明書の改善業務を効率化する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】説明書評価システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】実施形態のBEMテーブルの一例を示すデータテーブルである。
図3】実施形態の作業履歴テーブルの一例を示すデータテーブルである。
図4】実施形態のユーザーテーブルの一例を示すデータテーブルである。
図5】ユーザーシステムにおける処理を示すフローチャートである。
図6】端末に表示された説明書の例を示すイメージ図である。
図7】マッチング機能のフローチャートである。
図8】分析機能のフローチャートである。
図9】PCに表示された説明書評価画面の例を示すイメージ図である。
図10】実施形態の分析機能が行う作業履歴の統計処理の一例を示すフローチャートである。
図11】実施形態の行列Tが記録されたデータテーブルの一例である。
図12】実施形態の分析機能が行う不得意作業ブロックの判定処理の一例を示すフローチャートである。
図13】実施形態の行列Bが記録されたデータテーブルの一例である。
図14】実施形態の分析機能が行う不得意操作の判定処理の一例を示すフローチャートである。
図15】実施形態の行列Mが記録されたデータテーブルの一例である。
図16】実施形態の分析機能が行う不得意作業要素の判定処理の一例を示すフローチャートである。
図17】実施形態の行列Eが記録されたデータテーブルの一例である。
図18】実施形態の分析機能が行う通知文の発行処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【0016】
以下に説明する実施例の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、重複する説明は省略することがある。
【0017】
同一あるいは同様な機能を有する要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、複数の要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0018】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数、順序、もしくはその内容を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は文脈毎に用いられ、一つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
【0019】
図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0020】
本明細書で引用した刊行物、特許および特許出願は、そのまま本明細書の説明の一部を構成する。
【0021】
本明細書において単数形で表される構成要素は、特段文脈で明らかに示されない限り、複数形を含むものとする。
【0022】
特許文献1および特許文献2に記載されているシステムは、家具の組立て説明書などの一般ユーザー向け説明書が一般ユーザーの作業支援に役立っているか、すなわち説明書における一般ユーザー向け作業支援の適切性を評価する際に生ずる下記課題を解決するに至っていない。
【0023】
第一に、一般ユーザーから収集可能な作業データに基づいて、適切に遂行されなかった作業を詳細に判定することが困難である。一般ユーザーは操作(ネジ等を「締める」、部材等を「固定する」等)の熟練者ではないので、個々の操作が適切に実行できないことが想定される。そこで、家具組立て等の作業工程中に、どの操作が適切に実行できなかったかを一般ユーザーに逐一確認してもらう手法もある。しかし、適切に実行できなかった操作の度に報告を要求すると、ユーザーにとってはその度に組み立て作業の流れを止めることになり、本来達成したい組み立て作業の効率が下がりかねない。
【0024】
そもそも、一般ユーザーに対して、作業実績を詳細に記録するように促したとしても、必ずしも信頼性の高いデータが取れるとは限らない。例えば、一つ一つの操作が完了するたびに確認ボタンを押してもらうことを要求しても、作業の区切りがいいときに、まとめて確認ボタンを押してしまうことが想定される。
【0025】
また、一般ユーザー向けの説明書が参照されると想定される家庭などの環境において、生産現場のようにカメラを設置し、作業動画を分析することで不得手な操作を特定するといった手法を取ることもできない。
【0026】
第二に、一般ユーザーでは入社年度や経験回数など、作業の得手不得手と相関が明らかである属性を見出せない。このため、作業が比較的不得手な属性を有する作業者の作業実績に注目することで説明書の不適切な箇所を効果的に検知する手法を取ることができない。一方で、対象作業がどのようなユーザーにとって不得手であるかを考慮しなければ、ほとんどのユーザーにとっては問題ないが、一部のユーザーにとっては適切ではなかった工程を検知できない可能性がある。
【0027】
例えば、ネジに付された小さな記号が区別できないために、特に高齢者の作業が遅滞している工程があっても、少数の高齢ユーザーの作業データが、ユーザー全体の作業データに基づく統計値に大きく寄与しなかったために、当該工程の改善点を見落としてしまうといったことが考えられる。
【0028】
実施例で説明される技術は上記課題に対して、以下のような解決を提案する。例えば、説明書が対象とする組立て作業(例えば、チェストを組み立てる)を、「操作(ネジで固定する)」、「操作(ネジで固定する)と操作対象(部材A、部材B)とを含む作業要素(部材Aと部材Bをネジで固定する)」、「1つ以上の作業要素を含む作業ブロック(引き出しを作る)」、と分解する。
【0029】
そして、一般ユーザーから信頼性の高い行動データを取得できる「作業ブロック」単位でユーザーの参照履歴を取得し、参照履歴の「作業ブロック」から「不得意な作業ブロック」を特定し、複数の「不得意な作業ブロック」に共通して含まれる「不得意な操作」を特定し、「不得意な作業ブロック」のうち「不得意な操作」を含む「不得意な作業要素」を特定し、特定した「不得意な作業要素」を改善対象として通知する。
【0030】
さらに、一般ユーザーを、一般ユーザーからでも抽出可能であり、かつ作業の得手不得手と相関する可能性がある特性(性別、年齢、母国語など)によって分類し、その特性値(性別:男性・女性、年齢:高年齢者・中年齢者・低年齢者、母国語:日本語・日本語以外など)ごとに不得意な作業要素の特定を行う。
【0031】
これにより、ユーザーからは作業ブロック単位で参照履歴を入力してもらうだけで、説明書作成者は、説明書の作業要素単位での改善要否を判断可能となり、説明書の適切性評価を容易化できる。さらに、特定の特性値を有するユーザーのみにとって不適切な説明がなされている作業要素を、その数が少ない場合でも漏れなく検出できる。加えて、特性値ごとに説明を改めることで、各ユーザーに対して最適な説明書を配信することが可能となる。なお、本明細書等で説明書と言うときには、文書のみではなく画像、音声、動画等、ユーザーに所定の作業を指示するコンテンツ一般を含む概念とする。
【0032】
(1.システム構成)
図1は、実施例の説明書評価システム全体の構成図である。図1には、PC102、説明書管理サーバー103及び端末113が示されている。ここでは、チェストのような家具の組み立て説明書を具体的な一例として取り上げる。
【0033】
(1-1.説明書管理サーバー)
まず、説明書管理サーバー103側の構成を説明する。説明書管理サーバー103は、例えば商品やその説明書を提供する事業者が管理する。説明書管理サーバー103は、一般には事業用サーバーやクラウドによって構成される。
【0034】
説明書作成者101によって操作されるPC102は、入力部、表示部、記憶部、制御部を備える一般的なのパーソナル・コンピューターであり、ネットワーク回線を通じて説明書管理サーバー103の通信部106と接続している。
【0035】
説明書管理サーバー103は記憶部104、制御部105、通信部106を備えたサーバーであり、ネットワーク回線を通じてPC102及びユーザーシステム112の通信部107と接続している。説明書管理サーバー103は、そのほか一般的な入力装置(入力部)と出力装置(出力部)を備える。通信部107は入力装置(入力部)と出力装置(出力部)の一つと解してもよい。また、PC102は説明書管理サーバー103の一部として構成してもよい。
【0036】
説明書管理サーバー103の記憶部104は、説明書DB104a、BEMテーブル104b、作業履歴テーブル104c、ユーザーテーブル104d、通知文テーブル104e、マッチテーブル104fをデータとして有している。記憶部104は、磁気ディスク装置や半導体メモリなどの記憶装置を任意に組み合わせて構成することができる。
【0037】
説明書DB104aには、説明書IDと紐づける形で説明書が格納されている。ここで説明書とは、組立ての対象となる商品(例えば、チェスト)を組み立てる作業手順を説明するためのコンテンツであり、操作(ネジで固定する)と操作対象の部材(部材A、部材B)とを含む作業要素(部材Aと部材Bをネジで固定する)、を1つ以上含む作業ブロック(引き出しを作る)に関する一連の説明が複数集まることで構成される。
【0038】
説明書のデータ形式は、テキスト、画像、動画、音声を含むものでもよい。説明書のデータは、予め説明書作成者101やシステム管理者によって作成され、記憶部104に格納しておくものとする。説明書のデータは、必要に応じて端末113に送信され、ユーザー114の利用に供される。
【0039】
図2は、BEMテーブル104bの一例を示すデータテーブルである。BEMテーブル104bは、説明書と1:1で作成されるテーブルであり、説明書を構成する作業ブロック(Block)と、作業ブロックを構成する作業要素(Element)と、作業要素が含む操作(Manipulation)との関連付けを定義する。
【0040】
図2は一つの説明書についてのデータを示している。説明書を特定する説明書IDに、作業ブロックを特定する作業ブロックIDが一または複数対応付けられる。一つの作業ブロックIDに対して、作業要素を特定する作業要素IDが一または複数対応付けられる。一つの作業要素は、任意の数の作業対象と任意の数の操作の組を含む。本例では作業ブロックの基準的な作業時間データを有するが、これに代えまたはこれに加えて、他の作業効率を評価するためのデータを含んでもよい。
【0041】
BEMテーブル104bのデータは、予め説明書作成者101やシステム管理者によって作成され、記憶部104に格納しておくものとする。このとき、作業ブロック(Block)、作業要素(Element)、操作(Manipulation)の定義は任意である。図2の例では、作業要素に操作対象が2つ、操作が1つ含まれるが、操作対象や操作の数はこれに限るものではない。いくつの作業要素を一つの作業ブロックに含めるかも任意であるが、ユーザー114にとって区切りのよい内容を一つの作業ブロックに纏めることが好ましい。一例として、説明が端末113の一画面内に表示可能な一または複数の作業要素を、一つの作業ブロックに対応付けることが考えられる。
【0042】
図3は、作業履歴テーブル104cの一例を示すデータテーブルである。作業履歴テーブル104cは、説明書に対して1:1で作成され、ユーザーIDとユーザーの作業履歴に関する情報が紐づけられている。作業履歴は、作業ブロックごとに記録され、ユーザー114が端末を操作することによって記録可能なものであればどのような情報でもよい。作業履歴テーブル104cは、多数のユーザーのデータを収集することを想定しており、収集されたデータには統計的な処理が行われる。
【0043】
図3の例では、説明書ID「1」の説明書に対して、ユーザーID「1」~「5」のユーザーの作業履歴が格納されている。一つの作業履歴は、「引き出し組立て」「格納部組立て」等の作業ブロックごとに記録されており、この例では作業時間(秒)が格納されている。作業履歴テーブル104cの記録手段については後述する。
【0044】
図4は、ユーザーテーブル104dの一例を示すデータテーブルである。ユーザーテーブル104dには、ユーザーシステムに登録しているユーザーを特定するユーザーIDと、その特性の値(以下特性値と呼称する)が関連付けられている。図4では特性の例として「性別」「年齢階級」「母国語」が記録されている。特性値の例として、「性別」に対して「男性」「女性」が記録されている。特性値は、カテゴリでもよいし数値でもよい。また、ユーザーと紐づける特性及び特性値は、一般ユーザーから抽出可能であればなんでもよい。
【0045】
特性値の調査方法としては、作業の前後でアンケートを行ってもよいし、ユーザーシステム112にユーザーが登録した際に取得した情報を流用するなどしてもよい。あるいは、ユーザーテーブル104dは、あらかじめ収集した情報を基にしてシステム管理者が作成し、記憶部104に格納しておくことができる。あるいは、ユーザー114が説明書DB104aの説明書を利用する際に、端末113から入力させるようにしてもよい。
【0046】
通知文テーブル104eには、説明書管理サーバー103によって説明が不適切であると判定された工程を説明書作成者101に通知する通知文が、説明書IDと紐づいて記録されている。通知文テーブル104eのデータは、分析機能105bによって作成され、記憶部104に格納される。
【0047】
マッチテーブル104fは、商品IDと特性値を複合主キーとし、説明書IDを検索対象とするテーブルであり、一つの商品に対して複数の説明書を特性値ごとに作り替えた場合に、それらを分類するために用いられる。マッチテーブル104fのデータは、予め説明書作成者101やシステム管理者によって作成され、記憶部104に格納しておくものとする。
【0048】
制御部105はコンピューターとして機能するハードウェアであり、処理装置としてCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を備え、説明書管理サーバー103の動作を制御する。制御部105において、マッチング機能105aと分析機能105bの実行が制御される。マッチング機能105aと分析機能105bは、例えばRAMやROM等に格納されたプログラムをCPUが実行することによって実現される。システム構成としては、マッチング機能105aはマッチング機能部と、分析機能105bは分析機能部として把握してもよい。
【0049】
制御部105あるいは説明書管理サーバー103の構成は、単体のコンピューターで構成してもよいし、あるいは、入力装置、出力装置、処理装置、記憶装置の任意の部分が、ネットワークで接続された他のコンピューターで構成されてもよい。また、ソフトウェアで構成した機能と同等の機能は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアでも実現できる。
【0050】
マッチング機能105aは、ユーザーシステム112から説明書のリクエストを受け付けた際に、マッチテーブル104fから適切な説明書を検索し、ユーザーシステム112に送信する役割を担う。
【0051】
分析機能105bは、評価対象とする説明書をPC102から受け付けた際に、不適切な説明が含まれる可能性がある工程を特定し、それらを通知する通知文を発行し、分析結果をPC102に送信する役割を担う。
【0052】
(1-2.ユーザーシステム)
次に、ユーザーシステム112側の構成を説明する。ユーザーシステム112は、具体例としては、一般のユーザー114が使用するパーソナル・コンピューターや情報携帯端末(端末113)で構成される。
【0053】
ユーザー114によって操作される端末113は、たとえば一般的なスマートフォンであり、入力部(タッチパネル)111、表示部110、記憶部108、制御部109、通信部107を備え、ネットワーク回線を通じて説明書管理サーバー103の通信部106と接続することができる。
【0054】
ユーザーシステム112は、記憶部108に、説明書DB108aと作業履歴テーブル108bを格納する。また、制御部109に作業履歴取得機能109aを備える。ユーザー114は、例えば老人から子供まで種々の特性をもつ一般ユーザーが想定されている。
【0055】
制御部109はコンピューターとして機能するハードウェアであり、CPU、RAM、ROMを備え、ユーザーシステム112の動作を制御する。制御部109において、作業履歴取得機能109aの実行が制御される。作業履歴取得機能109aは、例えばRAMやROM等に格納されたプログラムをCPUが実行することによって実現される。プロブラムは、例えば説明書管理サーバー103からダウンロードする。
【0056】
作業履歴取得機能109aは、作業ブロックごとにユーザー114が端末113に対して行った操作から作業履歴を取得し、後述する作業履歴テーブル108bに記録する役割を担う。作業履歴テーブル108bのデータは、随時説明書管理サーバー103に送信され、作業履歴テーブル104cに収集される。
【0057】
端末113に対して行った操作とは、例えば作業ブロック画面(後に図6で説明する)において、「ユーザー114が次へボタン304をタップした」、すなわち画面の切り替えタイミングなどである。この場合、作業履歴取得機能109aは、一つの作業ブロックの説明画面の表示を開始してから、次へボタン306がタップされるまでの時間(すなわち作業ブロックの作業時間に相当)を、当該作業ブロックの作業履歴として記録することが考えられる。
【0058】
記憶部108は、説明書DB108aと作業履歴テーブル108bを備えている。説明書DB108aには、ユーザー114がリクエストし、説明書管理サーバー103から返信された説明書が、商品ID、説明書IDと紐づけられて格納されている。作業履歴テーブル108bには、作業履歴取得機能109aによって取得した、説明書をユーザーが参照した履歴に関する情報が作業ブロックごとに記録され、説明書IDと関連付けられて記録されている。
【0059】
初めに、ユーザーシステム112において、ユーザー114が説明書管理サーバー103に説明書をリクエストしてから、作業履歴を説明書管理サーバー103に送信するまでの一連の動作及び、マッチング機能105aにおいて、ユーザー114からのリクエストを受け付けてから、適切な説明書を検索し、ユーザー114に返信するまでの動作の一例を説明する。
【0060】
(2.動作説明)
(2-1.ユーザーシステムの動作例)
図5はユーザーシステム112の処理を示すフローチャートである。まず、ユーザー114は端末113を起動し、入力部111により説明書を閲覧したい商品を選択すると、図5に示す処理が開始される(S201)。
【0061】
処理が開始されると、制御部109は、選択された商品の商品IDと、端末から取得したユーザーのユーザーIDを、通信部107を通じて説明書管理サーバー103に送信し、説明書のリクエストを行う(S202)。
【0062】
S202の後、説明書管理サーバー103では後述するマッチング機能105aが処理され、説明書DB104aから適切な説明書が通信部106と通信部107を介してユーザーシステム112に返信される。
【0063】
ユーザーシステム112に返信された説明書は、制御部109によって、説明書DB108aに格納される(S203)。説明書DB108aのデータは、説明書DB104aのデータの一部コピーと考えられる。ユーザー114によって、入力部111から組み立てようとする商品の説明書が選択されると、作業履歴テーブル108bが新たに作成され、説明書IDとユーザーIDが記録される(S204)。
【0064】
ユーザー114によって、入力部111から作業開始が選択されると、端末113の表示部110に最初の作業ブロック画面が表示される(S206)。
【0065】
図6は端末113の表示部110に表示される作業ブロック画面の一例であり、作業ブロックの説明301、作業ブロックを構成する作業要素の説明302、次へボタン304を含んでいる。これらのコンテンツは、図2に示したBEMテーブル104bのデータ構造に対応し、説明書DB108aのデータに基づいて作成される。
【0066】
ここで作業要素の説明302には、イメージ303を含めてもよい。イメージは、作業要素の操作を補足的に説明するためのものであり、画像、動画、文章などの情報を含めることが可能である。また、作業ブロック画面にはチャットアイコン305を加え、チャットアイコンが押下された場合にチャット画面を表示するようにしてもよい。この場合、ユーザー114は、チャットを通じて質問受付の担当者に対して、作業ブロックを遂行する上で生じた質問を問い合わせることができる。
【0067】
次へボタン304が押下される(S207)と、作業履歴取得機能109aによって、初めの作業ブロックにおける作業履歴が取得され、作業履歴テーブル108bに保存される(S208)。ここで取得される作業履歴は、ユーザー114が端末113を操作することによって記録可能なものであればよい。例えば、先に述べたように、作業ブロック画面を表示してから次へボタン304がタップされるまでの時間(完了時間)により推定される作業時間を作業履歴とすることができる。あるいは、イメージがタップされた回数(閲覧回数)でもよい。あるいは、動画をリピート再生した回数でもよい。また、チャット機能を付加させた場合には、ユーザーが送信した質問文を作業履歴として取得してもよい。
【0068】
S208の後、S205に戻り、次の作業ブロックについての説明画面を表示する。S206からS208の処理は、説明書を構成する全ての作業ブロックについての説明画面の表示が完了するまで繰り返される。その後、ユーザーシステム112は、作業履歴テーブル108bを通信部107と通信部106を介して説明書管理サーバー103に送信し(S210)、ユーザーシステムの処理は終了する。
【0069】
説明書管理サーバー103の分析機能105bは、作業履歴テーブル108bを受信した後、受信したテーブルに記録された情報を作業履歴テーブル104cに記録する。
【0070】
なお、端末113は説明書のデータを、作業ブロックを単位として、ディスプレイの1画面内に同時もしくは画面スクロールを行うことで表示することにより、ユーザーの作業が行いやすくなる。このとき、ユーザーが次へボタン304を操作して行うディスプレイの画面の切り替えタイミングの情報を作業履歴テーブル104cの情報として利用することができる。
【0071】
(2-2.マッチング機能の動作例)
図7は、マッチング機能105aの処理のフローチャートである。説明書管理サーバー103がユーザーシステム112から説明書のリクエストを受信すると、図7に示す処理が開始される(S601)。マッチング機能105aは、まず、リクエスト元端末のユーザーIDに一致するユーザーをユーザーテーブル104dから検索し、その特性値をリストとして取得する(S602)。
【0072】
その後、説明書のリクエストに含まれる商品IDと特性値リストの要素をキーとして、マッチテーブル104fから、説明書IDを検索する(S603)。ここで、マッチテーブル104fの例として、商品IDと特性値をキー列とし、説明書IDと優先度をキー値にもつテーブルを考える。ここで、優先度列は、同一商品に関して、複数の特性値ごとの別々の説明書が存在する場合に、優先度の値が最も値が大きい説明書を一意に検索するために用いられる。
【0073】
例えば、商品ID「1」の説明書について、年齢=高年齢者に対しては「説明書ID=2・優先度=10」、性別=女性に対しては「説明書ID=3・優先度=5」、それ以外の特性については「説明書ID=1」が登録されているマッチテーブルを考える。
【0074】
このとき、商品ID=1、特性値=[女性、高年齢者、日本語]によって検索すると、「商品ID=1、特性値=女性、高年齢者」がキーに一致する「説明書ID=2、3」のうち、優先度が最も高いID=2の説明書が検索される。
【0075】
その後、S603で検索した説明書IDに一致する説明書を、説明書DB104aから検索し(S604)、検索した説明書をリクエスト元の端末に返信し(S605)、マッチング機能105aの処理は完了する。
【0076】
(2-3.分析機能の動作)
図8は、分析機能105bのフローチャートである。分析機能105bについて、図8のフローチャートに基づいて説明する。まず、説明書作成者101はPC102を起動し、説明書評価画面を表示する。
【0077】
図9は、PC102に表示された説明書評価画面の例を示すイメージ図である。説明書評価画面は、説明書ID入力欄401と、検索アイコン402を備えており、説明書作成者101は、評価したい説明書のIDを説明書ID入力欄401に入力した後、検索アイコン402を押下することによって、説明書管理サーバー103に対して説明書の評価をリクエストする。説明書管理サーバー103が評価リクエストを受信したら、図8に示す分析機能105bの処理が開始される(S501)。
【0078】
S501開始後、まず、分析機能105bは、リクエストを受け付けた説明書IDに紐づけられた作業履歴テーブル104cとBEMテーブル104bを記憶部104から検索する(S502)。その後、作業履歴テーブル104cに記録された、各作業ブロックにおける作業履歴の統計値を、特性値ごとに算出する(S503)。
【0079】
次に、S503で算出した統計値を、作業ブロックごとにBEMテーブル104bに格納された基準値と比較するなどして、特性値ごとに、各作業ブロックの説明が適切であったかどうかを判定する(S504)。
【0080】
次に、S504において、ある特性値のユーザーにとって説明が不適切であると判定された複数の作業ブロックが含む操作をBEMテーブル104bから検索し、それぞれの作業ブロックに共通して含まれる操作を抽出し、説明が不適切な操作として判定する(S505)。
【0081】
次に、S503においてある特性値のユーザーにとって説明が不適切であったと判定された作業ブロックが含む操作をBEMテーブル104bから検索し、それらの操作の中に、S505で判定された、ある特性値のユーザーにとって説明が不適切な操作があるかどうかを判定する。もしそのような操作がある場合は、その作業ブロックのうち、その操作を伴う作業要素を説明が不適切である作業要素として判定する(S506)。
【0082】
次に、S506で特定した説明が不適切である作業要素を説明書作成者101に通知する通知文を作成し、説明書IDと関連付けて通知文テーブル104eに保存する(S507)。
【0083】
最後に、説明書管理サーバー103は、通知文テーブル104eをPC102に送信し、分析機能105bの処理は終了する。
【0084】
(2-4.分析機能の具体的動作例)
以下に、チェスト(商品ID=1)の組立てを例に挙げて、分析機能105bの処理を具体的に説明する。
【0085】
チェスト組立ては、4つの作業ブロック(「引き出し組立て」、「格納部組立て」、「天板取り付け」、「キャスター設置」)から構成されるものとし、それぞれの作業ブロックは、操作と操作対象の組み合わせで定義される1つ以上の作業要素(「板Aと板Bをボルト固定」など)に分解される。さらに、チェストの組立てに必要な操作は4種類(「ネジ締め固定」、「ボンド接着」、「カムロック固定」、「ボルト固定」)であるとする。このような例を先に図2に示した。
【0086】
図4は、ユーザーテーブル104dの一例であり、5人のユーザーのユーザーIDと、それぞれの特性値が対応付けられている。この例では、ユーザーを分類する特性を性別、年齢階級、母国語とし、それぞれ特性値として、男性・女性、高年齢者・中年齢者・低年齢者、日本語・日本語以外を取りうるものとした。
【0087】
図3は作業履歴テーブル104cの一例であり、ユーザーIDごとに、各作業ブロックの完了に要した時間(秒)が作業履歴として記録されている。先に述べたように、作業ブロックの完了に要した時間は、一つの作業ブロックの説明を表示してからユーザー114が次の作業ブロックの表示を指示するまでの時間として測定することができ、そのタイミングはユーザー114が端末113の作業ブロック画面の次へボタン304(図6)をタップするタイミングで取得することができる。なお、この例では簡略化のために5人のユーザーを分析対象とするが、実際には信頼性の高い統計を行うため、より多くのユーザーの作業履歴が取得できてから説明書の評価を行うことが望ましい。
【0088】
説明書作成者101はPC102を起動し、説明書評価画面(図9)における説明書ID入力欄401に「1」と入力し、検索アイコン402を押下することによって、分析機能105bの処理を開始する(S501)。説明書管理サーバー103は、説明書IDが「1」に一致するデータを、作業履歴テーブル104cとBEMテーブル104bを記憶部104から検索し、一時保存領域に保存する(S502)。一時保存領域は制御部105のRAMや記憶部104の記憶領域を利用することができる。以下図11図13図15図17で説明する、T(作業ブロック、特性値)、B(作業ブロック、特性値)、M(操作、特性値)、M(操作、特性値)のデータも、同様に一時保存領域に記憶するものとする。S502の後、処理S503が開始される。
【0089】
図10は、S503における処理の一例を示したフローチャートであり、各特性値のユーザーが、各作業ブロックの完了に要した平均時間T(作業ブロック、特性値)を求める処理である。
【0090】
ここで、行列X(P、Q)とは、集合P={p1, p2,…,pN}、Q={q1, q2,…,qM}の要素の組を添え字とするN×M行列であり、そのi行j列における成分をX(pi,qj)と表記する。例えば、作業ブロック={“引き出し組立て”, “格納部組立て”}、特性値={“男性”、“女性”}に対してT(“作業ブロック”、“特性値”)は2×2行列であり、その成分T(“引き出し組立て”、“男性”)は、男性ユーザーが引き出し組立ての完了にかかった平均時間である。
【0091】
まず、作業履歴テーブル104cの初めの行を抽出し、ユーザーIDと、作業ブロック完了時間リストを取得する(S702)。次に、そのユーザーIDをキーとしてユーザーテーブル104dを検索し、ユーザーIDが一致するユーザーの特性値リストを取得する(S703)。次に、特性値リストの要素ごとに、ある特性値を有するユーザーの人数を表すN(特性値)に1を加算する(S704)。
【0092】
次に、作業ブロック完了時間リストの要素を、ある特性値を有するユーザーが、ある作業ブロックの完了にかけた合計時間を表すV(作業ブロック、特性値)に加算する(S706)。S706の後、作業履歴テーブルの全ての行の抽出が完了するまで、S702に戻って処理を繰り返す。その後、V(作業ブロック、特性値)をN(特性値)で除することによってT(作業ブロック、特性値)を得る。
【0093】
図11は、図4に例示したユーザーテーブルと、図3に例示した作業履歴テーブルに基づいて算出したT(作業ブロック、特性値)である。例えば、特性値「高年齢者」を有するユーザーは、ID=1、2の2名であり(N(高年齢者)=2)、作業ブロック「引き出し組立て」の完了にかかった合計時間は1800であるので(V(引き出し組立て、高年齢者)=1800)、T(引き出し組立て、高年齢者)=900となる。T(作業ブロック、特性値)によると、各特性値のユーザー(例えば高年齢者)が、各作業ブロック(例えば引き出し組立て)の完了に要した平均時間Tが判明する。S503の完了後、分析機能105bはS504の処理を開始する。
【0094】
図12は、S504における処理の一例を示したフローチャートであり、ある特性値を有するユーザーが、ある作業ブロックの完了にかけた時間の平均値が、想定値よりも長ければ1、そうでなければ0となる行列B(作業ブロック、特性値)を求める処理である。
【0095】
まず、Bの全ての要素を0にセットする(S802)。次に、BEMテーブル104bに記録された初めの作業ブロック行を検索し、基準時間列の値をTMに記録する。次に、特性値ごとにT(作業ブロック、特性値)とTMを比較し(S806)、T(作業ブロック、特性値)がTMよりも大きければ、B(作業ブロック、特性値)に1を記録する(S807)。S807の後、BEMテーブルに記録された全ての作業ブロックの検索が完了するまでS803に戻って処理を繰り返す。
【0096】
図13は、図2に例示したBEMテーブル104bと、図11に例示したT(作業ブロック、特性値)に基づいて算出したB(作業ブロック、特性値)の一例である。例えば、作業ブロック「引き出し組立て」に関して、特性値「低年齢者」の場合は、T(引き出し組立て、低年齢者)=100<TM=800より、B(引き出し組立て、低年齢者)=0であるのに対して、特性値「高年齢者」の場合は、T(引き出し組立て、高年齢者)=900>800より、B(引き出し組立て、高年齢者)=1となる。B(作業ブロック、特性値)により、特定の特性値を持つユーザーにとって作業効率の低い(基準時間以上の作業時間を要した)作業ブロックが判明する。S504の完了後、分析機能105bは、S505の処理を開始する。
【0097】
図14は、S505における処理の一例を示したフローチャートであり、各特性値のユーザー114が、所定の操作について、作業全体で実行した操作回数のうち、基準時間よりも時間がかかった作業ブロックに含まれた操作回数の割合を表す行列M(操作、特性値)を算出する処理である。
【0098】
まず、Mの全ての要素を0にセットする(S902)。次に、BEMテーブル104bから、ある一つの操作を操作列に含む作業ブロックを検索する(S903)。次に、検索された作業ブロックごとに、操作列が含むその操作の数をKに記録し(S905)、作業全体である操作を実行する回数を表すL(操作)にKを加算する(S906)。続けて、特性値ごとに、B(作業ブロック、特性値)=1であるかを判定し(S908)、もしそうであるなら、ある特性値のユーザーの作業全体において、ある操作が、基準時間よりも時間がかかった作業ブロックに含まれた回数を表すU(操作、特性値)にKを加算する(S909)。S909の後、全ての操作について処理が完了までS903に戻って繰り返す。
【0099】
図15は、図2に例示したBEMテーブル104bと、図13に例示したB(作業ブロック、特性値)に基づいて算出したM(操作、特性値)の一例である。例えば、BEMテーブル104bより、操作「ボルト固定」に関して、作業ブロック「引き出し組立て」、「天板取り付け」、「キャスター設置」において各1回ずつ行われるため、L(ボルト固定)=3となる。特性値「高年齢者」の場合、B(作業ブロック、高年齢者)=1となる作業ブロックは、「引き出し組立て」、「天板取り付け」であるので、U(ボルト固定、高年齢者)=2となる。従って、M(ボルト固定、高年齢者)=U(ボルト固定、高年齢者)/L(ボルト固定)=0.67(小数点第三位四捨五入)となる。図2の例では、操作「ボルト固定」が全工程中に繰り返し出現するが、1回のみ出現する操作でも処理は同様である。その場合には、Mは「1」か「0」の2値となる。
【0100】
このように、作業に含まれている特定種類の操作のうち、特定のユーザーにとって作業効率が低い作業ブロックに偏在して含まれる操作を調べることでM(操作、特性値)を得る。M(操作、特性値)により、特定の特性値を持つユーザーにとって作業効率が低い可能性がある操作が判明する。S505の完了後、分析機能105bはS506の処理を開始する。
【0101】
以上のように、本実施例では、例えば図6の次へボタン304をユーザー114がタッチするだけで収集できる情報に基づいて、ユーザーが適切に実行できない操作を特定することができる。したがって、説明書では当該操作に着目して説明を見直すことが望ましい。
【0102】
図16はS506における処理の一例を示したフローチャートであり、ある特性値を有するユーザーについて、B(作業ブロック、特性値)=1である作業ブロックを構成する作業要素が、M(操作、特性値)が基準値よりも大きい操作を含む場合には1、そうでないならば0となる行列E(作業要素ID、特性値)を求める処理である。
【0103】
まず、Eの全ての要素を0にセットする(S1002)。次に、BEMテーブルから初めの作業ブロック行を抽出し(S1003)、特性値ごとに、B(作業ブロック、特性値)=1であるかを判定する(S1005)。もしそうであるなら、作業ブロックが含む作業要素の操作ごとに(S1006)、M(操作、特性値)>0.6であるかを判定する(S1008)。もしそうであるなら、E(作業要素ID、特性値)=1を記録する(S1009)。なお基準値0.6は任意に設定できる。ここでは過半数を基準値として0.6としている。S1009の後、全ての作業ブロックについて処理が完了までS1003に戻って繰り返す。
【0104】
図17は、図2に例示したBEMテーブルと、図13に例示したB(作業ブロック、特性値)と、図15に例示したM(操作、特性値)に基づいて算出したE(作業要素、特性値)の一例である。作業ブロック「引き出し組立て」、特性値「高年齢者」の場合、B(引き出し組立て、高年齢者)=1であるのでS1006が処理される。
【0105】
作業ブロック「引き出し組立て」は作業要素ID=1,2、3によって構成され、それぞれ操作「ボンド接着」、「ネジ締め固定」、「ボルト固定」が対応している。このうち、M(操作、高年齢者)>0.6となる操作は、「ボルト固定」であり、操作「ボルト固定」に対応する作業要素IDは「3」であるので、E(3、高年齢者)=1となる。E(作業要素、特性値)により、特定の特性値を持つユーザーの作業効率が低かった作業ブロックにおいて、どの作業要素が作業効率低下の要因になっている可能性があるかが判明する。S506の完了後、分析機能105bはS507の処理を開始する。
【0106】
図18はS507における処理の一例を示したフローチャートであり、特性値ごとに、B(作業ブロック、特性値)=1である作業ブロックを構成する各作業要素について、E(作業要素ID、特性値)=1であるならば、その特性値にとって、作業要素IDの説明が不適切である旨を通知する通知文を発行する処理である。
【0107】
例えば、図13に例示したB(作業ブロック、特性値)と、図17に例示したE(作業要素ID、特性値)に基づいて、特性値「高齢者」に関する通知文を発行する処理を考える。B(作業ブロック、高年齢者)=1となる作業ブロックは、「引き出し組立て」と「天板取り付け」である。作業ブロック「引き出し組立て」を構成する作業要素(ID=1,2、3)のうち、E(作業要素ID、高年齢者)=1となる作業要素IDは「3」である。従って、S1107において、「高年齢者にとって作業要素ID3の説明が不適切なようです」という通知文が発行され、通知文テーブルに保存される(S1108)。
【0108】
同様に、作業ブロック「天板取り付け」を構成する作業要素のうち、E(作業要素ID、高年齢者)=1となるのは作業要素ID=7であるので、S1107において、「高年齢者にとって作業要素ID7の説明が不適切なようです」という通知文が発行され、通知文テーブルに保存される(S1108)。S507の完了後、分析機能105bはS508の処理をおこない、通知文テーブルをリクエスト元PC102に返信する。
【0109】
説明書管理サーバー103から評価結果を受信したら、PC102は評価結果を説明書評価画面に表示する。図9は説明書評価画面の一例であり、通知文が403のように表示されている。
【0110】
説明書作成者101は、通知内容に応じて、同一商品の説明書を、特性値ごとに複数作成してもよい。例えば、通知文403から、説明書作成者が、「高年齢者にとって、板Aと他の板をボルトで固定することが難しい」と推察した場合、高年齢者向けの説明書の作業要素3と7のイメージに、「板Aをボルトで固定する際に適切な姿勢の画像」を加えることなどことが考えられる。このようにした場合、新しく作成した説明書にユニークなID(例えば、「2」)を付与し、マッチテーブル104fに、商品ID=1と特性値=「高年齢者」を複合主キーとする行を追加し、説明書ID列に2を記録する。
【0111】
(3.応用例)
図9の説明書評価画面では、S503において作業履歴に統計処理を行った結果をグラフ409として表示してもよい。この場合、S503において、算出した統計値を記憶部104に保存し、S508において統計値をPC端末102に送信する。
【0112】
グラフ409では一例として、T(作業ブロック、高年齢者)の値を、基準時間と合わせて、作業ブロックごとに棒グラフとして表示している。このとき、特性値選択欄404を設けて、特性値ごとにTの値を表示できるようにしてもよい。
【0113】
S503において、各作業ブロックの作業履歴に関する各種統計量(分散値、標準偏差など)を算出する処理を加えてもよい。この場合、平均値以外の統計量をS504、S505、S506に用いて、説明が不適切である作業要素の特定に活用してもよいし、統計量選択欄406を設け、任意の統計量に関するグラフを表示できるようにしてもよい。
【0114】
分析機能105bが対象とする作業履歴は、作業完了時間に限らず、ユーザーが端末を操作することで取得可能なものであればなんでもよく(例えば、イメージ303をタップして閲覧した回数や、チャット質問文の回数など)、S503において、対象とする各種作業履歴に関する統計処理を加えてもよい。この場合、各種作業履歴に関する統計値をS504、S505、S506に用いて説明が不適切である作業要素の活用に活用してもよい。また、作業履歴が数値データの場合には、作業履歴選択欄405を設けて、任意の作業履歴に関する統計量を表示できるようにしてもよい。さらに、作業履歴が、質問文のような自然言語データであれば、S503において頻出単語を抽出し、ワードクラウド410を表示するなどしてもよい。
【0115】
通知文で通知する内容は、作業要素だけでなく、S505やS506で判定した、説明が不適切である作業ブロックや、操作を含めてもよい。
【0116】
説明が不適切である作業要素の特定には、操作だけでなく、それぞれの作業ブロックに共通して用いられている「操作対象」に関する情報を含めてもよい。例えば、板Aを操作対象に含む作業ブロックの完了平均時間のうち、多くが基準時間を上回っている場合、板Aを操作対象に含む作業要素が適切な作業進行の阻害要因になっている可能性がある。このような作業要素を通知することによって、例えば、説明書作成者が「ユーザーは、部材の中で最も重い板Aを操作対象とすることに困難に感じている」と着想し、部材Aを操作対象とする作業要素の説明に、「2人で作業すること」などの注意書きを付加することができる。
【0117】
以上実施例で詳細に説明したように、組立てを伴う商品の全組立て工程を、商品を構成する一つの部品を組立てる工程(作業ブロック)と、作業ブロックを構成する、単一の操作と操作対象からなる工程(作業要素)に分解し、ユーザー114が、端末113に対して説明書を閲覧するために施した操作から、作業ブロックごとに作業履歴を取得し、説明書管理サーバー103内に保存する。説明書管理サーバー103は、複数ユーザーから取得した作業履歴の傾向が好ましくない作業ブロックを「不得意な作業ブロック」と判定し、複数の「不得意な作業ブロック」に共通して含まれる操作を「不得意な操作」と判定し、「不得意な作業ブロック」のうち「不得意な操作」を含む作業要素を「不得意な作業要素」と判定し、判定した「不得意な作業要素」を改善対象として通知する。これにより、ユーザーからは作業ブロック単位で参照履歴を入力してもらうだけで、説明書作成者は、説明書の作業要素単位での改善要否を判断可能となり、説明書の適切性評価を容易化できる。
【0118】
上記の実施例では、一例として家具の組み立ての説明書を例に説明したが、料理手順の説明書やOA機器の取り扱い説明書等、ユーザーに所定の操作手順を説明するコンテンツであれば広く適用することが可能である。
【0119】
料理手順の説明書であれば、説明書DB104aには、調理の対象となる料理(例えば、カレー)を調理する作業手順を説明するための、操作(例えば炒める)と操作対象の部材(例えば小麦粉、バター)とを含む作業要素(小麦粉とバターを炒める)、を1つ以上含む作業ブロック(例えばルーを作る)に関する一連の説明が複数集まることで構成される
OA機器の取り扱い説明書であれば、説明書DB104aには、対象となるOA機器(例えば、プリンター)を設置する作業手順を説明するための、操作(例えばダウンロードする)と操作対象の部材(例えばプリンタードライバー)とを含む作業要素(例えばプリンタードライバーをダウンロードする)、を1つ以上含む作業ブロック(例えばセットアップ)に関する一連の説明が複数集まることで構成される。
【0120】
このように、一般ユーザーが参照する説明書を効果的に評価する技術を提供することができる。上記実施例によれば、効率の良い作業が実現可能となるため、消費エネルギーが少なく、炭素排出量を減らし、地球温暖化を防止、持続可能な社会の実現に寄与することができる。
【符号の説明】
【0121】
103…説明書管理サーバー、104…記憶部、105…制御部、112…ユーザーシステム、113…端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18