(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162383
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】計画作成装置、計画作成方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20241114BHJP
G06Q 10/0832 20230101ALI20241114BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06Q10/0832
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077828
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】高倉 優理子
(72)【発明者】
【氏名】森 純一
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】 置くことが可能な物品の属性が置場内の複数の区域ごとに定められている場合であっても、置場内の各区域に物品を適切に置くことが出来る。
【解決手段】 計画作成装置100は、置場制約情報300とコイル属性情報420とに基づいて、計画対象の複数のコイルをグループ化し、番地231a~231cからのコイルの搬送計画を、同一のグループの少なくとも一部ごとに特定するための第1のコイル搬送情報(岸壁倉庫230への搬送量x
i,j,p,t)を算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品の搬送計画を作成する計画作成装置であって、
置くことが出来る物品の属性を複数の第1置場のそれぞれにおいて特定するための物品制約情報と、前記搬送計画の対象となる複数の物品の属性を特定するための物品属性情報と、に基づいて、当該複数の物品をグループ化するグループ化部と、
前記搬送計画を特定するための搬送計画特定情報を算出する算出部と、
を備え、
前記搬送計画特定情報は、前記第1置場への前記物品の搬送計画を、同一の前記グループの少なくとも一部ごとに特定するための第1の物品搬送情報を含む、計画作成装置。
【請求項2】
前記グループ化部は、前記物品制約情報と、前記物品属性情報と、前記第1置場からの前記物品の搬送先を示す物品搬送先情報と、に基づいて、前記搬送計画の対象となる複数の物品をグループ化する、請求項1に記載の計画作成装置。
【請求項3】
前記搬送計画特定情報は、前記第1置場からの前記物品の搬送計画を特定するための第2の物品搬送情報をさらに含む、請求項1または2に記載の計画作成装置。
【請求項4】
前記物品は、前記第1置場から複数の第2置場のいずれかに搬送され、
前記第2の物品搬送情報は、前記第1置場から前記第2置場への前記物品の搬送計画を特定するための情報である、請求項3に記載の計画作成装置。
【請求項5】
前記第2の物品搬送情報においては、前記第1置場からの前記物品の搬送計画が、前記第1置場ごとに特定される、請求項3に記載の計画作成装置。
【請求項6】
前記搬送計画特定情報は、前記第1置場における前記物品の在庫量を特定するための第1の置場在庫情報をさらに含む、請求項1または2に記載の計画作成装置。
【請求項7】
前記第1の置場在庫情報においては、前記第1置場における前記物品の在庫量が、前記第1置場ごとに特定される、請求項6に記載の計画作成装置。
【請求項8】
前記物品は、第3置場から前記第1置場に搬送され、
前記搬送計画特定情報は、前記第3置場において前記第1置場に搬送可能となった前記物品の在庫量を特定するための第2の置場在庫情報をさらに含む、請求項1または2に記載の計画作成装置。
【請求項9】
前記第2の置場在庫情報においては、前記第3置場において前記第1置場に搬送可能となった前記物品の在庫量が、前記第3置場全体の在庫量として特定される、請求項8に記載の計画作成装置。
【請求項10】
前記算出部は、前記搬送計画特定情報を示す決定変数の最適解を、数理計画問題を解くことにより算出する、請求項1または2に記載の計画作成装置。
【請求項11】
複数の物品の搬送計画を作成する計画作成方法であって、
置くことが出来る物品の属性を複数の第1置場のそれぞれにおいて特定するための物品制約情報と、前記搬送計画の対象となる複数の物品の属性を特定するための物品属性情報と、に基づいて、当該複数の物品をグループ化するグループ化工程と、
前記搬送計画を特定するための搬送計画特定情報を算出する算出工程と、
を備え、
前記搬送計画特定情報は、前記第1置場への前記物品の搬送計画を、同一の前記グループの少なくとも一部ごとに特定するための第1の物品搬送情報を含む、計画作成方法。
【請求項12】
請求項1または2に記載の計画作成装置の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計画作成装置、計画作成方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品を置場に搬送する際に、置場において区分された複数区域のうちのどの区域に物品を置くのかを決定する技術として、特許文献1、2に記載の技術がある。
【0003】
特許文献1には、ヤードの相互に隣接する番地における鋼材の配置状態の差が少なくなるように、各番地の日ごとの鋼材の配置を算出することが開示されている。
【0004】
特許文献2には、上工程から鋼材をヤードに受け入れてから下工程に払い出すまでの鋼材の搬送ルートとして、各ロットにおける主搬送ルート(ロットに属する鋼材が通過する搬送ルートのうちで最も多くの鋼材が通過する搬送ルート)を通過する鋼材の比率が大きくなるように各鋼材の搬送ルートを算出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-303176号公報
【特許文献2】特開2010-254429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載の技術では、各番地は、サイズや重量等の鋼材の属性に関係なく、どのような属性の鋼材も受け入れられることを前提としている。言い換えると、置くことが可能な鋼材の属性が番地ごとに定められていないことが前提となっており、どの番地も各鋼材の搬送先の候補となる。したがって、置くことが可能な物品の属性が置場ごとに定められている場合に、各置場に物品を適切に置くことが出来ない搬送計画が作成される虞がある。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、置くことが可能な物品の属性が置場に定められている場合であっても、各置場に物品を適切に搬送することが出来る搬送計画を作成することが出来るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の計画作成装置は、複数の物品の搬送計画を作成する計画作成装置であって、置くことが出来る物品の属性を複数の第1置場のそれぞれにおいて特定するための物品制約情報と、前記搬送計画の対象となる複数の物品の属性を特定するための物品属性情報と、に基づいて、当該複数の物品をグループ化するグループ化部と、前記搬送計画を特定するための搬送計画特定情報を算出する算出部と、を備え、前記搬送計画特定情報は、前記第1置場への前記物品の搬送計画を、同一の前記グループの少なくとも一部ごとに特定するための第1の物品搬送情報を含む。
【0009】
本発明の計画作成方法は、複数の物品の搬送計画を作成する計画作成方法であって、置くことが出来る物品の属性を複数の第1置場のそれぞれにおいて特定するための物品制約情報と、前記搬送計画の対象となる複数の物品の属性を特定するための物品属性情報と、に基づいて、当該複数の物品をグループ化するグループ化工程と、前記搬送計画を特定するための搬送計画特定情報を算出する算出工程と、を備え、前記搬送計画特定情報は、前記第1置場への前記物品の搬送計画を、同一の前記グループの少なくとも一部ごとに特定するための第1の物品搬送情報を含む。
【0010】
本発明のプログラムは、前記計画作成装置の各部としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、置くことが可能な物品の属性が置場に定められている場合であっても、各置場に物品を適切に搬送することが出来る搬送計画を作成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】計画作成装置の機能的な構成の一例を示す図である。
【
図2】物品の通過経路(物流)の具体例を示す図である。
【
図7】倉庫初期在庫量、出荷ライン倉庫在庫量、および倉庫在庫上限量の一例を示す図である。
【
図8】、出荷ライン在庫上限量、岸壁倉庫への最大搬送量、および出荷船への最大搬送量の一例を示す図である。
【
図12】荷遅れ量の最適解および早積み量の最適解の一例を示す図である。
【
図13】倉庫在庫量の最適解の一例を示す図である。
【
図14】計画作成方法の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
尚、長さ、位置、大きさ、間隔等、比較対象が同じであることは、厳密に同じである場合の他、発明の主旨を逸脱しない範囲で異なるもの(例えば、設計時に定められる公差の範囲内で異なるもの)も含むものとする。
【0014】
図1は、計画作成装置100の機能的な構成の一例を示す図である。計画作成装置100のハードウェアは、例えば、プロセッサ、主記憶装置、補助記憶装置、および各種のユーザインターフェースを備える情報処理装置を用いることにより実現される。また、計画作成装置100は、PLC(Programmable Logic Controller)により実現されてもよいし、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用のハードウェアにより実現されてもよい。
【0015】
計画作成装置100は、複数の物品の搬送計画を作成する。計画作成装置100は、搬送計画を特定するための搬送計画特定情報を算出する。搬送計画は、計画対象期間における計画対象物品の搬送時期(タイミング)と、各搬送時期で搬送される物品の搬送元および搬送先とを定めた計画である。計画対象の物品は、複数の第1置場のうちのいずれかの第1置場に搬送される。搬送計画では、第1置場に搬送する物品が少なくとも特定される。複数の第1置場には、当該第1置場に置くことが出来る物品の属性が定められているものとする。物品の属性は、例えば、物品のサイズおよび重さのうちの少なくとも一方である。したがって、第1置場には、物品の搬送先の候補となり得ない置場が存在し得る。
【0016】
また、計画対象の物品は限定されない。計画対象の物品は、例えば、製品(半製品を含む)であっても良いし、原材料であっても良い。ただし、説明を分かりやすくするために、物品の具体例を用いて、計画作成装置100が有する機能の一例を説明する。そこで、計画作成装置100が有する機能の一例を説明する前に、物品の通過経路(物流)の具体例を説明する。なお、半製品とは、最終製品(製造メーカの顧客に出荷される製品)になる前に製造メーカの上工程の工場で製造される製品である。
【0017】
<物品の通過経路(物流)の具体例>
図2は、物品の通過経路(物流)の具体例を示す図である。
図2において、熱延ライン210は、コイル等の鋼材に対して熱間圧延を行い、熱延コイル(コイル状に巻き回された熱延鋼板)を製造する。熱延コイルは、出荷ライン220に搬送されて、出荷可能(岸壁倉庫230に搬送可能)な状態にされる。例えば、出荷ライン220において、梱包が行われる。また、出荷ライン220において精整(切断等)や酸洗等が行われた後に梱包が行われる場合もある。以下の説明では、出荷可能(岸壁倉庫230に搬送可能)な状態になった熱延コイルを、必要に応じてコイルと略称する。また、出荷ライン220においてコイルが出荷可能(岸壁倉庫230に搬送可能)になることを、必要に応じて計上と称する。なお、本実施形態では、出荷ライン220におけるコイルの置場221a~221bには、当該置場に置くことができる物品の属性が定められていない場合を例示する。また、出荷ライン220におけるコイルの置場221a~221bの数は、1つであっても良いし、複数であっても良い。
【0018】
計上されたコイルは、出荷ライン220から岸壁倉庫230に搬送される。岸壁倉庫230におけるコイルの置場231a~231cは、番地単位に区分けされている。番地は、岸壁倉庫230におけるコイルの置場231a~231cを一意に識別するため情報(アドレス)の役割を有する。
図2では、岸壁倉庫230に3つの置場231a~231cが存在し、それぞれの置場231a~231cに対して異なる番地が与えられている。各番地の置場231a~231cには、コイルの重量および外径等、当該番地の置場231a~231cに置くことが出来るコイルの属性が定められている。以下の説明では、番地の置場を必要に応じて番地と略称する。なお、岸壁倉庫230に存在する置場の数は2つ以上であれば3つに限定されない。
【0019】
岸壁倉庫230に搬送されたコイルは、出荷船240に搬送(船積み)されて出荷される。なお、本実施形態では、出荷船240におけるコイルの置場241には、当該置場に置くことができる物品の属性が定められていない場合を例示する。ただし、出荷船240におけるコイルの置場241に、置場に置くことができる物品の属性が定められていても良い。また、出荷船240の数は一隻であっても良いし、二隻以上であっても良い。出荷船240の数が複数である場合、複数の出荷船240のいずれかにコイルは搬送される。また、出荷船240におけるコイルの置場241の数は、1つであっても良いし、複数であっても良い。本実施形態では、出荷船240が二隻であり、各出荷船240におけるコイルの置場241の数がそれぞれ1つである場合を例示する。したがって、出荷船240にコイルを搬送することは、当該出荷船240におけるコイルの置場241にコイルを搬送することと等価である。よって、以下の説明では、岸壁倉庫230からの搬送先が出荷船240であるものとして説明を行う。
【0020】
以上のように本実施形態では、物品がコイルであり、複数(
図2では3つ)の番地231a~231cがそれぞれ第1置場である場合を例示する。また、本実施形態では、出荷船240(置場241)がそれぞれ第2置場あり、出荷ライン220におけるコイルの複数の置場221a~221bがそれぞれ第3置場である場合を例示する。ただし、前述したように物品はコイルに限定されない。また、第1置場を含む物品が置かれる置場は、物品が通過する場所に応じて定まるものであり、
図2に示す置場221a~221b、231a~231c、241に限定されない。
【0021】
<概要>
次に、本実施形態の計画作成装置100が有する機能の一例の概要を説明する。
前述したように岸壁倉庫230に存在する各番地231a~231cには、コイルの重量および外径等、当該番地に置くことができるコイルの属性が定められている。したがって、岸壁倉庫230全体では空きがあるにも関わらず一部の番地のみに多量のコイルを置かなければならない状況が発生し、当該番地に置くことができるコイルの上限量を上回るコイルを当該番地に搬送する必要が生じることが発生し得る。この場合、出荷ライン220からのコイルの搬送が停止してしまう。このように、各番地において置くことができるコイルの属性が定められている場合には、そうでない場合に比べ、各番地への適切なコイルの搬送量や適切な搬送タイミングを人が判断することは極めて困難になり、また、これらを装置で算出する場合には多量のコイルを個々に扱うと計算負荷が高くなり、計算時間が膨大になる虞がある。番地の数やコイルの数が多くなるほど、このような傾向が顕著になる。
【0022】
そこで、本実施形態では、置くことが出来るコイルの属性を複数の番地231a~231cのそれぞれにおいて特定するための置場制約情報(後述の
図3の符号320~340参照)と、計画対象のコイルの属性を特定するためのコイル属性情報420(後述の
図4参照)と、に基づいて、計画対象の複数のコイルをグループ化する。そして、搬送計画特定情報として、複数の番地231a~231cへのコイルの搬送計画を、同一のグループの少なくとも一部ごとに特定するための第1のコイル搬送情報を算出する。このようにすれば、複数の番地231a~231cへのコイルの搬送計画の立案にあって多量のコイルを個々に処理する必要がなく、グループ単位で処理することになる。よって、搬送計画の処理対象数を減らすことができ、計算負荷を低減することが出来る。なお、複数の番地231a~231cへのコイルの搬送計画により、例えば、複数の番地231a~231cのうちのどの番地にどのグループのコイルをどのタイミングでどれだけ搬送するのかが特定される。本実施形態では、第1のコイル搬送情報が、第1の物品搬送情報である場合を例示する。
【0023】
また、計画対象の複数のコイルをグループ化するに際し、各番地231a~231cからのコイルの搬送先(出荷船240)が複数ある場合、搬送先(出荷船240)ごとにコイルをグループ化するのが好ましい。このようにすれば、同じグループに属するコイルを同じ搬送先(出荷船240)に搬送されて出荷されるコイルとすることが出来る。
【0024】
また、岸壁倉庫230の各番地231a~231cからのコイルの搬送計画を特定するための第2のコイル搬送情報を算出してもよい。このようにすれば、出荷ライン220を出てから出荷船240に入るまでのコイルの搬送計画を一貫して作成することが出来る。なお、岸壁倉庫230の各番地231a~231cからのコイルの搬送計画により、例えば、岸壁倉庫230の各番地231a~231cからあるタイミングで搬送する重量が特定される。出荷船240が複数ある場合、岸壁倉庫230の各番地231a~231cからのコイルの搬送計画により、例えば、岸壁倉庫230の各番地231a~231cから合計でどの程度の量(重量)のコイルをどのタイミングでどの出荷船240に搬送するのかが特定されるのが好ましい。
【0025】
この際、岸壁倉庫230の各番地231a~231cからのコイルの搬送計画を、前述したようにしてグループ化することにより得られるグループのうち同一のグループの少なくとも一部ごとに特定しても良い。しかしながら、各番地231a~231cに置かれているコイルは、当該番地において置くことができる属性を有する。したがって、本実施形態では、第2のコイル搬送情報においては、岸壁倉庫230の各番地231a~231cからどのコイルを搬送するのかが、同一のグループの少なくとも一部ごとに特定されず、番地231a~231cごとに特定される場合を例示する。本実施形態では、第2のコイル搬送情報が、第2の物品搬送情報である場合を例示する。
【0026】
また、各番地231a~231cのコイルの在庫量を特定するための番地在庫情報をさらに算出するのが好ましい。このようにすれば、岸壁倉庫230の各番地231a~231cの在庫量を搬送計画に含めることが出来る。この際、岸壁倉庫230の各番地231a~231cに置かれたコイルを、前述したようにしてグループ化することにより得られるグループのうち同一のグループの少なくとも一部ごとに特定しても良い。しかしながら、各番地231a~231cに置かれているコイルは、当該番地において置くことができる属性を有する。したがって、本実施形態では、番地在庫情報においては、各番地231a~231cのコイルの在庫量が、同一のグループの少なくとも一部ごとに特定されず、番地231a~231cごとに特定される場合を例示する。なお、各番地231a~231cのコイルの在庫量は、例えば、コイルが搬送されるタイミングにおいて特定される。本実施形態では、番地在庫情報が、第1の置場在庫情報である場合を例示する。
【0027】
また、出荷ライン220において搬送可能となっているコイルの在庫量を特定するための出荷ライン在庫情報を算出するのが好ましい。このようにすれば、出荷ライン220の在庫量を搬送計画に含めることが出来る。この際、出荷ライン220において搬送可能となっているコイルの在庫量を、前述したようにしてグループ化することにより得られるグループのうち同一のグループの少なくとも一部ごとに特定しても良い。しかしながら、出荷ライン220から搬送されるコイルのグループは、第1のコイル搬送情報により特定される。したがって、本実施形態では、出荷ライン220において搬送可能となっているコイルの在庫量が、同一のグループの少なくとも一部ごとに特定されず、出荷ライン220全体の在庫量として特定される場合を例示する。なお、出荷ライン220において搬送可能となっているコイルの在庫量は、例えば、コイルが搬送されるタイミングにおいて特定される。本実施形態では、出荷ライン在庫情報が第2の置場在庫情報である場合を例示する。
【0028】
なお、本実施形態では、出荷船240におけるコイルの置場241には、置くことが出来るコイルの属性の属性が定められていない場合を例示する。しかしながら、岸壁倉庫230の各番地231a~231cに置かれたコイルの搬送先の置場(
図2に示す例では出荷船240におけるコイルの置場241)にも、置くことが出来るコイルの属性が定められていても良い。この場合、岸壁倉庫230の各番地231a~231cから搬送するコイルを、前述したのと同様にしてグループ化して、置場241に搬送するコイルを同一のグループの少なくとも一部ごとに特定しても良い。ただし、この場合には、岸壁倉庫230の各番地231a~231cに置くことができるコイルの属性に代えて、出荷船240におけるコイルの置場241に置くことができるコイルの属性が用いられる。
【0029】
また、第1のコイル搬送情報、第2のコイル搬送情報、番地在庫情報、および出荷ライン在庫情報のそれぞれを決定変数とし、当該決定変数の最適解を、数理計画問題を解くことにより算出するのが好ましい(なお、数理計画問題は、数理最適化問題などとも称される)。このようにすれば、コイルの納期、岸壁倉庫230から出荷船240へのコイルの搬送能力、および出荷船240の搬送能力等、搬送計画に対する評価指標を評価して、第1のコイル搬送情報、第2のコイル搬送情報、番地在庫情報、および出荷ライン在庫情報を算出することが出来る。なお、数理計画問題の解法は、数理計画問題の定式化に応じた公知の手法で良く、線形計画法であっても、混合整数計画法であっても、その他の手法であっても良い。また、遺伝的アルゴリズム等のメタヒューリスティックス手法を用いても良いし、数理計画問題を解く手法以外の手法(例えば、機械学習モデル)を用いても良い。
【0030】
<コイルをグループ化する手法の例>
ここで、コイルをグループ化する手法の具体例を説明する。
図3は、置場制約情報300の一例を示す図である。
図3において、番地310は、岸壁倉庫230の番地231a~231cを一意に識別するための情報である。なお、
図3において番地310の欄に括弧つきで示す「p」は、後述する<数理計画問題における定式化の例>の項で示す番地pに対応する。
図3では、置場制約情報300において、コイルの重量320、幅330、および外径340が、番地231a~231cに置くことが出来るコイルの属性として番地231a~231cごとに定められている場合を例示する。
図3では、各番地pには、同一行で対応付けられたコイルの重量320、幅330、外径340(置場制約情報)の全ての条件を満たすコイルの属性(コイル属性情報)を有するコイルのみが、置くことが可能である。しかしながら、コイルの属性は、重量320、幅330、および外径340に限定されない。例えば、コイルの属性には、これらに加えて、または、これらの少なくとも1つに代えて、コイルの形状が含まれていても良い。本実施形態では、置場制約情報300が物品制約情報である場合を例示する。
【0031】
図4は、コイル情報400の一例を示す図である。コイル情報400は、計画対象のコイルの情報である。
図4において、コイル番号410は、コイルを一意に識別するための情報である。コイル情報400には、コイルの属性を特定するためのコイル属性情報420が含まれる。
図4では、計画対象のコイルの属性の一例として、コイルの重量、幅、および外径が、コイル属性情報420に含まれる場合を例示する。本実施形態では、コイル属性情報420が物品属性情報である場合を例示する。
【0032】
コイル情報400には、船番号430が含まれる。船番号430は、コイルを搬送する出荷船240を一意に識別するための情報である。なお、
図4において船番号430の欄に括弧つきで示す「i」は、後述する<数理計画問題における定式化の例>の項で示す船番号iに対応する。本実施形態では、コイルを搬送する出荷船240が、船番号430が「1」の出荷船240と、船番号430が「2」の出荷船240と、のうちのいずれかである場合を例示する。本実施形態では、船番号430が物品搬送先情報である場合を例示する。
【0033】
なお、
図4では、コイル情報400に、現状440および計上日450も含まれる場合を例示する。
現状440は、搬送計画の立案開始のタイミングにおいてコイルがどのような状態であるか否かを示す。本実施形態では、コイルが、計上済みであるか否かと、計上済みでないコイルがどこにあるかと、が現状440により特定される場合を例示する。
図4において「計上済み」は、コイルが計上されていること(出荷ライン220においてコイルが出荷可能になっていること)を示す。また、「中間置場A」は、コイルは未だ計上されておらず、出荷ライン220に存在する中間置場Aにあることを示す。なお、中間置場Aは、
図2に示す出荷ライン220におけるコイルの置場221a~221bのうちの一つであっても良いし、当該置場とは別の置場であっても良い。
【0034】
計上日450は、コイルが計上される日を示す。本実施形態では、説明を簡単にするため、コイルを搬送するタイミングが一日に一回である場合を例示する。したがって、計上日450は、コイルが計上された月日を示す(なお、計上日450は年月日であっても良い)。ただし、コイルを搬送するタイミングは、一日に一回に限定されない。例えば、コイルは一日に複数回搬送されても良い。
【0035】
また、本実施形態では、立案開始のタイミングが10月9日である場合を例示する。したがって、
図4において、計上日450が10月9日以前であるコイル番号410が「2」~「5」のコイルの現状440は「計上済み」になり、計上日450は、実際に計上された日(10月9日以前)になる。一方、10月9日において計上されていないコイル番号410が「1」のコイルの計上日450は、予定日(10月10日よりも後)になる。この予定日は、オペレータによって指定されても計画作成装置100が予測計算しても良い。
【0036】
なお、計画作成装置100が計上日450(予定日)を予測計算する手法の一例は、<算出部130>の項で後述する。また、現状440および計上日450がどのようにして使用されるのかの一例の詳細についても<算出部130>の項で後述する。
また、
図4に示す「・・・」は、他にも情報があることを示す(このような表記はその他の図においても同じである)。コイル情報400には、計画対象のコイルの数のレコードが存在する。
【0037】
図5は、グループ化情報500の一例を示す図である。グループ化情報500は、計画対象のコイルをグループ化した結果を示す情報である。なお、
図5では、閲覧性の観点から、コイル属性情報420および船番号430がグループ化情報500に含まれる場合を例示する。しかしながら、コイル属性情報420および船番号430は、コイル情報400に含まれているので、グループ化情報500に含まれていなくても良い。
【0038】
図5において、グループ化情報500には配置可能パターン510が含まれる。配置可能パターン510は、
図3の番地310の欄示す「1」、「2」、および「3」で識別される各番地231a~231cにコイルを置くことが出来るか否かを示す情報である。本実施形態では、
図3に示す番地310の欄の「1」、「2」、「3」が、それぞれ、
図2に示す番地231a、231b、231cの識別番号である場合を例示する。なお、
図5において配置可能パターン510の欄に括弧つきで示す「j」は、後述する<数理計画問題における定式化の例>の項で示す配置可能パターンjに対応する。
【0039】
図5では、識別番号が「1」、「2」、「3」の番地231a、231b、231cにコイルを置くことが出来るか否かを左から順に示す3つの0-1情報の組合せで、配置可能パターン510が表される場合を例示する。また、
図5では、この0-1情報が「1」であることは置くことが出来ることを示し、この0-1情報が「0」であることは置くことが出来ないことを示す場合を例示する。
【0040】
例えば、
図5において、コイル番号410が「1」~「3」のコイルの配置可能パターン510は、[1,0,0]である。[1,0,0]は、識別番号が「1」の番地231aにはコイルを置くことが出来るが、識別番号が「2」および「3」の番地231b~231cにはコイルを置くことが出来ないことを示す。コイル番号410が「4」のコイルの配置可能パターン510は、[1,1,0]である。[1,0,0]は、識別番号が「1」および「2」の番地231a~231bにはコイルを置くことが出来るが、識別番号が「3」の番地231cにはコイルを置くことが出来ないことを示す。コイル番号410が「5」のコイルの配置可能パターン510は、[1,1,1]である。[1,1,1]は、識別番号が「1」、「2」および「3」の全ての番地231a~231cにコイルを置くことが出来ることを示す。なお、配置可能パターン510には、これら以外のもの(例えば、[0,1,1])が存在し得るが、本実施形態では説明を簡単にするために、配置可能パターン510が、[1,0,0]、[1,1,0]、および[1,1,1]のいずれかである場合を例示する。
【0041】
図3および
図4に示すようにして置場制約情報300およびコイル情報400が定められる場合、コイル番号410のコイルのそれぞれについて、コイル属性情報420に含まれる重量、幅、および外径が、置場制約情報300に含まれる重量320、幅330、外径340の範囲内となる番地310を算出することにより、当該コイルの配置可能パターン510が算出される(後述の<グループ化部120>の項を参照)。
【0042】
例えば、
図4において、コイル番号410が「1」のコイルのコイル属性情報420に含まれる重量(=500kg)、幅(=1000mm)、および外径(=2000mm)は、それぞれ、
図3において、識別番号が「1」の番地310(
図2に示す番地231a)に対して定められている重量320(≦500kg)、幅330(≦2000mm)、および外径340(≦2000mm)の範囲内となる。
【0043】
一方、
図4において、コイル番号410が「1」のコイルのコイル属性情報420に含まれる重量(=500kg)、外径(=2000mm)は、それぞれ、
図3において、識別番号が「2」の番地310(
図2に示す番地231b)に対して定められている重量320(≦300kg)および外径340(≦1000mm)の範囲内にならない。
【0044】
また、
図4において、コイル番号410が「1」のコイルのコイル属性情報420に含まれる外径(=2000mm)は、
図3において、識別番号が「3」の番地310(
図2に示す番地231c)のレコードの外径340(≦1000mm)の範囲内にならない。
【0045】
したがって、
図4において、コイル番号410が「1」のコイルは、識別番号が「1」の番地231aには置くことができるが、識別番号が「2」および「3」の番地231b~231cには置くことが出来ない。よって、
図5を参照しながら前述したように、コイル番号410が「1」のコイルの配置可能パターン510は、[1,0,0]になる。全てのコイル番号410のコイルについて、以上のようにして配置可能パターン510を算出する。
【0046】
そして、本実施形態では、
図5において、船番号430および配置可能パターン510が同一のコイル番号410のコイルを同一のグループにグループ化する場合を例示する。
図5においてグループ化情報500には、グループ番号520が含まれる。グループ番号520は、以上のようにしてコイルをグループ化した個々のグループを一意に識別するための情報である。なお、
図5では、各コイルがどのグループに属するのかを分かり易く示すためにグループ番号を示す。グループ番号自体は、後述する<数理計画問題における定式化の例>の項において定式化される数式には使用されない。後述する<数理計画問題における定式化の例>の項においては、船番号430を識別する変数であるiと、配置可能パターン510を識別する変数であるjと、によりグループが特定される場合を例示する。
【0047】
例えば、
図4および
図5において、コイル番号410が「1」~「3」のコイルの配置可能パターン510は[1,0,0]であり同じである。しかしながら、コイル番号410が「1」および「3」のコイルの船番号430(=「1」)と、コイル番号410が「2」のコイルの船番号430(=「2」)と、は異なる。したがって、
図5において、コイル番号410が「1」および「3」のコイルが属するグループ(グループ番号520が「1」のグループ)と、コイル番号410が「2」のコイルが属するグループ(グループ番号520が「2」のグループ)と、は相互に異なるグループになる。
なお、以上のようにしてグループ化した結果、1つのグループに1つのコイルのみが属する場合が生じ得る。本実施形態では、1つのコイルのみが属するものもグループとして扱う場合を例示する。
【0048】
なお、本実施形態では、各コイル番号410のコイルが属するグループを、配置可能パターン510および船番号430により特定することが出来る場合を例示する。したがって、グループ化情報500には、グループ番号520が含まれていなくても良い。
また、本実施形態では、番地231a~231cのいずれにも置けないコイルは(番地231a~231cに搬送することが出来ないので)計画対象のコイルではなく、グループ化されない場合(いずれのグループにも属さない場合)を例示する。例えば、
図4に示すコイル属性情報420(重量、幅、および外形)が、
図3に示す置場制約情報300の各番地310に対して定められている属性の範囲(重量320、幅330、および外径340)内にないコイルが、このようなコイルになる。ただし、このようなコイルも計画対象のコイルに含めても良い。例えば、番地231a~231cに搬送することが出来ないコイルとして1つのグループにグループ化し、当該コイルは、番地231a~231cに搬送することが出来ないコイルであるという情報を、搬送計画を特定するための情報として算出しても良い。
【0049】
<数理計画問題における定式化の例>
以下に、数理計画問題を解くことにより、第1のコイル搬送情報、第2のコイル搬送情報、番地在庫情報、および出荷ライン在庫情報を、数理計画問題を解くことにより算出する際に用いる数式(制約式および目的関数)の一例を説明する。
【0050】
船番号430の集合をi∈NIとする。
なお、∈の次に表記するNは、自然数を表すものとする(このことはNI以外についても同じである)。前述したように本実施形態では、コイルを搬送する出荷船240が、船番号430が「1」の出荷船240と、船番号430が「2」の出荷船240と、のうちのいずれかである場合を例示する。したがって、iは1または2になる。
【0051】
配置可能パターン510のインデックスの集合をj∈NJとする。
前述したように本実施形態では、配置可能パターン510が、[1,0,0]、[1,1,0]、および[1,1,1]のいずれかである場合を例示する。したがって、jは、1、2、または3になる(例えば、j=1は[1,0,0]を示し、j=2は[1,1,0]を示し、j=3は[1,1,1]を示す)。
【0052】
時刻の集合をt∈NTとする。
前述したように本実施形態では、コイルを搬送するタイミングが一日に一回である場合を例示する。したがって、t=1は立案開始日を示し、t=2は立案開始日の次の日を示す。
【0053】
岸壁倉庫230の番地231a~231cの集合をp∈NPとする。
前述したように本実施形態では、岸壁倉庫230には3つの番地231a~231cが存在する場合を例示する。したがって、pは、1、2、または3になる(本実施形態では、p=1は、番地231aを示し、p=2は、番地231bを示し、p=3は、番地231cを示す)。
【0054】
<<制約式>>
制約式は、物品を搬送する際に課せられる制約を表す数式である。制約式を定める場合には、物品を搬送する際に課せられる制約として、複数の置場のうちのいずれかの置場に物品を搬送して当該置場に置く際に課せられる制約が含まれていても良い。また、物品を搬送する際に課せられる制約は、複数の置場のいずれかの置場に物品を搬送して当該置場に置いた後、各置場から物品を搬送する際に課せられる制約を含んでいても良い。本実施形態では、コイルを搬送する際に課せられる制約として、出荷ライン220から岸壁倉庫230の複数の番地231a~231cのうちのいずれかの番地にコイルを搬送して当該番地に置いた後、各番地231a~231cからコイルを出荷船240に向けて搬送する際に課せられる制約が含まれる場合を例示する。より具体的に本実施形態では、以下の制約式を用いる場合を例示する。なお、以下の制約式は、説明を分かり易くするために示す具体例に過ぎず、コイルを搬送する際に課せられる制約を示す制約式は、以下の制約式に限定されるものではない。
制約式には以下の(1)式が含まれる。
【0055】
【0056】
ここで、岸壁倉庫230への搬送量xi,j,p,t'は、船番号430がiであり、配置可能パターン510がjであるグループに属するコイルのうち、時刻t'に岸壁倉庫230の番地pに搬送されるコイルの総重量を示す変数であり、決定変数の一つである。本実施形態では、岸壁倉庫230への搬送量xi,j,p,tと、グループ化情報500と、を用いることにより、岸壁倉庫230の複数の番地231a~231cへのコイルの搬送計画(どの番地にどのタイミングでどのグループのコイルを搬送するのか)が、同一のグループの少なくとも一部ごとに特定される場合を例示し、岸壁倉庫230への搬送量xi,j,p,tが第1のコイル搬送情報(第1の物品搬送情報)の一例である場合を例示する。岸壁倉庫230への搬送量xi,j,p,tを決定変数とすることにより、岸壁倉庫230の複数の番地231a~231cへの搬送計画を個々のコイルごとに決定する必要がなくなるため、決定変数の数を減らすことが出来る。すなわち、岸壁倉庫230への搬送量xi,j,p,tは、船番号iおよび配置可能パターンjの組み合わせで定められるグループごとの変数である。これに対し、個々のコイルごとに岸壁倉庫230への搬送量を決定する場合、岸壁倉庫230への搬送量はコイルごとの変数になる。グループの数は計画対象のコイルの数よりも少ないため、前述したように決定変数の数を減らすことが出来る。
【0057】
累積計上済み量Hi,j,tは、船番号430がiであり、配置可能パターン510がjであるグループに属するコイルのうち、時刻1~時刻tの期間に出荷ライン220において計上されたコイルの総重量であり、定数の一つである。
(1)式は、時刻1~時刻tの期間に岸壁倉庫230に搬送されるグループに属するコイルの岸壁倉庫230への搬送量ΣΣxi,j,p,t'を、当該グループに属するコイルの時刻tでの累積計上済み量Hi,j,tよりも多くすることは出来ないことを示す。
また、制約式には以下の(2)式が含まれる。
【0058】
【0059】
ここで、倉庫在庫量si,p,tは、時刻tに岸壁倉庫230の番地pに置かれているコイル(在庫)のうち、(時刻tよりも後の時刻に)船番号430がiの出荷船240に搬送されるコイルの総重量を示す変数であり、決定変数の一つである。本実施形態では、倉庫在庫量si,p,tにより、各番地231a~231cのコイルの在庫量が各時刻tにおいて特定される場合を例示し、倉庫在庫量si,p,tが番地在庫情報(第1の置場在庫情報)である場合を例示する。
【0060】
倉庫初期在庫量Sinitial
i,pは、船番号430がiの出荷船240に搬送されるコイルのうち、立案開始のタイミング(t=1)において既に岸壁倉庫230の番地pに置かれているコイルの総重量(番地pの初期在庫量)を示し、定数の一つである。
【0061】
(2)式は、立案開始のタイミング(t=1)に岸壁倉庫230の番地pに置かれているコイルのうち、船番号430がiの出荷船240に搬送されるコイルの倉庫在庫量si,p,t(t=1)は、当該番地pに置かれるコイルのうち、当該出荷船240に搬送されるコイルの倉庫初期在庫量Sinitial
i,pと一致しなければならないことを示す。なお、Sinitial
i,pは、(2)式において、Sの右側に「initial」および「i,p」が上下に並んで示す記号に対応する(その他の決定変数および定数においても同様に表記するものとする)。
また、制約式には以下の(3)式が含まれる。
【0062】
【0063】
ここで、出荷船240への搬送量yi,p,tは、岸壁倉庫230の番地pに置かれているコイルのうち、時刻tに船番号430がiの出荷船240に搬送されるコイルの総重量を示す変数であり、決定変数の一つである。本実施形態では、出荷船240への搬送量yi,p,tと、コイル情報400と、を用いることにより、岸壁倉庫230の各番地231a~231cから出荷船240へのコイルの搬送計画(岸壁倉庫230の各番地231a~231cに置かれたコイルを合計でどの程度の量(重量)、どのタイミングでどの出荷船240に搬送されるのか)が特定される場合を例示し、出荷船240への搬送量yi,p,tが第2のコイル搬送情報(第2の物品搬送情報)である場合を例示する。
【0064】
(3)式は、時刻t+1に岸壁倉庫230の番地pに置かれているコイル(在庫)のうち、船番号430がiの出荷船240に搬送されるコイルの倉庫在庫量si,p,t+1は、時刻tに当該番地pに置かれているコイルのうち、当該出荷船240に搬送されるコイルの倉庫在庫量si,p,tに、時刻tに当該番地pに搬送されるコイルのうち、当該出荷船240に搬送されるコイルの岸壁倉庫230への搬送量Σxi,j,p,tを加算し、時刻tに当該番地pに置かれているコイルの当該出荷船240への搬送量yi,p,tを減算したものと一致しなければならないことを示す。
また、制約式には以下の(4)式が含まれる。
【0065】
【0066】
ここで、倉庫在庫上限量Supper
pは、岸壁倉庫230の番地pに置くことができるコイルの重量の上限値を示し、定数の一つである。
(4)式は、岸壁倉庫230の番地pの時刻tでの倉庫在庫量Σsi,p,tは、当該番地pの倉庫在庫上限量Supper
p以下でなければならないことを示す。
また、制約式には以下の(5)式が含まれる。
【0067】
【0068】
ここで、岸壁倉庫230への最大搬送量Cin_upper
tは、時刻tに出荷ライン220から岸壁倉庫230に搬送することが可能なコイルの重量の上限値を示し、定数の一つである。
(5)式は、時刻tに岸壁倉庫230に搬送されるコイルの岸壁倉庫230への搬送量ΣΣΣxi,j,p,tは、当該時刻tでの岸壁倉庫230への最大搬送量Cin_upper
t以下でなければならないことを示す。
また、制約式には以下の(6)式が含まれる。
【0069】
【0070】
ここで、出荷船240への最大搬送量Cout_upper
tは、時刻tに岸壁倉庫230から出荷船240に搬送することが可能なコイルの重量の上限値を示し、定数の一つである。
(6)式は、時刻tでの出荷船240への搬送量ΣΣyi,p,tは、当該時刻tでの出荷船240への最大搬送量Cout_upper
t以下でなければならないことを示す。
また、制約式には以下の(7)式が含まれる。
【0071】
【0072】
ここで、目標累積搬送量Fi,tは、時刻tまでに船番号430がiの出荷船240に船積みされているコイル(時刻1から時刻tまでの期間に当該出荷船240に船積みされたコイル)の総重量の目標値を示し、定数の一つである。
【0073】
また、荷遅れ量aminus
i,tは、船番号がiの出荷船240の目標累積搬送量Fi,tに対する不足量を示し、決定変数の一つである。荷遅れ量aminus
i,tが正であることは、時刻tに船番号がiの出荷船240に船積みされていなければならないコイルが当該出荷船240に全て船積みされていない(いわゆる荷遅れが生じている)ことを示す。
【0074】
(7)式は、船番号がiの出荷船240に対する時刻tでの荷遅れ量aminus
i,tは、当該出荷船240に対する時刻tでの目標累積搬送量Fi,tから、時刻1~時刻tの期間における当該出荷船240への搬送量ΣΣyi,p,tを減算した値以上でなければならないことを示す。
また、制約式には以下の(8)式が含まれる。
【0075】
【0076】
ここで、早積み量aplus
i,tは、船番号がiの出荷船240の目標累積搬送量Fi,tに対する超過量を示し、決定変数の一つである。早積み量aplus
i,tが正であることは、時刻tよりも後の時刻に船番号430がiの出荷船240に船積みされるコイルが、時刻tにおいて既に当該出荷船240に船積みされていること(いわゆる早積みが生じている)ことを示す。
【0077】
(8)式は、船番号がiの出荷船240に対する時刻tでの早積み量aplus
i,tは、時刻1~時刻tの期間における当該出荷船240への搬送量ΣΣyi,p,tから、当該出荷船240に対する時刻tでの目標累積搬送量Fi,tを減算した値以上でなければならないことを示す。
また、制約式には以下の(9)式が含まれる。
【0078】
【0079】
ここで、船積み納期TDL
iは、船番号430がiの出荷船240の船積み納期を示し、定数の一つである。船番号430がiの出荷船240に搬送される全てのコイルは、時刻TDL
iまでに当該出荷船240に搬送される必要がある。
【0080】
(9)式は、時刻1~時刻TDL
iの期間に船番号430がiの出荷船240に搬送されるコイルの当該出荷船240への搬送量ΣΣyi,p,tは、当該出荷船240に対する時刻t=TDL
iでの目標累積搬送量Fi,tに等しくなければならないことを示す。
また、制約式には以下の(10)式が含まれる。
【0081】
【0082】
ここで、置場可否定数Ωj,pは、配置可能パターンjに属するコイルを岸壁倉庫230の番地pに置けるか否かを示し、定数の一つである。本実施形態では、置場可否定数Ωj,pが「1」である場合、配置可能パターンjに属するコイルを岸壁倉庫230の番地pに置けることを示し、置場可否定数Ωj,pが「0」である場合、配置可能パターンjに属するコイルを岸壁倉庫230の番地pに置けないことを示す場合を例示する。
【0083】
(10)式は、配置可能パターンjに属するコイルを、岸壁倉庫230の番地pに置くことが出来ない場合、当該配置可能パターンjに属するコイルを、当該番地pに搬送してはならないことを示す。
また、制約式には以下の(11)式が含まれる。
【0084】
【0085】
(11)式は、船番号430がiである出荷船240の目標累積搬送量Fi,tが「0」である場合、時刻tでの当該出荷船240への搬送量yi,p,tは「0」でなければならないことを示す。
また、制約式には以下の(12)式が含まれる。
【0086】
【0087】
ここで、出荷ライン在庫量smill
tは、時刻tの時点で出荷ライン220において計上されているコイルの総重量(出荷ライン220の在庫量)を示し、決定変数の一つである。本実施形態では、出荷ライン在庫量smill
tにより、出荷ライン220における置場241で搬送可能となったコイルの在庫量が各時刻tにおいて特定される場合を例示し、出荷ライン在庫量smill
tが出荷ライン在庫情報(第2の置場在庫情報)である場合を例示する。
また、出荷ライン初期在庫量Smill_initialは、時刻1に出荷ライン220において既に計上されているコイルの総重量(出荷ライン220の初期在庫量)を示し、定数の一つである。
【0088】
(12)式は、時刻1(t=1)に出荷ライン220において計上されているコイルの出荷ライン在庫量smill
tは、出荷ライン初期在庫量Smill_initialに等しくなければならないことを示す。
また、制約式には以下の(13)式が含まれる。
【0089】
【0090】
ここで、計上済み量Ki,j,tは、船番号430がiであり、配置可能パターン510がjであるグループに属するコイルのうち、時刻tに出荷ライン220において計上されたコイルの総重量を示し、定数の一つである。
(13)式は、時刻t+1までに出荷ライン220において計上されているコイルの出荷ライン在庫量smill
t+1は、時刻tまでに出荷ライン220において計上されているコイルの出荷ライン在庫量smill
tに、時刻tに出荷ライン220において計上されたコイルの計上済み量ΣΣKi,j,tから、時刻tでの岸壁倉庫230への搬送量ΣΣΣxi,j,p,tを減算した値を加算したものに等しくなければならないことを示す。
また、制約式には以下の(14)式が含まれる。
【0091】
【0092】
ここで、出荷ライン在庫上限量Smill_upper
tは、時刻tに出荷ライン220において計上されているコイルの総重量(時刻tでの出荷ライン220の在庫量)の上限値を示し、定数の一つである。
(14)式は、時刻tまでに出荷ライン220において計上されているコイルの出荷ライン在庫量smill
tは、時刻tでの出荷ライン在庫上限量Smill_upper
t以下でなければならないことを示す。
【0093】
<<目的関数>>
目的関数は、搬送計画を評価する評価指標を含む関数である。評価指標は、搬送計画の良否の程度を示す指標であれば良く、限定されない。評価指標の数は、1つでも複数でも良い。本実施形態では、評価指標が、決定変数aminus
i,t、aplus
i,t、smill
tの3つである場合を例示する。この場合、目的関数Jは、例えば、以下の(15)式で表される。
【0094】
【0095】
ここで、Wminus、Wplus、Wstockは、それぞれ、荷遅れ量aminus
i,t、早積み量aplus
i,t、出荷ライン在庫量smill
tに対する重み係数であり、各評価指標の相対的な重要度に対応し、各評価指標のバランスをとるためのであり、定数である。(15)式では、目的関数Jの最小値を算出する場合を例示する(Jの前に示すMin.は、このことを示す)。したがって、重み係数Wminus、Wplus、Wstockは、正数であるのが好ましい。
【0096】
<<最適化計算>>
以上のような(1)式~(14)式の制約式および(15)式の目的関数を用いる場合、(1)式~(14)式の制約式を満足する範囲で(15)式の目的関数Jの値が最小となるときの決定変数xi,j,p,t、yi,p,t、si,p,t、aminus
i,t、aplus
i,t、smill
tを最適解として算出する。なお、これらの決定変数の最適解の算出は、CPLEX等、公知のソルバーを用いることにより実現されるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。なお、ここでは、線形計画問題として定式化した場合を例示した。しかしながら、例えば、線形計画問題では定式化できない制約式を用いる場合には、混合整数計画問題等、その他の数理計画問題として定式化しても良い。例えば、決定変数xi,j,p,t、yi,p,t、si,p,tのような決定変数(重量)に加え、例えば、搬送するか否かを示す0-1変数を決定変数としてさらに用いても良い。このようにする場合、岸壁倉庫230への搬送量xi,j,p,tに対応する決定変数は、例えば、船番号430がiであり、配置可能パターン510がjであるグループに属する全てまたは一部のコイルを、時刻tに岸壁倉庫230の番地pに搬送する場合には「1」であり、そうでない場合には「0」である変数としても良い。このようにしても、同一のグループの少なくとも一部ごとに、搬送されるコイルが特定される。また、(15)式では、数理計画問題が最小化問題である場合を例示する。しかしながら、数理計画問題は最小化問題に限定されず、最大化問題であっても良い。このようにする場合、例えば、(15)式の右辺の各項に(-1)を乗算したものを目的関数とする。
【0097】
次に、
図1に示す計画作成装置100の各部が有する機能の一例を説明する。
<取得部110>
取得部110は、計画作成装置100が搬送計画を作成するために事前に必要となる情報である事前収集情報を取得する。事前収集情報には、例えば、置場制約情報300と、コイル情報400と、定数情報と、が含まれる。
【0098】
定数情報は、<数理計画問題における定式化の例>の項で説明した定数を示す情報と、<数理計画問題における定式化の例>の項で説明した定数を算出するために必要な情報と、のうちの少なくとも一方を含む。本実施形態では、定数情報に、当該定数を示す情報と、当該定数を算出するために必要な情報と、の双方が含まれる場合を例示する。なお、コイルをグループ化する手法の一例を取得部110で取得される情報に先立って説明した関係で、コイル情報400(個々のコイルについての情報)をその他の定数情報と区別して表記する場合を例示するが、コイル情報400も定数情報に含まれる情報である。
【0099】
図6~
図9を参照しながら、定数情報の一例を説明する。なお、
図6以降の各図において、「***」は、情報(値や名称等)が与えられることを示す。また、「-」は、情報の設定が不要であることを示す(ただし、0(零)等の情報が設定されていても良い)。また、
図6以降でも、
図4と同様に、立案開始のタイミングが10月9日である場合を例示する。
【0100】
図6は、目標累積搬送量F
i,tの一例を示す図である。
図6では、計画対象の期間が10月9日から10月14日まで(時刻1から時刻6まで(t=1~6)の期間)である場合を例示する。
図6において、船番号430が「1」(i=1)の出荷船240は、10月12日から10月14日まで(時刻4から時刻6まで(t=4~6)の期間)、岸壁倉庫230から搬送されるコイルを船積みするために停泊することを示す。したがって、船番号430が「1」(i=1)の出荷船240の船積み納期T
DL
1は、10月14日(時刻6(t=6))になる。また、
図6では、船番号430が「2」(i=2)の出荷船240は、10月10日から10月12日まで(時刻2から時刻4まで(t=2~4)の期間)、岸壁倉庫230から搬送されるコイルを船積みするために停泊することを示す。したがって、船番号430が「2」(i=2)の出荷船240の船積み納期T
DL
2は、10月12日(時刻6(t=4))になる。
【0101】
図7は、倉庫初期在庫量S
initial
i,p(
図7(a))、出荷ライン倉庫在庫量S
mill_initial(
図7(b))、および倉庫在庫上限量S
upper
p(
図7(c))の一例を示す図である。
図8は、出荷ライン在庫上限量S
mill_upper
t、岸壁倉庫230への最大搬送量C
in_upper
t、および出荷船240への最大搬送量C
out_upper
tの一例を示す図である。
図9は、重み係数W
minus、W
plus、W
stockの一例を示す図である。
【0102】
<グループ化部120>
グループ化部120は、置場制約情報300(
図3参照)と、コイル情報400(
図4参照)と、に基づいて、計画対象の複数のコイルをグループ化する。このようにしてコイルをグループ化する方法の一例は、<コイルをグループ化する手法の例>の項で前述した通りである。前述したように
図5では、各コイル番号410のコイルが、船番号430および配置可能パターン510が同一のグループにグループ化される場合を例示する。具体的には、本実施形態では、グループ化部120は、まず、置場制約情報300とコイル属性情報420との比較に基づいて、各コイルの配置可能パターン510を算出し、算出した配置可能パターン510をコイル番号に対して対応づけて記憶する(
図5参照)。そして、グループ化部120は、コイル情報400に含まれる各コイルに対応付けられた船(船番号430)および配置可能パターン510に基づいて、コイルのグルーピングを行う。前述したように本実施形態では、船番号430および配置可能パターン510によりグループが定められる場合を例示する。また、<数理計画問題における定式化の例><数理計画問題における定式化の例>の項においては、船番号430を識別する変数であるiと、配置可能パターン510を識別する変数であるjと、によりグループが特定される場合を例示した。この場合、グループ化部120は、コイル番号に対して、船番号430および配置可能パターン510を対応付けて記憶することにより、前記のグループ化を行えば良く、各グループを識別するグループ番号を、コイル番号に対して対応づけて記憶してもしなくても良い。なお、定式化においてグループ番号ごとの変数を用いる場合には、グループ化部120は、各グループを識別するグループ番号を、コイル番号に対して対応づけて記憶することで、前記のグループ化を行えば良い。
【0103】
<算出部130>
算出部130は、搬送計画特定情報を算出する。搬送計画特定情報には、第1のコイル搬送情報が含まれる。<概要>の項で前述したように本実施形態では、第1のコイル搬送情報が、複数の番地231a~231cへのコイルの搬送計画を、同一のグループの少なくとも一部ごとに特定するための情報である場合を例示する。
【0104】
また、<概要>の項で前述したように本実施形態では、算出部130が、第1のコイル搬送情報に加え、第2のコイル搬送情報と、番地在庫情報と、出荷ライン在庫情報と、を搬送計画特定情報としてさらに算出する場合を例示する。また、本実施形態では、第2のコイル搬送情報が、岸壁倉庫230の各番地231a~231cからのコイルの搬送計画を特定するための情報であり、番地在庫情報が、各番地231a~231cのコイルの在庫量をコイルが搬送されるタイミングにおいて特定するための情報であり、出荷ライン在庫情報が、出荷ライン220の置場221a~221bにおいて搬送可能となっているコイルの在庫量をコイルが搬送されるタイミングにおいて特定するための情報である場合を例示する。
【0105】
また、<概要>の項で前述したように本実施形態では、算出部130が、第1のコイル搬送情報、第2のコイル搬送情報、番地在庫情報、および出荷ライン在庫情報を、数理計画問題を解くことにより算出する場合を例示する。<数理計画問題における定式化の例>の項で前述したように本実施形態では、岸壁倉庫230への搬送量xi,j,p,tが第1のコイル搬送情報であり、出荷船240への搬送量yi,p,tが第2のコイル搬送情報であり、倉庫在庫量si,p,tが番地在庫情報であり、出荷ライン在庫量smill
tが出荷ライン在庫情報であり、算出部130が、(1)式~(14)式の制約式を満足する範囲で(15)式の目的関数Jの値が最小となるときの決定変数xi,j,p,t、yi,p,t、si,p,t、aminus
i,t、aplus
i,t、smill
tを最適解として算出する場合を例示する。
【0106】
ここで、本実施形態では、(1)式~(14)式に含まれる定数のうち、(1)式に示す累積計上済み量H
i,j,t、(10)式に示す置場可否定数Ω
j,p、および(13)式に示す計上済み量K
i,j,t以外の定数が、取得部110により取得される定数情報に含まれる場合を例示する。具体的にH
i,j,t、Ω
j,p、K
i,j,t以外の定数は、F
i,t(
図6を参照)、T
DL
i(
図6を参照)、S
initial
i,p(
図7(a)を参照)、S
mill_initial(
図7(b)を参照)、S
upper
p(
図7(c)を参照)、S
mill_upper
t(
図8を参照)、C
in_upper
t(
図8を参照)、C
out_upper
t(
図8を参照)、およびW
minus、W
plus、W
stock(
図9を参照)である。
【0107】
この場合、累積計上済み量Hi,j,t、置場可否定数Ωj,p、および計上済み量Ki,j,t自体は、取得部110により取得される定数情報に含まれない。そこで、本実施形態では、算出部130が、コイル情報400およびグループ化情報500に基づいて、累積計上済み量Hi,j,tおよび計上済み量Ki,j,tを算出し、グループ化情報500に基づいて置場可否定数Ωj,pを算出する場合を例示する。
【0108】
まず、累積計上済み量Hi,j,tの算出方法の一例を説明する。
算出部130は、グループ化情報500に基づいて、各コイル番号410のコイルが属するグループ(船番号iおよび配置可能パターンjが同一のコイル)を特定する。
次に、算出部130は、コイル情報400に含まれる計上日450およびグループが同一のコイルごとに、コイルの重量を積算することにより、計上済み量Ki,j,tを算出する。ただし、計上日450が立案開始のタイミング以前である場合、算出部130は、当該計上日450を、立案開始のタイミングであるものとしてコイルの重量を積算する。
【0109】
図4および
図6を参照した際に説明したように、本実施形態では、立案開始のタイミングが10月9日である場合を例示する。したがって、算出部130は、
図4において、計上日450が、10月5日、10月8日、10月4日、10月7日であるレコードについては、計上日450が10月9日であるものとして、計上日450およびグループが同一のコイルごとに、コイルの重量を積算する。一方、計上日450が立案開始のタイミングよりも後である場合、算出部130は、コイル情報400に含まれる計上日450を、そのまま計上日450として用いて、計上日450およびグループが同一のコイルごとに、コイルの重量を積算する。したがって、算出部130は、
図4において、計上日450が10月10日であるレコードについては、計上日450をそのまま10月10日として、計上日450およびグループが同一のコイルごとに、コイルの重量を積算する。以上のようにして計上日450およびグループが同一のコイルごとに算出されるコイルの重量の積算値が、計上済み量K
i,j,tとして算出される。
【0110】
図10は、計上済み量K
i,j,tの一例を示す図である。
図6を参照しながら前述したように、本実施形態では、船番号430が「2」(i=2)の出荷船240が、10月10日~10月12日まで(時刻2から時刻4まで(t=2~4)の期間に)停泊する場合を例示する。したがって、
図10では、船番号430が「2」(i=2)の出荷船240が搬送先となるコイル(グループ番号が「2」および「3」のグループに属するコイル)については、当該出荷船240が存在しない10月13日(時刻5(t=5))以降に計上されない場合を例示する。
図10において、グループ番号が「2」および「3」であり、日が「10月13日」および「10月14日」である欄に示す「-」はこのことを示す。ただし、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、「10月12日」においても計上されないようにしても良い。
【0111】
また、ここでは、船番号430が「1」(i=1)の出荷船240が、10月12日から10月14日まで(時刻4から時刻6まで(t=4~6)の期間に)停泊する場合を例示する。したがって、
図10において、船番号430が「1」(i=1)の出荷船240が搬送先となるコイル(グループ番号が「1」および「4」のグループに属するコイル)については、計画対象の全期間(10月9日から10月14日まで(時刻1から時刻6まで(t=1~6)の期間))において計上が可能である場合を例示する。ただし、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、「10月14日」においては計上されないようにしても良い。
【0112】
次に、累積計上済み量Hi,j,tの算出方法の一例を説明する。
算出部130は、船番号430がiであり配置可能パターン510がjであるグループに属するコイルの時刻tでの計上済み量Ki,j,tに、当該グループに属するコイルの当該時刻tよりも前の各時刻1~t-1における計上済み量Ki,j,1~Ki,j,t-1を加算することにより、累積計上済み量Hi,j,tを算出する。例えば、船番号430が「1」であり配置可能パターン510が「1」であるグループに属するコイルの10月11日(時刻3(t=3))における累積計上済み量H1,1,3は、当該グループに属するコイルの10月10日(時刻3(t=3))における計上済み量K1,1,3に、当該グループに属するコイルの10月10日(時刻2(t=2))における計上済み量K1,1,2と、当該グループに属するコイルの10月9日(時刻1(t=1))における計上済み量K1,1,1と、を加算したものとなる(H1,1,3=K1,1,1+K1,1,2+K1,1,3)。
【0113】
<コイルをグループ化する手法の例>の項で
図4を参照しながら前述したように、立案開始のタイミングが10月9日において計上されていないコイルの計上日は、予定日になる。この予定日は、オペレータによって指定されても計画作成装置100が算出しても良い。コイルが計上される日(予定日)を計画作成装置100が算出する場合、取得部110は、例えば、出荷ライン220の各位置にあるコイルが計上されるのに要する時間を、出荷ライン220の位置ごとに示す計上所要時間情報を取得し、算出部130に出力しても良い。このようにする場合、算出部130は、例えば、コイル情報400に含まれる現状440から、コイルの現在の位置を特定し、特定した位置にあるコイルが計上されるのに要する時間を計上所要時間情報から特定し、特定した時間を立案開始のタイミングに加算することにより、当該コイルが計上される日(予定日)を算出しても良い。
【0114】
最後に、置場可否定数Ω
j,pの算出方法の一例を説明する。
算出部130は、グループ化情報500に含まれる配置可能パターン510を、置場可否定数Ω
j,pとして算出する。
図11は、置場可否定数Ω
j,pの一例を示す図である。
図11に示すように置場可否定数Ω
j,pは、配置可能パターン510に対応する。したがって、相互に異なるグループであっても、配置可能パターン510が同じであるグループであれば、それらのグループの置場可否定数Ω
j,pは同じになる。例えば、
図10において、グループ番号が「1」の「グループ」の配置可能パターン510とグループ番号が「2」のグループの配置可能パターン510は、いずれも[1,0,0](j=1)である。したがって、グループ番号が「1」の「グループ」に属するコイルの置場可否定数Ω
j,pと、グループ番号が「2」のグループに属するコイルの置場可否定数Ω
j,pは、同じ値になる。
【0115】
<出力部140>
出力部140は、算出部130により算出された搬送計画特定情報の少なくとも一部を出力する。前述したように本実施形態では、算出部130が、決定変数xi,j,p,t、yi,p,t、si,p,t、aminus
i,t、aplus
i,t、smill
tの最適解を搬送計画特定情報として算出する場合を例示する。出力部140は、例えば、これらの決定変数xi,j,p,t、yi,p,t、si,p,t、aminus
i,t、aplus
i,t、smill
tの最適解のうちの少なくとも1つを示す情報を出力する。本実施形態では、出力部140が、搬送計画特定情報をコンピュータディスプレイに表示する場合を例示する。しかしながら、搬送計画特定情報の出力形態は、コンピュータディスプレイへの表示に限定されない。例えば、コンピュータディスプレイへの表示に加えてまたは代えて、外部装置への送信と、計画作成装置100の内部または外部の記憶媒体への記憶と、のうちの少なくとも一方が実行されても良い。
【0116】
図12は、荷遅れ量a
minus
i,tの最適解(
図12(a))および早積み量a
plus
i,tの最適解(
図12(b))の一例を示す図である。
図6および
図10を参照しながら前述したように、本実施形態では、船番号430が「1」(i=1)の出荷船240が、10月12日から10月14日まで(時刻4から時刻6まで(t=4~6)の期間に)停泊する場合を例示する。
【0117】
したがって、
図12(a)において、10月12日以前に、船番号430が「1」(i=1)の出荷船240に対する荷遅れが発生することはない。
図12(a)において、船番号430が「1」であり、日が「10月13日」~「10月14日」である欄に示す「-」はこのことを示す。なお、船番号430が「1」(i=1)の出荷船240に10月13日に搬送する必要があるコイルが10月14日に搬送される場合には荷遅れが発生していることになる。したがって、
図12(a)において、船番号430が「1」であり、日が「10月14日」である欄の値が「0」を上回る値になることがある。
【0118】
また、
図12(b)において、10月11日以前および10月14日以後に、船番号430が「1」(i=1)の出荷船240に対する早積みが発生することはない。
図12(b)において、船番号430が「1」であり、日が「10月9日」~「10月11日」および「10月14日」である欄に示す「-」はこのことを示す。なお、船番号430が「1」(i=1)の出荷船240に10月13日または14日に搬送する必要があるコイルが10月12日に搬送される場合には早積みが発生していることになる。したがって、
図12(b)において、船番号430が「1」であり、日が「10月12日」である欄の値が「0」を上回る値になることがある。
【0119】
また、本実施形態では、船番号430が「2」(i=2)の出荷船240が、10月10日~10月12日まで(時刻2から時刻4まで(t=2~4)の期間に)停泊する場合を例示する。
したがって、
図12(a)において、10月10日以前と10月13日以後に、船番号430が「2」(i=2)の出荷船240に対する荷遅れが発生することはない。
図12(a)において、船番号430が「2」であり、日が「10月9日」~「10月10日」および「10月13日」~「10月14日」である欄に示す「-」はこのことを示す。
【0120】
また、
図12(b)において、10月9日以前と10月12日以後に、船番号430が「2」(i=2)の出荷船240に対する早積みが発生することはない。
図12(b)において、船番号430が「2」であり、日が「10月9日」および「10月12日」~「10月14日」である欄に示す「-」はこのことを示す。
【0121】
図13は、倉庫在庫量s
i,p,tの最適解の一例を示す図である。
図6および
図10を参照しながら前述したように、本実施形態では、船番号430が「1」(i=1)の出荷船240が、10月12日から10月14日まで(時刻4から時刻6まで(t=4~6)の期間に)停泊する場合を例示する。
【0122】
したがって、
図13において、船番号430が「1」(i=1)の出荷船240に搬送されるコイルが、10月14日において岸壁倉庫230に在庫として残っていることはない。
図13において、船番号430が「1」であり、日が「10月14日」である欄に示す「-」はこのことを示す。
【0123】
また、本実施形態では、船番号430が「2」(i=2)の出荷船240が、10月10日~10月12日まで(時刻2から時刻4まで(t=2~4)の期間に)停泊する場合を例示する。
【0124】
したがって、
図13において、船番号430が「2」(i=2)の出荷船240に搬送されるコイルが、10月12日以降に岸壁倉庫230に在庫として残っていることはない。
図13において、船番号430が「2」であり、日が「10月12日」~「10月14日」である欄に示す「-」はこのことを示す。
【0125】
出力部140は、例えば、
図12および
図13に示すようにして、荷遅れ量a
minus
i,tの最適解、早積み量a
plus
i,tの最適解、および倉庫在庫量s
i,p,tの最適解を示す情報を出力する。なお、前述したように出力部140が出力する搬送計画特定情報は、これらの情報に限定されない。例えば、出力部140は、これらの最適解のうちの少なくとも1つを示す情報を出力しなくても良い。また、出力部140は、これらの最適解に代えてまたは加えて、岸壁倉庫230への搬送量x
i,j,p,tの最適解と、出荷船240への搬送量y
i,p,tの最適解と、のうちの少なくとも一方を示す情報を出力しても良い。
【0126】
<搬送計画の変更>
オペレータは、出力部140により出力された搬送計画特定情報に基づいて、計画作成装置100により算出された最適化に基づく搬送計画を変更する必要があるか否かを判断する。例えば、オペレータは、当該搬送計画を業務上採用することが出来ない場合、当該搬送計画を変更する必要があると判断する。
【0127】
この場合、取得部110は、事前収集情報を取得し直す。取得部110が取得し直す事前収集情報は、取得部110が既に取得している事前収集情報に対し少なくとも一部が異なる。例えば、オペレータは、計画作成装置100のユーザインターフェースを操作して、搬送計画を変更する必要があるか否かを計画作成装置100に指示する。
【0128】
搬送計画を変更する必要がある場合、例えば、オペレータは、
図3に示す置場制約情報300に含まれる、コイルの重量320、幅330、および外径340のうちの少なくともいずれか1つを変更し、変更後の置場制約情報300を計画作成装置100に入力しても良い。その際、置場制約情報300による制約を緩めるように変更しても良いし、きつくするように変更しても良い。また、例えば、オペレータは、
図4に示すコイル情報400に含まれるコイル(計画対象のコイル)を変更し、変更後のコイル情報400を計画作成装置100に入力しても良い。その際、計画対象のコイルを増やしても良いし、減らしても良いし、入れ替えても良い。また、例えば、オペレータは、定数(F
i,t、S
initial
i,p、S
mill_initial、S
upper
p、S
mill_upper
t、C
in_upper
t、C
out_upper
t、W
minus、W
plus、W
stock)の少なくとも1つを変更し、変更後の定数を計画作成装置100に入力しても良い。また、例えば、オペレータは、計画対象期間(時刻tの範囲)を変更し、変更後の計画対象期間における目標累積搬送量F
i,tを計画作成装置100に入力しても良い。その際、計画対象期間を長くしても良いし、短くしても良い。
【0129】
このようにして取得部110が変更後の事前収集情報を取得すると、変更後の事前収集情報に基づいて、グループ化部120によるコイルのグループ化、算出部130による最適解の算出、および出力部140による搬送計画を示す情報の出力が再び行われる。なお、置場制約情報300およびコイル情報400に変更がない場合、グループ化部120によるコイルのグループ化は省略しても良い。
【0130】
ここでは、オペレータが搬送計画を変更する必要があるか否かを判断する場合を例示した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、計画作成装置100が最適解に基づいて搬送計画を変更する必要があるか否かを自動判定しても良い。例えば、計画作成装置100は、最適解に基づく搬送計画が予め設定されている条件を満足しない場合、当該最適解に基づく搬送計画を変更する必要があると判定しても良い。このようにする場合、計画作成装置100は、予め設定されたルールに従って、事前収集情報の少なくとも一部を変更しても良いし、事前収集情報の再入力が必要であることをオペレータに報知しても良い。
【0131】
<フローチャート>
次に、
図14のフローチャートを参照しながら、計画作成装置100を用いて実行される計画作成方法の一例を説明する。
まず、ステップS1401において、取得部110は、事前収集情報を取得する。
次に、ステップS1402において、グループ化部120は、事前収集情報(置場制約情報300およびコイル情報400)に基づいて、計画対象の複数のコイルをグループ化し、グループ化情報500を作成する。
【0132】
次に、ステップS1403において、算出部130は、事前収集情報(コイル情報400および定数情報)とグループ化情報500とに基づいて、(1)式~(14)式の制約式を満足する範囲で(15)式の目的関数Jの値が最小となるときの決定変数xi,j,p,t、yi,p,t、si,p,t、aminus
i,t、aplus
i,t、smill
tの最適解を、搬送計画に関する情報として算出する。
【0133】
次に、ステップS1404において、出力部140は、算出部130により算出された搬送計画特定情報の少なくとも一部を出力する。
【0134】
次に、ステップS1405において、計画作成装置100は、搬送計画を変更する必要があるか否かを判定する。<搬送計画の変更>の項で前述したようにステップS1405の判定は、オペレータによる計画作成装置100のユーザインターフェースの入力操作に基づいて行っても良いし、計画作成装置100が自動で行っても良い。
【0135】
この判定の結果、搬送計画を変更する必要がある場合(ステップS1405でYES)の場合、ステップS1401の処理が再び行われる。再び行われるステップS1401において、取得部110は、既に取得している事前収集情報に対し少なくとも一部が異なる事前収集情報を取得する。そして、当該事前収集情報に基づいて、ステップS1402~S1404の処理が再び行われる。ステップS1401~S1405の処理は、ステップS1405において、搬送計画を変更する必要がないと判定されるまで繰り返し行われる。
そして、ステップS1405において、搬送計画を変更する必要がないと判定されると、
図14のフローチャートによる処理は終了する。
【0136】
<まとめ>
以上のように本実施形態では、計画作成装置100は、置場制約情報300とコイル属性情報420とに基づいて、計画対象の複数のコイルをグループ化し、番地231a~231cへのコイルの搬送計画を、同一のグループの少なくとも一部ごとに特定するための第1のコイル搬送情報(岸壁倉庫230への搬送量xi,j,p,t)を算出する。したがって、置くことが可能なコイルの属性が番地231a~231cに定められている場合であっても、各番地231a~231cにコイルを適切に搬送することが出来る搬送計画を大きな計算負荷をかけることなく作成することが出来る。
【0137】
また、本実施形態では、計画作成装置100は、置場制約情報300、コイル属性情報420、および船番号430に基づいて、計画対象の複数のコイルをグループ化する。したがって、岸壁倉庫230からのコイルの搬送先(船番号430)が複数ある場合でも、搬送先ごとにコイルをグループ化することが出来、搬送先が異なる複数のコイルが同一のグループに分類されることを抑制することが出来る。
【0138】
また、本実施形態では、計画作成装置100は、各番地231a~231cからのコイルの搬送計画を特定するための第2のコイル搬送情報(出荷船240への搬送量yi,p,t)を算出する。したがって、出荷ライン220を出てから出荷船240に入るまでのコイルの搬送計画を一貫して作成することが出来る。
【0139】
また、本実施形態では、計画作成装置100は、第2のコイル搬送情報(出荷船240への搬送量yi,p,t)として、各番地231a~231cから各出荷船240への搬送計画を特定するための情報を算出する。したがって、出荷船240が複数ある場合でも、出荷ライン220を出てから出荷船240に入るまでのコイルの搬送計画を一貫して作成することが出来る。
【0140】
また、本実施形態では、計画作成装置100は、第2のコイル搬送情報(出荷船240への搬送量yi,p,t)において、各番地231a~231cからのコイルの搬送計画が、番地231a~231cごとに特定されるようにする。したがって、第2のコイル搬送情報について、必ずしも、不必要なグループによる区別をする必要がなくなるので、計算負荷の増大を抑制することが出来る。
【0141】
また、本実施形態では、計画作成装置100は、各番地231a~231cにおけるコイルの在庫量を特定するための番地在庫情報(倉庫在庫量si,p,t)を算出する。したがって、各番地231a~231cにおけるコイルの在庫量(の時間推移)を考慮した搬送計画を作成することが出来る。
【0142】
また、本実施形態では、計画作成装置100は、番地在庫情報(倉庫在庫量si,p,t)において、各番地231a~231cにおけるコイルの在庫量が番地231a~231cごとに特定されるようにする。したがって、番地在庫情報について、必ずしも、不必要なグループによる区別をする必要がなくなるので、計算負荷の増大を抑制することが出来る。
【0143】
また、本実施形態では、計画作成装置100は、出荷ライン220の置場221a~221bにおいて搬送可能となっているコイルの在庫量を特定するための出荷ライン在庫情報(出荷ライン在庫量smill
t)を算出する。したがって、出荷ライン220において搬送可能となっているコイルの在庫量(の時間推移)を考慮した搬送計画を作成することが出来る。
【0144】
また、本実施形態では、計画作成装置100は、出荷ライン在庫情報(出荷ライン在庫量smill
t)において、出荷ライン220において搬送可能となっているコイルの在庫量が出荷ライン220の全体の在庫量として特定されるようにする。したがって、出荷ライン在庫情報について、必ずしも、不必要なグループによる区別をする必要がなくなるので、計算負荷の増大を抑制することが出来る。
【0145】
また、本実施形態では、計画作成装置100は、決定変数xi,j,p,t、yi,p,t、si,p,t、aminus
i,t、aplus
i,t、smill
tの最適解を、数理計画問題を解くことにより算出する。したがって、搬送計画に対する評価指標を考慮して、搬送計画を作成することが出来る。
【0146】
また、本実施形態では、計画作成装置100は、各番地231a~231cにコイルを搬送することが可能になるタイミング(計上されるタイミング)を予測計算する。したがって、計画立案のタイミングで計上されていないコイルが計上されるタイミングを予測(計上日450の予定日を算出)したうえで、当該コイルについての第1のコイル搬送情報(岸壁倉庫230への搬送量xi,j,p,t)を算出することが出来る。
【0147】
<その他の実施形態>
なお、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0148】
なお、以上の実施形態の開示は、例えば以下のようになる。
(開示1)
複数の物品の搬送計画を作成する計画作成装置であって、
置くことが出来る物品の属性を複数の第1置場のそれぞれにおいて特定するための物品制約情報と、前記搬送計画の対象となる複数の物品の属性を特定するための物品属性情報と、に基づいて、当該複数の物品をグループ化するグループ化部と、
前記搬送計画を特定するための搬送計画特定情報を算出する算出部と、
を備え、
前記搬送計画特定情報は、前記第1置場への前記物品の搬送計画を、同一の前記グループの少なくとも一部ごとに特定するための第1の物品搬送情報を含む、計画作成装置。
(開示2)
前記グループ化部は、前記物品制約情報と、前記物品属性情報と、前記第1置場からの前記物品の搬送先を示す物品搬送先情報と、に基づいて、前記搬送計画の対象となる複数の物品をグループ化する、開示1に記載の計画作成装置。
(開示3)
前記搬送計画特定情報は、前記第1置場からの前記物品の搬送計画を特定するための第2の物品搬送情報をさらに含む、開示1または2に記載の計画作成装置。
(開示4)
前記物品は、前記第1置場から複数の第2置場のいずれかに搬送され、
前記第2の物品搬送情報は、前記第1置場から前記第2置場への前記物品の搬送計画を特定するための情報である、開示3に記載の計画作成装置。
(開示5)
前記第2の物品搬送情報においては、前記第1置場からの前記物品の搬送計画が、前記第1置場ごとに特定される、開示3または4に記載の計画作成装置。
(開示6)
前記搬送計画特定情報は、前記第1置場における前記物品の在庫量を特定するための第1の置場在庫情報をさらに含む、開示1~5のいずれか1つに記載の計画作成装置。
(開示7)
前記第1の置場在庫情報においては、前記第1置場における前記物品の在庫量が、前記第1置場ごとに特定される、開示6に記載の計画作成装置。
(開示8)
前記物品は、第3置場から前記第1置場に搬送され、
前記搬送計画特定情報は、前記第3置場において前記第1置場に搬送可能となった前記物品の在庫量を特定するための第2の置場在庫情報をさらに含む、開示1~7のいずれか1つに記載の計画作成装置。
(開示9)
前記第2の置場在庫情報においては、前記第3置場において前記第1置場に搬送可能となった前記物品の在庫量が、前記第3置場全体の在庫量として特定される、開示8に記載の計画作成装置。
(開示10)
前記算出部は、前記搬送計画特定情報を示す決定変数の最適解を、数理計画問題を解くことにより算出する、開示1~9のいずれか1つに記載の計画作成装置。
(開示11)
複数の物品の搬送計画を作成する計画作成方法であって、
置くことが出来る物品の属性を複数の第1置場のそれぞれにおいて特定するための物品制約情報と、前記搬送計画の対象となる複数の物品の属性を特定するための物品属性情報と、に基づいて、当該複数の物品をグループ化するグループ化工程と、
前記搬送計画を特定するための搬送計画特定情報を算出する算出工程と、
を備え、
前記搬送計画特定情報は、前記第1置場への前記物品の搬送計画を、同一の前記グループの少なくとも一部ごとに特定するための第1の物品搬送情報を含む、計画作成方法。
(開示12)
開示1~10のいずれか1つに記載の計画作成装置の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0149】
100 計画作成装置
110 取得部
120 グループ化部
130 算出部
140 出力部
210 熱延ライン
220 出荷ライン
221a~221b 出荷ラインにおけるコイルの置場
230 岸壁倉庫
231a~231c 番地(岸壁倉庫におけるコイルの置場)
240 出荷船
241 出荷船におけるコイルの置場
300 置場制約情報
310 番地
320 コイルの重量
330 コイルの幅
340 コイルの外径
400 コイル情報
410 コイル番号
420 コイル属性情報
430 船番号
440 現状
450 計上日
500 グループ化情報
510 配置可能パターン
520 グループ番号
aminus
i,t 荷遅れ量
aplus
i,t 早積み量
si,p,t 倉庫在庫量
smill
t 出荷ライン在庫量
xi,j,p,t 岸壁倉庫への搬送量
yi,p,t 出荷船への搬送量
Cin_upper
t 岸壁倉庫への最大搬送量
Cout_upper
t 出荷船への最大搬送量
Fi,t 目標累積搬送量
Hi,j,t 累積計上済み量
Ki,j,t 計上済み量
Sinitial
i,p 倉庫初期在庫量
Smill_initial 出荷ライン初期在庫量
Supper
p 倉庫在庫上限量
Smill_upper
t 出荷ライン在庫上限量
TDL
i 船積み納期
Wminus 荷遅れ量に対する重み係数
Wplus 早積み量に対する重み係数
Wstock 出荷ライン在庫量に対する重み係数