(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162386
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】接着剤塗布方法、接着剤吐出ユニット及び接着固定されてなる部品
(51)【国際特許分類】
B05D 1/26 20060101AFI20241114BHJP
B05B 1/06 20060101ALI20241114BHJP
B05C 7/02 20060101ALI20241114BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20241114BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20241114BHJP
C09J 5/00 20060101ALI20241114BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B05D1/26 Z
B05B1/06
B05C7/02
B05D7/24 301P
B05D3/00 B
B05D3/00 C
C09J5/00
H02K15/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077834
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000103792
【氏名又は名称】オリエンタルモーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(72)【発明者】
【氏名】八巻 正幸
(72)【発明者】
【氏名】砂田 真也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 啓太
【テーマコード(参考)】
4D075
4F033
4F042
4J040
5H615
【Fターム(参考)】
4D075AC02
4D075AC09
4D075AC71
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4D075EA35
4F033AA02
4F033BA03
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4F033NA01
4F042AA03
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4F042AB00
4F042BA12
4F042CB08
4F042CB18
4F042EA03
4F042EA06
4J040PA25
5H615AA01
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP02
5H615PP06
5H615SS10
5H615SS18
5H615SS33
(57)【要約】
【課題】周方向全体にわたり均一に接着剤を塗布できる可能性を高める。
【解決手段】接着剤塗布方法は、外形が円柱状であり、外周面全周にわたって形成され接着剤を吐出する溝(2b1)と、前記溝を覆うように設けられたリング状弾性部材(1a)とを備えた接着剤吐出ユニット(1)の軸方向一方向端面と、円柱状又は円筒状である第1部品(3)の軸方向他方向(Y2)端面とを当接させるステップと、円筒状であり、内径が前記接着剤吐出ユニットの径よりも大きく、かつ前記第1部品(3)の外径よりも大きい第2部品(4)の軸方向一方向(Y1)端面と、前記当接により形成された当接面との軸方向位置が略一致するように配置するステップと、前記第2部品(4)を軸方向一方向(Y1)に移動させながら前記溝から接着剤を吐出させて前記第1部品の外周面(3a)及び前記第2部品の内周面(4a)に接着剤を塗布するステップとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形が円柱状であり、内部に設けられた接着剤流路に通ずるように外周面全周にわたって形成され、接着剤を吐出する溝と、前記溝を覆うように設けられたリング状弾性部材とを備えた接着剤吐出ユニットの軸方向一方向端面と、円柱状又は円筒状である第1部品の軸方向他方向端面とを当接させる当接ステップと、
円筒状であり、内径が前記接着剤吐出ユニットの径よりも大きく、かつ前記第1部品の外径よりも大きい第2部品の軸方向一方向端面と、前記当接により形成された当接面との軸方向位置が略一致するように配置する配置ステップと、
前記第2部品を軸方向一方向に移動させながら、前記溝から接着剤を吐出させて前記第1部品の外周面及び前記第2部品の内周面に前記接着剤を塗布する塗布ステップと
を含む接着剤塗布方法。
【請求項2】
前記塗布ステップにおいて、前記接着剤の吐出圧力により前記リング状弾性部材が拡径する、請求項1に記載の接着剤塗布方法。
【請求項3】
前記接着剤吐出ユニットの軸方向一方向端面の中央部に凸部が形成され、
前記第1部品が円筒状であり、
前記当接ステップにおいて、前記第1部品の中空部に前記凸部が嵌合する、
請求項1又は2に記載の接着剤塗布方法。
【請求項4】
前記塗布ステップにおいて、拡径した前記リング状弾性部材が前記第2部品の内周面に接触する、請求項2に記載の接着剤塗布方法。
【請求項5】
外形が円柱状であり、
内部に設けられた接着剤流路に通ずるように外周面全周にわたって形成され、接着剤を吐出する溝と、
前記溝を覆うように設けられたリング状弾性部材と
を備えた接着剤吐出ユニット。
【請求項6】
前記接着剤の吐出圧力により前記リング状弾性部材が拡径する、請求項5に記載の接着剤吐出ユニット。
【請求項7】
前記接着剤吐出ユニットは、前記接着剤吐出ユニットの外径と略等しい外径を有する円筒状の第1部品と、円筒状であり、内径が前記接着剤吐出ユニットの径よりも大きく、かつ前記第1部品の外径よりも大きい第2部品とを接着するための前記接着剤を吐出し、
前記接着剤吐出ユニットの軸方向一方向端面の中央部に凸部が形成され、
前記第1部品の中空部に前記凸部が嵌合する、
請求項5又は6に記載の接着剤吐出ユニット。
【請求項8】
拡径した前記リング状弾性部材が前記第2部品の内周面に接触する、請求項7に記載の接着剤吐出ユニット。
【請求項9】
外形が円柱状であり、内部に設けられた接着剤流路に通ずるように外周面全周にわたって形成され、接着剤を吐出する溝と、前記溝を覆うように設けられたリング状弾性部材とを備えた接着剤吐出ユニットの軸方向端面に当接した第1部品の外周面と、前記接着剤吐出ユニットの外周面に内周面が対向した円筒状の第2部品の内周面とが、前記第2部品が前記接着剤吐出ユニットから前記第1部品へと向かう方向に移動する間に前記溝から吐出した接着剤により接着固定されてなる部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤塗布方法、接着剤吐出ユニット及び接着固定されてなる部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の接着剤塗布方法は、円筒の外周部に円筒部材の内周部を対向配置し、円筒の外周面にある接着剤吐出穴より接着剤を吐出すると共に、前記円筒部材を前記円筒の端面に接触している軸体の方向へ移動することによって、内周部に接着剤が塗布された前記円筒部材と前記軸体を対向させ接着するものである。同文献によれば、回転子ヨークと円筒ノズルを連結した物と永久磁石とを嵌合した後に円筒ノズルの接着剤吐出穴から接着剤を塗布するため、従来のような接着剤を塗布してから嵌合した場合に比べて接着剤の回転子側面へのタレが極端に少なくなり、タレ除去作業が大幅に容易となる効果があるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術に鑑み、円柱状又は円筒状である第1部品の外周面と円筒状である第2部品の内周面との接着に際し、周方向全体にわたり均一に接着剤を塗布できる可能性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る接着剤塗布方法は、外形が円柱状であり、内部に設けられた接着剤流路に通ずるように外周面全周にわたって形成され、接着剤を吐出する溝と、前記溝を覆うように設けられたリング状弾性部材とを備えた接着剤吐出ユニットの軸方向一方向端面と、円柱状又は円筒状である第1部品の軸方向他方向端面とを当接させる当接ステップと、円筒状であり、内径が前記接着剤吐出ユニットの径よりも大きく、かつ前記第1部品の外径よりも大きい第2部品の軸方向一方向端面と、前記当接により形成された当接面との軸方向位置が略一致するように配置する配置ステップと、前記第2部品を軸方向一方向に移動させながら、前記溝から接着剤を吐出させて前記第1部品の外周面及び前記第2部品の内周面に前記接着剤を塗布する塗布ステップとを含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、円柱状又は円筒状である第1部品の外周面と円筒状である第2部品の内周面との接着に際し、周方向全体にわたり均一に接着剤を塗布できる可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態によって限定されるものではない。
【0009】
図1~
図6に示す円柱状の接着剤吐出ユニット1は、モーターの部品である円筒状の回転子ヨーク3の外周面3aと、リングマグネット4の内周面4aとを接着するための接着剤5を吐出するものである。
【0010】
接着剤吐出ユニット1は、その内部において軸方向に延びる第1接着剤流路2aと、第1接着剤流路2aに接続し径方向に延びる8本の第2接着剤流路2bとを有する(
図1、
図5)。これらの第2接着剤流路2bは、周方向等間隔に、そして、接着剤吐出ユニット1の軸方向視で放射状に設けられている。第2接着剤流路2bは、接着剤吐出ユニット1の軸方向中央部11に隣接し当該軸方向中央部よりも径が小さい軸方向先端部1bの外周面に全周にわたって形成された一本の溝2b1に通じている。接着剤吐出ユニット1の軸方向視にて、溝2b1は全体として円形である(
図5)。
【0011】
接着剤吐出ユニット1の軸方向のうち、軸方向中央部11から軸方向先端部1bへ向かう矢印Y1の方向を軸方向第1方向と呼び、軸方向第1方向とは正反対の、矢印Y2の方向を軸方向第2方向と呼ぶ。
【0012】
軸方向先端部1bの外周面全体に接し、溝2b1を覆うようにリング状弾性部材1aが設けられている。このリング状弾性部材1aの材料は、例えば、伸縮する樹脂(例えば、テフロン(登録商標))またはゴムである。軸方向先端部1bの外周面のうち溝2b1よりも軸方向第2方向側(矢印Y2側)の領域1ba(
図3)に対して、同領域1baと径方向に対向するリング状弾性部材1aの一部分が接着されている。軸方向先端部1bの外周面のうち溝2b1よりも軸方向第1方向側(矢印Y1側)の領域1bbに対しては、同領域1bbと径方向に対向するリング状弾性部材1aの一部分が接離可能となっている。
【0013】
軸方向中央部11の径は、リング状弾性部材1aの外径と略等しく、リングマグネット4の内径よりも若干小さい。また、軸方向中央部11の径は、回転子ヨーク3の外径と略等しい。
【0014】
軸方向先端部1bの端面1cの中央部には、回転子ヨーク3の内周面3bと嵌め合う凸部1dが形成されている。なお、回転子ヨーク3の内周面3bに囲まれた中空部は、モーターの回転軸(不図示)と締結される。
【0015】
図6に示すように、接着剤吐出ユニット1の第1接着剤流路2aには、接続部2cを通してチューブ2dの一端部が接続されている。チューブ2dの他端部は、接着剤吐出ユニット1に接着剤5を供給するディスペンサ(不図示)に繋がれている。ディスペンサから供給される接着剤5は、チューブ2dと接続部2cと第1接着剤流路2aとを順に経て、8本の第2接着剤流路2bの各々に流れ込む。
図3に示すように、接着剤5は、溝2b1を接着剤吐出ユニット1の径方向に流れ、溝2b1を覆うように設けられているリング状弾性部材1aに接触する。
【0016】
さらにディスペンサからの供給が続くと、接着剤5は、リング状弾性部材1aに覆われた溝2b1に沿って周方向に流れ、やがて溝2b1全体が接着剤5によって充填される。この時点ではリング状弾性部材1aは領域1bbに接している(
図2C、
図3及び
図5)。
ディスペンサからの供給がなおも続くと、接着剤5によりリング状弾性部材1aが径方向外側に押されて、領域1bbから離れる(
図2D、
図2E及び
図4)。すなわち、リング状弾性部材1aは、領域1baに接着されている部分を除いて拡径する。その結果、リング状弾性部材1aと領域1bbとの間に空間Sが生じ、また、軸方向先端部1bよりも外径が大きい回転子ヨーク3とリング状弾性部材1aとの間に隙間2(
図4)が生じる。空間S及び隙間2は軸方向視においてリング状である。この隙間2を通じて、接着剤5が、回転子ヨーク3の外周面3aとリングマグネット4の内周面4aとの間に全周にわたって流れてゆく。
【0017】
接着剤は抵抗の小さいところに流れていく。接着剤が溝2b1の周方向に流れる際の抵抗は、溝2b1から吐出される際の抵抗(すなわちリング状弾性部材1aを押し広げる力)よりも小さい。そのため、溝2b1が接着剤で満たされたのちに接着剤の吐出圧力によってリング状弾性部材1aが押し広げられて、溝2b1から接着剤が吐出されることになる。
【0018】
ディスペンサの供給圧力が零のとき、軸方向先端部1bの外周面は、リング状弾性部材1aにより覆われた状態になっている。第1接着剤流路2aと8本の第2接着剤流路2bと溝2b1とが接着剤5によって満たされている状態で、接着剤5がディスペンサから接着剤吐出ユニット1に供給されると、ディスペンサによる接着剤5の供給圧力により、リング状弾性部材1aが前述のとおり拡径し、リング状の空間S及び隙間2が生じる。
【0019】
次に、回転子ヨーク3とリングマグネット4の接着方法について説明する。
図2Aに示すように、接着剤吐出ユニット1の軸方向第1方向(矢印Y1の方向)に、接着剤吐出ユニット1と間隔を置いて、回転子ヨーク3及びリングマグネット4が台座6に設置される。このとき、回転子ヨーク3の外周面3aとリングマグネット4の内周面4aとが径方向に対向するように、回転子ヨーク3及びリングマグネット4が設置される。
【0020】
図2Bに示すように、接着剤吐出ユニット1を矢印Y1の方向に移動させることにより、接着剤吐出ユニット1が回転子ヨーク3に取り付けられる。このとき、回転子ヨーク3の中空部が凸部1dに嵌合し、端面1cが回転子ヨーク3の端面に固定される。
【0021】
図2Cに示すように、リングマグネット4の外周部を把持部(不図示)により把持し、リングマグネット4を、リングマグネット4の矢印Y1側の端面と端面1cとの軸方向位置が等しくなるように矢印Y2の方向に移動させる。上述のとおり、軸方向中央部11の径、すなわちリング状弾性部材1aの外径は、リングマグネット4の内径よりも若干小さいため、リングマグネット4の中空部に接着剤吐出ユニット1の一部を配置することができる。
【0022】
図2C及び
図5においては、第1接着剤流路2aと8本の第2接着剤流路2bと溝2b1とは接着剤5によって満たされており、かつディスペンサによる接着剤5の供給圧力は零である。この時点では、
図2A、
図2B及び
図3に示したのと同様、溝2b1がリング状弾性部材1aにより覆われており、空間S及び隙間2は生じていない。
【0023】
ディスペンサによる接着剤5の供給が開始されるとその供給圧力により、
図2Dに示すように、リング状弾性部材1aが領域1baに接着されている部分を除いて径方向外側に押されて拡径し、空間S及び隙間2が生じる。その結果、接着剤5は隙間2を通って矢印Y1の方向へ流れる。このとき、リング状弾性部材1aの矢印Y1側の軸方向端部が全周にわたって、リングマグネット4の内周面4aを押さえる状態になっている。第2接着剤流路2bは8本の例で示しているが、回転子ヨーク3(リングマグネット4)の大きさや接着剤5の粘度等により、適する本数に設定できる。
【0024】
図1、
図2E及び
図4は、回転子ヨーク3にリングマグネット4を接着している最中の図である。ディスペンサの供給圧力が零ではない一定値である間は、リング状の隙間2の径方向寸法は全周にわたって略一定である。
リング状の隙間2が生じ始めてから、上記把持部によりリングマグネット4を矢印Y1の方向に移動させつつ、ディスペンサの供給圧力を変わらず保つことで、回転子ヨーク3の外周面3a及びリングマグネット4の内周面4aへの接着剤の塗布を行う。このとき、接着剤5がリングマグネット4の矢印Y1側の軸方向端面からはみ出ないように、ディスペンサによる接着剤5の供給スピードと、リングマグネット4の移動スピードとを合わせる。
【0025】
やがて、
図2Fに示すように、リングマグネット4が台座6に当接し、リングマグネット4の内周面全体及び回転子ヨークの外周面全体に接着剤5が塗布された状態となる。すなわち、回転子ヨーク3とリングマグネット4の接着が完了した状態となる。上述のとおり、回転子ヨーク3の外周面3aとリングマグネット4の内周面4aとの隙間は、周方向にわたり一定であるため、外周面3a及び内周面4aの全体に略均一に接着剤5を塗布することができる。
【0026】
リングマグネット4が台座6に当接すると、ディスペンサによる接着剤5の供給は停止する。そのため、
図2Fに示すように、拡径していたリング状弾性部材1aが拡径前の状態に戻り、空間S及び隙間2が無くなる。つまり、リング状弾性部材1aは全体が軸方向先端部1bの外周面に接した状態となる。
【0027】
このように、リング状弾性部材1aは弁の役割を持っており、ディスペンサにより供給圧力をかければ隙間2が生じ(つまり弁が開き)、供給圧力を抜くと隙間2が無くなる(弁が閉じる)。そのため、
図2Fに示したように、リングマグネット4が台座6に当接すると、ディスペンサによる接着剤5の供給を停止することで、接着剤5の垂れを低減することができる。
【0028】
これまで、モーター用の円筒状の回転子ヨーク3に対するリングマグネット4の接着を説明したが、これに限定されない。磁気エンコーダの円筒状の回転子ヨークに対するリングマグネット4の接着などにも応用できる。さらには、回転子ヨークとリングマグネットとの接着に限らず、軸と歯車の接着、軸と軸受の接着など、円筒状又は円柱状の第1部品の外周面に対する円筒状の第2部品の内周面の接着に適用できる。
【0029】
以上の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
・回転子ヨーク及びリングマグネットへ接着剤を塗布する作業時間を短縮することができる。
・ワーク(回転子ヨーク及びリングマグネット)からの接着剤のはみ出しを低減することができる。
・はみ出しの低減により、はみ出した部分を拭き取る作業も減らすことができる。すなわち工数を削減することができる。
・はみ出しの低減により、接着剤のロスも減らせる。
・回転子ヨークとリングマグネットとの隙間全体にわたり接着剤を充填することができる。
・回転子ヨークとリングマグネットの同軸度が向上する。回転子ヨークとリングマグネットのアンバランスな位置関係の修正作業を減らすことができる。
・回転子ヨーク及びリングマグネットへの接着剤塗布と両者の組付けとの機械化(省人化)が図られる。
・接着剤吐出ユニットからの接着剤の垂れを低減することができる。その結果、接着剤吐出ユニットの接着剤拭き取り作業も減らすことができる。
【0030】
また、複数の第2接着剤流路は全て、単一の第1接着剤流路及び単一のディスペンサに接続されている。そのため、単一のディスペンサを制御するだけで、複数の第2接着剤流路へ均一に接着剤を供給することができる。流路ごとにディスペンサが設けられる場合は、いずれの流路からも一定量の接着剤が吐出されるように各ディスペンサを協調制御する必要があるが、上記実施形態ではそのような協調制御は不要であり、効率的に接着剤を塗布することができる。
【0031】
これまでに説明した実施形態に関し、以下の付記を開示する。
[付記1]
外形が円柱状であり、内部に設けられた接着剤流路に通ずるように外周面全周にわたって形成され、接着剤を吐出する溝(2b1)と、前記溝(2b1)を覆うように設けられたリング状弾性部材(1a)とを備えた接着剤吐出ユニット(1)の軸方向一方向(Y1)端面と、円柱状又は円筒状である第1部品(3)の軸方向他方向(Y2)端面とを当接させる当接ステップ(
図2B)と、
円筒状であり、内径が前記接着剤吐出ユニット(1)の径よりも大きく、かつ前記第1部品(3)の外径よりも大きい第2部品(4)の軸方向一方向(Y1)端面と、前記当接により形成された当接面との軸方向位置が略一致するように配置する配置ステップ(
図2C)と、
前記第2部品(4)を軸方向一方向(Y1)に移動させながら、前記溝(2b1)から接着剤を吐出させて前記第1部品(3)の外周面(3a)及び前記第2部品(4)の内周面(4a)に前記接着剤を塗布する塗布ステップ(
図2D)と
を含む接着剤塗布方法。
[付記2]
前記塗布ステップにおいて、前記接着剤の吐出圧力により前記リング状弾性部材(1a)が拡径する、付記1に記載の接着剤塗布方法。
[付記3]
前記接着剤吐出ユニット(1)の軸方向一方向(Y1)端面の中央部に凸部(1d)が形成され、
前記第1部品(3)が円筒状であり、
前記当接ステップにおいて、前記第1部品(3)の中空部に前記凸部(1d)が嵌合する、
付記1又は2に記載の接着剤塗布方法。
[付記4]
前記塗布ステップにおいて、拡径した前記リング状弾性部材(1a)が前記第2部品(4)の内周面(4a)に接触する、付記2に記載の接着剤塗布方法。
[付記5]
外形が円柱状であり、
内部に設けられた接着剤流路に通ずるように外周面全周にわたって形成され、接着剤を吐出する溝(2b1)と、
前記溝(2b1)を覆うように設けられたリング状弾性部材(1a)と
を備えた接着剤吐出ユニット(1)。
[付記6]
前記接着剤の吐出圧力により前記リング状弾性部材(1a)が拡径する、付記5に記載の接着剤吐出ユニット。
[付記7]
前記接着剤吐出ユニットは、前記接着剤吐出ユニットの外径と略等しい外径を有する円筒状の第1部品(3)と、円筒状であり、内径が前記接着剤吐出ユニットの径よりも大きく、かつ前記第1部品の外径よりも大きい第2部品(4)とを接着するための前記接着剤を吐出し、
前記接着剤吐出ユニットの軸方向一方向端面の中央部に凸部(1d)が形成され、
前記第1部品の中空部に前記凸部が嵌合する、
付記5又は6に記載の接着剤吐出ユニット。
[付記8]
拡径した前記リング状弾性部材(1a)が前記第2部品の内周面に接触する、付記7に記載の接着剤吐出ユニット。
[付記9]
外形が円柱状であり、内部に設けられた接着剤流路に通ずるように外周面全周にわたって形成され、接着剤を吐出する溝(2b1)と、前記溝(2b1)を覆うように設けられたリング状弾性部材(1a)とを備えた接着剤吐出ユニット(1)の軸方向端面に当接した第1部品(3)の外周面と、前記接着剤吐出ユニットの外周面に内周面が対向した円筒状の第2部品(4)の内周面とが、前記第2部品が前記接着剤吐出ユニットから前記第1部品へと向かう方向に移動する間に前記溝から吐出した接着剤により接着固定されてなる部品。
【0032】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 接着剤吐出ユニット
1a リング状弾性部材
1b 軸方向先端部
1c 端面
1d 凸部
2 隙間
S 空間
2a 第1接着剤流路
2b 第2接着剤流路
2b1 溝
3 回転子ヨーク
3a 外周面
3b 内周面
4 リングマグネット
4a 内周面
5 接着剤