(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162390
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 17/16 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
B65G17/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077844
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】390010319
【氏名又は名称】株式会社石野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 岳
(72)【発明者】
【氏名】岩井 駿弥
【テーマコード(参考)】
3F034
【Fターム(参考)】
3F034GA03
3F034GB12
3F034GD01
(57)【要約】
【課題】複数階に渡って配置される循環型経路の反転経路の部分において、大径の歯車又はプーリを用いずに反転経路の曲率を可及的に抑制することを解決課題とする。
【解決手段】搬送装置であって、建物の複数階に渡って引き回されており、循環型経路を形成する無端状の環状体と、環状体に対して吊り下げ状態で取り付けられる搬送物載置用のバケットと、複数階の上部階における循環型経路の進路が反転する上部反転箇所において、環状体を摺動可能に吊り下げる上部ガイドと、を備え、上部ガイドは、循環型経路の往路と復路との間の距離を直径とする半円弧状の案内経路を上部反転箇所に形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の複数階に渡って引き回されており、循環型経路を形成する無端状の環状体と、
前記環状体に対して吊り下げ状態で取り付けられる搬送物載置用のバケットと、
前記複数階の上部階における前記循環型経路の進路が反転する上部反転箇所において、前記環状体を摺動可能に吊り下げる上部ガイドと、を備え、
前記上部ガイドは、前記循環型経路の往路と復路との間の距離を直径とする半円弧状の案内経路を前記上部反転箇所に形成する、
搬送装置。
【請求項2】
前記複数階の下部階における前記循環型経路の進路が反転する下部反転箇所において、前記環状体を摺動可能に案内する下部ガイドを更に備える、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記下部ガイドが形成する案内経路の途中に配置されており、前記環状体を駆動するスプロケットを更に備え、
前記下部ガイドは、前記スプロケットから前記往路と前記復路の各々に向けて直線状の案内経路を形成する、
請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記循環型経路の往路と復路との間の距離は、前記バケットの横幅より大きい、
請求項1から3の何れか一項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、客席と厨房が複数階に渡っているような店舗の場合、飲食物を他の階へ搬送するための搬送装置が利用される(例えば、特許文献1-2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭51-095191号公報
【特許文献2】実開昭48-017871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送物を他の階へ絶え間なく搬送する方法として、搬送物を運ぶバケットを無端状の循環型経路で循環させることが考えられる。しかし、このような循環型経路を複数階に渡って配置する場合、搬送物の搭載スペースをバケットに確保するために、循環型経路の往路と復路との間をある程度離間させる必要がある。また、バケットが循環型経路の往路から復路へ移っても搬送物が落下しないようにするためには、バケットを吊り下げ状態で支持することになるが、この場合、循環型経路の往路と復路との間にある経路の反転箇所においてバケットが揺動する可能性が高い。よって、このような反転箇所でバケットから搬送物が落下しないようにするには、反転経路の曲率を可及的に抑制することが好ましい。しかし、例えば、循環型経路に設けたチェーン、ベルト又はワイヤ等の無端状の環状体を循環させてバケットを移送するような場合、反転経路の部分で環状体が架かる歯車又はプーリを大径化して反転経路の曲率を抑制することは現実的でない。
【0005】
そこで、本発明は、複数階に渡って配置される循環型経路の反転経路の部分において、大径の歯車又はプーリを用いずに反転経路の曲率を可及的に抑制することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、バケットを移動させるチェーンを案内するガイドのうち、循環型経路の進路が反転する上部反転箇所において環状体を摺動可能に吊り下げる上部ガイドについて、循環型経路の往路と復路との間の距離を直径とする半円弧状の案内経路を形成することにした。
【0007】
詳細には、本発明は、搬送装置であって、建物の複数階に渡って引き回されており、循環型経路を形成する無端状の環状体と、環状体に対して吊り下げ状態で取り付けられる搬送物載置用のバケットと、複数階の上部階における循環型経路の進路が反転する上部反転箇所において、環状体を摺動可能に吊り下げる上部ガイドと、を備え、上部ガイドは、循環型経路の往路と復路との間の距離を直径とする半円弧状の案内経路を上部反転箇所に形成する。
【0008】
上記の搬送装置であれば、無端状の循環型経路を循環する環状体でバケットを循環させるので、搬送物をバケットで絶え間なく搬送することが可能である。そして、バケットの進路が反転する箇所を形成する上部ガイドは、循環型経路の往路と復路との間の距離を直径とする半円弧状の案内経路を形成するので、大径の歯車又はプーリを用いずに低曲率の
経路を実現可能である。
【0009】
なお、上記の搬送装置は、複数階の下部階における循環型経路の進路が反転する下部反転箇所において、環状体を摺動可能に案内する下部ガイドを更に備えるものであってもよい。このような搬送装置であれば、装置の下部においても環状体を適正に案内することができる。
【0010】
また、上記の搬送装置は、下部ガイドが形成する案内経路の途中に配置されており、環状体を駆動するスプロケットを更に備え、下部ガイドは、スプロケットから往路と復路の各々に向けて直線状の案内経路を形成するものであってもよい。このような搬送装置であれば、スプロケットが環状体を適正に駆動することができる。
【0011】
また、循環型経路の往路と復路との間の距離は、バケットの横幅より大きくてもよい。これによれば、環状体にバケットを複数設けた場合に、バケット同士が接触しない。
【発明の効果】
【0012】
上記の搬送装置であれば、複数階に渡って配置される循環型経路の反転経路の部分において、大径の歯車又はプーリを用いずに反転経路の曲率を可及的に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】
図3は、搬送装置の上部付近を拡大した図である。
【
図4】
図4は、リニアガイドの部分を拡大した図である。
【
図5】
図5は、揺動抑制材の右端付近を示した図である。
【
図7】
図7は、搬送装置の下部付近を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本願発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本願発明の一態様であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。下記に示す各実施形態や変形例は、例えば、ハンバーガ等のファストフードを提供するファストフード店、ファミリーレストラン、居酒屋等の各種飲食店に好適である。
【0015】
図1は、搬送装置1の全体図である。搬送装置1は、搬送物を他の階、すなわち、上階または下階へ搬送する装置である。よって、搬送装置1は、複数階の階層構造を有する建物内において、複数階に渡って配置される。本実施形態では、1階に客席を有し、2階に厨房を有するファストフード店において、2階の厨房で用意した飲食物を1階へ搬送する場合について例示する。しかし、本実施形態で開示する搬送装置1は、このような適用例に限定されるものではない。搬送装置1は、1階に厨房を有し、2階に客席を有するファストフード店において、1階の厨房で用意した飲食物を2階へ搬送してもよい。また、搬送装置1は、ビルディングの上層階といった1階以外の箇所で複数階に渡るように配置されてもよい。また、搬送装置1は、ファストフード以外の飲食物や、飲食物以外の物品を搬送してもよい。
【0016】
搬送装置1は、飲食物を載せるバケット5をチェーンCで循環搬送する。搬送装置1は、バケット5を循環搬送させるための各種部品類を、上下方向に延在する支持構造材2に各種部品類を組み付けた装置である。支持構造材2は、各種の棒材を連結して矩形の構造体にしたものであり、建物の床部分に接触する支持脚と、建物の壁部分に固定される壁面
固定金具とにより、建物に固定される。
【0017】
支持構造材2の正面側には、バケット5を循環搬送するためのチェーンCを案内する上部ガイド3、中部ガイド6,13、下部ガイド15が固定されている。上部ガイド3は、支持構造材2の上部付近に固定されている。また、下部ガイド15は、支持構造材2の下部付近に固定されている。中部ガイド6は、上部ガイド3と下部ガイド15との間の中間部分において支持構造材2の正面左側寄りに固定されている。中部ガイド13は、上部ガイド3と下部ガイド15との間の中間部分において支持構造材2の正面右側寄りに固定されている。
【0018】
上部ガイド3は、搬送装置1の上部付近において、チェーンCを摺動可能に支持すると共に、当該チェーンCが半円弧状の経路を辿るようにチェーンCを案内する上部チェーン溝11を形成する。上部チェーン溝11は、真円を2分割した半円弧の経路を形成するものであってもよいし、或いは、楕円などのように真円ではない円を複数に分割した略半円弧の経路を形成するものであってもよい。上部ガイド3は、搬送装置1の上部付近においてチェーンCを摺動可能に支持するので、バケット5を搬送するためのチェーンCを吊り下げる機能を担うことになる。
【0019】
中部ガイド6は、上部ガイド3から吊り下がるチェーンCを摺動可能に支持すると共に、当該チェーンCが垂直な直線状の経路を辿るようにチェーンCを案内する中部チェーン溝7を形成する。中部ガイド13も中部ガイド6と同様、上部ガイド3から吊り下がるチェーンCを摺動可能に支持すると共に、当該チェーンCが垂直な直線状の経路を辿るようにチェーンCを案内する中部チェーン溝14を形成する。中部ガイド6は、上部ガイド3と下部ガイド15との間の中間部分において支持構造材2の左側寄りに位置しているので、上部ガイド3の左側部分から吊り下がるチェーンCを支持する。また、中部ガイド13は、上部ガイド3と下部ガイド15との間の中間部分において支持構造材2の右側寄りに位置しているので、上部ガイド3の右側部分から吊り下がるチェーンCを支持する。
【0020】
下部ガイド15は、搬送装置1の下部付近において、チェーンCを摺動可能に支持する。支持構造材2の下部には、チェーンCに噛み合うスプロケット16と、スプロケット16を回転駆動する駆動モータ17が設けられている。よって、下部ガイド15は、チェーンCがスプロケット16に適正に噛み合うようにチェーンCを案内する下部チェーン溝9を形成する。下部ガイド15は、チェーンCがスプロケット16に適正に噛み合うようにするために、下部チェーン溝9で次のような経路を形成する。すなわち、下部ガイド15は、下部チェーン溝9により、中部チェーン溝7の下端付近からスプロケット16の方へ直線状に向かう斜めの案内経路と、中部チェーン溝14の下端付近からスプロケット16の方へ直線状に向かう斜めの案内経路とを形成する。これにより、下部ガイド15は、チェーンCがスプロケット16に対し十分な歯数で噛み合う状態となる。
【0021】
上記のように、上部階と下部階との間を循環するように経路が形成されたチェーンCが、スプロケット16を介して伝達される駆動モータ17の動力により動かされると、チェーンCが上部チェーン溝11と中部チェーン溝7,14と下部チェーン溝9を摺動する。これにより、バケット5を動かすチェーンCは、上部チェーン溝11と下部チェーン溝9の部分で進路を反転するような形で、搬送装置1の上部と下部との間で循環する。
【0022】
バケット5を動かすチェーンCが、上部チェーン溝11と下部チェーン溝9の部分で進路を反転するような形で、搬送装置1の上部と下部との間で循環するので、搬送装置1は、バケット5がチェーンCに複数設けられていても、バケット5同士が接触しないように設計されている。すなわち、搬送装置1は、中部チェーン溝7と中部チェーン溝14が形成する往路と復路との間の距離が、バケット5の横幅より大きい。このため、中部チェー
ン溝7と中部チェーン溝14が形成する往路と復路との間の距離を直径とする半円弧状の上部チェーン溝11は、バケット5の横幅より大きい直径の半円を形成することになる。これにより、中部チェーン溝7と中部チェーン溝14が形成する往路と復路をバケット5がそれぞれ移動していても、すれ違うバケット5同士が十分離間した状態となり、接触しない。よって、搬送装置1においては、例えば、次のような動作を実現することができる。
【0023】
例えば、チェーンCが右回り(時計回り)に循環するようにスプロケット16を回転させる場合であれば、中部チェーン溝7の部分で上昇したチェーンCが上部チェーン溝11の部分において右回りで進路を下方向に反転し、中部チェーン溝14の部分で下降する。そして、下部チェーン溝9の部分において右回りで進路を上方向に反転し、中部チェーン溝7の部分で再び上昇する。また、例えば、チェーンCが左回り(反時計回り)に循環するようにスプロケット16を回転させる場合であれば、中部チェーン溝7の部分で下降したチェーンCが下部チェーン溝9の部分において左回り(反時計回り)で進路を上方向に反転し、中部チェーン溝14の部分で上昇する。そして、上部チェーン溝11の部分において左回りで進路を下方向に反転し、中部チェーン溝7の部分で再び下降する。以下においては、チェーンCが右回り(時計回り)で循環することを前提に説明するが、搬送装置1は、このような形態に限定されるものでなく、チェーンCが左回り(半時計回り)で循環するものであってもよい。
【0024】
ところで、バケット5は、中部チェーン溝7と中部チェーン溝14の何れか一方を上昇中に載った物品を、中部チェーン溝7と中部チェーン溝14の何れか他方を下降中に降ろす。このため、バケット5は、中部チェーン溝7と中部チェーン溝14の何れを移動中の場合であっても、物品が載る部分を常に上に向けた姿勢を採る必要がある。よって、バケット5は、チェーンCに対し吊り下げ状態で取り付けられている。このため、バケット5は、進路が反転する箇所、すなわち、上部チェーン溝11や下部チェーン溝9を通過する際に揺動する。バケット5が揺動すると、バケット5に載っている物品がバケット5から落下する可能性がある。そこで、搬送装置1には、物品を載せたバケット5が通過する可能性のある箇所、すなわち、上部チェーン溝11を形成している搬送装置1の上部付近に、バケット5の揺動を抑制する揺動抑制材12が設けられている。揺動抑制材12は、上昇するバケット5に対し2点接触することにより、バケット5の揺動を止める役割を果たす。揺動抑制材12は、上部チェーン溝11に沿って移動するバケット5に追従して動くように、揺動抑制材12に対するバケット5の横方向の摺動を許容する水平な棒状体となっており、更に、揺動抑制材12の上下方向の移動を許容するリニアガイド4及びガイド溝10に支持されている。揺動抑制材12の水平状態は、リニアガイド4によって保たれる。
【0025】
ガイド溝10は、揺動抑制材12の端部が嵌る溝である。一方、リニアガイド4は、ガイド溝10よりも摺動抵抗の低い玉循環式のリニアガイドである。本実施形態では、バケット5が右回り(時計回り)で循環するようにチェーンCを駆動するので、上昇するバケット5によって揺動抑制材12が受ける衝撃に対する耐性を考慮し、バケット5が上昇する側である搬送装置1の左側にリニアガイド4を配置し、バケット5が下降する側である搬送装置1の右側にガイド溝10を配置している。これにより、中部チェーン溝7を上昇するバケット5が揺動抑制材12に衝突した際に生ずる、揺動抑制材12を水平状態に保つリニアガイド4の部分に加わる曲げ荷重が可及的に抑制される。この結果、揺動抑制材12は、水平を保った状態でリニアガイド4とガイド溝10に沿って上下方向に摺動する。なお、バケット5が左回り(反時計回り)で循環する場合は、リニアガイド4とガイド溝10の位置関係を左右反転、すなわち、リニアガイド4を右側に配置し、ガイド溝10を左側に配置することが好ましい。
【0026】
図2は、搬送装置1の動作説明図である。
図2を見ると判るように、搬送装置1には、バケット5に載る食品20を載せ下ろしするためのシューター19とシューター21が、チェーンCによって移動するバケット5の経路の適宜の箇所に設けられている。そして、バケット5は、食品20を載せる部分が櫛歯状になっている。また、シューター19とシューター21も、食品20を載せ下ろしする部分が櫛歯状になっている。そして、バケット5は、シューター19及びシューター21を通過する際、櫛歯状の部分同士で交差する。このため、バケット5は、循環経路の上昇箇所に設けられているシューター19を通過する際、シューター19に載っていた食品20をバケット5に載せることができる。また、バケット5は、循環経路の下降箇所に設けられているシューター21を通過する際、バケット5に載っていた食品20をシューター21に載せることができる。
【0027】
このため、例えば、搬送装置1が店舗の1階から2階へ渡るように設置されており、バケット5の循環経路の上昇箇所に設けられるシューター19を店舗の2階、バケット5の循環経路の下降箇所に設けられるシューター21を店舗の1階に配置すると、搬送装置1は、
図2に示すように、食品20を2階のシューター19から1階のシューター21へ移送することができる。例えば、店舗の2階で店員により食品20が用意され、
図2(A)に示すように、食品20がシューター19に載せられる。搬送装置1は、バケット5が右回り(時計回り)で経路を循環しているため、バケット5がシューター19を通過する際、シューター19に載っていた食品20がバケット5へ乗り移る。そして、
図2(B)に示すように、食品20が載ったバケット5は、搬送装置1の上部で進路を反転し、シューター21の方へ向かって下降する。そして、食品20が載ったバケット5は、シューター21を通過する。
図2(C)に示すように、バケット5に載っていた食品20は、バケット5がシューター21を通過する際、バケット5からシューター21へ乗り移る。シューター21に乗り移った食品20は、店舗の1階に居る店員によってシューター21から取り出される。
【0028】
ここで、
図2に示す揺動抑制材12に着目すると判るように、バケット5が上部チェーン溝11を通過する際、揺動抑制材12は、水平を保った状態で上下方向に動く。このため、チェーンCに吊り下げ状態で取り付けられているバケット5は、上部チェーン溝11を通過する際、揺動抑制材12に対し2点接触し続ける。このため、バケット5は、上部チェーン溝11を通過する際、揺動しない。
【0029】
図3は、搬送装置1の上部付近を拡大した図である。
図3に示すように、搬送装置1の上部には、上部ガイド3やリニアガイド4、ガイド溝10、揺動抑制材12などが設けられている。
【0030】
上部ガイド3は、チェーンCを案内するための上部チェーン溝11を形成する板状の部材である。上部ガイド3は、チェーンCを上部チェーン溝11の部分で摺動可能に挟持するために、摺動性能や耐摩耗性のよい樹脂等の部材で形成されている。
【0031】
リニアガイド4は、上下方向に延在する直線状のレール4aと、レール4aに沿って動くブロック4bとを有している。ブロック4bは、レール4aに接触する球が内部を循環する、いわゆるボール保持式のスライドユニットである。そして、ブロック4bには、揺動抑制材12の左端の付け根部分12aが固定されている。
図4は、リニアガイド4の部分を拡大した図である。レール4aは、直線状の軌道を形成する円柱状の部材であり、支持構造材2に固定されている。そして、レール4aに対しブロック4bが直線状にスライド可能となっていることにより、ブロック4bに対し付け根部分12aの部分で固定されている揺動抑制材12は、バケット5によって下側から突き上げられても、水平方向に延在する姿勢を保った状態で上下に遊動することができる。
【0032】
次に、揺動抑制材12の右端付近について説明する。
図5は、揺動抑制材12の右端付近を示した図である。ガイド溝10は、揺動抑制材12の右端の先端部分12bが嵌る溝である。ガイド溝10は、レール4aと同様、上下方向に延在する直線状の溝である。リニアガイド4が搬送装置1の左側の部分に設けられているのに対し、ガイド溝10は、搬送装置1の右側の部分に設けられている。このため、揺動抑制材12は、左端の部分でリニアガイド4により水平状態に保持され、右端の先端部分12bで前後方向に振れないようにガイド溝10で上下方向に摺動可能に保持されていると言える。
【0033】
次に、バケット5の詳細について説明する。バケット5は、
図3に示すように、座椅子のような側面視L字状の部材であり、座椅子の背面に相当する部位を形成するベースプレート5a、座椅子の座面に相当する部位を形成する爪5cを有する。
図6は、バケット5を拡大した図である。
図6(A)ではバケット5の全体が示され、
図6(B)ではベースプレート5aを取り除いた様子が示されている。
【0034】
爪5cは、前述した櫛歯状の部分を形成するので、互いに平行な状態で複数個並んでいる。そして、平行に複数個並ぶ爪5cの両側を囲むように、爪5bと爪5dが設けられている。ベースプレート5aは、バケット5を動かすチェーンCと平行に延在する平らな板面(背面)を形成する。爪5cは、バケット5に載る食品20が手前(前方)へ落下しないように先端を上方に突出させた爪状の部材である。爪5bは、バケット5に載る食品20が左の方へ落下しないように、全体が爪5cよりも高い部材である。爪5dは、バケット5に載る食品20が右の方へ落下しないように、全体が爪5cよりも高い部材である。爪5b、爪5c、爪5dは、何れもベースプレート5aの下部付近に配設された軸5hにより、ベースプレート5aの板面に対し約90度の角度の範囲内で回動自在に取り付けられている。よって、爪5bと爪5cと爪5dは、下側から上方向の力で押されると、軸5hを中心にして回動し、ベースプレート5aの方へ近づく。そして、ベースプレート5aの両側にあるリブ5gの間に収まることができる。
【0035】
ベースプレート5aは、ガイド本体5fに固定されている。ガイド本体5fは、チェーンCに対し左右方向における中心部分で、軸受け金具5iを介して軸受け5jにより回動自在に取り付けられている。また、ガイド本体5fは、左右両側の各上端部分に接触部5eを有している。接触部5eは、揺動抑制材12に対し摺動可能に接触する部位である。そして、各接触部5eは、ガイド本体5fにおいて左右対称に配置されている。よって、各接触部5eが揺動抑制材12に接触すると、チェーンCに対し回動自在に取り付けられているガイド本体5fは、揺動抑制材12により2点支持された状態となる。これにより、座椅子の座面に相当する部位を形成する爪5cは、左側にも右側にも傾かない水平状態を保つことができる。また、バケット5全体の揺動も抑制される。
【0036】
次に、搬送装置1の下部付近について説明する。
図7は、搬送装置1の下部付近を拡大した図である。
図7に示すように、搬送装置1の下部には、下部ガイド15やスプロケット16、駆動モータ17などが設けられている。
【0037】
下部ガイド15は、チェーンCを案内するための下部チェーン溝9を形成する板状の部材である。下部ガイド15は、チェーンCを下部チェーン溝9の部分で摺動可能に挟持するために、上部ガイド3と同様、摺動性能や耐摩耗性のよい樹脂等の部材で形成されている。そして、下部ガイド15は、チェーンCがスプロケット16に適正に噛み合うようにチェーンCを下部チェーン溝9で案内する。
【0038】
駆動モータ17は、スプロケット16を回転させるための電気モータである。駆動モータ17は、搬送装置1に電力が供給されている間、基本的に常時作動し続けてもよいし、或いは、シューター19に投入された食品20の有無を検知するセンサに連動して間欠的
に作動してもよい。
【0039】
このように構成される搬送装置1において、駆動モータ17がチェーンCを循環させると、
図2を使って説明したとおり、バケット5でシューター19に載っていた食品20をシューター21へ移送することができる。
【0040】
搬送装置1は、無端状の循環型経路を循環するチェーンCでバケット5を循環させるので、食品20を上階または下階へ絶え間なく搬送することが可能である。また、搬送装置1には、バケット5の進路が反転する箇所に揺動抑制材12が設けられているため、進路の反転箇所におけるバケット5の揺動により食品20がバケット5から落下する可能性も無い。また、バケット5の進路が反転する箇所を形成する上部チェーン溝11は、中部チェーン溝7と中部チェーン溝14が形成する往路と復路との間の距離を直径とする大径な半円弧状の経路となっており、これを上部ガイド3で形成している。よって、搬送装置1であれば、このような低曲率の経路を、大径の歯車を用いずに実現可能である。
【0041】
なお、上記実施形態の搬送装置1は、適宜変形可能である。搬送装置1は、例えば、中部チェーン溝7或いは中部チェーン溝14の一部または全部が垂直方向に対し傾いていてもよい。また、搬送装置1は、例えば、チェーンCを支持するローラを上部チェーン溝11、中部チェーン溝7,14、下部チェーン溝9に用いてもよい。また、搬送装置1は、例えば、チェーンCのテンションを調整するために、スプロケット16や駆動モータ17の位置を上下に移動したり、搬送装置1の上部と下部との間の距離を相対的に増減させたりする位置調整機構を有していてもよい。また、チェーンCの代わりに歯付きのタイミングベルト等のベルト類やワイヤを用いてもよい。
【符号の説明】
【0042】
C・・チェーン
1・・搬送装置
3・・上部ガイド
4・・リニアガイド
5・・バケット
6・・中部ガイド
7・・中部チェーン溝
9・・下部チェーン溝
10・・ガイド溝
11・・上部チェーン溝
12・・揺動抑制材
13・・中部ガイド
14・・中部チェーン溝
15・・下部ガイド
16・・スプロケット
17・・駆動モータ