(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162397
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】内視鏡用撮像装置、および内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20241114BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A61B1/00 735
A61B1/00 680
G02B23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077860
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】岸 達也
(72)【発明者】
【氏名】小川 幸太
(72)【発明者】
【氏名】酒井 誠二
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040BA05
2H040CA11
2H040DA56
2H040DA57
2H040GA02
4C161AA00
4C161BB00
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF35
4C161FF40
4C161FF45
4C161JJ15
4C161LL02
4C161PP09
4C161PP10
4C161PP13
4C161RR17
(57)【要約】
【課題】内視鏡先端の細径化を図ることができる内視鏡用撮像装置、および内視鏡を提供する。
【解決手段】光軸Jの方向に移動可能な移動レンズ21を有する光学系と、移動レンズ21を保持する移動枠22と、移動枠22を駆動する駆動部30と、移動枠22を備える保持枠40(先端保持枠43)と、保持枠40の外部に設けられる駆動部用の回路基板と、を有し、保持枠40の外周は、長手軸方向(光軸方向)に直交する断面上において、チャンネルチューブ13の中心O2と保持枠40の中心O1とを結ぶ第1直線K1に対して略垂直な平面部43a、43bを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸の方向に移動可能な移動レンズを有する光学系と、
前記移動レンズを保持する移動枠と、
前記移動枠を駆動する駆動部と、
前記移動枠を備える保持枠と、
前記保持枠の外部に設けられる前記駆動部用の基板と、
を有し、
前記保持枠の外周は、長手軸方向に直交する断面上において、チャンネルチューブの中心と前記保持枠の中心とを結ぶ直線に対して略垂直な平面部を有する、内視鏡用撮像装置。
【請求項2】
前記保持枠の外周は、前記保持枠の中心に対して対向する複数の前記平面部を有する、請求項1に記載の内視鏡用撮像装置。
【請求項3】
前記直線に対して前記保持枠の中心を挟んで対向する位置に複数の磁石を有する、請求項1に記載の内視鏡用撮像装置。
【請求項4】
前記保持枠よりも基端側に金属枠が設けられ、
前記基板は、前記金属枠の外面に固定される、請求項1に記載の内視鏡用撮像装置。
【請求項5】
前記基板には、撮像ケーブルのシールド線が半田付けによって固定され、
前記半田によって、前記金属枠と前記シールド線はグランドに導通される、請求項4に記載の内視鏡用撮像装置。
【請求項6】
前記基板は、貫通孔を有し、
前記貫通孔を通じて前記基板が前記半田によって前記金属枠に固定される、請求項5に記載の内視鏡用撮像装置。
【請求項7】
前記基板は、導通性接着剤によって前記金属枠に固定される、請求項5に記載の内視鏡用撮像装置。
【請求項8】
前記駆動部は、コイルを有し、
前記駆動部から延出され前記コイルと前記基板を接続するコイル配線部は、前記保持枠の外表面に設けられた溝によってガイドされる、請求項3に記載の内視鏡用撮像装置。
【請求項9】
前記溝は、前記コイル配線部を含んで接着剤によって充填される、請求項8に記載の内視鏡用撮像装置。
【請求項10】
前記溝の内側には、前記溝の延長方向に沿って複数の溝内凸部が交互に配置される、請求項8に記載の内視鏡用撮像装置。
【請求項11】
前記保持枠は、前記コイル配線部が接触する部分が曲面になっている、請求項10に記載の内視鏡用撮像装置。
【請求項12】
前記基板の先端側には、嵌合凸部が設けられ、
前記嵌合凸部は、前記溝と嵌合する、請求項8に記載の内視鏡用撮像装置。
【請求項13】
前記チャンネルチューブの中心は、前記複数の磁石のそれぞれの磁力線の谷同士を結ぶ直線の延長上に設けられる、請求項3に記載の内視鏡用撮像装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の内視鏡用撮像装置を備えた内視鏡であって、
被検体内に挿入される挿入部を備え、
前記挿入部の先端には、前記内視鏡用撮像装置が設けられる、内視鏡。
【請求項15】
前記挿入部内に挿通され前記チャンネルチューブから延出される処置具は、磁性体である、請求項14に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用撮像装置、および内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡において、内部に光学系を収容する保持枠内において、電磁アクチュエーター(駆動部)によって光学系を保持する移動枠を光軸方向の前後に移動させて、被写体の焦点を切り替える撮像ユニット(内視鏡用撮像装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の内視鏡では、内視鏡先端の細径化が求められている。内視鏡の細径化の方法として、撮像ユニット(内視鏡用撮像装置)の断面を小さくすることが考えられる。例えば、電磁アクチュエーターを搭載する内視鏡用の撮像ユニットにおいて、磁石を小型にした場合には、発生する磁力が微弱となり電磁アクチュエーターの駆動力が小さくなり、周辺磁性体の影響を受けてしまう。とくに、磁性体からなる処置具が磁石に近接すると、電磁アクチュエーター(駆動部)の駆動に影響が出てしまう。そのため、電磁アクチュエーターにおける処置具による影響を回避するために処置具が挿通されるチャンネルチューブから撮像ユニットを遠ざけると、太径化を招いてしまう。
【0005】
ところで、撮像ユニットの保持枠は、一般的に磁石の配置に合わせて外周部が円弧形状としている。また、内視鏡先端には、撮像ユニットの他にライトガイド、処置具、チャンネル等、金属が使われている内蔵物が密集しており、駆動部がこれら内蔵物の影響を受けないように内蔵物と磁石の磁力線とを配置することが難しく、太径化につながるという問題があった。
【0006】
また、従来の撮像ユニットでは、対物光学ユニット内に電磁アクチュエーター用の回路基板が組み込まれていることから、この点でも内視鏡先端の細径化が困難になっていた。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて、内視鏡先端の細径化を図ることができる内視鏡用撮像装置、および内視鏡を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明の一態様における内視鏡用撮像装置は、光軸の方向に移動可能な移動レンズを有する光学系と、前記移動レンズを保持する移動枠と、前記移動枠を駆動する駆動部と、前記移動枠を備える保持枠と、前記保持枠の外部に設けられる前記駆動部用の基板と、を有し、前記保持枠の外周は、長手軸方向に直交する断面上において、チャンネルチューブの中心と前記保持枠の中心とを結ぶ直線に対して略垂直な平面部を有する。
【0009】
本発明の一態様における内視鏡は、上述した内視鏡用撮像装置を備えた内視鏡において、被検体内に挿入される挿入部を備え、前記挿入部の先端には、前記内視鏡用撮像装置が設けられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内視鏡先端の細径化を図ることができる内視鏡用撮像装置、および内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態の内視鏡用撮像装置を備える内視鏡を示す外観図である。
【
図2】
図1に示す内視鏡用撮像装置を備える挿入部を示す断面図である。
【
図3】挿入部の断面図であって、
図2中のI-I線に沿う断面図である。
【
図4】内視鏡用撮像装置を斜め基端側から見た斜視図である。
【
図5】
図3に示す内視鏡用撮像装置を拡大した断面図である。
【
図6】内視鏡用撮像装置の一部を
図4の上方から見た平面図である。
【
図7】第1変形例の内視鏡用撮像装置の一部を示す断面図である。
【
図8】
図7に示す内視鏡用撮像装置の具体的な構成を示す断面図である。
【
図9】内視鏡用撮像装置の一部を示す断面図であって、
図8中のIII-III線から見た平面図である。
【
図10】第2変形例の内視鏡用撮像装置の一部を示す断面図である。
【
図11】第3変形例の内視鏡用撮像装置の一部を示す平面である。
【
図12】第4変形例の内視鏡用撮像装置の一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る内視鏡用撮像装置、および内視鏡について説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0013】
内視鏡1は、患者の管腔内に挿入して患部を観察および処置する装置である。以下の説明では、内視鏡1において、患者の管腔内に挿入される側を「先端側(遠位側)」と呼び、患者の管腔内に挿入される側と逆側を「基端側(近位側)」と呼ぶ。
【0014】
各図面においては、適宜、Z軸を示す。Z軸は、以下に説明する実施形態の光軸Jが延びる方向を示している。各図に示す光軸Jは、仮想軸線である。以下の説明では、光軸Jが延びる方向、つまりZ軸と平行な方向を「光軸方向」と呼ぶ。光軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。光軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。光軸方向のうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)は、「先端側(遠位側)」であり、光軸方向のうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)は、「基端側(近位側)」である。以下の説明では、光軸方向のうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を「先端側」または「光軸方向の他方側」と呼ぶ。光軸方向のうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を「基端側」または「光軸方向の一方側」と呼ぶ。
【0015】
図1は、本実施形態の内視鏡用撮像装置10を備える内視鏡1を示す外観図である。
図2は、内視鏡1の挿入部2を構成する先端部の断面図である。
図3は、
図2に示すX-X線断面図であって、本実施形態の内視鏡用撮像装置10を示す断面図である。
図4は、本実施形態の内視鏡用撮像装置10に収容される保持枠40および金属枠50を示す斜視図である。
【0016】
図1に示すように、内視鏡1は、被検体内に挿入される挿入部2と、挿入部2の基端側に連設される操作部3と、操作部3から延出されるユニバーサルコード8と、ユニバーサルコード8と接続されるコネクタ9と、内視鏡用撮像装置10と、を備える。内視鏡1は、コネクタ9を介して、図示しない制御装置および照明装置等の外部装置と電気的に接続される。
【0017】
挿入部2は、先端側から順に、先端部2s、湾曲部2w、および可撓管部2kを有する。挿入部2は、光軸方向に沿って細長に形成されている。先端部2sの先端には、内視鏡用撮像装置10が設けられる。すなわち、内視鏡用撮像装置10は、挿入部2の先端に設けられる。湾曲部2wは、光軸方向と直交する第1方向D1および第2方向D2のそれぞれに湾曲可能である。可撓管部2kは、湾曲部2wと操作部3とを繋ぐ。可撓管部2kは、光軸方向に延びる筒状である。可撓管部2kの内部には、コネクタ9と内視鏡用撮像装置10とを電気的に接続する
図2に示す電装ケーブル18が収容される。
【0018】
図1に示すように、操作部3は、挿入部2の湾曲部2wを湾曲させる湾曲操作ノブ4a,4bと、湾曲操作ノブ4aの回動位置を固定する固定レバー5と、湾曲操作ノブ4bの回動位置を固定する固定ノブ6と、
図2に示す移動枠22を光軸方向に沿って移動させるボタン等(図示省略)が設けられる。湾曲操作ノブ4a,4bの回動操作によって、湾曲部2wは、第1方向D1および第2方向D2に湾曲する。これにより、内視鏡用撮像装置10の観察方向を変えることができるとともに、被検体内における先端部2sの挿入性を向上させることができる。後述するように、ボタン等(図示省略)の操作によって、移動枠22が光軸方向に移動し、被写体の焦点を切り替えることができる。
【0019】
図2および
図3に示すように、挿入部2の先端部2sの先端面には、対物レンズ23が配置されている。対物レンズ23は、レンズユニットである内視鏡用撮像装置10のレンズである。対物レンズ23は、先端面が内視鏡1の外部に露出し、対物レンズ保持部24に固定保持されている。挿入部2の先端枠部材は、例えばステンレス鋼製である。
【0020】
対物レンズ保持部24は、光軸Jを中心として光軸方向に延びる略円筒状である。対物レンズ保持部24は、光軸方向の両側に開口する。対物レンズ保持部24は、保持枠40の先端部内側に固定される。対物レンズ保持部24は、第1筒部241と、円環部242と、第2筒部243と、を有する。
【0021】
第1筒部241は、光軸Jを中心として光軸方向に延びる略円筒状である。第1筒部241は、保持枠40よりも先端側に配置される。円環部242は、光軸Jを中心とする円環状である。円環部242の径方向内縁部は、第1筒部241の基端側の端部と光軸方向に繋がる。円環部242の基端側を向く面は、保持枠40の後述する先端保持枠43の内空部に位置する。第2筒部243は、光軸Jを中心として光軸方向に延びる略円筒状である。第2筒部243は、円環部242の径方向外縁から基端側に延びる。第2筒部243は、先端保持枠43の先端側の部分の内部に配置される。
【0022】
内視鏡用撮像装置10は、光軸Jの方向に移動可能な移動レンズ21を有する光学系20と、移動レンズ21を保持する移動枠22と、移動枠22を駆動する電磁アクチュエーターからなる駆動部30と、移動枠22を備える保持枠40と、保持枠40よりも基端側に設けられる金属枠50と、保持枠40の外部に設けられる駆動部用の回路基板60(基板)と、を有する。駆動部30は、コイル32を有する。
【0023】
具体的に説明する。内視鏡用撮像装置10には、フォーカシング、又はズーミングのため、光軸方向に対して進退可能な移動レンズ21が配置されている。移動レンズ21は、移動枠22に固定保持されている。移動枠22は、レンズ駆動手段である駆動部30によって進退駆動される。移動枠22の詳細な構成については、後述する。
【0024】
光学系20は、被写体の光学像を形成する。本実施形態において、光学系20は、8個のレンズによって構成される。光学系20は、対物レンズ23と、第1レンズ25Aと、移動レンズ21と、第2レンズ25Bと、第3レンズ25Cと、第4レンズ25Dと、第5レンズ25Eと、第6レンズ25Fと、が先端側から基端側に向かってその順で配置される。光学系20の構成は、本実施形態の構成に限定されず、例えば、光学系20を構成するレンズの個数は7個以下であってもよいし、9個以上であってもよい。
【0025】
対物レンズ23は、対物レンズ保持部24の第1筒部241の内周面に保持される。対物レンズ23の先端側を向く面は、内視鏡用撮像装置10の外部に露出する。なお、対物レンズ23は、複数のレンズ群から構成されてもよい。第1レンズ25Aは、第2筒部243の内部に収容される。第1レンズ25Aは、第2筒部243の内周面に保持される。
【0026】
移動レンズ21は、保持枠40の先端保持枠43の内部に収容される。移動レンズ21は、移動枠22の内周面に保持される。なお、移動レンズ21は、複数のレンズ群から構成されてもよい。
【0027】
第2レンズ25B、第3レンズ25C、第4レンズ25D、第5レンズ25E、および第6レンズ25Fのそれぞれは、第1レンズ収容保持枠41および第2レンズ収容保持枠42の内周面に保持される。光学系20によって形成された被写体の光学像は、撮像素子17によって映像信号に変換され、電装ケーブル18およびコネクタ9を介して、外部装置に伝送される。
【0028】
図3及び
図4に示すように、保持枠40は、光軸方向に延びる筒状である。本実施形態において、保持枠40は、光軸Jを中心として光軸方向に延びる略円筒状である。保持枠40は、光軸方向に延びる角筒状であってもよい。保持枠40は、光軸方向の両側に開口する。保持枠40は、光学系20の一部を内部に収容する。保持枠40は、光軸方向で基端側から先端側の順に、第1レンズ収容保持枠41と、第2レンズ収容保持枠42と、先端保持枠43と、を有する。
【0029】
図4に示すように、第1レンズ収容保持枠41は、光軸Jを中心として光軸方向に延びる略円筒状である。第1レンズ収容保持枠41の基端側の部分は、例えば図示しない接着剤によって金属枠50に接続される。これにより、金属枠50は、保持枠40を保持する。
【0030】
第2レンズ収容保持枠42は、光軸Jを中心とする円環状である。第2レンズ収容保持枠42の径方向外縁部は、第1レンズ収容保持枠41の先端と光軸方向に繋がる。第2レンズ収容保持枠42の外径の寸法は、第1レンズ収容保持枠41の外径より大きく、先端保持枠43の外径と略同じ寸法である。第2レンズ収容保持枠42の外周面には、後述する先端保持枠43の外周面の一部に設けられる平面部43a、43bと略面一となる一対の平面部42aを有する。第2レンズ収容保持枠42の平面部42aは、光軸方向から見て、周方向において重なる位置に設けられている。
【0031】
図3に示すように、先端保持枠43は、光軸Jを中心として光軸方向に延びる略円筒状の外殻の一部に後述する平面部43a、43bを有する。先端保持枠43は、第2レンズ収容保持枠42から先端側に延びる。先端保持枠43の外径は、第2レンズ収容保持枠42の外径と略同じ寸法である。
【0032】
先端保持枠43が配置される挿入部2の先端部2sには、
図3に示す断面図において、内視鏡用撮像装置10(保持枠40の先端保持枠43)と、一対の照明用レンズ12(
図2参照)を支持する一対のライトガイド11A、11Bと、不図示の処置具を挿入するためのチャンネルチューブ13と、水噴射用のノズル14と、第1磁石15と、が設けられている。先端保持枠43とチャンネルチューブ13とは、それぞれ挿入部2の内面2a寄りの位置に配置される。一対のライトガイド11A、11Bは、チャンネルチューブ13を挟んだ両側に配置されている。ノズル14と第1磁石15は、先端保持枠43、一対のライトガイド11A、11B、およびチャンネルチューブ13に干渉しないスペースに配置されている。挿入部2内に挿通されチャンネルチューブ13から延出される処置具は、磁性体である。なお、チャンネルチューブ13自体は、磁性体でも非磁性体であってもよい。
【0033】
図3及び
図5に示すように、保持枠40の先端保持枠43の外周は、長手軸方向(光軸方向)に直交する断面上において、チャンネルチューブ13の中心O2と先端保持枠43の中心O1(内視鏡用撮像装置10の中心)とを結ぶ第1直線K1に対して略垂直な一対の平面部43a、43bを有する。すなわち、一対の平面部43a、43bは、先端保持枠43の外周において先端保持枠43の中心O1に対して対向して設けられている。
【0034】
先端保持枠43の内部には、第1直線K1に対して先端保持枠43の中心O1を挟んで対向する位置に複数(本実施形態では2つ)の磁石31(31A、31B)を有する。つまり、一対の磁石31A、31Bは、第1直線K1に対して垂直に延びる第2直線K2上に配置される。チャンネルチューブ13の中心O2は、一対の磁石31A、31Bのそれぞれの磁力線Eの谷Ea、Eb同士を結ぶ直線(第3直線K3)の延長上に設けられる。第3直線K3は、第1直線K1と一致する。
【0035】
また、先端保持枠43の外周側には、先端保持枠43を外側から嵌合する断面C型のCホンタイ(図示省略)が設けられている。このCホンタイの外周の一部を先端保持枠43の平面部43a、43bと一致する位置で平面形状にすることで、保持枠40、すなわち内視鏡用撮像装置10の回転を抑制できる。
【0036】
図2及び
図5に示すように、駆動部30は、保持枠40の先端保持枠43に保持される。駆動部30のコイル32は、回路基板60(
図4参照)と電気的に接続される。駆動部30には、回路基板60および電装ケーブル18を介して、図示しない外部装置から電流が供給される。本実施形態において、駆動部30は、磁力によって、移動レンズ21を光軸方向に移動させる電磁アクチュエーターである。本実施形態では、移動レンズ21を光軸方向に移動させることにより、内視鏡1における被写体の焦点を切り替えることができる。なお、駆動部30の構成は、本実施形態に限定されず、例えば、駆動部30は、光学系20の結露を抑制するヒータ等であってもよい。
【0037】
移動枠22は、光軸Jを中心として光軸方向に延びる略円筒状である。移動枠22は、光軸方向の両側に開口する。移動枠22は、例えば、電磁鋼等の磁性体によって構成される。移動枠22は、先端保持枠43の内部に配置される。移動枠22は、適宜な移動範囲において光軸方向に移動可能である。移動枠22の内周面には、移動レンズ21が保持される。すなわち、移動枠22は、光学系20の一部を内部に保持する。本実施形態では、移動枠22を光軸方向に移動させることにより、移動レンズ21を光軸方向に移動させて、内視鏡1における被写体の焦点を切り替えることができる。
【0038】
一対の磁石31A、31Bのそれぞれは、光軸Jを中心とする略円環状である。一対の磁石31のそれぞれは、コイル32のコイル線の内側において、移動枠22を径方向外側から挟んで配置され、先端保持枠43に固定される。磁石31は、光軸方向において、複数配置されていてもよい。一対の磁石31A、31Bのそれぞれは、一対の磁極を有する。磁石31A、31Bは、それぞれのS極が第2直線K2の方向で中心O1(光軸J)側を向き、N極が第2直線K2の方向で中心O1とは反対側を向く。すなわち、一対の磁石31A、31Bは、互いに同じ磁極、本実施形態ではS極が第2直線K2の方向(光軸方向に直交する方向)に対向して配置される。なお、一対の磁石31A、31Bは、互いにN極が第2直線K2の方向に対向して配置されてもよい。
【0039】
コイル32は、コイル配線部33を介して回路基板60と電気的に接続される。コイル32には、回路基板60および電装ケーブル18を介して、外部装置から電流が供給される。コイル32は、導電性を有する銅線の周りを例えばエナメル等の絶縁被膜で被覆したコイル線によって構成される。コイル32は、先端保持枠43の内周面で一対の磁石31A、31Bの外周側で周状に巻回される。コイル本体部34aは、先端保持枠43の内周面に固定される。これにより、コイル32は、先端保持枠43に保持される。コイル配線部33は、コイル32から引き出され、回路基板60と電気的に接続される部分である。
【0040】
本実施形態では、ボタンの操作に応じて、回路基板60および電装ケーブル18を介して、図示しない外部装置からコイル32に供給される電流が制御される。
図2に示すように、コイル32に電流が供給されると、コイル32は、磁極が光軸Jを向く電磁石を構成する。
【0041】
ケーブル18は、
図1に示すコネクタ9を介して、外部装置と電気的に接続される。
図2に示すように、電装ケーブル18は、回路基板60と電気的に接続される。コイル32は、電装ケーブル18および回路基板60を介して、外部装置と電気的に接続される。
【0042】
図2及び
図4に示すように、金属枠50は、光軸方向に延びる筒状である。本実施形態において、金属枠50は、光軸Jを中心として光軸方向に延びる略角筒状である。金属枠50は、光軸方向に延びる円筒状であってもよい。金属枠50は、光軸方向の両側に開口する。金属枠50の4面を形成する4つの外面のうち一外面をなす基板取付面50aには、回路基板60が装着される。基板取付面50aは、光軸方向に延びる。
【0043】
金属枠50の内側には、撮像素子保持部16が設けられている。撮像素子保持部16の内周面には、撮像素子17が固定される。撮像素子17は、CCDおよびCMOS等のイメージセンサである。撮像素子17は、光学系20が形成する被写体の光学像を映像信号に変換する。撮像素子17は、電装ケーブル18および
図1に示すコネクタ9を介して、外部装置に接続される。撮像素子17に電気的に接続される電装ケーブル18は、金属枠50から基端側に延出される。電装ケーブル18の内側には、複数の信号線181が挿通している。
【0044】
図4及び
図6に示すように、回路基板60は、コイル配線部33と電装ケーブル18とを電気的に接続する。これにより、図示しない外部装置と駆動部30とが電気的に接続され、外部装置からコイル32に電流が供給される。回路基板60は、光軸方向に長い板状に形成されている。回路基板60は、金属枠50の一外面である基板取付面50aに両面テープまたは接着剤等によって固定されている。本実施形態では、回路基板60の光軸方向の長さ寸法は、金属枠50の保持枠40から基端側の長さと略同じ寸法である。回路基板60の先端側の表面60aは、半田61Aによってコイル配線部33と電気的に接続される。回路基板60の基端側の表面60aは、半田61Bによってケーブル70と電気的に接続される。
【0045】
コイル32と回路基板60を接続するコイル配線部33は、保持枠40の第1レンズ収容保持枠41の外表面41bと第2レンズ収容保持枠42の外表面42bのそれぞれに設けられた溝44A、44Bによってガイドされる。第1レンズ収容保持枠41の外表面41bと第2レンズ収容保持枠42の外表面42bは、金属枠50の基板取付面50aと略同一平面上に位置する。
【0046】
第1レンズ収容保持枠41の外表面41bには、光軸方向に延びる第1溝44Aを有する。第1溝44Aは、周方向に間隔をあけて配置される一対の溝形成壁441、442によって形成される。一対の溝形成壁441、442は、それぞれ光軸方向に延び、それぞれの間に光軸方向に延びる溝が形成される。一対の溝形成壁441、442間の幅寸法は、全てのコイル配線部33が十分に溝内に収まる寸法である。
【0047】
一方の溝形成壁441の先端側には、コイル配線部33が接触する部分が曲面441aになっている。本実施形態では、コイル配線部33が第2レンズ収容保持枠42の第2溝44Bで周方向の一方に湾曲させている。溝形成壁441の曲面441aは、コイル配線部33の湾曲部33aの内周に沿う曲面である。本実施形態では、第1レンズ収容保持枠41と第2レンズ収容保持枠42との間でコイル配線部33の周方向の位置を変えて、コイル配線部33を回路基板60に半田付けする場合である。そのため、溝44A、44Bに形成される凹凸のエッジR形状に湾曲させた溝形成壁441の曲面441aを設けることで、コイル配線部33の断線を防止できる。
【0048】
第2レンズ収容保持枠42の外表面42bには、L状の折れ曲がる第2溝44Bを有する。第2溝44Bは、第2レンズ収容保持枠42を切り欠いて形成されている。第2溝44Bの基端側開口部44aは、第1溝44Aの先端側開口部に連通する。第2溝44Bの先端側開口部44bは、先端保持枠43の内側に繋がり、コイル配線部33がコイル32に接続される。第2溝44Bの溝幅は、全てのコイル配線部33が十分に溝内に収まる寸法に設定されている。
【0049】
図6に示すように、一対の溝44A、44Bは、コイル配線部33を埋め込んだ状態で接着剤45によって充填されている。接着剤45としては、例えば、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0050】
本実施形態によれば、
図1から
図6に示すように、内視鏡用撮像装置10を備えた内視鏡1であって、被検体内に挿入される挿入部2を備える。内視鏡用撮像装置10は、挿入部2の先端に設けられる。内視鏡用撮像装置10は、光軸Jの方向に移動可能な移動レンズ21を有する光学系20と、移動レンズ21を保持する移動枠22と、移動枠22を駆動する駆動部30と、移動枠22を備える保持枠40(先端保持枠43)と、保持枠40の外部に設けられる駆動部30用の回路基板60と、を有する。保持枠40の外周は、長手軸方向(光軸方向)に直交する断面上において、チャンネルチューブ13の中心O2と保持枠40の中心O1とを結ぶ第1直線K1に対して略垂直な平面部43a、43bを有する。
【0051】
本実施形態では、従来、円形断面で形成される保持枠のうち一部の円弧部が、上述した第1直線K1に対して垂直に延びる第2直線K2と平行な平面部43a、43bとなるので、保持枠40の中心O1とチャンネルチューブ13の中心O2とを結ぶ第1直線K1の距離を短縮できる。そのため、内視鏡1の挿入部2において、保持枠40とチャンネルチューブ13とを近接させて配置することができ、保持枠40を備えた内視鏡用撮像装置10と内視鏡外周部(挿入部2)との干渉を抑制できる。このように、挿入部2の内蔵物を効率よく配置することができ、スペースを効率化できることから、内視鏡先端の細径化を図ることができる。
【0052】
そして、本実施形態では、保持枠40の平面部43a、43bでない円弧部側の内側に磁石31が配置され、内視鏡1の外周部に近接する部分は磁石31が配置されない側となる。そのため、内視鏡1の外部への漏れ磁界を少なくすることができ、内視鏡外部の磁性体の影響を低減できる。
【0053】
また、本実施形態では、駆動部30用の回路基板60を保持枠40の外部に設けることができる。保持枠40の外部で、かつ挿入部2における内蔵物の余白のスペースに回路基板60を収容できるので、保持枠40の内側のスペースに回路基板60が配置されない構成にできる。そのため、保持枠40に平面部43a、43bを確実に設けることができ、内視鏡先端の細径化を図ることができる。
【0054】
また、本実施形態では、保持枠40の外周は、保持枠40の中心O1に対して対向する複数(実施形態では2つ)の平面部43a、43bを有する。よって、対向する平面部43a、43b同士の間隔を狭くすることができ、スペースの効率化を図ることができる。
【0055】
また、本実施形態では、第1直線K1に対して保持枠40の中心O1を挟んで対向する位置に複数(2つ)の磁石31A、31Bを有する。これにより、保持枠40の平面部43a、43bでない円弧部側の内側に一対の磁石31A、31Bが配置され、内視鏡1の外周部に近接する部分は磁石31A、31Bが配置されない側となる。そのため、内視鏡1の外部への漏れ磁界を少なくすることができ、内視鏡外部の磁性体の影響を低減できる。
【0056】
また、本実施形態では、保持枠40よりも基端側に金属枠50が設けられる。回路基板60は、金属枠50の外面の基板取付面50aに固定される。したがって、挿入部2の内側で内蔵物が密集しやすい保持枠40の周囲から外れた位置の金属枠50に回路基板60が配置されるので、保持枠40が配置される部分の挿入部2の断面におけるスペース効率を向上させることができ、内視鏡先端の細径化を図ることができる。
【0057】
本実施形態によれば、駆動部30は、コイル32を有する。駆動部30から延出されコイル32と回路基板60を接続するコイル配線部33は、保持枠40の外表面に設けられた溝44A、44Bによってガイドされる。これにより、溝44A、44Bによってコイル配線部33を保持枠40の外部に設けられる回路基板60に向けて誘導することができ、コイル配線部33を回路基板60に対する半田付けの作業を効率よく行うことができる。さらに、コイル配線部33は、保持枠40や金属枠50の外部に配置される溝44A、44Bに保持されるので、位置がずれることなく配線できる。
【0058】
本実施形態によれば、溝44A、44Bは、コイル配線部33を含んで接着剤45によって充填される。したがって、コイル配線部33が外部の負荷から保護することができる。さらに、コイル配線部33が接着剤45によって溝44A、44B内に動かないように保持されるので、コイル配線部33を半田付けする際の位置決め作業を容易に行うことができる。
【0059】
また、本実施形態では、チャンネルチューブ13の中心O2は、一対の磁石31A、31Bのそれぞれの磁力線の谷同士を結ぶ第3直線K3の延長上に設けられる。したがって、磁石31A、31Bの磁力線Eの影響が弱い範囲にチャンネルチューブ13を設けることができる。そのため、チャンネルチューブ13から延出される処置具が磁性体であっても、処置具が接近することによる駆動部30への影響を低減できる。
【0060】
<第1変形例>
図7は、第1変形例の内視鏡用撮像装置10Aの一部を示す断面図である。
図8は、
図7に示す内視鏡用撮像装置10Aの具体的な構成を示す側面図である。
図9は、内視鏡用撮像装置10Aの一部を示す断面図であって、
図8中のIII-III線から見た平面図である。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0061】
図7に示すように、本変形例において、電装ケーブル18のシールド線180は、回路基板60に半田付けによって固定されている。金属枠50とシールド線180とは、半田62によって、グランド(
図7のGNDで示す)に導通される。これにより、金属枠50、回路基板60、電装ケーブル18のシールド線180およびグランドが導通し、不図示の処置具からの高周波ノイズFをグランドに落とす構造となる。
図7の符号Fは、高周波ノイズの流れを示している。
【0062】
図8及び
図9を用いてさらに具体的に説明する。回路基板60は、厚み方向に貫通する貫通孔60bを有する。貫通孔60bには、筒状の金属製の挿通部材63が嵌合されている。挿通部材63の両端には、径方向外側に突出する所謂ランドと呼ばれるフランジ部631、632を有する。挿通部材63の外側の第1フランジ部631上に半田付けが行われて半田62が形成されている。挿通部材63の第2フランジ部632は金属枠50の外面のうち基板取付面50aに面接触した状態で設けられる。これにより回路基板60に固着される半田62と金属枠50とが挿通部材63を介して導通した状態となる。すなわち、金属枠50は、半田62を介してシールド線180と導通している。
【0063】
また、挿通部材63の孔63aにも半田62が流れ込み、孔内に充填された半田接続部62aが金属枠50に接続する。これにより回路基板60は、挿通部材63を通じて半田接続部62aによって金属枠50に固定された状態となる。つまり、回路基板60は、半田接続部62aを通じて、半田62と金属枠50とによって厚み方向に挟まれることで金属枠50に対して固定されている。これにより、回路基板60は、半田62によって金属枠50に対して強固に固定される。
【0064】
基板を金属枠50に固定する構成では、高周波ノイズFがイメージセンサ等の撮像素子17に加わらないようにする必要がある。そして、例えば回路基板60を金属枠50の内部に設けた場合には、金属枠50とシールド線180の導通の確保が難しくなり、高周波ノイズFが内部に入る可能性が高くなる。これに対して、本第1変形例のように、シールド線180を半田62によって金属枠50の外面側に直接(ここでは回路基板60を介して)接続し、金属枠50を半田62を介してシールド線180と導通させて、効果的に高周波ノイズFをグランド(GND)に落として低下させることができる。
【0065】
また、本第1変形例では、回路基板60側から挿通部材63の第1フランジ部631上に半田付けするものであり、例えば金属枠50の材質がステンレス製等で半田付けが適さない場合であっても、半田付けの作業性を良好に行うことができ、半田量を低減でき、半田外径も小さいものにできる。しかも、挿通部材63の位置は任意に設定することができる。
【0066】
<第2変形例>
図10は、実施形態の第2変形例の内視鏡用撮像装置10Bの一部を示す断面図である。以下の説明において、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
図10に示すように、本第2変形例は、第1変形例の別の形態である。本第2変形例において、回路基板60は、導通性接着剤64によって金属枠50の基板取付面50aに固定される。導通性接着剤64は、回路基板60の金属枠50を向く面の全体にわたって略一定厚の層状に設けられる。回路基板60は、導通性接着剤64上に配置されている。本変形例も、上記の第1変形例と同様に回路基板60は、厚み方向に貫通する貫通孔60bを有する。貫通孔60bには、筒状の金属製の挿通部材63が嵌合されている。
【0068】
挿通部材63の外側の第1フランジ部631上に半田付けが行われて半田62が形成されている。挿通部材63の第2フランジ部632は導通性接着剤64に面接触した状態で設けられる。これにより回路基板60に固着される半田62と金属枠50とが導通性接着剤64および挿通部材63を介して導通した状態となる。すなわち、金属枠50は、導通性接着剤64と半田62を介してシールド線180と導通している。
【0069】
本第2変形例によれば、シールド線180を半田62によって導通性接着剤64および金属枠50の外面側に直接接続し、金属枠50を導通性接着剤64および半田62を介してシールド線180と導通させて、効果的に高周波ノイズをグランドに落として低下させることができる。
【0070】
<第3変形例>
図11は、実施形態の第3変形例の内視鏡用撮像装置10Cの一部を示す断面図である。以下の説明において、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0071】
図11に示すように、本第3変形例は、上述した実施形態の変形例である。本第3変形例において、保持枠40の第1レンズ収容保持枠41の溝44Aの内側には、溝44Aの延長方向に沿って複数(ここでは3つ)の溝内凸部46が交互に配置される。
【0072】
溝内凸部46は、コイル配線部33が接触する部分が曲面になっている。3つの溝内凸部46は、それぞれ溝44Aの対向する一対の内側面44cのうち一方に固定される。溝内凸部46の内側面44cから突出する部分は、平面視して円弧面46aを形成している。3つの溝内凸部46同士の間には、コイル配線部33が通過可能な蛇行した配線通路部443を形成している。一対の溝44Aは、3つの溝内凸部46と、配線通路部443に配置されるコイル配線部33とを埋め込んだ状態で接着剤45によって充填されている。
【0073】
本第3変形例では、3つの溝内凸部46が溝44Aの延長方向に沿って交互に配置されて形成された配線通路部443にコイル配線部33を配置することで、コイル配線部33が蛇行して配線される。そのため、コイル配線部33は、溝内凸部46の円弧面46aとの摩擦力で固定される。つまり、コイル配線部33は、複数の溝内凸部46によって溝幅方向への振れが抑えられ、回路基板60の先端側の表面60aに半田61Aによって電気的に接続する際の作業性を向上できる。
【0074】
また、第3変形例では、溝内凸部46が円弧面46aを形成し、溝内凸部46にエッジが形成されていないので、エッジにコイル配線部33が接触することによる断線を抑制できる。
【0075】
なお、本3変形例では、溝内凸部46が溝44Aの内側面44cから突出することにより形成されているが、溝44Aに凹部を複数設けることにより形成される溝内凸部であってもよい。
【0076】
<第4変形例>
図12は、実施形態の第4変形例の内視鏡用撮像装置10Dの一部を示す断面図である。以下の説明において、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0077】
図12に示すように、本第4変形例は、上述した実施形態の変形例である。本第4変形例において、回路基板60の先端側には、先端側に向けて突出する嵌合凸部65が設けられる。嵌合凸部65は、保持枠40の第1レンズ収容保持枠41の溝44Aに嵌合する。嵌合凸部65の幅寸法は、溝44Aの溝幅と一致する。嵌合凸部65の高さは、溝44Aの深さよりも小さくても大きくてもかまわない。
【0078】
本第4変形例によれば、嵌合凸部65を溝44Aに嵌合させることで、第1レンズ収容保持枠41に対して回路基板60が位置決めされ、回路基板60を固定する金属枠50も第1レンズ収容保持枠41に対して所定の位置に固定される。そのため、組み立て作業にかかる手間を低減することができ、保持枠40に対して金属枠50を直線上に精度よく組み付けることが可能となるので、内視鏡先端の細経化を図ることができる。
【0079】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0080】
保持枠40の構成は、本実施形態に限定されない。例えば、本実施形態では、第1レンズ収容保持枠41、第2レンズ収容保持枠42、および先端保持枠43の3つの保持枠から構成されているが、それぞれが一体に設けられる構成であってもよい。
【0081】
また、磁石31(31A、31B)の数量は上記実施形態のように2つであることに限定されることはない。さらに、本実施形態では、保持枠40の平面部43a、43bが対向する2箇所に形成されているが、例えばチャンネルチューブ13の平面部43aのみであってもかまわない。
【0082】
また、保持枠40の中心O1とチャンネルチューブ13の中心O2を結ぶ第1直線K1が一対の磁石31A、31Bの磁力線Eの谷Ea、Eb同士を結ぶ直線(第3直線K3)の延長上に設けられることに限定されることはない。
【0083】
また、回路基板60の位置は、保持枠40の外部であればよく、必ずしも金属枠50の外面に配置されることに限定されることはない。
【0084】
また、回路基板60の位置は、保持枠40の外部であればよく、必ずしも金属枠50の外面に配置されることに限定されることはない。
【0085】
また、回路基板60の位置は、保持枠40の外部であればよく、必ずしも金属枠50の外面に配置されることに限定されることはない。
【符号の説明】
【0086】
1…内視鏡
2…挿入部
10、10A、10B、10C、10D、10E…内視鏡用撮像装置
13…チャンネルチューブ
18…電装ケーブル
20…光学系
21…移動レンズ
22…移動枠
30…駆動部
31、31A、31B…磁石
32…コイル
33…コイル配線部
40…保持枠
41…第1レンズ収容保持枠
42…第2レンズ収容保持枠
43…先端保持枠
44A、44B…溝
45…接着剤
46…溝内凸部
50…金属枠
60…回路基板(基板)
62…半田
63…挿通部材
64…導通性接着剤
65…嵌合凸部
E…磁力線
K1…第1直線
K2…第2直線
K3…第3直線
O1…保持枠の中心
O2…チャンネルチューブの中心