IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

2024-162407ロボット制御装置、ロボット制御方法、およびロボット制御プログラム
<>
  • -ロボット制御装置、ロボット制御方法、およびロボット制御プログラム 図1
  • -ロボット制御装置、ロボット制御方法、およびロボット制御プログラム 図2
  • -ロボット制御装置、ロボット制御方法、およびロボット制御プログラム 図3
  • -ロボット制御装置、ロボット制御方法、およびロボット制御プログラム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162407
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ロボット制御装置、ロボット制御方法、およびロボット制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A63H 11/00 20060101AFI20241114BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20241114BHJP
【FI】
A63H11/00 Z
G06T7/70 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077888
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】植本 将史
(72)【発明者】
【氏名】藤原 康生
(72)【発明者】
【氏名】岡上 国弘
(72)【発明者】
【氏名】豊口 馨
【テーマコード(参考)】
2C150
5L096
【Fターム(参考)】
2C150CA01
2C150CA02
2C150DA05
2C150DA24
2C150DA26
2C150DA28
2C150DK02
2C150EB01
2C150ED42
2C150ED52
2C150EF33
5L096AA06
5L096AA09
5L096CA05
5L096FA69
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、ロボットに現実の動体に似た動きを実行させることが可能なロボット制御装置を提供する。
【解決手段】ロボット制御装置40は、複数位置に設置された動作機構を有するロボット30に通信可能に接続され、3次元情報取得部442と位置情報抽出部443と動作制御部444とを備える。3次元情報取得部442は、所定の動体に関する部位ごとの3次元位置情報を取得する。位置情報抽出部443は、3次元情報取得部442が取得した情報の中から、ロボット30の動作機構の設置位置に対応する動体の部位の3次元位置情報を抽出する。動作制御部444は、位置情報抽出部443が抽出した動体の部位ごとの3次元位置情報に基づいて、ロボット30内の対応する位置の動作機構を動作させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数位置に設置された動作機構を有するロボットに通信可能に接続され、
所定の動体に関する部位ごとの3次元位置情報を取得する3次元情報取得部と、
前記3次元情報取得部が取得した情報の中から、前記ロボットの動作機構の設置位置に対応する前記動体の部位の3次元位置情報を抽出する位置情報抽出部と、
前記位置情報抽出部が抽出した前記動体の部位ごとの3次元位置情報に基づいて、前記ロボット内の対応する位置の前記動作機構を動作させる動作制御部と、を備えたロボット制御装置。
【請求項2】
複数の動体の中から、利用者により選択された動体、前記ロボットに形状が類似している動体、または、動きが最も大きい動体を、前記ロボットが動作を模倣する対象として決定する対象動体決定部をさらに備え、
前記3次元情報取得部は、前記対象動体決定部が決定した動体に関する部位ごとの3次元位置情報を取得する、請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項3】
前記位置情報抽出部は、前記3次元情報取得部が取得した情報の中に、前記ロボットの所定の動作機構の設置位置に対応する部位の3次元位置情報がないときには、前記所定の動作機構の設置位置に関して予め設定された他の部位の3次元位置情報を代替え情報として抽出する、請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項4】
複数位置に設置された動作機構を有するロボットに通信可能に接続されたロボット制御装置が、
所定の動体に関する部位ごとの3次元位置情報を取得し、
取得した情報の中から、前記ロボットの動作機構の設置位置に対応する前記動体の部位の3次元位置情報を抽出し、
抽出した前記動体の部位ごとの3次元位置情報に基づいて、前記ロボット内の対応する位置の前記動作機構を動作させる、ロボット制御方法。
【請求項5】
複数位置に設置された動作機構を有するロボットに通信可能に接続されたコンピュータに、
所定の動体に関する部位ごとの3次元位置情報を取得する機能と、
取得した情報の中から、前記ロボットの動作機構の設置位置に対応する前記動体の部位の3次元位置情報を抽出する機能と、
抽出した前記動体の部位ごとの3次元位置情報に基づいて、前記ロボット内の対応する位置の前記動作機構を動作させる機能と、
を実現させるロボット制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット制御装置、ロボット制御方法、およびロボット制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
動物の形状を有し、予め設定された動作を行うための動作機構を内部に備えたぬいぐるみ型等のロボットがある。このようなロボットの動作機構を駆動させることで、例えば、ぬいぐるみに動物のような動きをさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4487782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したようなロボットの動作機構は予め設定されたパターン以外の動きを行うことができず、ロボットの動きは現実の動物の動きとはかけ離れたものとなる。
【0005】
これに鑑み、既存のモーションキャプチャの技術を用いて、ロボットに現実の動物に似た動きを実行させることが考えられる。しかし、モーションキャプチャの技術を用いるためには動物に複数のセンサを設置して動作状態を計測する必要があり、装置が複雑であるため利用の際に手間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、簡易な構成で、ロボットに現実の動体に似た動きを実行させることが可能な、ロボット制御装置、ロボット制御方法、およびロボット制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の一形態のロボット制御装置は、複数位置に設置された動作機構を有するロボットに通信可能に接続され、所定の動体に関する部位ごとの3次元位置情報を取得する3次元情報取得部と、前記3次元情報取得部が取得した情報の中から、前記ロボットの動作機構の設置位置に対応する前記動体の部位の3次元位置情報を抽出する位置情報抽出部と、前記位置情報抽出部が抽出した前記動体の部位ごとの3次元位置情報に基づいて、前記ロボット内の対応する位置の前記動作機構を動作させる動作制御部と、を備える。
【0008】
また、本発明のロボット制御方法は、複数位置に設置された動作機構を有するロボットに通信可能に接続されたロボット制御装置が、所定の動体に関する部位ごとの3次元位置情報を取得し、取得した情報の中から、前記ロボットの動作機構の設置位置に対応する前記動体の部位の3次元位置情報を抽出し、抽出した前記動体の部位ごとの3次元位置情報に基づいて、前記ロボット内の対応する位置の前記動作機構を動作させる。
【0009】
また、本発明のロボット制御プログラムは、複数位置に設置された動作機構を有するロボットに通信可能に接続されたコンピュータに、所定の動体に関する部位ごとの3次元位置情報を取得する機能と、取得した情報の中から、前記ロボットの動作機構の設置位置に対応する前記動体の部位の3次元位置情報を抽出する機能と、抽出した前記動体の部位ごとの3次元位置情報に基づいて、前記ロボット内の対応する位置の前記動作機構を動作させる機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のロボット制御装置、ロボット制御方法、およびロボット制御プログラムによれば、簡易な構成で、ロボットに現実の動体に似た動きを実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態によるロボット制御装置を利用したロボットシステムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態によるロボット制御装置に接続された複数台のカメラ装置が、3次元画像情報の生成対象とする動物を撮影している状態を示す図である。
図3】本発明の一実施形態によるロボット制御装置に通信接続された3次元情報処理装置が、現実の動体に関する3次元位置情報を取得する際の処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態によるロボット制御装置40が、ロボットに現実の動体と似た動きを実行させる際の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態によるロボット制御装置を利用したロボットシステムを用いて、ロボットに、現実の動体に似た動きを実行させる場合について、図面を用いて説明する。
【0013】
〈一実施形態によるロボットシステムの構成〉
図1は、一実施形態によるロボットシステム1の構成を示す全体図である。ロボットシステム1は、複数のカメラ装置10a、10b、10c、および10dと、3次元情報処理装置20と、ロボット30と、ロボット制御装置40とを備える。
【0014】
複数のカメラ装置10a、10b、10c、10dおよび3次元情報処理装置20は、例えば現実の動体がいる場所に設置され、ロボット30およびロボット制御装置40は、利用者がいる場所に設置されている。ロボット30とロボット制御装置40とは、例えば近距離無線通信を介して通信可能に接続されている。3次元情報処理装置20とロボット制御装置40とは、例えば広域通信ネットワーク50を介して通信可能に接続されている。
【0015】
カメラ装置10a、10b、10c、および10dは、複数の動体を異なる4方向から撮影するように設置される。図1においては、カメラ装置が4台の場合を示しているが、この数には限定されず、2台、3台、または5台以上であってもよい。
【0016】
3次元情報処理装置20は、例えば汎用のパーソナルコンピュータで構成され、第1CPU21と、撮像情報記憶部22と、第1通信部23とを有する。第1CPU21は、撮像情報取得部211と、3次元情報生成部212と、要求処理部213とを有する。
【0017】
撮像情報取得部211は、カメラ装置10a、10b、10c、および10dで撮影された撮像情報を取得する。3次元情報生成部212は、撮像情報取得部211が取得した情報から、被写体である複数の動体の3次元画像情報を生成する。
【0018】
3次元情報生成部212は、さらに、生成した3次元画像情報から、所定位置を原点とする3次元空間内における、複数の動体それぞれの複数の部位の位置の座標を、3次元位置情報として取得する。3次元情報生成部212は、取得した複数の動体それぞれの部位ごとの3次元位置情報を、撮像情報記憶部22に記憶させる。
【0019】
この3次元空間の原点は、撮影対象の動体内の1点、例えば頭部の1点でもよいし、カメラ装置10a、10b、10c、および10dによる撮影画角内の固定物、例えば背景の木、建物、または家具等の1点でもよい。
【0020】
要求処理部213は、後述するようにロボット制御装置40から所定の動体に関する3次元位置情報を要求する位置要求を取得すると、この要求に対応する動体の部位ごとの3次元位置情報を撮像情報記憶部22から取得して、ロボット制御装置40に送信する。
【0021】
第1通信部23は、広域通信ネットワーク50を介してロボット制御装置40との通信を行う機能を有する。
【0022】
ロボット30は、例えば猫の形状を有するぬいぐるみで構成され、ぬいぐるみ内の複数部分に設置された動作機構と、これらの動作機構を動作させるモータとを有する。具体的には、ロボット30は、首部分に設置された第1動作機構311および第1動作機構311を動作させる第1モータ312と、左前足部分に設置された第2動作機構321および第2動作機構321を動作させる第2モータ322と、右前足部分に設置された第3動作機構331および第3動作機構331を動作させる第3モータ332と、左後ろ足部分に設置された第4動作機構341および第4動作機構341を動作させる第4モータ342と、右後ろ足部分に設置された第5動作機構351および第5動作機構351を動作させる第5モータ352と、背中部分に設置された第6動作機構361および第6動作機構361を動作させる第6モータ362とを有する。
【0023】
またロボット30は、ロボット制御装置40との無線通信を行うロボット無線通信部37を有する。
【0024】
ロボット制御装置40は、例えばスマートデバイスまたはパーソナルコンピュータで構成され、ロボット情報記憶部41と、入出力部42と、第2通信部43と、第2CPU44と、第3通信部45とを有する。
【0025】
ロボット情報記憶部41は、制御対象とするロボット30の構成に関する情報として、設置されている動作機構ごとの設置位置情報および可動域情報等を予め記憶する。
【0026】
入出力部42は、例えばタッチパネルで構成され、利用者による操作情報を入力し、また第2CPU44による情報処理内容を表示する。
【0027】
第2通信部43は、広域通信ネットワーク50を介して3次元情報処理装置20との通信を行う機能を有する。
【0028】
第2CPU44は、対象動体決定部441と、3次元情報取得部442と、位置情報抽出部443と、動作制御部444とを有する。
【0029】
対象動体決定部441は、利用者の操作等に基づいて、ロボット30が動作を模倣する対象の動体を決定する。
【0030】
3次元情報取得部442は、対象動体決定部441が決定した動体に関する3次元位置情報を要求する位置要求を生成して3次元情報処理装置20に送信し、送信した位置要求に応答して3次元情報処理装置20から送信された動体の部位ごとの3次元位置情報を取得する。
【0031】
位置情報抽出部443は、ロボット情報記憶部41に記憶された情報に基づいて、3次元情報取得部442が取得した情報の中から、ロボット30の各動作機構の設置位置に対応する動体の部位の3次元位置情報を抽出する。
【0032】
動作制御部444は、位置情報抽出部443が抽出した部位の3次元位置情報に基づいて、ロボット30内の対応する位置の動作機構を動作させる。
【0033】
第3通信部45は、ロボット30との無線通信を行う機能を有する。
【0034】
〈一実施形態によるロボットシステムの動作〉
ロボットシステム1の動作例として、(1) 現実の動体に関する3次元位置情報を取得する処理、および、(2) ロボット30に現実の動体と似た動きを実行させる処理について説明する。本実施例では、動体が現実の猫であり、ロボット30が猫の形状をしたぬいぐるみである。
【0035】
(1) 現実の動体に関する3次元位置情報を取得する処理
図2は、ロボット制御装置40に接続されたカメラ装置10a、10b、10c、および10dが、3次元画像情報の生成対象の動体である猫Cおよび人間の子供Dを撮影している状態を示す図である。カメラ装置10a、10b、10c、および10dは、猫Cおよび人間の子供Dを、異なる方向から撮影している。以降の説明では、人間の子供Dを単に子供Dを呼ぶ。
【0036】
図3は、本実施形態によるロボットシステム1の3次元情報処理装置20が、現実の動体に関する3次元位置情報を取得する際の処理を示すフローチャートである。
【0037】
利用者からの開始指示操作により、カメラ装置10a、10b、10c、および10dによる撮影が開始されると(S1の「YES」)、3次元情報処理装置20の撮像情報取得部211が、カメラ装置10a、10b、10c、および10dで所定時刻に撮影された撮像情報を取得する(S2)。
【0038】
3次元情報生成部212は、撮像情報取得部211がカメラ装置10a、10b、10c、および10dから取得した撮像情報から例えばボリュメトリック技術を用いて、被写体である複数の動体の3次元画像情報を生成する(S3)。
【0039】
3次元情報生成部212は、さらに、生成した3次元画像情報から、所定位置を原点とする3次元空間内における、猫Cおよび子供Dそれぞれの複数の部位、例えば首、左前足、右前足、左後ろ足、右後ろ足、背中、顔、耳、尻尾の位置の座標を、3次元位置情報として取得する。ここで3次元情報生成部212は、生成した3次元画像情報からなるべく多くの部位の座標を取得しておくことで、後述するようにロボット30に現実の動体と似た動きを実行させる際に高い精度で動作を模倣させることができる。
【0040】
3次元情報生成部212は、取得した猫Cおよび子供Dそれぞれの部位ごとの3次元位置情報を、撮像情報記憶部22に記憶させる(S4)。3次元情報生成部212は、取得した猫Cおよび子供Dの3次元位置情報とともに、ステップS2で生成した3次元画像情報を撮像情報記憶部22に記憶させてもよい。
【0041】
撮像情報取得部211および3次元情報生成部212は、カメラ装置10a、10b、10c、および10dが猫Cおよび子供Dの撮影を継続している間、ステップS2~S4の処理を所定時間間隔で実行する(S5の「NO」→S2)。これにより、撮像情報記憶部22に、猫Cおよび子供Dを撮影した3次元画像情報が生成され、記憶される。その後、利用者からの終了指示操作により、(1) 現実の動体に関する3次元位置情報を取得する処理が終了する。
【0042】
(2) ロボット30に現実の動体と似た動きを実行させる処理
図4は、本実施形態によるロボット制御装置40が、ロボット30に現実の動体と似た動きを実行させる際の処理を示すフローチャートである。
【0043】
利用者は、まずロボット30の動作対象として選択可能な動体の情報を要求する操作を入出力部42から行うと、対象動体決定部441が動体情報要求を生成して3次元情報処理装置20に送信する。
【0044】
3次元情報処理装置20では、ロボット制御装置40から送信された動体情報要求を要求処理部213が取得し、この要求に応じて、撮像情報記憶部22に3次元位置情報が記憶されている動体の情報を、ロボット制御装置40に送信する。要求処理部213は、撮像情報記憶部22に3次元位置情報が記憶されている動体の情報として例えば、撮像情報記憶部22に記憶されている猫Cおよび子供Dの3次元画像情報をロボット制御装置40に送信する。
【0045】
また、3次元位置情報が記憶されている動体の名称を撮像情報記憶部22に予め登録しておくことにより、要求処理部213が、3次元位置情報が記憶されている動体の情報として、動体の名称を示すテキスト情報をロボット制御装置40に送信してもよい。または要求処理部213は、カメラ装置10a、10b、10c、および10dのいずれか1つが撮影した撮像情報をロボット制御装置40に送信してもよい。これらの情報のいずれかを送信するようにすることで、3次元画像情報を送信する場合よりも通信負荷を軽減させることができる。
【0046】
ロボット制御装置40では、3次元情報処理装置20から送信された猫Cおよび子供Dの3次元画像情報を対象動体決定部441が取得し、入出力部42に表示させる。利用者は、表示された猫Cおよび子供Dの3次元画像情報を視認し、ロボット30の動作対象として例えば猫Cの3次元画像情報を選択する操作を行う。
【0047】
利用者が猫Cの3次元画像情報を選択する操作を行うと、対象動体決定部441がロボット30の動作対象を猫Cに決定する(S11の「YES」)。3次元情報取得部442は、対象動体決定部441が決定した猫Cに関する3次元位置情報を要求する位置要求を生成して、3次元情報処理装置20に送信する(S12)。
【0048】
3次元情報処理装置20では、ロボット制御装置40から送信された位置要求を要求処理部213が取得し、この要求に応じて、撮像情報記憶部22に記憶されている猫Cの3次元画像情報における部位ごとの3次元位置情報を読み出してロボット制御装置40に送信する。ここで要求処理部213が読み出す猫Cの部位ごとの3次元位置情報は、3次元画像情報内において猫Cが動くことにより時間経過とともに変化する情報である。
【0049】
ロボット制御装置40では、3次元情報処理装置20から送信された猫Cの3次元位置情報を3次元情報取得部442が取得する(S13の「YES」)。猫Cの3次元位置情報は、例えば、猫Cの首、左前足、右前足、左後ろ足、右後ろ足、背中、顔、耳、尻尾の位置の座標を含む。
【0050】
位置情報抽出部443は、ロボット情報記憶部41に記憶された情報に基づいて、3次元情報取得部442が取得した情報の中から、ロボット30の各動作機構の設置位置に対応する部位、つまり動作可能な部位の3次元位置情報を抽出する(S14)。
【0051】
ロボット30の各動作機構の設置位置に対応する部位は、例えば、猫Cとロボット30との形状を照らし合わせて、体内における位置が近しいと判定される部位である。
【0052】
例えば、3次元情報取得部442が取得した情報の中には猫Cの顔、耳、尻尾の位置の座標が含まれるが、ロボット30には対応する部分に動作機構がなく、ロボット情報記憶部41にはこれらの部分に関する動作機構の情報が記憶されていない。この場合、位置情報抽出部443は、3次元情報取得部442が取得した猫Cの各部位の位置の座標のうち、ロボット情報記憶部41に対応する部分の動作機構がある部位の座標、つまり顔、耳、尻尾以外の部位の位置の座標を抽出する。
【0053】
動作制御部444は、位置情報抽出部443が抽出した部位の時間経過とともに変化する3次元位置情報に基づいて猫Cの部位ごとの動き情報を取得し、ロボット30内の対応する各部分の動作機構を動作させるための制御信号を生成し、第3通信部45からロボット30に無線送信させる(S15)。
【0054】
具体的には、動作制御部444は、ロボット30内の首部分の第1動作機構311を動作させるための第1制御信号、左前足部分の第2動作機構321を動作させるための第2制御信号、右前足部分の第3動作機構331を動作させるための第3制御信号、左後ろ足部分の第4動作機構341を動作させるための第4制御信号、右後ろ部分の第5動作機構351を動作させるための第5制御信号、背中部分の第6動作機構361を動作させるための第6制御信号を生成し、第3通信部45からロボット30に無線送信させる。
【0055】
ロボット30では、ロボット制御装置40から送信された制御信号をロボット無線通信部37から受信し、受信した制御信号に基づいて、各部分の動作機構が動作する(S15)。具体的には、送信された第1制御信号に基づいて第1モータ312が駆動され、第1動作機構311が動作する。同様にして、送信された第2制御信号に基づいて第2モータ322が駆動され、第2動作機構321が動作する。同様にして、送信された第3制御信号に基づいて第3モータ332が駆動され、第3動作機構331が動作する。同様にして、送信された第4制御信号に基づいて第4モータ342が駆動され、第4動作機構341が動作する。同様にして、送信された第5制御信号に基づいて第5モータ352が駆動され、第5動作機構351が動作する。同様にして、送信された第6制御信号に基づいて第6モータ362が駆動され、第6動作機構361が動作する。
【0056】
その後、所定の周期でステップS12からS15の処理を繰り返しても良いし、利用者からロボット30の動作を終了させる操作が行われるまで3次元情報処理装置20がロボット制御装置40に所定の周期で3次元位置情報を送信するようにしてもよい。
【0057】
このように処理が実行されることで、例えば猫Cが右前足を上げる動作をしたときに撮影された撮像情報から生成された猫Cの各部位の時間経過とともに変化する3次元位置情報に基づいて、ロボット制御装置が猫のぬいぐるみの第3動作機構331を動作させて、猫Cと同じように右前足が上に上がる。
【0058】
以上の実施形態によれば、簡易なシステム構成で、現実の動物等の動体に似た動きをロボットに実行させることができる。
【0059】
上述した実施形態では、ロボット制御装置40の対象動体決定部441がロボット30の動作対象とする動体を、利用者の操作により決定する場合を示している。しかしこれには限定されず、ロボット情報記憶部41がロボット30の形状情報を予め記憶し、対象動体決定部441が、ロボット情報記憶部41に記憶されたロボット30の形状情報に類似する動体を、ロボット30が動作を模倣する対象として決定してもよい。
【0060】
例えば、ロボット情報記憶部41がロボット30の形状情報として、動作部位が類似すると考えられる動体の分類情報である「四足歩行の動体」を予め記憶する。対象動体決定部441は、ロボット30の動作対象として選択可能な動体の情報として、猫Cおよび子供Dの3次元画像情報を3次元情報処理装置20から取得すると、この2つの動体のうち、ロボット情報記憶部41に記憶された分類情報「四足歩行の動体」に該当する猫Cがロボット30に形状が類似する動体であり、ロボット30の動作対象として決定する。また対象動体決定部441は、ロボット情報記憶部41に記憶された分類情報に該当する動体が複数あるときには、ロボット30の形状との類似度が高い動体を、ロボット30の動作対象として決定する。
【0061】
これ以外にも、対象動体決定部441は、撮影された被写体の中で動きが最も大きい動体、または予め設定された種類の動体(例えば「猫」)をロボット30の動作対象として選択するなど、様々な手法で選択対象を設定可能である。
【0062】
また上述した実施形態において、位置情報抽出部443は、3次元情報取得部442が取得した情報の中に、ロボット30の第1動作機構311~第6動作機構361のいずれかの設置位置と近い動作機能を有する部位の3次元位置情報がないと判定したときには、この動作機構の設置位置に関して予め設定された他の部位の3次元位置情報を、代替え情報として抽出してもよい。
【0063】
例えば、ロボット30の首部分に設置された第1動作機構311に対応する部位の3次元位置情報がないときには、「首」に関して予め代替え可能な部位として設定された「顔」または「背中」の3次元位置情報を、代替え情報として抽出してもよい。動作制御部444は、ロボット30の首部分の3次元位置情報の代替え情報として動体の顔の3次元位置情報を取得したときには、この代替え情報に基づいて首の動作を予測し、首部分の第1動作機構311を動作させるための第1制御信号を生成する。
【0064】
また位置情報抽出部443は、3次元情報取得部442が取得した情報の中に、ロボット30の第1動作機構311~第6動作機構361の設置位置には対応しない部位の情報であっても、いずれかの動作機構に関する補足情報として用いるために抽出してもよい。
【0065】
例えば、「顔」の3次元位置情報は第1動作機構311~第6動作機構361の設置位置には対応しないが、第1動作機構の設置位置である「首」の動作に関する補足情報として用いるために抽出する。これにより、ロボット30には顔を動かす動作機構はないが、猫が行った上を見上げる顔を模倣する際に、首を後ろに反らせる代替え動作を行わせることで、現実の猫と似た動きをロボット30に実行させることができる。
【0066】
上述したロボットシステム1は、(1) 現実の動体に関する3次元位置情報を取得する処理を予め実行して3次元情報処理装置に様々な動体の3次元位置情報を記憶しておき、利用者がロボットを動作させるタイミングで、記憶した情報を用いて(2) ロボット30に現実の動体と似た動きを実行させる処理を実行してもよい。
【0067】
また、(1) 現実の動体に関する3次元位置情報を取得する処理に継続して(2) ロボット30に現実の動体と似た動きを実行させる処理を実行することで、リアルタイムに近い状態で、動体の動きをロボットに模倣させるようにしてもよい。この場合、ロボット制御装置側で予め対象動体を決定して3次元情報処理装置に送信し、3次元情報処理装置はカメラ装置で撮影された被写体の中で対象動体の撮像情報のみを抽出して3次元位置情報を生成してもよい。
【0068】
上述したロボット制御装置は、制御対象のロボットに内蔵してもよい。また、3次元情報処理装置の機能とロボット制御装置の機能とを同一の装置に搭載してもよい。
【0069】
また、上述したロボット制御装置40の機能構成をプログラム化してコンピュータに組み込むことにより、当該コンピュータをロボット制御装置40として機能させるロボット制御プログラムを構築することも可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 ロボットシステム
10a、10b、10c カメラ装置
20 3次元情報処理装置
21 第1CPU
22 撮像情報記憶部
23 第1通信部
30 ロボット
40 ロボット制御装置
41 ロボット情報記憶部
42 入出力部
43 第2通信部
44 第2CPU
45 第3通信部
50 広域通信ネットワーク
211 撮像情報取得部
212 3次元情報生成部
213 要求処理部
311 第1動作機構
312 第1モータ
321 第2動作機構
322 第2モータ
331 第3動作機構
332 第3モータ
341 第4動作機構
342 第4モータ
351 第5動作機構
352 第5モータ
361 第6動作機構
362 第6モータ
441 対象動体決定部
442 3次元情報取得部
443 位置情報抽出部
444 動作制御部
図1
図2
図3
図4