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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162409
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】手乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/48 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A47K10/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077893
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】今井 幸道
(57)【要約】
【課題】使用者への空気の吹き返しを抑制でき、且つ手挿入部の内底面に流入した水を効果的に排水させることができる手乾燥装置を得ること。
【解決手段】手乾燥装置100は、使用者の挿入される手挿入部2が形成された本体部1と、手挿入部2に向かって空気流を吹き出すノズルと、を備えている。本体部1は、前壁部10aと、後壁部11aと、前壁部10aと後壁部11aとを接続する底壁部12と、を有し、前壁部10a、後壁部11a及び底壁部12とで囲まれた凹状の空間が手挿入部2とされる。底壁部12には、使用者の手から吹き飛ばされて落ちた水の流路となる凹状の溝部13が形成されている。溝部13は、前壁部10a側に形成された第1側壁面13aと、後壁部11a側に形成された第2側壁面13bと、を有し、第1側壁面13aの上端部が第2側壁面13bの上端部よりも本体部1の上面側に位置するように形成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の濡れた手が挿入される凹状の手挿入部が上面を開口して形成された本体部と、
前記手挿入部に向かって空気流を吹き出すノズルと、を備え、
前記本体部は、使用者に対して手前側となる前壁部と、該前壁部と間隔をあけて対向する後壁部と、前記前壁部と前記後壁部とを接続する底壁部と、を有し、前記前壁部、前記後壁部及び前記底壁部とで囲まれた凹状の空間が前記手挿入部とされており、
前記底壁部には、前記空気流によって使用者の手から吹き飛ばされて落ちた水の流路となる凹状の溝部が形成されており、
前記溝部は、前記前壁部側に形成された第1側壁面と、前記第1側壁面と対向し、前記後壁部側に形成された第2側壁面と、を有し、前記第1側壁面の上端部が前記第2側壁面の上端部よりも前記本体部の上面側に位置するように形成されていることを特徴とする手乾燥装置。
【請求項2】
前記ノズルは、
前記前壁部から前記手挿入部に向かって空気流を吹き出す第1ノズルと、
前記後壁部から前記手挿入部に向かって空気流を吹き出す第2ノズルと、を有しており、
前記第1ノズルの風量は、前記第2ノズルの風量よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の手乾燥装置。
【請求項3】
前記溝部は、前記流路が直線状となるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の手乾燥装置。
【請求項4】
前記溝部は、前記流路に沿った両端部が、該流路の中間部に対して前記前壁部に寄った位置となるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の手乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗浄後の濡れた手に空気流を吹き付けて乾燥させる手乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば化粧室、洗面所、手洗い場等に設置され、洗浄後の濡れた手に付着している水を吹き飛ばして手を乾燥させる手乾燥装置が知られている。例えば特許文献1では、外郭を構成するハウジングに、使用者の手が挿入される開口凹部と、開口凹部に向かって空気流を吹き出すノズルとが形成された手乾燥装置が開示されている。ノズルは、開口凹部を形成する正面側部材と背面側部材とに、それぞれ設けられている。正面側部材に設けられたノズルから吹き出す風量は、手のひらに付着した水を効率よく吹き飛ばすために、背面側部材に設けられたノズルから吹き出す風量よりも大きな風量とされている。そのため、正面側部材に設けられたノズルから吹き出された空気が、背面側部材の背面側壁に当たり開口凹部の底壁から正面側部材の正面側壁を通って開口凹部から流出してしまい、使用者側への空気の吹き返しが問題となる。そこで、この手乾燥装置では、正面側壁又は背面側壁に、風向規制手段を設けており、正面側部材に設けられたノズルから吹き出された空気が、底壁に沿って流れた後に正面側壁と背面側壁との間を横切るように流れる旋回流を形成することで、使用者への空気の吹き返しを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5093763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の手乾燥装置では、正面側壁と背面側壁との間を横切るように旋回流が流れるため、開口凹部に挿入した使用者の手によって流れが遮られて旋回流の勢いが弱まる。手乾燥装置では、ノズルから吹き出された空気流によって、底壁に落ちた水を排水溝へ流動させるが、勢いが弱い旋回流では底壁の水を効果的に排水溝へ流動させることができないおそれがある。底壁に微量の水滴が溜まった状態が維持されると、衛生状態が問題となる。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、使用者への空気の吹き返しを抑制でき、且つ手挿入部の内底面に流入した水を効果的に排水させることができる手乾燥装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる手乾燥装置は、使用者の濡れた手が挿入される凹状の手挿入部が上面を開口して形成された本体部と、手挿入部に向かって空気流を吹き出すノズルと、を備える。本体部は、使用者に対して手前側となる前壁部と、該前壁部と間隔をあけて対向する後壁部と、前壁部と後壁部とを接続する底壁部と、を有し、前壁部、後壁部及び底壁部とで囲まれた凹状の空間が手挿入部とされている。底壁部には、空気流によって使用者の手から吹き飛ばされて落ちた水の流路となる凹状の溝部が形成されており、溝部は、前壁部側に形成された第1側壁面と、該第1側壁面と対向し、後壁部側に形成された第2側壁面と、を有し、第1側壁面の上端部が第2側壁面の上端部よりも本体部の上面側に位置するように形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる手乾燥装置によれば、使用者への空気の吹き返しを抑制でき、且つ手挿入部の内底面に流入した水を効果的に排水させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態にかかる手乾燥装置の斜視図
図2】実施の形態にかかる手乾燥装置の側面図
図3】実施の形態にかかる手乾燥装置の平面図
図4】実施の形態にかかる手乾燥装置であって、手挿入部の縦断面図
図5】実施の形態にかかる手乾燥装置であって、吸気ダクト及び排気ダクトを設けた部分における縦断面図
図6】実施の形態にかかる手乾燥装置であって、排水路を設けた部分における縦断面図
図7】実施の形態にかかる手乾燥装置であって、ノズルから吹き出された空気の流れを説明した手挿入部の縦断面図
図8】実施の形態にかかる手乾燥装置であって、第1ノズルから吹き出された空気の流れを説明した平面図
図9】実施の形態にかかる手乾燥装置であって、溝部の変形例を示した平面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態にかかる手乾燥装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略又は簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ及び配置等は、本開示の範囲内で適宜変更することができる。
【0010】
実施の形態.
図1は、実施の形態にかかる手乾燥装置の斜視図である。図2は、実施の形態にかかる手乾燥装置の側面図である。図3は、実施の形態にかかる手乾燥装置の平面図である。図4は、実施の形態にかかる手乾燥装置であって、手挿入部の縦断面図である。図5は、実施の形態にかかる手乾燥装置であって、吸気ダクト及び排気ダクトを設けた部分における縦断面図である。図6は、実施の形態にかかる手乾燥装置であって、排水路を設けた部分における縦断面図である。本実施の形態においては、手乾燥装置100の高さ方向を上下方向とし、幅方向を左右方向とする。左右方向は、上下方向に垂直な方向である。
【0011】
本実施の形態にかかる手乾燥装置100は、例えば化粧室、洗面所、手洗い場等に設置され、洗浄後の濡れた手に付着している水を空気流により吹き飛ばして手を乾燥させるものである。手乾燥装置100は、図1図5に示すように、使用者の濡れた手が挿入される凹状の手挿入部2が上面を開口して形成された本体部1と、手挿入部2に向かって空気流を吹き出すノズル3として第1ノズル3a及び第2ノズル3bと、を備えている。
【0012】
本体部1は、一例として略直方体形状とされている。図5に示すように、本体部1は、手挿入部2が上部に形成され、手挿入部2の下方に高圧空気を生成する空気流発生装置4と、空気流発生装置4の運転を制御する制御手段(図示省略)とが、内蔵されている。また、図1及び図2に示すように、本体部1の下端部には、手挿入部2で吹き飛ばされた水が流入される水受け部5が着脱自在に取り付けられている。
【0013】
本体部1は、上下方向の略中央位置から上方において、使用者に対して手前側に設けられた前面部10と、該前面部10と間隔をあけて対向する後面部11と、を有している。前面部10の内壁面である前壁部10aと、後面部11の内壁面である後壁部11aとは、使用者の手を挿入できる程度の間隔をあけて対向している。前壁部10aの下端部と後壁部11aの下端部とは、底壁部12で接続されている。前壁部10a及び後壁部11aと底壁部12とが接続される部分は、水及び空気の流れを考慮してR状とされている。前壁部10a、後壁部11a及び底壁部12で凹状に囲まれた空間が、使用者の濡れた手が挿入される手挿入部2とされている。手挿入部2は、使用者の手を挿入できる程度の深さで形成されている。
【0014】
手挿入部2は、ノズル3から吹き出された空気流によって、使用者の濡れた手を乾燥させる部分である。使用者は、手のひらを本体部1の前壁部10aに向け、手の甲を本体部1の後壁部11aに向けた姿勢で、手を本体部1の上方から挿入することができる。また、手挿入部2は、左右方向における両側面が開放されている。すなわち、手挿入部2は、上部及び左右方向の両側面が開口しており、使用者が手を上部及び左右方向から自由に挿入し又は引き抜くことができるように形成されている。なお、手挿入部2は、左右方向における両側面が開口している構成に限定されず、当該両側面の一部又は全部を塞がれた構成でもよい。
【0015】
図5に示すように、前壁部10aの上方部分は、手挿入部2に向かって突き出しており、一部が底壁部12側に向かって傾く傾斜面とされている。この前壁部10aの傾斜面に第1ノズル3aの出口が設けられている。また、後壁部11aの上方部分は、手挿入部2に向かって突き出しており、一部が底壁部12側に向かって傾く傾斜面とされている。この後壁部11aの傾斜面に第2ノズル3bの出口が設けられている。また、前面部10又は後面部11には、手挿入部2に挿入された使用者の手を検知する手検知センサ(図示省略)が設けられている。手検知センサは、赤外線を利用したものでもよいし、静電容量を検知して手の有無を判断するものでもよい。制御手段は、手検知センサの検知に基づき空気流発生装置4を始動又は停止させることで、第1ノズル3a及び第2ノズル3bから空気流を吹き出し又は停止させる。なお、手検知センサは、前面部10又は後面部11に設けられる構成に限定されず、手挿入部2に挿入された使用者の手を検知することができれば、他の箇所に設けてもよい。
【0016】
また、図3図5に示すように、底壁部12には、空気流によって使用者の手から吹き飛ばされて落ちた水の流路となる凹状の溝部13が形成されている。溝部13は、流路が直線状となるように、本体部1の左右方向に沿って形成されている。溝部13は、前壁部10a側に形成された第1側壁面13aと、該第1側壁面13aと対向し、後壁部11a側に形成された第2側壁面13bと、を有している。図4及び図5に示すように、第1側壁面13aの上端部は、第2側壁面13bの上端部よりも本体部1の上面側に位置するように形成されている。すなわち、底壁部12は、溝部13の付近において、溝部13よりも前壁部10a側にある床面の高さが、溝部13よりも後壁部11a側にある床面の高さよりも高くなるように形成されている。
【0017】
また、図3に示すように、溝部13には、溝部13に流入した水を排水するための排水孔14が形成されている。排水孔14は、一例として溝部13の流路の両端となる位置に設けられている。図6に示すように、排水孔14は、本体部1の内部に設けられた排水路15を介して本体部1の下方に設けられた水受け部5とつながっている。なお、排水孔14の形状、位置及び個数は、図示した構成に限定されない。
【0018】
図5に示すように、本体部1の下部には、空気流発生装置4に供給される空気を周囲から本体部1の内部に吸い込む開口部である吸気口16が設けられている。吸気口16には、空気中の埃、塵及び浮遊菌といった不純物を捕集するために、吸気フィルタ(図示省略)が着脱可能に取り付けられている。本体部1の内部には、吸気口16と空気流発生装置4とをつなぐ吸気ダクト17と、空気流発生装置4とノズル3とをつなぐ排気ダクト18と、が設けられている。排気ダクト18は、前面部10に設けられた前面排気ダクト18aと、後面部11に設けられた後面排気ダクト18bと、に分岐して形成されている。排気ダクト18には、空気流発生装置4で生成され、排気された高圧空気流が流れる。すなわち、本体部1の内部には、吸気口16から吸気ダクト17を通り、空気流発生装置4を介して排気ダクト18を通りノズル3までの連通した風路が形成されている。なお、吸気口16の位置は、図示した本体部1の下部に限定されず、その他の部分でもよい。
【0019】
図5に示すように、ノズル3は、前壁部10aから手挿入部2に向かって空気流を吹き出す第1ノズル3aと、後壁部11aから手挿入部2に向かって空気流を吹き出す第2ノズル3bと、を有している。第1ノズル3aは、前面部10の前壁部10aであって、上方部分に形成された傾斜面に設けられており、底壁部12に向かって斜め下向きに開口している。第2ノズル3bは、後面部11の後壁部11aであって、上方部分に形成された傾斜面に設けられており、底壁部12に向かって斜め下向きに開口している。第1ノズル3a及び第2ノズル3bは、手挿入部2の上部の開口に近い領域に設けられている。図1に示すように、第1ノズル3a及び第2ノズル3bは、それぞれ複数の小孔が手乾燥装置100の左右方向に沿って1列に直線状に形成された構成である。小孔は、一例としてスリット形状、円形状等である。また、小孔は、1列に限定されず、上下方向に複数列としてもよい。
【0020】
図5に示すように、第1ノズル3aと第2ノズル3bとは、手挿入部2を挟んで互いに対向して配置されている。第1ノズル3aは、空気流発生装置4で生成され、前面部10の前面排気ダクト18aを通過した高圧空気を高速気流に変換し、該高速気流を作動気流として手挿入部2に噴射させる。一方、第2ノズル3bは、空気流発生装置4で生成され、後面部11の後面排気ダクト18bを通過した高圧空気を高速気流に変換し、該高速気流を作動気流として手挿入部2に噴射させる。作動気流は、第1ノズル3a及び第2ノズル3bから手挿入部2の対面方向に水平方向よりやや下向きに傾斜した角度で噴射され、使用者が手挿入部2に挿入した手首、手のひら及び手の甲に付着した水を手挿入部2の下方に吹き飛ばす。
【0021】
また、手乾燥装置100は、前壁部10aに設けた第1ノズル3aの風量を大きくし、後壁部11aに設けた第2ノズル3bの風量を小さくしている。具体的には、第1ノズル3aの風量が第2ノズル3bの風量よりも大きくなるように、第1ノズル3aの開口面積を第2ノズル3bの開口面積よりも大きくしている。一般に、手の甲側よりも手のひら側が乾燥し難いため、手乾燥装置100では手のひら側により多くの空気流が当たるように構成されている。これにより、手乾燥装置100は、手のひら側により多くの空気流を当てることができ、手を素早く乾燥させることができる。
【0022】
なお、第1ノズル3a及び第2ノズル3bの位置、個数、及び向き等は、上記構成に限定されず、本体部1の形状及び大きさ等に応じて適宜変更して設けることができる。また、手乾燥装置100は、図示したように、前壁部10aに第1ノズル3aが設けられ、後壁部11aに第2ノズル3bが設けられている構成に限定されず、第2ノズル3bを省略し、前壁部10aにのみ第1ノズル3aを設けた構成でもよい。
【0023】
空気流発生装置4は、駆動源であるモータと、モータによって回転するターボファンとを備え、高圧化された空気流である高圧空気流を発生させる。空気流発生装置4は、制御手段によって動作が制御される。空気流発生装置4は、本体部1の内部に設けられた吸気ダクト17と、排気ダクト18との間に設けられている。空気流発生装置4は、吸込側が吸気ダクト17に対向され、排気側が排気ダクト18に対向されて設けられている。
【0024】
次に、手乾燥装置100が動作したときの空気の流れについて説明する。図7は、実施の形態にかかる手乾燥装置であって、ノズルから吹き出された空気の流れを説明した手挿入部の縦断面図である。図8は、実施の形態にかかる手乾燥装置であって、第1ノズルから吹き出された空気の流れを説明した平面図である。なお、図7及び図8に示される矢印Xは、第1ノズル3a及び第2ノズル3bから吹き出された空気流を示している。手乾燥装置100では、手挿入部2に使用者の濡れた手が挿入されると、手検知センサが手の挿入を検知し、制御手段が空気流発生装置4を始動させる。空気流発生装置4が始動すると、手乾燥装置100の外部の空気が吸気口16から本体部1の内部に吸い込まれ、吸気ダクト17を通って空気流発生装置4の吸込側から吸い込まれる。
【0025】
空気流発生装置4に吸い込まれた空気は、空気流発生装置4で高圧空気に生成され、排気ダクト18へ排気される。排気ダクト18に排気された高圧空気は、排気ダクト18を通ってそれぞれの第1ノズル3a及び第2ノズル3bへ至り、図7に示すように、第1ノズル3a及び第2ノズル3bで高圧空気から高速気流に変換されて手挿入部2へ吹き出される。第1ノズル3a及び第2ノズル3bは、本体部1の左右方向に直線状に設けられている。そのため、第1ノズル3a及び第2ノズル3bから吹き出される高速気流は、左右方向に延びた線状のエアカーテン状に吹き出される。よって、手挿入部2に挿入されている手を横断するように手の幅全体に高速気流が当たるので、使用者が手挿入部2から手をゆっくりと引き抜く動作を行うことによって手全体の表面に付着している水が吹き飛ばされて除去される。
【0026】
次に、手乾燥装置100が動作したときの手に付着した水の流れについて説明する。手挿入部2から手が引き抜かれると、手検知センサによって手の引き抜きが検知され、制御手段が空気流発生装置4を停止させる。手挿入部2に挿入された濡れた手から吹き飛ばされた水は、手挿入部2の中に飛ばされ、前壁部10a及び後壁部11aに当たって底壁部12へと流下する。そして、底壁部12へ流下した水は、底壁部12に形成された溝部13に流入して溝部13の流路を通り、排水孔14から排水路15を通って流下して、本体部1の下方の水受け部5へ集められる。
【0027】
次に、手乾燥装置100が動作したときの第1ノズル3a及び第2ノズル3bから吹き出された空気の流れについて説明する。手挿入部2に使用者の濡れた手が挿入されることで第1ノズル3a及び第2ノズル3bから高速気流が吹き出されて手に当たる。このとき、手乾燥装置100は、手の甲側に当たる第2ノズル3bの風量が第1ノズル3aの風量に対して小さい。このため、使用者が手をゆっくりと引き抜く動作を行うことによって、手全体の表面に付着している水が吹き飛ばされる際に、手の甲側に当たる空気流が小さくなり、手挿入部2の上部に向かって吹き返す作用を小さくでき、使用者への吹き返しを抑制することができる。なお、手の甲側に当たる第2ノズル3bから吹き出される風量を大きくしてしまうと、手の甲側に当たる空気流が手挿入部2の上部に向かって強く吹き返すため、使用者への吹き返しが大きくなり、使用者へ不快感を与えることになる。第2ノズル3bから吹き出される風量を小さくすることで、手の甲側に水滴が残りやすくなるが、使用者は主に手のひら側に残る水滴を気にするため、乾燥感への影響は少ない。
【0028】
また、手のひら側に当たる第1ノズル3aの風量が第2ノズル3bの風量よりも大きいため、手のひら側により多くの空気流が当たり、手を素早く乾燥させることができる。しかしながら、第1ノズル3aから吹き出された空気流は、第2ノズル3bから吹き出された空気流を巻き込みながら、後壁部11aから底壁部12へと流れて前壁部10aに進行するため、手を引き抜く際に使用者に向けて吹き返す風となり、使用者へ不快感を与えるおそれがある。
【0029】
そこで、本実施の形態にかかる手乾燥装置100では、上記したように、底壁部12において、空気流によって使用者の手から吹き飛ばされて落ちた水の流路となる凹状の溝部13が形成されている。溝部13は、前壁部10a側に形成された第1側壁面13aの上端部が、後壁部11a側に形成された第2側壁面13bの上端部よりも本体部1の上面側に位置するように構成されている。これにより、図7及び図8に示すように、後壁部11aから底壁部12へと流れた空気流は、溝部13の第1側壁面13aに突き当たって勢いが弱まり、前壁部10aへの進行が抑制される。よって、手乾燥装置100では、第1ノズル3aの風量を第2ノズル3bの風量よりも大きくしても、手を引き抜く際に使用者への空気の吹き返しを抑制できるので、使用者へ不快感を抑制することができる。
【0030】
また、手挿入部2に挿入された手から吹き飛ばされた水は、第1ノズル3aの風量が第2ノズル3bの風量よりも大きいことによって、後面部11に向かって飛ばされて後壁部11aに当たる。後壁部11aに当たった水は、第1ノズル3aからの空気流によって押されて後壁部11aに流下し、底壁部12から第1側壁面13aに突き当たって溝部13に集められる。このとき、第1側壁面13aに突き当たった空気流は、進行方向を変えて溝部13の流路に沿って流れる。このため、溝部13に集められた水は、流路を流れる空気流によって排水孔14へと導かれる。よって、本実施の形態にかかる手乾燥装置100では、底壁部12に残る水滴を減らすことができ、手挿入部2の衛生状態を保つことができる。
【0031】
図9は、実施の形態にかかる手乾燥装置であって、溝部の変形例を示した平面図である。なお、図9に示される矢印Xは、第1ノズル3aから吹き出された空気流を示している。図9に示した溝部13は、流路に沿った両端部が、該流路の中間部Pに対して前壁部10aに寄った位置となるように形成されている。具体的には、溝部13は、手乾燥装置100を平面的に見て、V字状とされており、V字の頂部が中間部Pとなるように形成されている。中間部Pは、一例として、前壁部10aと後壁部11aとの間の略中央に位置している。このように、溝部13の流路を空気流の進行方向に対して傾斜させて形成することで、溝部13の第1側壁面13aに突き当たった空気流が溝部13の流路に沿って流れやすくなるため、該空気流の勢いの低下を抑制できる。よって、溝部13に集められた水を効果的に排水孔14へと導くことができる。なお、溝部13の形状は、図示した直線状又はV字状に限定されず、例えばU字状等でもよいし、その他の形状でもよい。
【0032】
以上のように、本実施の形態にかかる手乾燥装置100は、使用者の濡れた手が挿入される凹状の手挿入部2が上面を開口して形成された本体部1と、手挿入部2に向かって空気流を吹き出すノズル3と、を備えている。本体部1は、使用者に対して手前側となる前壁部10aと、該前壁部10aと間隔をあけて対向する後壁部11aと、前壁部10aと後壁部11aとを接続する底壁部12と、を有し、前壁部10a、後壁部11a及び底壁部12とで囲まれた凹状の空間が手挿入部2とされている。底壁部12には、空気流によって使用者の手から吹き飛ばされて落ちた水の流路となる凹状の溝部13が形成されている。溝部13は、前壁部10a側に形成された第1側壁面13aと、該第1側壁面13aと対向し、後壁部11a側に形成された第2側壁面13bと、を有し、第1側壁面13aの上端部が第2側壁面13bの上端部よりも本体部1の上面側に位置するように形成されている。
【0033】
これにより、ノズル3から吹き出されて後壁部11aから底壁部12に流れた空気流は、溝部13の第1側壁面13aに突き当たって勢いが弱まり、前壁部10aへの進行が抑制される。よって、本実施の形態にかかる手乾燥装置100は、ノズル3から吹き出された空気流による吹き返しを抑制できるので、使用者へ不快感を抑制することができる。また、溝部13に集められた水は、溝部13の第1側壁面13aに突き当たり進行方向を変えて溝部13の流路に沿って流れる空気流によって、排水孔14へと導かれる。よって、底壁部12に残る水滴を減らすことができ、手挿入部2の衛生状態を保つことができる。
【0034】
また、本実施の形態にかかる手乾燥装置100のノズル3は、前壁部10aから手挿入部2に向かって空気流を吹き出す第1ノズル3aと、後壁部11aから手挿入部2に向かって空気流を吹き出す第2ノズル3bと、を有している。第1ノズル3aの風量は、第2ノズル3bの風量よりも大きい。よって、手乾燥装置100は、手全体の表面に付着している水が空気流によって吹き飛ばされる際に、手の甲側に当たる第2ノズル3bからの空気流を小さくしているため、手挿入部2の上部に向かって吹き返す作用を小さくすることができ、使用者への吹き返しを抑制することができる。また、手のひら側に多くの空気流が当たるので、手を素早く乾燥させることができる。
【0035】
また、本実施の形態にかかる手乾燥装置100の溝部13は、流路が直線状となるように形成されている。これにより、空気流が突き当たる第1側壁面13aの範囲が広がるので、空気流による吹き返しを効果的に抑制できる。
【0036】
また、本実施の形態にかかる手乾燥装置100の溝部13は、流路に沿った両端部が、該流路の中間部Pに対して前壁部10aに寄った位置となるように形成することもできる。これにより、溝部13の第1側壁面13aに突き当たった空気流が溝部13に沿って流れやすくなるため、該空気流の勢いの低下を抑制できる。よって、溝部13に集められた水を効果的に排水孔14へと導くことができる。
【0037】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 本体部、2 手挿入部、3 ノズル、3a 第1ノズル、3b 第2ノズル、4 空気流発生装置、5 水受け部、10 前面部、10a 前壁部、11 後面部、11a 後壁部、12 底壁部、13 溝部、13a 第1側壁面、13b 第2側壁面、14 排水孔、15 排水路、16 吸気口、17 吸気ダクト、18 排気ダクト、18a 前面排気ダクト、18b 後面排気ダクト、100 手乾燥装置、P 中間部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9