(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162410
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】電子機器、及び電子機器の制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/324 20190101AFI20241114BHJP
G06F 1/04 20060101ALI20241114BHJP
G06F 1/3209 20190101ALI20241114BHJP
G06F 13/42 20060101ALI20241114BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G06F1/324
G06F1/04 570
G06F1/3209
G06F13/42 350B
B41J29/38 501
B41J29/38 104
B41J29/38 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077894
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】小泉 純平
(72)【発明者】
【氏名】小澤 智裕
【テーマコード(参考)】
2C061
5B011
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061BB02
2C061HJ08
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
2C061HV01
2C061HV26
5B011EA10
5B011EB08
5B011KK11
5B011LL13
(57)【要約】
【課題】大量のデータを受信した際に電子機器が正常に動作しなくなることを抑制する。
【解決手段】本発明の一態様にかかる電子機器1は、電子機器1を制御するためのメイン制御部10と、メイン制御部10と接続されたネットワーク制御部20と、ネットワーク制御部20と接続された無線通信部30と、を備える。ネットワーク制御部20は無線通信部30からデータを取得可能に構成されている。メイン制御部10は、ネットワーク制御部20の処理部21の動作クロックを制御可能に構成されている。ネットワーク制御部20の処理部21の使用率が所定の使用率よりも高くなった場合、ネットワーク制御部20は、無線通信部30からのデータの取得を停止し、メイン制御部10は、ネットワーク制御部20がデータの取得を停止した後、ネットワーク制御部20の処理部21の動作クロックを高くする処理を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を制御するためのメイン制御部と、
前記メイン制御部と接続されたネットワーク制御部と、
前記ネットワーク制御部と接続された無線通信部と、を備え、
前記ネットワーク制御部は前記無線通信部からデータを取得可能に構成されており、
前記メイン制御部は、前記ネットワーク制御部の処理部の動作クロックを制御可能に構成されており、
前記ネットワーク制御部の前記処理部の使用率が所定の使用率よりも高くなった場合、前記ネットワーク制御部は、前記無線通信部からのデータの取得を停止し、前記メイン制御部は、前記ネットワーク制御部が前記データの取得を停止した後、前記ネットワーク制御部の前記処理部の動作クロックを高くする処理を行う、
電子機器。
【請求項2】
前記ネットワーク制御部は、前記処理部の動作クロックが高くなった後に、前記無線通信部からのデータの取得を再開する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記メイン制御部は、前記ネットワーク制御部の前記処理部の動作クロックが通常状態である通常モードと、前記通常モードよりも動作クロックが低い省電力モードに設定可能であり、
前記ネットワーク制御部は、前記省電力モードの状態において、前記無線通信部から取得するデータ量の増加に起因して前記処理部の使用率が所定の使用率よりも高くなった場合、前記無線通信部からのデータの取得を停止し、
前記メイン制御部は、前記ネットワーク制御部の前記処理部の動作クロックを高くして、前記処理部の動作モードを前記省電力モードから前記通常モードに切り替える、
請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記ネットワーク制御部は、USB(Universal Serial Bus)通信規格の第1のインターフェースを介して前記無線通信部と接続されており、
前記ネットワーク制御部は、前記第1のインターフェースを制御することで、前記無線通信部からのデータの取得を停止する、
請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記メイン制御部は、USB(Universal Serial Bus)通信規格の第2のインターフェースを備えており、
前記ネットワーク制御部が前記第1のインターフェースを制御することで前記無線通信部からのデータの取得を停止した際、前記メイン制御部は、前記第2のインターフェースの動作を停止しないように構成されている、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記メイン制御部および前記ネットワーク制御部は同一の半導体チップに搭載されており、
前記無線通信部は、前記半導体チップと異なる無線用チップに搭載されている、
請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項7】
前記メイン制御部および前記ネットワーク制御部が各々異なるオペレーションシステムで動作する、請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項8】
電子機器を制御するためのメイン制御部と、
前記メイン制御部と接続されたネットワーク制御部と、
前記ネットワーク制御部と接続された無線通信部と、を備える電子機器の制御方法であって、
前記ネットワーク制御部は、前記無線通信部からデータを取得した際に、前記ネットワーク制御部の処理部の使用率が所定の使用率よりも高くなった場合、前記無線通信部からのデータの取得を停止し、
前記メイン制御部は、前記ネットワーク制御部が前記データの取得を停止した後、前記ネットワーク制御部の前記処理部の動作クロックを高くする処理を行う、
電子機器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、及び電子機器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信技術の発達により、無線通信によって取得したデータを用いて所定の処理を実施する電子機器が広く普及している。特許文献1には、無線通信によって取得したデータを用いて印刷を実行する印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線通信によってデータを取得する電子機器では、大量のデータを受信した際に電子機器が正常に動作しなくなる場合がある。このような場合、電子機器の利便性が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様にかかる電子機器は、電子機器を制御するためのメイン制御部と、前記メイン制御部と接続されたネットワーク制御部と、前記ネットワーク制御部と接続された無線通信部と、を備える。前記ネットワーク制御部は前記無線通信部からデータを取得可能に構成されており、前記メイン制御部は、前記ネットワーク制御部の処理部の動作クロックを制御可能に構成されており、前記ネットワーク制御部の前記処理部の使用率が所定の使用率よりも高くなった場合、前記ネットワーク制御部は、前記無線通信部からのデータの取得を停止し、前記メイン制御部は、前記ネットワーク制御部が前記データの取得を停止した後、前記ネットワーク制御部の前記処理部の動作クロックを高くする処理を行う。
【0006】
本発明の一態様にかかる電子機器の制御方法は、電子機器を制御するためのメイン制御部と、前記メイン制御部と接続されたネットワーク制御部と、前記ネットワーク制御部と接続された無線通信部と、を備える電子機器の制御方法であって、前記ネットワーク制御部は、前記無線通信部からデータを取得した際に、前記ネットワーク制御部の処理部の使用率が所定の使用率よりも高くなった場合、前記無線通信部からのデータの取得を停止し、前記メイン制御部は、前記ネットワーク制御部が前記データの取得を停止した後、前記ネットワーク制御部の前記処理部の動作クロックを高くする処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態にかかる電子機器の構成例を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態にかかる電子機器の詳細を説明するためのブロック図である。
【
図3】実施の形態にかかる電子機器の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態にかかる電子機器の構成例を示すブロック図である。
図1では、電子機器がプリンターである場合の構成例を示している。なお、本実施の形態において電子機器はプリンター以外であってもよい。例えば、電子機器は、スキャナー、ファクシミリ装置、コピー機、または複合機であってもよい。また、電子機器は、プロジェクター、ウェアラブル機器、生体情報測定機器、ロボット、映像機器、携帯情報端末、または物理量計測機器等であってもよい。
【0009】
図1に示すように、電子機器1は、制御部100、無線通信部30、表示部50、操作部60、印刷部70、及び記憶部80を備える。また、電子機器1は、外部機器40が接続可能に構成されている。
【0010】
制御部100は、電子機器1の各部の制御を行う。具体的には、電子機器1は、無線通信部30、表示部50、操作部60、印刷部70、及び記憶部80を含む電子機器1の各部の制御を行う。制御部100は、例えば、プロセッサー又はコントローラーを用いて構成できる。例えば制御部100は、メインCPU、サブCPUなどの複数のCPUを含む。メインCPUは、電子機器1の各部の制御や全体的な制御を行う。サブCPUは、例えば無線通信部30の通信制御を行うCPUである。また、電子機器1がプリンターである場合、印刷についての各種の処理を行うCPUが更に設けられてもよい。
【0011】
本実施の形態において制御部100は、下記のハードウェアによって構成できる。ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路の少なくとも一方を含むことができる。例えば、ハードウェアは、回路基板に実装された1又は複数の回路装置や、1又は複数の回路素子によって構成できる。回路装置は例えば集積回路装置である。回路素子は例えば抵抗、キャパシター等である。
【0012】
また制御部100は、下記のプロセッサーによって実現できる。例えば制御部100は、情報を記憶するメモリーと、メモリーに記憶された情報に基づいて動作するプロセッサーと、を含む。情報は、例えばプログラムと各種のデータ等である。プロセッサーは、ハードウェアを含む。プロセッサーは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等、各種のプロセッサーを用いることが可能である。メモリーは、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリーであってもよく、レジスターであってもよく、ハードディスク装置等の磁気記憶装置であってもよく、光学ディスク装置等の光学式記憶装置であってもよい。例えば、メモリーはコンピューターによって読み取り可能な命令を格納しており、当該命令をプロセッサーが実行することによって、制御部100の機能が処理として実現される。ここでの命令は、プログラムを構成する命令セットの命令でもよく、プロセッサーのハードウェア回路に対して動作を指示する命令であってもよい。
【0013】
無線通信部30は、例えば所定の無線通信規格に準拠した無線通信を行う。例えば無線通信部30は、所定の無線LAN規格に準拠した無線通信を行う。具体的には、無線LAN規格の1つであるWi-Fi(登録商標)の規格に準拠した無線通信を行う。例えば無線通信部30は無線通信モジュールにより実現される。無線通信モジュールは少なくとも1つのIC(Integrated Circuit)を含む。例えば無線通信モジュールは、少なくとも1つのICとして、無線通信ICを含む。また無線通信モジュールは、無線通信IC以外にも、インターフェースやメモリーのICを含んでもよい。また無線通信モジュールは、無線通信ICとして、無線LANの規格以外の規格の無線通信ICを有していてもよい。例えば無線通信モジュールは、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信の規格の無線通信ICを含んでもよい。具体的にはBLE(Bluetooth Low Energy)の規格の無線通信ICを含んでもよい。或いは無線LANと近距離無線通信を1チップの無線通信ICにより実現してもよい。
【0014】
表示部50は、各種情報をユーザーに表示するディスプレイ等で構成される。操作部60は、ユーザーからの入力操作を受け付けるボタン等で構成される。なお、表示部50及び操作部60は、例えばタッチパネルにより一体的に構成してもよい。
【0015】
印刷部70は、印刷エンジンを含む。印刷エンジンとは、印刷媒体への画像の印刷を実行する機械的構成である。印刷エンジンは、例えば搬送機構やインクジェット方式の吐出ヘッド、当該吐出ヘッドを含むキャリッジの駆動機構等を含む。印刷エンジンは、搬送機構により搬送される印刷媒体に対して、吐出ヘッドからインクを吐出することで、印刷媒体に画像を印刷する。印刷媒体は、紙であってもよいし、布であってもよいし、他の媒体であってもよい。なお、印刷エンジンの具体的構成はここで例示したものに限られず、電子写真方式でトナーにより印刷するものでもよい。
【0016】
記憶部80は、データやプログラムなどの各種の情報を記憶する。制御部100や無線通信部30は例えば記憶部80をワーク領域として動作する。記憶部80は、SRAM、DRAMなどの半導体メモリーであってもよく、レジスターであってもよく、磁気記憶装置であってもよく、光学式記憶装置であってもよい。
【0017】
電子機器1は、アクセスポイントを介して所定の情報処理装置と無線通信可能に構成されている。ここでの無線通信は無線LANによる通信であり、例えばWi-Fi(登録商標)方式を用いた通信である。電子機器1は、所定の情報処理装置からアクセスポイントを介してデータを取得する。記憶部80は、情報処理装置から取得したデータを記憶してもよい。ここでのデータは、例えば印刷部70での印刷に用いられるデータである。
【0018】
また、電子機器1は、外部機器40が接続可能に構成されている。ここで外部機器40は、情報処理装置、USBメモリー等の外部機器である。なお、これらは一例であり、本実施の形態では、外部機器40としてこれら以外の外部機器が接続されてもよい。
【0019】
図2は、本実施の形態にかかる電子機器の詳細を説明するためのブロック図であり、
図1に示した電子機器1における制御部100と無線通信部30の具体的な構成例を示すブロック図である。
【0020】
図2に示すように、制御部100は、メイン制御部10とネットワーク制御部20とを備える。メイン制御部10は、電子機器1の各部の制御や全体的な制御を行うための制御部であり、上述したメインCPUを含むプロセッサーに対応している。ネットワーク制御部20は、メイン制御部10および無線通信部30と接続されている。ネットワーク制御部20は、ネットワーク制御を行うための制御部であり、上述したサブCPUを含むプロセッサーに対応している。なお、本実施の形態において制御部100は、これら以外のプロセッサーを更に備えていてもよい。
【0021】
メイン制御部10は、処理部11、クロック制御部12、及びインターフェース13を備える。処理部11はプロセッサーであり、所定のプログラムを処理部11で実行することで、電子機器1の各部の制御や全体的な制御を行う。
【0022】
クロック制御部12は、ネットワーク制御部20の処理部21の動作クロックを制御する。例えば、クロック制御部12は、ネットワーク制御部20の処理部21の動作クロックが通常状態である通常モードと、通常モードよりも動作クロックが低い省電力モードに設定可能である。
【0023】
例えば、クロック制御部12は、ネットワーク制御部20の処理部21の負荷状態に応じて、処理部21の動作クロックを制御してもよい。具体的には、クロック制御部12は、処理部21の負荷状態が低い場合、処理部21の動作クロックを低くして省電力モードに設定してもよい。また、クロック制御部12は、処理部21の負荷状態が高い場合、処理部21の動作クロックを高くして通常モードに設定してもよい。なお、省電力モードに切り替えるための処理部21の負荷状態の基準は、任意に決定できる。また、本実施の形態では、クロック制御部12は、通常モードよりも更に動作クロックの高い高処理モードに処理部21の動作クロックを設定可能に構成されていてもよい。
【0024】
クロック制御部12は、ネットワーク制御部20からの要求に応じて、処理部21の動作クロックを制御してもよい。例えば、処理部21が省電力モードに設定されている状態において、処理部21の負荷が高くなった場合、ネットワーク制御部20はメイン制御部10のクロック制御部12に対し、処理部21の動作クロックを上げるように要求してもよい。ネットワーク制御部20からこのような要求を受け付けた場合、クロック制御部12は、処理部21の動作クロックを上げるための指示を、ネットワーク制御部20に対して出力する。
【0025】
インターフェース13は、外部機器40と有線により通信を行うためのインターフェースである。インターフェース13は、例えば高速シリアル転送が可能なシリアルインターフェースである。例えば、インターフェース13は、USB(Universal Serial Bus)の通信規格のインターフェースである。
【0026】
ネットワーク制御部20は、処理部21、ドライバー22、及びインターフェース23を備える。処理部21はプロセッサーであり、所定のプログラムを処理部21で実行することで、各種のネットワーク制御を実施する。また、ネットワーク制御部20は、無線通信部30からデータを取得可能に構成されている。処理部21は、無線通信部30から取得したデータに対して所定の処理を実施する。例えば、処理部21は、無線通信部30から印刷データを取得した場合、この印刷データに所定の処理を実施し、プリンターで用いられるデータに変換する。
【0027】
ドライバー22は、ネットワークドライバーやUSBドライバーなどのドライバーである。ネットワークドライバーは、無線通信部30が所定のアクセスポイントと無線通信を確立するために必要なドライバーであり、例えば、Wi-Fi(登録商標)ドライバーである。USBドライバーは、USB通信規格のデータ通信を実現するためのドライバーである。
【0028】
インターフェース23は、電子機器1の内部デバイス間、つまり無線通信部30のインターフェース32と有線により通信を行うためのインターフェースである。インターフェース23は、例えば高速シリアル転送が可能なシリアルインターフェースである。例えば、インターフェース23は、USBの通信規格のインターフェースである。
【0029】
無線通信部30は、無線通信IC(31)とインターフェース32とを備える。無線通信IC(31)は、所定の無線LAN規格に準拠した無線通信、例えばWi-Fi(登録商標)の規格に準拠した無線通信を行うための無線通信モジュールである。インターフェース32は、ネットワーク制御部20のインターフェース23と有線により通信を行うためのインターフェースである。インターフェース32は、USBの通信規格のインターフェースである。つまり、ネットワーク制御部20と無線通信部30は、USB通信規格により有線で接続されている。
【0030】
本実施の形態において、メイン制御部10およびネットワーク制御部20は同一の半導体チップに搭載されていてもよい。つまり、制御部100は、SoC(System-on-a-chip)で構成されていてもよい。このとき、無線通信部30は、制御部100の半導体チップと異なる無線用チップに搭載されていてもよい。
【0031】
また、本実施の形態では、メイン制御部10とネットワーク制御部20とが各々異なるオペレーションシステム(OS)で動作するように構成してもよい。一例を挙げると、メイン制御部10のOSとしてRTOS(Real-Time Operating System)を用い、ネットワーク制御部20のOSとしてLINUX(登録商標)を用いてもよい。なお、メイン制御部10とネットワーク制御部20のOSは、これら以外のものを用いてもよい。また、メイン制御部10とネットワーク制御部20のOSとして、同一のOSを用いてもよい。
【0032】
本実施の形態にかかる電子機器では、ネットワーク制御部20の処理部21の使用率が所定の使用率よりも高くなった場合、ネットワーク制御部20は、無線通信部30からのデータの取得を停止する。また、メイン制御部10は、ネットワーク制御部20がデータの取得を停止した後、ネットワーク制御部20の処理部21の動作クロックを高くする処理を行うことを特徴としている。以下、本実施の形態にかかる電子機器の動作について、
図2に示すブロック図、及び
図3に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0033】
図3に示すステップS1において、
図2に示すメイン制御部10のクロック制御部12は、ネットワーク制御部20の処理部21の負荷状態が低い場合、処理部21の動作クロックを低くして省電力モードに設定する。例えば、ネットワーク制御部20は、処理部21の負荷が低くなった場合、メイン制御部10のクロック制御部12に対し、処理部21の動作クロックを低くして省電力モードに設定するように要求する。クロック制御部12は、この要求を受け付けた場合、処理部21の動作クロックを低くして省電力モードに設定するための指示を、ネットワーク制御部20に対して出力する。これにより、ネットワーク制御部20の処理部21の動作クロックが低クロックに移行する。
【0034】
その後、ステップS2において、ネットワーク制御部20は無線通信部30からデータを取得する。ネットワーク制御部20が無線通信部30から取得するデータは、例えば、
図1に示した印刷部70での印刷に用いられるデータである。
【0035】
ネットワーク制御部20の処理部21は、ステップS1において動作クロックが低い省電力モードに設定されている。このため、ネットワーク制御部20が無線通信部30から取得したデータ量が多い場合は、処理部21の使用率が所定の使用率よりも高くなり、処理部21においてデータ処理が実行できなくなる恐れがある。つまり、無線通信部30から取得したデータを処理するためのタスクが処理部21(プロセッサー)で実行されるタスクを占有してしまい、処理部21の動作にエラーが発生する恐れがある。
【0036】
本実施の形態では、処理部21の使用率が所定の使用率よりも高い場合(
図3のステップS3:Yes)、ネットワーク制御部20は、無線通信部30からのデータの取得を停止する(ステップS4)。ここで、所定の使用率は、任意に決定できる。例えば、ネットワーク制御部20は、処理部21の使用率が100%の場合、つまり、無線通信部30から取得したデータを処理するためのタスクが処理部21で実行されるタスクを占有している場合、無線通信部30からのデータの取得を停止する。例えば、ネットワーク制御部20は、インターフェース23を制御することで、無線通信部30からのデータの取得を停止してもよい。また、ネットワーク制御部20は、USBの割り込み処理を停止することで、無線通信部30からのデータの取得を停止してもよい。
【0037】
一方、処理部21の使用率が所定の使用率よりも高くない場合(ステップS3:No)、ネットワーク制御部20は、無線通信部30からのデータの取得を継続する(ステップS2)。つまり、ネットワーク制御部20の処理部21が省電力モードであっても、処理部21の使用率が所定の使用率よりも高くない場合は、省電力モードを維持しつつ、無線通信部30からのデータの取得を継続する。
【0038】
なお、本実施の形態にかかる電子機器は、ネットワーク制御部20がインターフェース23を制御して無線通信部30からのデータの取得を停止した場合であっても、メイン制御部10のインターフェース13は動作を停止しないように構成されている。
【0039】
上述したように、ネットワーク制御部20は、省電力モードの状態において、無線通信部30から取得するデータ量の増加に起因して処理部21の使用率が所定の使用率よりも高くなった場合、ステップS4において無線通信部30からのデータの取得を停止する。
【0040】
その後、ステップS5において、メイン制御部10のクロック制御部12は、ネットワーク制御部20の処理部21の動作クロックを高くして、処理部21の動作モードを省電力モードから通常モードに切り替える。これにより、処理部21のパフォーマンスが向上する。
【0041】
処理部21の動作クロックが高くなった後、ネットワーク制御部20は、ステップS6において、無線通信部30からのデータの取得を再開する。そして、ネットワーク制御部20の処理部21は、無線通信部30から取得したデータに対して所定の処理を実施する。なお、無線通信部30からのデータの取得を再開する際は、途中からデータの取得を再開してもよく、また、最初からデータを取得するようにしてもよい。
【0042】
本実施の形態にかかる電子機器では、以上で説明した動作を実行することで、処理部21の動作にエラーが発生することを抑制できる。よって、電子機器の利便性が低下することを抑制できる。
【0043】
すなわち、ネットワーク制御部20の処理部21の動作クロックが低い状態でネットワーク制御部20が無線通信部30から大量のデータを取得した場合、処理部21の使用率が高くなり、処理部21の動作にエラーが発生する場合があった。すなわち、無線通信部30から取得したデータを処理するためのタスクは優先度が高いタスクであるため、無線通信部30から取得するデータ量が増加すると、無線通信部30から取得したデータを処理するためのタスクが処理部21を占有してしまう。このため、処理部21のクロックを変更するためのタスクを実行しようとしても、このクロック変更のタスクがタイムアウトになり、処理部21のクロックを変更できずに動作エラーとなる場合があった。
【0044】
このような問題を解決するために、本実施の形態では、ネットワーク制御部20が無線通信部30からデータを取得した際に、処理部21の使用率が所定の使用率よりも高くなった場合、ネットワーク制御部20は、無線通信部30からのデータの取得を停止している。また、メイン制御部10は、ネットワーク制御部20がデータの取得を停止した後、ネットワーク制御部20の処理部21の動作クロックを高くする処理を行っている。したがって本実施の形態により、無線通信部30から取得するデータ量の増加に起因して処理部21の動作にエラーが発生することを抑制できる。よって、電子機器の利便性が低下することを抑制できる。
【0045】
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
1…電子機器、10…メイン制御部、11…処理部、12…クロック制御部、13…インターフェース、20…ネットワーク制御部、21…処理部、22…ドライバー、23…インターフェース、30…無線通信部、31…無線通信IC、32…インターフェース、40…外部機器、50…表示部、60…操作部、70…印刷部、80…記憶部、100…制御部