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  • 特開-電力変換ユニットの基板組立構造 図1
  • 特開-電力変換ユニットの基板組立構造 図2
  • 特開-電力変換ユニットの基板組立構造 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162416
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】電力変換ユニットの基板組立構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/14 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
H05K7/14 A
H05K7/14 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077903
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和希
【テーマコード(参考)】
5E348
【Fターム(参考)】
5E348AA16
5E348AA21
5E348AA32
5E348CC08
5E348CC09
(57)【要約】
【課題】基板の振動を良好に抑制できるようにする。
【解決手段】電力変換ユニットの基板組立構造は、ケースと、第1の基板と、第2の基板と、固定部とを備える。ケースは、複数の構成部品を収容する。第1の基板は、複数の構成部品の1つである。第2の基板は、複数の構成部品の他の1つであり、第1の基板に対して直交状態となるように第1の基板に接続される一端を有する。固定部は、当該一端の反対側に位置する第2の基板の他端を固定する。ケースは、第1の基板及び第2の基板に対向するケース壁を含む。固定部は、当該ケース壁から第2の基板の側に向けて突出するように形成され、又は、他端を収容する溝部として上記ケース壁に形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の構成部品を収容するケースと、
前記複数の構成部品の1つである第1の基板と、
前記複数の構成部品の他の1つであり、前記第1の基板に対して直交状態となるように前記第1の基板に接続される一端を有する第2の基板と、
前記一端の反対側に位置する前記第2の基板の他端を固定する固定部と、
を備え、
前記ケースは、前記第1の基板及び前記第2の基板に対向するケース壁を含み、
前記固定部は、前記ケース壁から前記第2の基板の側に向けて突出するように形成され、又は、前記他端を収容する溝部として前記ケース壁に形成されている
ことを特徴とする電力変換ユニットの基板組立構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換ユニットの基板組立構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、インバータ装置を開示している。インバータ装置は、第1の基板と、第1の基板と直交状態となるように位置決めされた第2の基板とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5264189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力変換ユニットの基板に関し、特許文献1に記載のように、第2の基板が第1の基板に対して直交状態となるように第1の基板に接続される構成を採用する場合、第2の基板の振動を適切に抑制できることが望まれる。
【0005】
本開示は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、基板の振動を良好に抑制できるようにした電力変換ユニットの基板組立構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電力変換ユニットの基板組立構造は、ケースと、第1の基板と、第2の基板と、固定部とを備える。ケースは、複数の構成部品を収容する。第1の基板は、複数の構成部品の1つである。第2の基板は、複数の構成部品の他の1つであり、第1の基板に対して直交状態となるように第1の基板に接続される一端を有する。固定部は、当該一端の反対側に位置する第2の基板の他端を固定する。ケースは、第1の基板及び第2の基板に対向するケース壁を含む。固定部は、当該ケース壁から第2の基板の側に向けて突出するように形成され、又は、他端を収容する溝部として上記ケース壁に形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、第1の基板に接続される一端の反対側に位置する第2の基板の他端が、固定部によって固定される。これにより、第1の基板と第2の基板の組み合わせによってユニットサイズ抑制の利点を維持しつつ、簡易な構造で片振り振動を抑制できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る電力変換ユニットの基板組立構造の一例を概略的に示す図である。
図2】本実施形態との対比のために参照される2つの比較例に係る電力変換ユニットをそれぞれ表した図である。
図3】実施の形態に係る電力変換ユニットの基板組立構造の他の例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面とともに本開示の実施の形態を説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略又は簡略する。
【0010】
1.電力変換ユニットの基板組立構造
図1は、実施の形態に係る電力変換ユニットの基板組立構造の一例を概略的に示す図である。図1に示す電力変換ユニット(又は、単にユニット)10は、車両に搭載される。ユニット10は、例えば、バッテリからの電力を変換して車両走行用の電動機を駆動するPCU(Power Control Unit)、充電機能と電力分配機能を集約したESU(Electricity Supply Unit)、又はFCPC(Fuel Cell Power Conditioner)である。
【0011】
まず、図1(B)及び図1(C)とともに基板組立構造が説明される。ユニット10は、当該ユニット10を構成する複数の構成部品を収容するケース12を備えている。複数の構成部品は、第1の基板14と第2の基板16とを含む。なお、ケース12の内部には、ユニット10の他の構成部品が配置されているが、図1では、その図示は省略されている。
【0012】
図1(B)は、基板14及び16がケース12に組み付けられた状態におけるユニット10の内部構成をY軸と平行な方向から見た図に相当する。図1(C)は、図1(B)中のA-A線断面図である。ケース12は、一例として、直方体形状を有する。ケース12は、当該ケース12を構成する壁として、ケース壁12a(本開示に係る「ケース壁」の一例に相当)を含む。このケース壁12aは、第1の基板14及び第2の基板16に対向している。
【0013】
第1の基板14は、例えば、ケース壁12aと平行に位置決めされている。具体的には、第1の基板14は、例えば、ケース壁12aから第1の基板14の側に向けて突出する支持部12b及び12cのそれぞれに締結具18を介して固定されている。付け加えると、図1中のXY平面は、一例として水平面である。この例では、第1の基板14は、水平に位置決めされる横置き基板に相当する。なお、図1に示す例では、ケース12の一面(紙面上側の面)を覆うケース壁(カバー)の図示は省略されている。
【0014】
図1(B)に示すように、第2の基板16は、第1の基板14に対して直交状態となるように第1の基板14に接続される一端16aを有する。このように、ユニット10は、ユニットサイズ抑制を目的として、第1の基板14と第2の基板16は、Z軸方向において接続されている構造を有する。
【0015】
具体的には、第1の基板14と第2の基板16は、第2の基板16の側から延びる基板端子20を介してZ方向に接合されている。当該接合は、はんだ22を用いて行われている。そして、はんだ22の周辺は、ポッティング24によって保護されている。また、第2の基板16には、電子部品の一例としてコイル26が取り付けられている。付け加えると、XY平面が水平面となる例では、第2の基板16は縦置き基板に相当し、Z方向は鉛直方向に相当する。
【0016】
第2の基板16は、一端16aの反対側(より詳細には、Z軸方向における反対側)に位置する他端16bを有する。本実施形態のユニット10は、当該他端16b(換言すると、第1の基板14と接続されていない非接続部)を固定する固定部28を備えている。図1(B)に示すように、固定部28は、ケース壁12aから第2の基板16の側に向けて突出するように形成されている。固定部28は、例えば、ケース壁12aと一体的に形成されているが、ケース壁12aと別体であってもよい。
【0017】
より具体的には、図1(C)に示すように、Z軸方向から見たとき、固定部28は、Y軸方向におけるケース12の中央の側が開口したコ字状断面を有し、第2の基板16の他端16bをY軸方向の各端において把持するように形成されている。このように形成された固定部28によれば、第2の基板16の振動(片振り振動(後述の図2(B)参照))の抑制のためにケース12を利用して他端16bがX軸方向に固定される構造であって、Y軸方向の位置を規制しながら第2の基板16を固定部28に挿入可能な構造が得られる。
【0018】
また、第2の基板16の他端16bには、固定部28との接触による摩耗から第2の基板16を保護するために銅めっき30が施されている。そして、固定部28の内部には、他端16bと接触するように緩衝材(例えば、ゴム)32が配置されている。この緩衝材32によれば、第2の基板16の振動抑制のために他端16bのZ軸方向の動きを規制する構造が得られる。
【0019】
次に、図1(A)を追加的に参照し、ケース12に対する第1及び第2の基板14、16の組付方法が説明される。上述の構成を有する第1の基板14と第2の基板16は、図1(A)中に表されるように事前に一体的に結合されている。そのうえで、この結合体は、図1(A)に示す状態からZ軸方向下方に降下され、図1(B)に示すようにケース12に組み付けられる。
【0020】
より具体的には、第2の基板16の他端16bが、圧入によって固定部28に嵌合挿入される。この圧入は、いわゆる軽圧入、すなわち、第2の基板16を傷つけずに分解できる程度の圧入である。そして、このように他端16bが固定部28に挿入される際、緩衝材32は、Z軸方向において第2の基板16を規制して振動抑制効果を発揮する。また、既に説明されたようにコ字状断面を有する固定部28によれば、他端16bが固定部28に挿入される際に、他端16bが固定部28の壁面に沿って移動する。このため、第2の基板16のY軸方向の位置の規制も行える。
【0021】
2.効果
図2(A)及び図2(B)は、本実施形態との対比のために参照される2つの比較例に係る電力変換ユニット100及び110をそれぞれ表した図である。まず、図2(A)に示すユニット100は、本実施形態の第1及び第2の基板14、16の機能を併せ持つ1枚の基板102を備えるものである。このような構成では、ケース104が大型化してしまう。次に、図2(B)に示すユニット110は、本実施形態と同様の第1及び第2の基板14、16を収容するケース112を備えている。このユニット110によれば、ユニット100と比べて、ユニットサイズを低減することはできる。しかしながら、ケース112は、固定部28を有していない。その結果、図2(B)に示すように、第2の基板16の片振り振動が生じ易くなる。その理由は、第2の基板16は、はんだ22の接合部及びその周辺のポッティング24のみでユニット110への入力を受けることになるためである。そして、第2の基板16の片振り振動の発生は、はんだ22の強度低下につながり得る。
【0022】
これに対し、本実施形態に係る電力変換ユニット10の基板組立構造によれば、第1の基板14に接続される一端16aの反対側に位置する第2の基板16の他端16bが、固定部28によって固定される。これにより、ユニットサイズ抑制の利点を維持しつつ、簡易な構造で片振り振動を抑制できるようになる。付け加えると、固定部28によれば、ケース12から第2の基板16を迎えに行くことで、基板サイズ(第2の基板のサイズ)を抑制できる。
【0023】
3.基板組立構造の他の例
図3(A)~図3(C)は、実施の形態に係る電力変換ユニットの基板組立構造の他の例を概略的に示す図である。図3に示す電力変換ユニット50は、第2の基板16の他端16bを固定する固定部の構成において、図1に示す電力変換ユニット10と相違している。
【0024】
具体的には、ユニット50が備える固定部52は、第2の基板16の他端16bを収容する溝部としてケース54のケース壁54a(本開示に係る「ケース壁」の他の例に相当)に形成されている。ケース54は、ケース壁12aに代えてケース壁54aを備える点において、図1に示すケース12と相違している。
【0025】
図3(C)に示すように、固定部52は、他端16bに対応してY軸方向に延びるように形成されている。図3(B)に示すように、固定部52の溝の内部には、図1に示す構成と同様に他端16bと接触するように緩衝材(例えば、ゴム)56が配置されている。図1(C)に示す例と異なり、銅めっき30は、固定部52の溝壁面に接触する他端16bの部位全体を保護するため、Y軸方向の全体に及ぶように施されている。
【0026】
ケース54に対する第1及び第2の基板14、16の組付方法は、上述のケース12に対する第1及び第2の基板14、16の組付方法と同様である。すなわち、第2の基板16の他端16bは、軽圧入によって固定部52に嵌合挿入される。そして、このように他端16bが固定部52に挿入される際、緩衝材56は、Z軸方向において第2の基板16を規制して振動抑制効果を発揮する。また、溝形状を有する固定部52によれば、他端16bが固定部52に挿入される際に、他端16bが固定部52の溝壁面に沿って移動する。このため、第2の基板16のY軸方向の位置の規制も行える。
【0027】
以上説明したように、電力変換ユニット50の基板組立構造によれば、第1の基板14に接続される一端16aの反対側に位置する第2の基板16の他端16bが、固定部52によって固定される。このため、当該基板組立構造によっても、ユニットサイズ抑制の利点を維持しつつ、簡易な構造で片振り振動を抑制できるようになる。付け加えると、固定部52によれば、ケース54から第2の基板16を迎えに行くことで、ケースサイズを抑制できる。
【符号の説明】
【0028】
10、50 電力変換ユニット、 12、54 ケース、 12a、54a ケース壁、 14 第1の基板、 16 第2の基板、 16a 第2の基板の一端、 16b 第2の基板の他端、 28、52 固定部
図1
図2
図3