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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162424
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】回転機及びドローン
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/06 20060101AFI20241114BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20241114BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20241114BHJP
   B64U 20/94 20230101ALI20241114BHJP
   B64U 20/98 20230101ALI20241114BHJP
   B64U 50/19 20230101ALI20241114BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H02K9/06 G
H02K9/19 A
B64U10/13
B64U20/94
B64U20/98
B64U50/19
H02K7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077912
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】太田 智
【テーマコード(参考)】
5H607
5H609
【Fターム(参考)】
5H607AA02
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB13
5H607CC05
5H607DD03
5H607FF04
5H609BB03
5H609BB15
5H609BB19
5H609BB21
5H609PP02
5H609PP06
5H609QQ02
5H609QQ05
5H609QQ09
5H609QQ23
5H609RR03
5H609RR06
5H609RR52
(57)【要約】
【課題】回転機の冷却構造を改善することである。
【解決手段】ロータコアは、軸方向一方側の面にマグネットを固定され、前記ロータコアは、軸方向他方側の面にインペラを有し、ステータケース内と、前記ロータコアとケースとによって囲まれた空間とを、軸方向と直交する所定方向の一方側で繋ぐ第1流路、及び前記所定方向の他方側で繋ぐ第2流路を有し、前記インペラは、前記ロータが回転することによって回転して前記空間内の冷媒に流れを生じさせ、前記ステータケース内と前記第1流路と前記空間と前記第2流路とによって形成される循環流路に冷媒を循環させる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、前記ステータとギャップを介して軸方向に対向するロータと、前記ステータ及び前記ロータを収容するケースと、を有する回転機であって、
前記ステータは、ステータコアと、ステータコイルと、前記ステータコア及び前記ステータコイルを収容するステータケースと、を有し、
前記ロータは、軸方向一方側に前記ステータと対向するマグネットを有し、
前記ロータは、軸方向他方側に前記ケースと対向するロータコアを有し、
前記ロータコアは、軸方向一方側の面に前記マグネットを固定され、
前記ロータコアは、軸方向他方側の面にインペラを有し、
前記ステータケース内と、前記ロータコアと前記ケースとによって囲まれた空間とを、軸方向と直交する所定方向の一方側で繋ぐ第1流路、及び前記所定方向の他方側で繋ぐ第2流路を有し、
前記インペラは、前記ロータが回転することによって回転して前記空間内の冷媒に流れを生じさせ、前記ステータケース内と前記第1流路と前記空間と前記第2流路とによって形成される循環流路に冷媒を循環させる、
ことを特徴とする回転機。
【請求項2】
前記第1流路の近傍、及び前記第2流路の近傍にフィンを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の回転機。
【請求項3】
前記インペラは、渦巻状のインペラであり、
前記第1流路の前記空間に対する開口は、前記ケースの径方向外側に配置され、
前記第2流路の前記空間に対する開口は、前記ケースの径方向内側に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の回転機。
【請求項4】
前記インペラは、カスケードインペラであり、
前記第1流路の前記空間に対する開口は、前記ケースの径方向外側に配置され、
前記第2流路の前記空間に対する開口は、前記ケースの径方向外側に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の回転機。
【請求項5】
前記ロータは、ベアリングを介して前記ステータに固定され、
前記ベアリングは、前記マグネットよりも径方向外側に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の回転機。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の回転機と、前記ロータの回転により回転する回転翼とを有する、
ことを特徴とするドローン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機及びドローンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般にドローンと呼ばれる回転翼を有する飛行体が知られている。このドローンの回転翼を回転させるためにはモータが用いられる。モータは回転機の一例である。このようなモータにおいては、ステータなどにおける発熱を冷却することが重要な課題である。
【0003】
特許文献1では、ロータとステータとを軸方向にギャップを介して配置したアキシャルギャップモータにおいて、ステータ内に冷媒を供給して冷却する構造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-99191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたモータの冷却構造では、冷媒をステータ内に供給するために冷媒を循環させるポンプをモータの外部に設ける必要があった。この場合、冷却構造のために全体が大型化してしまう。ところが、例えばドローン用のモータでは、特に小型軽量化が求められ、冷却構造がその妨げになってしまうという問題があった。
【0006】
このため、従来は、回転機の冷却構造に改善の余地があった。
【0007】
本発明は、回転機の冷却構造を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るモータユニットは、ステータと、前記ステータとギャップを介して軸方向に対向するロータと、前記ステータ及び前記ロータを収容するケースと、を有する回転機であって、前記ステータは、ステータコアと、ステータコイルと、前記ステータコア及び前記ステータコイルを収容するステータケースと、を有し、前記ロータは、軸方向一方側に前記ステータと対向するマグネットを有し、前記ロータは、軸方向他方側に前記ケースと対向するロータコアを有し、前記ロータコアは、軸方向一方側の面に前記マグネットを固定され、前記ロータコアは、軸方向他方側の面にインペラを有し、前記ステータケース内と、前記ロータコアと前記ケースとによって囲まれた空間とを、軸方向と直交する所定方向の一方側で繋ぐ第1流路、及び前記所定方向の他方側で繋ぐ第2流路を有し、前記インペラは、前記ロータが回転することによって回転して前記空間内の冷媒に流れを生じさせ、前記ステータケース内と前記第1流路と前記空間と前記第2流路とによって形成される循環流路に冷媒を循環させる、ことを特徴とする。
【0009】
上記の一態様の回転機において、前記第1流路の近傍、及び前記第2流路の近傍にフィンを有する、ことを特徴とする。
【0010】
上記の一態様の回転機において、前記インペラは、渦巻状のインペラであり、前記第1流路の前記空間に対する開口は、前記ケースの径方向外側に配置され、前記第2流路の前記空間に対する開口は、前記ケースの径方向内側に配置される、ことを特徴とする。
【0011】
上記の一態様の回転機において、前記インペラは、カスケードインペラであり、前記第1流路の前記空間に対する開口は、前記ケースの径方向外側に配置され、前記第2流路の前記空間に対する開口は、前記ケースの径方向外側に配置される、ことを特徴とする。
【0012】
上記の一態様の回転機において、前記ロータは、ベアリングを介して前記ステータに固定され、前記ベアリングは、前記マグネットよりも径方向外側に配置される、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係るドローンは、前記回転機と、前記ロータの回転により回転する回転翼とを有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、回転機の冷却構造を改善することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係るドローンの斜視図である。
図2】モータ主要部110を分解して示す分解斜視図である。
図3】ドローン100からモータケース111を取り外して-Z側から見た斜視図である。
図4】ドローン100を、中心軸Jを通り、Y軸と直交する面で切断して示す断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るドローンの斜視図である。
図6】ドローン200を、中心軸Jを通り、Y軸と直交する面で切断して示す断面図である。
図7】本発明の第3実施形態に係るドローンからモータケースを取り外して-Z側から見た斜視図である。
図8】ドローン300を、中心軸Jを通り、Y軸と直交する面で切断して示す断面図である。
図9】モータ330を、図8のA-Aで切断して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る回転機及びその回転機を用いたドローンについて説明する。なお、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数等を異ならせる場合がある。
【0017】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、図1に示す中心軸Jの軸方向と平行な方向とする。X軸方向は、中心軸Jに対する径方向のうち図4の左右方向とする。Y軸方向は、Z軸方向及びX軸方向の両方と直交する方向とする。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のいずれにおいても、図中に示す矢印が指す側を+側、反対側を-側とする。
【0018】
また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「一方側」と呼び、Z軸方向の負の側(-Z側)を「他方側」と呼ぶ。なお、一方側及び他方側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。径方向において中心軸Jに近づく側を「径方向内側」と呼び、中心軸Jから遠ざかる側を「径方向外側」と呼ぶ。周方向において、+Z側から-Z側を見たときの時計回りの側を「周方向一方側」と呼び、反時計回りの側を「周方向他方側」と呼ぶ。
【0019】
なお、本明細書において、「軸方向に延びる」とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、「径方向に延びる」とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また「平行」とは、厳密に平行な場合に加えて、互いに成す角が45°未満の範囲で傾いた場合も含む。また「軸方向と直交する方向に拡がる」とは、厳密に軸方向(Z軸方向)と直交する方向に拡がる場合に加えて、軸方向(Z軸方向)と直交する方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に拡がる場合も含む。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るドローンの斜視図である。ドローン100は、モータ130及び回転翼150を有する。モータ130は、回転機の一例である。
【0021】
モータ130は、モータ主要部110、有底円筒形状であってモータ主要部110を収容するモータケース111、及びモータケース111の開口を塞ぐ蓋112を有する。また、モータ130は、モータケース111の外周の+X側に配管161を有し、-X側に配管162を有する。配管161及び配管162は、モータ130を冷却する冷媒が流れる配管である。冷媒は、例えばオイルである。冷媒は、液体であってもよいし、気体であってもよい。
【0022】
モータ130は、配管161に接するフィン171を有し、配管162に接するフィン172を有する。フィン171及びフィン172は、放熱性に優れた構造を有する。フィン171及びフィン172は、例えば、ひだ状であって表面積を広くして放熱性を高めている。フィン171及びフィン172は、既知の如何なる放熱性に優れた構造であってもよい。フィン171及びフィン172は、回転翼150の回転により生じた風が当たる位置に設けられており、この風によってフィン171及びフィン172は、より冷却される。配管161及び配管162を流れる冷媒は、それぞれフィン171及びフィン172と熱交換して冷却される。
【0023】
モータ主要部110は、中心軸Jに沿って延び、中心軸Jを回転軸にして回転するシャフト113を有する。回転翼150は、シャフト113の軸方向一方側端に固定される。ドローン100は、回転翼150の回転によって飛行可能に構成されている。
【0024】
図2は、モータ主要部110を分解して示す分解斜視図である。モータ主要部110は、軸方向他方側から軸方向一方側に向けて順に、ロータコア114、磁石115、ベアリング116、ステータ117、ベアリング118、磁石119及びロータコア120を配置して成る。シャフト113は、ロータコア114及びロータコア120に固定される。
【0025】
磁石115はロータコア114に固定され、磁石119はロータコア120に固定される。磁石115及びロータコア114は、ステータ117よりも軸方向他方側のロータを構成する。磁石119及びロータコア120は、ステータ117よりも軸方向一方側のロータを構成する。磁石115及びロータコア114は、ステータ117の軸方向他方側にギャップを介して配置される。磁石119及びロータコア120は、ステータ117の軸方向一方側にギャップを介して配置される。ロータコア114は、ベアリング116を介してステータ117に固定され、ロータコア120は、ベアリング118を介してステータ117に固定される。これにより、ロータコア114及びロータコア120は、中心軸Jを回転軸としてステータ117に対して回転可能である。
【0026】
モータ主要部110は、モータケース111の軸方向一方側の開口からモータケース111に収容される。モータケース111の軸方向一方側の開口は、蓋112で塞がれる。モータ主要部110をモータケース111に収容した状態で、ステータ117はモータケース111に固定される。
【0027】
モータケース111は、+X側に、モータケース111の側壁を貫通する貫通孔111b及び貫通孔111cを有する。貫通孔111bは、貫通孔111cよりも軸方向他方側に位置する。ステータ117は、+X側に、外殻であるステータケース117c(図4参照)の側壁を貫通する貫通孔117aを有する。X軸が延びる方向は、軸方向と直交する所定方向の一例である。軸方向と直交する所定方向は、軸と交差する方向であるのが望ましい。+X側は、軸方向と直交する所定方向の一方側の一例である。ステータ117は、軸方向と直交する所定方向の一方側に貫通孔117aを有する。
【0028】
ロータコア114は、軸方向他方側の面に羽根114aを有する。羽根114aは、ロータコア114が回転することで、ロータコア114とモータケース111との間の空間111a(図4参照)の冷媒に流れを生じさせる。羽根114aは、インペラの一例である。
【0029】
図3は、ドローン100からモータケース111を取り外して-Z側から見た斜視図である。羽根114aは、ロータコア114の軸方向他方側の面から軸方向他方側に向けて渦巻形状に複数突出する。羽根114aは、ロータコア114が周方向一方側に回転することで、空間111aにおいて径方向内側から径方向外側への冷媒の流れを生じさせる。
【0030】
図4は、ドローン100を、中心軸Jを通り、Y軸と直交する面で切断して示す断面図である。図4において、太い矢印が指す方向は冷媒が流れる方向である。
【0031】
ステータ117は、ステータケース117c、並びにステータケース117cに収容されたステータコア117d及びステータコイル117eを有する。ステータケース117cの貫通孔117aは、モータケース111の貫通孔111bと連通する。
【0032】
ステータ117は、-X側に、ステータケース117cの側壁を貫通する貫通孔117bを有する。モータケース111は、-X側に、モータケース111の側壁を貫通する貫通孔111dを有する。ステータケース117cの貫通孔117bは、モータケース111の貫通孔111dと連通する。-X側は、軸方向と直交する所定方向の他方側の一例である。ステータ117は、軸方向と直交する所定方向の他方側に貫通孔117bを有する。貫通孔117bは、貫通孔117aと周方向で一致しない位置に設けられる。貫通孔117bは、中心軸Jを挟んで貫通孔117aと対向する位置に設けられる。
【0033】
モータケース111は、軸方向他方側の底の径方向内側に、軸方向に貫通する貫通孔111eを有する。モータ130は、貫通孔111eに嵌まる筒状部材121を有する。筒状部材121は、軸方向に貫通する貫通孔121aを有する。貫通孔121aは、空間111aに連通する。空間111aは、ロータコア114とモータケース111とによって囲まれた空間である。
【0034】
配管161の軸方向一方側の端部は、モータケース111の貫通孔111cと連通する。配管161の軸方向他方側の端部は、モータケース111の貫通孔111bと連通する。配管162の軸方向一方側の端部は、モータケース111の貫通孔111dと連通する。配管162の軸方向他方側の端部は、筒状部材121の貫通孔121aと連通する。
【0035】
以上の構成により、ステータ117内と空間111aとを配管161及び配管162で繋ぐ冷媒の流路が形成される。冷媒は、この流路に封入される。ベアリング116は、ロータ114の磁石115よりも径方向外側に配置されてステータ117に固定される。これにより、空間111aの冷媒が、ステータコア117dと磁石115との間のギャップに流入するのを防止している。
【0036】
ロータコア114の回転により、空間111aにおいて径方向内側から径方向外側へ流れた冷媒は、空間111aにおける径方向外側の貫通孔111bから配管161へと流れる。配管161内の冷媒は、貫通孔111c及び貫通孔117aを介して、ステータ117内へと流れ込む。冷媒は、ステータ117内で、ステータコア117d及びステータコイル117eの周囲をめぐり、貫通孔117b及び貫通孔111dを介して、配管162へと流れる。冷媒は、配管162内を軸方向一方側から軸方向他方側へ、さらに周方向外側から周方向内側へと流れる。配管162内の冷媒は、周方向内側の貫通孔121aから空間111aへと流入する。冷媒は、ロータコア114の回転により、上記の流路を循環する。冷媒は、配管162の周囲のフィン172及び配管161の周囲のフィン171によって冷却され、ステータ117内を冷却する。
【0037】
本実施形態によれば、ロータコア114の羽根114aによって冷媒の流れを生じさせることができ、冷媒を循環させるポンプをモータ130の外部に設ける必要がなく、モータ130を用いたドローン100の小型軽量化を実現できる。
【0038】
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係るドローンの斜視図である。ドローン200は、モータ230及び回転翼150を有する。モータ230は、回転機の一例である。第2実施形態では、第1実施形態のモータ130の代わりにモータ230を有する。第2実施形態において、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0039】
モータ230は、モータ主要部210、有底円筒形状であってモータ主要部210を収容するモータケース211、及びモータケース211の開口を塞ぐ蓋112を有する。モータケース211は、その外周にフィン271を有する。フィン271は、放熱性に優れた構造を有する。フィン271は、例えば、ひだ状であって表面積を広くして放熱性を高めている。フィン271は、既知の如何なる放熱性に優れた構造であってもよい。フィン271は、回転翼150の回転により生じた風が当たる位置に設けられており、この風によってフィン271は、より冷却される。
【0040】
図6は、ドローン200を、中心軸Jを通り、Y軸と直交する面で切断して示す断面図である。図6において、太い矢印が指す方向は冷媒が流れる方向である。モータケース211は、+X側に流路261を有し、-X側に流路262を有する。流路261及び流路262は、モータ230を冷却する冷媒が流れる流路である。流路261及び流路262を流れる冷媒は、フィン271と熱交換して冷却される。
【0041】
ステータケース117cの貫通孔117aは、流路261の軸方向一方側の開口211cと連通する。流路261の軸方向他方側の開口211bは、ロータ114とモータケース211との間の空間211aと連通する。空間211aは、ロータコア114とモータケース211とによって囲まれた空間である。
【0042】
ステータケース117cの貫通孔117bは、流路262の軸方向一方側の開口211dと連通する。流路262の軸方向他方側の開口211eは、モータケース211の軸方向他方側の底の径方向内側に設けられる。開口211eは、ロータ114とモータケース211との間の空間211aと連通する。
【0043】
以上の構成により、ステータ117内と空間211aとを流路261及び流路262で繋ぐ冷媒の流路が形成される。冷媒は、この流路に封入される。ベアリング116は、ロータ114の磁石115よりも径方向外側に配置されてステータ117に固定される。これにより、空間211aの冷媒が、ステータコア117dと磁石115との間のギャップに流入するのを防止している。
【0044】
ロータコア114の回転により、空間211aにおいて径方向内側から径方向外側へ流れた冷媒は、空間211aにおける径方向外側の開口211bから配管261へと流れる。配管261内の冷媒は、開口211c及び貫通孔117aを介して、ステータ117内へと流れ込む。冷媒は、ステータ117内で、ステータコア117d及びステータコイル117eの周囲をめぐり、貫通孔117b及び開口211dを介して、配管262へと流れる。冷媒は、配管262内を軸方向一方側から軸方向他方側へ、さらに周方向外側から周方向内側へと流れる。配管262内の冷媒は、径方向内側の開口211eから空間111aへと流入する。冷媒は、ロータコア114の回転により、上記の流路を循環する。冷媒は、流路261及び流路262の周囲のフィン271によって冷却され、ステータ117内を冷却する。
【0045】
本実施形態によれば、ロータコア114の羽根114aによって冷媒の流れを生じさせることができ、冷媒を循環させるポンプをモータ230の外部に設ける必要がなく、モータ230を用いたドローン200の小型軽量化を実現できる。
【0046】
<第3実施形態>
【0047】
図7は、本発明の第3実施形態に係るドローンからモータケースを取り外して-Z側から見た斜視図である。第3実施形態に係るドローン300(図8参照)は、、第2実施形態のロータコア114に代えてロータコア314を有する。また、第3実施形態に係るドローン300(図8参照)は、第2実施形態のモータケース211に代えてモータケース311を有する。本実施形態ロータコア314は、軸方向他方側の面にカスケードインペラ314aを有する。カスケードインペラ314aは、歯車状の多数のインペラによって構成される。カスケードインペラ314aはインペラの一例である。
【0048】
図8は、ドローン300を、中心軸Jを通り、Y軸と直交する面で切断して示す断面図である。図6において、太い矢印が指す方向は冷媒が流れる方向である。モータケース311は、+X側に流路361を有し、-X側に流路362を有する。流路361及び流路362は、モータ330を冷却する冷媒が流れる流路である。流路361及び流路362を流れる冷媒は、フィン371と熱交換して冷却される。フィン371は、第2実施形態のフィン271と同一の形状である。
【0049】
図9は、モータ330を、図8のA-Aで切断して示す断面図である。モータケース311は、ロータコア314の回転によってカスケードインペラ314aが回転することで生じる冷媒の流れを、流路361の周方向一方側で止める仕切り部311f、及び流路362の周方向他方側で止める仕切り部311gを有する。ロータコア314が周方向他方側に回転すると、冷媒は、流路361から空間311aに流れ込み、周方向他方側に流れ、その後、流路361から流れ出る。この場合、空間311aのうち仕切り部311fの周方向一方側であって且つ仕切り部311gの周方向他方側の領域には、冷媒は流れ込まない。これにより、冷媒を効率よく循環させることができる。
【0050】
ステータケース117cの貫通孔117aは、流路361の軸方向一方側の開口311cと連通する。流路361の軸方向他方側の開口311bは、ロータ314とモータケース311との間の空間311aと連通する。空間311aは、ロータコア314とモータケース311とによって囲まれた空間である。
【0051】
ステータケース117cの貫通孔117bは、流路362の軸方向一方側の開口311dと連通する。流路362の軸方向他方側の開口311eは、ロータ314とモータケース311との間の空間311aと連通する。
【0052】
以上の構成により、ステータ117内と空間311aとを流路361及び流路362で繋ぐ冷媒の流路が形成される。冷媒は、この流路に封入される。ベアリング116は、ロータ114の磁石115よりも径方向外側に配置されてステータ117に固定される。これにより、空間311aの冷媒が、ステータコア117dと磁石115との間のギャップに流入するのを防止している。
【0053】
ロータコア114の回転により、空間311aにおいて流路361から流路362に向けて周方向他方側へ流れた冷媒は、開口311eから流路362へと流れる。さらに冷媒は、流路362内を軸方向他方側から軸方向一方側へと流れ、開口311dから貫通孔117bを介して、ステータ117内へと流れ込む。冷媒は、ステータ117内で、ステータコア117d及びステータコイル117eの周囲をめぐり、貫通孔117aから開口311cを介して、流路361へと流れる。流路361内の冷媒は、開口311bから空間311aへと流入する。冷媒は、ロータコア314の回転により、上記の流路を循環する。冷媒は、流路361及び流路362の周囲のフィン371によって冷却され、ステータ117内を冷却する。
【0054】
本実施形態によれば、ロータコア314のカスケードインペラ314aによって冷媒の流れを生じさせることができ、冷媒を循環させるポンプをモータ330の外部に設ける必要がなく、モータ330を用いたドローン300の小型軽量化を実現できる。本実施形態によれば、モータ330の軸方向サイズをより小型化することができる。
【0055】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
100…ドローン、110…モータ主要部、130…モータ、150…回転翼

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9