(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162425
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】監視制御システム訓練支援装置、監視制御システム訓練支援方法および監視制御システム訓練支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20241114BHJP
G09B 9/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G05B23/02 301V
G09B9/00 Z
G09B9/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077914
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】野村 耕平
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA21
3C223BA03
3C223BB17
3C223CC03
3C223DD03
3C223FF13
3C223FF17
3C223GG03
3C223HH03
3C223HH04
3C223HH05
3C223HH06
3C223HH07
3C223HH08
3C223HH29
(57)【要約】
【課題】訓練時にディスプレイに表示された内容の再現性を高めて訓練を詳細に評価することが可能な監視制御システム訓練支援装置を得ること。
【解決手段】複数の表示端末11を活用し、監視制御対象14を制御する監視制御システムの管制員の訓練を支援する監視制御システム訓練支援装置1であって、訓練時の監視制御装置12の操作履歴を保持する操作履歴保持部122と、訓練時の操作に基づき実行された監視制御装置12による監視制御対象14の制御履歴を保持する制御履歴保持部124と、訓練時の監視制御対象14の状態変化の監視履歴を保持する監視履歴保持部126と、訓練時に表示端末11が表示した画面をキャプチャして作成された表示端末11ごとの映像データを保持する映像保持部133と、を有し、操作履歴、制御履歴、監視履歴および映像データに基づき、訓練時に複数の表示端末11のそれぞれが表示した内容を再現表示する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示端末を活用し、中央装置が監視制御対象を制御する監視制御システムの管制員の訓練を支援する監視制御システム訓練支援装置であって、
訓練時の前記管制員による前記中央装置の操作履歴を保持する操作履歴保持部と、
訓練時の前記管制員による操作に基づき実行された前記中央装置による前記監視制御対象の制御履歴を保持する制御履歴保持部と、
訓練時の前記監視制御対象の状態変化の監視履歴を保持する監視履歴保持部と、
訓練時に前記表示端末が表示した画面をキャプチャして作成された前記表示端末ごとの映像データを保持する映像保持部と、
を有し、
前記操作履歴保持部が保持する前記操作履歴、前記制御履歴保持部が保持する前記制御履歴、前記監視履歴保持部が保持する前記監視履歴および前記映像保持部が保持する前記映像データに基づき、訓練時に複数の前記表示端末のそれぞれが表示した内容を再現表示する、
ことを特徴とする監視制御システム訓練支援装置。
【請求項2】
前記再現表示の開始時刻の指定を受け付ける時刻指定部、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の監視制御システム訓練支援装置。
【請求項3】
前記操作履歴、前記制御履歴および前記監視履歴に基づいて、訓練中に発生したイベントの履歴である発生イベント履歴を含む訓練振り返りウィンドウを複数の前記表示端末の中のいずれか一つに表示する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の監視制御システム訓練支援装置。
【請求項4】
前記発生イベント履歴に含まれる各イベントの発生タイミングを視覚的に表すタイムラインを前記訓練振り返りウィンドウ内に表示する、
ことを特徴とする請求項3に記載の監視制御システム訓練支援装置。
【請求項5】
前記発生イベント履歴および前記タイムラインにおいて、対応関係にあるイベントと発生タイミングとに同じ表示形式を適用する、
ことを特徴とする請求項4に記載の監視制御システム訓練支援装置。
【請求項6】
前記発生イベント履歴に含めるイベントを定められた条件を満たすイベントに限定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の監視制御システム訓練支援装置。
【請求項7】
前記操作履歴に含まれるイベントと、前記制御履歴に含まれるイベントと、前記監視履歴に含まれるイベントとに分けて、前記発生イベント履歴および前記タイムラインを前記訓練振り返りウィンドウに表示する、
ことを特徴とする請求項4に記載の監視制御システム訓練支援装置。
【請求項8】
複数のイベント発生タイミングが重なる場合、予め設定された優先順位に従い前記タイムラインにイベント発生タイミングを表示する、
ことを特徴とする請求項4に記載の監視制御システム訓練支援装置。
【請求項9】
複数の表示端末を活用し、中央装置が監視制御対象を制御する監視制御システムの管制員の訓練を支援する監視制御システム訓練支援装置が実行する監視制御システム訓練支援方法であって、
訓練時の前記管制員による前記中央装置の操作履歴を作成する操作履歴作成ステップと、
訓練時の前記管制員による操作に基づき実行された前記中央装置による前記監視制御対象の制御履歴を作成する制御履歴作成ステップと、
訓練時の前記監視制御対象の状態変化の監視履歴を作成する監視履歴作成ステップと、
訓練時に前記表示端末が表示した画面をキャプチャして前記表示端末ごとの映像データを作成する映像データ作成ステップと、
前記操作履歴、前記制御履歴、前記監視履歴および前記映像データに基づき、訓練時に複数の前記表示端末のそれぞれが表示した内容を再現表示する再現ステップと、
を含むことを特徴とする監視制御システム訓練支援方法。
【請求項10】
前記再現表示の開始時刻の指定を受け付ける時刻指定ステップ、
を含むことを特徴とする請求項9に記載の監視制御システム訓練支援方法。
【請求項11】
前記操作履歴、前記制御履歴および前記監視履歴に基づいて、訓練中に発生したイベントの履歴である発生イベント履歴を含む訓練振り返りウィンドウを複数の前記表示端末の中のいずれか一つに表示する、
ことを特徴とする請求項9または10に記載の監視制御システム訓練支援方法。
【請求項12】
前記発生イベント履歴に含まれる各イベントの発生タイミングを視覚的に表すタイムラインを前記訓練振り返りウィンドウ内に表示する、
ことを特徴とする請求項11に記載の監視制御システム訓練支援方法。
【請求項13】
前記発生イベント履歴および前記タイムラインにおいて、対応関係にあるイベントと発生タイミングとに同じ表示形式を適用する、
ことを特徴とする請求項12に記載の監視制御システム訓練支援方法。
【請求項14】
前記発生イベント履歴に含めるイベントを定められた条件を満たすイベントに限定する、
ことを特徴とする請求項12に記載の監視制御システム訓練支援方法。
【請求項15】
前記操作履歴に含まれるイベントと、前記制御履歴に含まれるイベントと、前記監視履歴に含まれるイベントとに分けて、前記発生イベント履歴および前記タイムラインを前記訓練振り返りウィンドウに表示する、
ことを特徴とする請求項12に記載の監視制御システム訓練支援方法。
【請求項16】
複数のイベント発生タイミングが重なる場合、予め設定された優先順位に従い前記タイムラインにイベント発生タイミングを表示する、
ことを特徴とする請求項12に記載の監視制御システム訓練支援方法。
【請求項17】
複数の表示端末を活用し、中央装置が監視制御対象を制御する監視制御システムの管制員の訓練を支援する監視制御システム訓練支援装置として電子計算機を動作させるための監視制御システム訓練支援プログラムであって、
訓練時の前記管制員による前記中央装置の操作履歴を作成する操作履歴作成ステップと、
訓練時の前記管制員による操作に基づき実行された前記中央装置による前記監視制御対象の制御履歴を作成する制御履歴作成ステップと、
訓練時の前記監視制御対象の状態変化の監視履歴を作成する監視履歴作成ステップと、
前記操作履歴、前記制御履歴および前記監視履歴に基づき、訓練時に複数の前記表示端末のそれぞれが表示した内容を再現表示する再現ステップと、
を前記電子計算機に実行させることを特徴とする監視制御システム訓練支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、道路などの施設および施設が有する設備の監視、制御などを遠隔で行う監視制御システムの管制員の訓練を支援する監視制御システム訓練支援装置、監視制御システム訓練支援方法および監視制御システム訓練支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路、電力系統など、広範囲にわたって設けられた施設および施設が有する設備は、遠隔で監視および制御が行われる。監視および制御(以下、監視制御と記載する)は、専用のシステム(監視制御システムなどと呼ばれる。以下では監視制御システムと記載する)により行われる。監視制御システムは、対象の施設および設備を監視し、災害、事故、設備の故障など、異常を検知した場合、これを管制員に通知する。管制員は異常検知の通知を受けると、状況を確認し、必要な作業(設備の操作など)を行う。管制員は、どのような作業をどのような順番で実施する必要があるかを正確に判断し、できるだけ早く作業を完了させる必要がある。このため、状況に応じた適切な判断および作業を短時間で実施できるよう、様々なケースを想定して、管制員の訓練が適宜行われる。
【0003】
管制員の訓練に関する技術の例として、特許文献1には、プラントの運転訓練シミュレータにおいて、上記管制員に相当する運転員が訓練時に実施した操作、運転員の行動を撮影した映像、運転員の位置情報、音声などのデータを含んだ運転状況再現データをリプレイデータとして記憶装置に記録しておき、訓練終了後に運転状況再現データを用いて訓練内容を振り返ることが可能な事象再現装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術によれば、シミュレーションの内容、運転員が実施した操作、行動、音声などをディスプレイ上に再現し、運転員の挙動を評価することができる。しかしながら、訓練時にディスプレイに表示された画面を評価時に再現することができず、訓練を振り返る際に評価を行う上では不十分であった。例えば、監視制御の対象が多数である場合、複数のディスプレイを用い、各ディスプレイの画面表示を確認しながら管制員が状況の判断と必要な作業の実施とを行うシステム構成となることが考えられるが、このようなケースでの訓練を正確に再現することはできない。ディスプレイの画面表示も併せて再現することで、どのような状況においてどのような作業が実施されたかを確認できるようになり、訓練をより詳細に評価することが可能となる。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、訓練時にディスプレイに表示された内容の再現性を高めて訓練を詳細に評価することが可能な監視制御システム訓練支援装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示は、複数の表示端末を活用し、中央装置が監視制御対象を制御する監視制御システムの管制員の訓練を支援する監視制御システム訓練支援装置であって、訓練時の管制員による中央装置の操作履歴を保持する操作履歴保持部と、訓練時の管制員による操作に基づき実行された中央装置による監視制御対象の制御履歴を保持する制御履歴保持部と、訓練時の監視制御対象の状態変化の監視履歴を保持する監視履歴保持部と、訓練時に表示端末が表示した画面をキャプチャして作成された表示端末ごとの映像データを保持する映像保持部と、を有し、操作履歴保持部が保持する操作履歴、制御履歴保持部が保持する制御履歴、監視履歴保持部が保持する監視履歴および映像保持部が保持する映像データに基づき、訓練時に複数の表示端末のそれぞれが表示した内容を再現表示する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、訓練時にディスプレイに表示された内容の再現性を高めて訓練を詳細に評価することが可能な監視制御システム訓練支援装置を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1にかかる監視制御システム訓練支援装置の構成例を示す図
【
図2】実施の形態1にかかる監視制御システム訓練支援装置による訓練支援動作の一例を示す図
【
図3】表示端末が表示する監視制御画面の構成例を示す図
【
図4】表示端末が監視制御画面の個別表示領域に表示する画面の第1の例を示す図
【
図5】表示端末が監視制御画面の個別表示領域に表示する画面の第2の例を示す図
【
図6】表示端末が監視制御画面の個別表示領域に表示する画面の第3の例を示す図
【
図7】実施の形態1にかかる監視制御システム訓練支援装置の機能ブロック構成の一例を示す図
【
図8】監視制御装置の操作履歴保持部が保持する操作履歴データの一例を示す図
【
図9】監視制御装置の制御履歴保持部が保持する制御履歴データの一例を示す図
【
図10】監視制御装置の監視履歴保持部が保持する監視履歴データの一例を示す図
【
図11】実施の形態1にかかる監視制御システム訓練支援装置の訓練結果データ取得動作の一例を示すフローチャート
【
図12】実施の形態1にかかる監視制御システム訓練支援装置の訓練支援動作の一例を示すフローチャート
【
図13】監視制御システム訓練支援装置の履歴表示制御部が作成する訓練履歴データの一例を示す図
【
図14】実施の形態2にかかる監視制御システム訓練支援装置の機能ブロック構成の一例を示す図
【
図15】実施の形態2にかかる監視制御システム訓練支援装置の表示端末が表示するタイムラインの一例を示す図
【
図16】監視制御システム訓練支援装置を実現するハードウェアの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施の形態にかかる監視制御システム訓練支援装置、監視制御システム訓練支援方法および監視制御システム訓練支援プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。以下の各実施の形態では、一例として、監視制御の対象が高速道路などの自動車専用道路に設けられたトンネルおよびトンネルに設けられた設備である場合について説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる監視制御システム訓練支援装置1の構成例を示す図である。監視制御システム訓練支援装置1は、複数の表示端末11と、中央装置である監視制御装置12と、映像蓄積装置13と、を含む。表示端末11、監視制御装置12および映像蓄積装置13は、通信ネットワークを介して接続される。表示端末11および監視制御装置12は、通信ネットワークを介して現場主機10の監視および制御を行う監視制御システム2を構成する。すなわち、監視制御システム訓練支援装置1は、監視制御システム2に対して映像蓄積装置13が追加された構成である。監視制御装置12は、現場主機10を監視制御する機能と、監視制御システム2の管制員15の訓練を支援する機能とを有する。監視制御装置12と映像蓄積装置13とは、時刻の同期がとれているものとする。時刻の同期は、例えば時刻同期サーバを利用して行う。
【0012】
監視制御システム訓練支援装置1を用いた管制員の訓練では、複数の表示端末11のそれぞれが、対象の施設または設備の監視制御画面を表示する。訓練時に表示する監視制御画面は、疑似的な内容の画面である。例えば、予め作成された訓練用のシナリオに従い、監視制御装置12が、それぞれ異なる内容の監視制御画面を各表示端末11に表示させる。このとき、映像蓄積装置13は、各表示端末11が表示する画面を映像データとして記録する。これと同時に、管制員15が現場主機10に対して行った操作の内容を監視制御装置12が記録する。現場主機10の操作は監視制御装置12を介して行う。なお、監視制御装置12は、訓練時には現場主機10を実際に制御することは行わない。監視制御装置12は、管制員15が行った操作の内容に応じて監視制御画面の内容を更新する。
【0013】
なお、本実施の形態では、現場主機10の監視制御を実際に行う監視制御システム2を利用して監視制御システム訓練支援装置1を実現する例について説明するが、監視制御装置12および現場主機10の代わりに、監視制御のシミュレーションを行う訓練専用の装置を用いて、監視制御システム訓練支援装置1を実現してもよい。
【0014】
図2は、実施の形態1にかかる監視制御システム訓練支援装置1による訓練支援動作の一例を示す図であり、実施した訓練を振り返る訓練内容再現動作を示している。なお、
図2では、
図1と同じ構成要素に同一の符号を付している。
図1の現場主機10については記載を省略している。
【0015】
図2に示すように、監視制御システム訓練支援装置1による訓練内容再現動作においては、3台の表示端末11のそれぞれが、訓練実施時に表示していた監視制御画面と同じ画面を表示部に表示する。
【0016】
表示端末11が表示する監視制御画面の例について、
図3~
図6を用いて説明する。
図3は、表示端末11が表示する監視制御画面150の構成例を示す図である。監視制御画面150は、監視制御で使用するメニューボタンと、現場主機10の操作などを行うための各種操作ボタンと、現場主機10の状態などを表示する個別表示領域151とを有する。個別表示領域151の表示例を
図4~
図6に示す。
図4は、表示端末11が監視制御画面150の個別表示領域151に表示する画面の第1の例を示す図、
図5は、表示端末11が監視制御画面150の個別表示領域151に表示する画面の第2の例を示す図、
図6は、表示端末11が監視制御画面150の個別表示領域151に表示する画面の第3の例を示す図である。表示端末11は、
図3に示す監視制御画面150の個別表示領域151に
図4~
図6に示すいずれかの画面を埋め込んで表示する。
【0017】
例えば、3台の表示端末11の中の表示端末#1が、
図4に示す個別制御画面152Aを個別表示領域151に埋め込んだ構成の監視制御画面150を表示し、これと同時に、表示端末#2が、
図5に示す個別制御画面152Bを個別表示領域151に埋め込んだ構成の監視制御画面150を表示し、表示端末#3が、
図6に示す個別制御画面152Cを個別表示領域151に埋め込んだ構成の監視制御画面150を表示する。
【0018】
また、1台の表示端末(
図2の例では表示端末#1が該当)の表示部に、訓練内容の再現開始時刻の指定、訓練で実施した操作の履歴確認などを行うための訓練振り返りウィンドウ110を表示する。監視制御システム訓練支援装置1は、訓練振り返りウィンドウ110において、訓練を実施した時間帯の中の任意の時刻が指定されると、指定された時刻に対応する画面を先頭とする映像を各表示端末11に再現表示させる。
【0019】
図7は、実施の形態1にかかる監視制御システム訓練支援装置1の機能ブロック構成の一例を示す図である。
【0020】
監視制御装置12は、操作履歴作成部121、操作履歴保持部122、制御履歴作成部123、制御履歴保持部124、監視履歴作成部125、監視履歴保持部126および履歴表示制御部127を備える。
【0021】
操作履歴作成部121は、訓練時に管制員15が行った操作に関する情報を作成し、作成した情報を、操作履歴保持部122が保持している操作履歴データに追加する。操作に関する情報は、少なくとも、管制員15が行った操作の内容を示す情報と、操作が行われた日時の情報とを含む。
【0022】
操作履歴保持部122は、操作履歴作成部121が作成した操作に関する情報で構成される操作履歴データを保持する。
図8は、監視制御装置12の操作履歴保持部122が保持する操作履歴データの一例を示す図である。
図8に示すように、操作履歴データは、操作が行われた日時の情報と、操作を行った管制員15の情報と、管制員15からの操作を受け付けた表示端末11の情報と、受け付けた操作の内容を示す情報とを含む。
【0023】
制御履歴作成部123は、訓練時に管制員15が行った操作に従って実施した監視制御対象14の制御である実施制御に関する情報を作成し、作成した情報を、制御履歴保持部124が保持している制御履歴データに追加する。実施制御に関する情報は、少なくとも、制御を実施した監視制御対象14の情報と、監視制御対象14に対して実施した制御の内容を示す情報と、制御を実施した日時の情報とを含む。
【0024】
制御履歴保持部124は、制御履歴作成部123が作成した実施制御に関する情報で構成される制御履歴データを保持する。
図9は、監視制御装置12の制御履歴保持部124が保持する制御履歴データの一例を示す図である。
図9に示すように、制御履歴データは、監視制御対象14の制御を実施した日時の情報と、監視制御対象14が設置された場所の情報と、監視制御対象14(火災弁X、信号、など)の情報と、実施した制御の内容を示す情報とを含む。
【0025】
監視履歴作成部125は、
図1に示す現場主機10に相当する監視制御対象14の状態が変化した場合、状態変化に関する情報を作成し、作成した情報を、監視履歴保持部126が保持している監視履歴データに追加する。状態変化に関する情報は、少なくとも、状態が変化した監視制御対象14の識別情報と、監視制御対象14の状態変化の内容を示す情報と、状態変化が発生した日時の情報とを含む。
【0026】
監視履歴保持部126は、監視履歴作成部125が作成した状態変化に関する情報で構成される監視履歴データを保持する。
図10は、監視制御装置12の監視履歴保持部126が保持する監視履歴データの一例を示す図である。
図10に示すように、監視履歴データは、監視制御対象14の状態が変化した日時の情報と、監視制御対象14が設置された場所の情報と、監視制御対象14(信号B、情報板C、など)の情報と、状態変化の内容を示す情報とを含む。
【0027】
履歴表示制御部127は、後述する表示端末11の時刻指定部112が指定を受け付けた時刻に対応する情報を操作履歴保持部122、制御履歴保持部124および監視履歴保持部126から読み出し、読み出した各情報を纏めて、訓練履歴データとして表示端末11に伝送する。
【0028】
映像蓄積装置13は、映像記録部131、映像表示制御部132および映像保持部133を備える。
【0029】
映像記録部131は、訓練時に3台の表示端末11それぞれの画面キャプチャを行うことで表示端末11ごとの映像データを作成する。
【0030】
映像保持部133は、映像記録部131が作成した表示端末11ごとの映像データを保持する。
【0031】
映像表示制御部132は、後述する表示端末11の時刻指定部112が指定を受け付けた時刻に対応する映像データを映像保持部133から読み出し、読み出した映像データを表示端末11に伝送する。
【0032】
表示端末11は、制御操作部111、時刻指定部112、履歴表示部113および画面表示部114を備える。
【0033】
制御操作部111は、訓練時に監視制御対象14に対する操作を管制員15から受け付け、受け付けた操作の内容を監視制御装置12の操作履歴作成部121に通知する。この通知内容に基づいて、操作履歴作成部121が操作に関する情報を作成する。
【0034】
時刻指定部112、管制員15、管制員15の指導員、上司などであるユーザが訓練結果を確認をする際に、訓練内容を再現する時刻の指定をユーザから受け付け、指定された時刻を、監視制御装置12の履歴表示制御部127および映像蓄積装置13の映像表示制御部132に通知する。
【0035】
履歴表示部113は、監視制御装置12の履歴表示制御部127から出力される訓練履歴データを受け取り、受け取った訓練履歴データに基づいて、訓練時に管制員15が行った操作の履歴と、監視制御装置12が監視制御対象14に対して行った制御の履歴と、監視制御対象14の状態変化の履歴とを画面に表示する。
【0036】
画面表示部114は、映像蓄積装置13の映像表示制御部132から出力される映像データを受け取り、受け取った映像データを画面に表示する。
【0037】
つづいて、監視制御システム訓練支援装置1による訓練内容再現動作である訓練支援動作の詳細について説明する。訓練支援動作を実行するために必要な、訓練結果のデータを取得する動作である訓練結果データ取得動作を説明した後、訓練支援動作について説明する。
【0038】
(訓練結果データ取得動作)
図11は、実施の形態1にかかる監視制御システム訓練支援装置1の訓練結果データ取得動作の一例を示すフローチャートである。
【0039】
図11に示すように、監視制御システム訓練支援装置1は、訓練を開始し(ステップS10)、さらに、操作履歴の記録、制御履歴の記録、監視履歴の記録および画面キャプチャの記録を開始する(ステップS11,S12,S13,S14)。
【0040】
ステップS10で開始する訓練の例は、トンネル火災発生時に火災による被害を低減するために様々な設備を操作する訓練が該当する。訓練動作は既存のものと同様であるため詳しい説明は省略するが、例えば、火災現場などの映像、トンネル内に設けられたセンサなどから得られる情報を、表示端末11または別途設けられたモニタに模擬的に表示させる。訓練を受ける管制員15は、表示内容を確認し、設備の操作を表示端末11に対して行う。操作の例は、ジェットファンを止める操作、情報板に火災中と表示させる操作、トンネル入り口の信号機を赤にする操作、照明を全点灯させる操作、消火設備を起動する操作、トンネル内に警告放送を流す操作などが該当する。表示端末11やモニタが表示する内容は、管制員15による操作内容に応じて更新される。
【0041】
ステップS11で開始する操作履歴の記録動作では、表示端末11の制御操作部111が設備の操作を管制員15から受け付け、受け付けた操作に関する情報を監視制御装置12の操作履歴作成部121が作成する。操作履歴作成部121は、作成した操作に関する情報を、操作履歴保持部122が保持する操作履歴データに追加する。
【0042】
ステップS12で開始する制御履歴の記録動作では、制御操作部111が管制員15から受け付けた操作に従い実施した設備の制御に関する情報を制御履歴作成部123が作成する。制御履歴作成部123は、作成した情報である実施制御に関する情報を、制御履歴保持部124が保持する制御履歴データに追加する。
【0043】
ステップS13で開始する監視履歴の記録動作では、監視制御対象14に含まれる設備の状態を監視し、状態の変化を検知すると監視履歴作成部125が状態変化に関する情報を作成する。監視履歴作成部125は、作成した状態変化に関する情報を、監視履歴保持部126が保持する監視履歴データに追加する。
【0044】
ステップS14で開始する画面キャプチャの記録動作では、映像蓄積装置13の映像記録部131が、複数の表示端末11のそれぞれについて、表示している画面をキャプチャし、表示端末11ごとの映像データとして映像保持部133に記録する。
【0045】
監視制御システム訓練支援装置1は、ステップS11~S14を実行した後、訓練が終了したかを確認し(ステップS15)、終了していない場合は確認を繰り返す(ステップS15:No)。監視制御システム訓練支援装置1は、訓練が終了した場合(ステップS15:Yes)、ステップS11~S14で開始した各記録動作を終了する(ステップS16)。
【0046】
(訓練支援動作)
図12は、実施の形態1にかかる監視制御システム訓練支援装置1の訓練支援動作の一例を示すフローチャートである。訓練支援動作では、訓練結果データ取得動作で取得した各データに基づいて、実施した訓練の内容を再現する。
【0047】
訓練支援動作において、監視制御システム訓練支援装置1は、まず、時刻指定、詳細には、訓練内容の再現を開始する時刻の指定を受け付ける(ステップS21)。監視制御システム訓練支援装置1は、例えば、
図2に示すように、複数の表示端末11のいずれか1つに訓練振り返りウィンドウ110を表示し、訓練振り返りウィンドウ110内で時刻の指定を受け付ける。時刻指定の受付方法については問わない。監視制御システム訓練支援装置1は、時刻を直接入力する方法で時刻指定を受け付けてもよいし、時刻指定バーを表示し、時刻指定バーを移動させることで時刻指定を受け付けるようにしてもよい。訓練内容の再現を開始する時刻の指定は、表示端末11の時刻指定部112が受け付ける。時刻指定部112は、指定された時刻を、監視制御装置12の履歴表示制御部127および映像蓄積装置13の映像表示制御部132に通知する。
【0048】
なお、訓練が複数回実行され、訓練結果データが複数存在する場合、監視制御システム訓練支援装置1は、ステップS21で時刻の指定を受け付ける前に、再現する訓練の指定を受け付ける。
【0049】
監視制御システム訓練支援装置1は、時刻指定を受け付けると、履歴取得を行い履歴を表示する第1の再現動作(ステップS22,S23)および映像取得を行い映像を表示する第2の再現動作(ステップS24,S25)を行う。
【0050】
ステップS22およびS23の第1の再現動作では、監視制御装置12の履歴表示制御部127が、操作履歴保持部122から操作履歴データを読み出し、制御履歴保持部124から制御履歴データを読み出し、監視履歴保持部126から監視履歴データを読み出し、読み出した各履歴データに基づいて、ステップS21で指定された時刻を開始時刻とする訓練履歴データを作成する。訓練履歴データは、操作履歴データと、制御履歴データと、監視履歴データとを一纏めにした履歴データであり、例えば
図13に示すデータとなる。
図13は、監視制御システム訓練支援装置1の履歴表示制御部127が作成する訓練履歴データの一例を示す図である。
図13に示すように、訓練履歴データは、履歴の種類を示す情報、すなわち、操作履歴、制御履歴および監視履歴のいずれであるかを示す情報と、日時の情報と、履歴の内容を示す情報とを含む。
【0051】
履歴表示制御部127は、作成した訓練履歴データを表示端末11の履歴表示部113に伝送する。履歴表示部113は、履歴表示制御部127から受け取った訓練履歴データに基づいて、発生イベント履歴を画面に表示する。例えば、履歴表示部113は、
図2に示す訓練振り返りウィンドウ110に含ませて発生イベント履歴を表示する。発生イベントには、訓練時に発生した監視制御対象14の状態変化と、管制員15が行った操作と、監視制御装置12が監視制御対象14に対して実施した制御とが含まれる。これら以外の事象、例えば、監視制御対象14に対して実施を試みたが失敗した制御が発生イベントに含まれてもよい。
【0052】
ステップS24およびS25の第2の再現動作では、映像蓄積装置13の映像表示制御部132が、複数の表示端末11それぞれについて、ステップS21で指定された時刻の映像データを映像保持部133から読み出し、各表示端末11の画面表示部114に伝送する。各表示端末11の画面表示部114は、映像表示制御部132から受け取った映像データを再生する。これにより、各表示端末11では、
図3~
図6を用いて説明したような監視制御画面150が再現表示される。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態にかかる監視制御システム訓練支援装置1は、管制員15の訓練において管制員15が行った操作の履歴データと、管制員15の訓練において監視制御対象14に対して実施した制御の履歴データと、管制員15の訓練における監視制御対象14の状態変化の監視データと、訓練時に各表示端末11が表示した画面のキャプチャを行い作成した映像データとを訓練時に取得して保持し、訓練支援動作においては、訓練時に取得した各履歴データおよび映像データに基づいて、訓練時に各表示端末11が表示した画面を各表示端末11に再現表示する。本実施の形態にかかる監視制御システム訓練支援装置1によれば、訓練時に各表示端末11に表示された内容を正確に再現することができ、訓練を詳細に評価することが可能となる。
【0054】
また、監視制御システム訓練支援装置1は、訓練を受ける管制員15が行った操作の履歴と、操作に応じて監視制御装置12が実施した監視制御対象14の制御の履歴と、監視制御対象14の状態変化の履歴とを一つに纏めた履歴を表示端末11に表示するため、管制員15による操作、監視制御対象14の制御、および監視制御対象14の状態変化の時間的な対応関係、例えば、監視制御対象14の状態が変化して制御が必要となった場合の、状態変化の発生から必要な操作が行われるまでに要した時間、操作を行ってから監視制御対象14の制御が完了するまでの所要時間、などを容易に知ることができる。
【0055】
実施の形態2.
図14は、実施の形態2にかかる監視制御システム訓練支援装置1aの機能ブロック構成の一例を示す図である。なお、
図14では、実施の形態1にかかる監視制御システム訓練支援装置1(
図7参照)と同様の構成要素に同一の符号を付している。実施の形態1にかかる監視制御システム訓練支援装置1と同一の符号を付した構成要素については説明を省略する。
【0056】
監視制御システム訓練支援装置1aは、複数の表示端末11aと、監視制御装置12と、映像蓄積装置13とを備える。
【0057】
表示端末11aは、制御操作部111、時刻指定部112、履歴表示部113、画面表示部114およびタイムライン表示部115を備える。
【0058】
タイムライン表示部115は、履歴表示部113を介して訓練履歴データを受け取る。タイムライン表示部115は、受け取った訓練履歴データを解析し、訓練中に発生した各イベント、具体的には、管制員15による操作、監視制御対象14の制御動作および監視制御対象14の状態変化を抽出する。タイムライン表示部115は、抽出したイベントのそれぞれが発生したタイミングを視覚的に表すタイムラインを画面に表示する。
【0059】
つづいて、監視制御システム訓練支援装置1aによる訓練内容再現動作である訓練支援動作の詳細について説明する。なお、訓練結果データ取得動作は実施の形態1にかかる監視制御システム訓練支援装置1と同様である。
【0060】
監視制御システム訓練支援装置1aによる訓練支援動作は、実施の形態1にかかる監視制御システム訓練支援装置1による訓練支援動作と同じ動作と、タイムラインを画面に表示する動作とを含む。詳細には、
図12に示したステップS23の履歴表示において、発生イベント履歴およびタイムラインを画面に表示する。
【0061】
図15は、実施の形態2にかかる監視制御システム訓練支援装置1aの表示端末11aが表示するタイムラインの一例を示す図である。
図15に示す例では、訓練振り返りウィンドウ110に、タイムライン110Aを実施の形態1で説明した発生イベント履歴110Bと並べて表示する。タイムライン110Aにおいて、縦線はイベントの発生を示す。縦線の位置はイベントの発生タイミングを示す。
【0062】
表示端末11aは、タイムライン110Aにおける縦線と発生イベント履歴110Bに含まれるイベントとの対応関係が視認可能な形式で、タイムライン110Aおよび発生イベント履歴110Bを表示する。例えば、タイムライン110Aにおいてイベント発生タイミングを示す縦線の色と、発生イベント履歴110Bに含まれるイベント内容の記載文字の色とを同一とすることで、対応関係にあるイベント発生タイミングとイベント内容とを視認可能にする。また、イベントの継続期間が視認可能な形式でタイムライン110Aを表示する。例えば、タイムライン110Aにおいて、イベントが継続している期間を、発生イベント履歴110Bにおける対応するイベント内容の記載文字の色と同じ色で塗り潰す、イベントが継続している期間および発生イベント履歴110Bにおける対応するイベント内容の記載文字の表示領域に対し、同じ種類のハッチングを施す、などの方法を用いることで、発生したイベントとイベントの継続期間との対応関係を示しつつ、イベントの継続期間を視認可能にする。
【0063】
図15に示す例においては、発生イベント履歴110Bの「6/10 10:00:00 ●●TN 火災発生」という記載の文字の色と、タイムライン110Aにおける●●TNでの火災発生タイミングを示す縦線の色とを同一としている。なお、「TN」はトンネルを意味する。また、発生イベント履歴110Bの「6/10 10:00:30 ●●TN 火災弁○選択」という記載の文字の色と、タイムライン110Aにおける●●TNの火災弁○の選択実施タイミングを示す縦線の色とを同一としている。また、発生イベント履歴110Bの「6/10 10:00:45 ●●TN 鎖錠開」という記載の文字の色と、タイムライン110Aにおける●●TNでの鎖錠開実施タイミングを示す縦線の色とを同一としている。さらに、発生イベント履歴110Bの「6/10 10:00:00 ●●TN 火災発生」という記載の文字の表示領域と、タイムライン110Aにおける●●TNでの火災の継続期間とに対し、同じ種類のハッチングを施している。
【0064】
タイムライン110Aにおけるイベント発生タイミングと発生イベント履歴110Bに含まれる発生イベントとの対応関係を色分けにより示す例を説明したが、色の代わりに、対応関係にあることをアイコンを用いて示してもよい。色とアイコンとを組み合わせて対応関係を示してもよい。
【0065】
なお、監視制御対象14の状態が変化し、これに伴い管制員15が操作を行って監視制御装置12が監視制御対象14を制御する場合に、イベント同士の発生タイミングに大きな差が無く、イベント発生タイミングを表す複数の縦線が重なった形でタイムライン110Aに表示されるケースが考えられる。すなわち、監視制御対象14の状態変化の発生タイミングと、管制員15による操作実行タイミングと、監視制御装置12による監視制御対象14の制御実施タイミングとの間に大きな差が無いケースが考えられる。このため、表示が重なる場合にどの種類のイベントの発生タイミングを優先的に表示させるかを、ユーザが予め指摘できるようにしてもよい。
【0066】
また、
図15に示す例では、全てのイベントの発生タイミングおよびイベントの継続期間を1つのタイムライン110Aで示すこととしたが、複数のタイムラインに分けて示してもよい。例えば、イベントの種類ごとに分けたタイムラインとしてもよい。すなわち、管制員15による操作の発生タイミングを示すタイムラインと、監視制御装置12による監視制御対象14の制御の発生タイミングを示すタイムラインと、監視制御対象14の状態変化の発生タイミングを示すタイムラインとに分けて、訓練振り返りウィンドウ110に表示するようにしてもよい。この場合、各タイムラインを上下に並べて訓練振り返りウィンドウ110に表示し、各イベントの発生タイミングの関係を容易に把握できるようにする。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態にかかる監視制御システム訓練支援装置1aは、訓練中の各イベントの発生タイミングを視覚的に表すタイムライン110Aを、実施の形態1で説明した発生イベント履歴110Bとともに訓練振り返りウィンドウ110に表示する。また、発生イベント履歴110Bに含まれる各イベントと、タイムライン110A上のイベント発生タイミングとの対応関係を表示形式の同一化、例えば、表示色の同一化により視認可能とする。これにより、訓練の振り返り作業を効率的に進めることが可能となる。
【0068】
なお、実施の形態1および2では、訓練中に発生した全てのイベントを訓練振り返りウィンドウ110に表示することとしたが、表示する対象を、ユーザが設定する特定の条件を満たすイベントに絞り込むようにしてもよい。例えば、表示するイベントを監視制御対象14の状態変化と、管制員15による操作の実施とに限定する、表示するイベントを監視制御対象14の状態変化と、管制員15による信号機および情報板の操作とに限定する、などとしてもよい。ユーザによる条件の設定方法はどのようなものであってもよい。例えば、予め準備されている複数の条件の中からプルダウンメニューなどを用いて選択させるようにする。表示対象を限定することで、重要なイベントなど、特定のイベントに絞り込んで確認することができ、訓練の振り返り作業を効率的に行えるようになる。
【0069】
また、監視制御を行う範囲内に複数のトンネルが存在し、各トンネルに設けられた設備を操作する訓練を振り返る場合、監視制御システム訓練支援装置1,1aは、訓練振り返りウィンドウ110に、トンネル別に分けて、発生イベント履歴およびタイムラインを表示するようにしてもよい。トンネルごとに表示を分けることで、訓練結果の評価を行いやすくできる。
【0070】
最後に、各実施の形態で説明した監視制御システム訓練支援装置1,1aのハードウェア構成について説明する。監視制御システム訓練支援装置1,1aは、例えば、
図16に示すプロセッサ201、メモリ202、通信回路203および入力装置204を備える電子計算機により実現される。
図16は、監視制御システム訓練支援装置1,1aを実現するハードウェアの一例を示す図である。各実施の形態で説明した監視制御システム訓練支援装置1,1aの表示端末11,11a、監視制御装置12および映像蓄積装置13は、それぞれ異なる電子計算機により実現される。
【0071】
プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)、システムLSI(Large Scale Integration)などである。メモリ202は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ハードディスクドライブなどである。通信回路203は、ネットワークインタフェースカードなどである。入力装置204は、マウス、キーボードなどである。
【0072】
例えば、表示端末11は、表示端末11として動作するためのプログラムをプロセッサ201が実行することにより実現される。表示端末11として動作するためのプログラムはメモリ202に予め格納されている。プロセッサ201は、上記プログラムをメモリ202から読み出して実行することにより、表示端末11として動作する。なお、表示端末11として動作するためのプログラムは、メモリ202に予め格納されているとしたがこれに限定されない。上記のプログラムは、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROMなどの記録媒体に書き込まれた状態でユーザに供給され、ユーザが上記プログラムをメモリ202にインストールする形態であってもよい。
【0073】
表示端末11を電子計算機で実現する場合について説明したが、表示端末11a、監視制御装置12および映像蓄積装置13も同様に、これらの各装置として動作するためのプログラムをプロセッサ201が実行することにより実現できる。
【0074】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0075】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0076】
(付記1)
複数の表示端末を活用し、中央装置が監視制御対象を制御する監視制御システムの管制員の訓練を支援する監視制御システム訓練支援装置であって、
訓練時の前記管制員による前記中央装置の操作履歴を保持する操作履歴保持部と、
訓練時の前記管制員による操作に基づき実行された前記中央装置による前記監視制御対象の制御履歴を保持する制御履歴保持部と、
訓練時の前記監視制御対象の状態変化の監視履歴を保持する監視履歴保持部と、
訓練時に前記表示端末が表示した画面をキャプチャして作成された前記表示端末ごとの映像データを保持する映像保持部と、
を有し、
前記操作履歴保持部が保持する前記操作履歴、前記制御履歴保持部が保持する前記制御履歴、前記監視履歴保持部が保持する前記監視履歴および前記映像保持部が保持する前記映像データに基づき、訓練時に複数の前記表示端末のそれぞれが表示した内容を再現表示する、
ことを特徴とする監視制御システム訓練支援装置。
(付記2)
前記再現表示の開始時刻の指定を受け付ける時刻指定部、
を備えることを特徴とする付記1に記載の監視制御システム訓練支援装置。
(付記3)
前記操作履歴、前記制御履歴および前記監視履歴に基づいて、訓練中に発生したイベントの履歴である発生イベント履歴を含む訓練振り返りウィンドウを複数の前記表示端末の中のいずれか一つに表示する、
ことを特徴とする付記1または2に記載の監視制御システム訓練支援装置。
(付記4)
前記発生イベント履歴に含まれる各イベントの発生タイミングを視覚的に表すタイムラインを前記訓練振り返りウィンドウ内に表示する、
ことを特徴とする付記3に記載の監視制御システム訓練支援装置。
(付記5)
前記発生イベント履歴および前記タイムラインにおいて、対応関係にあるイベントと発生タイミングとに同じ表示形式を適用する、
ことを特徴とする付記4に記載の監視制御システム訓練支援装置。
(付記6)
前記発生イベント履歴に含めるイベントを定められた条件を満たすイベントに限定する、
ことを特徴とする付記4または5に記載の監視制御システム訓練支援装置。
(付記7)
前記操作履歴に含まれるイベントと、前記制御履歴に含まれるイベントと、前記監視履歴に含まれるイベントとに分けて、前記発生イベント履歴および前記タイムラインを前記訓練振り返りウィンドウに表示する、
ことを特徴とする付記4から6のいずれか一つに記載の監視制御システム訓練支援装置。
(付記8)
複数のイベント発生タイミングが重なる場合、予め設定された優先順位に従い前記タイムラインにイベント発生タイミングを表示する、
ことを特徴とする付記4から7のいずれか一つに記載の監視制御システム訓練支援装置。
(付記9)
複数の表示端末を活用し、中央装置が監視制御対象を制御する監視制御システムの管制員の訓練を支援する監視制御システム訓練支援装置が実行する監視制御システム訓練支援方法であって、
訓練時の前記管制員による前記中央装置の操作履歴を作成する操作履歴作成ステップと、
訓練時の前記管制員による操作に基づき実行された前記中央装置による前記監視制御対象の制御履歴を作成する制御履歴作成ステップと、
訓練時の前記監視制御対象の状態変化の監視履歴を作成する監視履歴作成ステップと、
訓練時に前記表示端末が表示した画面をキャプチャして前記表示端末ごとの映像データを作成する映像データ作成ステップと、
前記操作履歴、前記制御履歴、前記監視履歴および前記映像データに基づき、訓練時に複数の前記表示端末のそれぞれが表示した内容を再現表示する再現ステップと、
を含むことを特徴とする監視制御システム訓練支援方法。
(付記10)
前記再現表示の開始時刻の指定を受け付ける時刻指定ステップ、
を含むことを特徴とする付記9に記載の監視制御システム訓練支援方法。
(付記11)
前記操作履歴、前記制御履歴および前記監視履歴に基づいて、訓練中に発生したイベントの履歴である発生イベント履歴を含む訓練振り返りウィンドウを複数の前記表示端末の中のいずれか一つに表示する、
ことを特徴とする付記9または10に記載の監視制御システム訓練支援方法。
(付記12)
前記発生イベント履歴に含まれる各イベントの発生タイミングを視覚的に表すタイムラインを前記訓練振り返りウィンドウ内に表示する、
ことを特徴とする付記11に記載の監視制御システム訓練支援方法。
(付記13)
前記発生イベント履歴および前記タイムラインにおいて、対応関係にあるイベントと発生タイミングとに同じ表示形式を適用する、
ことを特徴とする付記12に記載の監視制御システム訓練支援方法。
(付記14)
前記発生イベント履歴に含めるイベントを定められた条件を満たすイベントに限定する、
ことを特徴とする付記12または13に記載の監視制御システム訓練支援方法。
(付記15)
前記操作履歴に含まれるイベントと、前記制御履歴に含まれるイベントと、前記監視履歴に含まれるイベントとに分けて、前記発生イベント履歴および前記タイムラインを前記訓練振り返りウィンドウに表示する、
ことを特徴とする付記12から14のいずれか一つに記載の監視制御システム訓練支援方法。
(付記16)
複数のイベント発生タイミングが重なる場合、予め設定された優先順位に従い前記タイムラインにイベント発生タイミングを表示する、
ことを特徴とする付記12から15のいずれか一つに記載の監視制御システム訓練支援方法。
(付記17)
複数の表示端末を活用し、中央装置が監視制御対象を制御する監視制御システムの管制員の訓練を支援する監視制御システム訓練支援装置として電子計算機を動作させるための監視制御システム訓練支援プログラムであって、
訓練時の前記管制員による前記中央装置の操作履歴を作成する操作履歴作成ステップと、
訓練時の前記管制員による操作に基づき実行された前記中央装置による前記監視制御対象の制御履歴を作成する制御履歴作成ステップと、
訓練時の前記監視制御対象の状態変化の監視履歴を作成する監視履歴作成ステップと、
前記操作履歴、前記制御履歴および前記監視履歴に基づき、訓練時に複数の前記表示端末のそれぞれが表示した内容を再現表示する再現ステップと、
を前記電子計算機に実行させることを特徴とする監視制御システム訓練支援プログラム。
【符号の説明】
【0077】
1,1a 監視制御システム訓練支援装置、2 監視制御システム、10 現場主機、11,11a 表示端末、12 監視制御装置、13 映像蓄積装置、14 監視制御対象、15 管制員、110 訓練振り返りウィンドウ、110A タイムライン、110B 発生イベント履歴、111 制御操作部、112 時刻指定部、113 履歴表示部、114 画面表示部、115 タイムライン表示部、121 操作履歴作成部、122 操作履歴保持部、123 制御履歴作成部、124 制御履歴保持部、125 監視履歴作成部、126 監視履歴保持部、127 履歴表示制御部、131 映像記録部、132 映像表示制御部、133 映像保持部、150 監視制御画面、151 個別表示領域、152A,152B,152C 個別制御画面。